2019年03月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



53 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:01:34 ID:GM09R3J20

2019年3月1日(金)

コンテカスタムのハンドルを握りながら、助手席のうにゅほに話しかける。
「雪、だいぶ解けたな」
「さいきん、あったかかったもんね」
アスファルトの上にあれほど積み重なっていた雪は姿を消し、もうハンドルを取られることも、横滑りすることもない。
「雪かきの季節ともお別れか」
「ざんねん」
「俺は、まあ、嬉しいけど……」
「わたしも、まあ、うれしいけど……」
俺の言葉を真似したうにゅほが、いたずらっ子の笑みを浮かべる。
「あ」
「あ」
「あいうえお」
「あいうえお」
「赤巻紙青巻紙黄巻紙!」
「あかまみ、き、まきまみ!」
「言えてない、言えてない」
「うへー……」
あ、笑って誤魔化した。
「まきがみって、なに?」
「さあ……」
「○○も、しらない?」
「早口言葉なんて、だいたいが意味のない言葉の羅列だと思うぞ」
「となりのかきは、よく──」
「隣の柿?」
「きゃく!」
「客な」
「となりのきゃくは、よくかきくうきゃくだ」
「日常風景だな」
「たけやぶやけた」
「それ、早口言葉じゃない」
「そだっけ」
「逆から読んでも、竹やぶ焼けた」
「あ、かいぶんだ」
「そうそう」
「しんぶんし」
「他には?」
「トマト……」
「だんだん短くなってるぞ」
「あんましらない」
「俺も知らない」
「○○もしらないんだ」
「俺はWikipediaじゃないぞ」
「そだけど」
車内でそんな会話を交わしながら、安全運転でホームセンターを目指すのだった。








54 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:02:09 ID:GM09R3J20

2019年3月2日(土)

両手を揉むように擦り合わせながら、呟く。
「……今日、寒くない?」
「そかな」
「寒いと思うんですが」
「あったかいとおもう……」
「マジで」
「うん」
温湿度計を覗き込む。
「21℃……」
「ね」
ファンヒーターに頼らずにこの室温なのだから、うにゅほの言うとおり、今日は暖かな日和なのだろう。
「……じゃあ、なんでこんな寒いんだ?」
「かぜ?」
「風邪の匂い、する?」
「んー……」
うにゅほが俺の胸元に顔を埋め、すんすんと鼻を鳴らす。
「しない」
「じゃあ、風邪でもないのか」
「たぶん……」
小首をかしげながら、うにゅほが俺の手を取る。
「つめた!」
「なんか冷えるんだよな……」
「あしは?」
「足も」
「くつしたはかないと」
「……いつもと逆だなあ」
「そだね」
うにゅほが持ってきてくれた靴下を履くと、すこし寒気が治まった。
今日に限ってどうして末端が冷えるのかはわからないが、そういう日もあるだろう。
「○○、てーだして」
「はい」
うにゅほの小さな手のひらが、俺の右手を包み込む。
「あったまれー……」
すりすり。
「──…………」
先に心があったまる俺だった。







55 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:02:49 ID:GM09R3J20

2019年3月3日(日)

桃の節句──つまるところ、ひな祭りである。
「××、ひな祭りおめでとう!」
「ありがとー」
うにゅほがてれりと笑う。
「──…………」
「?」
「ひな祭りって、そういうものだっけ」
「わからん……」
「ところで、なに持ってるんだ?」
「これ?」
手に持っていた袋を、こちらへと差し出してくれる。
「こんぺいとう。たべる?」
「食べる」
こんぺいとうを受け取り、ひとつぶ口に放り込む。
甘い。
「ひな祭りなのに、ひなあられじゃないんだな」
「なんか、こんぺいとうだった」
「せっかくのひな祭りだし、あとでケーキでも買いに行くか」
「あ、だいじょぶ。おかあさん、ケーキかってきてくれた」
「おー」
できる母である。
「あとね、ばんごはん、いなりずし!」
「ハレの日だもんな」
「てんき、かんけいあるの?」
「いや、その"晴れ"じゃなくて、特別な日って意味」
「へえー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「ひなまつり、とくべつだもんね」
「熊のお雛さまも出しておくか」
「うん!」
熊のお雛さま。
それは、ずいぶん以前に百円ショップで購入した陶器製の雛人形のことだ。
落として壊してしまい、首だけの姿となっても、いまだうにゅほの寵愛を一身に受けている。
「新しいお雛さまは──」
「いらない」
「ですよね」
この通りである。
引き出しから取り出した雛人形を本棚に飾ると、うにゅほが満足げに頷いた。
本人が気に入っているのだから、まあいいか。
 






