2024年11月02日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



262 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:25:55 ID:9o/RAztc0

2024年10月16日(水)

「♪~」
寄せ植えを眺めながら、うにゅほが機嫌よさそうに鼻歌を口ずさんでいる。
「気に入ってるなあ」
「かわいい」
「わかる」
小さな多肉植物たちが仲睦まじく身を寄せ合っているのを見ると、なんだか心が温まる。
「眺めるのはいいけど、そろそろ出掛けるぞ」
「?」
「俺の病院。来ないなら別に──」
「いくよー」
「そっか」
病院であれなんであれ、うにゅほは必ず一緒に来てくれる。
と言うか、勝手に出掛けると怒る。
俺たちは、愛車に乗り込み、車で十五分ほどの距離にある病院へと向かった。
それはいいのだが、
「──あれ、通行止めだ」
「ほんとだ」
病院まで、あとほんの二十メートルと言うところで、通行止めにあった。
何かの工事をしているようだ。
仕方がないので、反対側へと回る。
「通行止めじゃん……」
右からも、左からも、行けない。
「どうしよう……」
「どうしようったって、聞いてみるしか」
窓を開き、誘導員に声を掛ける。
「すみません。あの病院に行きたいんですけど……」
「あ、はい!」
誘導員が、矢印板をどけてくれる。
「なんだ、さっさと言えばよかったのか」
「いけないかとおもった……」
「予約してるのにな」
「びっくりしたね」
「最悪、そこらのコインパーキングかと」
「おかねかかる」
「無駄にお金かかるのは嫌だな……」
診察をさっさと済ませ、帰宅する。
「♪」
ちらちらと幾度も寄せ植えに視線を向けるうにゅほを微笑ましく思いながら、プレゼントしてよかったと心から思うのだった。








263 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:26:33 ID:9o/RAztc0

2024年10月17日(木)

今日も今日とて、また別の病院だった。
「づがれだー……」
二時間ほどたっぷり待たされて、ようやく愛車の元へと戻ってきた。
「まったねえ……」
「待った待った。病院の待ち時間って、人生を卸し金で削ってる気分になる」
「そんなに」
「なんか食って帰ろうぜ。朝、食べずに出てきたし」
「いいね!」
「何がいい?」
「うーと、なにいいかなあ……」
「マック?」
「まっくもいいけど……」
「カレー」
「カレーもいいけど……」
「パスタ」
「んー」
「ラーメン」
「あ、らーめんいいかも」
「新規開拓 or いつものお店」
「いつものおみせ!」
「了解」
帰り際、数ヶ月ぶりに行きつけのラーメン屋を訪れた。
「うへー……」
「美味いんだよな、ここ。おかげで新規開拓できない」
「あたらしいおみせ、おいしくないかもしれないし」
「でも、ここより美味しいかも」
「ぎゃんぶる」
「ギャンブルになるよな……」
若い頃は、もっと、いろいろな店に挑戦した記憶がある。
年を取ったと述懐しかけて、ふと思い出した。
あれ、友達に引きずり回されてただけだ。
「……大して変わってないな」
「?」
「いや、こっちの話」
「おしえてよー」
「俺は俺だって話だよ」
「……?」
人間の本質は、そう変わらないのかもしれない。
だが、成長はしていきたいとも思うのだ。







264 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:27:03 ID:9o/RAztc0

2024年10月18日(金)

