2019年12月02日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



338 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:07:53 ID:g3DT9lSw0

2019年11月16日(土)

「──…………」
「──……」
ふたり、無言で階段を上がる。
見てはいけないものを見てしまった気分だった。
「……あれ、アリなのかな」
「わかんない……」
「いや、まあ、食べ方は人の好き好きだと思うんだけど……」
「ちょっとびっくりした」
「まさか、納豆にヨーグルトを入れるとは……」
白濁した液体から覗く茶色の粒を思い返しながら、思わず身を震わせる。
「おかあさん、なっとうすきなのしってたけど……」
「……すごい見た目だったな」
「うん……」
夢に出そうだ。
「でも、合わないことはないのかもしれない。両方とも発酵食品だから」
「あー」
「母さんも、美味しい美味しい言ってたしな」
「おいしいのかな」
「納豆狂いの言うことだからなあ」
「そだねえ……」
俺も、うにゅほも、納豆が嫌いだ。
あの臭いには本当に辟易する。
「でも、わたしも、◯◯も、ヨーグルトにきなこいれるもんね……」
「きな粉は大豆、大豆は納豆か」
「そう」
「たしかに……」
納豆ヨーグルトを肯定する傍証が、ボロボロ出てくる。
「ネットで調べてみよう」
「うん」
すると、
"納豆ヨーグルトの美味しいレシピ"
"毎日食べるとアンチエイジング"
"納豆作りのプロがおすすめ"
等々、肯定的な文句ばかりがズラリと表示された。
「アリなんだ……」
「ありなんだねえ……」
味だけでなく、健康にもいいらしい。
「……でも、わたし、たべたくない……」
「俺も……」
互いに目配せをして、握手を交わす。
アンチ納豆同盟の結束が強くなった瞬間だった。








339 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:08:45 ID:g3DT9lSw0

2019年11月17日(日)

最近、よく、グミを購入する。
取り立てて好物というわけではないが、なんとなくだ。
「今回は、三種類のグミを買ってみました」
「おー」
「一番、フェットチーネグミ、ソーダ味」
「おいしそう」
「二番、ピュレグミ、レモン味」
「ピュレグミすき」
「三番、ハリボーグミ、ゴールドベア」
「あ、みたことある」
「食べたことは?」
「ない」
「俺も」
「たべくらべするの?」
「してみようか」
「ピュレグミがいちばんなきーする」
「わからないぞー?」
まず、フェットチーネグミを開封する。
「はい、あーん」
「あー」
うにゅほの口にグミを放り込み、自分も咀嚼する。
「──…………」
「──……」
もむ、もむ。
「固め、かな」
「おいふい」
「酸味が強めで、わりと美味しいかも」
「うん」
次に、ピュレグミを開封する。
「──…………」
「──……」
もく、もく。
「おいしい」
「ピュレグミは安定だなあ」
「うん」
「レモンとグレープ、どっち好き?」
「うーと、グレープかなあ」
「俺、レモンかも」
「レモンもおいしいね」
最後に、ハリボーを開封する。
「──…………」
「──……」
ぐに、ぐに。
「かたい」
「固いな……」
「おいしいけど、あごつかれる」
「わかる」
ハードグミというやつだろうか。
「フェットチーネも捨てがたいけど、やっぱピュレグミがいちばんかなあ……」
「わたしも」
「ハリボーは、ゆっくり食べよう」
「うん」
ちょっと大きな袋で買ってしまったので、俺たちのおやつはしばらくハリボーである。







340 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:09:14 ID:g3DT9lSw0

2019年11月18日(月)