56 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:03:21 ID:GM09R3J20

2019年3月4日(月)

弟の部屋やリビングでばかりゲームをするのが窮屈に思えて、スイッチ用のディスプレイを購入した。
届いた際の、うにゅほの第一声が、
「──でか!」
だった。
「これ、なんインチ……?」
「43インチです」
届いてから、俺も改めて思った。
でかい。
これはでかい。
「どこおくの?」
「小箪笥と冷蔵庫の上、片付けて置こうかと」
「そこしかないねえ……」
「でも、問題がひとつあってさ」
「?」
「このディスプレイ、スタンドが両端にひとつずつあるタイプなんだよな」
「うん」
「小箪笥と冷蔵庫、高さが違う」
「あ」
理解したらしい。
「このままおくと、ななめなるね……」
「小箪笥のほうが低いから、何か噛ませて高さを合わせないと」
「なにがいいかなあ」
「とりあえず、ジャンプで試してみよう」
「あ、いいかも」
小箪笥の上に、今週のジャンプを設置する。
「……ちょっと厚い」
「だめかー」
「本で、いろいろ試してみよう」
「うん」
本棚にある分厚い本を、片っ端から挟んでみる。
すると、
「──"狂骨の夢"だと、ちょうどいいな」
「きょうごくなつひこ」
「でも、あんま小説は下敷きにしたくないなあ。同じ厚さのものがあればいいんだけど」
「あるかな」
「うーん……」
ふと、あるものが目に留まる。
「……高校の卒業アルバム、同じくらいの厚さじゃない?」
「ほんとだ、おなじくらい」
「これにしよう」
「いいの?」
「捨てるわけじゃないし……」
卒業アルバムを噛ませると、ディスプレイが見事に水平になった。
「よし、さっそくカービィでもやるか!」
「やる!」
大画面でプレイする星のカービィは、たいへん迫力があった。
すこし大きすぎるかとも思ったが、買ってよかった。







57 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:03:52 ID:GM09R3J20

2019年3月5日(火)

「○○ー!」
母親と買い物に出ていたうにゅほが、元気いっぱい帰宅した。
「おかえり」
「ただいま! プリンかってきた!」
「お」
うにゅほが手にしていたのは、"カスタード風プリンBIG"と書かれた、かなり大きめのプリンだった。
「カスタード、風……?」
「こんにゃくこ、はいってるんだって」
「へえー」
「はんぶんずっこしてたべよ」
「こんにゃくゼリーみたいな食感なのかな」
「かも」
さっそく蓋を剥がし、プラスチックスプーンを突き立ててみる。
「思ったより硬くない。普通だ」
「たべてみて!」
「ああ」
こんにゃく粉の入っているプリンということで腹持ちはいいだろうし、確認したところカロリーも控えめだ。
なにより、容器の底にカラメルの姿がないのが素晴らしい。
期待に胸を膨らませながら、こんにゃく粉入りカスタード風プリンをひとくち食べる。
「──…………」
「おいしい?」
「うん……」
「おいしくないかー……」
表情でバレた。
「食べてみ」
プリンをひとすくい、うにゅほの口元へと差し出す。
「あー」
ぱく。
「……なんか、あとあじにがい」
「これ、カラメルが生地に混ぜ込んである」
「そんなあじする……」
「あーもー、どうしていらんことするかなあ!」
俺は、プリンのカラメルが好きではない。
とは言え、甘みをより引き立てるためのアクセントであるとか、同じ味では飽きるから変化が欲しいだとかは、共感できなくとも理解はできる。
だが、
「混ぜ込んでしまったら、アクセントも味の変化もないじゃないか……」
食感がよかっただけに、本当に口惜しい。
「……○○、ごめんなさい」
「あ、いや、こっちこそ、買ってきてもらったものに文句つけて──」
「あとね、よんこある」
「──…………」
「かいすぎた……」
「……家族みんなで食べよう」
「うん……」
買い込むときは、味を確認してからにすべきである。







