2019年05月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



122 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/15(水) 23:51:22 ID:532SUIa60

2019年5月1日(水)

「令和元年、5月1日か」
「じっかんないね」
「ないなあ」
何かが大きく変わったのは間違いない。
だが、日常生活を送る上で、目に見える変化は特にない。
「これから、だんだんと、時間をかけて実感していくのかな」
「たぶん」
「具体的な事例は思いつかないけど……」
「カレンダーとか?」
「和風なカレンダーには元号書いてるよな」
「うん」
「ただ、カレンダーに令和って書かれるのは、来年以降になるか」
「あとなんだろ」
「令和生まれの人に、誕生年を聞いたとき?」
「きけるの、ずいぶんあとだねえ……」
「五年は見ておきたい」
「ごねんでもみじかいかも」
「うーん……」
産毛の生えたあごを撫でる。
「やっぱ、あんまり思いつかないな」
「ぱっとでてこないね」
「元号って、案外、目にする機会ないのかもしれない」
「そうかも……」
「あるいは、当たり前過ぎて、見ても気にしてなかったとか」
「ありそう」
「ま、いいや」
猫のぬいぐるみにかぶせてあった、愛用の帽子を手に取る。
「どっかいくの?」
「満開の桜を見に」
「!」
令和令和ですっかり忘れていたのか、うにゅほが目をまるくした。
「わたしもいく!」
「当たり前だろ」
そもそも、自分ひとりなら行かないし。
「曇りなのは残念だけど、晴れるのを待って見頃を逃すのもな」
「しかたない、しかたない」
軽く身支度を整えたあと、コンテカスタムに乗り込んで桜並木を駆け抜けた。
「わあー……!」
うにゅほが歓声を上げる。
「さくらだ!」
「桜だな」
「きれいだねえ……」
いちばん美しく咲き誇っている桜の傍に停車する。
観光客も一等多いが、花見の邪魔になるほどではない。
「……やっぱ、青空の下で見たかったなあ」
「それはある」
「晴れたら、散る前に、もう一度見に来ようか」
「うん!」
ゴールデンウィーク中に、快晴の日があれば良いのだが。








123 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/15(水) 23:53:38 ID:532SUIa60

2019年5月2日(木)

ゴールデンウィークも半ばを過ぎ、遠かったはずの終わりが見えてきた。
「今日は小雨か……」
「うん」
「降るなら降るで、大雨のほうがいいなあ」
「そなの?」
「ただし、外出する用事がない日に限る」
「ぬれるもんね」
「ぐずぐずした半端な空模様って、いつまでも続きそうな気がしてさ」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「おおあめふったあとのほう、はれるきーするね」
「そんな気がする」
たぶん、実際にデータを参照すれば、そうとは言い切れないのだろう。
あくまで単なるイメージに過ぎない。
「暇だし、出掛ける気もしないし、掃除でもするか」
「したよ?」
「令和になったし、普段しないとことか」
「しないとこ……」
しばし思案し、うにゅほが口を開く。
「うーと、ベッドのしたとか?」
「ベッドの下とか」
「エアコンのうえとか?」
「エアコンの上とか」
「おおそうじ、へいせいのさいごにしたかったなあ……」
「……あー」
言ってたっけ。
「なんかごめん……」
「いいけど」
「大掃除、しない?」
「する」
「じゃあ、ダスキンと掃除機持ってくるな」
「うん」
ひどく余計なことを言ってしまった気がする。
だが、やると決めたらやるしかない。

「──よし、終わった!」
「おわったー!」
一時間ほどかけて部屋をピカピカにし、うにゅほとハイタッチを交わす。
「きれいになったね!」
「気分いいな」
「うん!」
うにゅほの機嫌も直ったようだ。
気分の赴くまま、よく考えもせずに発言するのは控えようと思った。







124 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/15(水) 23:54:48 ID:532SUIa60

2019年5月3日(金)