巷で噂のリングフィットアドベンチャーを購入した。
円形のリングコンをふにふに押しながら、うにゅほが口を開く。
「これ、うんどうできるやつだよね」
「そうそう」
「おしたりひっぱったりする」
「それだけじゃなくて、いろんなフィットネスができるらしい」
「やって!」
「はいはい」
Switchを起動し、画面の指示に従ってレッグバンドを装着する。
「こんなんで体の動きを読み取れるのか……」
「どうなってるんだろ」
「わからん」
高度に発達した科学技術は、魔法と区別がつかない。
チュートリアルをこなし、いよいよゲーム開始だ。
「いきなりジョギングかー」
「あしぶみ?」
「足踏み」
この様子だと、全編通して足踏みを強要されそうだ。
「──はー……」
ただ走るだけのステージ1をクリアし、大きく息をつく。
「これだけで、もう、ちょっときついんだけど……」
「うんどうぶそく」
「……××もあとでやるんだからな」
「う」
「その言葉、ブーメランみたいに返ってこなければいいですね」
汗を拭い、次のステージを選択する。
ステージ2は、初の戦闘だ。
スクワット。
バンザイプッシュ。
ニートゥーチェスト。
椅子のポーズ。
さまざまな運動の末に初戦闘を終え、
「──はあッ、は、はあ、ふー……」
膝に手をついて息を整える。
「これ、きついぞ、めちゃくちゃ運動になる……」
「つぎわたしかあ……」
「やってみやってみ。案外楽しいから」
「ほんと?」
うにゅほのアカウントから起動しなおし、チュートリアルを終える。
「はー……、はー……」
チュートリアルで既に呼吸が乱れていた。
「ステージ2まで頑張れ!」
「ひー……!」
ブーメランが頭に刺さったうにゅほを見て、ひとりほくそ笑む。
明るく楽しく自宅でフィットネス。
無理せず続けていこう。
 






341 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:10:06 ID:g3DT9lSw0

2019年11月19日(火)

とある件で急遽必要になったため、久方ぶりに絵を描いていた。
「──…………」
ぽん、ぽん。
ふと肩を叩かれ、振り返る。
うにゅほだった。
「きゅうけいしよ」
「休憩……」
壁掛け時計を振り仰ぐ。
最後に時刻を確認してから、三時間が経過していた。
「……マジか」
「すーごいしゅうちゅうしてたね」
「絵描くの、一年ぶりくらいだからな。勘を取り戻すのに必死だよ」
「もっとかけばいいのに」
「そこまで好きでもないからなあ……」
「えっ」
うにゅほが目をまるくする。
「すきじゃないの?」
「まあ」
「うと、なんねんくらいかいてるんだっけ」
「二十年くらいかな」
「すきじゃないの……?」
「いや、嫌いではないよ。趣味のひとつだし」
「……?」
うにゅほは混乱している。
「あー、いや、想定してる比較対象が悪かった」
「ひかくたいしょう……」
「本当に絵が好きな人なら、イラストレーターを目指したり、漫画家を目指したりするだろ」
「うん」
「俺は、所詮、趣味程度の"好き"だからさ」
「でも、わたし、◯◯のえーすきだよ」
「それは嬉しいけど……」
苦笑する。
実際、俺の画力なんて、大したことはない。
俺より絵の上手い小中学生なんて、ざらにいるだろう。
だが、
「……まあ、気付けば三時間すっ飛ぶ程度には好きなのかもな」
「そうだよ」
手が空けば、また、何か描いてみてもいいかもしれない。
せっかく取り戻した勘が鈍る前に。
 







342 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:10:41 ID:g3DT9lSw0

2019年11月20日(水)

