2024年08月02日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



164 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:55:19 ID:AKbvZkU.0

2024年7月16日(火)

「今日も暑いわね……」
「そうわね……」
「あら、××さん。言葉遣いがなっていなくてよ」
「え」
唐突に始まった謎の遊びに、うにゅほがルールを確認する。
「おじょうさまっぽく、はなす、のかしら……?」
「よくってよ!」
「む、むつかしいですわ」
「お嬢さまソウルを胸に宿せば簡単ですわ」
「そうる……」
「××さんも、お嬢さまになるのですわ!」
「が、がんばりますわ!」
などと適当に遊んでいると、だんだん飽きてきた。
「××さん」
「はいですわ」
「ルール変えよう」
「いきなり」
「ぱぴぷぺ語で何言ってるか当てる遊びにしよう」
「ぜんぜんちがう!」
「ぱぷぴ」
「あつい」
「ぱぱぷぴ」
「まなつび」
「ぴぺぷぽぱぴぱ」
「きめつのやいば」
「当てるじゃん……」
「かんたんかも」
「じゃあ、次は××が出題してくれ」
「えーと……」
うにゅほが、自室をぐるりと見渡す。
この時点で、部屋にあるものから出題しようとしていることがわかる。
うにゅほの視線が、ティッシュ箱へと向かう。
「ぴっぷ」
「ティッシュ」
「せーかい!」
「わかりやすすぎる……」
「いがいと、かんたんだよね」
「そういう意味じゃないんだけど」
「?」
「じゃ、次」
「まってね」
うにゅほが再び自室を見渡し、
「ぱぱぱぴぽぽぷぽぱぱぴぱん」
「からかい上手の高木さん」
「せーかい!」
「長いほうがわかるな……」
「かんたん、これ」
「次はばびぶべ語にする?」
「おなじとおもう……」
そんな具合に、ぬるま湯な遊びをしながら酷暑の一日をやり過ごした。
なるべく部屋から出たくない。








165 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:55:45 ID:AKbvZkU.0

2024年7月17日(水)

「××さー……」
「んー?」
俺の膝の上でチョコバナナアイスを食べていたうにゅほが、こちらを振り返った。
「お金たんまりあったら、どうする?」
「おかね」
「ああ」
「いくらくらい?」
「百億円」
「すごい」
「あったら、どうする?」
「んー……」
アイスをはぐはぐ食べ進めながら、ついでのように答える。
「ごうてい、とか?」
「あー」
「そんなには、いらないけど……」
「広すぎてもな」
「うん」
「他には?」
「◯◯に、ぱそこんかってあげる」
「マジか」
「いちばんいいの」
「たぶん、二百万くらいか」
「ごうていは?」
「十億円くらい」
「あまる……」
「他には?」
「わかんない。こまる」
「発想が貧困」
「じゃあ、◯◯は?」
「まず、豪邸だろ」
「うん」
「あとPC買う」
「うん」
「貯金」
「ひんこん」
「そんなもんだよな……」
「うん、そんなもん」
「あと、××になんか買ってあげよう」
「なに?」
「何が欲しい?」
「ねこ」
「あー、豪邸で猫飼いたいな」
「でしょ」
「いいかも。部屋を絞れば、(弟)の猫アレルギーもなんとかなるし」
「ねこかうための、ごうてい」
「贅沢過ぎる……」
猫を飼いたいので、誰か百億円ください。







166 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:56:06 ID:AKbvZkU.0

2024年7月18日(木)

「──◯◯、◯◯!」
不意に、うにゅほが自室へと駆け込んでくる。
「んー?」
「おまつり、やるって!」
「おお」
町内会の夏祭りは、俺たちが楽しみにしているイベントのひとつだ。
今年も無事に開催されるのは喜ばしい。
「なんか、はやくやるって」
「何日くらい?」
「……なんか、はやくやるって」
具体的な情報は持っていないらしい。
「どこ情報?」
「いまね、ちょうないかいのひとがきたの」
「ああ」
インターホンが鳴っていたものな。
「おとうさんがでてね、なつまつりのはなししてた」
「こっそり聞いてたのか」
「うしろとおるの、はずかしいし……」
それもよくわからないが。
「なら、父さんは知ってるんじゃないか」
「あ、そか」
「聞いてきたら?」
「んー……」
小首をかしげたまま、うにゅほがしばし思案する。
「……しらないほう、わくわくするきーしてきた」
「例年通りなら、七月の最終日曜だよな」
「うん」
「早めってことは、まさか、三日後だったり?」
「はやい!」
「さすがにないとは思うけど……」
「じゅんび、ぜんぜんしてないもんね」
「でも、明日と明後日で準備して三日後本番って可能性もなくはない」
「……どきどきしてきた」
「楽しみだな」
「◯◯、どきどきしてる?」
「ドキドキはしてない」
「なんで」
「ドキドキすることではないから……?」
「わたしだけどきどきするの、ずるい」
「そんなこと言われてもな」
毎年恒例の町内会の夏祭りで、ここまでドキドキできるのは、いっそ羨ましい。
日々、ドキドキワクワクしながら生きていきたいものだ。
 






167 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:56:25 ID:AKbvZkU.0

2024年7月19日(金)

