2019年06月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



158 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:01:02 ID:aRKV9shA0

2019年6月1日(土)

仕事で必要な講習を受けて、帰宅した。
「はー……」
コンビニの袋を投げ出して、ぼす、とベッドに倒れ込む。
「おつかれですね」
「お疲れです」
「まっさーじ、いかがですか?」
うにゅほが両手をわきわきさせる。
「お願いできますか」
「はい」
「では、足を」
「あし?」
「足がいちばん疲れた」
「たくさんあるいたの?」
「そういうわけでもないんだけど……」
「わかりました、あしですね」
「はい」
「うら?」
「ふくらはぎかな」
「はーい」
差し出した右足に、うにゅほの小さな手のひらが触れる。
「うしょ」
もみ。
「うしょ、うしょ」
もみ、もみ。
「かたいねえ……」
「もうすこし強くてもいい」
「うん」
ぐに、ぐに。
「どう?」
「おー……」
張りに張ったふくらはぎに、血液が流れ込んでいくのがわかる。
「気持ちいいけど、××は大丈夫か?」
「つかれてきた……」
「はや」
「あし、ふといんだもん」
「疲れてきたなら、もういいぞ」
「まだやる」
「無理しなくても」
「あくりょくをぎせいにすれば、まだできる」
覚悟決まりすぎだろ。
「はい終了ー」
右足を引き戻す。
「あー」
「無理は禁止です」
「むりしてない」
嘘つけ。
「……代わりに、腰押してくれ。揉まなくていいから」
「わかった!」
お世話してくれるのは嬉しいが、無茶はしてほしくない。
そう複雑でもない男心である。








159 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:01:45 ID:aRKV9shA0

2019年6月2日(日)

カレンダーをめくりながら、呟くように話し掛ける。
「……光陰矢の如し。月日が経つのは早いものですね」
「そうですねえ」
「2019年も、残り半分か」
「……?」
振り返ると、うにゅほが小首をかしげていた。
「どした」
「まだはんぶんじゃないよ」
「──…………」
指折り数えていく。
六月。
七月。
八月。
九月。
十月。
十一月。
十二月──
「……あ、残り七ヶ月だ」
素で間違えた。
「うっかりさんだね」
「うっかりさんですね……」
ちょっと恥ずかしい。
「わたし、れいわになってもういっかげつのほうが、びびる」
「言われてみれば、一ヶ月か」
「うん」
「なんか馴染んできたよな」
「わかる」
「もうすこし違和感があるものかと思ってたけど、元号なんてさほど目にしないし……」
「けっこうみるよ」
「そうか?」
「ちらしにすーごいかいてた」
「あー」
令和記念セールなんて、いかにもやっていそうだものな。
「俺も、頑張らないと」
「むりしないでね」
「したら、××が止めてくれるだろ」
「とめる」
「なら大丈夫だ」
「……むりしないでね?」
「ははは」
笑って誤魔化す。
成すべきことは、たくさんある。
ひとつひとつこなしていこう。







160 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:02:31 ID:aRKV9shA0

2019年6月3日(月)

ぽん、ぽん。
「?」
ヘッドホンで音楽を聴きながら作業していると、不意に肩を叩かれた。
「どした」
「ざくろす、のむ?」
うにゅほの手に、薄い紅色の液体が注がれたグラスがあった。
「お、ありがとな」
からん。
グラスを受け取ると、中の氷が小気味良い音を立てた。
「炭酸水で割ったの?」
「うん。ざくろす、これでさいご」
「最後か……」
もったいない気がして、舐めるように飲み始める。
爽やかな甘味と香り。
「美味しかったし、また買おうか」
「うん、かおう」
「……あー、いや、でもな。どうしようかな」
逡巡する俺に、うにゅほが尋ねる。
「かわないの?」
「ザクロ以外にも種類があるんだよ」
「なにあじ?」
「たしか、桃とマスカットと、あとパイナップルだったかな」
「パイナップル……」
「パイナップル」
「なんでもおすになるんだねえ」
「仮に買うとしたら、どれがいい?」
「うーん……」
腕を組み、深く思案する。
「××が好きなのは、パイナップルだよな」
「そうだけど……」
「だけど?」
「パイナップルのおすって、すーごいすっぱそう」
「たしかに」
果物はたいてい甘酸っぱいが、パイナップルはとりわけ酸味が強い。
「いちばんきになるのは、もも」
「あー」
「あじ、けんとうがつかない」
「じゃあ、今度は桃を買ってみるか」
「うん」
桃のお酢。
果たして、どんな味なのだろうか。
 