「──さくら、きれいだったねえ」
「晴れてよかったな」
「うん!」
助手席のうにゅほが笑顔で頷く。
青空に映える薄桜の美しさは、こうして日記を書いている今でも目蓋の裏に焼き付いている。
「桜並木だから、花見客がいなくていいよな」
「おはなみ?」
「お花見」
「おはなみ、したことない」
「……実は、俺もしたことないんだ」
うにゅほが目をまるくする。
「◯◯も?」
「桜は好きだから見に行くことはあっても、下に陣取って酒盛りとかは一度もない」
「そなんだ……」
「意外?」
「いがい」
「花見スポットが近場にあれば、違ったのかもしれないけど」
「ないんだ」
「あれば、一度は連れてってる」
「そか……」
「札幌市内で有名なのはモエレ沼公園だけど、車で三十分はかかるしなあ」
「とおい」
「遠い」
「くるまでいったら、おさけのめないね」
「そうなんだよ。アクセスの悪さも理由のひとつかな」
「まんがとかだと、みんなしてるのにねえ」
「道民は、あんまりお花見とかしないのかも」
「ありうる」
五月の初めとか、普通に寒いし。
「ま、桜は見るだけでいいや。団子は余計だ」
「だんごより、はな?」
「そうそう」
「いなせだねえ」
「いなせ……」
そういう意味だっけ。
たぶん褒めてくれたのだと思うので、素直に受け取っておこう。
 






125 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/15(水) 23:55:40 ID:532SUIa60

2019年5月4日(土)

休日の過ごし方には、大きく分けて二種類ある。
どこかへ出掛けるか、だらだらするかだ。
ここ数日はアクティブに動き回ることが多かったので、今日は家でのんびりすることにした。
「──…………」
クリッカーゲームをぽちぽちいじりながら、YouTubeで動画を垂れ流す。
これほど贅沢で無駄な時間の使い方もないだろう。
「ひざし、あったかいね」
「暑い」
「まどあける?」
「開けようか」
「うん」
手分けして南東と南西の窓を開くと、涼やかな風が部屋の空気を押し出した。
「ふいー……」
心地よさそうに息を吐くうにゅほの頭をぽんと撫で、尋ねる。
「映画、一緒に行かなくてよかったのか?」
「おかあさんたちと?」
「そう」
「こんでるし……」
「……あー」
気持ちはわかる。
とてもわかる。
「あと、わたし、アベンジャーズよくしらない」
「父さんと母さん、アベンジャーズ観に行ったのか……」
「うん」
両親共に、MARVEL作品には疎いはずだ。
「知らないヒーローがバンバン出る映画って、面白いのかな」
「わかんない」
むろん、知識の下地がなくても、ある程度は楽しめる作品に仕上げているのだろうけど。
「あと、さんじかんあるんだって」
「──…………」
「──……」
「……行かなくて正解かもな」
「うん」
数時間ほどして帰宅した両親は、渋い顔をしていた。
案の定、作品に入り込めなかったらしい。
劇場版名探偵コナンでも観たほうが楽しめたのではなかろうか。







126 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/15(水) 23:56:38 ID:532SUIa60

2019年5月5日(日)

憂鬱な気分でカレンダーを見つめる。
「……こどもの日も、もう終わりか」
「どしたの?」
「ゴールデンウィーク、あっという間だったなって」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「でも、ことし、いろんなことあったよ」
「改元とかな」
「それもあるけど、たくさんでかけた」
「たしかに」
「クレープたべいったし、ステーキたべたし、さくらもにかいみた」
「今日は今日で、シュラスコ食べてきたしな。家族みんなで」
「おなかいっぱい……」
「俺は、だいぶこなれてきた」
「はやい」
「腹八分目に抑えたし」
「わたしの、ばい、たべてたきーするけど……」
「倍で済むかな」
「さんばい?」
「三倍までは行かないと思う」
「にーてんごばい」
「そのくらい」
「すごい」
「体の大きさが違いますから」
「いのおおきさもちがいますね」
「だけど、食べ放題だから代金は同じ」
「なっとくいかない……」
「でも、美味しかっただろ」
「おいしかったー」
「食を通じて満足を買ったんだから、それでいいんだよ」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「食べ放題だからって、元を取ろうとして無理に詰め込む人がいるだろ」
「いる」
「結果として食べ過ぎで苦しむわけだけど、賢い選択だと思う?」
「おもわない……」
「たくさん食べたのに?」
「だって、くるしい」
「その通り。お金を払って苦しむのは、満足感を削る行為だ」
「まんぞくかんを、けずる……」
「支払った金額相応の満足を手に入れることができたら、それが適正価格なんだよ」
「なるほどー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「たべほうだいは、すきなとこでまんぞくしてねってことなんだ」
「そうそう」
「だから、おなじねだんなんだ」
理解が早い。
「父さんみたいに、動けなくなるまで食べたりしたらダメだぞ」
「はーい」
明日は、ゴールデンウィーク最終日だ。
何をして過ごそうかな。