58 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:04:17 ID:GM09R3J20

2019年3月6日(水)

「た」
お風呂上がりに爪を切っていたうにゅほが、小さく声を上げた。
振り返ると、親指の端を唇に当てている。
「どした?」
「ふかづめした……」
「見せてみ」
「うん」
指先の唾液を拭ったあと、うにゅほがこちらへ右手を差し出す。
「あんまり深爪って感じしないけど……」
「うーとね、みぎての、おやゆびの、そとがわ」
「……あー」
言われてみれば、少々深い。
「そこ、いつもきりすぎちゃう……」
「オロナイン塗っとこう」
「おねがいします」
デスクの引き出しからオロナイン軟膏を取り出し、患部に擦り込む。
「絆創膏は──まあ、いいか」
「うん、そこまでは」
「深爪、俺もよくやるから、気をつけないと」
「しろいとこ、すこしのこさないとね」
「つい、あのラインから切っちゃうんだよな……」
「そう」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「あれ、めじるしだとおもってた」
「俺も」
「いっしょだ」
「一緒だな」
「うへー」
「深爪って、巻き爪の原因になるらしいから、ほんと気をつけないと」
「こわいね……」
「足の爪、切ってやろうか?」
「ありがと」
「ある程度伸びたら、そこで止まってくれればいいのになあ」
「ほんとね」
そんな会話を交わしながら、うにゅほの足の爪を切る。
べつに足フェチではないのだが、なんだか役得のような気もするのだった。







59 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:04:42 ID:GM09R3J20

2019年3月7日(木)

「○○、あーん」
「あー」
口のなかに、うにゅほ謹製のトリュフチョコレートが放り込まれる。
幸せの味だ。
「バレンタインも、そろそろ終わりかあ……」
ダイエットを理由に、うにゅほからのバレンタインチョコレートを一日一個に制限して早三週間。
そろそろホワイトデーが見えてきた。
「残り、あと一個だっけ」
「さいごだよ」
「えっ」
「いまのでさいご」
「マジか」
「まじ」
「マジか……」
気分が落ち込むのを自覚する。
自分で思っていた以上に、毎日のチョコレートタイムを楽しみにしていたらしい。
うにゅほが苦笑する。
「またつくるから」
「お願いします」
「うへー」
「あ、そうだ。ホワイトデーのリクエストとかある?」
「ホワイトデー……」
「まだ用意してないから、欲しいものがあればそれにするけど」
「うーと」
しばし思案し、
「……○○の、てづくりがほしい」
「手作りか」
「うん」
「昔はケーキとかたまに作ってたけど、最近はなあ……」
「だめ?」
「──いや、何か考えとく。××のチョコレートに報いないと」
「やた!」
ホワイトデーまで、あと一週間。
何をするにも準備が必要だ。
急がねば。







60 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:05:07 ID:GM09R3J20

2019年3月8日(金)