161 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:03:10 ID:aRKV9shA0

2019年6月4日(火)

四週間に一度の定期受診の帰り、近所のスーパーマーケットで美酢の桃を購入した。
「おー……」
「注いでみるか」
「うん」
ボトルの蓋をひねり、グラスに美酢を注ぐ。
とろりとした薄黄色の液体が、グラスの底に溜まっていく。
「あれ、ピンクじゃない……」
「本当だ」
「あ、そか。もも、ピンクなの、かわだけだもんね」
言われてみれば、たしかに。
「真っ赤なザクロ酢に慣れてたから、ちょっとびっくりしたな」
「うん」
「炭酸水で割って、と」
あらかじめ冷やしてあった炭酸水を注ぐと、
「ッ!」
「わ! あわ、あわ!」
注ぎ方が悪かったのか、白色の泡が、あっという間にグラスの縁まで迫り上がった。
慌ててグラスに口をつけ、思いきり啜る。
「──ぶッ」
鼻の奥がツンと痛む。
炭酸水と酢の混合液が、鼻まで逆流したらしい。
「うぶー……」
「◯◯、だいじょぶ!」
「……ティッシュ取って」
「はい!」
噴出こそ避けられたものの、鼻道に違和感が残っている。
まあ、こぼさずに済んだだけ良しとしよう。
「××、先飲んでいいよ」
「わかった」
うにゅほがグラスを取り、そっと傾ける。
「ふんふん」
「美味しい?」
「うん。おもったより、すっぱい」
「お酢だからなあ」
「ざくろす、あまかったよ?」
「それはたしかに」
グラスを受け取り、ひとくち啜る。
「あー、ほんと桃だな。濃縮した感じ」
「おいしいけど、ざくろすのほう、おいしいかなあ……」
「俺も、ザクロのほうが好きかな」
「やっぱし」
桃を空けたら、またザクロを買おう。
ダイエットにも効果あるらしいし。







162 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:03:45 ID:aRKV9shA0

2019年6月5日(水)

「◯◯、あいふぉんつかっていい?」
「ほら」
デスクの上のiPhoneを取り、うにゅほに手渡す。
「ありがと」
「何すんの?」
「あなおとすやつ」
Hole.ioか。
「××、それ好きだなあ」
「すき」
今、ハマっているらしい。
放っておくと一時間くらいやっている。
「一位取れた?」
「いちいはかんたん。にせんてんとりたい」
「そうなんだ」
操作の単純なゲームは上手いんだよな。
Hole.ioに没頭するうにゅほをしばらく見守ったあと、作業に戻る。
しばしして、
「といれー」
不要な宣言をしながら、うにゅほが立ち上がった。

──ゴン!

「あ!」
嫌な物音に、思わず振り返る。
iPhoneが床に落ちていた。
「ごめんなさい!」
取り落としてしまったらしい。
慌ててiPhoneを拾い上げたうにゅほが、その画面を見て顔を青くする。
「ひび……」
「見せて」
iPhoneを受け取り、確認する。
「なんだ、保護ガラスの端がちょっと割れただけじゃん」
「でも」
「気にしない」
「はい……」
うにゅほは、気にするなと言っても気にする子である。
「──ちょっと疲れたな。悪いけど、肩揉んでくれるか」
故に、気を散らすのが最適解だ。
「はい!」
「あ、トイレ行ってからでいいから」
「わかった!」
むしろ、傷ひとつなく半年保ったのだから、素晴らしい品質の液晶保護ガラスである。
次も同じメーカーのものを買いたいものだ。
どこの商品か忘れたけど。







163 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:04:09 ID:aRKV9shA0

2019年6月6日(木)