髪を切った。
「どうよ」
「いいよー!」
ビッ、と、うにゅほが親指を立てる。
テンション高いな。
「かみ、ながいなー、ながいなーって、ずっとおもってたから」
「言えよ……」
「こだわりがあるのかなって」
「ないよ……」
「なかった」
「髪切るタイミングって難しいんだよな。一ヶ月に一度とか、決めておけば楽なんだろうけど」
「わたし、さんかげつにいちど」
うにゅほは、母親と共に、親族が経営している美容室に通っている。
「俺、前に切ったのっていつだったっけ」
「にっき、かいてない?」
「あー」
書いてそうだ。
部屋着に着替え、パソコンチェアに腰を下ろす。
当然のように、うにゅほが俺の膝に腰掛けた。
日記内を"髪"で検索していくと、最後に散髪したのは去年の九月となっていた。※1
「……九月?」
「え、そんなに?」
「まさか」
さすがに十ヶ月も放置しているはずがない。
「たぶん、髪切ったけど日記にしてない日があったんだ」
「なら、わかんないね……」
「ヒントがある」
「ひんと?」
「この日記に、"最後に髪を切ったのは五ヶ月前"と書いてる。そのくらいの周期で髪を切りたくなると考えると……?」
「……にがつくらいに、きってるかのうせいがある!」
「と、思ったんだけどさ」
「?」
「"床屋"ってワードで検索すると、十一月に切ってる。ほら、入院中に」※2
「あ」
うにゅほも思い出したらしい。
「ただ、そのあと別の店で切った記憶もあるから、たぶん三月くらいじゃないかな。ほら、雪が解けて出掛けやすくなるから」
「よんかげつか―」
「そら、あんだけ長くもなるよな」
今回はだいぶ短く切ったので、五ヶ月くらいは行けそうだ。

※1 2023年9月11日(月)参照
※2 2023年11月24日(金)参照







168 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:56:53 ID:AKbvZkU.0

2024年7月20日(土)

「──◯◯!」
唐突に、うにゅほが自室へと駆け込んできた。
「こうえん、おまつりのじゅんびしてる!」
「え、マジで」
「うん!」
うにゅほに手を引かれながら、両親の寝室へと向かう。
すると、家の前の公園にイベントテントが張られていた。
「おまつり、あしたなんだよ!」
「マジでそうみたいだな……」
「おおおお……」
うにゅほが興奮している。
「すーごいたのしみ……」
「だな」
「──…………」
その双眸を半眼にして、うにゅほが俺を見つめる。
「ほんとにたのしみ……?」
「いや、楽しみだって」
うにゅほほどではないだけで。
「もっとたのしみにして!」
「ええ……?」
なんか面倒な絡み方をしてきたな。
「いいか、××」
「?」
「俺は、楽しみパワーを当日まで溜めているんだ」
「──…………」
うにゅほが白けた顔をする。
「誤魔化せなかったか……」
「ごまかせなかった」
「いや、楽しみなのは本当だからな! こう、"楽しみ"の種類がすこし違うだけで」
「しゅるい?」
「"明日ディズニーランド行く!"と"明日句会がありますので"だと、同じ楽しみでも違う感じがするだろ」
「それは、うん」
「俺は、じんわり楽しみなんだよ。××みたいな激しい感じじゃない。でも、楽しみなのは同じだろ?」
「あー……」
誤魔化せたか?
「そか。たのしみは、たのしみなんだもんね」
「そういうこと」
よし、誤魔化せた。
「なんか、ほっとしたかおした?」
「……元からこういう顔です」
楽しみなのは本当なのだが、うにゅほのテンションにはついていけない。
これでいて当日は、しっとりと祭りの空気を楽しむだけなのだから、よくわからないバランス感覚である。
ともあれ、明日は夏祭りだ。
年に一度の雰囲気を、しっかりと味わおう。
 







169 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:57:20 ID:AKbvZkU.0

2024年7月21日(日)

「──……◯◯、◯◯」
「ん……」
肩を揺すられ、目を覚ます。
俺を起こしたのは、浴衣姿のうにゅほだった。
「……おお、可愛いのがいる」
「うへえー……」
俺の言葉に、うにゅほがてれりと微笑んだ。
「おまつり、はじまってるよ」
「マジか」
ベッドの上で耳を澄ませる。
人々の喧噪が、かすかに届いた。
「いこ!」
「ああ」
とは言え、行くのは夏祭りではない。
両親の寝室だ。
俺とうにゅほは、家の前の公園を見下ろせる両親の寝室から、夏祭りの空気を感じるのが好きなのだ。
「うへー、おまつりだ」
「集まってんなー」
「うん!」
とは言え、暑い。
今日は余裕で30℃を超えるらしい。
俺は、寝室の窓を閉めて、エアコンの電源を入れた。
ごろん、とベッドに寝転がる。
「ひざまくら、する?」
「いいねえ……」
浴衣姿のうにゅほに膝枕をされながら、涼しい部屋の中で、祭りの喧噪を感じる。
最高過ぎた。
しばし、まどろみのうちに時間を過ごし、やがて胃袋が空腹を訴える。
「焼き鳥くらい買ってくるか……」
「たべたい」
「奢ってあげましょう」
「やた!」
涼しい寝室を出て、公園へと向かう。
「──あッッッ、づ!」
気温だけではない。
直射日光が、半端ではなかった。
よく、こんな日に、これほどまでに人が集まるものだ。
五分ほど並んで焼き鳥と豚串を買ったのだが、日光のせいで右半身だけヒリヒリするくらいだった。
「今日ヤバない……?」
「……すーごい、あつい。みんなすごい……」
急いで寝室に戻り、文明を享受する。
iPadで動画を見たりしながら、ゆったりと時間をふたりで過ごし、気付けば最後の盆踊りも終わっていた。
「はー、よかったー……」
「ああ。今年もよかったな」
「らいねん、たのしみ」
「気が早いって」
夏祭りの一日は、俺たちにとって特別な時間だ。
また来年も無事に開催してほしい。







170 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:57:56 ID:AKbvZkU.0

2024年7月22日(月)

