2016年01月17日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2014/03/07(金) 20:24:10 ID:t2nls1YA0

ニュー速VIPの転載禁止に伴い、こちらに専用スレを立てました

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



806 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:08:13 ID:X0/Czv8U0

2016年1月1日(金)

「メリーお正月!」
「あけ、ま、めりー?」
「お年玉をあげましょう」
「ありがとうございます」
懐からぽち袋を取り出すと、うにゅほが恭しく受け取った。
「父さん母さんから貰ったか?」
「うん」
「弟からは?」
「もらった」
「よかったな」
「うん!」
うにゅほがにこやかに頷く。
「これで、◯◯のたんじょうびプレゼント、かえる」
「もう決まってるのか?」
「ううん」
ふるふると首を横に振る。
「まだきまってない……」
「あのさ」
「?」
「毎年いいものくれるけど、もっと安物でもいいんだからな?」
去年は腕時計。
一昨年は長財布。
いずれも五桁は下らない品だ。
「でも、◯◯のたんじょうびだから……」
「××のお年玉なんだから、自分のものを買ったっていいんだぞ」
「ほしいの、あんましない」
「だったら貯金しておくとか」
「ちょきん、してるよ?」
「そうだな……」
これでいて、けっこう貯め込んでいるのだ。
「とにかく、そんな高いものじゃなくていいから」
「わかった」
こくりと頷く。
本当にわかってるのかなあ。
「ほしいのあったら、おしえてね」
「ないことはないけど……」
「じゃ、それかう」
「いや、二万円はするやつだし」
「いいよ?」
「わかってない!」
「?」
小首をかしげる。
「いや、嬉しいんだぞ。本当に嬉しいんだけどさ」
「うん」
「……誕生日プレゼントについては、すこし話し合おうか」
「わかった」
年下の異性からプレゼントを貰うというのも、なかなか難しいものだ。








807 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:09:28 ID:X0/Czv8U0

2016年1月2日(土)

母方の実家へ泊まりがけで新年の挨拶に行く予定だったが、体調を崩してしまった。
「それじゃ、戸締まりしっかりね」
「はいはい」
「ほら、××も行くよ」
「──…………」
ぶんむくれたうにゅほが、母親の手に抵抗する。
「わたしものこる」
「駄目だって言ったでしょうに……」
母親が深々と溜め息をついた。
「年頃の男女をふたり家に残したら、変な勘繰りされるでしょう?」
「いまさらとおもう」
「私たちにとっては今更でも、親戚にとっては違うの」
「でも、◯◯、かぜひいてる……」
ふたりが俺を一瞥する。
「……俺は、ほら、軽い風邪だから。咳が止まらないくらいで」
「なら、いっしょに」
「でも──ごほっ、向こうには、赤ちゃんがいるだろ」
「──…………」
その意味がわからないうにゅほではない。
「ごめんな、一緒に行けなくて」
「……うー」
うにゅほが肩を落とす。
諦めたのだ。
「お年玉、たくさん貰っといで」
「……うん」
「寂しくなったら電話すればいいから」
「いいの?」
「駄目なわけないだろ」
「わかった」
「行ってらっしゃい」
「……いってきます」
胸の前でちいさく手を振って、うにゅほが玄関を後にする。
自室へ戻ろうと踵を返したとき、携帯が鳴った。
母親の番号だった。
「もしもし」
「……うへー」
早速か。
「いまね、こうそくにね、むかってるとこ」
「雨降ってるから道ひどいだろ」
「うん、がたがた」
そんな調子で、事あるごとに、電話が掛かってくるのだった。
家族間通話無料でよかった。







808 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:10:41 ID:X0/Czv8U0

2016年1月3日(日)