「パーフェクト……」
「?」
うにゅほがディスプレイを覗き込む。
「なにしてたの?」
「twitterで流れてきた漢字テスト」
「ぱーふぇくとだ」
「全問正解」
「すごいねえ」
「一般常識レベルだったから、なんとかな」
漢検一級で出題されるような難読漢字になると、全問正解はさすがに無理である。
「××もやってみるか?」
「やる!」
「タイピングは俺がするから、口で答え言ってくれな」
「わかった」
うにゅほが頷くのを確認して、漢字テストをスタートする。

LEVEL1 辟易

「へきえき」
「お」
正解である。

LEVEL1 椿事

「……つばきごと?」
不正解。
「正解は、"ちんじ"」
「もっかい!」
「はいはい」
再スタート。

LEVEL1 羨望

「せんぼう」

LEVEL1 奇天烈

「きてれつ!」
とんとん拍子にクリアしていき、LEVEL2へ。

LEVEL2 吹聴

「ふいちょう」

LEVEL2 紫陽花

「し、しようばな……」
不正解。
「正解は、"あじさい"」
「もっかい!」
「頑張れ」
幾度か挑戦したものの、LEVEL2から先へどうしても行くことができない。
どうやら壁があるようだ。
「かんじ、むずかしいねえ……」
「わりと善戦したほうじゃないか」
まさか、"更迭"を読めると思わなかったし。
「わたしもぱーふぇくととりたかった」
「勉強だな」
「はーい」
漫画を読むだけでも、漢字の勉強にはなるものだ。
頑張れうにゅほ。







164 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:04:53 ID:aRKV9shA0

2019年6月7日(金)

「××、××」
「はーい?」
「今日、何の日だと思う?」
「あ、なんのひしりーずだ」
「何の日シリーズです」
「かくことないんだ」
「書くことないんです」
「うーと、ろくがつなのかだからー……」
大きく首をかしげながら、うにゅほが思案する。
「──…………」
「──……」
「……むなのひ?」
「むな?」
「ごろあわせ、むりとおもう」
「俺もそう思う」
「ごろあわせじゃないの?」
「語呂合わせだけど、例によって例のごとく無理があるぞ」
「むりあるパターンかあ」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「こたえ」
「答えは、むち打ち治療の日」
「ろく、むちうちの、むー?」
「そうそう」
「ななは?」
「"む"ちうちを"な"おそうで、むち打ち治療の日らしい」
「──…………」
あ、微妙な顔してる。
「それでいいなら、なんでもいいきーする……」
「"む"ちうちは"な"おらない、でもいいよな」
「むこうから、なにかくる、でも、ろくがつなのか」
「怖っ」
何が来るんだよ。
「えーと、無視して、セブンイレブンに入る」
「おー」
「次、××」
「じゃあねー。むりょうで、ななちきあげる」
「昔は七百円だった……」
「たか!」
よくわからない遊びが唐突に始まって、五分くらいで終わるのだった。
 







165 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:05:57 ID:aRKV9shA0

2019年6月8日(土)

ふと時計を見る。
時刻も午後四時を回り、過ごしやすい気温になってきた。
「◯◯、ウォーキングいく?」
「あー……」
どうしようかな。
「いかない?」
「天気もいいし、行きたいとは思うんだけど……」
「ぐあいわるいの?」
「具合は悪くない」
「きーのらない?」
「それがいちばん近いかな……」
「わかった」
うにゅほが、手にした靴下を引き出しへ戻す。
「ごめんな」
「あやまることないよ」
「いや、なんというか──」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「……理由が、我ながらアホくさくてさ」
「りゆう」
「その、な。さっき昼寝してたじゃん」
「してた」
「で、夢を見たんだよ」
「ゆめ?」
「……ウォーキングする夢」
「あー……」
「ひたすら歩く夢を見て汗だくで起きたから、平日の夜に仕事する夢を見たときみたいな気分に──」
そこまで言って、ますますアホらしくなってきた。
「……よし、やっぱ行くか!」
「いいの?」
「夢は夢、現実は現実。切り替えていこう」
「うん」
そして、今日もまた、健康に一歩近づくのだった。







166 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:06:44 ID:aRKV9shA0

2019年6月9日(日)

