2018年02月17日

1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



620 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:22:53 ID:6RtljQLM0

2018年2月1日(木)

風呂上がり、寒い廊下を抜けて自室へと舞い戻る。
「××、風呂空いたよ」
「はーい」
読んでいた漫画に愛用のブックマーカーを挟み、うにゅほが顔を上げる。
そして、
「あ──」
俺の顔を指差した。
「◯◯、ちーでてる……」
「血?」
両頬に触れる。
「ちがくて」
ティッシュを一枚抜き取ったうにゅほが、俺の唇に手を触れた。
「いて」
「ごめんね」
唇を拭ったティッシュには、そこそこの量の血液が付着していた。
「◯◯、ひげそるの、へたっぴい」
「ほんとな……」
視力がすこぶる悪いため、鏡を見ながらヒゲを剃ることができない。
剃るたびに流血するわ、剃り残しも多いわとなれば、"へたっぴい"のそしりを受けるのも仕方のないことであろう。
「オロナインぬるね」
「はい」
ぬりぬり。
うにゅほの細い指先が、俺の唇を撫でていく。
いささか官能的である。
「はい」
「ありがとな」
「きーつけてね」
「気をつけたいんだけどな……」
気をつけてどうにかなる問題なら、既に解決しているはずだ。
何かしらのブレイクスルーが必要だった。
「フェイスシェーバー、どこやったかな」
「かおそるやつ?」
「産毛しか剃れないけど、ないよりいいかなって」
「そだねえ」
革命的なヒゲ剃りの開発が待たれる。








621 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:24:06 ID:6RtljQLM0

2018年2月2日(金)

フェイスシェーバーを求めて引き出しを整理したところ、花札が見つかった。
「問題です」
「はい」
「二月はなーんだ」
「うめ!」
「正解」
「ぜんぶいえるよ」
「十一月は?」
「……やなぎ?」
「十二月」
「きり」
「──…………」
「──……」
「正解!」
「やた!」
「いえー」
「いえー」
ハイタッチを交わす。
「にがつはね、あのよろしもあるよ」
「赤短か」
「あかたん」
花札には短冊の描かれているものがある。
中でも、一月、二月、三月の短冊には字が書かれており、これを赤短と呼んで区別する。
「ほい」
見るからに「あのよろし」と記された二月の赤短をうにゅほに手渡す。
「これ、実は、"あかよろし"って読むんだってさ」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「あのよろしってかいてる……」
「よーく見てみな」
「うん」
「"の"の上に、ちょんって点があるだろ」
「ある」
「昔はこれで、"か"って読ませたんだって」
「──…………」
あ、納得行ってない顔してる。
「ほら、"る"みたいに書いて"ゑ"って読ませる字があるだろ。あれみたいなもん」
「あー……」
うにゅほが、うんうんと頷く。
厳密には違うけれど、雑談ついでの解説には十分だろう。
「じゃあ、みよしのは?」
「"みよしの"は、そのまま"みよしの"」
「へえー」
「"みよしの"はたしか、桜の名所の──」
聞き上手なうにゅほに甘え、使いどころのない雑学をここぞとばかりに披露する俺なのだった。







622 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:25:07 ID:6RtljQLM0

2018年2月3日(土)

今日は節分である。
豆まきを粛々と済ませ、南南東を向いて恵方巻きにかぶりつく。
「──…………」
「──……」
あぐあぐ。
「──…………」
「──……」
むぐむぐ。
「ふー」
美味かった。
だが、
「──……!」
はぐ、はぐ。
口の小さいうにゅほは、まだまだ食べ切れそうにない。
うにゅほの身をかばうように周囲を警戒していると、
「──××、なんでそんなとこで太巻き食ってんだ。行儀悪いぞ」
「!」
風呂上がりらしき父親に見つかってしまった。
いつもは階段なんか覗かないくせに!
「××、もう少しだ!」
「……!」
うんうんと頷きながら、うにゅほが恵方巻きを食べ進めていく。
「変なやつら」
父親が、首をひねりながらリビングへ戻っていった。
しばしして、
「あー、節分か!」
バレた!
だが、時間は十分に稼いだ。
「──ぷあ!」
恵方巻きをすべて平らげたうにゅほが、笑顔でピースサインを出す。
「よし、今年も無言で食べきったな」
「うん!」
「父さんの妨害がなければ、こんなもんよ」
「妨害?」
父親が、不思議そうに声を上げる。
「ンな幼稚なこと、俺がやるわけねえだろ」
「いや、毎年……」
「じゃましてくる……」
「そうだっけ?」
本気で言っているのか、冗談なのか、いまいちよくわからない。
何はともあれ、験は担げた。
縁起の良い年になりますように。
 






