2018年12月02日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



929 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:06:48 ID:kkSD/K7g0

2018年11月16日(金)

「あ、ねぐせ」
うにゅほが俺の髪を撫でつける。
「ぴこん」
寝癖が跳ねた音らしい。
「それ、直らないんだよ」
「◯◯のかみ、かたいもんねえ」
「いまの長さだと、シャワー浴びても直るかどうか」
「そんなに」
「逆に言うと、その強度の髪に癖がつく睡眠ってすごいよな……」
「なんじかんも、ずっと、だもんね」
「寝癖のつかない寝方のコツとかないのかな」
「うーん……」
「アカシックレコード的なもので調べてみよう」
「べんり」
Googleを開き、寝癖の予防法を検索する。
「……髪を乾かしてから寝る」
「うん」
「乾いてから寝てるんだよなあ」
「ほかにないの?」
「横向きで寝ない、だって」
「よこでねても、ふつうでねても、ねがえりうつきーする……」
「だよなあ」
「ねぐせつかないの、むずかしいね」
「──あ、これはいいかも」
「どれ?」
うにゅほがディスプレイを覗き込む。
「帽子などをかぶって寝る、だって」
「お」
絵本などでよく見るナイトキャップは、そういった用途のものなのかもしれない。
「ちょっと試してみるか」
「ねてるあいだ、とれないかな」
「それはあり得る」
「わたし、おきたとき、ぼうしとれてたら、かぶせる?」
「いや、そのときは素直に諦めよう」
「わかった」
今夜から、帽子をかぶって寝てみよう。
短髪にも効けばいいのだが。








930 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:08:09 ID:kkSD/K7g0

2018年11月17日(土)

「──…………」
朝起きると、帽子が取れていた。
「××、俺、寝癖ついてる?」
「んー」
うにゅほが俺の後頭部を撫でつける。
「ぴこん」
ついていたらしい。
「意味なかったか……」
「そだねえ」
「帽子、どの時点で脱げたんだろう」
「わたしおきたとき、もうとれてた」
「あー……」
昨夜は朝方まで起きていたから、二、三時間で外れたことになる。
「そら寝癖もつくわな」
「うん」
効果の是非に関わらず、そもそもその効果を十全に受けられていないのだから、それ以前の問題である。
「やはり、最終的には寝相の問題に」
「そこかー」
「ま、いいや……」
小さく伸びをして、ベッドから下りる。
「××、ヨドバシ行くか」
「いく!」
即答である。
「なにかいいいくの?」
「デジカメ用のSDカード。父さんに頼まれててさ」
「そか」
興味なさげに頷く。
うにゅほにとって、何を買うかは重要ではない。
ヨドバシカメラに行くこと自体が、既にイベントのひとつなのである。
「……引きこもり気味で申し訳ない」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「××、免許取らないの?」
「めんきょ……」
「ひとりでどこでも行けるぞ」
「むり」
「無理か」
無理では仕方ない。
「あと、ひとりでどこいっても、いみない」
「──…………」
面映ゆいことを言ってくれる。
「なら、しばらくはこのままだな」
「うん、このまま」
うにゅほがそれを望む限り。







931 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:08:57 ID:kkSD/K7g0

2018年11月18日(日)