「疲れたー……」
喪服を着たままベッドに倒れ込む。
母方の祖母の三回忌法要を終え、ようやく帰宅したのだった。
「もふく、ぬがないと、しわなっちゃうよ」
同じく喪服を身にまとい、後頭部で髪をまとめたレアなうにゅほが、俺の手を引いて立たせてくれる。
「ほら、ぬいで」
「ふーい……」
されるがままに脱がされながら、尋ねる。
「……××は疲れてないの?」
「ちょっとだけ」
「じゃあ、これからウォーキング行く?」
うにゅほが苦笑する。
「そこまでげんきじゃないー……」
「ですよね」
「それに、◯◯いくきない」
「バレたか」
「わかるよー」
俺の喪服をカバーに仕舞いながら、うにゅほが呟くように言う。
「おばあちゃんしんでから、もうさんねんたつんだねえ……」
「いや、二年だよ」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「三回忌は、亡くなってから二年目」
「なんで?」
「亡くなった当日を一回忌って数えるんだってさ」
「へえー」
「ややこしいよな」
「……あれ、しんだつぎのとしは?」
「一周忌」
あるいは、二回忌と呼ぶこともあるらしい。
「いっかいきと、いっしゅうき、ちがうんだ」
「そうみたい」
「ややこしい……」
まったくである。
初耳という読者諸兄は、是非この機会に覚えておこう。







167:名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:07:21 ID:aRKV9shA0

2019年6月10日(月)

風を切る。
風防越しに、景色が押し流されていく。
腰に回された両腕、背中に灯る体温に意識を割きながら、久方振りにバイクを走らせていた。
「ふー……」
赤信号で停車し、タンデムシートのうにゅほに話し掛ける。
「怖くない?」
「うん、だいじょぶ。きもちいねえ!」
「バイク日和だよな」
天気は快晴、初夏の気候。
こんな日は、用がなくとも走りたくなるというものだ。
だからと言って、本当に走るだけというのもつまらない。
「××、行きたいとこある?」
「いきたいとこ……」
「──あ、信号変わる。次までに考えといて」
「はい」
しばし愛車を走らせて、赤信号で再び停車する。
「思いついた?」
「うと、クレープたべたい」
「了解」
小さく頷いて、いつものクレープ屋へとハンドルを切った。
目的地が一箇所定まると、自然とルートも決まる。
クレープを食べ、
ゲームセンターをはしごし、
すこし悩んだが喫茶店には寄らず、
大回りして帰宅した。
「……久し振りだから、だいぶ疲れた」
「わたしも、うでいたい……」
「腰にもちょっと来てる」
「わかる」
「……今日、ウォーキングなしで」
「どうい……」
生クリームこんもりのクレープを食べておいて運動しないのは問題なので、今日はエアロバイクを漕ぐことにした。
うにゅほは、
「ひるも、よるも、バイクだね」
と、笑っていた。
エアロバイクにタンデムシートがあれば面白かったのに。
なんの意味があるかは知らんけど。







168 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:07:53 ID:aRKV9shA0

2019年6月11日(火)

「──◯◯!」
花壇に水をやっていたはずのうにゅほが、勢いよく自室に転がり込んできた。
「◯◯、ありいた!」
「!」
すぐさま臨戦態勢に入る。
「家の中か?」
「げんかんのそと!」
「よし」
ひとまず胸を撫で下ろす。
まだ最悪の事態には至っていないようだ。
俺たちが、何故、アリに対し、これほどまでに神経質になっているのか。
それは、幾度となく屋内に入り込まれた経験があるからだ。
働きアリは、餌場へと通じる道にフェロモンでマーキングを行う。
一度餌場と認識されてしまえば、そのコロニーを全滅させるまで、際限なく侵入され続けてしまうのだ。
「──…………」
サンダルをつっかけて玄関を出ると、一匹のアリがコンクリートの基礎を這い回っていた。
以前の侵入口からはすこし離れている。
「行列は作ってないな」
「うん」
「前のコロニーは潰したから、新しい女王アリが来たんだろう」
以前の巣は撤去済みだ。
「家に入られる前に、巣ごと全滅させよう。他にアリのいる場所は?」
「わかんない。まばらにいる……」
「前のアリより大きいな。吸蜜性じゃなくて、雑食性かもしれない」
「ありのすころり、きくかなあ」
「あれ、効いた試しがないんだよな」
「うーん……」
「やっぱ、アリメツかな」
アリメツ。
糖蜜とホウ酸を混ぜ合わせただけの、非常に男らしい殺蟻剤である。
「去年買ったのがまだ一本残ってるから、あれを使おう」
「ことしもがんばろうね」
「ああ。絶対に、侵入させない」
憎きアリの姿を目にし、ケツイがみなぎるのを感じるのだった。







