2016年03月17日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2014/03/07(金) 20:24:10 ID:t2nls1YA0

ニュー速VIPの転載禁止に伴い、こちらに専用スレを立てました

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



870 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:01:54 ID:mhzdpEMI0

2016年3月1日(火)

「──くぁ、うー……」
止まらない生あくびに、思わず目元をこする。
ちゃんと寝たのに、なんか眠い。
「よこになったほう、いいよ?」
「七時間は寝たのになあ……」
「ねむいときは、ねたほうが、いいの」
「そうかな」
「だって、◯◯、ぐあいわるいんだもん」
「──…………」
自分の額に手を当てる。
「……俺、具合悪いの?」
「うん」
うにゅほが深々と頷く。
「ぐあいわるいときのかお、してる」
「そうかー……」
ぜんぜん気づかなかった。
こと俺の体調に関しては、俺自身よりうにゅほのほうが詳しい。
「さむくない?」
「寒い」
「くつしたはいて」
「はい」
「はんてんきて」
「はい」
「ぎゅってして」
「はい」
「あったまったら、ふとんね」
「はい」
ぎゅー。
うにゅほを抱き締めていると、心も体もぽかぽかしてくる。
「風邪かなあ」
「わかんない」
「そっか」
「◯◯、かぜじゃなくても、ぐあいわるいときあるから」
「……心配かけて、ごめんな」
「◯◯のたいちょうかんり、わたしのしごと」
「仕事なんだ」
「うん」
「××は、仕事多くて大変だなあ」
「すきだから、だいじょぶ」
「……そっか」
仕事が好きなのか、俺のことが好きなのか、聞く度胸はないのだった。 








871 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:03:12 ID:mhzdpEMI0

2016年3月2日(水)

風呂上がり、化粧水をつけるために眼鏡を外した。
タイミングよく携帯が鳴ったので、出た。
友人だった。
ちょっとした確認の電話だったため、五分ほどで切った。
改めて化粧水をつけ、眼鏡を掛けようとした。
「──…………」
眼鏡が見当たらなかった。
「××」
「?」
「俺の眼鏡、知らない?」
「しらない……」
だろうなあ。
「めがね、なくしたの?」
「なくしたというか、どこに行ったのかわからない……」
「それ、なくしたっていう」
ごもっともである。
「化粧水をつけようとして外したのは覚えてるんだ」
「けしょうすいのちかく?」
「悪いけど、一緒に探してくれないか」
「いいよ」
「ほんと何も見えなくて……」
ショボショボと目を細めるが、視力に大差はない。
右が0.02、左が0.03。
眼鏡なんて半分は透明なもの、鼻先まで近づかなければ目視できない。
「うと、このへん?」
「たぶん」
「ないなあ……」
「ないか」
「ほんだなのうえは?」
「本棚の上……」
本棚の上と言えば、小さめのぬいぐるみがひしめいているエリアである。
「……んー?」
カピバラさん、ニワトリ、うさぎ、まるねこ、眼鏡、きつね──
「あ、あったあった!」
「あった?」
「なんでこんなところに置いたんだろう……」
「さあー」
無意識というのは恐ろしいものだ。
「気をつけないと。眼鏡なくしたら、なにもできなくなる」
「なくしてもいいよ」
「?」
「おせわするから」
「ええと、ありがとう……」
嬉しいような、複雑のような。 







872 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:04:23 ID:mhzdpEMI0

2016年3月3日(木)

「◯◯、ひなあられたべる?」
「食べる食べる」
「ぎゅうにゅう、のむ?」
「飲む飲む」
「ひなまつりのケーキあるから、たのしみにしててね」
「わーい」
ふと思った。
これでいいのか、俺。
「──こほん」
咳払いをひとつ。
「なんかごめんな、ひなまつりなのに」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「いや、××の日なのに、俺ばっかはしゃいでるみたいで……」
しかも、甘味につられて。
考えれば考えるほど、情けないことこの上ない。
「あやまることないのに」
「でもなあ」
「わたし、◯◯が、あまいのたべてるの、すき」
「……なんで?」
「◯◯、あまいのすきだから」
「好きだけど……」
なんだろう、餌付けしている感覚なのだろうか。
「××がいいなら、まあ、いいんだけどさ」
ボリボリとひなあられを噛み砕く。
甘くて美味しい。
「ばんごはん、ちらしずしだって」
「ちらし寿司かー」
「すき?」
「好き」
「たのしみにしててね」
「はーい」
もう、なんでもいいや。
素直に餌付けされとこう。 
 