「今日は、いいかんぶつの日らしい」
「かんぶつ?」
「乾物。乾燥させた食べもののことだな」
「しいたけとか?」
「干し椎茸もそうだし、ドライフルーツ全般のことも指す」
「ほしがきとか」
「そうそう」
ドライフルーツと聞いて真っ先に干し柿が出てくる感性のことはひとまず置いておくとして、
「どうして、いいかんぶつの日になったと思う?」
「うーと、"いい"は、じゅういちがつだから」
「定番だな」
「じゅういちがつ、そんなのばっかし」
わかる。
「だけど、今回は一味違うぞ。十一月であることにもちゃんと意味がある」
「お」
「乾物には、干物も含まれる。干物の"干"の字は?」
「じゅういちだ!」
「その通り」
「こんかい、すっきりパターン?」
「どうかな」
軽く肩をすくめ、続ける。
「二十日である理由は、乾物の"乾"の字に含まれている」
「かんのじ……」
「"乾"って字はわかる?」
「かけるとおもうけど、あたまのなかだとよくわからない」
「じゃあ、書いてみな」
メモ帳とペンを手渡す。
「かわく、かわく──あっ」
書いている途中で気が付いたらしい。
「じゅうがふたつで、にじゅうにち!」
「正解」
「うへー」
「今回、なかなかのすっきりパターンだろ」
「あれ、のこりは?」
「──…………」
「?」
小首をかしげたうにゅほに告げる。
「ここまで頑張ったんだから、見なかったことにしてあげよう」
「そか……」
いちおう"11月20日にかんぶつを乞う"としているのだが、明らかに"乞"が蛇足だ。
つくづく惜しい記念日である。







343 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:11:17 ID:g3DT9lSw0

2019年11月21日(木)

「──……あー」
だるい。
秋から冬の変わり目は、いつもそうだ。
気温の低下と日照時間の減少に適応しきれていないのだ。
このだるさは、冬という劣悪な環境に体が順応するまで続く。
「◯◯、だいじょぶ……?」
デスクに突っ伏した俺の背中を、うにゅほが優しくさすってくれる。
「大丈夫じゃないけど、大丈夫。一週間くらいで治るから……」
「いまつらいの、かわらないよ」
「……ありがとう。××も、いま、大変なのに」
「わたし、なれてるから」
「慣れてても、つらいのは変わらないだろ」
「うん……」
一時的だろうが、慣れていようが、つらいものはつらい。
「なんか、水風呂を思い出すよ」
「みずぶろ?」
「入る瞬間は冷たくて苦しいけど、慣れてしまえばなんてことないだろ」
「あー」
うんうんと頷くうにゅほを見て、ふと思う。
「××って、水風呂入ったことあるの?」
「あるよ」
「あるのか」
「ふらののおんせん、みずぶろあった」
「あー……」
あった気がする。
「水風呂入ると、ヒッてなるよな」
「なるなる」
「冬場に急に外出ても、ヒッてならないのに……」
「ふしぎ」
うにゅほと言葉を交わす。
それだけで、幾分か気が紛れる。
「◯◯」
「うん?」
「ねなくてだいじょぶ?」
「……寝ると際限なくなりそうだから、いまは××と話してたいな」
「うへー……」
うにゅほが照れ笑いを浮かべる。
小一時間ほど取り留めのない会話を続けるうち、徐々に体調が良くなり始めた。
うにゅほは、下手な薬より効果があるのかもしれない。







344 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:11:54 ID:g3DT9lSw0

2019年11月22日(金)

「はー……!」
リングフィットアドベンチャーで一汗流したあと、チェアに深く腰掛ける。
「これ、マジで運動になるな……」
「うん、すーごいつかれる」
「××は、負荷3に落としたんだっけ」
「そうそう」
「……負荷最大にしたら、どうなるんだろ」
「!」
うにゅほが目をまるくする。
「やめたほういいよ」
「つっても自重トレーニングだろ。大差ないと思うけど」
「そうかなあ……」
「じゃあ、敵が出る最初のステージだけ」
「うん……」
負荷を最大の30に設定し、ワールド1-2を選択する。
サイレントモードに変更したので、ジョギングは膝を屈伸させるだけで済む。
「よし、敵だ」
「だいじょぶかなあ……」
「大丈夫、大丈夫」
フィットスキルのスクワットを選択し、画面の指示に従って腰を落としていく。
その体勢を数秒キープし、腰を上げれば一回だ。
だが、
「──待って、キープ長い! キープ長い!」
おまけに回数も増えている。
「これヤバい……!」
「やっぱし……」
うにゅほが、心配半分、ほれ見たことか半分の、複雑そうな表情を浮かべる。
なんとかステージをクリアするころには、
「──はッ、は、はあ……っ!」
死ぬほど息が切れていた。
「30は、ダメだ……。21に戻す……」
「そうしよ」
人には、分相応の負荷があるのだ。
わざわざ自動で測定してくれたのだから、それに従うべきだった。
「……××、やってみる?」
「!」
うにゅほが慌てて首を横に振る。
「冗談」
「もー……」
いまの負荷に慣れていけば、いずれ30でも平気になるのだろうか。
ゲーム内のキャラクターのみならず、自らのレベルも上げていくゲーム。
わりと革新的な気がするのだった。







