2016年02月17日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2014/03/07(金) 20:24:10 ID:t2nls1YA0

ニュー速VIPの転載禁止に伴い、こちらに専用スレを立てました

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



838 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:22:05 ID:nHHoyk7.0

2016年2月1日(月)

セブンイレブンの寒天ゼリーが、ダイエットに最適な上に、たいへん美味い。
「◯◯、みかんあじしかたべないの?」
「ぶどうは味が薄くてさ」
「まえ、りんごあじあった」
「あれは不味かったなあ……」
「なんか、にがかったね」
「後味がな」
というわけで、みかん味のみを大人買いする日々である。
「××、いらないのか?」
「いまはいい」
「ひとくち食べる?」
「ひとくちは、たべる」
「あーん」
「あー」
こころもち多めにゼリーをすくい、うにゅほの口元へと運ぶ。
そのときだった。
「!」
指先が重心を見失い、さじからゼリーが滑り落ちる。

すぽ。

「わ!」
うにゅほのパジャマの胸ポケットに、ゼリーの欠片が入ってしまった。
「あ、ごめ──」
ゼリーを掻き出そうと慌ててポケットに手を突っ込み、

ふに。

思いきり胸に触れてしまった。
「しみなるかなー」
「……いや、生地の色が濃いから大丈夫じゃないか?」
「そか」
「──…………」
当の本人はあまり気にしていないらしい。
まあ、考えてみたら、日常的に押しつけられたりしているわけで、うにゅほ的には今更な感じなのかもしれない。
「うーん、脱がないと難しいかも。着替えてきな」
「わかった」
「ごめんな……」
「うん」
脱衣所へ向かううにゅほの背中を見ながら、デリカシーという言葉について思いを馳せるのだった。 







   

839 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民2016/02/17(水) 13:23:13 ID:nHHoyk7.0
 
2016年2月2日(火)

ふと思い立ち、久し振りに髪の色を抜くことにした。
そういうことが気軽にできるのは、在宅ワーカーの特権である。
「あわあわあわー」
「あんまり遊ばないでくれよ?」
「うん」
うにゅほにヘアブリーチを塗り込んでもらい、三十分ほど待つ。
「……暇だ」
「ひま?」
「だって、なにも見えないんだもん」
俺は極度の近視である。
眼鏡がなければ生活できない。
5センチ先の文字すらおぼつかないのだから、筋金入りである。
「これなんほん?」
うにゅほが胸の前で指を立てている、らしい。
「……二本?」
「せーかい!」
勘である。
「◯◯、なんで、めーわるくなったの?」
「気づいたら悪くなってたの」
「そなんだ」
「××も、暗い部屋で本とか読んじゃ駄目だぞ」
「そしたらめーわるくなるの?」
「たぶん」
「──……!」
あ、これは、なにかいらんことを思いついたときの顔だ。
「なに考えてるか当ててやろうか」
「?」
「目悪くなったら眼鏡掛けて俺とお揃い」
「!」
「当たったか」
「うん」
「目は一度悪くなったら元に戻らないから、大切にしたほうがいいよ……」
「わかった」
うんうんと頷く。
わかってくれたようだ。
「──…………」
あ、またなにか考えてる。
余計なことじゃなければいいな。 







840 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:24:21 ID:nHHoyk7.0

2016年2月3日(水)

「はー、食べた食べた」
「えほうまき、ふといねえ」
「ほんとだよ」
二本食べただけで満腹になってしまった。
「つまんねーなあ……」
すべての妨害が空振りに終わった父親が、恵方巻きをかじりながらぼやく。
たかだか恵方を向いて無言で巻き寿司を食べるくらいの行事を毎年毎年失敗してはいられないのだ。
「あ、お前ら、アレやれアレ」
「あれって?」
「ポッキーあるだろ」
「うん」
「あれ両端から食い合ってくやつ、やれ」
「……父さん酔ってるだろ」
「酔ってませえん」
絶対酔ってる。
「ンなこと言ったって、さすがに無理あるだろ」
「そうかあ?」
「あぐあぐ大口開けて食べ進めてったところで、嬉し恥ずかしって感じにゃならないって」
「──…………」
ソファでテレビを見ていた弟が、呟くように言った。
「やるのが嫌とかではないんだ」
「まあ」
「うん」
俺とうにゅほが同時に頷いた。
「はいはい、お腹いっぱいです」
「(弟)、いっぽんしかたべてない」
「そういう意味じゃなくて」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「××はおもしれーな!」
「わ、わ!」
父親に頭をぐりぐり撫でられるうにゅほを眺めながら、食後の烏龍茶をすする俺だった。 
 






