2018年04月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



683 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:20:16 ID:Vyc36gf60

2018年4月1日(日)

「……んぅー」
座椅子の上で体育座りをしながら、うにゅほがしきりに小首をひねる。
「エイプリルフールの嘘は思いつきましたか?」
「まって、まって」
「そろそろ午後になるけど」
「うー……」
不満げに唸られましても。
「まあ、午前中しか嘘をついちゃいけないってルール自体、本当かどうか怪しいみたいだけどな」
「そなの?」
「エイプリルフールは世界中で行われてるけど、そのルールってイギリス独自のものらしいんだよ」
「ほー」
「イギリスだけのルールを日本だけが取り入れるのも妙な話だろ」
「──あ!」
うにゅほが唐突に妙な声を上げた。
「どした」
「それうそ?」
「はい、嘘です」
「やられたー……」
うにゅほが頭を抱える。
「いや、嘘ってのが嘘。話は本当」
「どっち……?」
「はてさて」
わざとらしく肩をすくめてみせると、うにゅほがぶーたれて言った。
「……◯◯、ずるい」
「ずるい?」
「わたしも、そうゆうのしたい。わるいおんなになりたい……」
「悪い女に……」
なんだその願望。
「××に悪い女になられると、その、困るんだけど」
「だいじょぶ、ねんいちだから」
「年一……」
なら、まあ、いいか。
「頑張れ××。日付が変わるまで待つから」
「ありがと……」
現在、午後十一時。
年に一度ですら悪い女になれそうもないうにゅほなのだった。








684 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:21:17 ID:Vyc36gf60

2018年4月2日(月)

「……アダプタが届かない」
土曜日に注文したはずのiPhone7用ヘッドホンジャックアダプタが、まだ届かない。
困った。
「あだぷた?」
「iPhoneとイヤホン繋げるやつ」
「あ、あれか」
うにゅほが、ぽんと手を合わせる。
「あれのなまえ、すぐわすれちゃう……」
「××、横文字苦手だよな」
「にがて」
「パフェって言ってみて」
「ぱへ」
「カフェ」
「かふぇ」
相変わらず、カフェとは言えるのに、パフェとは言えないらしい。
しつこくすると怒るので、これ以上は追求しないけれど。
「手」
「て?」
「英語で」
「はんど」
「指」
「ふぃんがー」
「爪」
「つめ……」
「爪は、ネイル」
「あ、ねいるあーとのねいる」
「足」
「ふっと」
「首」
「ねっく?」
「目」
「あい」
「鼻」
「のーず……」
「口」
「まうす」
「ネズミ」
「……まうす?」
「なんだ、けっこうわかるじゃん」
「うへー」
てれりと笑う。
「しかし、アダプタ届かないと仕事中に音楽が──」
呟きながら、ヨドバシドットコムのトップページを開く。
「あれ?」
「?」
「カートに商品がひとつ入ってる……」
確認すると、案の定、
「……購入手続きしてない」
「どういうこと?」
「アダプタ、まだお金払ってなかった……」
「あー……」
やらかしてしまった。
購入手続きを手早く済ませ、心のなかでヨドバシドットコムに謝罪する。
疑ってすみませんでした。







685 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:22:08 ID:Vyc36gf60

2018年4月3日(火)