169 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:08:24 ID:aRKV9shA0

2019年6月12日(水)

「──…………」
「──……」
うにゅほとふたり、目を皿のようにして、花壇の周囲を見て回る。
アリメツを仕掛けるにしても、効果的な場所を見定めなければならない。
「可能なら、巣の出入口の傍。最低でも通り道に仕掛けたい」
「うん」
「そっち、いた?」
うにゅほが首を横に振る。
「いない……」
「俺の方も、見掛けないんだよな」
「いなくなったのかな」
「まさか」
そんな簡単に消えてなくなるのであれば、苦労はない。
「アリのほとんどは、巣の中で活動する。たまたま外に出てないか、別の餌場を探してるかだろうな」
「くわしい」
「アリの生態に関しては、かなり調べたからな……」
敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。
そのわりに幾度も攻め込まれているような気もするが、深く考えてはいけない。
「ただ、巣自体は、花壇から離れた場所にあるのかもしれない」
「どこだろう……」
「捜索範囲を広げるか。××は、家の周囲を時計回りで」
「◯◯は?」
「反時計回り」
「とちゅうでごっつんこするね」
「ちゃんと前も見よう」
「はーい」
うにゅほと別れ、ぐるりと迂回し、家の裏手で合流する。
「どーん!」
体当たりしてきたうにゅほを抱き留めて、尋ねる。
「そっち、どうだった?」
「いなかった」
「マジか」
「◯◯のほうは?」
「見なかった」
「やっぱし、いなくなったのかな」
「昨日見たアリが遠征組だった可能性はあるな」
「あー」
だとすれば、手間がなくていいんだけど。
だが、油断してはいけない。
屋内に侵入されてからでは遅いのだから。







170 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:09:02 ID:aRKV9shA0

2019年6月13日(木)

すこし時間があったので、うにゅほの髪を縛って遊んでいた。
「まずはポニーテール」
「おー」
「たまに見るから新鮮味はないな」
うにゅほが姿見を覗き込む。
「ちょっとずれてる」
「慣れてないもので……」
ポニーテールを解き、側頭部で髪をまとめる。
「サイドテールはどうだ」
「うで、くすぐったい」
うにゅほの髪は、長い。
サイドでまとめても肘まで届くほどだ。
「あと、ちょっとおもい……」
「左右のバランスが悪いか」
「うん」
「じゃあ、半分くらい右側に持ってきて──」
両側頭部で髪を縛る。
「ツインテールだ!」
「りょううで、くすぐったい」
まあ、そうなるな。
「──…………」
姿見越しにうにゅほを観察する。
「……ツインテールはさすがにあざといな」
「あざとい?」
「地下アイドルがしてそうな髪型だ」
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「あ、それあざとい。あざといわー」
「へん?」
「変ではないし似合うけど、別のくくり方がいいな」
「おねがいします」
「左右でまとめて、折り畳んで──」
しばりしばり。
「うん、弥生人って感じ」
「ほんとだ、やよいじんだ!」
面白いけど、ファッション的にどうなのだろう。
ないよな。
「ね、おかあさんにみせてきていい?」
「いいぞ」
「いってきます!」
階下へ向かううにゅほの背中を見ながら、すこし反省する。
もっと可愛らしく髪を縛れるようになりたいものだ。
 







171 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:09:30 ID:aRKV9shA0

2019年6月14日(金)

