2018年03月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



650 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:54:45 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月1日(木)

「ひー……」
スノーダンプに体重を預け、呼吸を整える。
豪雪である。
それも、水気をたっぷりと含んだ、重い、重い、牡丹雪だ。
「最高気温がプラスなら、雨降れってんだ……」
呪詛すら込めた呟きが、雪に吸われて消えていく。
「◯◯ぃ……」
水色のジョンバを引きずったうにゅほが、泣きそうな顔で俺の名を呼んだ。
「ゆき、くっついて、おもくて、うで、いたくて、も、むりい……」
「あー」
帽子の上からぽんぽんと撫でる。
「玄関で休憩してな。あと、俺がやるから」
「でも」
「まとめたあと、除雪機で吹き飛ばす。××が頑張ってくれたから、もう少しだ」
「うん……」
名残惜しげに玄関へ向かううにゅほを見送って、得物をジョンバに持ち替える。
そして、
「──よし!」
活溌溌地、雪の塊にジョンバを突き立てた。

除雪機の力を以てしても、雪かきを終えるまでに、それから三十分の時間を要した。

「つー、かー、れー、たー……」
ぼふ。
水滴だらけのツナギを干したあと、ベッドに思い切り倒れ込んだ。
「おつかれさま」
「うーい」
「ホットミルク、のむ?」
「飲むー」
「わかった」
しばしして、マグカップを手にしたうにゅほが自室へ戻ってきた。
「──…………」
「?」
こぼさないよう、慎重に歩く。
自然な行動だ。
だが、いささか慎重すぎるような──
「××」
「?」
「もしかして、腕痛い?」
「いたい……」
「あー、ほら。ホットミルク置いて!」
「わ」
「軽くマッサージしたあと、湿布貼るからな」
「ありがと……」
二度目の雪かきは、俺と、帰宅した父親のみで行った。
明日も大雪らしい。
考えたくない。







   

651 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:55:39 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月2日(金)

「──…………」
ばたり。
ソファに倒れ伏す。
「おつかれさま……」
「……うん」
「ごめんね、わたし、うでいたくて……」
「いや」
「?」
「腕痛めてなくても、××にはさせられない。それくらい重かった」
上体を起こし、うにゅほに向き直る。
「××より力ある母さんでも無理。俺でギリギリ。父さんは馬鹿力だから問題ないけど……」
「そんなに」
「てか、厳密にはもう雪かきじゃないんだよ。雪じゃないから」
「ゆきじゃないの?」
「雪より氷に近い。柔らかめの氷だ」
「こおり……」
「あんまり重すぎて、スノーダンプ押す手のひらが打撲したみたいになってさ……」
「!」
うにゅほが俺の手を取る。
「あおたんは、なってない……」
「痣にはなってないけど、押すと痛い」
「しっぷはる」
「いや、いいよ」
「だめ」
こうなると、うにゅほは頑なだ。
「……風呂のあとでいい?」
「ほうたい、だしとくね」
「大仰じゃない?」
「てのひらだから、ほうたいまかないと、はがれちゃう」
たしかに。
「じゃあ、右手だけ頼む」
「ひだりては?」
「左手は、そんなに痛くないから」
「そんなに……」
しまった、言葉を間違えた。
「いや、マジで痛くないから。本当に」
「いたくなったら、いってね」
「言う言う」
というわけで、本日の日記は、右の手のひらに包帯を巻いたまま書いている。
キーボード打ちにくいです。







652 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:56:22 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月3日(土)