「ただいまー!」
「おかえ──おっと」
胸に飛び込んできたうにゅほを抱きとめる。
「うへー」
すりすり。
ほんと、犬っぽい子だなあ。
「おかえり」
「ただいまあ……」
「お年玉、いっぱい貰ってきたか?」
「うと、いちまんななせんえん」
「……金額は言わなくていいんだけど」
「?」
小首をかしげる。
「◯◯のたんじょうびプレゼント、にまんえんのやつ、かえるよ」
「いや、もっと安いのでいいから」
「おばさん、プレゼントのたしにしなさいっていってた」
「うーん……」
なんと言えば納得してもらえるのだろう。
「二万円全額は、さすがに気が引ける」
「どうして?」
「どうしても」
論理的な説明を諦めた。
「だから、半額──一万円だけ出してくれないか?」
「えー……」
うにゅほがぶーたれる。
「◯◯のおかねつかったら、かけいぼのししゅつふえる……」
家計簿アプリの管理をしているのは、うにゅほである。
「いや、××のお金が減るだろ」
「わたしのおかねつかっても、ししゅつふえない」
「──…………」
あ、なんかわかってきたぞ。
「××は、もっと、自分のお金を大切にしたほうがいいと思う」
「してるよ?」
「どうかな……」
これは、なかなか根深い問題かもしれない。
 






809 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:12:11 ID:X0/Czv8U0

2016年1月4日(月)

「──…………」
「あけないの?」
「いや、開けるけど……」
恒例、友人の恋人によるおみやげという名の一発ネタである。
「今回は食べものらしい」
「たべもの」
絶対にろくなものではないけれど、開けないわけにも行くまい。
「──よし!」
気合を入れて、ビニール袋を開く。
「きゃらめるだ」
「鮭&鰹キャラメル……」
食べなくてもわかる。
確実に生臭い。
「◯◯、へんなきゃらめる、きらいなんだよね」※1
「わざとマズく作ったものは、どうもな」
食べもので遊ぶことが悪いとは言わないが、意味のある行為とも思わない。
所詮、ジンギスカンキャラメルのn番煎じだ。
オリジナリティの欠片もない。
「……××、食べる?」
「たべない」
「俺も食べない」
「うん」
捨てよう。
「あ」
うにゅほが袋を覗き込む。
「もひとつはいってる」
「入ってるな」
「きゃらめる?」
「キャラメルじゃないっぽい」
大きさのわりにずしりと重いのが、嫌な想像を掻き立てる。
取り出すと、どうやら海外のお菓子のようだった。
可愛らしい黒猫のイラストがパッケージにプリントされている。
「あめ?」
「黒い飴──いや、グミかな」
「なんかみたことある……」
「あるな……」
俺とうにゅほの視線が、サルミアッキの安置場所へと向かう。
「原材料は──」
リコリスエキス。
「はい、アウトー!」
「……あのまずいあめ?」
「いや、いちおう、砂糖とかブラウンシュガーとかが入ってるから、サルミアッキよりはマシっぽい」
「◯◯、たべる?」
「──…………」
首を横に振る。
だって、200gも入ってるんだもの。
「そのうち、うん、食べるかも。そのうち……」
「わたし、いらない……」
「それがいい」
賞味期限は長いようだから、勇気が出たら開封しよう。

※1 2015年5月14日(木)参照 







810 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:13:24 ID:X0/Czv8U0

2016年1月5日(火)

「思ったほど混んでないな」
「うん」
初売りも過ぎたためか、ヨドバシカメラ札幌は普段通りの混雑具合だった。
「◯◯のほしいの、どこ?」
「たぶん、電子文具のコーナーだと──あった!」
エスカレーターを下りた先で、至極あっさりと見つかった。
「どれ?」
「これ」
「ぽめら……」
ポメラ。
キングジムが製造販売するデジタルメモである。
「これ、なにができるの?」
「メモができる」
「ほかには?」
「メモしかできない」
「あいふぉんじゃだめなの?」
「iPhoneにはキーボードついてないし、ゲームとかできるから気が散るだろ」
「あー」
うんうんと頷く。
「ぽめら、メモしかできないから、きがちらない?」
「そういうこと」
実機があったので、軽くタイプしてみる。
「ちょっと大きいけど、悪くないな」
「にまんさんぜんえんかー」
「価格.comだと22,000円だったから、あんまり変わらないな」
「たんじょうび、ちょっとはやいけど、いまかう?」
「いや、今日は財布にお金入れてこなかったから──」
「──…………」
す。
うにゅほがショルダーバッグから財布を取り出した。
「おかねあるよ」
「いや」
「さんまんえんあるよ」
にこー。
満面の笑み。
「あまぞん、じかんかかるよ?」
「──…………」
「いまかったら、すぐつかえるよ?」
「う」
しばしおろおろと挙動不審な動きをしたあと、心を決めた。
「……せめて端数は出させてください」
「うん」
お買い上げである。
「ほんと、なんつーか、ありがとうな……」
ありがたいやら情けないやら。
「ほしいもの、ほかにもあったら、いってね」
「ないです!」
「そか」
ポメラ、とてもいいです。
大切に使います。 