「あ」
ふと顔を上げたうにゅほが、唐突に言い放った。
「サンバのひ!」
「サンバの日……」
「さんがつようかだから、サンバのひ」
「あー、それっぽいそれっぽい。日本サンバ協会とかありそう」
「じしんある」
「調べてみるか」
「うん」
キーボードを叩き、Wikipediaを開く。
「国際女性デー」
「うん」
「ミモザの日」
「みもざ?」
「なんか、こう、花……」
「へえー」
「みつばちの日」
「みつと、はちで、みつばちだ」
「これは上手いな」
「うん、うまい」
「みやげの日」
「みーと、やーで、みやげ」
「エスカレーターの日」
「それは、ちょっとわかんない」
「サワークリームの日」
「……ちょっとくるしい?」
「俺もそう思う」
「サンバのひ、まだ?」
うにゅほがディスプレイを覗き込む。
「──…………」
「──……」
「サンバのひ、ない……」
うにゅほが、がっかりと肩を落とす。
「××、落ち込むのはまだ早い」
「?」
マウスを動かし、ある文字列を選択する。
「母子と助産師の日」
「ぼしとじょさんしのひ……」
「助産師のことを、昔は"産婆"と呼んでいたんだ」
「さんば」
「つまり、産婆の日」
「サンバのひ!」
「その通り」
「あってた!」
「合ってたな」
「うへー」
なんでもないことで笑い合える。
それは、とても幸せなことだと思うのだった。
フラグじゃないぞ。







61 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:05:47 ID:GM09R3J20

2019年3月9日(土)

「──…………」
チェアの上で液体状になりながら、ぼんやり動画を眺めていると、気づけばとうに日が暮れていた。
「……いけね、もうこんな時間か」
「おつかれですねえ」
「お疲れかも……」
「かた、おもみしますか?」
「お願いします」
「はーい」
握力のないうにゅほの両手が、やわやわと俺の肩を揉む。
効きはしないが、心地いい。
「今週、そんなに忙しくなかったんだけどなあ……」
「うん」
「なのに、どうして疲れるんだか」
「きのう、えあろばいくのった?」
「××の目の前で乗ってたと思うけど……」
「ちがくて」
あ、これは。
「わたしねたあと、のった?」
「……はい」
「やっぱし……」
うにゅほが小さく溜め息をつく。
バレていたらしい。
「いやー、体重が思うように落ちなくなってきたから、つい……」
「がんばりすぎ、よくないんだよ」
「……はい」
わかってはいるのだが、気が逸る。
「ホエイプロテインじゃなくて、ソイプロテインにしようかなあ」
「おいしいの?」
「美味しさの違いじゃなくて、原材料の違いだな」
「げんざいりょう」
「ホエイプロテインは、牛乳。つまり動物性タンパク質」
「そいは?」
「大豆」
「へえー」
「ホエイは筋肉をつけるのに、ソイは体重を落とすのに適してる」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「◯◯、がっしりしてきたもんね」
「そうなんだよ……」
脂肪の下で、筋肉が主張を始めている。
「もともと筋肉つきやすい体質だからなあ」
いまや、ちょっとしたプロレスラーのような体型だ。
目指していた方向とは、すこし違う。
「いま飲んでるプロテインが切れたら、ソイに切り替えて様子を見よう」
「がんばりすぎ、だめだからね」
「はい……」
俺のダイエットはまだ始まったばかりである。







62 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:06:33 ID:GM09R3J20

2019年3月10日(日)