小さな袋を手にしたうにゅほが、戻ってくるなりこう言った。
「◯◯、ひなあられたべよ」
「ひなあられ」
「おかあさん、かってきてくれたの」
「そういえば、今日って3月3日か」
「うん、ひなまつり」
すっかり忘れていた。
「ごはんのあと、ケーキもあるよ」
「おー」
ダイエット中だが、イベントごとの時くらいは構うまい。
「じゃあ、熊の雛人形も飾らないとな」
「うん!」
数年前に百円ショップで購入した陶器製の熊の雛人形を、うにゅほはたいへん気に入っている。
「……お雛さま、首だけしかないけど、いいの?」
落として壊してしまっているにも関わらず、だ。
「いいのー」
いいならいいけども。
控えめな甘さのひなあられをふたりでパクついていると、ふとあることが気になった。
「ひな祭りと言えばさ」
「うん」
「菱餅ってあるじゃん」
「ひしもち?」
「トランプのダイヤみたいな形してて、たしか──ピンクと白と緑?」
「かさなってるやつ?」
「そうそう。あれ、食べたことある?」
「あれ、たべれるの?」
「わからん……」
「かざりだとおもってた」
「でも、菱餅って言うからには、餅なんだろうし」
「ほんとにおもちなのかな」
「調べてみるか」
「うん」
アカシックレコード的なものとチャネリングを行った結果、菱餅は本当に餅であることが判明した。
「ほんとにおもちなんだ」
「食べてみたい?」
「とくに……」
「だよなあ」
「ひなあられ、おいしいね」
「美味い」
俺とうにゅほには、ひなあられとケーキで十分である。
 






653 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:57:15 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月4日(日)

うにゅほが俺の前髪を引っ張りながら言った。
「かみのびたねえ」
「伸びたなあ」
前髪を下ろすだなんて、何年ぶりの出来事か。
「きらないの?」
「んー」
手櫛で髪を整えながら、答える。
「いままで髪を伸ばしてこなかったのって、結局のところ、眼鏡を掛けてるともみあげが膨らむからなんだよな」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「ふくらんでない……」
「ああ、自分で切ったんだよ」
「じぶんで」
「先月、床屋行く暇なかったからさ」
「……うん」
いろいろあったものな。
「だから、まあ、ちょっと伸ばしてみるのもいいかなって」
「やた!」
うにゅほが小さくガッツポーズを取る。
「そんなに見たいものかねえ」
「みたい」
「いいけど……」
髪を切るのは一瞬でできる。
だが、伸ばすとなれば、数ヶ月単位の期間が必要だ。
うにゅほが見たいと言うのであれば、床屋へ行くのを遅らせるくらいは構うまい。
「──…………」
卓上鏡を手に取り、覗き見る。
「……なんか、テレビでたまに見る、茶髪で前髪モッサリの俳優みたいになってきたな」
「まえがみもっさり」
「名前は知らない」
「だれだろ」
「わからん。もしかすると茶髪じゃないかも」
「◯◯、テレビみないもんね」
「嫌いなわけじゃないんだけど……」
ともあれ、あと一ヶ月くらいは様子を見てみよう。
案外似合うかもしれないし。







654 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:57:57 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月5日(月)

「問題です」
「はい」
「雪が解けたら、何になるでしょう」
「みず?」
「ぶー!」
「ちがうの?」
「雪が解けたら、春になります!」
「あー」
「──てななぞなぞが昔からあるけど、これってずるいと思わないか?」
「みずでもあってるとおもう」
「××が春って答えてたら、ぶー、答えは水ですって言うつもりだったからな」
「ずるい」
「答えがふたつあるから、出題者が意図的にそれを切り換えられるんだよ」
「ずるい……」
「いわゆるところの"いじわるなぞなぞ"って、こういうのが多いから好きになれないんだよなあ」
うにゅほがうんうんと頷く。
「他にもあるぞ」
「どんなの?」
「では、問題です」
「はい」
「いま、なんじ?」
「うと、くじはん──だけど、くじはんじゃない?」
「正解は、二文字です」
「?」
うにゅほが首をかしげる。
「"いま"は、二文字だろ」
「あー」
「でも、現在時刻が九時半であることは間違いないわけだ」
「うん」
「なんか、すっきりしないよな……」
「うん……」
我ながら三十路も越えて何を言っているのだろうと思わないでもない。
「あ、でも、すっきりするなぞなぞもあるぞ」
「おー」
「1tの鉄と、1tの毛玉、どちらが重いでしょう」
「あ、しってる!」
しばらくのあいだ、うにゅほとなぞなぞを出しあって遊んだのだった。
童心に返るとは便利な言葉である。