127 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/15(水) 23:57:52 ID:532SUIa60

2019年5月6日(月)

目を覚ますと、午後五時だった。
「……マジか」
過眠による疲労感が肩にのしかかる。
ゴールデンウィーク最終日をこんな形でふいにするとは思わなかった。
「あ、◯◯おきた」
「起きました……」
「おそよー」
「おそようございます……」
「ねぐせ、すごい」
「……?」
のそのそとベッドから這い出し、姿見を覗き込む。
実験に失敗した科学者のような寝癖がついていた。
「おおう……」
「かみきらないの?」
「ある程度伸びないと、切るも何もないから」
「そろそろのびたきーするけど……」
「そうかな」
「したいかみがた、あるの?」
「特にない」
「じゃあ、きったほういいよ」
「そっか……」
うにゅほが言うなら、そうなのだろう。
「明日は火曜日だから、床屋行くなら明後日以降かな」
「せんえんカット?」
「1000円カットは、何度も失敗してるから、行かない」
「そだねえ……」
特に困窮しているわけでもないのだから、カット代をケチる理由もないだろう。
「問題は、どの床屋へ行けばいいかだ」
「わたしいってるびようしつ、いっしょにいく?」
「そこ、男性客も入れるの?」
「しらない」
「……美容室は、ちょっと敷居が高いなあ」
「そう?」
「なんとなく」
実際は、そう気にする必要もないのだろうけど。
「まあ、適当に近場の床屋へ行って、変なふうにされたら最悪坊主にすればいいや」
「そか……」
すこし残念そうな顔で、うにゅほが頷く。
一緒に美容室へ行きたかったらしい。
「……明日から仕事かあ」
「がんばって」
「頑張る」
始まりがあれば、終わりはあるものだ。
気分を切り替えて仕事に備えよう。







128 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:00:07 ID:gxAvAfBw0

2019年5月7日(火)

月に一度の定期受診の帰り、ドラッグストアへと立ち寄った。
「なにかうの?」
「T字カミソリ」
「かみそり」
「ヒゲ剃るやつ」
「ひげそるのに、かみそり」
「不思議だな」
「かみそり、おふろにあったきーする」
「あるにはあるけど、五年くらい刃を替えてないからなあ。替え刃もないし」
「かえないと、だめなの?」
「ダメらしい」
「へえー」
「包丁だって、研がないと切れ味悪くなるだろ」
「なる」
うにゅほが、うんうんと頷く。
適切な交換時期はよくわからないが、本来、五年保つものではないだろう。
「かうなら、いいのかお」
「どれが良いのかな」
よくわからない。
「よんまいばより、ごまいば?」
「よく剃れそう」
「じゃあ、ごまいばにしましょう」
うにゅほが、替え刃付きの五枚刃をカゴに入れる。
「きょう、ひげそる?」
「せっかくだし、剃ろうかな」
「かんそうききたい」
「いいぞ」
T字カミソリを購入し、そのまま帰宅する。
夕刻、入浴後──
「◯◯、ひげそった?」
「剃った」
「どんなかんじ?」
「普段より綺麗に剃れた、気がする」
「きが」
「実際、違いがよくわからない……」
「ほっぺたかして」
うにゅほが、俺の頬を指先で撫でる。
「……ふだんより、つるつるなきーする」
「気が」
「あんまかわんないきもする……」
「そっか……」
豚に真珠ということわざが脳裏をよぎる。
まあ、剃れるのであれば、なんでもいいや。







129 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:01:34 ID:gxAvAfBw0

2019年5月8日(水)