873 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:06:00 ID:mhzdpEMI0

2016年3月4日(金)

「わあー!」
薄く積もった雪の上で、うにゅほがくるりと回ってみせた。
「ゆきかきだ!」
「最後になるかもしれないなあ」
「うん……」
寂しげな表情を浮かべるうにゅほの頭に手を乗せる。
「大丈夫。冬が来れば、どうせまた降る」
忌々しいことに。
「……うん!」
うにゅほに笑顔が戻る。
出会ったころに比べ、随分と表情が多彩になった。
俺がうにゅほをそうしたのだと、自惚れていいのだろうか。
「──…………」
なんだっていいや。
俺は、いまのうにゅほのほうが、好きだ。
そんなことを考えながらスノーダンプで雪を運んでいたとき、

ぐき。

「のはッ!」
左足を思い切り挫いてしまった。
「──◯◯!」
「ぐねって言った、ぐねって」
「だ、だいじょぶ?」
駆け寄ってきたうにゅほが俺の傍に膝を突き、足首にそっと触れる。
「……いたい?」
「痛い」
「くつぬいで」
「はい」
「くつしためくります」
「はい」
「はれてないけど、はれるかも……」
「腫れるのは嫌だなあ」
「ゆきかき、わたしするから、◯◯はやすんでて」
「はい……」
無理に続けても、迷惑と心配を掛けるだけだ。
最近、俺、いいとこないなあ。
雪かきが終わるのを待ち、うにゅほに肩を借りて自室へ戻った。
幸いなことに痛みはすぐ引いたが、絶対安静を言いつけられてしまった。
腫れたら明日は病院らしい。
腫れないことを祈るばかりである。 







874 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:06:57 ID:mhzdpEMI0

2016年3月5日(土)

「あし、だいじょうぶ?」
「大丈夫みたい」
「みして」
「はい」
靴下を脱ぎ捨て、左足を差し出す。
痛くないし、腫れてもいない。
大したことはなかったらしい。
「よかったー……」
「ごめんな、心配かけちゃって」
「ううん」
うにゅほが首を横に振る。
「しっぷ、はりかえるね」
「もういいんじゃないか?」
「いちおう」
モーラステープを貼り替えてもらいながら、考える。
最近、してもらうことばかりだ。
うにゅほにしてあげられることって、なにかないだろうか。
「──と、思ったんだけど」
「なにか?」
「なにか」
「うと……」
うにゅほが小首をかしげる。
「けが、しないとか」
「すいません……」
「かぜ、ひかないとか」
「〈しない〉ではなく、〈する〉でお願いできませんか」
「する……」
反対側に首をかしげる。
「やさしくする……」
「優しくしてませんか」
「やさしい」
うへーと笑う。
可愛い。
「おもいつかない……」
「まあ、うん、いまじゃなくてもいいよ」
「いいの?」
「適当に、思いついたときで」
「わかった」
なんか、忘れ去られそうだなあ。
「◯◯、ひざ、のっていい?」
「いいよ」
「あ、いまのって、なにかにはいる?」
「あー……」
しばし思案する。
「……どっちでもいいや」
俺たちは、互いに、依存しあって生きている。
相手のために〈なにか〉をするなんて、日常茶飯事ではないか。
「なんというか、ええと……これからもよろしくな」
「? うん」
うにゅほが不思議そうに頷く。
きっと、それでいいのだ。 







875 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:08:20 ID:mhzdpEMI0

2016年3月6日(日)

