2016年03月03日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2014/03/07(金) 20:24:10 ID:t2nls1YA0

ニュー速VIPの転載禁止に伴い、こちらに専用スレを立てました

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



854 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:07:13 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月16日(火)

「──ッ!」
パソコンチェアから立ち上がったとき、右足の小指に激痛が走った。
「た、たた、た……」
思わずチェアに腰を落とす。
「ど、どしたの!」
「いや、なんか──」
なにが起こったのか、よくわからない。
右足を持ち上げ、小指に触れる。
「……痛くない」
押しても、引っ張っても、叩いても、揉んでも、ぜんぜん平気である。
しかし、
「──て、いてて」
体重をかけると、刺すような痛みが走る。
「だいじょぶ……?」
「わからない」
「はれてる?」
「どうかな」
「みして」
うにゅほが俺の足を取る。
「はれて──は、ない」
「熱は?」
「ねつもない」
「なんだろう……」
「うーん」
ぶつけた記憶も、ひねった記憶も、ない。
「びょういんいったほう、いいよ」
「いや、仕事が……」
「──…………」
きゅ。
ジーンズの裾を軽く引っ張りながら、上目遣いでこちらを見上げる。
「しんぱい……」
「うっ」
かなりの破壊力だった。
「いやでも今日のぶんの仕事が終わらないと、明日のぶんに上乗せされるわけで」
「──…………」
「……病院、明日でいいですか?」
「うん」
明日のぶんの仕事を、すこし、今日のうちに終わらせておこう。
「明日までに治ってたら、行かなくていいよな」
「……うーん」
「なんなら来週行くから」
「わかった」
よし。
治れ、治れ、足治れ、いいから治れ、さっさと治れ! 








855 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:09:02 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月17日(水)

右足の痛みは治まったものの、うにゅほの押しに負けて、整形外科を受診することにした。
その結果、
「……なんか、よくわからなかったな」
「うん……」
「骨に異常はないし、筋を痛めたのでもないし」
「うん」
「そもそも、もう痛くない」
「うーん……」
「採血と採尿はしたけど、あれ、なに調べるんだろうな」
「さあー」
ふたり揃って小首をかしげる。
「まあ、ともかく──」
「わあ!」
その場でぴょんぴょんと飛び跳ねてみせると、うにゅほが慌てて俺を制した。
「怪我じゃないってわかっただけ、よかったな」
「い、いたくない?」
「大丈夫、痛くないよ」
「すわって、すわって」
「はいはい」
チェアに腰を下ろすと、うにゅほが俺の右足を愛おしげに撫でた。
「むちゃしないでね」
「無茶ってほどじゃ……」
「しないでね」
「はい」
素直に頷く。
「あし、つめたい」
「冷え性だからな」
「あったかくしたら、いたくならないかな」
「どうだろう」
「くつしたはかないと」
「××もな」
「……うへー」
「笑って誤魔化さない」
「はい……」
うにゅほの靴下嫌いは筋金入りである。
「俺も履くから、××も履く」
「わかった……」
こんなことでもなければ、なかなか素直に靴下を履いてくれないのだ。
変なところで頑固なんだよなあ。
痛みの原因はよくわからなかったが、まあ、よしとしよう。
再発しませんように。 







856 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:11:02 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月18日(木)

「──……う」
枕元の携帯を布団のなかに引きずり込み、時刻を確認する。
午後二時半。
何度寝したかは覚えてないが、いくらなんでも寝過ぎである。
「……おはよう」
「あ、おきてだいじょぶ?」
「疲れが取れない……」
くらくらする。
頭が重い。
「──…………」
ちいさな手のひらが額に添えられる。
「ちょっとあつい」
「うん……」
「まだねてたほういいよ」
「いや、仕事が」
ぐ。
両肩を押されて布団に戻る。
「ねてなさい」
「でも」
「ねて」
「はい」
目が本気だ。
「……もう三十分だけ寝たら、仕事の続きやるよ」
「──…………」
「休んでも意味ないんだ。今日のぶんが明日に回されるだけだから……」
「かわりのひと、いないの?」
「いない」
大腸内視鏡検査の際に入院したときですら、病室で仕事をこなしていたくらいである。
ちょっと体調が悪い程度で仕事を休めるはずもない。
「うー……」
悔しげに下唇を噛むうにゅほの頭を撫で、目蓋を閉じた。
「三十分経ったら、起こして」
「……うん」
マットレスに溶けていくような浮遊感に身を任せ──

