2019年09月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



257 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:47:20 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月1日(日)

カレンダーをめくりながら、呟くように口を開く。
「九月かあ」
「うん」
「夏が終わったな……」
「でも、あつい」
「たしかに」
温湿度計は、30℃手前を示している。
「まあ、九月になったからって、急に紅葉するわけでもないしな」
「なつと、あきの、あいだだね」
「そんな感じ」
晩夏か、初秋か、それは知らないけれど。
「休日だし、どっか行くか」
「いくー」
「どこがいい?」
「うと……」
うにゅほが思案する。
「急に言われても、すぐさま出て来ないか」
「うん」
「とりあえず、本屋に行くのは決まってるんだよ」
「ほんやさん、ひさしぶりだね」
年齢の違いから、俺とうにゅほでは時間の感覚が異なる。
うにゅほからすれば──
「……最後に本屋行ったのって、どのくらい前だっけ」
「かなりまえとおもう……」
「最近、新刊はAmazonで買ってたからなあ」
「そだねえ」
財布を開き、本屋のポイントカードを取り出す。
「うわ」
「?」
「最後の購入日、2018年の2月27日だ」
「いちねんはん……?」
「何も買わなかった日もあるだろうから、一概に一年半ぶりとも限らないけど……」
時間感覚の違いとは無関係に、本当に久し振りだった。
「ほんやさんで、なにかうの?」
「資格試験のテキスト。そろそろ勉強しないと」
「がんばってね」
「頑張るとも」
本屋で用事を済ませたあと、いつものゲーセン巡りに繰り出した。
60枚入りの蒲焼さん太郎を手に入れたので、おやつにはしばらく事欠かないだろう。








258 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:47:58 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月2日(月)

床屋へ行ってきた。
「じゃーん」
「おー」
「さっぱりしただろ」
「うん、さっぱりした!」
手を伸ばし、うにゅほの前髪をつまむ。
「××も、そろそろ美容院の時期じゃないか?」
「うーとね、いま、のばしてるの」
「そうなんだ」
「まえ、きりすぎたから……」
「──…………」
うにゅほの肩を掴み、くるりと反転させる。
「わ」
「十分長いと思うけどなあ」
背中の中程まである髪を、手櫛で梳く。
絹糸のような感触だ。
「まえ、もっとながかった」
「腰近くまであったもんな」
「うん」
「頭重くないの?」
「あんましきにしたことない」
まあ、そんなもんか。
「……◯◯、ながいの、すきじゃない?」
「好きだよ」
「うへー……」
「短いのも好きだけど」
「そなんだ」
「中くらいのも好きだな」
「どのながさ、いちばんいい?」
「うーん……」
しばし思案し、答える。
「××の髪なら、どんな長さでも好きかな」
「そういうの、いちばんこまる」
「……すみません」
「うれしいけど……」
うにゅほが、てれりと笑う。
「ただ、前髪はちょっと長いかな。毛先だけ整えてもらってきたら?」
「うん、そうする」
今度、うにゅほ行きつけの美容室へ連れて行ってあげよう。







259 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:48:57 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月3日(火)

自室用の新しい冷蔵庫が届いた。
「おおー……」
うにゅほが目を輝かせる。
「まるくてかわいいね!」
「実際に設置すると、悪くないなあ」
大きさと実用性のみで購入した冷蔵庫だったが、周囲の家具との調和も取れている。
これにしてよかった。
「さて、ディスプレイを上に乗せないとな」
「うん」
Switch用の43インチディスプレイは、その大きさから、冷蔵庫と小箪笥を跨ぐ形でしか設置することができない。
前の冷蔵庫のときは、低い小箪笥側に高校時代の卒業アルバムを噛ませていたのだが、
「こんど、れいぞうこのがひくいねえ」
「高校の卒業アルバムだと、ちょっと厚すぎるな」
逆側に傾きそうだ。
「なにはさむ?」
「適当な文庫本なら、なんでもよさそうだけど……」
「しょうせつつかうの、やーなんだっけ」
「やー」
「やー」
ちょっと可愛い。
「アルバムはいいの?」
「固いし、ケースに入ってるし」
「あー」
しばし本棚を漁り、
「──あ、中学の卒業アルバム薄いじゃん。これにしましょう」
「そうしましょう」
中学時代の卒業アルバムを噛ませると、ディスプレイが綺麗に水平になった。
「よし」
「さいきん、スイッチしてないねえ」
「だいたいのソフトは遊びきったからな」
「あたらしいの、かわないの?」
「欲しいのはあるけど、まだ出てない」
「どんなの?」
「聖剣伝説3ってスーファミのゲームのリメイクと、ゲームボーイのゼルダのリメイク」
「リメイクばっかしだ」
「おっさんには、新しいタイトルよりずっと刺さるんだよ……」
「へえー」
楽しみだなあ。
聖剣伝説3は、マルチプレイ可能なんだろうか。
 