345 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:12:31 ID:g3DT9lSw0

2019年11月23日(土)

パンケーキで有名な喫茶店に、ふたりで行ってきた。
「……混んでるな」
「こんでるね……」
待合の椅子はすべて埋まり、立ちながら待っている客もいる。
昼食時を避けたにも関わらず、この混雑具合だ。
さすが人気店といったところだろう。
「どうする?」
「パンケーキ、たべたい」
意志の篭もった瞳で俺を見上げ、うにゅほがそう答えた。
「じゃあ、待つか」
「まつ」
五分ほど待つと、待合の椅子が空いた。
思ったよりは回転が早いらしい。
さらに十分ほど待つと、店員が、奥の席へと案内してくれた。
「××、なんにする?」
「パンケーキ!」
聞くまでもなかった。
「じゃあ、俺もパンケーキかな。トッピングはホイップクリームで」
「わたしも」
注文して十五分、ようやくパンケーキが俺たちの元へと運ばれてきた。
「ほら、フォークとナイフ」
「ありがと」
「では、いただきましょう」
「いただきます」
パンケーキにナイフを入れ、その感触のなさに戸惑う。
「……これ、ナイフいらなくない?」
「いらないかも……」
フォークのみで切り分けてみると、するりとフォークの歯が通る。
「──…………」
そのまま口へ運ぶ。
滑らかな舌触りのパンケーキが、口内でとろりと溶けた。
「おいしい!」
「うん」
「ふわふわだねえ……」
ふわとろパンケーキの名に恥じぬ、見事な柔らかさだ。
いっそ、トッピングのホイップクリームのほうが、まだ口の中に残るかもしれない。
「ほんと美味しい、けど」
「?」
パンケーキの味に満足そうなうにゅほが、俺の態度に小首をかしげた。
「ぜんぜん食べた気がしない……」
「あー……」
結局、帰り際に、コンビニでサンドイッチを買ってしまった。
昼食を抜いて食べに行くものではなかったようである。







346 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:13:05 ID:g3DT9lSw0

2019年11月24日(日)

再発行申請をしていたクレジットカードが、ようやく手元に届いた。※1
「これで、安心して買い物できるな」
「げんきんももたないとだめだよ」
「はーい」
クレジットカードは便利だが、いまだに使えない場所もある。
二、三万円は財布に常備しておきたいものだ。
「ふるいカード、おくりかえすんだっけ」
「ハサミで切ってからな」
「わたし、きっていい?」
「いいけど……」
割れたクレジットカードをうにゅほに渡す。
「きるぞー」
シャキ、シャキ。
軽く素振りをしたあと、うにゅほがカードにハサミを入れる。
「……そんな端っこじゃなくて、もっと真ん中切っていいんだぞ?」
「うん、まんなかもきる」
「真ん中も?」
「ばらばらにする」
「えっと、そこまでしなくても──」
「だめだよ」
うにゅほが眉をひそめる。
「だれかにばんごうみられたら、つかわれちゃうんだよ」
「たしかに……」
「ぜんぶのすうじ、ばらばらにしないと」
うにゅほの言う通りだ。
不慮の事故で誰かの手に渡ったとき、カード番号やセキュリティコードが読み取れる状態であれば、悪用され得る。
だが、細切れにしてしまえば、その心配はないのだ。
「××は頼りになるなあ」
うにゅほの頭を、ぽんと撫でる。
「うへー……」
「俺、そこまで考えてなかったよ」
「クレジットカード、べんりだけど、こわいもん」
「そうだな」
不意に危機意識を問われ、はっとさせられる俺だった。