アルコールを摂取した。
桃の果汁を贅沢に搾った度数4%の缶チューハイだ。
本来、大した量ではない。
にも関わらず、
「うへへへへ……」
大いに酔っ払ってしまった俺なのだった。
うにゅほを膝に抱き上げ、首筋に鼻を埋める。
すんすん。
「うひ」
うにゅほが、くすぐったそうに身をよじる。
「××はいい匂いがするなあー」
「そかな」
「なんか、こう、全体的に桃っぽい感じ」
「◯◯、もものおさけ、のんだからとおもう……」
「や、普段からするぞ」
「そなの?」
「シャンプーの匂いかなと思ってたけど、風呂入る前のが桃っぽい」
すんすん。
「かがないでー」
「やだ」
すんすん。
「もー……」
諦めたのか、うにゅほの全身から力が抜ける。
まな板の上の鯉のようだ。
「いい匂いなんだから、恥ずかしがることないじゃん」
「それはそれなの」
「それはそれなのか」
「うん」
「じゃあ、これはどれなのだ?」
「これ?」
「これ」
「どれ?」
「さあ」
「……◯◯、からかってる?」
「からかってる」
「もー」
「ははは」
缶チューハイ一本で酔うとは、随分と酒に弱くなったものだ。
ストロングゼロとか飲まないように気をつけよう。
 






686 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:23:12 ID:Vyc36gf60

2018年4月4日(水)

CDを返却したのち、ゲオの出入口にずらりと設置された自動販売機を覗いていくことにした。
「ここのじはんき、ひゃくえんなんだね」
「百円でも採算取れるんだろうな」
偏見だが、深夜に若者がたむろしていそうだし。
「なんか買ってくか」
「うん」
「何にする?」
「うーと、ココアかなあ」
「あったかいの?」
「あったかいの」
「じゃあ、俺はコーンスープかな」
「あったかいの?」
「あったかいの」
「きょう、ちょっとさむいもんねえ……」
うにゅほが両手を擦り合わせる。
その髪の毛を手櫛でくしけずりながら、口を開く。
「俺たちも、随分と贅沢になったもんだよな」
「?」
「ほんの一ヶ月前なら、今日の気温でも、暖かいって言ってたはずだぞ」
「あー、そだねえ」
そんな会話を交わしながら、まずはココアを購入する。
「あちち」
「しばらくポケット入れときな」
「うん」
隣の自動販売機に百円硬貨を投入し、コーンスープのボタンを押す。
「……あれ?」
よく見ると、ボタンに赤文字で「売切」と表示されていた。
「さむいから、みんなコーンスープのむのかな」
「そうかも」
商品を見渡し、
「これでいいや」
と、適当にミルクセーキを購入する。
「あ、ミルクセーキだ」
「ミルクセーキ、あんまり見かけないしな」
「ひとくちのましてね」
「ココアくれるならいいぞ」
「うん」
久し振りに飲んだミルクセーキは、素朴で、どこか懐かしい味がした。







687 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:24:06 ID:Vyc36gf60

2018年4月5日(木)

チェアでぐりんぐりん回転しつつ、呟く。
「甘いものが食べたい」
「あまいもの……」
「食べたい」
ぐるんぐるん。
「あまいの、なんかあったかなあ」
しばしの思案ののち、膝の上のうにゅほが答える。
「あ、ヨーグルトあったとおもう」
「ヨーグルト……」
「だめ?」
「ヨーグルトを甘いものカテゴリに入れるべきか、除外すべきか、それが問題だ」
「ヨーグルト、あまいとおもう」
「甘いけど、酸味あるだろ」
「うん」
「酸味はいま欲しくない」
「むずかしいねえ」
「難しい」
「なんか、かいいく?」
「んー」
「いかない?」
「行こうかなと思ったんだけど、さっき父さんにウイスキーひとくち飲まされたから」
「◯◯、ぺっぺってしてたね」
「よくあんなもの好んで飲むよな」
「そんなにすごいの?」
「舌がピリピリして、体が一瞬で熱くなる。舐めた程度なのに」
「すごい……」
「だから、運転するのはどうかなって」
「そだねえ」
「歩いてくのは寒いし、風呂上がりだから風邪引くかもだし」
「うん」
ぐるんぐるん。
「でも、あまいの、あれくらいしかない……」
「あれ?」
「バレンタインのときあまった、ざいりょうのチョコ」
「──…………」
「?」
うにゅほのほっぺたを両手で挟む。
「いいのがあるやんけ!」
むにむにむにむに。
「はう、ふほほふ」
「それを食べましょう」
「へも、ただのひょこだお」
「バレンタインじゃないんだから、ただのチョコで十分」
「ほか」
割チョコレートとだけ書かれた素っ気ない装丁のチョコは、思った以上でも以下でもない味がした。
だが、今日の俺はそれで満足なのだ。