次に目を覚ましたのは、午後四時過ぎのことだった。
「××さん?」
「はい……」
「……いや、なんでもない。ありがとな」
おかげですこし疲れが取れた。
前倒しの仕事が重なるのは、明日までだ。
それが終わったら、うにゅほを連れて、買い物にでも出かけようと思う。 
 






857 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:12:22 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月19日(金)

時刻を確認する。
午前六時。
うにゅほの起床時刻である。
「──……う」
長い睫毛がかすかに動き、徐々に目蓋が開いていく。
「おはようございます」
「おは、う、ごあいます……」
くしくしと手の甲で目元をこすりながら、うにゅほが上体を起こす。
「……◯◯、ねれなかったの?」
「寝れなかったと言えば、寝れなかった」
「?」
小首をかしげる。
「パソコンが壊れた」
「え!」
「で、いま復旧作業中」
「なおるの?」
「わからない」
唐突なブルースクリーンと共に、DドライブのHDDが認識されなくなった。
Cドライブは生きているのでPC自体は起動するのだが、ほとんどのデータにアクセスできない状態である。
「……うと、だいじょぶ?」
「データ自体はサルベージすれば問題ないけど、いずれにしても買い換えだな」
「ぱそこんかうの?」
「もし直ったとしても、いつまた壊れるかわからない状態で使っていられないもの」
「そか……」
うにゅほが目を伏せる。
「……いくらくらいかかる?」
「グラボはいま使ってるのを乗せ換えるから、十二、三万ってところかな」
「むうー……」
「あと、もしものときのために、ノートパソコンも買っておこうかと思って」
「え!」
「最低限ネットに繋がってないと、仕事もなにもできないんだよ……」
「……おいくら?」
「安いのでも数万はするだろうから、トータルで二十万くらいになるかな……」
「に!」
うにゅほの背筋がピンと伸びる。
「にじゅうまん……」
口座残高に幾許かの余裕があるとは言え、手痛い出費であることに変わりはない。
「ごめんな、朝っぱらからこんな話して」
「……ううん」
ちいさく首を横に振る。
「ひつようだもんね……」
「ああ……」
午後九時現在、Dドライブの再認識には成功したものの、ブルースクリーンの恐怖からは逃れられていない。
早急にデータを退避し、新しいPCを組むべきだろう。 







858 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:14:10 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月20日(土)

「……はふー」
喫茶店でスフレパンケーキをつつきながら、うにゅほが溜め息をついた。
散財にはある種の快感が伴う。
しかし、その快感は、散財した当人のみが得るものだ。
「にじゅう、にまんえん……」
「ちょっと足が出てしまいました……」
ちいさく首を振りながら、うにゅほが口を開く。
「いいの」
「……本当に?」
「あたらしいのかうなら、いいやつのほう、いいもんね」
うへー、と苦笑を浮かべてみせる。
「──…………」
フレンチトーストをフォークで突き刺し、無言でうにゅほの口元へと運ぶ。
「?」
「あーん」
「あー」
ぱく。
「美味しい?」
「おいふい」
なでなで。
「どしたの?」
「なんか、甘やかしたくなって」
「……?」
うにゅほが不思議そうに小首をかしげる。
そういったところがいじらしいのだ。
「──よし、パンケーキもう一枚食うか!」
「そんなにたべれない……」
「なに注文してもいいぞ」
「あ、ここ、わたしはらうから」
「えっ」
「だって、これいじょう、◯◯におかねつかわせたくない……」
「……いえ、その、それはさすがにですね」
「わたしはらう」
「いくらなんでも」
「はらう」
「はい」
弱いぞ、俺。
情けないぞ、俺。
でも、不思議と嫌ではないのだった。
尻に敷かれるのも悪くないと思ってしまうのは、きっと相手がうにゅほだからだろうな。 







859 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:16:24 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月21日(日)