「ね、◯◯」
肘掛けの下から、うにゅほがひょこりと顔を出した。
「ちちのひだよ」
「えっ!」
「あさって」
「──…………」
うにゅほの頭に肘を乗せ、ぐりぐりと動かす。
「あー!」
肘の下から悲鳴が上がる。
むろん、体重は掛けていない。
「今日が当日かと思っただろ!」
「うへー」
「わざとか」
「うん」
「──…………」
ぐりぐり。
「ぎゃー!」
楽しげな悲鳴と共に、うにゅほが肘の下から逃げ出した。
「父の日、どうすっかな」
「おさけ?」
「お酒でいいと思う」
「誕生日のときは、俺がウイスキーで、××がワインだっけ」
「うん」
「まだ飲んでないみたいだし、買うとすればワインとウイスキー以外かな」
「ビールとか?」
「父さんダイエット中だから、ビール以外がいいかも」
うにゅほが小首をかしげる。
「ビール、ふとるの?」
「他のお酒に比べて、がぶがぶ飲むから太りやすいらしい」
「へえー」
「日本酒なんかいいかもなあ……」
「にほんしゅ、まえ、(弟)がプレゼントしてたきーする」
「あれはもう飲んだんじゃないかな」
「そなんだ」
「飲み比べセットだったし」
「あー」
「またリカーショップ行って、見繕おう。ネットで評判調べてからでもいいし」
「そうしましょう」
父親へのプレゼントは楽でいい。
獺祭とか、置いてるかな。
 







172 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:10:06 ID:aRKV9shA0

2019年6月15日(土)

「今日は、オウムとインコの日らしい」
「おうむといんこのひ……」
オウム返しに呟き、うにゅほがカレンダーへと視線を向ける。
「ろくがつじゅうごにち」
「ゼロロクで?」
「おうむ」
「イチゴーで?」
「いんこ!」
「オウムとインコの日」
「なっとくいく!」
「むち打ち治療の日はひどかったですね……」※1
「なんのひしりーず、むりあるパターンおおい」
「本当だよな」
「にらのやつとか……」
「ニラの記念日は、これまでで一、二を争うひどさだったと思う」
「うーと、なんにちだっけ」
「ちょっと待って」
メモソフト内を検索し、該当の日付の日記を開く。
「2月12日、黄ニラ記念日。"に(2)っこりいい(1)ニ(2)ラ"の語呂合わせ」
「──…………」
「──……」
「じゅういちがつふつか、だめだったの?」
「あっ」
「いいにらのひ」
「たしかに無理がない」
「むりないパターン」
「……あー、でも、黄ニラの旬とかがあるのかも」
「なるほど……」
「記念日を作ることが目的であって、整合性なんて二の次だからな。気にする人なんていないだろうし」
「ふたりいるよ」
「ふたりいるな」
「なんのひけいさつ!」
「そこは記念日警察とかにしない?」
「きねんびけいさつ!」
「また変な記念日見つけたら教えるな」
「うん、たのしみ」
日記のネタにもなるし。

※1 2019年6月7日(金)参照
 






173 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/06/16(日) 18:10:59 ID:aRKV9shA0

以上、七年七ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2019年06月17日 19:40  ID:5ELpwtwt0
    ほう・・・7年半超えですか。
    たいしたものですね。


  • 2  Name  名無しさん  2019年06月17日 19:51  ID:yLAbW8M60
    うんこしたくなってきたぞ


  • 3  Name  名無しさん  2019年06月17日 20:44  ID:hEKSz9Ws0
    7年半……月日の経過は恐ろしい


  • 4  Name  名無しさん  2019年06月17日 20:58  ID:MbByWiz00
    小学校のとき、先生に知能に障害がある子のうちに遊びに行かされた 
    彼は脇目もふらずに東方のssを書いていて、正直、「こいつでも東方とかわかるんだなあ」と思った 
    三十分ほど彼のssを見ていて、とても悲しい事に気が付いた 
    彼がそのssで書いているのは、自分の理想の生活を霊烏路空に解説させる、 
    ただそれだけだった。二人だけの物語の経過年数は7年を越えていた。 
    彼は永遠、お空にピエロを演じさせ続けた 
    とても楽しそうだった 
    他のキャラも書いてやろうと思いキーボードに手を伸ばしたら凄い剣幕で怒鳴られた。 
    なんて怒鳴られたか聞き取れなかったけれど、とにかく怒鳴られた 
    それを見て彼の母親が「ごめんなさいね、○○ちゃんは東方大好きなのよ」と僕に謝った 
    彼はお空以外のキャラは知っていなかった 