「◯◯、◯◯」
「んー?」
「きょう、かくじつにゴーヤのひ……」
カレンダーに視線を向ける。
5月8日。
「ゴーヤの日だ……」
「でしょ」
うにゅほが小さく胸を張る。
「小屋の日、という可能性もあるかもしれない」
「ありうる」
「それくらいかなあ」
「うと……」
しばし思案ののち、うにゅほが口を開く。
「……こばちのひ、とか」
「!」
5と8で、小鉢。
「その発想はなかった……」
「ふふー」
「やるな、××」
「かった」
「待て、考える。まだ何か隠されてるかもしれない」
「どうかな」
勝ち誇るうにゅほの隣で、熟考に熟考を重ねる。
脳内であらゆる組み合わせを試し、意味のある言葉を探し求める。
「……ファイブとエイトで、ファイトの日、とか」
「──…………」
「──……」
「むりあるとおもう……」
「俺もそう思う」
やはり、小鉢の日には勝てないのだろうか。
「あとは、中国語の五(ウー)と八(パー)で、ウーパールーパーの日しか思いつかなかった」
うにゅほが小首をかしげる。
「うーぱーるーぱーって、なに?」
「アホロートル」
「あほろーとるって、なに?」
「ウーパールーパー」
「……?」
「画像見る?」
「みる」
キーボードを叩き、Googleで画像検索をする。
「ちょっときもちわるいねえ……」
「可愛いと気持ち悪いの狭間にいるよな」
「わたし、ちょっときもちわるいより……」
話題がどんどんずれていくが、日常会話なんてそんなもんである。







130 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:06:34 ID:gxAvAfBw0

2019年5月9日(木)

トトトトトトトト──

人差し指が、iPhoneの画面を連打し続ける。
スマホのクリッカーゲームを始めてしまったのだった。
「おもしろい?」
「わからない」
「わからないの?」
「面白いか否かはともかく、延々やってしまう……」
クリッカーゲームは中毒性が高い。
両手が空いていると、その時間すらもったいないと感じてしまう。
「……てーつかれない?」
「ちょっと疲れてきた、かも」
「わたしだったら、じっぷんできないきーする」
「そうかな」
時計を見やる。
「──…………」
気が付けば、三時間ぶっ通しでタップし続けていた。
「……時間泥棒だ、これ」
「うん……」
「いったん休むか」
「うん」
iPhoneを充電し、右手を軽く振る。
「つ」
軽い痛み。
「ゆび、いたい?」
「すこし」
「まっさーじする」
うにゅほが俺の手を取り、つまむように人差し指を揉む。
「あ、いや」
「?」
「痛いの、人差し指じゃないんだ」
「てーぜんたい?」
「小指」
「──…………」
「──……」
軽い沈黙ののち、うにゅほが首をかしげる。
「なんで?」
「俺にもわかんない……」
「じゃあ、こゆびもむ……」
「お願いします」
クリッカーゲーム、やり過ぎに注意である。







131 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:07:05 ID:gxAvAfBw0

2019年5月10日(金)

床屋で髪を切り、帰宅した。
「ただいまー」
「!」
玄関で靴を脱いでいると、うにゅほがリビングから顔を出した。
「おー……!」
「ただいま、××」
「おかえりなさい! ◯◯、かっこよくなった!」
「カッコよくなった、というか……」
切る前がひどすぎたため、人並みに戻ったと表現すべきだ。
第三者の目がなければ、人は際限なくだらしなくなっていく。
在宅仕事も一長一短である。
「どこのとこやさんいったの?」
「結局、家からいちばん近いとこにした」
「じてんしゃやさんのとなり?」
「そう」
「あそこかー」
うんうんと頷く。
「それ、なんてかみがた?」
「名前あるのかな」
「よこうしろかりあげ……」
まあ、横も後ろも刈り上げてるけど。
「強いて言うなら、ツーブロックに近いんじゃないか」
「つーぶろっく」
「俺もよく知らないけど」
「◯◯もしらないの?」
「森羅万象すべて知ってるわけじゃありませんので」
「そだけど……」
「そんなことより、ほら」
うにゅほの眼前に頭を差し出す。
「?」
「髪切ったあと、ジェルつけてもらったんだ。触ってみ」
「はい」
うにゅほの手のひらが、俺の頭頂部に触れる。
瞬間、
「た」
うにゅほがその手を引っ込めた。
「ささった……」
「刺さるんだよ……」
短髪×ジェル×剛毛=ウニ人間
「──あはははは! ささる、ささるー!」
ツボに入ったのか、大爆笑である。
無遠慮に頭を撫で回されながら、しばしのあいだ苦笑するのだった。







132 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:08:54 ID:gxAvAfBw0

2019年5月11日(土)