655 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:58:48 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月6日(火)

読み終えたジャンプを届けに、弟の部屋をノックする。
「あーい」
在室を確認し扉を開くと、
「──うおッ!」
弟が丸坊主になっていた。
「出家するのか」
「しねーよ」
「1000円カットで失敗したとか」
「それは兄ちゃんだろ」
そんなこともあったなあ。
「行くの面倒だったから、父さんにバリカンでやってもらった」
「面倒ってお前……」
わかるけども。
「──××ー! ちょっと来てみ!」
自室へ向けて、声を張り上げる。
「呼ばなくていいって」
「あとで会うのもいま会うのも一緒だろ」
「まあ……」
しばしして、
「なにー?」
うにゅほが廊下に顔を出した。
「こっちこっち」
「?」
頭上に疑問符を浮かべながら、とてとてこちらへやってくる。
「ほら、あれ」
「わ!」
「出家するんだって」
「しゅっけ?」
「しねーよ!」
「ほら、撫でさせてもらいなさい」
「うん」
「やめろって!」
「えー」
「女の子に頭を撫でてもらえる機会だぞ」
「そんな機会はいらん」
「照れちゃって」
「照れとらんわ!」
しばらくのあいだ、丸坊主の弟をいじって遊んだのだった。
最後にはすこしだけ撫でさせてもらって、うにゅほもご満悦だった。







656 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 00:59:32 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月7日(水)

「××ー」
「はい」
「お手」
「わん」
うにゅほがお手をする。
ノリがいい。
「おかわり」
「わん」
「おすわり」
「すわってるわん」
「伏せ」
「わん」
「立って」
「わん」
「構えて!」
「かまえ?」
「撃てー!」
「ばん!」
「うッ」
自分の胸を押さえる。
「××、幸せになるんだぞ……」
「◯◯!」
「ばたり」
「ひまなの?」
「暇なの」
「そか」
「お手!」
「わん!」
「おすわり!」
「わん!」
「立って!」
「わん?」
「スクワット十回!」
「えー!」
楽しい。
「ふひー……」
「くくく、次は何をしてもらおうか」
「かんたんのにしてね」
「つか、なんで言うこと素直に聞いてるんだ」
「なんとなく?」
「よし、空を飛べ!」
「むりー」
「無理か」
「うん」
「じゃあ、俺の膝におすわり」
「わん!」
うにゅほを抱き締める。
「暇だなー」
「ひまだねえ」
そんなことを言い合いながら、チェアをくるくる回転させるのだった。







657 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:00:20 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月8日(木)

「××、素朴な発見をした」
「なにー?」
ヘッドホンを外し、うにゅほへと向き直る。
「ほら」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
頭頂部を指し示し、答えを告げた。
「髪型があんまり崩れてない」
「あ、ほんとだ」
「髪を下ろしてるから、そもそもへこみようがないみたい」
「なるほど……」
「いつもヘッドホンしてる人ってどんな髪質してんだって思ってたけど、髪の長さの問題だったんだな」
「◯◯、かみみじかいのすきだもんね」
「短いのが好きというか……」
頭がでかいから、無闇に髪を伸ばせないだけである。
「前髪と頭頂部はこの際いいけど、襟足が鬱陶しいなあ」
「えりあし?」
「後頭部の、このあたり」
軽く髪をまとめてみせる。
「しばれる?」
「縛れはしないけど」
「ざんねん」
「縛れるほど長くなったら、さすがに床屋行くよ」
「えー」
「××は俺の髪型をどうしたいんだ……」
「うとね」
軽く思案し、うにゅほが答える。
「いつもみじかいからね、ながいのみてみたい」
「ロン毛とか勘弁だぞ。一昔どころか二昔くらい流行遅れだ」
「ろんげって、どれくらい?」
「……肩とか?」
「みてみたい」
「絶対イヤ」
「えー……」
うにゅほに遊ばれている気がするのは、気のせいではあるまい。
この悪女め。