「──◯◯、とどいた! おもいって!」
「お」
うにゅほの声に導かれるまま玄関へ下り、宅配業者から大きな包みを受け取る。
抱えてみると、たしかに重い。
「××、手伝ってくれるか」
「まかして」
ふたりでなんとか抱え上げ、自室へと運び込む。
「フー……」
「おもかった……」
「でも、ようやく届いたな。自室改造計画、最後の一手」
「うん!」
それは、寝室側に置くチェストである。
チェストの頭上に二段の棚があるもので、それらを飾り棚として利用するつもりなのだ。
「じゃあ、頑張って組み立てるか!」
「がんばろー」
ダンボール箱を開封し、パーツを取り出していく。
「──…………」
「──……」
「……これは、大変だぞ」
「うん……」
なにせ、メインパーツが23種類、ネジ類ですら13種類もあるのだ。
「電動ドライバー持ってくる。手だと死ぬ」
「……そだね」
うにゅほと協力し、ふたりでチェストの完成を目指す。
「××、そこ支えてて」
「わかった!」
工程はかなり多いが、電動ドライバーのおかげで作業は捗り、二時間ほどをかけてチェストを完成させることができた。
「完成した……」
「がんばった!」
「いえー」
「いえー」
うにゅほとハイタッチをする。
電動ドライバーを使ったせいか、仕上がりは見事で歪みひとつない。
「──うん、いいな。部屋に合ってる」
「ね、なにかざる?」
「そうだな……」
まず、アロマテラピー用の精油や、トトロのぬいぐるみなどを飾ってみる。
「おー」
「いいじゃん。飾るもの見つけたら飾っていこう」
「だね!」
俺とうにゅほの自室改造計画は、ひとまずの完成を見た。
しかし、まだまだ手を入れられる部分はある。
ふたりで最高の部屋にしていこうと思った。





265 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:27:29 ID:9o/RAztc0

2024年10月19日(土)

今日もまた荷物が届いた。
「……?」
うにゅほが小首をかしげる。
「これ、なに?」
「ソーダフレッシュ」
「そーだふれっしゅ……」
それは、白い部品の上に、水色の球体が接着されたような形状をしている。
「なんだと思う?」
「そーだを、ふれっしゅするもの」
「まんまじゃん」
「うへー……」
「まあ、合ってるんだけどな」
「あってるの」
「炭酸飲料の炭酸が抜けないようにする道具だよ」
「へえー」
「見てな」
冷蔵庫を開き、新しい炭酸水を開封する。
数口ほど飲むと、口内に爽やかな刺激が走った。
「ペットボトルの注ぎ口に、ソーダフレッシュを取り付ける」
「あ、きゃっぷになってるんだ」
「そうそう」
フタの代わりに取り付けたソーダフレッシュの球体部分を、しゅこしゅこと握る。
「こうすると、ペットボトル内に空気が送り込まれる」
「ふんふん」
「炭酸って、どうして抜けるか知ってる?」
「たしか、にさんかたんそが」
「うん」
「ぬける……」
「それを空気で加圧して、抜けないようにしてるんだ」
「なるほどー」
わかってるのかな。
ともあれ、ソーダフレッシュを利用して、いつものように炭酸水を常飲してみた。
数時間後、ペットボトルを最後まで飲みきったうにゅほが、頷きながら言った。
「いみあるかも」
「使わなかったら、最後なんてひどいもんだしな……」
「うん。すっぱいみず」
「ソーダフレッシュ使ったら、微炭酸くらいは残る」
「いいかも!」
「だな」
炭酸水にも随分慣れ、ペプシゼロを飲みたいとも思わなくなってきた。
向こうは体に悪そうだし、このまま健康的な生活を続けていこう。





266 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:27:52 ID:9o/RAztc0

2024年10月20日(日)

「最近、すげー丁寧な生活をしてる気がする」
膝の上のうにゅほが、うんうんと頷く。
「わかる」
「自室改造計画が大きかったな」
「いいへやになった……」
「寄せ植えもあるしな」
「かわいい」
「可愛いよな、あれ」
「みず、あげすぎたら、だめなんだよね」
「半月に一度って話だしな」
「もっとあげたい……」
「根腐れするぞ」
「だから、しない」
「偉い」
「うへー」
「まあ、可愛いものをかまいたい気持ちはわかるけどな」
「でしょ」
「だから、こうする」
「?」
うにゅほの顎の下を撫でる。
「……??」
「可愛いものをかまってる」
「!」
「可愛い可愛い」
「──…………」
「照れた」
「てれた……」
素直である。
「部屋、他に変える場所ってあるかな。さすがに思い付かないんだけど」
「むつかしいね……」
「どうしたって、あとは細かい部分になるよな。これ以上家具を追加するわけにも行かないし」
「おきばしょ、もうない」
「さすがにな……」
せっかく広々とした部屋になったのだ。
元の木阿弥になるのは避けたい。
「……まあ、思い付いたらでいいか」
「そだね。いそぐことないよ」
「たしかに」
何かをするとなれば、一気にしてしまいたくなるのは悪い癖だ。
集中力があるとも言えるが、飽き性であると言い換えられなくもない。
ひとまず維持に努めようと思った。