841 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:25:45 ID:nHHoyk7.0

2016年2月4日(木)

俺とうにゅほ以外の家族が、全員、風邪に臥せってしまった。
「珍しいなあ」
「うん……」
「普段なら寝込んでるの俺だけなのに」
「マスクしないとだめだよ」
「××もな」
「うん」
俺たちまで倒れては、家事のすべてが立ち行かない。
「夕飯の準備、手伝おうか?」
「だいじょぶ!」
「風呂沸かそうか」
「きょうは、おやすみ」
「掃除する?」
「みんなねてるから」
「──…………」
「あったかくして、ゆっくりしてて」
戦力外通告を受けてしまった。
「……もしかして、俺に風邪が伝染らないようにしてる?」
「だって、◯◯、すぐかぜひく」
「うん……」
二の句も継げない。
「◯◯は、しごとがんばって」
「はい」
「やさいジュースつくってくるからね」
「楽しみにしてる」
「うん!」
うにゅほの頭を撫でるついでに、額に手を当ててみた。
「?」
「うん、まだ大丈夫」
「かぜひいてないよ?」
「こういうのは、得てして、自分では気がつかないものだからな」
「◯◯、あたまかして」
「はいよ」
膝を曲げると、ちいさな手のひらが額に添えられた。
「……うん、まだだいじょぶ」
俺とうにゅほは運命共同体だ。
同じ部屋で過ごしているから、片方が風邪を引くと、もう片方も体調を崩す可能性が高い。
うにゅほのためにも健康に気を遣わねば。 







842 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:28:06 ID:nHHoyk7.0

2016年2月5日(金)

家族が順調に快復しつつある。
インフルエンザではなかったようだ。
「××」
「?」
「部屋のなかでくらい、マスク取っちゃ駄目?」
「だめ」
「……せめて、一枚にしていい? 二重はちょっと苦しい」
「うと、じゃあ、いっことっていいよ」
「ありがとう」
外側のマスクを外す。
あまり解放感はないが、すこし呼吸が楽になった気がする。
「へやからでるとき、もっかいつけてね」
「はい……」
「みんな、まだ、なおってないからね」
「そうだな」
「あんましへやからでないでね」
「ごはん食べるときは?」
「いそいでたべてね」
「わかった」
あからさまに過保護である。
でも、まあ、さんざん心配をかけてきたことの裏返しでもあるのだし、素直に甘やかされていようと思う。
「××もマスク二重な」
「わたしは」
「××が風邪引いたら、たぶん俺も引くからな」
「……へやのそと、でるときでいい?」
「いいよ」
息苦しいもんな。
「わたしかぜひいたら、◯◯、かんびょうしてくれる?」
「当たり前だろ」
「……うへー」
「わざと風邪引くのナシだからな」
「しないよー」
「××が倒れたら俺が看病して、俺に伝染ったら××が看病して──」
無限ループである。
「……最終的に、ふたり並んで寝込んでそうだ」
「たのしそう」
「楽しくはない」
まあ、ひとりで臥せるよりは、いくらかマシかもしれないけれど。 







843 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:28:57 ID:nHHoyk7.0

2016年2月6日(土)