260 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:49:29 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月4日(水)

カラー印刷が必要になったので、久方振りにプリンタの電源を入れた。
うにゅほが、プリンタを撫でながら口を開く。
「エイさん、ひさしぶりだねえ」
「仕事の用事は、リースしてる複合機で事足りるからな」
ただし、複合機では、モノクロ印刷しかできないのだ。
「えーと、ドライバから入れ直さないとか」
「どらいば?」
「ドラえもんの一種」
「うそだー」
「嘘です」
適当な会話を交わしつつ、ドライバのインストールからプリンタの無線LAN接続までを済ませてしまう。
「よし、試しに印刷してみよう」
「うん」
適当な画像ファイルを開き、印刷を開始する。
うぃー……ん。
ぴー、がが、が。
がっしょん、がっしょん。
がががが。
がっしょん、がっしょん。
「──…………」
一向に印刷が始まらない。
「ひさしぶりだから、ちょうしわるいのかな……」
「そうかも」
「エイさん、がんばれー」
うにゅほがエールを送る。
「インク、大丈夫かな。乾いてたりしないだろうか」
「わかんない……」
そのまま五分ほどが経過したころ、プリンタの下部から何かが突き出た。
「なんかでた」
「トレイだな。印刷した紙が落ちないようにするやつ」
「まだいんさつしてなかったの……?」
「そうらしい」
「なにしてたんだろ」
「さあ……」
さらに三分ほど待ったところで、ようやく印刷が開始された。
壊れてはいない。
壊れてはいないが、買い換えも視野に入れたほうが良いのかもしれない。
エイさんを気に入っているうにゅほが悲しむから、もうすこし頑張ってほしいところである。







261 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:50:01 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月5日(木)

旅行に必要だろうと思い、中古のカバンを購入した。
「ちいちゃいかばんだね」
「メッセンジャーバッグってやつだな」
「めっせんじゃーばっぐ」
「肩から提げるんじゃなくて、斜めに背負うカバンのこと」
「しょってみて」
「はいはい」
黒いカバンを斜めに背負う。
「こんな感じ」
「おー」
「似合う?」
「ふつう」
普通だった。
「ちいちゃいかばんと、おっきいかばん、ふたつもってくの?」
「着替えの詰まったドラムバッグなんて、いちいち持ち歩きたくないだろ」
「あ、ホテルにおいてくんだ」
「そうそう」
「あたまいいね」
「いや、普通だからな」
「そなんだ」
「──…………」
考えてみれば、うにゅほは、泊まりがけの旅行をしたことがない。
俺が東京へ行く際は留守番になるし、両親が旅行に出掛ける際は俺と一緒にいたがるからだ。
「××」
「?」
「旅行、どこ行きたいか考えといて」
「!」
「ふたりで行くって言ったろ」※1
「──うん!」
うにゅほが目を輝かせる。
「ね、ね、どこいいかな!」
「どこでもいいけど、なるべく道内でお願いします」
「はーい」
うにゅほだけでは恐らく決められないから、こちらでも案を出しておこう。
函館なんてどうだろうか。

※1 2019年8月30日(金)参照







262 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:50:28 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月6日(金)