267 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:28:13 ID:9o/RAztc0

2024年10月21日(月)

プライム感謝祭の余韻でAmazonの商品を見て回っていると、気になる商品を見つけた。
「××、これどうよ」
「?」
膝の上でiPadをいじっていたうにゅほが、顔を上げる。
「でんどうどらいばー……?」
「違う。電動エアダスター」
「えあだすたー」
「ほら、空気でプシューッと」
「あー!」
「あれ、けっこう使いたいとき多いのに、すぐなくなるだろ」
「たしかに……」
「電動なら何度でも使えるし、ほら。風速もかなり出るみたい」
「いいかも!」
「買っていい?」
「いいよー」
さっそくポチる。
「──あれ、到着予定日が31日だ」
「おそいね」
「急がないからいいけど、珍しいな。たまに翌日に届いたりするのに……」
「なんでだろ」
「Amazonからの発送じゃないのか、そもそも倉庫にないのか」
「うーん」
いずれにしても、特に困ることはない。
「のんびり待とう」
「うん」
「届いたらキーボードの掃除をしよう」
「しよう」
そんな会話をしながら、またAmazonを漁る。
「──あ、ジャンプ予約しとかないと」
「きんどる、いいよねえ……」
「電子書籍が読みやす過ぎて、すっかり紙の本を読まなくなっちゃったな……」
「わかる」
「画面もでかいし」
「あいぱっどでも、よめるし」
「年を取るごとに面倒くさがりになっていく……」
「そういうもの?」
「わからない。人による気がする」
「たしかに……」
とは言え、紙の本が嫌いになったわけでは決してない。
今度、家の漫画をまとめ読みしようかな。





268 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:28:35 ID:9o/RAztc0

2024年10月22日(火)

今日は、四週間に一度の定期受診だった。
七時半に起床し、うにゅほに宣言する。
「よし、今日は前よりさらに早く出るぞ!」
「おー!」
「前、何時に出たっけ」
「わからん」
「だよな……」
先月の日記を確認する。
「八時過ぎに出てたわ」
「おー……」
「でも、途中コンビニでメシ食ってるわ」
「あ、たべたきーする」
「今日は朝ごはんナシだな」
うにゅほが、自分のおなかを撫でる。
「かえりに、なんか」
「了解」
八時十五分に家を出て、まっすぐ病院へと向かう。
受付に名前を書くと、今日は六番目だった。
「はやい!」
「前は七番目だったらしい」
「ひとつはやい」
「きっと、すぐだよ」
「うん」
九時半に名前が呼ばれ、薬局へと立ち寄り、帰宅したのは午前十時のことだった。
「やっぱ、早めに出ると早めに帰れていいな」
「だねー」
そこで、ふと気付く。
「……コンビニ寄るの忘れてた」
「あ」
「朝メシ、どうしよう」
「めだまやく?」
「××が、それでいいなら」
「いいよー」
「んじゃ、俺は目玉ふたつで」
「はーい」
うにゅほの作ってくれた目玉焼きを、ふたり並んで食べる。
幸い、炊飯器にごはんが残っていたので、量が足りないと言うこともなかった。
朝食を終え、自室に戻る。
「──よし、寝るか!」
「わたしも、ねようかな。はやいけど……」
「寝ろ寝ろ」
遅寝早起きのうにゅほは、一日のどこかに昼寝を挟むのが常だ。
「なんか、食べた直後に寝るのもアレだけど」
「たべちゃったもん」
「仕方ないか」
「しかたない、しかたない。うしになろ」
「おうよ」
食べてすぐ寝ると牛になる。
誰が言い出したのかわからないが、逆流性食道炎の人は注意すべきだと思った。





269 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:28:57 ID:9o/RAztc0

2024年10月23日(水)