※1 2019年11月15日(金)参照







347 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:13:38 ID:g3DT9lSw0

2019年11月25日(月)

「──だっ、いだ、いたたた……」
足元のゴミを拾おうとして、腰が悲鳴を上げた。
「あ、わたしひろう!」
「ありがと……」
朝起きると、すこぶる腰が痛かった。
原因はわからない。
「寝違えたのかなあ……」
「こしって、ねちがえるの?」
「よほど寝相が悪ければ、寝違えることもあるかもしれない」
うにゅほが、ぼんやりと視線を上に向ける。
「よほど……」
うにゅほの脳内で、とんでもない姿勢を取らされている気がする。
「こし、もんでだいじょぶかな」
「ここまで痛めると、もう、素人が手出ししないほうがいいかもしれない……」
「じゃあ、せいこついん?」
「……あんまり運転したくないなあ」
不意に激痛が走ったとき、運転を誤らない自信がない。
「でも、きょう、みんないないし……」
どうしよう、どうしようと、うにゅほが視線をさまよわせる。
「──あ、きゅうきゅうしゃ!」
「勘弁」
「そか……」
救急隊員どころか、電話口で確実に怒られる。
「ごめんね、わたし、めんきょないから……」
「いいよ。整骨院なんて、明日行けばいいんだから」
「でも」
「……免許取る?」
「──…………」
うにゅほが、そっと目を逸らす。
「じしんない……」
「だよなあ」
まあ、わかってた。
「悪いけど、湿布貼ってくれるか」
「わかった!」
湿布が効いたのか、あるいは風呂に入ったからか、午後十一時現在、腰痛は幾分か緩和されている。
このまま治ってくれればいいのだが。
 







348 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:14:21 ID:g3DT9lSw0

2019年11月26日(火)

「こし、だいぶよくなったね」
「ああ」
痛むことは痛むが、漫然と日常生活を送るぶんには不自由ない。
足元に落ちたゴミを拾うこともできる。
ただ、
「リングフィットができない……」
せっかく運動する習慣がつきつつあったのに、水を差された気分だ。
「だめだよ」
「やらないよ」
「よろしい」
ここで無理をするほど考えなしではない。
今は、ただただ安静だ。
「代わりに、××が運動するとこ見せて」
「えっ」
「××は腰痛くないんだから、リングフィットできるだろ」
「えー……」
「嫌?」
「リングフィットいやじゃないけど、◯◯よりさきすすみたくない」
「あー」
進行度、揃えてあるもんな。
「じゃあ、一度クリアしたステージをもっかいやるとか」
「できるの?」
「できるできる。レベル上げしときな」
「はーい」
うにゅほがリングフィットアドベンチャーを起動し、ワールド2-1を選択する。
しばしの屈伸運動ののち、敵と遭遇し、
「◯◯、どれー?」
「敵二体だから、範囲攻撃」
「さげてぷっしゅ?」
「そうそう」
「わかった!」
リングコンを下に構え、押し込む。
「うー……しょ、うー……しょ」
「負荷3だから、キープも短いな」
「でも、つか、れる……」
「頑張れー」
気楽に声援を送る俺の心に、ふと芽生える感情があった。
楽しい。
うにゅほが呼吸を乱しながら運動しているさまを後ろから眺めるのが、むしょうに楽しい。
「おわった……」
「はい、もう一ステージ!」
「ひー!」
少年野球の監督って、こんな気分なのだろうか。
一緒にするなと怒られそうだけど。
 







349 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:14:51 ID:g3DT9lSw0

2019年11月27日(水)

