2019年04月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



87 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:32:27 ID:LY3SLSL60

2019年4月1日(月)

仕事部屋に詰めていると、新元号の発表があった。
「──◯◯、◯◯!」
「んー」
「へいせいのつぎ、きまった!」
「レイワ?」
「うん」
「テレビの音は聞こえてたからな。漢字ではどう書くの?」
「うーと、めいれいのれいと、へいわのわ」
「令和」
「れいわ」
「昭和とちょっとかぶるんだな」
「あ、ほんとだ」
「でも、いいんじゃないか。新しい感じするし」
「うん、そんなかんじする」
「これ、首相官邸のエイプリルフールネタだったら笑うよな」
冗談めかして言うと、
「!」
うにゅほが目をまるくした。
「……そうかも」
「いや、ないない。言ってみただけ」
「でも、エイプリルフールだし」
「エイプリルフールだろうとなんだろうと、そんなことしたら暴動起こるぞ」
「そか……」
しかし、命令の令だからって難癖つける人、多そうだなあ。
そんなことを考えていると、
「──うッ」
ぐるると腹が蠢動した。
「トイレ行ってくる……」
「うん」
「朝から、どうも、腹具合が悪いんだよな……」
「だいじょぶ?」
「大丈夫大丈夫。出せばいったん治まるし」
「──…………」
ふと、うにゅほが何やら考え込んだ。
「……それ、うそ?」
どうやら疑心暗鬼に駆られているらしい。
「××に心配かけるような嘘、つかないって」
「う」
「(弟)の風邪、伝染ったかな……」
「……ごめんなさい。あかだまだしとくね」
「頼む」
無闇に疑った自分を恥じてか、うにゅほは、今年は嘘をつかなかった。
ちょっと楽しみにしていたので、残念だ。








88 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:32:58 ID:LY3SLSL60

2019年4月2日(火)

──びりッ!

床に落ちたゴミを拾い上げようと屈んだ瞬間、作務衣の膝小僧が音を立てて破れた。
「わ!」
「……あー」
来るか来るかと思い続けた瞬間が、とうとう訪れてしまった。
「いきなしやぶれた……」
「実は、いきなりじゃないんだよ」
「そなの?」
「腿から膝にかけて、生地がだいぶ薄くなってたんだよな」
ぴ、と生地を伸ばしてみせる。
「ほんとだ、すけてる」
「セクシー?」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「忘れてくれ」
「うん」
「だから、まあ、破れるのは時間の問題だったと思う」
「きじ、すーごいうすい……」
「上衣はそんなことないんだけどな」
「なんで、ひざのとこだけうすいんだろ」
「××が座るからじゃないか?」
「!」
そのとき、うにゅほに衝撃走る。
「わたしすわるから……」
あ、やべ。
「いや、××のせいって意味じゃなくて!」
「でも」
「物理的にはそうかもしれないけど、責任は俺にあって……」
うにゅほが目を伏せる。
「わたし、もう──」
言いかけたうにゅほを、慌てて抱き締める。
「これからもずっと、俺の膝に座ってください!」
「──…………」
勢い余ってプロポーズみたいになってしまった。
「……はい」
うにゅほが、頬を染めて頷く。
「──…………」
「──……」
なんだ、この空気。
「……とりあえず、YouTubeでも見る?」
「みる」
うにゅほを膝に抱き、マイクラ動画を再生する。
たかだか作務衣が破れたくらいで、この幸せを打ち捨ててなるものか。







89 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:33:33 ID:LY3SLSL60

2019年4月3日(水)