「……だるい」
「うん」
「眠い」
「うん」
「だる眠い」
「ねよ」
「もう四時なんだよなあ……」
休日が、すべて、睡眠に奪われてしまった。
「これ以上寝ると、腰が痛くなる」
「そか……」
秋から冬へと移り変わる際は、毎年こんなものだ。
「真冬になれば安定するんだけどな」
「うん……」
小さく目を伏せるうにゅほの髪を、手櫛で梳いてやる。
「心配ないさ。慣れてるよ」
この厄介な体を引きずって、ここまで歩いてきたのだ。
今更、思うところもない。
「締め切りのあるものは十月中に全部出せたし、今月はゆっくり休むことにする」
「うん」
「十二月になれば、まあ、体調も戻るだろ」
「……うん」
「そんなことより、今日は外食なんだろ」
「そだよ」
「出掛ける前に、日記書いとくか」
ベッドから下り、PCへ向かう。
「◯◯、にっき、ぜったいやすまないね」
「毎日書くから日記って言うんだぞ」
Wordを起動し、今日の日付を入力したところで、手が止まった。
「──…………」
「?」
「……書くことがない」
「あー……」
理由は単純である。
起きてから、まだ、十分しか経っていないからだ。
「──今日は何の日でしょー、か!」
「あ、なんのひしりーずだ」
「書くことがないもので……」
「うーと、いい、いい……、いい、なんかのひ」
「十一月は、たいてい、"いい◯◯の日"になるよな」
「でも、じゅうはちにち、むずかしい」
「語呂合わせ、ないかもなあ」
検索してみる。
「雪見だいふくの日、だって」
「ゆきみだいふく」
「パッケージを開けたとき、付属のスティックとふたつの雪見だいふくで、18に見えるから──らしい」
「……いち、ちいちゃいね」
「俺もそう思う……」
記念日には、無理のあるものが多い気がする。
 






932 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:09:45 ID:kkSD/K7g0

2018年11月19日(月)

コンビニで、不可解な飲み物を発見した。
「……濃厚ミルク仕立て、クリーミーミルク」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「ミルクじたての、ミルク?」
「そう書いてる」
「それ、ただのミルクのきーする……」
「ごはんにごはんを乗せて、ごはん丼──みたいな何かを感じる」
「それ、おおもりごはん……」
「気になるし、買ってみるか」
「うん」
ハズレだった場合を考慮して一本だけ購入し、イートインスペースに腰を下ろす。
「では、飲んでみます」
「はい」
ストローを挿し、ちゅうとひとくち。
「──…………」
「おいしい?」
「んー」
「まずい?」
「××も飲んでみ」
「うん」
容器ごと差し出すと、うにゅほがストローに吸い付いた。
ちゅー。
「あ、おいしい」
「なんか、あれみたいな味するな」
「どれ?」
「ロッテリアのバニラシェーキ」
「わかるわかる」
「"クリームをブレンドした濃厚ミルクに、アクセントとしてバニラ風味をきかせました"──だって」
「やっぱしバニラなんだ」
「頭痛が痛いみたいな商品名だけど、悪くないな。見つけたらまた買おう」
「そだね」
気になってまんまと手に取ってしまったのだから、これはこれでクレバーな商品名なのかもしれない。
意図したものかどうかは、怪しいところだと思うけれど。







933 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:10:38 ID:kkSD/K7g0

2018年11月20日(火)

窓の外の異音に目を覚ますと、みぞれが降りしきっていた。
「寒いはずだ……」
冬の足音は、激しい。
出遅れたからかもしれない。
「あ、おはよー」
「おはよう」
「さむいねえ」
「問答無用で冬って感じだな」
「きょう、びょういん?」
「病院」
「ふゆようのコート、だしたほういいかな」
「まだ早いんじゃないか」
「そかな」
「気温が氷点下まで行かないと、コート濡れるぞ」
「あ、そか」
雪なら払えばいいが、みぞれではそうは行かない。
「××、あられとみぞれの違いってわかる?」
「わかるよ」
「……わかるの?」
意外だ。
「あられは、こおりのつぶ。みぞれは、あめとゆきがまじったの」
「正解」
「まえ、◯◯いってた」
「あー……」
説明したかもしれない。
「じゃあ、あられと雹の違いは?」
「ひょう?」
「雹も、空から降ってくる氷だろ。定義の違いがあるはずだ」
「うと……」
しばし思案したのち、うにゅほが小さく首を横に振る。
「わかんない」
「正解は、大きさです」
「おおきさ?」
「具体的には忘れたけど、何ミリ以上が雹、未満があられって定義されてる」
「へえー」
「関係ないけど、イルカとクジラの違いも大きさだけだぞ」
「え!」
「たしか」
「……ほんと?」
「聞きかじりだけど、そのはず」
「へえー」
初雪が降ったのなら、そろそろストーブを出すべきだろうか。
エアコンの力不足を感じる今日このごろである。
 