「ぬあー……!」
パソコンチェアの背もたれに体重を預け、天井を仰ぎ見る。
「なんか、久々に、休んでるって感じ……」
「しごと、たくさんだったもんね」
「ほんとな」
「しばらく、しごと、ない?」
「ないこたないけど、少なくはなる」
「よかったー……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
「ずっとあのままだったら、◯◯、しんじゃう」
「死なないってば」
「◯◯、かおいろ、すごいわるかった」
「……そうなの?」
「そう」
他ならぬうにゅほが言うのなら、そうなのだろう。
「でも、世の中には、もっと大変でもっと死にそうな人たちがたくさんいるんだぞー」
「ううん」
ふるふると首を横に振りながら、うにゅほが言う。
「そんなの、しらない」
「知らないって」
「◯◯がげんきなら、いい」
「──…………」
「?」
うにゅほを手招きする。
とてとてと近づいてきたうにゅほを軽く抱き締め、膝の上へと導いた。
「わ」
「ここにいなさい」
「はい」
素直である。
「はー……」
うにゅほを抱っこしていると、安らぐ。
「おもくない?」
「重くない」
「あったかい?」
「あったかい」
「わたしも、あったかい」
うへーと笑ううにゅほが愛おしくなって、抱き締める腕に力を込めた。 







860 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:20:05 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月22日(月)

「××」
「はい」
「今日はなんの日でしょう」
「うと……」
「カレンダーには書いていません」
「にがつ、にじゅうに?」
「そう」
「──…………」
「──……」
「……あ、ねこのひ!」
「思い出したか」
「にーにーにーで、にゃん、にゃん、にゃん」
「ストップ!」
「?」
「××は、今日、猫語でしか話してはいけません」
「ねこご」
「はい、スタート」
「……にゃ、にゃー?」
「──…………」
「にゃん、にゃーにゃー」
「あざとい……」
「にゃ?」
「××さん」
「にゃい」
「いまからこの指先を猫じゃらしと仮定します」
「?」
「振ります」
「にゃい」
「はい、じゃれて!」
「にゃ……」
「もっと猫っぽく!」
「にゃん!」
「獲物を狙うように!」
「にゃあ!」
「甘噛みして!」
「がぶ!」
「いてえ!」
「ごめんなさい!」
そんな感じで遊んでいたら、いつの間にか日が暮れていた。
来年もやろう。 







861 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:21:44 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月23日(火)

「──よし、仕事終わり!」
ぱん、と両手を打ち鳴らし、座椅子から立ち上がる。
「はやい!」
「先週頑張ったからな」
「がんばったかい、あったね」
「そうだな」
うにゅほの頭をぐりぐりと撫でる。
「うへー……」
幸せそうな笑顔に、こちらの頬まで緩んでしまう。
「ね、あそべる?」
「遊ぼうか」
「やた!」
「なにして遊びたい?」
「うと……」
困ったように小首をかしげる。
まあ、いきなり言われても困るよな。
「昨日は猫になったから、今日は犬にでもなってみるか?」
「いぬのひじゃないよ?」
「おすわり」
「!」
うにゅほが反射的に腰を下ろす。
「お手」
「わん」
「おかわり」
「わん」
「ノリノリじゃないか」
「わふん」
とくいげである。
「それにしても、違和感がないと言うか」
うにゅほの頬に手を添える。
「くーん」
「むにー」
「わふ、わふ」
「××、もともと犬っぽいからな」
「わふー」
「よし、おなかを撫でてやろう」
「わん!」
「うりうり」
「くふ、わふふふ……」
犬ごっこもたいへん楽しかった。
またやろう。 







862 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:24:02 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月24日(水)

「××、ストーブつけて」
「わん!」
ぴ。
「わんわん!」
「よしよし」
なでなで。
「わふー……」
手を止める。
「わん!」
「もっと撫でろと」
「わふ」
なでなで。
「くーん……」
何故だかよくわからないが、犬ごっこがたいそうお気に召したらしく、昨夜からずっとこんな調子である。
「お手」
「わん」
「おかわり」
「わん」
「よしよし」
「わふー……」
うにゅほの顎の下を掻いてやっていたとき、不意に視線を感じた。
「──…………」
弟が、扉の隙間からこちらを窺っていた。
「……兄ちゃん、とうとう」
「ご、誤解だ!」
「俺、ジャンプ置きに来ただけだから……」
「頼む、聞いてくれ!」
「わん?」
ここ数日の流れを弟に説明する。
「犬ごっこ、ねえ」
「そうそう」
「……それは、楽しいの?」
「××は楽しいらしい」
「わん」
頷く。
「せっかくなら、逆をやればいいのに」
「逆?」
「兄ちゃんが犬で、××が飼い主」
「──…………」
「──……」
うにゅほと顔を見合わせる。
「うと、おて……」
「わん」
うにゅほの手のひらに右手を乗せる。
「おかわり」
「わん」
左手に乗せ替える。
「──…………」
「──……」
「どう?」
「「しっくりこない」」
ハモった。
「──…………」
あ、弟が呆れてる。
「……まあ、楽しいならそれでいいんじゃないですかね」
「敬語やめて」
「わふー」
うにゅほが飽きるまで犬ごっこに付き合わされそうである。 