811 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:14:25 ID:X0/Czv8U0

2016年1月6日(水)

「あ」
掃除機を掛けていたうにゅほが、ファンヒーターの裏側からあるものを拾い上げた。
「あいぱっどだ」
「本当だ」
正確には、iPad mini 3である。
そんなところにあったのか。
「がめんつかないよ」
「電池切れたんだろうなあ」
「さいごにつかったの、いつだっけ」
「覚えてない……」
すくなくとも一ヶ月以上前であることは確かだ。
「◯◯、もう、ゲームしないの?」
「うーん……」
モバマスもデレマスもグラブルも、半端に手を出して、すぐにやめてしまった。
「××こそ、なめこはもういいのか?」
「うん……」
さすがに飽きてしまったらしい。
むしろ、よく三年も続いたよな。
「そもそも、半端に大きくて、持ち歩きづらいんだよ」
「うん」
「iPadでできることって、たいていiPhoneでもできるし」
「うん」
「電子書籍を読むだけなら、Paperwhiteがあるし」
「うん」
「……あれ、なんでiPad買ったんだ?」
「わかんない」
ふるふると首を横に振る。
「××、なんかゲームとかやりたくない?」
「たたかうの、あんましすきくない」
「戦わないやつは?」
「どんなの?」
「デレマスとか」
「アイドルのやつ?」
「そう」
「わたし、おんがくのゲームのやつ、にがて……」
「パズルゲームとか」
「おかあさんやってるやつ?」
「そう」
「たまに、おかあさんに、やらしてもらってるから」
「自分では?」
「うーん」
小首をかしげる。
「もったいないよなあ」
「うん」
なにか、良い使い道はないだろうか。 







812 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:15:46 ID:X0/Czv8U0

2016年1月7日(木)

「はー、いい湯だった……」
冷蔵庫から取り出したペプシで、ほこほこした体を内側から冷やす。
「◯◯、かお、なんかついてるよ?」
「顔?」
指先で頬を拭う。
「取れた?」
「とれない」
姿見を覗き込むと、正体がわかった。
「これ、血だ」
「ち!」
「風呂場でヒゲ剃ったとき、けっこう出てたもんなあ」
「オロナインぬるから、すわって!」
そこまで慌てることじゃないと思うけど。
「ぬりますよー」
「はいはい」
ぬりぬり。
「きーつけてね?」
「ああ」
「◯◯、ひげそるの、へたっぴいなんだから」
「……そんなに下手かなあ」
「ここ」
「うひ」
うにゅほの指先がアゴの下を撫でる。
「ここ、それてない」
「マジか……」
血が出るくらい剃ったのに、剃り残しがあるのか。
「──……」
「──…………」
「♪~」
「……××さん、なんで人のほっぺた揉んでるの?」
「もちもちしてる」
剃りたてだからなあ。
「じゃ、こっちも」
「にう」
うにゅほのほっぺたを両手でむにむにする。
「ふへへ」
「はっはっは」

もちもち、
むにむに、
もちもち、
むにむに──

ふと気づくと、五分ほど経過していた。
ほっぺた。
それは、時間泥棒である。 







813 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:16:53 ID:X0/Czv8U0

2016年1月8日(金)