午前六時過ぎ。
「──…………」
呼吸のリズムが変わると同時、うにゅほの目蓋がパチリと開いた。
「……◯◯ぃ……?」
「はい」
目元をくしくしこすりながら、うにゅほが上体を起こす。
「うふぁおー……」
「おはよう」
「もしかして、ねてない……?」
「眠れなくて」
「そか……」
「……生活サイクル、だいぶ崩れてきたなあ」
「でも、ねれないの、しかたないもん」
「いまから寝ても、さらにずれ込むだけだろうし……」
困った。
時間の融通がきく仕事とは言え、昼夜が完全に逆転してしまっては、さすがに不都合も出てくる。
「……仕方ない。荒療治をするしかないか」
うにゅほが小首をかしげる。
「あらりょうじ?」
「いっそのこと、寝ない!」
「ねないと……」
「語弊があったな。一睡もしないわけじゃない。ただ、仮眠程度で済ませようかなって」
「ちゃんとねないの?」
「ちゃんと寝ない」
「ねないと……」
「いや、この荒療治は、睡眠不足の状態で夜を迎えるのが味噌なんだ」
「あ、ねぶそくだから!」
「そう。寝不足だから、ぐっすり眠れるはず」
「なるほどー」
「というわけで、まだまだ夜更かしするぞ!」
「あさだから、あさふかしだね」
「昼になったら?」
「ひるふかし?」
「もう、わけがわからないな」
「そだね」
くすくすと笑い合う。
その後、昼過ぎに二時間ほど仮眠して、いまに至る。
ほどよく眠気があるので、今日はしっかりと睡眠が取れそうだ。







63 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:07:10 ID:GM09R3J20

2019年3月11日(月)

「んッ──……」
大きく伸びをして、口を開く。
「ひとまず、生活サイクルは元に戻ったかなあ」
「きのう、なんじねたの?」
「三時過ぎくらい」
「おー」
それでも十二分に遅いが、日が昇ってからようやく床に就くよりマシである。
「早めに起きたから、ちょっと眠いや」
「ねたら、よるねれなくなるきーする」
「頑張って起きてよう」
「うん」
仕事部屋にしている和室へ赴き、本日の仕事に取り掛かる。
仕事中は問題ないのだが、いったん休憩に入ると、意識が飛びかける。
「──…………」
「◯◯、◯◯」
「!」
うにゅほに腕をぽんぽんと叩かれ、はっと意識を取り戻す。
「ねてた?」
「寝てた……」
「ねるなら、ちゃんとねないと、かぜひくよ」
「いや、頑張る」
「そか……」
「顔洗ってくる」
「うん」
顔をすすいで、自室へ戻る。
「よし、シャキッとしたぞ!」
「あ、めーあいた」
「眠いときは、冷水を顔に浴びせるに限るな」
「そだねえ」
しばらくして、
「──…………」
「◯◯、◯◯」
「!」
うにゅほに頬をぺちぺち叩かれ、はっと意識を取り戻す。
「ねてた?」
「寝てた……」
「ちゃんとねよ」
「……三十分だけ、そうする」
「うん」
仮眠をとったあとは、眠気に負けることはなかった。
明日は定期受診の日だ。
早めに寝よう。







64 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:07:50 ID:GM09R3J20

2019年3月12日(火)

月に一度の定期受診の帰り、あまり行かないスーパーマーケットへと立ち寄った。
「なんかここ、すこし高級感あるよな」
「わかる」
「見たことない商品多いし……」
「あと、ちょっとたかい」
高級スーパーというほどではないのだろうが、非日常感があって面白い。
「なにかうの?」
「おやつ代わりにチーズでも、と思ったんだけど──」
乳製品のコーナーにずらりと並ぶ、見たこともない商品たち。
「さけるチーズ、ベーコン味なんてあったんだ」
「はじめてみた……」
「買ってみよう」
「うん」
さけるチーズをカゴに入れ、周囲を見渡す。
「あ」
「どした?」
「さけそうなチーズ、あった」
「さけそう……」
うにゅほが、その商品を手に取る。
「モッツァレラチーズ、さけるタイプ、だって」
棒状のチーズが三本ほど封入されたパッケージには、「十勝の自然の恵みをお届けします」と書かれている。
「美味しそうじゃん」
「ね」
「いくら?」
「うーと、さんびゃくはちじゅうはちえん……」
「たっか」
「おたかい……」
「でも買おう。気になるし」
「いいの?」
「実家住まいの社会人だもの。それくらいのお金はあります」
「そか」
二種類のストリングチーズを購入し、帰宅する。
「では、さっそく」
388円のストリングチーズを開封する。
「なんか、しっとりしてる」
「さけるチーズより、だいぶ柔らかいな」
裂いたチーズを口に入れる。
「──あ、美味い」
「おいしい!」
「牛乳の味が残ったチーズって感じがする」
「そんなかんじするね」
「今度、また買ってこようか」
「うん!」
さけるチーズのベーコン味は、それなりの美味しさだった。
期待以上でも以下でもない味だったため、詳細は省く。