  • 5  Name  名無しさん  2019年06月17日 21:01  ID:Eht8gv3M0
    コメ欄に毎回コピペ改変あるの草
    そっちの方が楽しみまである


  • 6  Name  名無しさん  2019年06月17日 21:14  ID:xaaZycV.0
    小学生の時点で7年ていたから書き始めてたんだ彼は…


  • 7  Name  名無しさん  2019年06月17日 21:21  ID:1YpvFH0g0
    これ需要あるの?
    露悪的過ぎ公共性低すぎでまとめなくていいと思うんだけど


  • 8  Name  名無しさん  2019年06月17日 21:32  ID:0EVaz.8A0
    ※7
    叩いてた人はひっそりと離れて行ってるんや…
    あなたも森へお帰り…


  • 9  Name  名無しさん  2019年06月17日 22:32  ID:XJgPH9qL0
    読んでてやけに筆者を殴りたくなる、何処かで覚えのある気持ちになった
    飯食ってた時に気付いた、牛丼ガイジだ
    主人公は周りに迷惑かけてばっかで不振行動しまくっててマナーもモラルも無くてロクに仕事も努力もしてないのに自己主張だけは人一倍強いアホ、しかし周りからは愛されてる設定にする
    下手ななろう小説よりタチ悪い、これは叩かれて当然ですわ
    しかも世界観が狭い分うにゅほ日記の方が遥かにゴミで読みづらいという


  • 10  Name  名無しさん  2019年06月17日 23:02  ID:idZOtMAd0
    キターーーーーーーーー
    コメント欄だけ読みに来る定期


  • 11  Name  名無しさん  2019年06月17日 23:08  ID:QDbZnNyV0
    今週のマジキチタイム。
    でもまとめなくなったらそれはそれで寂しい!!
    まあ半月ごとの時報みたいな感じだな!
     
    ていうかコレ、ただの妄想垂れ流しじゃん?
    別に読んでイライラするようなモンじゃなくね?


  • 12  Name  名無しさん  2019年06月17日 23:29  ID:o6H6kean0
    これのコメ欄って悲喜こもごもで他では絶対見れない流れになるからこれからも続けて欲しい
    本編?読まないすよそりゃ


  • 13  Name  名無しさん  2019年06月17日 23:39  ID:5bDzFYkF0
    この犯罪者予備軍はこの世界から退場してもらいたい


  • 14  Name  名無しさん  2019年06月17日 23:49  ID:EtCf1ALT0
    作者の顔写真うpきぼんぬ
    絶対に陰キャだわw


  • 15  Name  名無しさん  2019年06月18日 01:25  ID:vYSCk0k90
    ここのサイトの管理人が書いてるの?
    そうじゃなきゃおかしお


  • 16  Name  名無しさん  2019年06月18日 02:28  ID:UdB0kOSq0
    ヒキニーの痛い妄想



  • 17  Name  名無しさん  2019年06月18日 06:11  ID:LqDxdb9k0
    コメ欄が本編


  • 18  Name  名無しさん  2019年06月18日 10:44  ID:fp5OJ8N10
    見る毒


  • 19  Name  名無しさん  2019年06月18日 12:25  ID:pw1gfJWI0
    牛丼買って帰るか


  • 20  Name  名無しさん  2019年06月18日 13:56  ID:Dt0xA3zV0
    お空の肛門なめたい
    あと、お空のおっぱいしゃぶりたい

    ぺろぺろちゅっちゅ♡



  • 21  Name  名無しさん  2019年06月18日 19:27  ID:eQJRnCCk0
    うにゅほだけは好きだからめっちゃ楽しかった


  • 22  Name  名無しさん  2019年06月24日 03:42  ID:.Q3wvEPY0
    ※閲覧注意
    うにゅほとの生活を書き連ねた日記が七年六ヶ月半分たまった(2019年6月前半)


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