658 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:00:58 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月9日(金)

起床して階下へ向かうと、今日のうにゅほは三つ編みだった。
「おさげだ……」
「おさげだよ」
「久々に見た気がする」
「そうかも」
「引っ張っていい?」
「いいよ」
ぐいー。
「痛くない?」
「いたくないよ」
「ラピュタで、ムスカがシータの三つ編み引っ張るシーンあったよな」
「あったきーする」
「女の子に乱暴してはいけませんね」
「いけませんね」
三つ編みの先端で、うにゅほの首筋をくすぐる。
「うひ」
「こちょこちょー」
「◯◯、ぜったいそれやるー……」
「そうだっけ」
「うん」
「なんか好きなんだよな……」
「あと、ひげもやる」
「ひげ?」
うにゅほが三つ編みを鼻の下に添える。
「ひげ」
「あー、やるやる」
ワンパターンだな、俺。
「先端に墨汁をつけて書き初めをしましょう」
「えー」
「イヤ?」
「や」
「じゃあ、××ロボ」
「?」
「右のおさげを引っ張るとパンチ! 左のおさげを引っ張るとキック!」
「おー」
右のおさげを引っ張る。
「行け、パンチだ!」
「えい!」
ぽこ。
うにゅほの拳が俺の胸を打つ。
正面から引っ張ったのだから、当然である。
「……なんか悪者になった気分だ」
「うしろからやんないと……」
おさげで遊ぶのは、楽しい。







659 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:01:52 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月10日(土)

──ぴー!

ストーブの表示部に給油アイコンが点灯する。
「……ついに、このときが来たか」
「うん……」
それは、ストーブの断末魔。
我が家にある灯油の残量がゼロになったという合図だった。
「しかし、悩ましいタイミングだな。暖かくはなってきてるけど」
「とうゆ、かいいく?」
「いま買うと、絶対余らせるからなあ……」
買い置きの灯油は数ヶ月で酸化し、ストーブの故障の原因となる。
「仕方ない、なんとか耐え凌ごう」
「うん」
「カモン」
ぽんぽんと膝を叩いてみせる。
「うへー」
うにゅほが俺の膝に腰を下ろし、はにかむような笑みを浮かべた。
「本格的な春が訪れるまで、これが基本の姿勢となる」
「はい!」
「さらに──」
以前ゲームセンターで入手したカービィのブランケットを広げる。
「これで、あったか度アップだ」
「ふかふかしてる」
「触り心地いいよな」
「うん」
「ひとまずこれくらいかな」
「まだあるよ」
「?」
「てーつなぐ」
右手が、右手に。
左手が、左手に。
それぞれ指を絡ませる。
「××さん」
「はい」
「この状態では何もできないんですが……」
「どうがとかみれる」
「あー」
なるほど。
「では、動画を見るときはこのフォーメーションで」
「はい」
このときは、これ。
あのときは、それ。
そんなことを考えているうちに、楽しくなってきてしまった。
春よ、今年はすこし遅くてもいいぞ。







660 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:02:33 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月11日(日)

「ほいっ、と」
膝の上のうにゅほを抱え上げ、優しく下ろす。
「トイレ行ってくるな」
「はーい」
灯油の備蓄が切れたため、本格的な春の到来まで互いの体温で耐え凌ぐことにしたのだった。
やむを得ずであることを主張していきたい。
所用を済ませ自室へ戻ると、
「♪」
うにゅほがチェアに腰掛けて、たいへんご満悦の様子だった。
「ほれ、どけどけ」
「ん」
小さく首を横に振る。
「どした?」
「きょう、わたしのうえ、すわっていいよ」
「……潰れると思いますけど」
「だいじょぶ」
ぽんぽんと膝を叩いてみせる。
何の根拠か自信満々だ。
「じゃあ、徐々に体重をかけていくから、ギブになったらギブって言うんだぞ」
「はい」
肘掛けに体重を預けながら、ゆっくりとうにゅほの膝に腰を下ろしていく。
尻の下の足は細く、うっかりすると折れてしまいそうだ。
「ぐ」
うにゅほが苦しげな声を上げる。
「ギブ?」
「まだー……」
更に体重をかける。
「うぶ」
「ギブ?」
「ま、まだ……」
八割ほど腰を沈めたところで、
「ぎ、ぎぶ!」
慌てて腰を上げ、うにゅほの手を取る。
「ほらな?」
「◯◯、おもったよりおもい……」
「ぐ」
言葉のナイフが心に刺さる。
まあ、多少ダイエットをしたところで、この体重差は埋まらないのだけど。
チェアに腰を下ろし、うにゅほを改めて膝に乗せる。
「やっぱ、このほういいね」
「そりゃな」
俺はうにゅほ専用の椅子であり、うにゅほは俺専用の湯たんぽである。
役割を違えてはいけないのだ。