「……なーんか、おかしいんだよな」
「?」
俺の膝でくつろいでいたうにゅほが、こちらを振り返った。
「ネットが重い気がする……」
「そなの?」
「全体的にもっさりしてる気がするし、ほら」
YouTubeを開き、適当な動画を再生する。
設定から確認した画質は480pになっていた。
「画質も悪い」
「きになんないけど……」
「気になる気にならないではなく、回線速度が遅いと、ここが勝手に低い数字になるんだよ」
「ふつうは?」
「1080p」
「ひくいね……」
「回線速度調べてみるか」
「うん」
通信速度測定サイトを開き、しばし待つ。
「──4Mbps!?」
「お、おそいの……?」
「遅すぎる。だって、これ光回線だぞ。最低でも100Mbpsは出てないとおかしい」
「おそ!」
「どこがボトルネックになってるんだ……?」
プロバイダの問題であれば、俺がどうにかできる問題ではない。
だが、そうではない可能性も当然ある。
先日、Wi-Fiルーターを新調したが、俺のPCはホームゲートウェイから直接有線で繋いでいる。
うにゅほを膝から下ろし、自室の寝室側にあるホームゲートウェイを確認する。
本来"電話"と"ネット"のランプが点いているはずのものが、"電源"ランプしか光っていなかった。
「これか……」
ホームゲートウェイの電源をぶっこ抜き、一分待って繋げ直す。
しばらく待つと、"電話"と"ネット"のランプが点灯した。
PCの前へ戻り、再び通信速度測定サイトを開く。
「──よし、200Mbps!」
「なおった!」
「やっぱホームゲートウェイだったか」
「◯◯、すごいね。よくわかるね……」
「経路を辿り直せば、なんとなくわかるもんだ」
ようやく快適なインターネット環境が戻ってきた。
4Mbpsはないよな、4Mbpsは。







171 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:58:24 ID:AKbvZkU.0

2024年7月23日(火)

「あ゙ー……」
痒い。
左膝の裏が痒い。
完全にあせもになっていた。
「××、メンタム取って……」
「うん」
座椅子に腰掛けていたうにゅほが、本棚に置いてあったメンソレータムの容器を取り、手渡してくれる。
「はい。あんまかいたらだめだよ……?」
「ありがとう」
指先に軟膏を取り、患部に擦り込む。
「××は、あせも大丈夫か?」
「……なりそうなとこ、ある」
「塗ってやろうか」
「あ、ぬってー」
うにゅほが、シャツを大きくめくる。
そして、飾り気のないブラジャーを、下からすこしだけずらした。
南半球が僅かに覗く。
「おお……」
眼福である。
「ここ、あかくなってない……?」
たしかに、左胸の下部、ブラジャーの下端と皮膚が接するところが赤みを帯びて見える。
「ほんとだ」
「ぬってー」
「はいはい」
ぺとりと軟膏を指に取り、ふくらみの下をなぞるように塗り込む。
「終わり」
「ありがと」
「他には大丈夫か?」
「えーと──」
次にうにゅほが提示したのは、さらに際どい場所だった。
描写は省く。
「ぬってくれて、ありがと!」
「こちらこそ……」
「?」
「メンタムもいいけど、もっと効く薬ないもんかね。あんま効果を実感してないんだよな」
「あー」
「いちばんいいのは、市販薬じゃなくて、皮膚科でもらう薬なんだけどな」
「でも、あせもで……?」
「それ」
「だよね……」
かゆみは睡眠の質も低下させる。
我慢できなくなったら、ひとまずドラッグストアに駆け込もう。






172 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:58:52 ID:AKbvZkU.0

2024年7月24日(水)

自室の飲み物が尽きたので、嫌々ながら買い出しに行くことにした。
愛車のパレットで最寄りのホームセンターへと向かい、冷房の効き始めた車を降りる。
「あぢー……」
「はちーねえ……」
ギラギラと照りつける午後の太陽から逃げるように店内へ入ろうとすると、
「……え、何これ」
ミストワークファンと書かれた水しぶきの出る扇風機のようなものが自動ドアの前に設置してあった。
しかも、通ろうとすると必ず水がぶっかかる位置に。
「ぬれる……」
「濡れたら涼しいのかもしれないけどさ……」
だからと言って、強制的に濡らされたいわけでもない。
まあ、仕方がない。
入らなければ買い物ができない。
ミストワークファンの前を通ると、一瞬、たしかに涼しかった。
濡れた感覚が多少不快ではあったものの、わざわざクレームを入れるほどのことでもないだろう。
そう考えて店内へ入ると、強めの冷房が俺たちを出迎えた。
「さむ!」
「落差がすごいな……」
ミストで濡らされたおかげで、余計に寒い。
ホームセンター特有のでかいショッピングカートにダンボール箱を三箱乗せて、レジを通して駐車場へ向かう。
ダンボール箱を後部座席に積み込んだあと、ショッピングカートを玄関に戻し、今度は運転席に乗り込んだ。
計四回、濡れた。
「……だいぶ濡れたな」
「だいじょぶ?」
「涼しいは涼しいけども……」
やはり、シャツが肌に貼り付いて不快ではある。
「……なんであのいちに」
「せめて、迂回すれば避けられる位置に設置してほしかった」
「うん……」
誰も文句を言わないのだろうか。
そう思ったが、俺たち自身も"言うほどのことではない"と事なかれ主義を発揮している。
きっと、あのミストワークファンは、半分の人に快を、もう半分の人にうっすらとした不快を与えながら、しばらく設置され続けるのだろうな。







173 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:59:18 ID:AKbvZkU.0

2024年7月25日(木)