明日、東京へ発つ。
「──…………」
「──……」
「××さん」
「?」
「暑いんですけど……」
うにゅほが、ぴたりと寄り添って離れない。
「……だって、◯◯、あしたからいない」
「まあ、うん」
「ふつかもいない……」
「──…………」
「──……」
「……膝、座ります?」
「はい」
うにゅほが、俺の膝に、対面するように座る。
「こっち向いて座るのか……」
「うん」
ぎゅー。
真正面から、強く抱き締められた。
「──…………」
「──……」
心の底から求められている。
離れがたく感じられている。
だが、それはこちらも同じこと。
「わ」
うにゅほを抱き締め返し、首筋に鼻先を埋める。
「電話するから」
「うん」
「事あるごとにするから」
「……うん」
「スマホ、充電しないとダメだぞ」
「ずっとする」
「ずっとはしなくていいけど」
「でんち、へったらする」
「ああ」
「いないあいだ、◯◯のベッドでねていい?」
「いいぞ」
「──…………」
「?」
「……きょうも、いい?」
「一緒に寝るのか」
「うん」
「いいぞ」
「やた」
「まだ暑いし、エアコン入れて寝ないとな」
「うん」
明日の別れを惜しむように、全力で互いに依存する。
二泊三日でこれなのだ。
三泊以上の一人旅は、恐らく不可能だろうなあ。

※ 明日、明後日の「うにゅほとの生活」は、お休みとなります







263 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:50:59 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月7日(土)
2019年9月8日(日)
2019年9月9日(月)

午前八時に家を発ち、羽田空港へ着いたときには正午を回っていた。
無事に到着したことをLINEで報告すると、すぐさま通話が掛かってきた。
「──はい、もしもし」
「ついた?」
「着いた着いた」
「とうきょう、あつい?」
「まだ空港だから、わからないなあ」
「そか」
事程左様に、事あるごとに、うにゅほとLINE通話をし続けた東京旅行だった。
初日にカバンのファスナーが壊れたこと。
飯田橋の裏通りは下水の臭いがしたこと。
ポルノグラフィティのライブがあったらしく、物販のTシャツを着た人たちが多くいたこと。
ホテルの部屋に、自室と同じ空気清浄機が設置してあったこと。
そんな他愛ない出来事を、すべて共有する。
俺たちは繋がっている。
「たいふう、きーつけてね……」
「大丈夫だよ。もうホテルだし、外出る用事もないし」
「あめふってる?」
「すこしだけ」
「すこしなんだ」
「深夜に降るのかも」
「あめ、ざあざあ」
「ざあざあで済めばいいけどな……」
台風15号の残した爪痕の凄まじさを思い知ったのは、翌朝のことだった。
首都圏の在来線の幾つかが運転を見合わせたのだ。
日本橋駅の出口で、うにゅほにLINE通話を掛ける。
「……まずいかもしれない」
「えっ」
「羽田直通の地下鉄が運休になってる」
「──…………」
「別の駅からモノレールに乗れば行けるけど、階段にまで並んでる……」
「かえれないの……?」
「これからタクシー捕まえる。意地でも帰るよ」
「うん……」
タクシー乗り場に三十分ほど並んだのち、一路、羽田空港へと向かう。
運賃が八千円ほどかかったが、帰れないよりずっとましだ。
帰宅する目処が立ったことを伝えると、
「よかったよう……」
と、心の底からの安堵が返ってきた。
午後二時発の便で新千歳空港へ舞い戻り、最寄りの駅へ辿り着いたときには、既に日が暮れかかっていた。
荷物を背負い、駅前のロータリーへ出ると、
「──……◯◯ッ!」
懐かしい声と共に、真正面から抱きすくめられた。
「ただいま、××」
「おかえり!」
周囲の人々には、このやり取りが、数年越しの感動的な再会にでも見えていたかもしれない。
すいません、二泊三日の旅行なんです。
ともあれ、無事に帰宅できてよかった。
帰ってすぐさま仕事に取り掛からなければならない現実には、少々気が滅入ったけれど。







264 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:51:28 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月10日(火)