623 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:26:42 ID:6RtljQLM0

2018年2月4日(日)

壁掛けカレンダーに目をやり、ふと気づく。
「あ、もう二月じゃん」
「にがつだよ」
「カレンダーめくり忘れてた」
「ほんとだ」
てててと歩み寄り、うにゅほがカレンダーに手を掛けた。
「気をつけてな」
「うん」
ホルダーを左手で押さえながら、一月のカレンダーを慎重に切り離していく。
だが、
「──あっ」
何かの弾みで画鋲が落ちてしまった。
「ごめん、ひろってー」
「ほいほい」
うにゅほの足元に膝を突き、画鋲を探す。
だが、見当たらない。
カレンダーの真下は、電源コードのたぐいがごちゃごちゃしているゾーンだ。
コードの陰に隠れてしまったのかもしれない。
「踏んだら危ないから、見つかるまで動かないように」
「はい」
電源コードをまとめながら、画鋲を探す。
落ちても針が上を向かないプラスチック製の画鋲だが、踏めば危ないことに変わりはない。
「……ないなあ」
「ない?」
「どっか転がってったのかな」
「かも……」
困った。
これでは、安心して部屋のなかを歩くことができない。
「──…………」
カレンダーを抱えて困り顔のうにゅほを見て、ある可能性が脳裏をよぎった。
「××」
「?」
ずぼ。
「わ」
うにゅほが着ているパーカーのポケットに手を突っ込む。
ごそごそ。
「うひ、いひひ」
指先に、硬い感触。
針に気をつけながら、それをつまみ上げる。
「──あった!」
「えっ、あ、ほんとだ!」
「ポケットが大きいから、入っちゃったんだな」
「あぶない……」
ぞっとしたのか、うにゅほが眉をひそめる。
「◯◯、ありがとね」
「いえいえ」
怪我をせずに済んだのは僥倖である。
針や刃物を扱うときは、細心の注意を払わねば。







624 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:28:15 ID:6RtljQLM0

2018年2月5日(月)

いつものように自室でくつろいでいると、うにゅほが廊下からひょいと顔を出した。
「◯◯、といれっとぺーぱーとって。なくなりそう」
「あいよー」
重い腰を上げ、トイレへと向かう。
「──ほいっ、と」
トイレの上棚から8ロール入りの袋を抜き取り、うにゅほに手渡す。
「ありがと」
「ハサミある?」
「あるよ」
取り出したる小型のハサミでトイレットペーパーの袋を切り開きながら、うにゅほが呟くように言った。
「せーおおきいと、いいねえ」
「言うほど大きくもないんだけどな」
「おおきいよ」
「家ではいちばんだけど、成人男子の平均身長から見れば大したことない」
「へいきん、なんセンチ?」
「171cmだったかな」
「◯◯、ひゃくななじゅうごーてんご? ろく?」
「そのくらい」
「おおきい……」
「大きいったって、これくらいだぞ」
親指と人差し指を適当に広げてみせる。
「……うーん?」
うにゅほが首をかしげる。
「でも、◯◯、おおきいきーする……」
「××が俺の近くにいるからじゃないか?」
「?」
「近くのものは、大きく見える。いつも隣にいるから見上げる必要があるだけだよ」
「あー」
うにゅほがうんうんと頷く。
「でも、やっぱし、おおきいきーするな」
「……××が小さいのでは?」
「!」
うにゅほの手が止まる。
「わたし、ちいさい?」
「平均よりは」
「そか……」
「……もしかして、気づいてなかった?」
「うすうすは……」
そうなんだ。
「まあ、ほら、俺は、××くらいの身長が可愛いと思うぞ」
「ほんと?」
「本当」
「……うへー」
うにゅほが、はにかむように笑う。
トイレでなんの話をしてるんだと思いつつ、その笑顔に安堵を覚える俺だった。







625 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:29:44 ID:6RtljQLM0

2018年2月6日(火)