「──…………」
窓際に膝をついたうにゅほが、じっと空を見上げている。
天気は快晴。
ごきげんな一日だ。
「ゆき、ふらないねえ……」
「そういえば、しばらく降ってないな」
「ゆきかき、してないねえ……」
「する必要ないからなあ」
少々の積雪であれば、父親が除雪機で吹き飛ばしてしまうし。
「うー……」
不満そうである。
しかし、雪がなければどうしようもない。
「冬は長いんだから、いくらでも機会はあるって」
「ほんと?」
「保証はできないけど」
「……うー」
唸られても。
「えーと、要するに、共同作業ができればいいんだよな?」
「ゆきかき」
「雪かきは無理」
「うん……」
「だから、代わりになんかやろう。ふたりでさ」
「なにするの?」
「──…………」
「──……」
「ごめん、思いつかない」
「うー!」
「いま思いつくから!」
しばし思案し、
「掃除とか」
「そうじき、もうかけた」
「料理……」
「ばんごはん、まだだよ」
「洗濯物は?」
「たたんだ」
ほんと、家事万能だなあ。
「……ストレッチでもしようか」
「すとれっち?」
うにゅほが小首をかしげる。
「最近してなかったから、また前屈できなくなってるんじゃないか?」
「う」
うにゅほは前屈限定で体が固い。
他の部分は猫のように柔らかいくせに、不思議である。
「背中、押してやるからさ」
「うん……」
「んで、終わったら俺の背中押してくれ」
「わかった」
ふたりでしばらくストレッチをしていると、体がぽかぽかしてきた。
雪かきはできなかったが、冬場に体を動かすのも悪くない。 







814 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:19:21 ID:X0/Czv8U0

2016年1月9日(土)

ポメラの液晶画面とにらめっこしていると、うにゅほが手元を覗き込んだ。
「……ぽめら、いい?」
「すごくいい」
「うへー……」
お世辞ではなく、本当に使い勝手がいい。
iPhoneのフリック入力が苦手な身としては、これ以上ないメモツールだ。
「なにかいてたの?」
「いまは、日記のネタかな」
「ねた」
「今日起きたことを、忘れないうちにメモっとこうと思って」
「きょう、なにあったっけ」
「ほら、仕事用のテーブルと俺の半纏で、ニセコタツ作ったろ」
「うん」
「××、コタツに突っ伏して、すこしうとうとしてたろ」
「……うん」
「起きたら腰痛くなってて、俺に揉んでって──」
「わ、わう!」
ぱたん。
うにゅほがポメラを折りたたむ。
「そんなのかかなくていいの!」
「恥ずかしい?」
「はうかしい……」
「大丈夫、可愛い可愛い」
「う」
うにゅほが自分のほっぺたを両手で包む。
照れているらしい。
「あと──」
「あと?」
「いや、なんでもない」
「?」
小首をかしげる。
もっと恥ずかしいことを全世界に向けて赤裸々に公開しているだなんて、言ったら怒られるかもしれないし。
「ほかには、なにかいてるの?」
「ちょっとしたメモとか、小説のアイディアとかかな」
「へえー」
ポメラDM100、キングジムより絶賛発売中。
宣伝したから小銭くれないかな。 







815 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:20:53 ID:X0/Czv8U0

2016年1月10日(日)

「おひるごはん、なにがいい?」
「春雨スープでいいよ」
ダイエット中である。
「じゃ、わたしもはるさめ」
「俺に付き合ってたら、余計に痩せっぽちになるぞ」
「うと……」
うにゅほが小首をかしげる。
「◯◯、ふとってるのと、やせてるの、どっちすき?」
「痩せてるほう」
「はるさめたべる」
「でも、痩せすぎはよくない」
「う」
「春雨でもいいけど、ごはんも食べなさい」
「はい」
素直でよろしい。
「◯◯、なにあじがいい?」
「担々麺ある?」
「ある」
「じゃ、それで」
「わかった」
「××は?」
「うーと、ちゅうかしょうゆ……」
「ひとくち」
「わたしも、ひとくち」
「はいはい」
マグカップにお湯を入れて、三分待つ。
「たんたんって、なに?」
「……さあー」
「からいっていみ?」
「中国語の辛いは、日本と同じ辛(シン)だった気がする」
「おなじなんだ」
「漢字文化は大陸から伝播してきたものだからな」
「ふうん」
「ほら、ひとくち食べるか?」
「うん」
うにゅほが担々麺味の春雨をひとくちすする。
「か!」
「か?」
「からいー……」
そんなに辛いかなあ。
「ほら、ごはん食え食え」
「うー」
辛味は、味ではなく、痛みだ。
うにゅほは味蕾が人より敏感なのかもしれない。
「醤油味にしてよかったな」
「うん……」
担々麺味は俺が食べ尽くしておこう。 