体調が芳しくなく、横になっていることが多かった。
しかし、
「……なんか、いつもと違う」
「おきてだいじょぶ?」
「上手く表現できないけど、苦しさの種類が違う、というか……」
右手で首筋を撫で、左肩を揉む。
「──!」
硬い。
硬すぎる。
もう、ガッチガチである。
「そうか、肩凝ってたんだ……」
「かたこり?」
うにゅほが俺の肩に触れる。
「かた!」
「たまーにあるんだよな、気づくと死ぬほど肩凝ってるのって」
「いつも、もっとやわらかい」
もみもみ。
「かたい……」
もみもみ。
「しっぷ、はる?」
「貼る……」
「わかった」
うにゅほにサロンパスを貼ってもらったものの、すぐに効果が表れるわけではない。
「いたいー……」
膝枕をしてもらいながら、痛みが取れるのを待つ。
「痛いだけなら我慢できるけど、だるくて苦しいのはつらい……」
「よしよし」
なでなで。
「ねてもいいよ?」
「寝れない……」
「おはなしする?」
「お話しよう……」
「なんのおはなし、する?」
「あー、そうだな。9日にパソコン売りに行こうと思うんだけど──」
そうしてしばらく雑談していたのだが、一向に痛みが治まらないので、ロキソニンを飲むことにした。
「ろきそにん?」
「痛み止め」
「いたみどめ……」
「あんまり好きじゃないんだけど、こうまで痛いとな……」
「そうなんだ」
ロキソニンを服用して三十分ほどすると、だんだん痛みが和らいできた。
なるほど、常飲する人が多いのもわかる。
「なおった?」
「治ってはいないと思うけど、まあ、うん」
「よかったー」
よかったのだろうか。
よくわからないが、痛みに苦しんでいるよりはずっとましだろうと思った。 







876 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:11:21 ID:mhzdpEMI0

2016年3月7日(月)

「かた、だいじょうぶ?」
「昨日よりは……」
すくなくとも、痛み止めを飲むほどではない。
「さわっていい?」
「いいよ」
うにゅほが俺の肩を揉む。
「かたいねえ……」
「硬いか」
「こりこりしてる」
「肩凝りだからな」
「こりこりしてるから、かたこりなの?」
「たぶん違う」
「そか」
適当な会話を交わしながら、思案する。
「どうして急に凝ったんだろう」
「しせい?」
「姿勢が悪いのは否定しないけど、それならいつも凝ってないとおかしいだろ」
「いつもはこってないもんね」
「なんか、変なことしたかなあ……」
「へんなこと?」
「たとえば──」
「たとえば」
「……思いつかないけど」
「おもいつかないの」
「あとは、寝違えたとか」
「ねちがえたら、かたこるの?」
「あり得ない話ではない」
「ふうん……」
「××も、変なカッコで寝ないようにな」
「へんなかっこでねてたら、おこしてね」
「ああ」
「でも、へんなかっこって、どんなかっこ?」
「マットレスから半分落ちてたりとか……」
「おきるとおもう」
「いや、××って、熟睡したら全然起きないぞ」
「そなの?」
「よく、ほっぺたとかふにふにしてるけど」
「してるの……」
「嫌だった?」
「いいよ」
許された。
「◯◯がへんなかっこしてねてたら、おこしてあげるからね」
「ああ、ありがとう」
寝違える確率が減ればいいのだが。 







877 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:14:37 ID:mhzdpEMI0

2016年3月8日(火)

「──あふ……、ぁ」
大きなあくびをひとつして、上体を起こす。
午後一時。
午前中に一度起きていたとは言え、あんまりな起床時刻だ。
「おはよー」
「おはよう」
「ぐあい、わるい?」
「具合は悪くないけど、眠い……」
揉むように目元をこする。
「まだねむい?」
「眠い」
「ねむいときは、ねたほういいよ」
「そうかな……」
「◯◯、たぶん、ぐあいわるい」
「悪そうに見える?」
「みえる」
うにゅほが深々と頷く。
「からだがね、ねたいって、おもってるんだとおもう」
「──…………」
そうかもしれない。
「……じゃあ、もうすこしだけ寝る」
「うん」
布団を肩まで引き上げると、うにゅほが俺の左手を取った。
「てーにぎってる」
「いいのに」
「まえ、わたしかぜひいたとき、てーにぎっててくれた」
「……そうだっけ」
「うん」
「じゃあ、頼む……」
「うん」
目蓋を閉じると、すぐに眠気がやってきた。
「……おやすみ」
「おやすみ」
次に目を覚ましたのは、午後四時のことだった。
寝ても、寝ても、眠い。
そういえば、春はいつもそうだった気がする。
春眠暁を覚えず。
暁どころが黄昏まで眠ってしまったが、そんなこともあるだろう。 