窓際でひなたぼっこをしながら、呟く。
「いい天気だなー……」
「だねえ……」
これで熱いお茶でもしばいていれば、さながら老夫婦である。
「どっか行くかー……」
「いくー……」
「──…………」
「──……」
「どこ行きたいー……?」
「んー……」
まどろむように首を傾けながら、うにゅほが答える。
「どこでも……」
「いちばん困るやつ」
「どこでもたのしいし……」
「まあ、俺も、どこでもいいんだけど」
「◯◯もかー……」
「単に、出掛けないともったいない気がして」
「わかる」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「ジェラートには、すこし早いかな」
「そと、さむいみたい」
「じゃあ、ジェラートコースはなしで」
「クレープは?」
「クレープはこないだ食べたし……」
「きっさてん」
「アリだな」
「あっちいくなら、ゲームセンターいきたいな」
「チョコボール稼がないとだしな」
「さいきん、しぶいよね」
「角度が足りないよ角度が」
「うん」
そんな会話をしながら、重い腰を上げる。
「──そうだ。ポイント貯まってるから、ヨドバシ行くか」
「いく!」
「欲しいものある?」
「ない!」
即答である。
「まあ、行けば見つかるかもしれないし、ただ歩くだけでも楽しいしな」
「うん」
結局、ゲームセンターを巡り、喫茶店でスフレパンケーキを食べ、ヨドバシカメラでドライヤーを買って帰宅した。
有意義な一日だった。







133 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:09:37 ID:gxAvAfBw0

2019年5月12日(日)

窓際でひなたぼっこをしながら、呟く。
「──……眠い」
「ねむいの」
「眠い……」
うと、うと。
目蓋が重い。
気を抜くと、意識が遠のきそうになる。
「ちゃんとねた?」
「寝たと思う……」
「なんじかん?」
「六時間は」
「もっとねないとだめだよ」
「そうは言うけど……」
うにゅほに半眼を向ける。
「××なんて、もっと短いだろ」
「う」
痛いところを突かれたのか、うにゅほが言葉に詰まる。
「昔は十二時前に寝てたけど、いまは一時まで起きてるし」
「──…………」
「でも、起きる時間は変わらず六時だから、五時間しか寝てないじゃん」
「そだけど……」
「ショートスリーパーなのかな」
「しょーとすりーぱー?」
「睡眠時間が短くても平気な人」
「あー」
うんうんと頷く。
「わたし、あんまし、ながくねれないかも」
「羨ましいなあ」
「そかな」
「俺、寝るのそんなに好きじゃないし」
「すききらいとかあるの……」
「昔から体弱くて、臥せってなきゃいけないことが多かったからさ」
「──…………」
「寝なくていいなら、寝たくない。寝ないと死ぬから寝るけどね」
「そか……」
「だから、ちょっと羨ましい」
うにゅほが小さく目を伏せる。
「……◯◯、どうしたら、きもちくねれる?」
「気持ちよく、か」
思案し、答える。
「……寝入るとき、××が手を握っててくれたらかな」
「わかった」
うにゅほが俺の手を取る。
「あ、眠ったら離していいからな」
「うん」
手を繋いだままベッドへ向かい、布団に潜る。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ──」
挨拶と共に、意識が遠のく。
小さな手を現へのよすがに、夢の世界へ身を浸していく。
気がつくと、夕刻だった。
うにゅほは階下で夕飯の支度をしているらしい。
よく寝た。
安眠し過ぎて、夜に眠れるかすこし不安である。







134 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:10:26 ID:gxAvAfBw0

2019年5月13日(月)

母の日のプレゼントとして注文していたスチームアイロンが届いた。
ハンガーに掛けたままシワが伸ばせるというものだ。
だが、
「……なんか、微妙だったな」
「うん……」
スチームは一定して出ないし、水は漏れるし、シワも思ったより取れない。
「ふりょうひんなのかなあ……」
「どうだろ」
ディスプレイを指差す。
「?」
「Amazonレビュー」
「あー」
「星はだいたい2か1で、内容も辛辣。シワが取れないって書き込みがいちばん多いみたい」
「じゃあ、ふりょうひんじゃないのかな」
「不良品じゃないことがむしろ問題だと思うけどな」
「そだねえ……」
不良品なら交換してもらえばいい。
だが、商品自体が粗悪な場合、もうどうしようもないのだ。
「へんぴんできないのかな」
「たぶん」
「そか……」
「それに、母さんは、俺たちからのプレゼントを返品しようとは思わないよ」
「……そだね」
「父さんはすると思うけど」
「するね……」
互いに苦笑する。
そういう性格なのだから仕方がない。
「母さん、誕生日近いし、そっちのプレゼントは外さないようにしよう」
「なにがいいかなあ」
「服とか?」
「なるほど」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「俺と(弟)がお金出すから、××は買い物に付き合ってあげてほしい」
「◯◯、いかないの?」
「ちょっと勘弁願いたいなあ……」
「そか」
母親としても、××の意見のほうが、野郎ふたりより参考になるだろう。
プレゼントとは、なかなか難しいものだ。
 