65 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:08:15 ID:GM09R3J20

2019年3月13日(水)

「──…………」
「──……」
ふたり並んで腹部を押さえる。
「おなか痛い……」
「わたしも……」
「……お互い大変ですね」
「そうですね……」
理由は違えど同じ腹痛同士、妙な連帯感を覚える。
「◯◯、げり?」
「いや、下ってはいないんだけど……」
「べんぴ」
「便秘はなった覚えがないなあ」
「え、ないの?」
「二日とか三日とか、ひどいのはないと思う」
「そなんだ……」
あったのかもしれないが、記憶はない。
忘れているのかもしれない。
「おなかなでる?」
「いや、××も痛いんだし……」
「じゃあ、じゅんばんね」
うにゅほが俺の腹部に手を這わせる。
「──…………」
「──……」
なで、なで。
「にく、ついたねえ」
「はい……」
ダイエット、頑張らなければ。
しばしして、
「じゃあ、交代な」
「おねがいします」
うにゅほの腹部に手を触れる。
「うひ」
なで、なで。
「ほー……」
「腹巻き、まだ使ってるんだな」
「うん」
「俺があげたやつ?」
「そだよ」
「もう、七年くらい使ってるんじゃないか?」
「たぶん……」
うにゅほは物持ちがいい。
俺がプレゼントしたものに限らず、なんでも大事にとっておく。
「つぎ、わたしのばんね」
「お願いします」
こうして、互いのおなかを撫であいながら、なんとか腹痛をやり過ごしたのだった。
 







66 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:08:44 ID:GM09R3J20

2019年3月14日(木)

ホワイトデーである。
「えーと……」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「××のリクエストは、"俺の手作り"だったよな」※1
「うん!」
その目が期待に輝いている。
「……実は、プレゼントを決めるのにも、作るのにも、すこし時間が足りなくて」
「──…………」
「だから、前に作ったもので悪いんだけど──」
小さな紙袋を、うにゅほに手渡す。
「これでなんとか」
「あけていいですか?」
「どうぞ」
かさり。
うにゅほが、紙袋の中身を取り出す。
「あ、これ!」
「見覚えある?」
「ある!」
それは、ずっと以前にワイヤークラフトで手作りした、ガーデンクォーツのペンダントヘッドだった。
「これ、くれるの?」
「ああ」
「やた!」
うにゅほが満面の笑みを浮かべる。
「ね、ね、つけていい?」
「もちろん」
いつもうにゅほの胸元を飾っている琥珀のペンダントが外され、ガーデンクォーツのペンダントヘッドと取り替えられる。
だが、
「……金のチェーンだと、すこし色が合わないな」
「そうかも」
「ちょい待ち」
引き出しの奥に手を入れ、ステンレス製のチェーンを取り出す。
「ついでだ。これもプレゼント」
「わあ!」
「つけてみて」
「わかった!」
うにゅほが、慣れた手付きで首の後ろに手を回す。
ワイヤーに彩られたガーデンクォーツが、胸元で小さく揺れた。
「……にあう?」
「うん、よく似合う」
「うへー……」
喜んでもらえたようで、よかった。
「◯◯、ありがと」
「こちらこそ」
その笑顔を見るたび、プレゼントしてよかったと思える。
すこし遠いけど、誕生日には何をあげようかな。

※1 2019年3月7日(木)参照
 







67 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:09:09 ID:GM09R3J20

2019年3月15日(金)