934 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:11:35 ID:kkSD/K7g0

2018年11月21日(水)

「寒い……」
「さむいねえ……」
膝の上のうにゅほを抱きながら、寒さに打ち震える。
「エアコンつけないの?」
「つける」
「じゃあ、つけてくるね」
膝から下りようとするうにゅほを、しかと抱き締める。
「待った」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「考えてみれば、これからもっともっと寒くなるわけです」
「ですね」
「この程度で寒がっていては、真冬の気温に耐えられないのではないでしょうか」
「なるほど……」
「というわけで、エアコン以外の方法で暖を取ってみたいと思います」
「わかりました」
「××、靴下履いてる?」
「はいてる」
「俺は膝あったかいけど、××は?」
「さむい……」
「じゃあ、ブランケットだな」
星のカービィのブランケットを広げ、うにゅほの膝に掛ける。
「これ、さわりごこちよくて、すき」
「いいよな」
「でも、まださむいねえ……」
「次は半纏だな。二人羽織しよう」
「うん」
半纏の紐を解き、うにゅほに覆い被せる。
広い袖に二本の腕が通り、密着感が遥かに増した。
「はー、あったか……」
「だいぶ暖かくなったな」
「うん」
「室温は17℃だけど、外は何度なんだろう」
iPhoneを手に取り、天気アプリを起動する。
「……-6℃?」
「え」
「はーいエアコンつけましょう!」
「そだね……」
半纏を二人羽織にしたまま、のたくたとエアコンの電源を入れる。
北海道はとっくに冬なのだった。







935 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:12:33 ID:kkSD/K7g0

2018年11月22日(木)

両親の寝室から窓の外を覗き見ると、世界が真っ白に染まっていた。
「わあー……!」
「うわ……」
どちらがどちらのリアクションか、いまさら記す必要もあるまい。
「初雪は根付かないけど、今年はさすがに根雪になるかもな……」
「はつゆき、おそかったもんね」
「毎年そんなこと言ってる気もするけど」
「あー」
「そして、結局根雪にならない」
「たしかに」
「なんだかんだ解けるよ、きっと」
「そか……」
うにゅほが残念そうに頷く。
「しかし、いままで力を溜めてたみたいに、一気に降り出したなあ」
「ぼたゆき、すごいね」
「重いぞこれは」
「ぼたぼたしてるから、ぼたゆき?」
「ぼたぼた……」
そんなオリジナルの擬態語を引き合いに出されてもなあ。
「牡丹みたいな雪と書いて、ぼたゆき。牡丹の花びらみたいに、大きく、まとまって降るから、そう名付けられたんだろうな」
「ふぜいがありますね」
「美しい日本語です」
「こなゆきは、こなみたいなゆきだから、こなゆき」
「だな」
「はつゆきは、はじめてふるゆきだから、はつゆき」
「そうそう」
「ゆきむしは、ゆきみたいなむしだから、ゆきむし」
「初雪の降るすこし前に出てくるから、余計に雪を彷彿とさせるんだろうな」
「へえー」
「あれ、本当はアブラムシなんだぞ」
「そなの?」
「たしか、そのはず」
「そなんだ……」
そんな豆知識を披露しながら、自室へ戻ってストーブをつける。
なんとなく"牡丹雪"で辞書を引いてみたところ、"ボタンの花びらのように降るからとも、ぼたぼたした雪の意からともいう"と記されていた。
うにゅほは正しかったのだ。
頭から否定した自分を恥じる俺だった。
 







936 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:13:02 ID:kkSD/K7g0

2018年11月23日(金)