「──…………」
台風15号の影響で成田空港に一万人が足止めされたニュースを見て、背筋がうそ寒くなる。
「羽田にしといてよかった……」
きゅ。
うにゅほが、俺のシャツの裾を掴む。
「大丈夫、大丈夫。ちゃんと帰ってこれたんだから」
「うん……」
頭を撫でてやると、うにゅほが気持ちよさそうに笑みを浮かべた。
「……あと、台風シーズンには二度と飛行機乗らない」
「それ、まえもいってたきーする」
「そうだっけ」
「ひこうき、すーごいゆれたからって」
「あー……」
言ったかもしれない。
「かえるとき、ひこうき、ゆれなかった?」
「台風、完全に過ぎ去ってたからな。静かなもんだったよ」
「よかった」
「心配してくれて、ありがとう」
「うん」
「それはそれとして、飛行機に対する苦手意識は克服しておかないとなあ」
「ひこうき、こわいねえ……」
「××は大丈夫だよ。一回乗れば拍子抜けすると思う」
「そなの?」
「俺が飛行機ダメになったのは、台風で死ぬほど揺れてからだもん。それまではぜんぜん平気だったから」
「そなんだ……」
「LCCの小さい飛行機乗るから揺れるんだよな……」
「おっきいひこうき、ゆれないんだっけ」
「そう。大きい船が揺れないのと同じ理屈だな」
「なるほど……」
「××と一緒に乗るときは、大型機にするつもり」
「たかくない?」
「正直、数泊の旅行なら、運賃なんて誤差な気がしてる」
「そか」
うにゅほに情けない姿は見せたくない。
いつ機会が訪れるかはわからないが、その日のために資金を貯めておこうと思った。







265 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:52:06 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月11日(水)

「××」
「?」
膝の上で読書をしていたうにゅほが、こちらを振り返る。
「ちょっと歌ってみて」
「えー……」
「お願い」
「はずかしい」
「お願いします」
「……どうしても?」
「どうしても」
「うー」
渋い顔をしていたうにゅほが、やがて、小さく頷いた。
「……なにうたったらいいの?」
「なんでもいい──って言ったら、困るよな」
「こまる」
「じゃあ、トトロ」
「どっち?」
「エンディングで」
「わかった」
こほんと咳払いをし、
「とー、と、とな、とー」
軽く音程を確認したあと、うにゅほが歌い始める。
「……となりの、とっとろー、とーとーろー。とっとろー、とーとーろー……」
囁くような歌声が耳朶を打つ。
「もーりーのー、なーかにー、むかしからすんでるー……」
目を閉じて、うにゅほの歌に聞き入る。
歌声は、やがて、歌詞が曖昧な部分で止まった。
「こっからわかんない」
「じゃ、次はオープニングで」
「まだうたうの……?」
「まだまだ」
「うー」
「嫌だ?」
「いやじゃないけど……」
「恥ずかしい」
「はずかしい」
「じゃあ、今度カラオケ行こうか」
「カラオケなら、うん……」
「よし」
言質は取った。
「なんで、うたわせたの?」
「××の歌が聞きたくなったからだけど……」
「それだけ?」
「それだけ」
「そか……」
嬉しいような、戸惑うような、複雑な表情を浮かべながら、うにゅほが本に視線を戻す。
カラオケ、たまに行きたくなるんだよな。
楽しみにしておこう。







266 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:52:49 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月12日(木)