816 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:22:10 ID:X0/Czv8U0

2016年1月11日(月)

「──ふぬ、ぬ、ぬ……」
手のひらを天にかざし、長時間の作業で凝り固まった背筋を伸ばす。
その瞬間だった。
ぴき。
「あっ」
腰から嫌な音がした。
正確には音ではない。
しかし、音として知覚された。
「──…………」
背筋を伸ばした状態のまま動けないでいると、
「?」
うにゅほが俺の様子に気づいた。
「どしたの?」
「その瞬間はもう過ぎ去っていて、取り返しがつかない……」
「……?」
小首をかしげる。
「わかるんだ」
「なにが?」
「……いま動くと、腰がピキーンてなる」
「え!」
油断していた。
ここ一年ほどは痛めることがなかったとは言え、爆弾を抱えていることに変わりはなかったのに。
「こ、こしもむ」
「ありがとう。まず、無事にベッドまで辿り着いてから……」
「わかった」
伸ばしていた腕を徐々に下ろしていき、肘掛けに手を掛ける。
「……××、ちょっとチェア引いてくれ」
「うん」
「ゆっくり」
「うん」
前傾姿勢になり、そのまま立ち上がる。
「……だいじょぶ?」
「とりあえず、ベッドまでは──」
右の爪先を差し出したとき、
「──が!」
腰に激痛が走った。
「◯◯!」
「……××、ちょっと肩貸して」
「うん!」
「あと、腰揉んで……」
「わかった!」
マットレスの上でうつ伏せになり、うにゅほのふわふわマッサージを受けていると、徐々に痛みが和らいできた。
「……だいじょぶ?」
「大丈夫、大丈夫……」
気をつけよう。
たったひとつの腰なのだから。 







817 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:23:27 ID:X0/Czv8U0

2016年1月12日(火)

「はー、食った食った……」
マットレスの上でごろんと横になり、天井を見上げながら深呼吸する。
「おなか、ぽん、ぽん」
「叩くなー」
「◯◯、たべすぎ」
「普段から節制してるんだから、誕生日くらいいいだろ?」
「いきなり、からだにわるいよ」
「まあ、うん……」
反論できない。
「たんじょうび、おめでとね」
「何回目だよ」
「さんかいめ」
「ありがとさん」
「……さんかいめだから?」
「いや、そういうつもりじゃなかったんだけど……」
「ありがとさん、ありがとさん」
ぽんぽん。
「叩くなー」
なでなで。
「撫でるなら、よし」
「あんなにたべたのに、あんましでてないね」
「腹?」
「うん」
「食べたって言っても、まだ満腹じゃないしなあ」
「え」
「たぶん──」
腹具合を確認する。
「たぶん、あとケーキ二切れくらいは入る」
「すごい」
「そうかな」
「すごいけど、たべすぎ……」
「食べ過ぎだと思うから、食べてないんだろ」
「あ、そっか」
「いまケーキ食べちゃったら、明日の楽しみがなくなるし」
「わたしの、はんぶん、たべていいよ」
苦笑する。
「どんだけ食いしん坊なんだ、俺は」
「くいしんぼうじゃないの?」
「……え、そんな食いしん坊に見えてる?」
「たまに……」
「たとえ食いしん坊だとしても、××のぶんまで取らないよ……」
「でも、たんじょうびだから」
「誕生日だとしても、人のものまで食べません」
「そかー」
「そうです」
というわけで、またひとつ年齢を重ねてしまった。
あんまり嬉しくないけれど、祝ってくれる人がいることは、素直に喜ぶべきなのだろう。 







818 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:24:59 ID:X0/Czv8U0

2016年1月13日(水)

──ピー!