688 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:24:58 ID:Vyc36gf60

2018年4月6日(金)

今日は、伯父の四十九日だった。
母方の親族と会食をして帰宅すると、時刻は既に午後九時を回っていた。
「はー……」
ばふ!
ベッドに倒れ込み、羽毛布団に顔を埋める。
「疲れたー……」
「◯◯、おふろはいる?」
「入るけど、××の後でいいや」
「そか」
きし。
うにゅほが俺の隣に腰掛ける。
「あかちゃん、かわいかったねえ……」
一歳になったばかりの従姉の子供のことである。
「あんなにスッサスッサ歩くんだな、一歳の子って」
「すーごいわらってた」
「機嫌よかったのかな」
「……わたしだっこしたら、ないちゃったけど」
うにゅほが、ずうんと肩を落とす。
「気にしない、気にしない。べつに嫌われたわけじゃないだろうし」
「そかな……」
「たぶん、抱っこの仕方が下手だったんだよ」
「だっこのしかた?」
「××だって、二階の窓から下を見るのは平気でも、脚立で同じ高さに上がれって言われたら嫌だろ」
「うん」
「横で見ててもフラフラしてたし、不安定で怖かったんだと思うよ」
「あー……」
「証拠かどうかわからんけど、座って膝に乗せたときは、普通に笑ってたじゃん」
「──…………」
小さく微笑んだうにゅほが、俺の髪を手櫛で梳いた。
「ありがと」
「事実を言ったまでです」
「うへー」
ちと照れる。
「どうでもいいけど、赤ちゃん、めっちゃツバ臭かったな」
「それは、うん……」
口のまわり、べとべとだったからなあ。
よだれかけが必要な理由が、よくわかった。







689 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:25:54 ID:Vyc36gf60

2018年4月7日(土)

PCに常駐させているソフトの中に、起動から何時間経過しているかを表示するものがある。
「あー、そろそろ400時間か……」
二週間とすこし、電源をつけっぱなしにしている計算になる。
「そろそろ再起動だな」
「よんひゃくじかんて、なに?」
「PCの起動時間」
「へえー」
うにゅほが、うんうんと頷いた。
「──…………」
予想していたリアクションと違う。
「もっとびっくりするかと思ってた」
「なんで?」
「そんなにつけっぱなしなのー、みたいな」
うにゅほが小首をかしげる。
「ぱそこんて、でんげんきるものなの?」
「……あー」
「?」
考えてみれば当然である。
うにゅほと暮らし始めて以降、PCの電源を落としたことなど数えるほどしかないのだから。
「まあ、うん。人によるかな」
「そなんだ」
「寝るとき、うるさかったりしない?」
「かんがえたことない……」
「そもそも、××が寝るときって、俺起きてるもんな……」
「うん」
PCの駆動音がどうとかの問題ではなかった。
「電気眩しいとか、カタカタうるさいとか、そういうのもない?」
「ない」
「ならいいけど……」
「うーとね、ぎゃくにね、◯◯いないと、ねれない」
「そうなの?」
「◯◯、にゅういんしたときとか、ねれなかった」
「寂しいのか」
「さみしい……」
なるほど。
「このままでいいか」
「このままがいい」
うにゅほがいいなら、なんだっていいや。







690 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:26:38 ID:Vyc36gf60

2018年4月8日(日)