「──げほッ! けほ、げェほッ!」
体をくの字に曲げ、思いきり咳き込む。
「ゔー……」
風邪を引いたのだった。
「◯◯、だいじょぶ?」
「あんまり大丈夫じゃない……」
今回は喉風邪だ。
熱は37℃前後で寒気はなく、くしゃみや鼻水も見られない。
「ほら、かぜぐすりのんで」
「はい……」
水の入ったグラスを受け取り、カプセルを飲み下す。
「のんだら、マスクして、ねましょうね」
「はい……」
うにゅほに手を引かれ、ベッドに戻る。
子供に戻ったかのようだ。
「……けほ、げほッ!」
激しい咳が、喉を焼く。
風邪薬を飲んだからと言って、すぐさま咳が止まるわけではない。
「汗かいた、気持ち悪い、シャワー浴びたい……」
「かぜのとき、おふろだめだよ」
「そう、こほッ、そうだけど……」
布団に篭もっていなければ、体が冷えてしまう。
布団に篭もっていれば、自らの発する熱で蒸してしまう。
冷えるよりはましだから布団に篭もるのだが、汗ばかりは止められない。
風邪とは難儀なものである。
「……じゃあ、せめて、あれ使いたい」
「あれ?」
「旅行用に買ったボディシート……」
「からだふくやつ?」
「そう」
「あれならいいかなあ……」
「じゃ、取って。バッグに入ってるから」
「うん」
うにゅほが、旅行用のサブバッグの中から、ボディシートの袋を取り出す。
「はい、ぬいで」
「……××が拭くの?」
「うん」
「じゃ、上半身だけお願い……」
「わかった」
汗ばんだ部分をボディシートで拭くと、だいぶすっきりした。
シャワーを浴びた直後ほどの爽快感はないが、何もしないよりずっといい。
「明日、けほッ、病院行く……」
「そうしましょう」
季節の変わり目は風邪を引きやすい。
読者諸兄も気をつけてほしい。







267 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:53:28 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月13日(金)

「──……けほ」
起床し、アイマスクとサージカルマスクを顔から剥ぎ取る。
「あ、おはよー」
「……おはよ゙う」
声が枯れていることを自覚する。
「◯◯、こえへん」
「やっばり……」
「よる、せき、すごかったもん」
「あんま゙り寝れながっだ……」
「やっぱし……」
「ごめんな゙、うるさくて」
「ううん」
うにゅほが、ふるふると首を横に振る。
「でも、はやくなおさないとね」
「病院行ぐわ……、ごほッ」
「うんてん、できる?」
「大丈夫。ひどいの゙、咳だけだし……」
「そか」
混み合いそうな時間を避けて、かかりつけの耳鼻科へ向かう。
帰宅すると、這い出したままだったはずのベッドが綺麗に整えられていた。
「おかえりなさい。くすり、もらってきた?」
「抗生物質、処方してもら゙っだ」
「ごはんたべたら、のまないとね」
「ベッド、ありがどな。忘れでだ……」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「いつもしてるのに……」
「それは、そうだげど」
不思議なもので、風邪を引いているときは、当たり前になっていることにも感謝したくなる。
「俺、××がいないど、ダメだな……」
「うへー」
てれりと笑い、胸を張る。
「もっとたよっていいよ」
「大いに頼らせでいだだきます……」
うにゅほが風邪を引いたときには、嫌と言うまで看病してあげようと思った。







268 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:54:00 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月14日(土)

ブラウジング中、とあるページに目が留まった。
「Windows7のサポート終了、来年の一月なのか……」
「なにおわるの?」
「Windows7のサポート」
「……?」
「Windows7はわかる?」
「おーえす」
「その通り」
「うへー」
「OSのサポートが終わると、セキュリティが脆弱になる。情報が抜かれたり、不正アクセス被害を受けやすくなったりする」
「じゃあ、てんにするの?」
「するしかない」
「あぶないもんね」
「いまのPCのまま、OSをアップグレードすることもできるんだけど……」
うにゅほが小首をかしげる。
「けど?」
「このPC、買ってから三年半経つんだよな」
「そんなにたつんだ」
「PCの寿命って、一概には言えないけど、個人的には四年目くらいから怪しくなってくると思う」
「さんねんはん……」
「そろそろ怖くなってくる頃合だな」
「じゃあ、あたらしいぱそこん、かうの?」
「消費増税前だし、タイミングとしては悪くないかなって」
「あー……」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「ぱそこん、おいくらいくらいするかな」
「まあ、二十万は……」
「するよね……」
「東京行ったばかりで、ちょっときついなあ」
「でも、しょうひぜいあがる」
「上がるな」
「にじゅうまんえんの、にぱーせんと、よんせんえんかあ……」
「馬鹿にならないな……」
「おすしたべれる」
「たしかに」
「だから、かわなきゃだめなら、かっちゃっていいとおもう」
「買っていい?」
「うん」
許可が下りた。
「では、買っちゃいますか」
「しばらくむだづかいだめね」
「はい……」
今月は赤貧生活になりそうである。