Steamでディスガイア5を購入して以来、ゲーム漬けの毎日が続いている。
「──…………」
「──……」
うにゅほを膝に乗せたまま、延々とレベル上げを行う。
「◯◯」
「んー」
「どのくらいつよくなった?」
「ラスボスワンパンどころか、負けることが事実上不可能になった」
ダメージ食らわないし、勝手に反撃するし。
「まだつよくするの?」
「隠しボスは、もっと強い」
「どのくらい?」
「まだ挑んでないからわからないけど、たぶん億ダメージを出せるようにならないと……」
「おく!」
うにゅほが目をまるくする。
「いま、ひゃくまんくらい……」
「そうだな」
「……ひゃくばいかかる?」
「かからない、かからない。加速度的に成長するから」
「そか……」
「1と2は200時間くらいやったけど、5はどうかな」
「いま、なんじかん?」
「75時間くらい」
「ななじゅうごじかん……」
「……よく考えたら、丸三日もこのゲームやってるのか」
麻痺していたが、すごいことだ。
「にひゃくじかん、いちばんくらい?」
「ゲームのプレイ時間ってこと?」
「うん」
「いや──」
もっと、桁違いにプレイしているゲームがある。
「elonaは、1000時間は軽く……」
「せん」
「1000」
「──……せん!?」
うにゅほが目を白黒させる。
「まじか……」
「マジです」
1000時間。
よくもまあ、そこまで費やせたものだ。
そんな話をしていたら、またプレイしたくなってきた。
やらないけど。
 







937 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:13:35 ID:kkSD/K7g0

2018年11月24日(土)

午睡から目覚め、のろのろと着替えをする。
「きょう、ともだちとのみいくんだっけ」
「そう」
「ふゆだもんね、しかたないね……」
年末になると、忘年会やら何やらで、うにゅほを置いて出掛けなければならないことが多くなる。
こればかりはどうしようもない。
「なんじくらい、かえってくる?」」
「そんなには遅くならないと思うけど……」
「ほんと?」
「はしご酒って相手でもないし」
「そか……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろす。
「おきてていい?」
「いいけど、寒かったらちゃんとストーブをつけておくこと」
「わかりました」
うにゅほが、神妙な顔で頷く。
この反応なら大丈夫だ。
「ココアとコーンスープ、どっちがいい?」
「うと、ココアかなあ」
「了解」
うにゅほを置いて飲みに出掛けた冬の日は、ココアかコーンスープをお土産に買ってくる。
理由は特にない。
ただ、なんとなく続いている習慣だ。
「……免罪符のつもり、なのかもなあ」
「?」
「いや、独り言」
「そか」
自分の気持ちは、自分でもよくわからない。
「じゃあ、行ってきます」
「うん、いってらっしゃい」
うにゅほに見送られ、家を出て──

帰宅したのは午前一時だった。

「──…………」
「……たいへん申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる。
「終電を逃してしまいまして……」
「……ココア」
「は、ここに……!」
まだ温かいココアを差し出す。
「……あんましおそいと、しんぱいするんだからね」
遅くなる旨は連絡してあるが、そういう問題ではない。
「ごめんな」
「うん」
小さく頷いて、うにゅほがココアをひとくち啜る。
「寝るとき、歯磨きし直さないとな」
「うん、わかった」
本当に免罪符になってしまった。
次からは気をつけよう。
 







938 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:14:08 ID:kkSD/K7g0

2018年11月25日(日)

沈みゆく太陽を見つめながら、呟く。
「連休が……終わっていく……」
「そだね……」
「なーんかぼんやり過ごしちゃったなあ」
「ずっとゲームしてたもんね」
「ディスガイアも、育成限界が見えたから、だんだん飽きてきちゃったし……」
ここまで来ると、攻略サイトに書かれている内容をなぞるくらいしか、できることがない。
それはあまりに虚しい作業だ。
「……床屋行けばよかったかなあ」
「かみ、もうきるの?」
「横に跳ねてきたからな」
「ぼうず?」
「これからの季節、坊主はつらいだろ」
「さむいもんね……」
「ツーブロックみたいにしようかと思って」
「つーぶろっく」
「横と後ろを刈り上げて、上は残す──みたいな」
「あー」
「そういう髪型、見たことあるだろ」
「あれ、つーぶろっくっていうんだ」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「にあうかな」
「似合うと思う?」
「うん」
「わからないぞ。コボちゃんみたいになるかも」
「コボちゃん?」
うにゅほが小首をかしげる。
「知らないのか……」
「しらない」
考えてみれば、触れる機会もないものな。
「読売新聞とってたのって、××が来る前だったっけ」
「しんぶん……」
「新聞のテレビ欄の裏には、決まって四コマ漫画が載ってるんだよ」
「へえー」
「小学生のころ、なんでか切り抜いて集めてたっけなあ……」
懐かしい。
まだ連載しているのだろうか。
何故かコボちゃんに思いを馳せる連休最後の夕刻なのだった。