「……なーんか体調悪いっスねえ」
「わるいっすか」
「風邪のひき始め感ある」
「ねてるとき、せき、ちょっとしてたっす」
「風邪の匂い、する?」
「んー」
うにゅほが、俺の首筋に鼻先を埋める。
すんすん。
「まだしてない。……す」
「じゃあ、まだ間に合うな。いまのうちから暖かくしておこう」
「そうしましょうっす」
「それ、気に入ったの?」
「ちょっと」
「さっき、一瞬忘れかけてたな」
「そんなことないっす」
「料理のさしすせそ」
「?」
「"さ"は?」
「さとうっす」
「"し"は?」
「しおっす」
「"す"は?」
「すっす」
「すっす」
「せは、しょうゆ」
「"そ"は?」
「みそ!」
「"す"は?」
「すっす」
「"プリニーっス!"って言って」
「ぷりにーっす?」
「よし」
「ぷりにーって、なに?」
「……ペンギン?」
「ペンギンっすか」
「いや、ペンギンじゃないかも……」
「?」
「そんな感じの語尾のキャラって、他に誰いたっけ」
「うーと、いとのこけいじとか?」
「……あんまり可愛くないな」
「そすねー」
「あと、なんだろ。スープーシャンとかか」
「すーぷーしゃん?」
「……白いカバみたいな?」
「かば……」
「ムーミンにも似ているっス」
「なつかしいっす」
しばしのあいだ、語尾を変えて遊ぶ俺たちだった。
 






90 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:34:11 ID:LY3SLSL60

2019年4月4日(木)

「んー……」
キーボードを叩いては文章を消し、キーボードを叩いては文章を消し、そんなことを十五分ほど繰り返している。
「にっき、かけないの?」
膝の上でくつろぎながらiPadをいじっていたうにゅほが、そう尋ねた。
「スランプかなあ」
「スランプ」
「今日、何もしてないのが致命的な気もするけど」
「かくことないと、かくことないもんね」
トートロジーかな。
「しゃーない。話したこと、そのまま書こう」
「にっき?」
「その日の出来事には違いない」
「そだね」
「××、会話はいったん中断だ。いま話してたこと、タイピングするから」
「はい」
五分ほどかけて、以上の内容をWordに打ち込んだ。
「よし」
「かけた?」
「書けた」
「まだ、はんぶんくらいだねえ」
「会話してればすぐだよ」
「──…………」
ふと、うにゅほが黙り込む。
「どした」
「なんか、きんちょうする……」
「緊張?」
「はなしたこと、ぜんぶかかれる」
「いいじゃん」
「うかつなこといえない」
「日記読んでる人は、××の迂闊な発言を楽しみにしてるよ」
「……ますますいえない」
うにゅほが警戒モードに入ってしまった。
「なんか喋れー」
脇腹をくすぐる。
「うひ」
うにゅほが身をよじる。
「やめれー!」
「喋ったらやめる」
「しゃべる、しゃべる」
「あ、いまのぶん書いちゃうな」
「うん」
五分ほどかけ、再びいまのやり取りを打ち込む。
「なにしゃべったらいいの?」
「あ、だいたい一日分になったから、もういいぞ」
「えー……」
うにゅほがぶーたれる。
「かくごしたのに」
「書いてほしいこと、あった?」
「ないけど」
「ネタがないときは、また頼むな」
「いいけど……」
会話の内容をそのまま打ち込んだあと、推敲をして出来上がり。
書くべきことの思いつかない日は、また楽させてもらおう。







91 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:34:44 ID:LY3SLSL60

2019年4月5日(金)

「……生活サイクル、だいぶ乱れてる気がする」
「うん」
うにゅほが、あっさりと頷く。
「みだれてます」
断言されてしまった。
「わたしおきたとき、たまにおきてるしょ」
「……気づいてた?」
「ねたふり、わかるよ」
「ふりではないんだけど……」
「◯◯、さいきん、あんましねてない……」
「仮眠はとってる」
「かみんばっかし」
「いや──」
言い返そうとして、口をつぐむ。
我ながら言い訳がましい。
「今日は、早く寝ます」
「きょうは?」
「……今日から」
「よろしい」
うにゅほは、こういうところで厳しい。
だらしない俺が悪いのだけど。
「最近、いろいろと忙しかったけど、それも片付いたから」
「ほんと?」
「ちゃんと寝て、ちゃんと起きて、半端に仮眠をとらないようにする」
「わかった」
うにゅほが頷き、小指を差し出す。
「やくそくね」
「はい」
うにゅほの小指に小指を絡め、
「指切りげんまん!」
「うそついたら、はりせんぼん、のーます!」
「指切った!」
そう言って、指を離す。
「やくそくだよ」
「はい」
ふと、うにゅほが小首をかしげる。
「げんまんって、なに?」
「ゲンコツ一万回のこと」
「こわい」
「約束破ったら、××が俺にやるんだぞ」
「やらない……」
「××のゲンコツなら怖くないな」
「はりせんぼん、のむ?」
「ごめんなさい」
約束したのだ。
今日から早く寝よう。