661 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:03:16 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月12日(月)

うにゅほを膝に乗せたままブラウジングをしていると、とあるバナーが目に留まった。
「あ、Steamでクロノトリガー配信してる」
「すちーむ?」
「……あー」
なんと説明すればよいやら。
「PCでプレイ可能なゲームをネットを介して配信するプラットフォーム……?」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
ですよね。
「その、なんだ。買うとPCでゲームができる」
「へえー」
「で、クロノトリガーが新しく配信されたみたい」
「くろのとりがーって、まえ◯◯くれた、でぃーえすのやつ?」※1
「そうそう」
元はSFCだけど。
「でも、××の肌には合わなかったみたいだな」
かなり序盤でやめてたし。
「なんかね、むずかしかった……」
「そっか」
当時はそもそもゲーム自体が初めてみたいなもんだったし、仕方ないか。
「──んー、どうしようかな」
マウスポインタが、「カートに入れる」のあたりをうろうろする。
「かうの?」
「正直、欲しい」
「でぃーえすの、あるよ?」
「そうなんだけど……」
PCでゲームするのって、手軽なんだよな。
「あ、そだ」
「ん?」
「◯◯がゲームするとこ、わたしみたいな」
「……なるほど」
クロノトリガーが傑作たる所以は、ゲーム性もさることながら、その壮大なシナリオにある。
横から見ているだけでも、その面白さは十分に伝わることだろう。
「んじゃ、買っちゃうぞ」
「うん」
二千円程度のものだから、迷うほどのこともなかったのだけど。
人には、面白いものを共有したいという欲求がある。
俺が面白いと思うものを、うにゅほも面白いと思ってくれるのなら、それはとても喜ばしいことだ。

※1 2014年12月25日(木)参照







662 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:04:01 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月13日(火)

「んッ、くあー……!」
病院の玄関先で、思いきり伸びをする。
四週間に一度の定期受診の帰りなのだった。
「今日、やたら混んでたなあ」
「ねー」
「いま何時?」
「うと」
うにゅほが腕時計に視線を落とす。
「よじの、ちょっとまえ」
「予約が二時だから、一時間半くらい待たされたのか……」
「うん」
「予約って、意味あるのかな」
「うん……」
もちろん意味はあるのだろうが、だったら三時に来たかった。
どうにかならないものだろうか。
「今日は××が一緒だからいいけど、ひとりのときだったら暇でしょうがなかっただろうなあ……」
「ひとりのとき、◯◯、なにしてまってるの?」
「まあ、スマホいじってるかな。携帯禁止じゃないし」
「すまほ、なにするの?」
「えーと、twitter見たり──」
「うん」
「twitter見たり……」
「うん?」
「音楽聞いたり」
「あー」
「twitter見たり?」
「ついったーしかみてない……」
「わりと」
「あれ、えふじーおーは?」
「FGOに限らず、外でスマホのゲームやるの好きじゃないんだよな」
「そなんだ」
「だから、twitterしか見るものがない……」
「らいげつも、いっしょにこようね」
「お願いします」
ふたりいれば、雑談しているだけで時間が過ぎる。
けれど、待ち時間は、できれば一時間以内でお願いします。
 