939 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:15:04 ID:kkSD/K7g0

2018年11月26日(月)

「◯◯、◯◯」
「んー?」
うにゅほが、カレンダーを指し示す。
「いいふろのひ」
「いい風呂の──ああ、11月26日だからか」
「うん」
「急にどうしたんだ」
「にっき、かくことないかとおもって」
「あー……」
たしかに。
今日、何もしてないもんな。
「お気遣い、ありがとうございます」
「いえいえ」
ぺこりぺこりと頭を下げ合う。
「かけそう?」
「いい風呂の日だけだと、さすがにパンチが足りないな」
「そか……」
「どうせなら、銭湯へ行くくらいのイベント感が欲しい」
「せんとう、いく?」
「絶対混んでる」
「そだね……」
「銭湯らしい銭湯って、近場にないしな」
「たしかに」
「いまから定山渓とか、そこまでフットワーク軽くないし……」
「じょうざんけいおんせん?」
「行ったことあったっけ」
「ない」
「じゃあ、今度──」
言いかけて、はたと気づく。
「……温泉だと、男湯と女湯で別れるな」
「あ」
銭湯もだけど。
「こんよく……」
「混浴なんてそうないし、そもそも××の肌を他人に見せたくない」
「……うへー」
うにゅほがてれりと笑う。
「まあ、そのうちどっか行くかー……」
「うん」
この漠然とした約束が果たされるのは、雪が解けてからになるだろう。
冬場は引きこもるに限る。
 







940 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:15:32 ID:kkSD/K7g0

2018年11月27日(火)

母親を伴い救急病院から帰宅すると、午前六時を過ぎていた。
そのまま泥のように眠り、起床したのち、蚊帳の外だった弟に事の次第を説明する。
「朝の四時半くらいに父さんに起こされてさ。母さん、蕁麻疹が出たって言うんだよ」
「蕁麻疹……」
「ブツブツはできてなかったけど、とにかく両手が痒いんだって」
「てー、あかくなってた」
「で、俺と××で救急病院連れてって、診察してもらったんだ」
「……××、大丈夫だったの?」
「大丈夫じゃなかった。ずっと半泣きだった」
「やっぱり」
「うへー……」
うにゅほが苦笑する。
「で、原因はなんだったのさ」
「さばだって」
「鯖って、夕飯の鯖の味噌煮?」
「うん」
「もともと体調が悪いところに、あたりやすい鯖を食べたのがよくなかったらしい」
「あー……」
ヒスタミン中毒、というやつである。
「あれるぎーのくすりと、かゆみどめもらった」
「それでひとまず様子見だってさ」
「俺が寝てるあいだに、そんなことがあったんだ……」
「のんきにぐーすか寝やがって」
「あとから言うなよ」
弟が、不満げに口を尖らせる。
「冗談、冗談。起こしても杞憂になりそうだったからな」
「××は起きちゃったのか」
「おきちゃった」
「父さん声でかいし」
「わかる」
「症状が悪化するようならまた病院って話だったけど、快方に向かってるみたいだし、たぶん大丈夫じゃないかな」
「そっか」
弟が、ほっと息を吐く。
なんだかんだと心配ではあったのだろう。
「それより、俺の生活サイクルが狂いそうなのが問題だ……」
「それはどうでもいい」
俺には冷たい弟なのだった。