「♪」
胸元を飾るガーデンクォーツを指先で弄びながら、膝の上のうにゅほが動画に見入っている。
最近のトレンドはキズナアイらしい。
「──ね、にあう?」
「似合う似合う」
「うへー」
もう何度めかわからない質問に、思わず頬がゆるむ。
「琥珀のペンダントは、もうしないの?」
「するよ」
「コーディネートで変えるのか」
「うん」
「××はおしゃれだなあ」
「これも、こはくも、◯◯がくれたのだから」
「……そっか」
こうまで言ってもらえると、さすがに面映いものがある。
プレゼントして本当によかったと思える。
「あ、そうだ。父さんの誕生日、どうしよう」
父親の誕生日は、3月20日である。
迷う時間はあまりない。
「(弟)、にほんしゅかってた」
「やっぱお酒が鉄板かなあ……」
「そだねえ」
「ビールは?」
「おとうさん、さいきん、ふとるからビールのまないって」
「あー……」
たしかに、サントリーのオールフリーを飲んでいる姿をよく見かける。
「じゃあ、ちょっといいワインか、ウイスキーだな」
「どっちにする?」
「俺がウイスキー買うから、××はワイン。これでどうだ」
「そうしましょう」
「この動画見終わったら、リカーショップ行こうか」
「うん!」
父親なら、どんなお酒でも喜んで飲むだろう。
選ぶのが楽で助かるような、選び甲斐がないような。
 







68 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/03/16(土) 17:10:28 ID:GM09R3J20

以上、七年四ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2019年03月17日 19:46  ID:cMgfpxl60
    なんというか特に面白いでもつまらないでもなく惰性で毎日見続けてるんだけど、
    結構がっつりステマ依頼されてね?ってのはちょくちょく感じるな


  • 2  Name  名無しさん  2019年03月17日 19:52  ID:6wfdb1fG0
    さとり「卒業式は終わり、今度は入学式シーズンね。旧地獄にも新規入居者を受け入れましょう!ならばキスメのま○こで客引きよ!キスメ!出しなさい!」
    お空「せ、台詞も無いのにこれ以上キスメちゃんのイメージを下げるわけにはいかない!ここは私がおま○こうにゅにゅうううぅうぅ!!!!!」
    としあき「キャー!うにゅほちゃんの桜色おま○こよおぉおお!!!」
    お燐「ピンク髪のさとり様が主人なら何もしなくても花粉のように入居者が押し寄せてくるのに(ニャーン」
    さとり「黙れ素人が!初出勤よりも初挿入!脱するべきは童貞よ!」
    こいし「お一つ昇級!お客は上級!地獄の温泉最高級!私にちょうだい三連休!」
    さとり「寺に寝返った媚び売り妖怪はノーサンキューよ。陽気の中で一生の眠りにつきなさい。ところで春と言えば桜餅ね。ピンクだけあって作った人は淫乱なのかしら」
    パルスィ「桜餅の起源は1717年に長命寺の山本新六が作ったと言われているわ。寺にある桜の葉を有効活用するため作ったそうよ。ちなみに桜餅に使われる桜の葉の約七割は伊豆の松崎町から出荷されてるのよ」
    さとり「あらそう。余った物で甘ったるい物を作るなんてさすが人間ね」
    勇儀「とっさにギャグと褒め言葉の掛け合わせを作るとは…やはり11点に任せて正解だな(ガッツポ」
    ヤマメ「なんてことだ…なんてことだ…」


  • 3  Name  名無しさん  2019年03月17日 20:02  ID:fhGjtx410


  • 4  Name  名無しさん  2019年03月17日 20:06  ID:6wfdb1fG0
    さとり「うにゅほの声でヤってよw」
    お空「えぇキモイんですけどw」 
    さとり「いいじゃんいいじゃんw」 
    お空「てかなんで知ってるんですかw」 
    さとり「私としあきだしwwはいdelーwww出ちゃいましたねえーwww」 
    お空「うわぁーwww」
    さとり「ほらうにゅほで赤巻紙青巻紙黄巻紙!ってww」
    お空「えぇ〜wwはぁーw……w…、あかまみ、き、まきまみ!」
    さとり「まきまみきましたーwwwwwwww」
    お空「あーもキッモイキッモイwwwww」