深夜、YouTubeのショートをぼんやり眺めていると、粉瘤の手術動画が流れてきた。
「……おお」
実は、嫌いじゃない。
埋没毛を抜く動画や、鼻の角栓を取る動画、扁桃腺の膿栓を除去する動画など、気持ち悪いのに見てしまう。
目を逸らしたいのに、取れると気持ちがいい。
気が付けば、ショートでは足りなくなって、粉瘤の手術をする動画を検索していた。
「うわァ……」
でかい。
でかすぎる。
そして、キモすぎる。
でも、見てしまう。
そんな時間を過ごし、気付けば時刻は朝方だった。
そのまま就寝し、目を覚ましたのは正午過ぎ。
顔を洗い、うがいをし、自室に戻ると、iPadを持ったうにゅほが困り顔をしていた。
「ね、◯◯……」
「ん?」
「なんか、へんなどうが、でる……」
「変な動画?」
iPadを受け取り、画面を見る。
すると、YouTubeのおすすめに、粉瘤の手術動画がズラリと並んでいた。
「あ、やべ」
同じアカウントだからな。
そりゃ、おすすめ動画に出まくるわ。
「悪い、いま直すわ」
おすすめに出ている粉瘤動画をすべて、"興味なし"に設定していく。
「◯◯、みてたの? しじつのどうが……」
「……見てた」
「なんで?」
「──…………」
なんでと言われてもなあ。
「前に、埋没毛を抜く動画とか一緒に見たろ」※1
「あ、みた」
「それと同ジャンルで、もうすこし気持ち悪いやつなんだよ……」
「あー……」
「まあ、でも、見ないほうがいいと思う。血とか出るしな」
「ちーは、あんましみたくないかも……」
「だよなあ」
冷静になると、なんであんなもん見てたんだってなるんだよな。
でも、見ると気持ちがいい。
不思議なものだ。
「猫の動画見よう、猫の動画」
「あ、みる」
うにゅほには、できれば可愛い動画を見ていてほしい。
俺のわがままである。

※1 2023年1月6日(金)参照







174 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 18:59:43 ID:AKbvZkU.0

2024年7月26日(金)

「うおおお……」
痒い。
あせもが痒い。
メンソレータムではとても耐えられそうになかった。
「ドラッグストア行ってくる……」
「あ、わたしも」
「アイスも買ってくる」
「わたしも……」
「行ってくる」
「……おいてくの?」
「冗談冗談」
「もー」
身支度をさっと整え、まっすぐドラッグストアへと向かう。
薬剤師に尋ねると、アセモスチールという軟膏を勧められた。
痒みが取れればなんでもいいので素直に購入し、コンビニでアイスを買い足したあと、すぐさま帰宅した。
「これ、なんか白くなるとか言ってたな……」
「いってた」
「白く、ねえ」
「ぬってみよ?」
「あ、ちょっと待って」
添付文書はいちおう読むタイプだ。
「……なるほど」
「なんてかいてた?」
「塗布後、パウダー状になり、患部を乾燥させてサラサラになるらしい」
「あ、いいかも」
「パウダー状になるのを白くなるって表現してたんだな」
「ぬってみよ」
「ああ」
痒みのいちばんひどい、左の腋窩にアセモスチールを塗り込む。
「伸び悪っ!」
パウダーになる関係上、仕方がないのかもしれない。
「……どう?」
「うん、まあ。すぐにはわからん」
「わからんかー……」
「ただ、ほら」
「?」
うにゅほに手のひらを見せる。
「しろい!」
「使うたびに手洗わないとな……」
「なにもさわれないね……」
「──…………」
にじり。
うにゅほへと近付いていく。
「……!」
うにゅほが、一歩後ろに下がった。
「お前も白くしてやろうか……」
「ふ、ふくはやめて!」
「それは冗談じゃ済まないから」
「よかったー……」
「ほれ」
うにゅほの手を取り、腕に白い線を書く。
「わ、ほんとだ」
「もうパウダーになってる」
「すごいね」
「……あ、痒くなくなってきたかも」
「おー」
少なくとも、メンソレータムよりは効き目が強そうだ。
しばらくアセモスチールで戦おう。





175 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 19:00:11 ID:AKbvZkU.0

2024年7月27日(土)

「──あ、背中痒い!」
うにゅほが、アセモスチールに手を伸ばす。
「ぬる?」
「いや、普通に痒いだけ……」
「かく?」
「頼む……!」
膝から下りたうにゅほが、俺の背中に軽く爪を立てる。
「どこー?」
「右上。たぶん肩甲骨くらい」
「ここ?」
「そこ周辺のどっか!」
「このへんかなー」
ぽりぽり。
「あ、そこそこ」
「ここ?」
「ずれた!」
「ここ」
「そこそこ」
「きもちい?」
「気持ちいい……」
掻いてもらって、痒みがスッキリした。
「ありがとうな、××」
「いえいえー」
「××も、背中痒くなったら言うんだぞ」
「じゃあ、かいて」
うにゅほが俺に背中を向けた。
「痒かったのか?」
「かゆくないけど……」
「痒くないんかい」
「でも、かいてもらうのきもちい」
「……すこしわかる」
気を許した相手に触れてもらうのは、それだけで心地がいいものだし。
「じゃ、適当に掻くぞー」
「うん」
背中の中央を優しく掻く。
「おー……」
「どうよ」
「そこそこ」
「そことかあんの?」
「じゃあ、みぎうえ」
「はいはい」
右の肩甲骨をなぞるように掻く。
「そこそこ……」
「じゃあ、こっち」
「そこそこ」
「全部そこそこじゃん」
「どこもきもちいもん……」
「痒くないんだもんな」
「じゃあ、つぎ、わたしかくね」
「頼むわ」
そんな感じで、なんとなく背中を掻き合った。
仲いいなあ、俺たち。





176 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 19:00:47 ID:AKbvZkU.0

2024年7月28日(日)