日記を書こうとキーボードに向かったとき、気がついた。
「……今日、なにやったっけ」
「?」
ひとりごとに反応し、うにゅほが顔を上げる。
「俺、今日なにやってた?」
自堕落に過ごしていたことは確かなのだが。
「うと、ひるくらいにおきた」
「ああ」
「ほんよんでた」
「読んでたな」
「ぱそこんしてた」
「してたな」
「それだけ」
「それだけか……」
「あ、しごともしてたよ」
「仕事は毎日してるし」
「にっきにかくこと、ないの?」
「ない……」
なにしろ、風邪が伝染るからと言って、ろくに部屋から出してもらえないのだ。
さすがに過保護と言わざるを得ない。
「……××」
「?」
「責任を取りたまえ」
「せきにん?」
「いまからでも、日記に書くこと作ろう」
「うと、なにしたらいいの?」
「いつもはやらないことがいいなあ」
「あそび?」
「遊ぶのでもいいぞ」
「じゃあ、つながりごっこ!」※1
「こないだやったろ」
「じゃんけん」
「じゃんけんだけ延々するのもなあ」
「だめ?」
「駄目じゃないけど、五分もたない」
「せなかにじーかくやつ」
「あれ、一時期ハマって、書くことなくなるまでやっただろ」
「うっと、えーと……」

──たん。

エンターキーを押す。
「よし、あとは〆れば今日のぶんはおしまい」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「いままでの会話、ずっと打ち込んでたんだよ」
「なんで?」
「日記にしようと思って」
「いまはなしたの、にっきでいいの?」
「普段はしない会話だろ」
「あ、そか」
納得したらしい。
まあ、たまにはこんな日記もいいだろう。
たまにはとと言いつつ何度かやっている気がするが、気にしてはいけない。

※1 つながりごっこ ── なにをするにもずっと相手に触れ続けていなければならないというアバンギャルドな遊び 







844 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:30:22 ID:nHHoyk7.0

2016年2月7日(日)

「あー!」
風呂あがりに下着姿で涼んでいると、うにゅほに見咎められてしまった。
「パジャマきないとだめだよ」
「そうなんだけどさ……」
暑いのだ。
体が火照っているという意味ではなく、純粋に室温が高いのだ。
「ほら、ストーブつけっぱなしにしてたろ」
「でも……」
「いま何度あると思う?」
「うと、にじゅうよんど……」
「27℃」
「あつい!」
「な?」
一瞬納得しかけたうにゅほだったが、すぐ我に返った。
「でも、またさむくなるよ」
「寒くなったら着るよ」
「さむくなるまえにきるの!」
「──…………」
ふと思いついた。
「よし、実力で着せてみるがいい」
「じつりょく?」
「××、野球拳って知ってるか?」
「ふくぬぐやつ?」
「その逆をやろうではないか」
「えと、じゃんけんでまけたら、ふくきるの?」
「そう」
「やる!」
新たな遊びの気配を感じ、うにゅほの表情がぱあっと明るくなる。
「じゃ、行くぞー」
「うん」

「「じゃーん、けーん、ほい!」」

「勝った……」
「まけた」
「では、一枚羽織ってもらおうか」
「なにきればいい?」
「半纏かな」
「わかった」

「「じゃーん、けーん、ほい!」」

「また勝った」
「まけたー」
「じゃ、次は──」
「くつした!」
「わかった、靴下を履いてもらおう」

「「じゃーん、けーん、ほい!」」

「××、弱いなあ」
「うー」
「では、半纏の上からコートを着るのだ」
「わかった……」

こんな調子で勝ち続け、俺がパジャマを着るころには、うにゅほは厚着でコロコロになっていた。
「あついー……」
「もう脱いでいいよ」
「うん」
なかなか健全で楽しい遊びである。
またやろう。 







845 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:32:03 ID:nHHoyk7.0

2016年2月8日(月)