左耳に掛けたイヤホンを外すとき、ふと引っ掛かる感触がした。
確認してみると、イヤハンガーから耳を保護するためのラバーサポートが千切れていた。
「あー……」
「どしたの?」
「これ」
うにゅほにイヤホンを見せる。
「きれちゃった?」
「切れちゃった」
「そか……」
「でも、これは好都合かもしれないぞ」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「ほら、このイヤホン調子悪かったじゃん」※1
「なおってないの?」
「直ってない。いまだに、たまーにノイズが混じる」
「そなんだ……」
「ちゃんと壊れてからと思ってたけど、交換ついでに見てもらおう」
「うん」
「高かったから、大事に使わないとな……」
「たかかったの?」
「高かったぞ」
「おいくら?」
あ、やべ。
「……××」
「?」
「値段なんていいじゃないか。ここにイヤホンがある。それだけが変わらぬ現実なのだから」
「ごまかしてる……」
「誤魔化してない」
「かたばん、けんさくしていい?」
妙な知恵を!
「言います、言います」
「はい」
「……ヨドバシポイント一括で払ったから、現金はびた一文出してない。そこは理解してほしい」
「わかった」
深呼吸し、口を開く。
「……17,000円」
「たか!」
「ポイントだぞ、ポイント!」
「はー……」
「……怒った?」
きょとんとした顔で、うにゅほが問い返す。
「なんで?」
「なんとなく……」
「たいせつにつかわないとねえ」
「そうだな」
三年保証だから、そのあいだは別の耳掛けイヤホンを購入せずに済む。
安物を買って壊して次々と消費していくほうが、結局は高くつくのだと信じたい。
音質も付け心地もいいしね。

※1 2017年10月10日(火)参照







626 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:30:37 ID:6RtljQLM0

2018年2月7日(水)

「よいせッ、と」
立ち上がるのが面倒だったので、チェアに腰掛けたまま冷蔵庫の扉へと手を伸ばした。
その瞬間、

──ビリッ!

作務衣の腋のあたりから、嫌な音が響いた。
「なんか、へんなおとした」
「しましたね……」
「なんのおと?」
「──…………」
右腕を上げ、該当箇所を覗き込む。
「……作務衣が破れる音」
「!」
「とうとう限界かあ」
「なおせる?」
「繕おうと思えば繕えるけど、根本的な解決にはならないかな」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「この作務衣、もう十年選手だからな。あちこちボロボロなんだよ」
襟首は擦り切れて小さな穴が開いているし、裾に入ったゴムも伸び切って既に用をなしていない。
部屋着としても、いささかみすぼらしいと思っていたところだ。
「……さむえ、すてちゃうの?」
「いい機会だと思う」
「わたし、なおす」
「ダメ」
「だめ……」
「ここで××に直してもらうと、愛着が湧いて捨てられなくなる」
「うー」
「唸ってもダメです」
捨てるべきときに捨てるべきものを捨てる。
それができなければ、部屋がたちまち物で溢れ返ってしまう。
「わかりましたか?」
「はーい……」
なんとか納得してくれたようだ。
ただでさえ物の多い二人部屋なのだから、そこんとこ気をつけねば。







627 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:32:35 ID:6RtljQLM0

2018年2月8日(木)

故障したイヤホンを、オーディオテクニカのサービスセンターへと送付した。
「ゆうびんきょくのひと、おくれるかもっていってたね」
「福井、いま雪でひどいらしいからな……」
「うん。ニュースでみた」
「すごかった?」
「すごかった……」
他人事ではないが故に、福井県民の安否が気遣われる。
「いやほん、どのくらいかかるかなあ」
「二、三週間は見たほうがいいかもしれない」
「そのあいだ、だいじょぶ?」
「大丈夫。予備ならいくらでもあるからな」
「そんなにあるの?」
「ちゃんと数えてないけど、かなりある。××に貰ったヘッドホンもあるし」
「ふうん……」
「──…………」
「──……」
うにゅほの目が言っている。
何故そんなにイヤホンばかり持っているのか、と。
「まず、予備がいるだろ」
「うん」
「予備が壊れたときのために、予備の予備がいるだろ」
「うん?」
「聞くぶんには問題ないけどイヤーパッドが取れたやつとかも、予備に回すだろ」
「うーん」
「そしたら、ほら、イヤホンがたくさん」
「たくさん……」
「まあ、その連鎖を断ち切るために、高いの買ったんだけどさ」
「たかいのかってから、やすいのかってない?」
「買ってない。高品質なイヤホン持ってるのに、安物を買い足す必要ないし」
「なるほどなー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「結局、安物買いの銭失いってやつだったわけだ」
「いやほん、はやくもどってきたらいいね」
「そうだな」
保証期間はあと二年ある。
頑張ってくれよ、ATH-EW9。