「──…………」
うと、うと。
マウスを握る手に力を込めながら、襲い来る眠気に抗い続ける。
背後からでも様子がおかしかったのか、うにゅほが俺の顔を覗き込んだ。
「わ」
「!」
ビクッ!
思わず背筋がピンと伸びる。
「◯◯、ねむいの?」
「眠い……」
「いま、すーごいかおしてたよ」
「──…………」
どんな顔をしていたのかは、あまり聞きたくない。
「……春はだいたい眠いけど、休みの日は特に眠い……」
「つかれてるのかな」
「そうでもないと思うけど……」
在宅だから通勤する必要はないし、仕事も楽なほうだ。
その代わり、給料は安いけれど。
「ねむいなら、ねたほういいとおもう。おやすみだし」
「まあ、そうなんだけど……」
「?」
「休みだからこそ、寝て過ごすともったいないと言うか……」
「あー」
うにゅほがうんうんと頷く。
「せっかくのおやすみだもんねえ」
「……まあ、こんな状態だと、休みもクソもないけどさ」
そう言って、ひとつ大きなあくびをかます。
「◯◯、くちおおきいねえ」
「それはお前を食べるためだよ……」
「そなんだ」
「うん」
「きゃーっていったほういい?」
「いちおう……」
「きゃー」
「──…………」
「──……」
「三十分くらい寝ようかな……」
「そのほういいよ」
しばし仮眠を取ると、眠気も幾分か落ち着いた。
「──それはお前を食べるためだよ!」
「きゃー!」
リテイクもしておいた。







691 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:27:29 ID:Vyc36gf60

2018年4月9日(月)

「んー……」
もごもご。
舌先を奥歯の隙間にねじ込み、なぞる。
「?」
不審な様子に気がついたのか、膝の上のうにゅほがこちらを振り返った。
「どしたの?」
「なんか、歯に挟まってる」
「なんだろ」
「昼食べてからだいぶ経ってるし、間食してないし……」
挟まっているものに心当たりがない。
「つまようじ、もってくる?」
「なら自分で──」
俺の言葉を遮るように、うにゅほが膝から降り立った。
「といれいくから、ついで」
「そっか。頼む」
「うん」
しばしして、爪楊枝を持ったうにゅほが戻ってきた。
「はい、つまようじ」
「ありがとな」
爪楊枝を受け取って、うにゅほの頭をぽんと撫でる。
「うへー」
「では、さっそく」
気になっていた歯間に爪楊枝を突き立て、異物を掻き出す。
次の瞬間、
「──うおッ!」
「わ!」
薄緑色の異物が、チーズのように糸を引いた。
「あー、ガムかこれ……」
「びっくりした」
「俺も」
ダイエット中、空腹を誤魔化すために噛んでいたガムが、奥歯の隙間に挟まったまま残っていたらしい。
「ガムが奥歯に挟まったの、初めてだ」
「わたしも、みたのはじめて……」
「挟まったのは?」
「はさまったことない」
「だよな」
微妙にレアケースだと思うのだが、どうなのだろうか。
歯並びによるのかな。







692 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:28:08 ID:Vyc36gf60

2018年4月10日(火)

今日は、四週間に一度の定期受診の日。
予約しているにも関わらず無闇に長い待ち時間を、うにゅほとの雑談で潰していた。
「そーいや、今朝、夢を見たんだよ」
「どんなゆめ?」
「TSUTAYAが潰れる夢」
うにゅほが言いにくそうに告げる。
「それ、ゆめじゃなくて……」
「……いや、現実を受け入れられなかったわけじゃなくてだな」
近所のTSUTAYAが潰れたのは心苦しいが、致し方ないことだ。※1
「夢の中で、俺は、TSUTAYAへCDを返しに行くところだった」
「うん」
「すると、TSUTAYAが潰れていた」
「うん」
「夢の中で、俺は思った。CDを返せないってことは、延滞料金が永遠に加算されるのでは……」
「あー」
「で、目が覚めた」
「あくむ?」
「悪夢ってほどではないけど……」
缶コーヒーで唇を濡らし、言葉を継ぐ。
「実際には、閉店する一週間前には、レンタル停止するんだと思うけどさ」
「うん」
「ギリギリに借りたはいいけど、何かの理由で閉店までに返却できなくなった人もいるかもしれないじゃん」
「いそう」
「近場に別のTSUTAYAがあれば、そっちに返せばよさそうな気がするけど、おらが村にはTSUTAYA一軒しかないっぺみたいな人はどうすればいいんだろうなって」
「……どうするんだろ」
「本社に郵送してくれー、みたいなのが届くのかな」
「うーん」
「届かなかったら、やっぱり、延滞料金が永遠に……」
「えんたいりょうきん、たかいんだもんね」
「一日につき、二百円だか三百円だか」
「そうでもない?」
「……CD、十枚借りてたら?」
「にせんえん……」
「一年間で七十万円」
「うひ」
「怖いな」
「こわい……」
気をつけよう、甘い言葉と返却期限。
本日の待ち時間は、前回を優に超える二時間強だった。
なんとかならないかな、これ。