整骨院を受診したところ、ギックリ腰と診断されてしまった。
「そう言われると、痛い気がしてくるなあ……」
我ながら単純である。
「いたいのは、いたいんだよ。きのせいとかないよ」
「そうかな」
「だって、いたいんだもん」
「そうかもしれない……」
プラセボの反対で、悪い影響を与えるものをノセボという。
"気のせい"は、確実に、人体を蝕むのだ。
それはそれとして、
「はい、みず」
「え、ありがとう」
「みず、のみたいとおもって」
「たしかに喉は渇いてたけど、よくわかったなあ……」
「うへー」
うにゅほの甲斐甲斐しさが度を越している気がする。
「ちょっとトイレ──」
「かたかすね」
「ありがとう……」
これでは、いつぞやの介護ごっこそのままである。※1
まさか、こんなに早く現実になるとは思わなかった。
「早いとこ痛みが取れてほしいなあ……」
「ほんとだね」
うにゅほの顔を、そっと覗き込む。
「……ほんとに?」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「いや、介護楽しそうだしさ」
「たのしいけど、なおってほしいよ。◯◯、つらそうだもん」
「──…………」
聖女か?
聖女なのか?
「……なんか、ごめん。邪推したな」
「なんであやまるの?」
「なんとなく……」
「へんなの」
くすりと笑う。
この子には、もう、勝てない気がするのだった。

※1 2019年11月6日(水)参照







350 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:15:32 ID:g3DT9lSw0

2019年11月28日(木)

三日ほど安静にした結果、腰痛はそれなりに緩和した。
だが、完治には程遠い。
「そもそもの問題は、右半身にあるんだってさ」
「みぎはんしん?」
「右半身の筋肉が、どこもかしこも凝り固まってるらしい」
「それで、こしいたくなったの?」
「たぶん……」
整骨院の先生の言葉をすべて完璧に理解できたとは言いがたい。
だが、要約すると、概ねそのようになる。
「こしがわるいんじゃないのかな」
「腰が悪いというより、右半身をカバーするための負荷が腰に集中した、みたいな」
「なるほど……」
「あと、仕事中の姿勢も悪いみたい」
「あー」
「わかる?」
「せなか、まがってるもん」
「曲がってるか……」
「うん」
「それもよくないんだろうけど、畳に直接腰を下ろしてるのが不味いって」
「そなの?」
「できれば椅子に座って仕事してくださいって言われた」
「……できる?」
「場所、ないよな」
「うん……」
「まあ、"できれば"だから……」
できないものは仕方がない。
「しごとづくえ、あしながいのかうとか」
「箱椅子か何かと一緒に?」
「うん」
「一考の余地ありだな」
「でも、すぐにはむりだね……」
「すぐにはなあ」
高さを合わせるためには、実際に手を触れる必要があるだろうし。
「あ、そだ。きょうはせいこついんいかないの?」
「あー……」
「?」
俺の反応に、うにゅほが小首をかしげる。
「さっき電話したら、整骨院の先生、インフルだってさ」
「!」
「予防接種受けといてよかったな」
「ほんとだね……」
ギックリ腰の上にインフルエンザとか、本格的に笑えない。
備えあれば憂いなし、である。
 







351 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:16:05 ID:g3DT9lSw0

2019年11月29日(金)

「◯◯……」
うにゅほが、神妙な顔つきで俺の名を呼んだ。
「どうした」
ただならぬものを感じ、思わず背筋を伸ばす。
「きょう、かくじつに、いいにくのひ……」
「──…………」
ぶに。
「う」
うにゅほの鼻を軽く押した。
「何かと思っただろ」
「うへー」
「まったく」
「でも、かくじつに、いいにくのひ」
「たしかに」
「いいひしりーず、さいごのしかく」
「まだ30日があるだろ」
「さんじゅうにち、ごろあるかなあ……」
「竿の日、とか」
「!」
「サンジュウで、三重県の日とか」
「ある……」
「な」
"に(2)っこりいい(1)ニ(2)ラ"が語呂合わせとして成立しているのだから、いくらでもやりようはあるはずだ。※1
「あ、もひとつあった」
うにゅほが、人差し指を立てて言う。
「いいふくのひ」
「あるな」
「あるでしょ」
「あるいは、いいフグの日でもあるかもしれない」
「あるね」
「あるだろ」
「……いいにくきゅうのひ、とか」
「さすがに9が足りないんじゃないか?」
「そかー」
「2月99日は確実に肉球の日だな」
「ないやつ!」
「ないとは限らないぞ。世の中には、8月32日という都市伝説が──」
そんな会話を交わすうち、いつの間にやら日が暮れていくのだった。
ふたりはなかよし。