「……◯◯、おしりだいじょぶ?」
「大丈夫だってば」
「あたまは?」
「打ってない」
「こしは?」
「腰も、いまのところ大丈夫」
「いまのところ……」
「心配性だなあ」
「だって」
凍結した路面に足を取られ、思いきりすっ転んでしまった。
その転び方がよほど派手だったらしく、うにゅほに心配されまくっている次第である。
「俺、ケツでかいから大丈夫だって」
「そだけど……」
肯定されてしまった。
「それにしても、車庫の前があんなに滑るとはなあ」
「うん」
「言うまでもないと思うけど、××も気をつけるんだぞ」
「きをつける」
「××、おしり小さいからなあ」
「ちいさい?」
「小さいというか、薄い」
「うすい……」
うにゅほが自分のおしりを揉む。
「そのぶん体重も軽いから大丈夫だとは思うけど、転ばないに越したことないからな」
「◯◯も、きをつけてね」
「ああ」
これで明日にも転んだら、さすがに間抜け過ぎる。
「……ところで、その手にあるものは?」
「しっぷ」
「俺のケツに貼ろうとしてたの?」
「うん」
「……貼らなくていいからな」
「だいじょぶ?」
「仮に貼るとしても、自分で貼るから」
「えー」
「えーじゃなくて」
さすがに恥ずかしいので、勘弁していただきたい。 







846 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:34:17 ID:nHHoyk7.0

2016年2月9日(火)

うにゅほプレイスでくつろぐうにゅほの姿をのんびり眺めていたところ、すりすりと両足を擦り合わせていることに気がついた。
「××、足冷たいの?」
「ちょっとー」
「靴下履いたらいいのに」
「うーん……」
うにゅほの靴下嫌いは筋金入りである。
「どれどれ」
ちいさな足に手を伸ばす。
「うしし」
「たしかに、ちょっと冷たいな」
「くすぐったい」
「くすぐってないぞ」
くすぐったら泣くかもしれないし。※1
「そろそろ足の爪切らないと」
「うん」
爪先を両手で暖めてみる。
「あったかい」
「風呂あがりだからな」
「みぎあしもー」
「いいけど、靴下履きなさいって」
「うーん?」
これで誤魔化しているつもりなのだから、微笑ましい。
「──…………」
ふと、うにゅほの足の裏にいたずらをしたくなった。
くすぐることができないのなら、選択肢はひとつしかない。
足つぼマッサージである。
ぐに。
「お」
ぐい、ぐい。
「お、おふ、おー」
「痛い?」
「ちょ、と、だけー」
「ここは?」
「う」
「こっちは」
「ぬ」
「このあたりは?」
「はう」
面白い。
「××は、足つぼ大丈夫なんだな」
「うん、きもちい」
うへーと笑う。
「つぎ、◯◯も、あしつぼしてあげるね」
「頼むー」
こうして足つぼを刺激し合うふたりなのだった。

※1 2016年1月28日(木)参照 







847 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:37:01 ID:nHHoyk7.0

2016年2月10日(水)

「だー、終わった!」
「おつかれさまー」
仕事が終わって机に突っ伏すと、うにゅほが背中を撫でてくれた。
「××も、助手してくれてありがとうな」
「たすかった?」
「助かった」
「うへー……」
てれてれと笑う。
「きょう、しごとおおかったね」
「今週は多いんだよ」
「そなんだ」
「普段の倍くらいかな……」
「ばい!」
うにゅほが目をまるくする。
「来週はもっとすごいぞ」
「もっと……」
「今日の、さらに倍」
「えー!」
反応がいちいち微笑ましい。
「◯◯しんじゃう!」
「死なない、死なない」
そのくらいで死んでたまるか。
「はんじょうしてるのかな……」
「いや、繁盛とかないから」
「ないの?」
「ない」
「なんでおおいの?」
「三月分の仕事が前倒しで来てるらしいぞ」
「はー……」
うんうんと頷いているが、たぶんよくわかっていない。
「つまり、三月のぶんの仕事をいましているわけだ」
「うん」
「ということは?」
「うん?」
小首をかしげる。
やはりわかっていなかった。
「三月は、仕事が少ないってことだよ」
「!」
理解したようだ。
「さんがつ、あそべる?」
「遊べる遊べる」
「やたー!」
天真爛漫なうにゅほの笑顔を見て、改めて頑張る決意を固める俺だった。 