269 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:54:31 ID:RaSc2QHQ0

2019年9月15日(日)

「げほッ! えほッ!」
風邪が治らない。
咳が止まらない。
「……ダメだ、横になると咳が出る」
「よる、ねれてる?」
「最低限は……」
「さいていげんって、なんじかん?」
「──…………」
指折り数える。
「……六時間くらい?」
「ねて──る、かなあ。ねてるけど……」
「な、最低限だろ」
「さいていげんだった」
「咳で何度も起きるから、睡眠の質は良くないけどな……」
眠気を飛ばすように、小さくかぶりを振る。
「ひるねもできないの、つらいねえ……」
「……ごめんな。せっかくの連休だし、どっか行こうと思ってたんだけど」
「それはいいから」
「はい……」
「おきてるとき、そんなせきでないのにねえ……」
「子供のころ、喘息持ちでさ」
「きいたことある」
「発作が出ると、苦しくて横にもなれないから、大きいクッションに寄り掛かって寝てた記憶がある」
「クッション、ないねえ……」
「上半身をすこし起こした状態で横になれれば、なんでもいいんだけど……」
「あ」
うにゅほが、ぽんと手を叩く。
「くるま!」
「……あー、なるほど」
「どう?」
「アリかも」
車内温度の調節も簡単だし。
「一晩はさすがにつらいから、仮眠だけでも試してみるか」
「うん」
薄手のジャケットを羽織り、階下へ向かう。
「……××、付き合わなくてもいいんだぞ?」
「しんぱい」
「寝てるとき、暇じゃないか?」
「だいじょぶ」
「ならいいけど……」
ガレージ内のコンテカスタムに乗り込み、運転席で小一時間ほど仮眠をとった。
寝心地は良いとは言えないが、眠れないよりずっとましだ。
「──……すう」
目を覚ましたあと、気持ち良さそうに眠るうにゅほの顔を見つめながら、必死に咳を我慢するのだった。
 






270 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/09/16(月) 19:55:42 ID:RaSc2QHQ0

以上、七年十ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2019年09月17日 19:35  ID:1.PIP8Fy0
    東方キャラの応援歌作りたい
    リクどうぞ


  • 2  Name  名無しさん  2019年09月17日 19:54  ID:JIplew.F0
    い つ も の


  • 3  Name  名無しさん  2019年09月17日 20:03  ID:hvHy7LlM0
    謎定期


  • 4  Name  名無し  2019年09月17日 20:05  ID:r.eepHa60
    内容が気になるが読む気にならないいつもの


  • 5  Name  名無しさん  2019年09月17日 20:11  ID:CpzyshfM0
    一回も読んだことないのにもはやお馴染みと化した日記


  • 6  Name  名無しさん  2019年09月17日 20:27  ID:6SsRzBZA0
    うんち


  • 7  Name  名無しさん  2019年09月17日 20:47  ID:V7ux4Zft0
    >うにゅほにLINE通話を掛ける。

    パワーワード過ぎてすき


  • 8  Name  名無しさん  2019年09月17日 20:58  ID:l6iydwYD0
    見ないけど開いちゃうやつ


  • 9  Name  名無しさん  2019年09月17日 21:11  ID:.tPD3AZ50
    狂気の沙汰。ただただ狂気。ルナティックより狂気だわコレ。読んでないけど


  • 10  Name  名無しさん  2019年09月17日 22:24  ID:hiFTPsMz0
    見たくないのにヘッドラインに出てくるからうざい



  • 11  Name  名無しさん  2019年09月17日 22:27  ID:wRx403G60
    はよシネ
    マジ自分のブログに籠ってろゴミ


  • 12  Name  名無しさん  2019年09月17日 22:52  ID:Cv8hWQop0
    これなに?