92 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:35:43 ID:LY3SLSL60

2019年4月6日(土)

「──…………」
頭がぼんやりする。
思考が上手くまとまらない。
総計十数時間も寝て寝て眠り果てたのだから、それも無理からぬことだろう。
「◯◯、みずのむ?」
「飲む……」
「まっててね」
うにゅほの介護を受けながら、自分の情けなさに涙が出そうになる。
発熱のせいか、情緒が安定していないらしい。
「はい、みず」
「ありがとう……」
ベッドの上で上体を起こし、グラスの水を舐めるように飲む。
「……ごめんな」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「いや、今日、遊びに行くって……」
「うん」
「だから、ごめん」
「んー……」
しばし思案し、うにゅほが頭を下げた。
「わたしも、ごめんなさい」
「……?」
うにゅほの謝る理由が、本気でわからなかった。
「かぜのにおい、きづかなかった」
「いや──」
「ひどくなったの、わたしのせい」
「……そんなわけないだろ」
腹から声を絞り出す。
「俺の体調は俺が管理すべきだ。すべて俺の責任で、すべて俺の落ち度だ。××が謝る必要なんてない」
「──…………」
「だから、謝らないでほしい」
「わかった」
ほっと胸を撫で下ろしていると、うにゅほが言った。
「◯◯も、あやまらないで。おなじきもちだよ」
「──……!」
ああ、そうか。
"謝る"という俺の自己満足で、うにゅほを戸惑わせていたのか。
「ごめ──」
言いかけて、口をつぐむ。
そんな俺の頭を撫でて、
「おやすみなさい」
と、優しく告げた。
「……おやすみ」
次に目を覚ましたときには、体調はすこしだけ戻っていた。
日記を書き終えたら、今日は早めに寝てしまおう。







93 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:36:16 ID:LY3SLSL60

2019年4月7日(日)

「ん」
額に触れていたうにゅほの手が、そっと離れていく。
「ねつさがった」
「そっか」
ほっと胸を撫で下ろす。
休日が潰れるのは致し方ないとしても、仕事に穴は空けられない。
「ご心配をおかけしまして」
俺がぺこりと頭を下げると、
「いえいえ、おきになさらず」
と、うにゅほが頭を下げ返した。
「この埋め合わせは必ず」
俺が、ぺこりと頭を下げる。
「おきもちだけで」
うにゅほが、ぺこりと下げ返す。
「そう仰らずに」
ぺこり。
「いえいえ」
ぺこり。
「遠慮なさらず」
ぺこり。
「そんなそんな」
ぺこり。
そんなことを繰り返したのち、ふたりでくすりと笑い合う。
「ちゃんと治ったら、今度こそ遊びに行こうな」
「なおったらだよ」
「わかってる、わかってる」
「たのしみ」
「久々にカラオケとかでもいいなあ」
「いいねー」
「××も歌うんだぞ」
「うん」
「レパートリー増えた?」
「わかんない」
「最近、あの人の曲聞いてたじゃん。米津玄師」
「よねづ?」
「ヨネツだったっけ?」
「わかんない……」
名前の読み方はわからなくとも、曲は覚えているだろう。
楽しみだ。







94 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:36:52 ID:LY3SLSL60

2019年4月8日(月)

さて今日は何を書くべかとキーボードを空打ちしていると、うにゅほが覗き込んできた。
「にっき?」
「日記」
「なにかくの?」
「まだ決めてない。ダイエットの話でも書こうかな」
「やせてきたもんね」
「××はダイエットしちゃダメだぞ。消えてなくなる」
「なくなりはしない……」
うにゅほが苦笑する。
「最終的に、××の体重の半分くらいはこの世から消し去りたいなあ」
「だしがらになっちゃう」
「前より痩せるくらいの気概がないと」
「からだ、こわしたらだめだよ」
「はーい」
食事制限は行っているが、最低限の栄養はちゃんと確保している。
倒れて迷惑を掛けるようなことにはならないはずだ。
「あ、そだ」
「うん?」
「きになってたこと、きいていい?」
「いいよ」
「にっき、わたしのいったこと、なんでひらがななのかなって」
「気づいてしまったか……」
「まえから……」
「お前には消えてもらう!」
「ひや!」
うにゅほを抱き寄せて、わしわしと頭を撫でる。
「──……ふいー」
あ、リラックスし始めた。
「真面目に答えると、俺と××、どちらが発言したか一瞬で判別させるためかな」
「あー」
「あと、キャラ付け」
「きゃらづけ」
「ひらがなで話してると、可愛くない?」
「そかな」
「××が嫌ならやめるけど……」
うにゅほが、首を横に振る。
「きになっただけ」
「そっか」
よかった。
いまさら変えるのも不自然だもんなあ。
うにゅほの発言は、今後もひらがなで描写していきます。