「……マウスがべたべたする」
「べたべた」
「ほら」
ワイヤレスマウスの電源を切り、膝の上でくつろぐうにゅほに手渡す。
マウスを手で弄んだあと、うにゅほが頷いた。
「べたべたするねえ……」
「アセモスチールのせいな気もする」
アセモスチールは、二日前に購入したあせも用の軟膏だ。
塗ってしばらくするとパウダー化し、サラサラとした触り心地になる。
「あせもすちーる、さらさらするんじゃ?」
「そうなんだよな。おまけに、塗ったあとは絶対手洗ってるし……」
「あせもすちーるのせいかなあ……」
「……もうひとつ可能性がある」
「ふん」
「ゴムの劣化。このマウス、ラバーコーティングなんだけどさ。いつかは劣化してべたべたしてくるもんなんだよ」
「じゃあ、それだ!」
「俺もそんな気がする……」
「どうにかできないの?」
「無水エタノールで拭くって対処法がある」
「むすい……」
うにゅほの視線が本棚の最下段へと向けられる。
そこには、まさに、スプレー式のエタノールの姿があった。
「あるよ?」
「あるなあ」
「ふく?」
「まあ、それはいいんだけどさ」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
「前のマウスもこいつで拭いてたんだけど、ぜんぜんべたべたが取れなくて」
「きかない……」
「効かないなあ」
「だめだ」
「このマウス二年目なんだけど、前のマウスも二年でべったべたになってたし、買い替え時かもなあ……」
「ゴムじゃないの、かおう」
「……そうしようかな」
ロジクールのMX MASTER 3S、かなり気に入っていたんだけどな。
別のメーカーも検討してみよう。






177 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 19:01:53 ID:AKbvZkU.0

2024年7月29日(月)

申し込んでいたクレジットカードが届いた。
「また、かーど?」
「今度はAmazonのマスターカードだぞ」
「あまぞんのなんだ」
「ああ。今までオリコカード使ってただろ」
「うん」
「オリコカードのポイントで交換してるものが毎回Amazonギフトカードであることに気付いてしまってな……」
「あー……」
「だったら、最初からAmazonのカードにしたほうがお得だろ。Amazonでの買い物だとポイント獲得が2%になるし」
「それはおとく」
「と言うわけで、サブスク関連全部Amazonのカードに変えるか」
「がんばってー」
気のない応援を受けながら、手当たり次第サブスクリプションの支払い方法を変更していく。
「いますぐ必要ないもんは解約しとこ……」
「たとえば?」
「動画を作るときの素材をダウンロードできるサービスとか。これは必要なときだけ契約し直せばいいし」
「そだね」
スイスイと作業を進めていく。
最近のサービスはUIがわかりやすく、簡単にクレジットカード情報を変更できる。
昔は大変だった気がするなあ。
そして、dアニメストアを開いたときのことだった。
「……んー?」
わからない。
どこにもクレジットカード情報を変更できる場所がない。
「どしたの?」
「いや、dアニメストアなんだけどさ。わからん」
「わからんの……」
「調べてみるか」
調べてみた。
「えーと、My docomoにアクセスしてdアカウントを──これdocomoのサービス一元管理してるところからじゃないと設定できないのか。めんどくせ」
「そんなにめんどくさい?」
「そうだな。佐藤さんに会うのに佐藤さんち、鈴木さんに会うのに鈴木さんちに行ってたのに、渡辺さんに会いに行ったら職場の住所を教えられた気持ち」
「わかるような……」
「で、お手続きを押し──どこだ? いいや、Ctrl+Fで……」
「──…………」
「支払い方法の変更? どこだよ。Ctrl+Fでもないじゃん」
「──…………」
「だから、解約はしないんだって!」
「できる?」
「できないんだけど……」
まったくわからない。
ニアミスはしている気がするのだが、肝心のクレジットカード変更ページがどうしても出てこない。
「……いいや。550円だし」
「いいの……?」
「あんまよくない。でもわかんないし、サポートに電話するほどのことでもない」
「◯◯がわかんないこと、あるんだ」
「これだけは言わせてくれ」
「?」
「My docomoのUI、クソ過ぎる」
「そか……」
普段、名指しでディスるようなことはしないのだが、どうしても言いたかった。
dアニメストア自体は嬉しいサービスなのにな。






178 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 19:02:49 ID:AKbvZkU.0

2024年7月30日(火)

暑さのせいで飲み物の消費が激しい。
すべてを飲みきったわけではないが、四週間に一度の定期受診のついでにホームセンターへと立ち寄ることにした。
「今日は三箱じゃなく、二箱にしよう」
「まだあるもんね」
「あと、単純に三箱運び込むのがだるい。この暑いのに」
「わかる……」
愛車のパレットをホームセンターの駐車場に停め、玄関へと向かう。
「あ、こないだのやつ」
うにゅほが玄関脇を指差した。
そこに、前回俺たちを問答無用で濡らしたミストワークファンの姿があった。※1
ミストワークファンは稼働しておらず、また、俺たちのほうを向いてもいなかった。
"お試しください"とだけ書かれている。
「よかった。絶対濡らすマシンじゃなくなってる」
「あれ、やだったね……」
「いくら暑くても、濡れる濡れないはこっちが決めたい」
「うん」
「たぶん、クレーム来たんだろうな……」
俺たちが"言うほどのことでもない"と思っただけで、他の誰かにとっては言うほどのことだったのだろう。
まあ、無理矢理ミストを何度も吹き掛けられれば、不快にもなる。
「……おためす?」
「××はお試したい?」
「んー、べつに……」
「前回、問答無用でお試させられたんだから、いいだろ」
「そだね」
ペプシゼロと烏龍茶をそれぞれ一箱ずつ購入し、帰宅する。
「わたしもはこぶね」
「じゃあ、階段の手前まで頼むわ。階段は怖い」
「わかった」
そう告げて、うにゅほがダンボール箱の持ち手の穴に小さな手を入れる。
「うしょ!」
べり!
持ち上げようとした瞬間、左右の持ち手両方が破れた。
「わ、ごめん!」
「いや、たまになるたまになる。脆くなってたんだろ」
運んでいる最中に破れるのは最悪なので、最初から破れてくれて良かったとも言える。
飲み物の消費が激しいと、出費も激しくなる。
夏は好きだが、もうすこしだけ落ち着いてほしいものだ。