135 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:12:01 ID:gxAvAfBw0

2019年5月14日(火)

「──…………」
うと、うと。
仕事をしながら船を漕ぐ。
「……◯◯?」
ぽん、ぽん。
「う」
うにゅほに肩を叩かれて、目を覚ます。
「……あー……」
図面には、引いた覚えのないフニャフニャの線が残されていた。
「ねむいの?」
「眠い……」
「ねむいなら、ちゃんとねたほういいとおもう」
「……そうだな」
今日のぶんの仕事は、さほど多くない。
夜に回せばいいだけの話だ。
「じゃあ、一時間くらい寝る……」
「うん」
仕事部屋から自室へ戻り、ベッドの上に這い上がる。
「はい、あいますく」
「ありがと」
アイマスクを受け取って装着し、布団を肩まで引き上げた。
「──…………」
先程まで船を漕いでいたにも関わらず、いざ寝るとなると集中力が必要だ。
雑念を追い出し、意識を沈めていく。
だが、

【──……の声を届けるために、応援よろしくお願いします……──】

「……うるさい」
「うるさいねえ……」
近く市議会選挙があるらしく、複数の街宣車が候補者の名前を喚きながら住宅街を巡っている。
「××、耳栓取ってくれる?」
「うん」
ウレタン製の耳栓を両耳に突っ込み、改めて横になる。

【──……干し竿の大安売り、二本で千円、二本で千円……──】

「──…………」
「──……」
街宣車と、さおだけ屋。
同時に来れば、騒音以外の何物でもない。
「……仕事、もうすこし頑張る」
「そだね……」
眠気が完全に飛んでしまった。
結局、昼寝をすることなく今日のぶんの仕事を終えられたのだから、結果的にはよかったのだけど。
 







136 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:13:06 ID:gxAvAfBw0

2019年5月15日(水)

ベッドメイクをしながら、ふと口を開く。
「──最近、似たような夢を見るんだよな」
「どんなゆめ?」
「パチンコ屋に行く夢」
「ぱちんこ……」
「パチンコなんて、ほとんどやったことないのに」
「◯◯、むかし、やってたっていってたきーする」
「それはパチスロのほうだな」
うにゅほが首をかしげる。
「ぱちすろ?」
「パチンコと、パチスロ。大差ないけど、ちょっと違う。具体的には鬼ごっことかくれんぼくらい」
「けっこうちがう……」
パチスロも、言うほどのめり込んでいたわけではないけれど。
「夢の中で、俺は、パチンコ屋へ行きたがったり、実際に行ったりする」
「ぱちんこしたいの?」
「全然」
賭け事に金を使うくらいなら、うにゅほに服の一着でも買ってあげたほうが、眼福でたいへんよろしい。
「そもそも、パチンコの知識が欠けてるから、実際にプレイしたりしないんだよ。やる前に目が覚める」
「ぱちすろしないの?」
「どうしてか、しない。夢の中の俺は、パチンコにしか興味がないみたい」
「へんなの……」
「そんな感じの夢を、かなり頻繁に見る」
「きょうもみたの?」
「見た」
ほんの十分前まで、見ていた。
「ゆめうらないで、なにかわからないかな」
「調べてみるか」
「うん」
Googleで適当に検索し、夢診断のサイトを開く。
「……日常に退屈さを感じていたり、なにか刺激が欲しくなっている、だって」
「たいくつ……」
「そんなつもりはないけどなあ」
刺激に満ちているかと言えば、そうではないけれど。
「ゲームする?」
「しようか」
仕事の時間まで、久し振りにマリオカートに興じるふたりだった。
 





137 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/05/16(木) 00:14:00 ID:gxAvAfBw0

以上、七年六ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2019年05月17日 19:45  ID:O8RN0CRP0
    作者はよ4ね
    オナニーを公共の場所でするな


  • 2  Name  名無しさん  2019年05月17日 19:52  ID:oWMA.qHj0
    いつもの


  • 3  Name  名無しさん  2019年05月17日 19:56  ID:BAHlDypG0
    終わり無き夢って怖いよね


  • 4  Name  名無しさん  2019年05月17日 19:58  ID:SR8Y2QWQ0
       △  ¥ ▲
      ( ㊤ 皿 ㊤)  がしゃーん
      (        )      
     /│  肉  │\         がしゃーん
    <  \____/  >
        ┃   ┃
        =   =
    3ゲットロボだよ
    自動でうにゅほを世話してくれるすごいやつだよ


  • 5  Name  名無しさん  2019年05月17日 20:14  ID:hJhtBuip0
    久々に見たけどまだ続いてたのか...