95 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:37:40 ID:LY3SLSL60

2019年4月9日(火)

月に一度の定期受診ののち、チョコボールを荒稼ぎするため万代へと立ち寄った。
「──さて、腕の見せどころだな」
「がんばれー!」
筐体の端に積み上げられた無数のチョコボール。
下の段のチョコボールに輪が取り付けられており、そこにアームの先を引っ掛ければ、その塔が倒れるという仕組みである。
さっそく五百円を投入し、いちばん手前の輪を狙う。
だが、
「ダメか……」
アームの先が、輪と輪のあいだをかすめていく。
「あー」
「クレーンの速度が速い。奥から狙ったほうがいいな」
「おく、むずかしくない?」
「チョコボールを高く積んでるから、それが目印になる。箱に合わせればいいだけだから」
ボタンを操作し、いちばん奥の輪にアームを引っ掛ける。
チョコボールの塔がクレーンにもたれ掛かり、崩れた。
「おー!」
うにゅほが目を輝かせる。
十箱ほどのチョコボールが坂を滑り落ち、そのうちひとつだけが取り出し口に落ちた。
「ひとつかー……」
「まあ、あと四回あるから」
「うん」
肩を回し、筐体を睨む。
そして、六回中五回、アームを輪に引っ掛けることに成功した。
「──…………」
「──……」
「ぜんぶで、みっつ」
内訳は、ピーナッツふたつに、キャラメルがひとつ。
「……万代、渋いな」
「うん……」
「やっぱ、いつものキャッツアイがいちばんだなあ」
「いく?」
「今日はやめとこう。仕事あるし」
「わかった」
「仕事少ない日か、土日だな」
「ぎんのえんぜる、あとさんまい」
「すぐ集まるだろ」
たぶん。







96 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:38:24 ID:LY3SLSL60

2019年4月10日(水)

「今日は、駅弁の日らしい」
「えきべん」
「駅の弁当と書いて、駅弁」
「えきべん、たべたことない」
「実は、俺も食べた記憶がない」
「◯◯もないの?」
「あるのかもしれないけど、具体的には覚えてないなあ」
そもそも、列車で遠出をした記憶がない。
「地元に駅があれば別だったのかもしれないけど……」
「ないもんねえ」
俺たちの住む街には、駅がない。
列車が通っていないため、乗る習慣ができなかったのだ。
「さて問題です」
「?」
「4月10日は、何故駅弁の日でしょうか!」
「ひんと!」
「早い!」
「だってわかんない……」
仕方ないなあ。
「4月は英数字の4、10日は漢数字の十で考えてみよう」
「ひんと!」
「早い!」
「だってむずかしい」
「4と十を、組み合わせてみよう」
「んー……」
うにゅほが、メモ帳とペンを取り出す。
「よんとー、じゅうとー」
しばしメモ帳とにらめっこしたあと、
「──あ、べんにみえる!」
「正解!」
「なるほどー」
うんうんと頷いたあと、うにゅほが小首をかしげる。
「おべんとうのひでもよかったのでは?」
「まあ、記念日なんて制定したもん勝ちだから……」
無理のある語呂合わせの記念日なんて、いくらでもあるし。
黄ニラ記念日、お前のことだぞ。※1
「そう考えると、駅弁の日はかなりましだな。納得できるもの」
「そだね」
「さて、休憩終わり。仕事するか!」
「がんばってね」
「はいよー」
そんな、他愛のない、いつも通りの一日なのだった。

※1 2019年2月12日(火)参照







97 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:39:20 ID:LY3SLSL60

2019年4月11日(木)