※1 2024年7月24日(水)参照






179 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 19:03:36 ID:AKbvZkU.0

2024年7月31日(水)

「◯◯、なんかとどいてたー」
小さめのダンボール箱を抱えながら、うにゅほが自室へと戻ってきた。
「お、来たか」
「なにかったの?」
「いや、知ってるだろ。一緒に選んだじゃん」
「あ、まうす!」
「そうそう」
「とどくのはやいねえ……」
今回購入したのは、Razer DeathAdder V2 X HyperSpeedというクソ長い名前のマウスである。
ワイヤレスかつ7ボタン、そしてラバーコーティングではないという条件で、手頃な製品がこれだったのだ。
「つかってみましょう」
「そうしましょう」
Razer DeathAdder V2 X HyperSpeed(以下マウス)を開封し、同梱されていた単三乾電池を入れる。
「なんか、接続方式が二種類あるとか書いてたな」
「にしゅるい?」
「Bluetoothと、なんか専用のやつ。専用のやつのが遅延がない」
「じゃあ、せんようのやつだ」
「でも電池食う」
「じゃあ、ぶるーとぅーすのやつだ……」
「ゲーミングマウスだからな。普段遣いならBluetoothでお釣りが来る」
Bluetooth接続を行うと、すぐにマウスが使えるようになる。
有線でもないのに便利なものだ。
「専用のソフトで、ボタンに機能を割り当てないとな」
「どこになにするの?」
「まず、サイドの親指で押すふたつのボタンは、コピーとペースト。これは譲れない」
「こぴぺだ」
「んで、残りのふたつはCtrl+FとGoogle検索」
「しーてぃーあーる、えふ?」
「ページ内検索とか」
「あー」
ささっと設定してしまうと、あっと言う間にこれまでと大差ない使い勝手になった。
「……べつに、MX Masterシリーズにこだわることなかったな」
経年劣化でべったべたになるし。
「ほら、××。マウス操作してみ」
「うん」
うにゅほがマウスを手に取り、左右に振る。
「あ、さらさらしてる」
「こっちは?」
MX Master 3Sを差し出す。
「べたべた……」
「ラバーコーティングのマウス、もう買わないわ」
「うん……」
二年程度でべたべたにならない以上、この新しいマウスとは長い付き合いになりそうだ。
でも、ホイール部分がゴム製なんだよな。
うーん。






180 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/08/01(木) 19:04:25 ID:AKbvZkU.0

以上、十二年八ヶ月め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2024年08月02日 19:30  ID:kGJ1ea.H0
    管理人の家族を解放しろ


  • 2  Name  名無しさん  2024年08月02日 19:55  ID:4ZFW0sEp0
    >>1
    毎回同じこと言ってるけど、面白いこと言ってるつもりなんかな


  • 3  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:12  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「やった、今日は給料日だ!」

    ワイ「よ~し、パチンコに行くか~」じゃじゃら
    ワイ「おっ、激アツリーチっ!」じゃらじゃら
    ワイ「く~!外した~! でも良い流れだ、もう3000円で当たる!」


  • 4  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:12  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「はぁ~?なんだこりゃ」
    バンバン
    山如「お客様、おやめください」
    ワイ「あ?」
    ワイ「ま、いいか、今日は給料日だしな。お前よりは貰ってるはずだし。帰るか」
    山如「………(聞こえなかった。なんて言ったんだ?)」
    ワイ「居酒屋でも寄るか」


  • 5  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:12  ID:D0eOdXgg0
    美宵「いらっしゃいませ~」
    ワイ「今日は給料日だし、奮発してご褒美もも焼き5本買うかなw」
    ワイ「あとは、山盛りポテトwさらにビールのコンボw決まったわ」
    美宵「………(で、でたー、底辺ブルーカラ~!)」


  • 6  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:13  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「おい」
    美宵「いらっしゃいませ~ご注文ですか~?」
    ワイ「ポテト」
    美宵「え、あ、山盛りポテトおひとつですね~?」
    美宵「………(猿かよ!会話成り立たねえ!服汚ねぇ!ほんとキモいわ~)」
    ワイ「おう、姉ちゃん、先にお通し出してくれないかい?」
    美宵「はい~少々お待ちください~」

    ー小一時間後ー

    美宵「4763円になりま~す」
    ワイ「!?」
    ワイ「か、金が無い!?」


  • 7  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:14  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「おう、席に財布忘れちまったとってくるわ」
    美宵「はい」

    ー自席に戻るー

    ポケットガサゴソ。。。
    ワイ「あ、あった、給料袋。ふぅ~危うく恥じかくところだった」

    ー再び支払いー

    ワイ「すまないね~」
    給料袋ガサゴソ
    ワイ「!?」
    ワイ「あれ、あと五千円しかない!?」
    ワイ「とりあえず会計しないと。。。」

    ーー

    美宵「ありがとうございました~」
    ワイ「給料?どこ行った?」


  • 8  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:14  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「パチンコで7万スったんだわ!忘れてたー!!!。。。」
    ワイ「つか、給料7万5千って生活出来ねえじゃねえかよ!」イライラ
    ワイ「お嬢に値上げ交渉してみよう。ワイがいないとあの館はまわらない。もっと貰えるはずだ!!!」
    ワイ「そもそも不況が悪い!不況だから給料が低いんだ!国が悪い!国が悪いな!」


  • 9  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:14  ID:D0eOdXgg0
    ー自室ー