848 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:38:59 ID:nHHoyk7.0

2016年2月11日(木)

「××」
「はい」
「明日、明後日と、夕方からちょっと留守にするから」
「……?」
うにゅほが自分を指差す。
「××は、行かない」
「いく」
「行かない」
「──…………」
あ、ぶーたれた。
「いきたい」
「……本当に行きたいのか?」
「?」
「知らない人がたくさん来るぞ」
「う」
「酒の席だぞ」
「う」
「俺だって人間だから、トイレ行ったりするぞ」
「──…………」
あ、諦めた。
「……はやくかえってきてね?」
「約束する」
「ゆびきり」
「指切りなんてしたことあったっけ」
「わかんない」
「まあ、いいか」
うにゅほの差し出した小指に、俺の小指を絡ませる。
「指切りげんまん」
「うーそー、ついたーら、はーり、せーんぼーん、のまーす!」
おぼつかないな!
「「ゆびきった!」」
と、繋いでいた小指を離す。
「指切りしたから、もう大丈夫だな」
「うん」
うにゅほがこくりと頷いた。
信頼されている。
なるべく早く帰ろうと思った。
指切りとか、約束とか、関係ない。
うにゅほの顔を見たいから、早く帰るのだ。 







849 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:40:22 ID:nHHoyk7.0

2016年2月12日(金)

客用のお茶菓子を買うため、最寄りのロイズ直営店まで足を伸ばした。
ロイズと言えばチョコレートだが、ラスクもやたら美味いのだ。
「──……?」
店内に入り、気がついた。
「……なんか、すごい混んでるな」
「うん」
祝日は昨日で、土曜は明日だ。
そこまで考えて、ようやく理解した。
「あ、バレンタインだ!」
「うん」
うにゅほの視線に心なしか呆れが含まれている気がする。
「××、今年もくれるのか?」
「うん」
なにを当たり前のことを、という顔である。
「……いま買ってく?」
「ううん」
ちいさく首を横に振る。
「もしかして、もう買ってあるとか……」
「うん」
「……なんか怒ってる?」
「おこってないよ」
「機嫌悪い?」
「わるくないよ」
本当かなあ。
「……もっと、たのしみにしてるとおもったから」
「──…………」
うにゅほは怒っていない。
機嫌も悪くない。
ただ、すこしだけ、がっかりしてしまったのだと思う。
「……言い訳になるけどさ、楽しみにはしてたよ。これは本当に」
「ほんと?」
「最近、ほら、忙しかっただろ」
「うん」
「バレンタインって、まだ先のことだって思ってたんだよなあ……」
「──…………」
「××のチョコ、期待してるから」
「……うん」
許された。
今年はどんなチョコをくれるのだろう。
それを考えるだけで頬が緩む俺なのだった。 







850 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:42:10 ID:nHHoyk7.0

2016年2月13日(土)

「……あの、××さん」
「──…………」
「××さん?」
「──…………」
「あのですね……」
「──…………」
「昨日は、その、帰宅が深夜を回ってしまい、たいへん申し訳ありませんでした……」
「──…………」
ぷい。
「ごめんってばー!」
「わ!」
うにゅほを背後から抱きすくめる。
「今日は早く帰ってくるから」
「……ほんと?」
「──…………」
しばし思案する。
「……日付が変わる前には」
「──…………」
うにゅほの視線が痛い。
「じゅ、十一時半までには!」
「……うー」
「約束します」
「ほんと?」
「本当」
「わたし、ねるまえに、かえってきてね」
「……わかった」
この言葉は、裏切れない。
「──よし、そうと決まれば、今日のぶんの仕事をさっさと終わらせてしまおう!」
「うん!」
「××、手伝ってくれるか」
「てつだう」
ふんすふんす。
鼻息荒く、うにゅほが頷く。
やる気である。
いつもの倍近い仕事を済ませて家を出たのが、午後五時過ぎのこと。
ようやく帰宅できたのは、午後十一時二十分のことだった。
「ちょっとおそい」
「……すいません」
「でも、やくそくどおりだから、ゆるします」
「ありがとうございます!」
「わ!」
ぎゅうー。
うにゅほを正面から抱きすくめながら、飛ばしてくれたタクシーの運ちゃんに胸中で感謝するのだった。 