音楽を聴きながら階段を上がっていると、ふとしたことで作務衣のポケットからiPhoneが滑り落ちた。
「やべ」
イヤホンが耳からすっぽ抜け、数段分の踏み板がiPhoneと衝突し大きな音を立てる。
慌てて拾い上げ、傷がないかを確かめていると、
「どしたのー?」
物音を聞きつけてか、うにゅほが二階から顔を出した。
「iPhone落としちゃって……」
「こわれなかった?」
「たぶん」
見た目に傷はない。
だが、損傷がないとは限らない。
iPhoneの動作を確認しながらイヤホンを耳に挿入すると、

ツー……

謎の高周波音が鼓膜を揺さぶった。
「──…………」
iPhoneからヘッドホンジャックアダプタを引き抜き、音楽を再生する。
階段に、サカナクションの「表参道26時」が響き渡る。
「イヤホンかアダプタが断線したみたい」
「いやほん、かったばっか……」
「アダプタであることを祈ろう」
「あだぷたって、なんだっけ」
「イヤホンとiPhoneを繋ぐ、この白いやつ」
「あー」
「これなら安いし、予備がある」
自室に戻り、引き出しから未開封のヘッドホンジャックアダプタを取り出す。
「音が鳴れば、アダプタが原因。鳴らなければ、イヤホンが原因」
そう告げて、イヤホンとiPhoneを新品のアダプタで接続する。
再び音楽を再生すると、
「──鳴った!」
「よかったー」
「ヘッドホンジャックアダプタなんて純正品でも千円ちょっとだし、ほんとよかったよ」
うんうんと頷き合っていると、ふとあることに気がついた。
「……このアダプタ、何個目だろ」
「よっつめくらい?」
「壊れすぎじゃない?」
「こわれすぎだねえ……」
もうすこしなんとかならないものか。
Appleに搾取されている気しかしないのだった。







98 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:39:58 ID:LY3SLSL60

2019年4月12日(金)

「うーしょ、と」
うにゅほが布団を運んできた。
「なつぶとんにするよー」
「おー」
最近暑かったもんな。
「手伝う」
「うもうぶとんのカバー、はずして」
「はいはい」
手分けして、ふたりぶんの羽毛布団と夏布団とを取り替える。
「よし!」
綺麗に整えられた二台のベッドを前にして、うにゅほが満足気に頷いた。
「春モードだな」
「はるモードですね」
「夏モードになると、夏布団がなくなる」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「なつなのに……」
「不思議だな」
「でも、なつぶとんあると、あついもんねえ」
「丹前一枚でいいよな」
「うん」
「秋モードになると、夏布団が復活する」
「あきなのに……」
「冬モードになると、羽毛布団になる」
「ふつうだ」
「──…………」
「──……」
「夏布団って呼び方が間違っているだけでは?」
「そうかも……」
「春秋兼用布団と呼ぼう」
「ながい」
「長いな」
「うん」
「夏布団でいいか」
「そうしましょう」
夏になるとなくなる夏布団。
人生における何かを象徴しているようで、たぶんしてない。







99 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:40:29 ID:LY3SLSL60

2019年4月13日(土)

右目を隠し、文字を読む。
「──…………」
やはりだ。
やはり、文字が二重に見える。
「疲れ目かなあ」
「め、つかれてるの?」
「わからない。でも、他に心当たりないし……」
場所が場所だけに、心配だ。
「がんか、いく?」
「……このまま治らなかったら、行く」
「そうしましょう」
「なんなんだろうなあ……」
「しんぱい」
「ちょっと調べてみよう」
キーボードを叩き、症状で検索をかけてみる。
「えーと、単眼複視、かな」
「たんがんふくし?」
「片目で見ても二重に見える症状のことを、そう呼ぶらしい」
「そなんだ」
「で、この単眼複視の原因は──」
「げんいんは……」
「──…………」
「──……」
「……白内障」
「!」
「マジか……」
うにゅほが、恐る恐る尋ねる。
「……やばいやつ?」
「ヤバいやつは、緑内障のほう。白内障は、すぐさまどうこうって感じではない」
「そか……」
ほっと胸を撫で下ろす。
「でも、最悪手術かなあ」
「しじつ……!」
言えてない。
「めのすずつ、するの……?」
言えてない。
「わからない。とりあえず眼科行ってみないと……」
白内障って、四十代とか五十代からなるイメージがあったんだけどなあ。
二重の意味でショックである。
 