941 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:16:06 ID:kkSD/K7g0

2018年11月28日(水)

「──…………」
ずぞ。
鼻を啜る。
すこぶる喉が痛かった。
「……はい、風邪を引きました」
「!」
うにゅほが俺に抱きつき、すんすんと鼻を鳴らす。
「ほんとだ……」
「風邪の匂い、するか」
「する」
うにゅほは、俺の体調を、匂いで検知することができる。
曰く、ラムネと何かが入り混じったような匂いがするらしい。
「まっててね」
そう言い残し、うにゅほが階下へ駆けていく。
しばらくして戻ってきたうにゅほの手には、体温計と風邪薬、サージカルマスクが握られていた。
「ねつ、はかりましょう」
「あい」
素直に熱を測る。
36.8℃
「あるような、ないような……」
微妙なところだ。
「くすりのんで、ねましょうね」
「はい」
風邪薬を飲み、マスクを装着し、ベッドに潜り込む。
「……××も、マスクな」
「うん」
まだ母親も完治していないのに、ふたり揃って倒れては事である。
「どこでもらってきたんだろう……」
「きのう、きゅうきゅうびょういんかなあ」
「いや、風邪には潜伏期間がある。だから、二、三日くらい前の──」
「あ、のみいったとき?」
「それだ」
地下鉄か居酒屋かはわからないが、近くに風邪を引いた人がいたのだろう。
「人混みのある場所に行くときは、マスクしたほうがよさそうだなあ……」
「ね」
風邪は、予防が大切である。
引いてからでは遅いのだ。
 







942 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:16:53 ID:kkSD/K7g0

2018年11月29日(木)

引き続き、風邪を引いている。
腋窩で電子音を鳴らす体温計を引き抜き、表示盤を確認する。
37.4℃
「熱が上がってきた……」
「びょういん、いこ」
「病院……」
ごろんと寝返りを打ち、うにゅほに背中を向ける。
「いきたくない?」
「着替えて、運転して、一時間待って、診察して、ようやくもらえるのがただの風邪薬だからなあ……」
インフルエンザじゃあるまいし、普通の風邪で病院へ行くのは馬鹿らしい。
「寝てれば治る、寝てれば」
「そか……」
「……心配かけて、ごめんな」
「うん」
どうにも病弱な肉体である。
もうすこし丈夫に生まれつきたかったが、こればかりはどうしようもない。
配られたカードで勝負するしかないのだ。

幾度も眠り、幾度も目覚め、浅い夢を繰り返す。
「──…………」
寝癖の跳ねた髪の毛を撫でつけながら上体を起こすと、うにゅほが座椅子で寝落ちしていた。
その手には、昨日も飲んだ風邪薬の小箱が握られている。
うにゅほを起こさないように小箱を抜き取り、洗面所でカプセルを飲み下す。
そこで、ようやく気がついた。
「……これ、鼻炎の薬だ」
くしゃみ、鼻水、鼻づまりと書いてあるから、うにゅほが間違えたのだろう。
慌ててたのかな。
微笑ましい気分になって、薬の小箱をポケットに突っ込んだ。
気がつく前に隠してしまおう。
丸一日眠り眠って、体調もだいぶ良くなった。
だが、油断は禁物だ。
しばらくは安静にしておこうと思った。
 







943 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:17:50 ID:kkSD/K7g0

2018年11月30日(金)

「──ごほッ! こほ、ごホッ!」
鼻水に加え、咳まで出始めた。
「びょういん……」
「いや、──こほッ、熱は下がったから……」
「そだけど」
温湿度計を覗き込む。
湿度43%
すこし低めだ。
「加湿、しとくか」
「うん」
加湿空気清浄機からタンクを抜き取り、側面下部にあるトレイを取り外す。

──バリッ!