863 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:25:56 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月25日(木)

行きつけの喫茶店まで足を伸ばし、窯焼きスフレとフレンチトーストを注文した。
「悪いな、付き合わせちゃって」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「わるくないよ?」
「いや、いまからちょっと作業するからさ」
そう言って、カバンの中からあるものを取り出した。
「あ、ぽめら」
「そう、ポメラ」
誕生日プレゼントとしてうにゅほに買ってもらったデジタルメモである。
「こういうのを喫茶店で開くの、やってみたかったんだよ」
「かっこういいもんね」
「MacBookとかだともっとカッコいいと思うけど、そこまで行くと意識高いとか言われそうだしな」
「いしきたかい?」
「気にしなくていいよ」
「うん」
ポメラを開き、意味もなくエンターキーを連打する。
「さて、なにを書こうかな……」
「なにかくの?」
「企画書の草案とか、今後の戦略とか、シナリオの調整とか、書くべきことはいろいろある」
「おー」
「すこし集中したいから、フレンチトースト食べててくれな」
「うん」
「スフレも、届いたら味見してていいから」
「うん」
アイスコーヒーを飲みながら三十分ほどポメラとにらめっこしていると、うにゅほが隣の席に移動してきた。
「ごめん、暇だったか」
「よんでいい?」
「いいけど、メモ書き程度だし、面白くないと思うぞ」
ポメラの画面をうにゅほに譲り、すっかり冷えてしまったスフレを口に運ぶ。
「冷めても美味いなあ」
甘すぎて、すぐ飽きるけど。
「スフレ食べたら、ヨドバシ行こうか」
「かうものあるの?」
「ないけど、電器屋さん好きだろ?」
「すき」
うへーと笑う。
短時間だが、それなりに集中することができた。
喫茶店の雰囲気って、偉大だ。 







864 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:28:36 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月26日(金)

買いそびれていたノートパソコン用のマウスを購入するため、近場のヤマダ電機を訪れた。
「わー……」
ずらりと並べられた見本品の数に、うにゅほが感嘆の声を上げる。
「たくさんあるねえ」
「八割くらいBUFFALOとELECOMだけどな」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「××は、どれがいいと思う?」
「わたし?」
「ああ」
「うーと……」
しばし真剣に悩んだのち、
「これ」
赤と黒を基調とした大きめのマウスを指さした。
「カッコいいけど、ちょっとでかくないか?」
「◯◯のまうす、こんなかんじだった」
「そうだな」
「うん」
「──…………」
「──……」
「あれ、言ってなかったっけ」
「なにー?」
「新しく買ったノートパソコン、××用にしようかって」
「え!」
ぱちくり。
「俺は緊急時に使えればいいし、普段から腐らせとくのはもったいないだろ」
「うーん……」
あ、困ってる。
「好きな動画とか、好きなときに見れるぞ」
「ひとりでみてもおもしくない……」
「母さんがやってるパズルゲームとか、自由にできるぞ」
「おかあさんのぱそこんでやる……」
「だよなー」
実を言うと、この反応は予想済みである。
良きにつけ悪しきにつけ、うにゅほは変化を好まない。
「まあ、するしないは別にして、いつでもできるようにはしておくよ」
「うん……」
「マウスも、小さめのにしておこう」
「うん」
うにゅほがノートパソコンを使いこなす姿は、どうにも想像できないけれど。 







865 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:31:02 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月27日(土)

「──よし、セットアップ終わり!」
座椅子の背もたれに体重を預け、思いきり伸びをする。
「ブラウザ入れた、メーラー入れた、ウィルス対策も万全だ」
「うん……」
「さて、電源落とすか」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「わたし、ぱそこん、つかわなくていいの?」
「使いたいの?」
「ううん」
ふるふると首を横に振る。
「このノートパソコンは××用にするって言ったけど、使えとは言ってないぞ」
「……?」
反対側に首をかしげる。
「使っても、使わなくても、どっちでもいいってこと」
「いいの?」
「だって、興味ないだろう?」
「うん……」
「興味ないのに、無理やり使わせないよ」
「──…………」
「そもそもこれは、緊急時のために買ったもので──」
ぎゅ。
俺の右手に、手のひらが重ねられた。
右手の下には、マウスがある。
「ちょ、ちょっとだけ、つかってみる……」
「? いいけど」
気が変わったらしい。
「じゃ、パソコンつけてから、Yahoo!ゲームまで行く方法を教えましょう」
「はい」
座椅子を譲ろうと腰を上げかけたとき、
「うしょ」
と、うにゅほが膝に乗ってきた。
「うへー……」
「画面見にくいから、ちょっとだけ左にずれてくれるか」
「はーい」
そんなこんなで、すこしだけ、パソコンの使い方を教えることになった。
キーボード打てるようになるかなあ。
先に心が折れる気がする。 