628 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:34:01 ID:6RtljQLM0

2018年2月9日(金)

「……んー」
ソフトバンクから届いた圧着ハガキとにらめっこをする。
「◯◯、どしたの?」
「ソフトバンクがTポイントを3,000円分くれるらしい」
「なんで?」
「長期継続特典だって」
「そなんだ」
「まあ、それはありがたく受け取ったんだけども……」
ハガキのある一点を指し示して見せる。
「このポイント、半年で失効する」
「はんとし」
「半年」
「なんか、みじかいきーする」
「実際、短い。Tポイントの有効期限は、最後に使ってから一年間だもん」
「なんでだろね」
「タダで買い物されたら損だからだろ」
「なんか、ずるい」
俺もそう思う。
「おまけに、ここ読んでみ」
「?」
うにゅほが目を細める。
「じー、ちいちゃい」
「このポイントは、普通のTポイントと違って、Yahoo!ショッピングとかの特定の場所でしか使えないと書いてる」
だったらそれTポイントじゃないだろ。
「やることがこすいんだよなあ……」
「……ほんとにつかえるの?」
「使っとくか。忘れないうちに」
「うん」
ブラウザからYahoo!ショッピングを開く。
「──とは言え、何を買えばいいやら」
「いやほん?」
「イヤホンはもういいって」
「じゃあ、さむえ」
「なるほど」
ちょうど破れたばかりだものな。
3,000円前後で良さそうな作務衣を注文したところ、送料で足が出た。
タダで買い物は難しい。







629 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:34:58 ID:6RtljQLM0

2018年2月10日(土)

「──……ふあ、ふ」
大きなあくびをひとつかまし、呟く。
「暇だなー……」
「ひまだねえ」
やるべきことはいくらでもあるが、絶えず集中してはいられない。
暇だ暇だと繰り返しながらチェアの上でうだうだしていると、うにゅほが俺の膝に腰掛けた。
「うへー」
「お、なんだなんだ」
「すわりたかっただけー」
「そっか」
なるほど。
うにゅほのほっぺたを両手でもちもちしてみる。
「ふぁにー?」
「触りたかっただけ」
「ほか」
うにゅほが俺の右手に頬擦りする。
「どした」
「すりすりしたかっただけー」
「そっか」
うにゅほの長髪をまとめて、ヘアゴムで留めてみる。
「なにー?」
「ポニテの××を見たかっただけ」
「にあう?」
「似合う」
「……うへー」
対面するように座り直したうにゅほが、俺の前髪をヘアゴムで縛る。
「どした」
「しばりたかっただけー」
「似合う?」
「にあわない!」
「だよなあ」
しばらくのあいだ、謎の「したかっただけ遊び」で暇を潰す俺たちなのだった。
やってるときは楽しかった、うん。







630 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:36:33 ID:6RtljQLM0

2018年2月11日(日)

すこし早いが、知人からバレンタインのチョコレートを頂いた。
「あ、ロイズだ」
それも、ちょっと良いアソートメントだ。
「──…………」
「──……」
「その、××さん?」
「──…………」
うにゅほの小さな背中が、「私は機嫌が悪いです」と明朗に物語っている。
「……ひとつ食べる?」
「いい」
完全にぶーたれている。
「××」
「──…………」
「××ー」
「──…………」
ぷい。
困ることは困るのだが、これはこれでちょっと楽しい。
「××、今年もチョコくれる?」
「……あげる」
「どんなの?」
「ひみつ」
「わかった、手作りだ」
「……ひみつ」
「楽しみだなあ」
「あてないでー……」
手作りらしい。
「もうできてるの?」
「──…………」
ぷい。
「まだ?」
「──…………」
ぷい。
「明日あたり、出掛けたほうがいい?」
「だいじょぶ」
「いつの間に作ったんだ?」
「──…………」
あ、口元が笑ってる。
ハズレか。
「あ、わかった。明後日病院行くから、そのあいだに作るのか」
「!」
正解らしい。
「◯◯、ぜんぶあてちゃう……」
「何年一緒に暮らしてると思ってるんだ」
「すごい」
「機嫌治った?」
「あ」
うにゅほがこちらに背を向ける。
「──…………」
「──……」
「こちょこちょこちょ!」
「ひゃ! いひ、うししし!」
バレンタイン楽しみだなあ。