    ワイ「あ~イライラするわ。タバコタバコ~っと」
    ワイ「メビウススパーッ」
    ワイ「もう一本♪」
    ワイ「メビウススパーッ」
    ワイ「もう一本♪」
    ワイ「メビウススパーッ」
    ワイ「もういっ………無い!」イライラ
    ワイ「タバコ買う金も、、、あっ!1000円札発見!!!」


  • 10  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:15  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「あっ!この1000円でジャグラーすれば、生活費も賄えるか?」
    ワイ「あ~でも12時か、お店閉まってるな。。。。」
    ワイ「明日まで、我慢するか。。。」
    ワイ「着替えるの面倒だ。寝よう。明日は夜勤、朝イチでジャグ連すれば。。」


  • 11  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:16  ID:D0eOdXgg0
    ー朝ー

    久侘歌「コケコッコー」
    ミスティア「ちゅんちゅん♪」
    ワイ「よし、勝負のとき」
    ワイ「来たッ!スロット専門店ッ!」

    ー30分後ー

    ワイ「なんで当たらねえんだよ!この店怪しいな!朝鮮系の店舗か?」
    台パン ドンドン
    萃香「………(なんだあの客?当たらないからって台に八つ当たりしてる。。身なりも汚いしなるほどド底辺だな。。。お、ペカった)」
    ワイ「おい、てめぇ」
    萃香「え?」
    ワイ「じろじろ見てんじゃねえぞォッ!!!」ドン
    萃香「わ、悪いね…」
    ワイ「なんだお前?平日の朝からスロットか?仕事してないのか?あ???」


  • 12  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:16  ID:D0eOdXgg0
    萃香(正体がバレると面倒だな…)「ええっと、わ、私は学生で。。。」
    ワイ「が・く・せ・い、だぁ~?てめぇ学校サボって親の金でジャグラーですか?かぁ~?これだから大学はぬるま湯なんだよなぁ?」
    萃香「………(つうか、仕事服で平日の朝からスロットしてるお前は何なんだよ!)」
    ワイ「ほんとありえねぇんだよなぁ?親の金で遊びやがって!大学生はヘドが出るわ~。甘ったれてんのか?おい!!!」
    萃香「………(こいつ、高卒か中卒だろうな。勉強という努力を放棄して、その事には触れずに、早くにひとり立ちした事を自慢にしているクズ。どうせ給料安いんだろ?笑)」
    ワイ「なんとかいえよ!!!オラっ!!!」ドン
    萃香「ポチっ」コールボタン
    山如「はいー?」
    萃香「この人がさっきから。。。」


  • 13  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:17  ID:D0eOdXgg0
    山如「はぁ。。。(ゲゲーッ!また来たよコイツ!要注意人物No.02の警備勤務クン!)」
    山如「お、お客様?他の客の迷惑になるような行為は、、、」
    ワイ「あ~?うるせえ朝鮮人!」
    山如「朝鮮が何なんだ!とりあえず出て行ってくれ!!!もう2度と来るな!!!」
    ワイ「ああああ、分かったよ!こんな、朝鮮系列店、一生来ねえよ!店もクズなら客もクズだ!」
    山如「………(前も言ってたな。。一生来ないって。。。)」
    萃香「………(またペカった)」


  • 14  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:17  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「こうなったら、お嬢様に、直訴だ。給料を上げてもらおう。上げてもらって、今月分からその増加分を貰えば生活出来る」

    ーワイの働く館ー

    ワイ「よし、行くか。」

    ガチャッ

    レミリア「ノックしなさい」
    ワイ「お嬢様、話があります」
    レミリア「ん?」
    ワイ「もし、ワイが辞めると言ったら、困りますよねぇ~?(困ると言え!レミリア!そうすればお前は給料を上げざるを得なくなる!)」
    レミリア「転職かしら?」
    ワイ「え?」


  • 15  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:18  ID:D0eOdXgg0
    レミリア「ここは今や、幻想入りした妖怪の一時就労先としても使われてるから。みんな次の職業を見つけるまでの繋ぎとして働いてる人も多いわ。いつもみんな、気まずそうに言いに来るのよ。新しい職業が見つかったってね。みんな夜勤もあるのに職探しに必死よねぇ。ほんと給料が少ないのに、申し訳ないわ。」
    ワイ「そこですよ!そこ!お嬢様!給料を上げてくれませんか?」
    レミリア「それは無理よあなた。あなたは高卒非正規雇用。分かる?その中でもあなたはまだもらっている方なのよ?」
    ワイ「あ、上げてくれないと辞めますよ?!困りますよねぇ!?」
    レミリア「あげるつもりは無いわ。やめてもらっても構わない。あなたのかわりならいくらでもいる。警備なんて健康な身体と視力があれば出来るじゃない?あなたが必要なんてのは自惚よ。」
    ワイ「ふっ、ざけるなッ!!!!!!」

    バタン

    レミリア「静かにドアを閉めなさい」


  • 16  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:18  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「こんなの絶対おかしいだろッ!世の中狂っている!大学で遊んでるような奴が金持ちで、親から早く独立した立派なワイがどうしてこんな目に合わなきゃ行けない?」
    ワイ「ワイは悪くねえ。こういう世の中を作った社会、政治家、国が悪い。ワイは努力してきた。節約して、ゲームも売ったんだぞ?」イライラ
    ワイ「やめてやる。やめてやるよあんな館」
    ワイ「あっ!」


  • 17  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:19  ID:D0eOdXgg0
    ーその日の夜ー

    ワイ「うーっす」
    咲夜「こんばんわ、ワイ。聞いたわよ~?お嬢様とバチバチしたんですって?」
    ワイ「そうなんですよ~。もっと給料あげて欲しいですよねぇ~」