866 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:32:56 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月28日(日)

「はー……」
うにゅほが感嘆の息を漏らす。
「あたらしいぱそこん、おおきいねえ」
「そうだな」
「まえのぱそこんより、おおきい?」
「すこしだけな」
「はこ、もっとおおきい!」
「××、入れるんじゃないか?」
「はいれるかな」
「ほら、体育座りしたら──」
すっぽり。
「おお、入った」
「ふたとじてー」
「はいはい」
ダンボール箱のフタを閉じる。
「くふ、ふふふ……」
箱が笑っている。
怖い。
「よし、クロネコヤマトを呼ぼう」
「やめてー!」
「──…………」
ふ、と既視感。
「……前にパソコン買い換えたときも、同じことやらなかったっけ」
ダンボール箱から顔だけ覗かせたうにゅほが、小首をかしげる。
「そだっけ」
やった。※1
「まえ、まえ──」
歌うように呟いていたうにゅほの表情が、
「……あっ」
不意に、曇った。
「◯◯、データいこう、するの?」
「しないと使えないからな」
「……まえみたいに、てつや、するの?」
「──…………」
遠慮がちにこちらを見上げるうにゅほの頭に手を乗せる。
「しない」
「……ほんと?」
「しないと言うか、できない。作業が立て込み過ぎてて、丸一日なんて、とても割けない」
「──…………」
「だから、最低限の体裁を整えたら、あとは一週間くらいかけてゆっくり移行していくつもりだよ」
「……それ、だいじょぶなの?」
「徹夜よりはいいだろ」
「そだけど……」
「疲れたら休むし、無理はしないよ」
「ほんと?」
「俺は、嘘はつかない」
「たまにつく」
「たまにしかつかない」
「いま、たまにじゃない?」
「たまにじゃない」
「わかった」
「心配してくれて、ありがとうな」
「うん」
うにゅほのために、無理はしない。
泣き顔なんて見たくない。
俺にとって、ずっと笑顔でいてほしい子なのだから。

※1 2013年4月27日(土)参照 
 






867 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:34:17 ID:Hcg/6iv.0

2016年2月29日(月)

PCを二台、同時起動して、環境の移行を行っている。
「こういうとき、トリプルディスプレイにしといてよかったって思うな」
「したふたつ、あたらしいぱそこん?」
「そうだよ」
「うえが、ふるいぱそこん」
「そうそう」
うにゅほが小首をかしげる。
「なにちがうの?」
「うーん……」
壁紙まで同じにしてしまったので、当然と言えば当然の疑問である。
「できることは基本的に同じなんだ」
「そうなんだ」
「iPhoneを買い換えたとき、動作が軽くなったろ」
「うん」
「つまり、そういうこと」
「なるほど……」
うんうんと頷く。
「それに、古いほうのパソコンは、動作が不安定になってたからな……」
「なおせなかったの?」
「直せたよ」
「なおせたの!」
「悪いところはわかってたから、そこを取り換えれば済む」
「え、なんで……」
「その悪いところっていうのが、HDDっていう、データの入ってるところでさ」
「うん」
「新しくしたら、どうなると思う?」
「……うと、データなくなる?」
「実際には、外付けHDDにデータをバックアップするんだけど、こうして二台並べて作業できないから、けっこう手間なんだ」
「ふうん……」
「あと、壊れるときって、他のパーツも連動して故障することが多くてさ」
「うん」
「そう考えると、新しく買ったほうがいいかなって」
「そだねえ……」
納得していただけたようだ。
「あと、完全に壊れたら、売値が安くなるってのもある」
「ふるいぱそこん、うるの?」
「ああ」
「うれるの?」
「四、五万にはなると思う」
たぶん。
「やた!」
「貯金の足しにしましょう」
「はーい」
俺専用の会計士は、とても頼りになるのだ。 
 






868 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/02(水) 17:36:11 ID:Hcg/6iv.0

以上、四年三ヶ月め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください 
 





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