※1 2019年2月12日(火)参照
 







352 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:16:31 ID:g3DT9lSw0

2019年11月30日(土)

十年ほど前まで北海道を席巻していた伝説のカレー専門店チェーン、リトルスプーン。
失われたはずのその味を守り続ける定食屋があると聞き、我々は現地へと向かった。
「──ここが、こめますか」
味処 こめます
リトルスプーンのカレーを提供するこの世で唯一の店だ。
「リトルスプーン、たべれるんだ」
うにゅほが、わくわくしながら看板を見上げている。
「よし、入ろう」
「うん!」
思っていたより広い店内を見渡しながら、案内された席へと座る。
メニューを開くと、中程に、"リトルスプーンのカレー"と明記されていた。
「本当にあるんだ……」
わかっていたことだが、改めて実感が湧いた。
あの味にまた会えるのだ。
「俺、カツカレーにしよう」
「わたし、ふつうの」
「トッピングなしでいいのか?」
「うん」
まずは、プレーンなものを味わってみたいのだろう。
注文を済ませ、待つことしばし。
サラダと共に、お待ちかねのカレーライスが運ばれてきた。
芳しい香りが鼻孔をくすぐる。
「いただきます」
「……いただきます」
スプーンの先でルーとライスを混ぜ、口に運ぶ。
「はー……」
ああ、この味だ。
十年前まで、月に一度は食べていた、思い出の味だ。
「……ちゃんとリトルスプーン?」
「ああ。間違いない、この味だよ」
「そか」
俺の言葉を聞き、頷いたあと、うにゅほがカレーを口に運ぶ。
「──あ、あまい」
「リトルスプーンのカレー、かなり甘めなんだよな」
「おいしい!」
「だろ」
「すきなあじ……」
うにゅほもリトルスプーンが気に入ったようだ。
帰途の際、立ち寄ったコンビニでビーフジャーキーを購入し、愛犬の墓に供えた。
「めいにちだもんね」
「危うく忘れるところだったけどな……」
悲しみも、思い出も、薄れていく。
リトルスプーンのように、再び出会うことができれば、記憶も更新されるのだけれど。
 






353 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2019/12/01(日) 15:17:22 ID:g3DT9lSw0

以上、八年め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2019年12月02日 19:36  ID:OO.R54Nw0
    作者はよ4ね


  • 2  Name  名無しさん  2019年12月02日 19:38  ID:tE.6iOzn0
    ゆめにっき定期


  • 3  Name  名無しさん  2019年12月02日 19:39  ID:YJtuIImL0
    うんち!


  • 4  Name  名無しさん  2019年12月02日 19:45  ID:g2hLmS8Y0
    東方のヘンリー・ダーガー


  • 5  Name  名無しさん  2019年12月02日 20:05  ID:AEcStABl0
    ついに8年まで来てしまったか・・・


  • 6  Name  名無しさん  2019年12月02日 20:14  ID:TJL23TQO0
    いつもの


  • 7  Name  名無しさん  2019年12月02日 20:18  ID:pwpduZ1X0
    えぐい


  • 8  Name  名無しさん  2019年12月02日 20:49  ID:ISdPvQrj0
    8年は草


  • 9  Name  名無しさん  2019年12月02日 20:56  ID:Kd9FGnZA0
    怪奇文書定期


  • 10  Name  名無しさん  2019年12月02日 20:57  ID:VsC9SgoW0
    見てはいけないものはこの日記なんだよなあ


  • 11  Name  名無しさん  2019年12月02日 21:05  ID:aOhq.82W0
    これ東方関係ないのになんでまとめるんですか?
    いい加減にしろ