631 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:38:10 ID:6RtljQLM0

2018年2月12日(月)

起きては寝てを繰り返し、気づけば既に午後三時。
動き出すには少々遅い時刻である。
「……最近、休みのたびにこんな感じだ」
「つかれてるのかな」
「ごめんな、どこにも連れて行けなくて……」
「んー」
しばし思案し、うにゅほが答える。
「とくにでかけたくないので……」
「……そうなの?」
「うん」
「気を遣って言ってるとかではなく?」
「さむい」
「あー」
わかる。
「はるになったら、でかけたい」
「スパンが長いなあ」
「すぱん?」
「フランスパン」
「フランスパン、ながい」
「長いな」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
面白い。
「きょう、なんのひだっけ」
「たしか、建国記念の──」
カレンダーを見やる。
「振替休日だな」
「ふりかえきゅうじつ」
「振替休日です」
「たまにあるけど、なんのひ?」
「祝日が日曜日だったとき、休みと休みが重なって、一日損だろ」
「うん」
「そんなとき、月曜日を休みにするのが振替休日」
「じゃあ、けんこくきねんのひ、きのう?」
「そうだよ」
「にほん、きのうできたんだ」
「……改めて考えたことなかったけど、そういうことになるな」
調べたところ、初代天皇とされる神武天皇の即位日が、現在の暦であるグレゴリオ暦の2月11日に当たるらしい。
「へえー」
「初めて知った……」
そう考えると、なかなか趣深いものがある。
まあ、昨日なんだけど。
純粋無垢な視点には気づかされることが多いと感じた冬の一日だった。







632 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:43:02 ID:6RtljQLM0

2018年2月13日(火)

「ペットボトルを潰したい」
「?」
「縦に潰したい」
「たてに……」
「縦に潰せたら、だいぶ嵩張らなくなると思うんだ」
「そだけど」
「でも、難しいよな」
「むずかしいとおもう」
「そんなあなたに、ペットボトル潰し器!」
「!」
「ペットボトルをセットして、上から足でワンプッシュ! あっという間にぺしゃんこだ!」
「おー」
「──という商品を買おうか悩んでるんだ」
「いいとおもう」
「売り文句通りならいいんだけどさ」
手近にあったカラのペットボトルを手に取る。
「これ、踏んだくらいで潰れるかなあ……」
「あー」
1.5リットルのペットボトルは、相当に丈夫である。
体重をかければ潰れることは潰れるだろう。
だが、期待するほどの圧縮率が得られなければ、物置の肥やしになるだけだ。
うにゅほにペットボトルを手渡しながら、尋ねる。
「どう思う?」
「んー」
ペットボトルをいじくり回したあと、うにゅほが答えた。
「わたしのっても、つぶれないとおもう……」
「うん」
だろうな。
「◯◯のったら、つぶれる、かなあ」
「多少潰れるくらいじゃ必要ないんだよな。ぺしゃんこにならないと」
「ぺしゃんこ、なるかなあ……」
「試せればいいんだけど」
「うーん」
「……まあ、保留かな」
「そだね」
ホームセンターあたりで実演できないかなあ。
難しいか。
 







633 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:43:43 ID:6RtljQLM0

2018年2月14日(水)