  • 6  Name  名無しさん  2019年05月17日 20:15  ID:Dzj9aBi10
    ひょっとしてこれ観測所の管理人が書いてるんじゃあ…


  • 7  Name  名無しさん  2019年05月17日 20:32  ID:JsMLbfxS0
    東方名作劇場


  • 8  Name  名無しさん  2019年05月17日 20:34  ID:ODMkrZB50
    果たして滅びずにいられるのかな?


  • 9  Name  名無しさん  2019年05月17日 20:36  ID:wM2ltSJY0
    賢者八雲紫氏、なんJでレスバトルを繰り広げ死亡

    年に200日以上を屋敷で過ごし、結界の管理と幻想郷縁起の検閲の週が交互にやってくるというハードスケジュールが続いているのは幻想郷の賢者・八雲紫氏(???)。
    そんな八雲紫氏の心の癒しとなっているのがなんJでのレスバトル。躍起になるなんJ民を自慢の頭脳で言い負かしスキマの差を見せつけるのが快感なのだという。
    今日も空いた時間に「暇ですわ」と藍と橙の二刀流でなんJに乗り込んだ八雲紫氏。早速儚月抄論争スレを立てると妖怪の賢者らしく境界の重要性を熱く説いた。
    「月の都でセコセコ積み上げた科学力など無意味」「幻想郷の方が楽園として優秀なのは永琳を見れば明らか」と書き込み、噛み付いてくる玉兎には「鼻につくわ」「往ね」など大妖怪らしく豊富なボキャブラリーで応戦。
    戦いを優位に進めスキマの差を見せつける八雲紫氏だったが、「>>1は間違いなくBBA」というレスに年甲斐もなく憤慨。
    人気投票、出演作数などの指標を提示しようとするもフェムトファイバーの組紐に引っかかり発狂、いくつか抜粋して書き込むもスレはdat落ち。そのショックで死亡した。
    これに対し道具屋のあの眼鏡かけたちょっと無愛想な店主は「笑顔が不吉」とそれ以上の詮索を控えるようコメントした。
    なお明日の冬眠には間に合う模様。


  • 10  Name  名無しさん  2019年05月17日 20:52  ID:lrmodAxF0
    なんて痛ましい…


  • 11  Name  名無しさん  2019年05月17日 21:33  ID:HfA.FH7r0
    >>9
    永琳は月支持派なんですがそれは
    と思ったけど大妖怪様の言うことだからどうでもいいか


  • 12  Name  名無しさん  2019年05月17日 22:16  ID:s6i1vbC.0
    この日記だけほんと異質だよな
    クンリニンさん弱みでも握られてんのか


  • 13  Name  名無しさん  2019年05月17日 22:57  ID:xmznBil.0
    誰得公開オ●ニーショー
    マジで何でこんなの毎回まとめてるんだか



  • 14  Name  名無しさん  2019年05月18日 15:24  ID:y1oyzpeo0
    この記事ってコメント雑談用だろ?


  • 15  Name  名無しさん  2019年05月19日 17:51  ID:ryF9iKe00
    日本の闇は深い


  • 16  Name  名無しさん  2019年05月19日 19:54  ID:KGoXhNNa0
    >>15
    日陰者の溜まり場を、さも日本のスタンダードのように言うんじゃない



  • 17  Name  名無しさん  2019年05月19日 22:30  ID:2oDM9URj0
    正直この継続力はただただ尊敬してる


  • 18  Name  名無しさん  2019年05月19日 23:19  ID:nJgm7osW0
    知らないの?これAIだよ


  • 19  Name  名無しさん  2019年05月20日 14:52  ID:vgxAoi970
    うにゅほちゃんがプリウスに轢かれて亡くなったら管理人はどんな日記書くかな笑


  • 20  Name  名無しさん  2019年05月21日 22:24  ID:1dSFCO160
    >>9
    月の都でセコセコ積み上げた科学力で草


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