※1 2018年3月28日(水)参照







693 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:28:44 ID:Vyc36gf60

2018年4月11日(水)

「──4月11日」
「?」
「4月11日ですね」
「はい」
「なーんか、誰かの誕生日だった気がする」
「だれ?」
「家族、ではない」
「ではない」
「……親戚?」
「しがつうまれのひと、いたかなあ」
「××、親戚縁者の誕生日覚えてるの?」
「みんなじゃないけど……」
「こないだ会った赤ちゃんは?」※1
「いちがつの、にじゅうさんにち」
「すげえ……」
「こないだね、あったとき、きいたの」
「あー」
それなら納得である。
「わたししってるひとで、しがつうまれのひと、いないとおもう」
「じゃあ、××の知らない人か」
「それか、しってても、たんじょうびしらないひと」
「多そうだなあ」
「うん」
誕生日なんて、いちいち尋ねないもんな。
「てことは、誕生日を聞いたことがあって、それをわざわざ覚えてるくらい親密な誰か……」
「げいのうじんは?」
「芸能人も漫画のキャラも誕生日なんて興味ないし」
「うーん……」
しばしの思案ののち、うにゅほが言った。
「むかしなかよかったひと……?」
その瞬間、すべて思い出した。
「──奥山だ!」
「だれ?」
「小学校のときの友達!」
「……あー」
うにゅほが、そりゃ知らんわという顔をする。
「子供のときって誕生会とかやるから、それで覚えてたんだ」
「なるほど」
「──…………」
「──……」
「なんか、すごいどうでもいいことに時間を割いた気がする」
「あはは……」
奥山くん、誕生日おめでとう。
いま何してるのか全然知らないけど。

※1 2018年4月6日(金)参照







694 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:29:25 ID:Vyc36gf60

2018年4月12日(木)

「──4月12日」
「?」
「4月12日ですね」
「きょうも、だれかのたんじょうび?」
「なんかのキャッチコピーみたいだな。今日も誰かの誕生日」
「ほんとだ」
「少なくとも、知り合いの誕生日ではない」
「じゃあ、なんのひ?」
「さあー」
「いってみただけ?」
「言ってみただけ」
「そか」
「日記に書くこと思いつかなくて」
「じゃあ、しらべるやつだ」
「はい、調べてみましょう」
「みましょう」
「今日は何の日、ふっふー」
うにゅほが小首をかしげる。
「うた?」
「……なんだっけ、これ」
「わかんない」
「なんかのテレビだった気がする」
「そなんだ」
そんな会話を交わしながら、Googleで「4月12日」を検索する。
「パンの記念日だって」
「パンのきねんび」
「日本で初めてパンが焼かれた日、らしい」
「へえー」
「パンはパンでも乾パンらしいけど」
「かんパンって、パン?」
「……パンなんじゃない?」
パンよりビスケットに近いと思うけど。
「あと、世界宇宙飛行の日」
「おー」
「ガガーリンが、『地球は青かった』って言った日みたい」
「あ、しってる」
「『だが、神はいなかった』みたいな」
「しらない……」
「あと──、なんだこれ。キカイダーDAY?」
「きかいだーって、へんしんのやつ?」
「だと思う。でも、ハワイの記念日って書いてる」
「ハワイ……」
「ハワイで人気らしいけど、記念日にまでなるってすごいな」
「うん」
いったい何があったのやら。
一年三百六十六日、何事もない日は一日もない。
今日が何の日かを調べるのは、なかなか面白いものだ。