「あー……」
「すごいおとした」
乾いた汚れが貼り付き、天然の接着剤と化していたらしい。
うにゅほがトレイを覗き込み、呟く。
「きたない……」
「去年もこんな感じで、こほ、浸け置き洗いしたんだったな」
「うん」
「たまに掃除すればいいんだろうけど、つい忘れちゃうんだよなあ……」
「ねー」
洗面所に湯を張り、洗剤を混ぜてトレイを入れる。
「一時間くらいでいいかな」
「そしたら、わたし、スポンジでこするね」
「頼──ゴホッ、頼む」
「うん」
トレイを浸け置きしたあと、階段を下りて玄関へ向かう。
「◯◯?」
「んー」
「どこいくの?」
「コロの墓」
「あ、そか」
今日は、愛犬の命日である。
「風邪引いてなければ、ジャーキーでも買ってきたんだけどな……」
「おまいりしたら、すぐはいろうね」
「ああ」
庭の墓石にさっと手を合わせ、体が冷えないうちに自室へ戻る。
年を追うごとに、墓参りの時間が短くなっていく。
愛犬の記憶も、既に遠い。
悲しみが癒えることに一抹の寂しさを感じる冬の一日だった。
 





944 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2018/12/02(日) 00:18:49 ID:kkSD/K7g0

以上、七年め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2018年12月02日 19:34  ID:fB1TCo9T0
    ヤバい奴や(褒め言葉)


  • 2  Name  名無しさん  2018年12月02日 19:34  ID:XgATXwg10
    この記事タイトルだけで吐き気がする


  • 3  Name  名無しさん  2018年12月02日 19:57  ID:MobkCVqQ0
    ??「ここで射命丸選手が自機で出せるっていうのが天狗勢の強みだと思うんですよね
    やはり新聞記者っていうのは非常に重要で、このふんわりした異変、誰も重要なポジションからキャラを絡ませたくないんですよ
    でも新自機がチルノでしょ、日焼けに集中したいんだけれども、射命丸選手が自機にいるとどうしてもそこを考えなくちゃいけない
    非常に、実際に使えるかどうかとはまた別に、大きなファンの期待をこの射命丸選手がこのタイミングで出てくることで
    感じてるんだと思いますねぇ。あ、ここで一面クリアですねえ、こうなんですよねぇ、妖怪勢には射命丸選手のフットワークって言うのがあるからこs」


  • 4  Name  名無しさん  2018年12月02日 20:17  ID:laNfWRHw0
    今回もエロは無し…か……


  • 5  Name  名無しさん  2018年12月02日 20:45  ID:61SSSqRO0
    もう7年か


  • 6  Name  名無しさん  2018年12月02日 20:54  ID:UWLUpMbe0
    7年で草
    10年いきそう


  • 7  Name  名無しさん  2018年12月02日 20:57  ID:.VO2eB9N0
    この日記真面目に読んでるやついるの?


  • 8  Name  名無しさん  2018年12月02日 21:10  ID:.cFUONIP0
    作者マジヤバイ。7年あったら小6が大学受験する年になるんだぞ?マジヤバイって


  • 9  Name  名無しさん  2018年12月02日 21:16  ID:MALJfBxg0
    まあ、コレが気持ち悪く感じる人にはそれこそ「嫌なら見るな」が通ってしまうんでしょうなぁ


    けど、タイトル記事がチラつくだけで気持ち悪いんだよコレ。
    それこそ、意図しないところでタイトルが目に入ってしまうものだからタチが悪い








  • 10  Name  名無しさん  2018年12月02日 22:22  ID:tFw35YMD0
    毎回気持ち悪いって言ってる人達いて草
    なんだかんだで来てしまうんだなぁ


  • 11  Name  名無しさん  2018年12月02日 22:34  ID:MALJfBxg0
    ※10
    ※9の者だが、怖いもの見たさじゃないかね?
    事実、自分もそれで来た


  • 12  Name  名無しさん  2018年12月02日 23:00  ID:EnQVmaU70
    このシリーズのコメント欄を見に来るのが楽しみなワイです。