  • 13  Name  名無しさん  2019年09月17日 22:56  ID:HsjihxxR0
    この日が来るだろうことは分かっていた。そして、この最後の教えも…

    全てには終わりがある。良かれ悪しかれ。

    確かに、いい時は短く、悪い時は長引くように感じられるだろう、だが永遠なのは不変なものだけだ。

    私はそれに出会うために出発する。

    運が良ければ、いつかお前もそうするだろう。

    だが今のところは、お前にはまだ歩むべき道があるし、生きるべき人生がある。

    お前の中に憎しみがあるのは分かっている。みんなそうだ。それを使ってやれ。自分が使われるのではなく。

    分かっているとは思うが——復讐はきっかけだ、動機にしてはいけない。

    最後にこの言葉を直接… 伝えられればと思っていたが、我々が追っている獲物のことを考えると、書いておいたほうが確実だろう。

    正義の味方でいることの最悪な部分はどこだと思う? どれだけそうしたいと思っても、毎回は勝てないということだ。だが私はそれに悩まされることはない。我々は正しいことをする。正しいことが行われなくてはならないのだから。だから、他者がお前やお前の家族に危害を加えたら、行われた罪に対処するために必要な正義を追い求めるのだ。

    ひどい扱いを受けたからといって、相手を追うな。

    相手が誤ったことをしたから追え。

    そこには天と地ほどの違いがある。

    片方はお前を自己中心的にする。もう片方はお前を英雄にする。

    私はお前が英雄になれると思う。

    最後の教えと共に、贈り物をしよう。お前の手に馴染むだろう。重さもちょうどいいし、トリガーは滑らかだ。思うように使ってくれ——正しく使うことは分かっている。

    これはお前のものだ。最後の炎が死に絶え、全ての言葉が話し尽くされるまで。

    その時まで。

    よき旅を。真っ直ぐ狙え。良き狩りを。


    J.


  • 14  Name  名無しさん  2019年09月17日 23:02  ID:zdBEcaSh0
    東方界隈のやべーやつ


  • 15  Name  名無しさん  2019年09月17日 23:48  ID:iiQXVvlc0
    タルパっていうんだっけこういうの


  • 16  Name  名無しさん  2019年09月17日 23:51  ID:ZMNPGiY90
    この膨大な量に目を通す奴は作者以外にいるのか?


  • 17  Name  名無しさん  2019年09月18日 03:49  ID:k3xytDM.0
    この怪文書スレいつまでまとめるつもり?


  • 18  Name  名無しさん  2019年09月18日 06:57  ID:V.LXozOv0
    東方動画のちぇんちぇん東方に近い継続する努力は認めるけど、性癖というかドス黒いオーラがあるのがちぇんちぇんと違う所。
    もちろん中身は読みたくない。お空大好きだし


  • 19  Name  名無しさん  2019年09月18日 09:55  ID:yF6qguNQ0
    管理人、絶対この作者に脅され記事作ってるだろ
    警察に相談した方がいいよ


  • 20  Name  名無しさん  2019年09月18日 18:50  ID:Qsnp6Xfm0
    管理人がこれ書いてるのでは?


  • 21  Name  名無しさん  2019年09月18日 21:16  ID:nMEfSKea0
    聖典


  • 22  Name  名無しさん  2019年09月19日 21:50  ID:AWIeP68c0
    まだあったのこれ…


  • 23  Name  名無しさん  2019年09月21日 09:44  ID:lU.SaLn20
    つまらない方の変態
    面白い方の変態かえってきて


  • 24  Name  名無しさん  2019年09月22日 01:24  ID:A6KoKt4z0
    この作者ってもう10年近くもこの日記書いてるんでしょ?
    うにゅほちゃんと作者さんっていつまで経っても全く成長しないんですね!


  • 25  Name  名無しさん  2019年09月22日 02:05  ID:XzpPn16J0
    こんだけ同じ事に執着できる熱意は凄いよ


  • 26  Name  名無しさん  2019年09月29日 22:59  ID:pQfl.ScM0
    「うにゅほとの生活」って文字列をふと思い出してここまで来たけどまだ続いてたんだ。前に見たのは二年何ヶ月ぐらいだったかな。
    コメ欄の空気が昔と変わってるのが時間経ったなって感じがする


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