695 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:30:05 ID:Vyc36gf60

2018年4月13日(金)

俺たちの部屋は、整理整頓が成されている。
より正確に言うならば、うにゅほが管理している場所は、と但し書きがつくけれど。
「──…………」
ベッドの足元には折りたたみ式のテーブルがあり、誰が見ても使っていないとわかるテレビが鎮座ましましている。
理由は明白だ。
洗濯済みの俺の衣服が、テレビの前でこんもりと小山を築いているからである。
随分前から思っていたが、この状況はさすがにどうだろう。
俺はテレビにあまり興味がないし、うにゅほはリビングで家族と団欒しながら見るのを好む。
よって、このままでも問題はないのだが──
「……片付けるか」
思い立ったが吉日と言う。
次に思い立つ目処が立たない以上、仮に吉日でなくともすべきことはすべきだ。
綺麗に畳んであるシャツを箪笥へ移していると、
「あ、せんたくものかたすの?」
「まあ、うん。このままじゃテレビも見れないし……」
「てつだうね」
「頼む」
小山の下へ行けば行くほど、服がぐちゃぐちゃになっていく。
うにゅほが畳み、俺が仕舞う。
手分けしながらテキパキ働くと、ほんの五分でテーブルの上が片付いた。
「こんなすぐ終わるなら、さっさとやればよかったなあ……」
「そだねえ」
リモコンを手に取り、テレビを点ける。
「うん、問題なさそうかな」
一年近く点けていなかったが、壊れてはいないようだ。
「ね」
わくわくとした様子で、うにゅほが尋ねる。
「なにみるの?」
「何って……」
特に見たいものがあって片付けたわけではないのだが、そうも言いづらい。
チャンネルを適当に変えていると、
「──あ、火垂るの墓やるって」
「!」
どうやら、亡くなった高畑勲監督の追悼として、火垂るの墓を放映するらしい。
「……見る?」
「みない!」
ですよね。
うにゅほが階下へすたこら逃げてしまったので、テレビを消してチェアへ戻った。
部屋が片付くと、気持ちがいい。
 







696 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:31:29 ID:Vyc36gf60

2018年4月14日(土)

「♪」
少々伸び過ぎた俺の髪を、うにゅほが機嫌よく梳かしていく。
「××さん」
「はーい」
「楽しい?」
「たのしい」
「そう……」
楽しいならいいけど。
「××さん」
「なにー」
「フケとか出てない?」
「だいじょぶ」
「そっか」
「ちょっとしかでてない」
「出てるのか……」
「ちょっと」
フケ対策、してるんだけどなあ。
前髪をいじって長さを確かめながら、呟くように口を開く。
「さすがに、そろそろ切らないとな」
「えー……」
うにゅほが口を尖らせる。
「ながいの、にあうのに」
「長さは、まあ、いいんだけどさ。元が短すぎるだけだし」
一般的に言えば、現時点でもミディアムヘア相当だ。
決して長過ぎるわけではない。
だが、
「……毛量がな」
「もうりょう」
「髪の毛が多すぎて、横に広がってるだろ。それが嫌なんだよ」
「あー」
「切るにしろ、梳くにしろ、一度は床屋行かないと」
「そか……」
最後に髪を切ったのは、たしか去年の十二月だ。
二ヶ月程度ならままあるが、四ヶ月伸ばしたのは初めてのことかもしれない。
急ぐ必要もないが、来週中には床屋へ行くとしよう。
 