663 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:04:45 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月14日(水)

ホワイトデーである。
「××、ほら」
紙袋に入った包みを差し出す。
「バレンタインのお返し」
「おととい、あまぞんできたやつ?」
「……はい」
バレてる。
うにゅほが受け取ったのだから、当然と言えば当然だ。
ネット通販はこの上なく便利だが、家族に贈り物をするには適していないのかもしれない。
「あけていい?」
「いいぞ」
丁寧に包みを開いたうにゅほが、
「わ!」
と、目を輝かせた。
包みの中にあったのは、動物の顔をデフォルメした可愛らしい菓子である。
「これ、おかし?」
「たぶんマカロンの一種」
「まかろん」
「マカロン好きだろ」
「うん、すき」
うへーと笑う。
「◯◯、ありがと!」
「こちらこそ、いつもありがとうな」
うにゅほの頭をうりうり撫でる。
「わたしもね、いつもありがとう」
「いえいえ、御代官さまこそ」
「みとこうもん?」
「あれって、元はどの時代劇なんだろうな」
「あれ……」
「ほら、あるじゃん。黄金色の菓子でございます、越後屋そちも悪よのうみたいな」
ふるふると首を横に振り、うにゅほが告げた。
「しらない」
「──…………」
そうかー。
知らないかー。
心に受けた傷と共に、静かにジェネレーションギャップを受け入れる俺なのだった。
 






664 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:05:27 ID:0dsIm9Ko0

2018年3月15日(木)

雨音が耳にこだまする。
根雪を解かし、春を告げる音だ。
「──あーめ、あーめ、ふーれ、ふーれ」
かすれたような小さな歌声が、ふわりと耳に届く。
「もーっと、ふれー」
「そっちか」
道理で節回しが童謡っぽくないと思った。
「そっち?」
「あーめあーめふーれふーれ母さんがー、のほうかと思ったんだよ」
「あー」
「それにしても、よく八代亜紀なんて知ってたな」
「だれ?」
「その歌を歌ってる人」
「へえー」
「雨の慕情だかなんだか……」
「なんかね、おかあさんうたってた」
「なるほど」
すべてが繋がった。
「越後屋知らないのに雨の慕情は知ってるとか、ちぐはぐだもんなあ」
「そなの?」
「だって、俺が生まれる前の曲だもん。たしか」
「ふるい!」
「俺もサビ以外知らないし」
「◯◯もしらないんだ」
「森羅万象なんでも知ってるわけじゃないからな」
「あーめ、あーめ、ふーれ、ふーれ、もーっと、ふれー」
うにゅほが再び雨の慕情を口ずさみ始める。
「ふーふーふふー、ふーふーふふー、もっとふれー」
「歌詞適当だなあ」
「ほんとはなんてうたってるの?」
「実際に聞いてみるか」
「うん」
YouTubeを開き、雨の慕情を再生する。
「……えんか?」
「演歌、なのかなあ……」
演歌の定義がよくわからない。
「あ、こっちも聞いたことあるかもしれないぞ。舟歌」
「ふなうた」
北島三郎や吉幾三なども聞かせてみたところ、案外聞き覚えがあるらしかった。
さすがは大御所と言ったところだろうか。 







665 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/03/17(土) 01:06:22 ID:0dsIm9Ko0

以上、六年四ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 


       


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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:09  ID:h5qk.fzi0
    もはやなんなんだろうねここまで来たら


  • 2  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:24  ID:41QyqGPf0
    神域


  • 3  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:35  ID:y7zN3s1r0
    全然面白くないのに何故か定期的にまとめられてるな
    もしかして、これ管理人が書いてたりする?