100 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:40:52 ID:LY3SLSL60

2019年4月14日(日)

指先を襟元に引っ掛け、パタパタさせる。
「……暑くない?」
「なんか、むしむしするねえ……」
温湿度計を覗き込む。
「26.5℃……」
「あつい」
「今日、ストーブつけてないよな」
「つけてない」
「エアコンも」
「つけてないよ」
そもそも、室外機のカバーを外していない。
「昼間晴れてたから、輻射熱かなあ」
「そうかも……」
「窓、開けようかな。どうしようかな」
うにゅほが立ち上がる。
「あける?」
「うーん……」
「あけない?」
「開けたら逆に寒くなる気しかしない」
「きーしかしないねえ……」
窓を開けて、寒くなって、ストーブをつける。
ストーブをつけて、暑くなって、窓を開ける。
その繰り返しはいささかアホっぽい。
「……まあ、我慢できないほどじゃないし」
「んー……」
がらり。
うにゅほが窓を開く。
「開けるのか」
「うん」
「そんなに暑かった?」
「くうき、こもってるきーした」
「あー」
たしかに。
「うしょ」
「?」
うにゅほが、俺の座っているパソコンチェアを半回転させ、
「……うへー」
俺の膝にすっぽりと腰掛けた。
「さむくなるから、しかたない」
「それは仕方ないな」
「うん」
仕方ないのだった。
 







101 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:41:33 ID:LY3SLSL60

2019年4月15日(月)

単眼複視の件で、眼科へ行ってきた。
「ただいまー」
ばたばたという足音と共に、うにゅほが階段を駆け下りてくる。
「めーどうだった!」
「Lチキ買ってきたけど、食べる?」
「たべる、けど、ちがくて!」
「白内障じゃなかった」
そう告げると、
「ちがった……」
うにゅほが、ほっと胸を撫で下ろした。
「じゃあ、なに?」
「疲れ目……?」
「つかれめ」
「具体的な病名はないけど、ピントが合いづらくなってるんだって」
「びょうきじゃないんだ」
「ちょっと複雑でもあるけど……」
「びょうきのほう、よかった?」
「白内障の治療って、眼内レンズを入れるんだけどさ」
「がんないレンズ?」
「目に直接レンズを挿入する」
「ひ」
うにゅほが肩をすくませる。
「そのとき、良いレンズを入れると、視力が回復するんだ」
「!」
「手術費かなりかかるけど、どうせしなきゃならないならいっそのことと思って、覚悟してたんだよ」
「あー……」
「覚悟を決めると、手術の怖さより、視力の回復のほうが楽しみになってきてさ」
「わかる」
「だから、ちょっと残念かも」
「しゅずつ、いくらくらいかかるの?」
「両目で六十万くらいかなあ」
「するねえ……」
「出せないことはないけど、ちょっと躊躇う数字だよな」
「でも、はくないしょうじゃなくて、よかったとおもう」
「まあなー」
うにゅほには心配をかけてしまった。
あまり目を酷使しないようにしなければ。
 






102 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/04/16(火) 16:42:42 ID:LY3SLSL60

以上、七年五ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:32  ID:asctLkyR0
    月1の唯一の楽しみマジで名言ばかり


  • 2  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:33  ID:Vy6q.DMJ0
    これみてる奴いんの?


  • 3  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:33  ID:do9kzVBT0
    作者はよしね
    新作発表の邪魔をするな


  • 4  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:36  ID:asctLkyR0
    >>2 >>3
    うぜーんだよ東方の原作なんて誰もやってねーだろ邪魔すんなやボケ


  • 5  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:42  ID:9.sy5Qt80
    ええ…


  • 6  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:43  ID:YSRwl.jh0
    ヒェッ……


  • 7  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:44  ID:qdojhsmv0
    邪悪