  • 13  Name  名無しさん  2018年12月02日 23:05  ID:sRGmYr6I0
    作者早く4ね


  • 14  Name  名無しさん  2018年12月02日 23:20  ID:Yq8NXYUt0
    7年行ったのか・・・


  • 15  Name  名無しさん  2018年12月02日 23:40  ID:.BlNW3cT0
    まだやってんのかよこれw


  • 16  Name  名無しさん  2018年12月02日 23:42  ID:zIPwFk2D0
    継続すげえな・・・としか


  • 17  Name  今どきの念写記者 はたて  2018年12月03日 00:48  ID:.T5vJK2H0
    何処にでも主はいますよ
    オタコムのごりまん(ゴミ)
    ひまわりの神ナナミ氏

    嫌韓系とかにも…

    温かく見守っていきましょう


  • 18  Name  名無しさん  2018年12月03日 01:00  ID:oqBHtvLs0
    どういうことだろうと


  • 19  Name  名無しさん  2018年12月03日 01:25  ID:i8fSyoPd0
    何度見てもすごいわ・・・
    どこまでいくんだろうなぁ


  • 20  Name  名無しさん  2018年12月03日 03:32  ID:4G2XYCax0
    ××って何だっけ
    最近知って流し読みしてるだけだから分からん


  • 21  Name  名無しさん  2018年12月03日 06:07  ID:7b6fSt280
    ちんこじゃない?


  • 22  Name  名無しさん  2018年12月03日 06:46  ID:Cfj9xXIx0
    考察ポイント
    ・「免許取らないの?」と聞いていることからうにゅほ(××)は少なくとも16歳設定
    ・行きたいところに温泉を挙げ、断る理由が「他人に肌を見せたくない」という点から少なくとも一緒の風呂には忌避感がないとわかる 従って一緒の風呂またはやることやってる可能性


  • 23  Name  名無しさん  2018年12月03日 07:51  ID:85O52gQS0
    一回だけ読んだことあるけど山もオチもなくて1ミリも面白くなかった
    ただただキモい妄想伝だしこのタイトル何度も見かけてたら空が嫌いになってきた


  • 24  Name  名無しさん  2018年12月03日 08:04  ID:zagUbhPg0
    >>23
    日記ってそういうもんじゃね?


  • 25  Name  名無しさん  2018年12月03日 08:53  ID:eZbCG9GK0
    恐怖と敬意は割と近い感情なのだと気がついた


  • 26  Name  名無しさん  2018年12月03日 11:42  ID:9m4xmjp80
    「◯◯、にっき、ぜったいやすまないね」
    「毎日書くから日記って言うんだぞ」
    Wordを起動し、今日の日付を入力したところで、手が止まった。
    「──…………」
    「?」
    「……書くことがない」
    「あー……」

    これでもなんかしら書くっていうね


  • 27  Name  名無しさん  2018年12月03日 12:09  ID:M.dcwmdL0
    すごく面白い訳ではないけど正直毎回楽しみにしてる


  • 28  Name  名無しさん  2018年12月03日 12:35  ID:PmVTOfUU0
    >>24
    ただの日記なら掲載する必要無くね


  • 29  Name  名無しさん  2018年12月03日 14:08  ID:AjQ8f1mW0
    もう勘弁してくれ


  • 30  Name  名無しさん  2018年12月03日 19:13  ID:Yb15RwXN0
    賞賛コメントは全て作者の自演
    このクソ作者自分のブログで静かにやってくれ


  • 31  Name  名無しさん  2018年12月04日 02:36  ID:oBSwPxWQ0
    これもうタルパだろ


  • 32  Name  名無しさん  2018年12月04日 03:21  ID:U5QIVqxP0
    こういうぶっ飛んだものに継続力がある人好感持てる。


  • 33  Name  名無しさん  2018年12月05日 00:53  ID:YeuoYcwi0
    見たくないのに、まとめられるせいで嫌でもスレタイが目につく
    マジで、何が面白くてこんなの毎回まとめてるんだ



  • 34  Name  名無しさん  2018年12月05日 17:33  ID:kSng.FzY0
    愛は十分伝わってる


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