耳慣れた電子音が室内に響く。
「灯油切れた……」
まだ部屋が暖まりきっていないのに。
「さむ」
思わず自分を掻き抱く。
灯油を入れに玄関まで行くのは面倒くさい。
「××」
「?」
「寒い」
「うん」
「さあカモン」
うにゅほに向けて両手を広げる。
「──…………」
あれ、来ない。
「……わたし、ストーブのかわり?」
「そういうわけじゃないけど……」
「ストーブとわたし、どっちがいいの!」
「──…………」
まさか、ストーブとうにゅほを比較する日が来るとは思わなかった。
「そりゃ、××だけど」
「……うへー」
一瞬で機嫌が直った。
それでいいのか。
「だっこして」
「はいはい」
うにゅほを膝に乗せ、抱き締める。
「ストーブは抱っこできないからな」
「うん」
「柔らかくないし」
「うん」
「いい匂いしないし」
「……うん」
「可愛くないし」
「──…………」
「家事できないし」
「も、も、いい。はずかしい、はずかしい」
うにゅほが両手をパタパタと振る。
褒められるのに弱いのだ。
「ま、ストーブは部屋を暖めることしかできないからな。その分野は譲ってあげてくれ」
「……わかった」
なんとも慎ましやかなやきもちである。 







819 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:26:17 ID:X0/Czv8U0

2016年1月14日(木)

「……?」
なんだか頭がふらふらする。
体調も悪くないのにおかしいなあ、と思っていると、本棚からカタカタと音がした。
地震だ。
「わ、わ、ゆれ、う!」
「落ち着け」
右腕にすがりついてきたうにゅほを胸に掻き抱き、様子を見る。
「──…………」
「……まだゆれてる?」
「静かに」
しばらくして、先程より大きな揺れが我が家を襲った。
「わう!」
「大丈夫、震源地は遠いみたいだ」
震度も3か4程度だろう。
「……なんでわかるの?」
「初期微動が長かったから」
「しょきびどう」
揺れが収まっていくにつれ、うにゅほも落ち着きを取り戻していく。
「雷と同じだよ。光が先に来て、後から音が来る。その時間差で距離が割り出せる」
「──……?」
「もう怖くないか」
「うん」
混乱した人を落ち着かせるためには、よくわからない話をすればいい。
聞く耳を持った相手に対しては、それなりに有効な方法だ。
「おさらとか、だいじょぶかな……」
「確認してこよう」
「うん」
今回の地震における被害は、どうやらゼロのようだった。
「よかったー……」
「そうだな」
テレビをつけて、地震速報を確認する。
「あー、やっぱ震度4あったか」
「おっきかったもんね」
「震源地は浦河沖だから、やっぱけっこう遠かったみたい」
「そうなんだ」
「すごいだろ」
「なにが?」
「──…………」
「……あ、しょきびどう!」
「そうそう」
「◯◯、すごいね」
「──…………」
あんまり嬉しくないのだった。 







820 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:28:00 ID:X0/Czv8U0

2016年1月15日(金)

「──…………」
「♪」
目を覚ますと、満面笑顔のうにゅほが俺の顔を覗き込んでいた。
「おはようございます!」
「……おはよう?」
「ゆき!」
上体を起こし、カーテンを開く。
「雪だ……」
「ゆき、つもってる」
「雪かきしないとなあ」
「うん!」
ふんす!
うにゅほの鼻息が荒い。
今季初の雪かきに、テンションが上がりまくっているらしい。
寝間着の上からツナギを着込み、長靴を穿いて外へ出る。
「うお、マジで積もってる……」
「ゆきかきがい、あるね!」
「粉雪だから、軽いのだけが救いだな」
俺がジョンバで集めた雪を、うにゅほがダンプで運んでいく。
音のない世界。
ツナギが擦れる音と、相手の息遣いだけが聞こえてくる。
「××、楽しいかー」
「たのしい!」
「そっか」
ならよかった。
うにゅほが楽しいなら、俺も楽しい。
体を動かすのも久し振りだ。
なかば自動的な作業に身を任せるうち、気がつくと運ぶ雪がなくなっていた。
「おわったー!」
「お疲れ」
「おつかれさま!」
心地よい疲れ。
開放感。
雪かきも、そう悪くない。
そう思えるのは、
「うへー」
心の底から楽しそうに笑ううにゅほが、すぐ隣にいるからだろう。 
 






821 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/01/17(日) 12:29:18 ID:X0/Czv8U0

以上、四年二ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください 
 




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