  • 12  Name  名無しさん  2019年12月02日 21:34  ID:lwp82Ik80
    素直な感情のまま行動してさとり様のために仕事を頑張る霊烏路空が大好き
    主体性が無くて全く成長しないうにゅほは嫌い


  • 13  Name  名無しさん  2019年12月02日 21:42  ID:.EBI.dS.0
    コメント読みに来る定期の定期


  • 14  Name  名無しさん  2019年12月02日 22:25  ID:jVcgBLPC0
    正直草


  • 15  Name  名無しさん  2019年12月02日 22:50  ID:tE.6iOzn0
    >>10
    見てんじゃねーか


  • 16  Name  名無しさん  2019年12月02日 23:01  ID:5YW40WaE0
    >>12
    8年かけて何一つ成長してないもんな
    恐らく作者も


  • 17  Name  名無しさん  2019年12月02日 23:40  ID:fx364cGF0
    まとめてる人の意図が知りたい


  • 18  Name  中日与田様、酔蝶華を読んで死亡  2019年12月03日 00:04  ID:8.9JRxV20
    得失点差はリーグ2位なのに何故かチーム順位は5位となってしまった中日与田様。最近は東方を初めてみたという。
    そんな与田様が今一番注目しているのは書籍最新作の「東方酔蝶華」。前作の「茨歌仙」から東方のファンになったとのこと。
    本作については「前作は鬼によるむさ苦しい場面が多かった。」「今回は可愛い新キャラが紅一点となることに期待している」と期待と肩幅を膨らませる。
    しかし、第1話を読むなり「未成年が飲酒をしている」「ボディラインを過度に強調した服装は不適切」だと発言し意見書を提出。win版新作にも問題が無いか調べたところ1面ボスの設定を見た途端謎の頭痛を起こし死亡した。
    この件について大正義紅魔館レミリア監督は「新作の悪影響が止まることを祈るわ」と紅二点への迫害を懸念する様子を見せた。
    なお来月号には間に合う模様


  • 19  Name  名無しさん  2019年12月03日 08:47  ID:OUOOrjlb0
    >これ東方関係ないのになんでまとめるんですか?
    >いい加減にしろ
     
    え?これ東宝じゃねえの?東邦SSじゃないのなら何?(ガクガクブルブル
    お前は・・・なんだ?


  • 20  Name  名無しさん  2019年12月03日 13:25  ID:hus.dNh00
    >>19
    こんなものは東方じゃないだろただの作者のオナニー


  • 21  Name  名無しさん  2019年12月03日 14:30  ID:ANftRYuQ0
    知るか馬鹿!そんなことよりオナニーだ!



  • 22  Name  名無しさん  2019年12月03日 15:35  ID:7XdTCIRe0
    阿鼻叫喚であろうコメントだけ見に来た


  • 23  Name  名無しさん  2019年12月03日 18:57  ID:x.asEO6o0
    拷問官「これを最初から全部読め」


  • 24  Name  名無しさん  2019年12月03日 19:07  ID:0NltJ1O20
    あたまおかしなるで


  • 25  Name  名無しさん  2019年12月03日 20:49  ID:JaX7i.yz0
    お前らに問う
    かつて8年もひとりのキャラを愛せたのかと


  • 26  Name  名無しさん  2019年12月04日 08:20  ID:NLVuqKi10
    探偵東風谷早苗はよ


  • 27  Name  名無しさん  2019年12月04日 10:56  ID:U3lcsZ9c0
    二十年も絵描いてるって、こいつは何歳なんだ
    やべーだろ


  • 28  Name  名無しさん  2019年12月04日 11:42  ID:DUKwbD8y0
    >>25
    オリキャラ作って自己愛オナニーしてるだけなら俺も小学生の頃からやってるぞ


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