878 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:15:58 ID:mhzdpEMI0

2016年3月9日(水)

古いPCを売却するため、DEPOツクモ札幌駅前店へと赴いた。
「……××」
「?」
展示用のキーボードを人差し指で叩いていたうにゅほに告げる。
「査定に四時間かかるって」
「よ!」
「いったん帰る?」
「かえる……」
「それとも、どっかで時間潰す?」
「どっか?」
「ドライブとか」
「!」
うにゅほが元気よく右手を挙げる。
「ドライブしたい!」
「よし、わかった」
目的地のないドライブなんて、最近していなかったからな。
駐車場へ戻り、ミラジーノに乗り込む。
「雪解けたから、走りやすくていいな」
「うん」
「雪かき、もうできないな」
「ふゆきたら、またできる」
そう言って、うへーと笑う。
去り行く季節を惜しみながら、新しい季節に楽しみを見出す。
日本人は、かくあるべきだ。
コンビニで中華まんを食べ比べし、
喫茶店で軽食を取り、
本屋で新刊を購入し、
ゲームセンターで三毛猫のぬいぐるみを落とし、
札幌市を一巡りして戻ってくると、時刻は既に午後五時を回っていた。
古いPCは、五万円で売れた。
「だいたい予想通りだったな」
「でも、たくさんおかねつかっちゃったね」
「特にぬいぐるみな」
「にせんえん……」
「五百円あれば取れると思ったんだけどなあ」
プライズゲームは難しい。
「今日、楽しかったな」
「たのしかった!」
この笑顔が見れるのなら、少々の出費など痛くない。
問題は、出費に心を痛めるのが俺でなくうにゅほであるという点だが、PCもそれなりの値段で売れたし、今日はまあよしとしよう。 







879 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:17:35 ID:mhzdpEMI0

2016年3月10日(木)

うつ伏せで読書をしていると、うにゅほが背中に乗ってきた。
「なによんでるの?」
「CoCのルールブック」
「いっしょによんでいい?」
「いいけど、面白くないと思うぞ」
「うん」
首を左に傾けると、うにゅほが顔を突き出してきた。
ぺた。
ほっぺた同士が触れる。
「ほのほん、でっかいねえ」
「お」
うにゅほが喋ると、ほっぺたが振動して面白い。
「あー、いー、うー、えー、おー」
「……?」
「ほっぺた、ぶるぶるしない?」
「ぶるぶる?」
「あー、いー、うー」
「あ、ぶるぶるする!」
「うー、くー、すー、つー、ぬー」
「あはは、ぶるぶるー」
ウ行が主にぶるぶるするらしい。
「わたしもやる!」
「おう」
「うー、うー、うー」
「お、震える震える」
「うへへ」
誰かとほっぺたをくっつけ合ったまま喋る機会なんてそうはないので、楽しい。
「あぶどる、あるはざーどというなまえは、あきらかに、てお、ら、どす──」
「テオドラス・フィレタス」
「の、かきちがい、あるいは……これ、なんのほん?」
「CoCのルールブック」
「しーおーしーってなに?」
「……まあ、ゲームの説明書みたいなものだよ」
「ふうん」
内容それ自体に興味はなさそうだったが、ほっぺたがぶるぶるするのが楽しくて、しばらくふたりで朗読を続けていた。 







880 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:19:47 ID:mhzdpEMI0

2016年3月11日(金)