697 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:32:20 ID:Vyc36gf60

2018年4月15日(日)

「……今日、寒いなあ」
二の腕を撫でさすりながら、呟く。
「ねー」
膝の上のうにゅほが同意する。
灯油の備蓄が切れて以降、互いの体温で冬の終わりをやり過ごしてきた俺たちだ。
一ヶ月前より、今のほうが暖かい。
それは間違いのない事実である。
だが、
「あれだな。一回甘やかされると、ダメだな」
「あったかかったもんね……」
「寒の戻りってやつかも」
「かんのもどり?」
「春になって暖かくなったのに、また冷え込む日があるだろ。今日みたいに」
「ある」
「花冷えとかリラ冷えとか聞くけど、あれは五月だっけ」
「りら?」
「ライラックのこと」
「らいらっく」
「なんか紫の花」
我ながら適当な説明である。
「ストーブと、くっつくの以外に、部屋あっためる方法ないかなあ」
「んー……」
「なーんか忘れてる気がして」
「エアコンとか?」
「──…………」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「それだ!」
今の今までエアコンの存在を完全に失念していた。
「わすれてたの」
「忘れてたの……」
「そかー」
苦笑されてしまった。
「使うなら、室外機のカバー外さないとなあ」
「はずさないと、どうなるの?」
「たぶん壊れる。排気ができないわけだし」
「じゃあ、はずそ」
「ああ」
室外機のカバーを物置に仕舞い、エアコンの暖房をつける。
「あったかいねえ……」
「雪解けた時点で、さっさと使ってればよかったな」
「でも、くっつくのすきだよ」
「……まあ、うん」
それはそれ、これはこれ。
ちょっと暑いと思いながら、今日もうにゅほを膝に乗せる俺なのだった。
 






698 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/04/16(月) 21:33:13 ID:Vyc36gf60

以上、六年五ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2018年04月17日 18:20  ID:mCdGMtka0
    もう実在する人物なんだろこれ


  • 2  Name  名無しさん  2018年04月17日 18:39  ID:6KLeedsH0
    生存確認


  • 3  Name  名無しさん  2018年04月17日 18:56  ID:Fn.ld01n0
    フレアい日記


  • 4  Name  名無しさん  2018年04月17日 19:13  ID:bnLDjEPB0
    灰色の窓のない部屋で全部口に出しながら書いてそう


  • 5  Name  名無しさん  2018年04月17日 19:19  ID:tlr7oVkz0
    もう片足くらいは幻想入りしてるでしょこの人


  • 6  Name  名無しさん  2018年04月17日 20:16  ID:JSyUJ0Wo0
    ほんとうにきもちわるい


  • 7  Name  名無しさん  2018年04月17日 20:30  ID:n4cGjc.K0
    w


  • 8  Name  名無しさん  2018年04月17日 20:51  ID:MrBrhO4v0
    ヤバイ奴や(※褒め言葉)


  • 9  Name  名無しさん  2018年04月17日 21:45  ID:evJM.Z3o0
    まだまとめてんの、これ?



  • 10  Name  名無しさん  2018年04月17日 21:49  ID:kK2bYY580
    この記事要らんはわ
    アンケートを取ったら99%の人がそう答えるであろう


  • 11  Name  名無しさん  2018年04月17日 21:52  ID:sttBZTHA0
    ちゃんと毎日書いてるっぽいから怖い。


  • 12  Name  名無しさん  2018年04月17日 22:18  ID:bnLDjEPB0
    いざまとめられなくなったら怖いしこのままでいい、たまに読むし


  • 13  Name  名無しさん  2018年04月17日 22:22  ID:oV.42jlm0
    未だに気持ち悪いとかいってる奴いて草


  • 14  Name  名無しさん  2018年04月17日 22:24  ID:evJM.Z3o0
    普通につまらんし要らんやろ
    ヘッドラインに出てきても目障りだし