    ー休憩時間ー 休憩室

    ワイ「あっ、ちょっとトイレ行ってきます!」
    咲夜「お、おう」
    ワイ「よぉ~し、楽勝だ。この出荷用ワインに酢を混入してやるw お酢なら人を殺すことは無い。困らせて、辞めるんだ。このクソ館を!」


  • 18  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:20  ID:D0eOdXgg0
    ー朝ー

    咲夜「あ~、終わったわ!」
    ワイ「ふぅ~(すまないな、咲夜)」
    咲夜「どうよ、ワイ?牛丼屋でも行きましょう?」
    ワイ「お、お金が。。。」
    咲夜「ちょっと~、給料日あとよ~?しょうがないわ、私がおごってあげるわ!」
    ワイ「本当ですか?行きます!」


  • 19  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:21  ID:D0eOdXgg0
    ー牛丼屋ー

    咲夜「ワイ、お嬢様によく行ってくれたわよ~」もぐもぐ
    ワイ「だってですよ、少ないでしょう給料」
    咲夜「まあね、、、まぁ、非正規なんてそんなもんよ」
    ワイ「。。。(うまい、うますぎる。こんなに美味しかったかな、牛丼)」
    咲夜「ワイ、私ね、先週プロポーズされたのよ」
    ワイ「…!?∑(OωO; )」
    咲夜「ここに勤めたころからずっと付き合ってた人でね。一緒に終止符を打とうって。家族になるのよ」
    ワイ「で、でも、この給料じゃ。。。」


  • 20  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:21  ID:D0eOdXgg0
    咲夜「お嬢様には内緒だけど、私、この館の他に、アルバイト2つ、掛け持ちしてるのよ。ワイ、あなたもでしょ?」
    ワイ「え?」
    咲夜「館の給料だけじゃあ暮らせないでしょ~。みんなお嬢様に内緒で掛け持ちしてるじゃない~?」
    ワイ「。。。」
    咲夜「しかし、不況だものね~。夫婦2馬力でないと生活できないわ。給料が低いと言えども、あの館が潰れちゃったら私、結婚式もできないし、今の生活もダメになっちゃう」
    ワイ「。。。」
    咲夜「えっ!?えっ!?ワイ、なんで泣いてるのよ!?」


  • 21  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:21  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「咲夜さん!すいません!本当にすいません、ああ、あぁあ!」ダッ
    咲夜「ワイ!どうしちゃったのよ!」
    ワイ「今日は帰る!」
    咲夜「ワイ!!」

    咲夜「……………(ワイ、さっきの休憩時間、、、いや、考えすぎね。)」


  • 22  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:22  ID:D0eOdXgg0
    ー自室ー

    ワイ「ワイはなんて事をやっちまったんだ」
    ワイ「………」
    ワイ「いや、でも咲夜は咲夜だ」
    ワイ「これはワイの人生であり」
    ワイ「悪いのは国であり」
    ワイ「イライラしてきたな」


  • 23  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:25  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「ワイは一体何をやってるんだ」
    ワイ「こんなことしてても、生きている意味も分からん」
    ワイ「もう諦めよう」
    ワイ「ワイが死んだって代わりならいくらでもいる」

    ワイ「………」ギッギッ…


  • 24  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:25  ID:D0eOdXgg0
    咲夜「ワイ!何してるのよ!!!」
    ワイ「ガハッ!さ、咲夜さん!?」
    咲夜「酷いわよ!!!みんなを置いて自殺なんて!」


  • 25  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:26  ID:D0eOdXgg0
    ワイ「ワイは出荷用のワインに酢を入れたんだ!!!これでこの職場は潰れてしまうんだ!!!」
    ワイ「咲夜さんの人生も滅茶苦茶にしちまうんだぞ!!!」
    ワイ「人の人生を壊した屑に生きる資格なんてねえよ!!!」
    咲夜「人生は生きている限り何度でもやり直すことが出来るわ」
    咲夜「ワイにしかできないことがきっとある。ワイだって誰かの役に立てるのよ」
    咲夜「だから今からでも謝りに行きましょう。必ず更正してみせて。だから自殺なんかやめて」
    ワイ「咲夜さん、ワイは…」
    レミリア「話は聞かせてもらったわよ」
    ワイ「お嬢様!?」
    レミリア「ワイ、ちょっと来なさい」


  • 26  Name  名無しさん  2024年08月02日 20:29  ID:D0eOdXgg0
    ー?日後ー

    咲夜「そんなこともありましたね」
    レミリア「あの出来事は忘れられないわ。今でもワイは損失分を返しきれてないわよ」
    咲夜「それでもワイを雇い続けているのは何故ですか?」
    レミリア「アリと同じでね。組織には少し出来損ないがいたほうが回りやすいのよ。」
    レミリア「仕事はできなくても反面教師になるならそれでいいわ。ワイの頑張りを見て周りがやる気になってくれるなら、それがワイにしかできないことよ」
    咲夜「じゃあ、ワイの評価は、、、」

    『妖精よりは役立つと思ってたんですけど、あっさりやられすぎじゃない。いつもみたいに頑張ってくれればいいのよ』

    おわり


  • 27  Name  名無しさん  2024年08月03日 01:28  ID:JjTufXCC0
    超久しぶりに見た気がする
    まだやってたんだ


  • 28  Name  名無しさん  2024年08月03日 07:10  ID:xzmD3dsB0
    >>27
    誰も読んでないのにね


  • 29  Name  名無しさん  2024年08月04日 03:51  ID:n0LDy5G00
    >>26
    怪文書まとめのコメント欄だからって怪文書投下しなくていいから…


  • 30  Name  名無しさん  2024年08月04日 09:23  ID:1pafraeg0
    >>29
    でもうにゅほよりそっちの方が断然面白くね?


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