「……?」
珍しくノートパソコンをいじっていたうにゅほが、小首をかしげて言った。
「ぬ、かけない」
「ぬ?」
「ぬ、おしても、いちってでる」
「どれ」
「はい」
覗き込むと、うにゅほが指を掛けていたのは、半角/全角キーの隣だった。
「これはたしかに〈ぬ〉のキーなんだけど、普通はローマ字入力なんだよ」
「ろーまじ」
「ローマ字、わかるか?」
「わかるよ」
「ローマ字で〈ぬ〉は?」
「うと、えぬ、ゆー」
「正解」
「うへー……」
うにゅほの頭を撫でてやりながら、説明を続ける。
「つまり、〈ぬ〉って入力したいときは、NとUを続けて打つ必要がある」
「えぬ、えぬ……」
「スペースキーの上」
「すぺーすきー」
「なにも書いてない横長のキー」
「あ、あった」
「Uは、そのふたつ上かな」
ぽち。
Yahoo!の検索ボックスに、〈ぬ〉という文字が表示される。
「ぬ!」
「よくできました」
「ぱそこんでじーかくの、たいへんだねえ……」
「慣れるまでの辛抱だな」
「なれたら、◯◯みたいに、たたたたーってできる?」
「できるできる」
「そか」
お、なんかやる気だ。
やる気があるのはよいことだ。
「ところで、なんて検索しようと思ってたんだ?」
「ぬりかべ」
「……ぬりかべ?」
「うん」
「ぬりかべ、好きだったっけ」
「ふつう」
なんでもいいから検索してみたかっただけらしい。 







881 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:20:52 ID:mhzdpEMI0

2016年3月12日(土)

「……すう」
「──…………」
親亀子亀状態で、うにゅほが昼寝に突入してしまった。
吐息が耳元をくすぐる。
背中が熱い。
睡眠中に体温が上がるというのは、どうやら本当のことらしい。
「……トイレ行きたい」
小声で呟いてみたが、起きない。
素直に起こせばいいのだが、安眠を妨害したくない。
仔猫が膝の上でうとうとしている時のことを想像していただきたい。
たぶん、同じ心境だ。
「……××さん?」
「──……すう……ふう……」
寝ている。
すこぶる安眠である。
這ったままトイレに行けないかなあ。
ああ、駄目だ。
仮に行けたとしても、小用を済ますためには立ち上がらなければならない。
では、おんぶに移行するのはどうだろう。
いかんいかん。
寝ている女の子をトイレに連れ込むことになってしまう。
「うう……」
いずれ我慢の限界が訪れて、うにゅほを起こすことになるのは目に見えている。
だったらいま起こしたって大差ないのだが、それでも躊躇してしまう親心的なサムシング。
そんなことを考えながらもじもじしていると、
「──……う」
うにゅほが目を覚ました。
くしくしと目元をこすりながら、問う。
「ねへた……?」
「寝てたな」
「おきた……」
「起きたな」
「──…………」
「──……」
「……んにぅ」
「──…………」
「──……」
「……××さん?」
「──……すう……ふう……」
また寝た!
「ぐ、う……」
その後、またしばらく我慢を続けた俺なのだった。 







882 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:22:55 ID:mhzdpEMI0

2016年3月13日(日)

「◯◯、ふとった?」
「ぐ!」
いきなり正鵠を射抜かれた。
「太りました……」
「やっぱり」
「見てわかりますか」
「うん」
「……どこでわかった?」
「からだとか、おなかとかは、かわんない」
「筋トレしてるからなあ」
「ほっぺた、ちょっと、まるくなった」
「ほっぺたかあ……」
もにもにと自分の頬をこねる。
たしかに、以前よりもふくよかになった──ような?
「でも、(弟)よりマシだろ」
「うん」
俺は面長だが、弟は丸顔である。
「……ここしばらく、食べ過ぎていた気がする」
「うん……」
「ダイエットします」
「むり、だめだよ?」
「無理しません」
「よろしい」
「……ほんとはちょっと無理します」
「だめだよ」
「ちょっとだけ」
「だめ」
「朝はもともと食べてないし、昼抜いて、夜だけ食べます」
「いちにちいっしょく?」
「それくらいしないと」
「おやつたべなかったら、やせるとおもう」
「××なら、それでも痩せるかもしれないけどさ……」
基礎代謝が徐々に落ち始めている。
いい加減、若くないからなあ。
「ともあれ、無理のない程度に頑張ります」
「ほっぺたまるいの、かわいいのに」
「頑張ります!」
可愛いとまで言われては、黙っていられない。
俺は、うにゅほに、カッコいいと言ってほしいのである。
「──…………」
窓の外を見る。
雪解けが近い。
そろそろ、活動的になってもいい時期だろう。 