  • 8  Name  巨人小笠原、うにゅほを池沼化させ死亡  2019年04月17日 18:51  ID:m.O1TqPO0
    毎日世間知らずな基地外っぷりを披露するうにゅほ日記。これに物申すのは毎日恥知らずな戦力外っぷりを披露する巨人小笠原内野手死刑囚(45)である。
    早速リリーフカーで作者の元へ向かうカッス。途中パルスィと鳥谷を轢き殺し地獄を掃除するハプニングに見舞われるも無事作者の下へ到着した。
    駆けつけるや否や作者には「骨の出がらしで作られたお人形遊びは楽しいか」「同僚は毎日資格勉強してるぞ」とコメントを送りながら頭へフルスイング。
    またうにゅほには強○を予告、肯定しか能の無いうにゅほは無論承諾。見事和○が成立した。
    これを日記に書いてもらうためカッスは愛の育みを見せ付けるも脳無しとなった作者は「あ~う~」の返答のみ。流石に不憫に思ったカッスはバランスをとるため本日2打席目のフルスイングでうにゅほの頭蓋を破壊、脳に絶頂射精。バランスの取れた池沼カップルを誕生させた。
    しかし脳へのショックによりうにゅほは自発性が覚醒。灼熱地獄を作った持ち前の判断能力で障碍者三人を焼却、死亡が確認された。
    これに対して対正義巨人軍原監督は「最近ウチのハタケも火を浴びてね」と不安定な投手陣を懸念するコメントを残した。
    なお明日の日記には間に合う模様


  • 9  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:53  ID:aYeudKC60
    マジでこの記事目障り
    削除はよ


  • 10  Name  名無しさん  2019年04月17日 18:58  ID:QsfX919M0
    信者と過激派しか存在しないなこの記事は
    僕は好きです(鋼の意思)


  • 11  Name  名無しさん  2019年04月17日 19:54  ID:Gza2LK3I0
    平成を超えて続いていくんやなって 欲望に忠実であるのは実に二次創作らしくて微笑ましい メアリースーは二次創作の華だよ


  • 12  Name  名無しさん  2019年04月17日 20:37  ID:y4xQ5VQ10
    キターーーーーーーーーーーーー
    コメント欄読みに来る定期


  • 13  Name  名無しさん  2019年04月17日 20:40  ID:yozeJn9H0
    山無しオチ無しで普通につまんねー
    書いた奴も自分で読んで面白いと思わないだろこんなの


  • 14  Name  名無しさん  2019年04月17日 21:28  ID:fm3vRrMU0
    >>8
    うんごぶりぶりんこ!!!!ドビュビュビュビュドバババババブッ!!!
    ドリュルリュルウリュリィブブブブブブッッ!!!!あへあへうんこまん!!!ぶりっちょ!!!
    ケツの穴からドババババババババッバwwwwwwwwwwwwWWWW
    wwwwwwwwwwww
    WWWwwwwwwwwwww??? ? ? ? ? ? ? ?????     ????????wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
    なお、まにあわんもよう


  • 15  Name  名無しさん  2019年04月18日 03:21  ID:8Kkt9yhj0
    つまんないとか言う以前に、空である必要性を欠片も感じない



  • 16  Name  名無しさん  2019年04月18日 03:32  ID:xCjyDdBH0
    まじで何でこんなのまとめてんの?



  • 17  Name  名無しさん  2019年04月18日 04:13  ID:SD.rQDeu0
    やべーやつを周知させる為にまとめてる説


  • 18  Name  名無しさん  2019年04月18日 11:51  ID:CcgCbkd10
    新元号のやり取りキモ過ぎて草


  • 19  Name  名無しさん  2019年04月18日 12:07  ID:EYnx..AW0
    ※4
    肝イキリ荒らしお疲れ様です。^^


  • 20  Name  名無しさん  2019年04月18日 12:28  ID:xCjyDdBH0
    >>17
    いらない
    周知する必要がない



  • 21  Name  名無しさん  2019年04月18日 18:59  ID:zYNpi3LA0
    カッスレ化は面白いのでもっとやれ


  • 22  Name  名無しさん  2019年04月18日 19:14  ID:2NTiuQFk0
    ここの管理人はこの記事でヘイト集めて何がしたいんだ?


  • 23  Name  名無しさん  2019年04月18日 21:17  ID:OpZ4ERKn0
    >>22
    このクソ作者をサンドバックにしてストレス解消するための記事だろ
    毎回コメ欄の罵詈雑言が面白い


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