  • 15  Name  名無しさん  2018年04月17日 22:48  ID:lBdCQoas0
    毎度いらん派といる派でケンカしてて草


  • 16  Name  名無しさん  2018年04月17日 23:12  ID:XJhrdNqU0
    いる派とかいるのか(驚愕)


  • 17  Name  名無しさん  2018年04月17日 23:25  ID:48QWpmf.0
    普通に面白い


  • 18  Name  名無しさん  2018年04月18日 00:01  ID:NjRc5b7I0
    見る人は少ないだろうし俺も見ないけどないとなんか寂しい


  • 19  Name  名無しさん  2018年04月18日 00:06  ID:60tOxJJy0
    まあ目につかなくなったらちょっと助かる


  • 20  Name  名無しさん  2018年04月18日 01:08  ID:TvbPVaH80
    せめて正体だけは知りたい


  • 21  Name  名無しさん  2018年04月18日 07:22  ID:fCrv5VKL0
    ※13
    未だに気持ち悪いに決まってんだろ


  • 22  Name  名無しさん  2018年04月18日 08:50  ID:eRHQ.gq00
    まーた何も作れないキッズが目障りとかいうクソみたいな理由で吠えてんのか


  • 23  Name  名無しさん  2018年04月18日 09:09  ID:ATln4GmH0
    うにゅほじゃなくても文章成り立つ辺り小説家、一歩手前の人の練習もしくはアイデアラフなんだろう
    って思うことにしたら見れるようにはなった
    ・・・まあ文章が微妙に成長していなさそうなのが何とも言えないが


  • 24  Name  名無しさん  2018年04月18日 09:17  ID:d19.PTeI0
    ※22
    ゴミなんか、いくら作ったって目障りにしかならんだろ、常識で考えろ



  • 25  Name  名無しさん  2018年04月18日 09:21  ID:eRHQ.gq00
    ※24
    語るに落ちるつーかなんつーか
    いろいろ体現してますね


  • 26  Name  名無しさん  2018年04月18日 09:29  ID:kBG.p5vl0
    こんなもん創作活動でも何でもないタダの公開オナニーなんだから、普通なら目障りに感じるだろ、そりゃ
    誰だってそー思う、おれもそー思う



  • 27  Name  名無しさん  2018年04月18日 09:30  ID:kBG.p5vl0
    >ID:eRHQ.gq00
    これ書いたご本人様で?


  • 28  Name  名無しさん  2018年04月18日 15:38  ID:EHpefMxN0
    正味、こんなキモい妄想記事なんか延々まとめられても、どうしろと



  • 29  Name  名無しさん  2018年04月18日 15:56  ID:.0DCTQQr0
    見なきゃいいんじゃないですかね


  • 30  Name  名無しさん  2018年04月18日 17:36  ID:PJt7r83.0
    見たい人のためにまとめられてるんだから、見たくない人は無視すればいいだけのことでしょ
    どうもせんでよろしい


  • 31  Name  名無しさん  2018年04月19日 11:32  ID:Mhs.bOCM0
    これ、二次のss系サイトでまとめられてるんなら、別に叩かれてなかったと思う

    それでもまぁ普通につまんないから、どこにうpしても結局誰かに「つまんない」とは言われるかもだけど



  • 32  Name  名無しさん  2018年04月19日 14:53  ID:br7TiDVe0
    もう纏めるなよ


  • 33  Name  名無しさん  2018年04月21日 20:57  ID:CZj52ylM0
    更新されてると安心する
    いや、つまらないけどね


  • 34  Name  名無しさん  2018年04月24日 22:22  ID:sp.hBUC40
    色んな幻想郷があるんですね


  • 35  Name  名無しさん  2018年04月26日 08:48  ID:pa1lIebq0
    こういうこと続けられるのが凄い。俺ならできない


  • 36  Name  名無しさん  2018年04月27日 00:39  ID:AMuV6EHR0
    今更いなくなられても悲しいやん?


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