883 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:24:01 ID:mhzdpEMI0

2016年3月14日(月)

ホワイトデーである。
「××、これ」
「?」
「市販品で悪いけど、ホワイトデーだからさ。ちょっと高いマカロン」
「!」
さては、忘れてたな。
「◯◯、ありがと!」
「いろいろ考えてはみたんだけど、いいアイディアが思い浮かばなくて……」
「こらなくていいのに」
「だから、俺も、隠すことにした」
「かくす?」
「バレンタインのとき、××、チョコ隠しただろ」
「うん」
「それ、開けてみな」
「うん?」
うにゅほがマカロンの箱を開ける。
「あ、からっぽ!」
「高級マカロンは家のどこかに隠した! 食べたくば、見つけ出すがよい!」
「たからさがしだ!」
「そう、宝探し」
「おおおおお……」
うにゅほのボルテージが上がっていく。
「フタの裏側に手掛かりが記されているぞよ」
「ふた、ふた……」
うにゅほがフタを裏返す。
「はじまりのばしょから、いちを、ぎゃくにたどるべし」
〈いち〉とは、英数字の〈1〉である。
「……はじまりのばしょ?」
「ヒントはいつでも受け付けているぞよ」
「ひんと!」
早いな。
「始まりの場所とは、玄関です」
「げんかん……」
階段を下り、玄関へと移動する。
「うーと」
ばたん、がさごそ。
「さすがに食べ物を靴箱には入れんぞよ」
「ちがうかー」
「手掛かりについて、よーく考えてみること」
「いちを、ぎゃくにたどる?」
「形が重要」
「──…………」
しばし熟考したのち、
「あッ!」
うにゅほが、胸の前で両手を打ち鳴らした。
「おふろだ!」
「どうして?」
「したからまっすぐいって、ちょっとひだり!」
〈1〉を逆から。
つまり、玄関からまっすぐ突き当りまで進み、左に進む。
そこには浴室がある。
「あったー!」
「おめでとう、謎はすべて解けたぞよ」
「◯◯、まかろん、いっしょにたべよう!」
「いや、ダイエット──」
「たべよう!」
「あ、はい、食べましょう」
謎が解けたのがよほど嬉しかったのか、うにゅほはずっと上機嫌だった。
またやろうかなあ。 







884 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:26:23 ID:mhzdpEMI0

2016年3月15日(火)

病院の待合室でポメラとにらめっこしていると、探検に出ていたうにゅほが戻ってきた。
「ただいまー」
「おかえり」
「くろあめなめる?」
「……ああ、うん」
いまさら何も言うまい。
俺の肩に顎を乗せ、うにゅほが尋ねた。
「なにかいてるの?」
「次の企画」
「きかく」
うにゅほが画面を覗き込む。
「よんでいい?」
「いいけど、つまらないと思うぞ。覚え書きだし」
「うん」
テーブルの上のポメラを反対側へ向けると、うにゅほがそちらに腰掛けた。
「──…………」
「──……」
すっかり冷めたココアを啜る。
「面白くないだろ」
「んー……」
なんら繋がりのないアイディアの切れ端を綴っただけのものだ。
人に読ませる段階ではない。
「……うーん」
「せっかくだから、タイピングの練習でもしてみたら?」
「たいぴんぐ?」
「キーボードを使って文字を入力すること」
「ぽめらとぱそこん、おなじなの?」
「配列は同じだよ」
「へえー」
うんうんと頷く。
「じゃ、ぬりかべって打ってみて」
「ぬりかべ、もううてるよ」
うにゅほが自信満々に両手の人差し指を立てる。
「えぬ、えぬ、えぬ……ゆー……、える、える、あい──あれ?」
「どうかした?」
「りーじゃなくて、ちっちゃいいーになった」
「LIじゃなくて、RIって打ってみな」
「ちっちゃいいー、どうやってけすの?」
「右上のBackSpaceって──」
そんな会話をしていると、あっという間に名前を呼ばれてしまった。
ポメラの画面には、〈ぬぃr〉という謎の文字列が残されている。
理由はないけど消さないでおこう。 







885 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/03/17(木) 12:30:02 ID:mhzdpEMI0

以上、四年四ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください 
 




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