  • 4  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:35  ID:sSwntgiW0
    よくこんな長い間書き続けられるわな・・・


  • 5  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:44  ID:.fympd7c0
    ぶっちゃけ誰得


  • 6  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:46  ID:hnpir1IT0
    こんなに続くとは…


  • 7  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:47  ID:cA2MWJPO0
    読んでいる人なんて一人もいないでしょ


  • 8  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:49  ID:zVDfPGE10
    はじめてまじまじと見た…ただの神やないすか


  • 9  Name  名無しさん  2018年03月17日 18:52  ID:xBwZeAN70
    俺得やぞ


  • 10  Name  名無しさん  2018年03月17日 19:04  ID:NSuPEUyQ0
    読まないのになんで開いてんの?
    なんでコメント残してんの?
    理由わからないから教えてくれ


  • 11  Name  名無しさん  2018年03月17日 19:14  ID:0WANZGL80
    ここまで全部作者の自演


  • 12  Name  名無しさん  2018年03月17日 19:16  ID:.hXS.r3b0
    俺は応援してるぞ👊😄


  • 13  Name  名無しさん  2018年03月17日 19:26  ID:g62dl6Pr0
    本とかにまとめたら売れそう


  • 14  Name  名無しさん  2018年03月17日 19:54  ID:GXsTCle10
    お、今月のカルテか


  • 15  Name  名無しさん  2018年03月17日 20:20  ID:w7JIPVSq0
    まぁ普通にまとめに載せる類のではないはな


  • 16  Name  名無しさん  2018年03月17日 20:26  ID:RfbbKvBV0
    毎月の楽しみ


  • 17  Name  名無しさん  2018年03月17日 20:34  ID:UAevfdr20
    マジで頭おかしい(※褒め言葉)


  • 18  Name  名無しさん  2018年03月17日 21:25  ID:3.56j5sj0
    気持ち悪い通り越して尊敬すら感じる


  • 19  Name  名無しさん  2018年03月17日 22:40  ID:7tLdb5MZ0
    なんていうかすごい・・・


  • 20  Name  名無しさん  2018年03月17日 23:08  ID:41QyqGPf0
    うつほ物語という日本文学史上最古の長編物語


  • 21  Name  名無しさん  2018年03月17日 23:31  ID:uMusSHBS0
    ※10
    読む気なくてもスレタイは嫌でも目につくし、目についたらイラッとくるから



  • 22  Name  名無しさん  2018年03月18日 00:25  ID:hqwMNYtc0
    割と好きなんだが、不快になる人もいるのかあ


  • 23  Name  名無しさん  2018年03月18日 00:27  ID:xs.oNy6Q0
    目についたらイラッとするから消えろって……


  • 24  Name  名無しさん  2018年03月18日 01:09  ID:.NLUX8dU0
    SS専門のまとめサイトならともかく、普通のまとめサイトでやるような内容じゃないし、空気嫁としか




  • 25  Name  名無しさん  2018年03月18日 01:51  ID:kcdjVGdY0
    https://twitter.com/neargarden
    作者のtwitterだけど東方原作やってないじゃん


  • 26  Name  名無しさん  2018年03月18日 10:01  ID:cbaZMq110
    25
    むしろやってないのにここまで続けてる愛が凄いと思う。誰かに見られたいわけでもなく書きたいから書いてるんだろうな。
    俺読まずにコメに来たけど


  • 27  Name  名無しさん  2018年03月18日 11:39  ID:m3jx9JSd0
    ついったーちょろっと見て原作既プレイかわかるん?


  • 28  Name  名無しさん  2018年03月19日 01:46  ID:JlcHUcYC0
    最初からずっと読んでるからこれからもまとめてほしい


  • 29  Name  名無しさん  2018年03月19日 11:22  ID:AZ.XUmrS0
    もうお前の嫁でいいよ。


  • 30  Name  名無しさん  2018年03月20日 21:58  ID:S.Ydj8EJ0
    うにゅほ要素ほぼ0だよね?


  • 31  Name  名無しさん  2018年03月20日 22:24  ID:f9MIVl.00
    たぶんうにゅほの見た目だけが好きなんでしょ


  • 32  Name  名無しさん  2018年03月24日 15:14  ID:Ejsl5RHW0
    東方の界隈にいて「自分の興味ないコンテンツに関われない」っていう基本的なことすら出来てないこいつらはタダのアホ


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