851 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:44:10 ID:nHHoyk7.0

2016年2月14日(日)

さて、待ちに待ったバレンタインである。
「××さん」
「う」
うにゅほの肩をやわやわと揉みながら、その横顔を窺う。
「バレンタインチョコの件なのですが……」
「あるよ」
「ありがたき幸せ」
もみもみ。
「おー……」
もみもみ。
「ふひー……」
「……あの」
「?」
「チョコ、いただけないんでしょうか」
「チョコ、かくしてあるよ」
「隠してあるの?」
「◯◯、ねてるあいだに、かくした」
宝探しというわけか。
たしか、一昨年も似たようなことがあって── ※1
「××、ちょっと両手上げて」
「?」
ぽん、ぽん。
「服の下には隠してないみたいだな」
「ことしはちがうよ」
「ヒント!」
「へやのなかにあります」
「部屋のなか……」
ひとまず布団をめくってみる。
「さすがにない、か」
「とけちゃう」
たしかに。
「えーと、俺が寝てるあいだに隠したんだよな」
「うん」
ということは、開けるのに物音がしそうな箪笥などではないだろう。
「デスクの足元!」
ない。
「テレビの裏!」
ない。
「冷蔵庫のなか!」
ない。
「ヒント!」
「ひんとはねー」
にししと笑いながら、うにゅほが答える。
「いつもとちがうところ、です」
「──……?」
部屋の中央に立ち、ぐるりと周囲を見渡してみる。
違和感。
なにかが違う。
たしかに違う。
「あっ」
気づいた。
箪笥の上のぬいぐるみ。
その並び順が違う。
「──ここだ!」
ビッグねむネコぬいぐるみを抜き取ると、その奥にピンク色の包みがあった。
「バレンタインおめでとー!」
「ありがとうございます!」
達成感を胸に包みを開けると、高級そうなチョコアソートが入っていた。
「ホワイトデーのとき、俺も隠したほうがいい?」
「うん!」
子供っぽいと笑われるかもしれないが、いつになっても宝探しは楽しいものだ。
その宝物が、価値あるものであれば、特に。

※1 2014年2月14日(金)参照 







852 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:46:21 ID:nHHoyk7.0

2016年2月15日(月)

「──…………」
ぼふん。
羽毛布団の上に思いきり倒れ込む。
「……◯◯、だいじょぶ?」
「だいじょばない」
「しごと、おわった?」
「終わらない」
やってもやっても終わりが見えない。
やればやるだけ増えていく。
賽の河原で仕事をしている気分だった。
「むりしないで……」
「……うん、いったん休憩する」
目を閉じる。
目蓋の裏に方眼紙のマス目。
「うう……」
今日から一週間、三月分の仕事が前倒しでのしかかってくる。
後が楽だとわかっていても、いまのつらさは変わらない。
気が遠くなりそうだった。
「よしよし」
なでなで。
「かた、せなか、こし」
「……?」
「どこいたい?」
「肩かな……」
「じゃー、かたもむね」
「ありがとう……」
「せなかのるね」
「ああ」
「ねてていいからね」
うにゅほのふわふわマッサージのリラックス効果は絶大である。
コリはちっともほぐれないが、些細なことだ。
「……もうだいじょぶ?」
「大丈夫」
「げんきでた?」
「だいぶ」
三十分ほど休憩して、仕事に戻った。
在宅ワーカーで本当によかった。
うにゅほが傍にいなければ、こんなに頑張れていない気がするのだ。 







853 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/02/17(水) 13:47:20 ID:nHHoyk7.0

以上、四年三ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください 
 


       


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