  • 5  Name  名無しさん  2019年03月18日 02:00  ID:hQY5SjCy0
    お空は俺の嫁! という奴は多いがコイツの熱量には正直誰も勝てる気がしない。
    つうか俺嫁ラインの更に先へ一人で辿り着いちゃった奴感ある。
    まあうにゅほとお空は別物ではあるが…。


  • 6  Name  名無しさん  2019年03月18日 02:30  ID:ZHbtjFKg0
    コメだけ見る定期


  • 7  Name  名無しさん  2019年03月18日 02:46  ID:oPHCf9CU0
    俺自身が二次創作になる事だ(死神並感
    これぞ二次創作って感じがして微笑ましいし私は好きだよ 何より情熱が素晴らしい


  • 8  Name  名無しさん  2019年03月18日 03:02  ID:CD7R4NsV0
    こいつから情熱をもらうために必ず来るようにしている


  • 9  Name  名無しさん  2019年03月18日 03:48  ID:uHGq9y8G0
    7年経ってるのにうにゅほってキャラが一切成長してなさそうなんだよな


  • 10  Name  名無しさん  2019年03月18日 07:36  ID:1yuDacWb0
    正直つまらん
    内容は自分の体験談だけでネタも美しい描写も無く自分の書きたいことを書き殴ってるだけの印象
    人を楽しませようとする情熱が伝わってこない
    なんJで毎日自分語りスレを立ててた例のあの人を彷彿とさせる作品


  • 11  Name  名無しさん  2019年03月18日 13:06  ID:EJ7PN0tr0
    東方界隈のやべーやつ


  • 12  Name  名無しさん  2019年03月18日 17:02  ID:yiBIilAT0
    べつにいいだろ
    うにゅおじは10年後もうにゅおじでいてほしい


  • 13  Name  名無しさん  2019年03月18日 17:56  ID:cNOtCkz50
    >>2
    下品な上につまらん


  • 14  Name  名無しさん  2019年03月18日 21:11  ID:ucwtpcpf0
    これまとめるなよ!
    ネットなら何やってもいいわけじゃないぞ?


  • 15  Name  名無しさん  2019年03月19日 03:41  ID:s3HY0p8A0
    ネットなら個人が運営してる私的なサイトに難癖付けるのは許されるのか・・・


  • 16  Name  名無しさん  2019年03月19日 08:45  ID:BzfSp1UD0
    この作品が何処にニーズがあるのか分からない
    肝心のうにゅほの扱いが完全に引き立て役で知能退化させられててお空好きな人から支持されてるとは思えない
    かといって引き立てられてる主人公はデブ、実家住まい、妄想癖、ペドのおっさんという余りにも共感出来そうにない代物
    話題も主人公(=作者?)は筋肉が付きやすいタイプだの下痢になっただの聞きたくも無い個人的な内容ばかりでつまらない以上に気持ち悪い
    マジで長く書いてることにしか価値がない作品ではないか


  • 17  Name  名無しさん  2019年03月19日 13:43  ID:g7cmZsvq0
    ネットでたまにある変なおじさんおばさんを晒してる動画と一緒で滑稽さを見にきてる


  • 18  Name  名無しさん  2019年03月24日 04:58  ID:rYf04t.A0
    7年経っても池沼のままのうにゅほちゃん
    止まった時の中でお人形遊びを続ける管理人
    まるで幻想の住人ではないか


  • 19  Name  名無しさん  2019年03月24日 06:40  ID:rYf04t.A0
    うにゅほちゃんもう小学校上がったー?
    え…行かせてないの?え…虐待…?


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