「──さて」
起床し、伸びをする。
「チョコを探すとしましょうか」
「うへー」
うにゅほが満足げな笑みを浮かべる。
バレンタインの宝探しは、毎年の恒例行事だ。
「部屋のなか?」
「はい、へやのどこかです」
「こっちだな」
自室の書斎側へと迷いなく向かう。
「朝方、ごそごそしてたのは、なんとなく覚えてるんだ」
「──…………」
うにゅほが視線を逸らす。
正解らしい。
「冷蔵庫は、と」
ない。
「ストーブの裏は?」
ない。
「引き出しのなか……」
ない。
「……うーん」
壁一面の本棚を凝視していると、ふとあることに気がついた。
「幽遊白書って、こんな手前に出てたっけ」
数冊ほど手に取ってみると、
「あ」
奥に、可愛らしい包みが隠されていた。
「バレンタイン、おめでと!」
「ありがとな」
「うん」
「開けていい?」
「いいよ」
包みを開くと、手作りらしいトリュフチョコと、あるものが入っていた。
「……××」
「はい」
「これ、父さんや弟と、中身同じ?」
「うへー……」
照れくさそうに微笑み、うにゅほが答える。
「……ちょっとだけちがう」
「そっか」
では、一枚だけ入っていたハート型のチョコレートは、最後に食べることにしよう。
 







634 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:45:17 ID:6RtljQLM0

2018年2月15日(木)

Tポイントで購入した作務衣が届いた。※1
「おー」
「丈夫そうな生地じゃん」
縫製もしっかりしており、これで三千円少々ならば良い買い物に入るだろう。
まして、払ったのは送料だけなのだし。
「ね、きてみて!」
「はいはい」
着てみた。
「──うん、サイズもちょうどいいな。着やすい」
「かっこいい」
「カッコいいなんて言ってくれるの、××だけだよ……」
「そかな」
「そうそう」
うにゅほ以外に言われたところで、さして嬉しくもないけれど。
「かみ、のびたねえ」
「あー」
姿見を覗き込む。
「……そうかも」
最後に髪を切ったのは、いつだったろう。
去年であることは確かだから、二ヶ月ほどは経っているはずだ。
「かみ、のばすの?」
「伸ばさないって。似合わないし」
「みたことない」
「見せたことないな」
「みたい……」
「嫌です」
「えー」
「床屋、いつ行こうかなー」
「えー!」
「……××のショートヘア、見たことないな」
「!」
うにゅほが、艶めいた長髪を押さえる。
「大丈夫大丈夫。切れとか言わないから」
「そか……」
「俺、××の髪、好きだもん」
「……うへー」
てれり。
「でも俺自身の髪は好きじゃないので切ります」
「えー」
時間を作って、今月中には床屋へ行こうと思う。

※1 2018年2月9日(金)参照








635 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/02/16(金) 21:46:18 ID:6RtljQLM0

以上、六年三ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2018年02月17日 18:24  ID:mz7KA24a0
    サンキューゴッド


  • 2  Name  名無しさん  2018年02月17日 18:34  ID:.d.WWRlx0
    えげつねェな…


  • 3  Name  名無しさん  2018年02月17日 18:39  ID:2Q9YHg580
    かれこれ3年近く見てる気がする。
    人生の楽しみの一つ入ってるから自分が死ぬまで続けてほしい。


  • 4  Name  名無しさん  2018年02月17日 19:23  ID:GMUjCnQ90
    うわきっつ…


  • 5  Name  名無しさん  2018年02月17日 19:55  ID:ozroOjrH0
    一種の病気だろ


  • 6  Name  名無しさん  2018年02月17日 21:00  ID:JAp.Kti80
    特に何か考える必要はないんだろう、この人には実際見えていて普通の生活を日記に記しているだけなんだから


  • 7  Name  名無しさん  2018年02月17日 22:05  ID:pxwUpf210
    ただのタルパでしょ


  • 8  Name  名無しさん  2018年02月17日 23:55  ID:NsZsOBnA0
    尊敬するぜ・・・!


  • 9  Name  名無しさん  2018年02月18日 15:46  ID:r75WTvPY0
    定期的にまとめられてるけど、面白いかコレ?


  • 10  Name  名無しさん  2018年02月18日 22:52  ID:m9WED1u50
    言っちゃ悪いが、怖いです。


  • 11  Name  名無しさん  2018年02月19日 20:06  ID:hPGAAZ.h0
    何年続いてんだこれ
    観測所でこのスレだけ気持ち悪くて見れんわ


  • 12  Name  名無しさん  2018年02月20日 23:08  ID:8iT99vVs0
    まだ続いてたのかこれ…


  • 13  Name  名無しさん  2018年03月04日 23:39  ID:O6SREyqE0
    もうこいつは無所有処にまで至ってそう
    こいつが日記を止める所が非想非非想天だろ


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