「◯◯ー……」
「うん?」
自室に戻ってきたうにゅほが、困ったように言った。
「あのね」
「うん」
「といれ、かぎかかってる……」
「……?」
よくわからなかった。
「誰か入ってるんじゃないのか?」
「のっくしても、かえってこない……」
「(弟)は?」
「(弟)は、へやにいた」
「父さん母さんは……」
「した、みてないけど……」
「──…………」
嫌な予感がした。
もし、トイレで誰かが倒れていたとしたら。
俺は、慌てて立ち上がり、財布から十円玉を取り出して二階のトイレへ向かった。
十円玉で鍵を回し、扉を開く。
「……あれ?」
トイレには、誰もいなかった。
「はいってない?」
「誰も入ってない……」
よかった。
よかったのだが、謎が残った。
「……誰が鍵閉めたんだ?」
「え、わかんない……」
十円玉で鍵を開けられたように、コインがあれば鍵を閉めることはできる。
だが、家族に、そんなイタズラをするような人間はいない。
謎だった。
「何かの弾みで勝手に閉まったのかな……」
「そんなこと、あるの?」
「わからんけど」
「わからんよね……」
納得できる答えが到底導けそうにない、マジで謎の出来事だった。
真相を知りたい。





270 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:29:18 ID:9o/RAztc0

2024年10月24日(木)

「──ふと気付いたんだけどさ」
「?」
「ディスプレイ、でかくない?」
「えっ」
「でかくないのか……」
「ちがくて」
うにゅほが首を横に振りながら言った。
「いまきづいたの……?」
「数日前に気付いた」
「これかったのは?」
「五年前……」
「いまきづいたの……」
俺の使用しているメインディスプレイは、実に43インチの巨躯である。
それを、ほんの一メートルの距離で使っている。
一瞥で画面の情報すべてを取得することができないのだ。
「新しいの買う、かあ……」
「かうの?」
「考え中」
いまさらだけど、目が疲れるのだ。
とは言え、4Kモニターは高いし、何より設置が面倒だ。
今使っているモニターをどうすりゃいいんだか。
「変えたいは変えたいんだよな……」
本音だ。
だが、越えなければならないハードルが多すぎる。
あまり現実的ではない。
でもなあ。
「俺の目の疲れって、八割ディスプレイのせいだと思うんだよ」
「そなんだ……」
解決策が目の前にある以上、諦めきれない自分もいる。
うーん、どうしようかな。





271 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:29:47 ID:9o/RAztc0

2024年10月25日(金)

「──と言うわけで、ポチってしまいました」
「しまいましたね……」
購入したのは、32インチ4Kディスプレイだ。
現在メインで使用している43インチ4Kディスプレイが大きすぎることにようやく気付き、購入に踏み切ったのだった。
「正直、倍くらい離れてちょうどいい感じだったからな……」
「ゆーちゅーぶみるとき、ちょっとはなれてたもんね」
「一度に全体が目に入らないんだもん……」
ディスプレイは、でかければでかいほどいい。
そう思い込み、ずっと使い続けてきた自分は、たぶんアホである。
「なんにでも限度があるってことだな」
「ね」
頷き、うにゅほが小首をかしげる。
「このでぃすぷれい、どうするの?」
「……ディスプレイそのものより、テレビスタンドのほうが問題なんだよな」
43インチのディスプレイは、重い。
相当に、重い。
これを支えるためには、それなりの価格のテレビスタンドが必要だった。
当然、ドデカイ。
売るために部屋から出すことすら困難だった。
「しゃーないから、Switch用にする」
「あー」
メインディスプレイの背後には、Switch用の27インチディスプレイが設置されている。
そちらを予備に回し、43インチディスプレイに取り換える。
これならば、ディスプレイとテレビスタンドを部屋から出す必要はないし、Switchでゲームをする際に迫力が出るというものだ。
「さいしょ、このでぃすぷれい、すいっちようっていってかったきーする」
「ああ、そうだったかも」
「でも、もったいないからって、ぱそこんのにしたきーする」
「よく覚えてるな……」
「うへー」
「目が疲れる、目が疲れるって思い続けながらこのディスプレイ使ってたけど、小さいのにすることで改善されたらいいなあ」
「そだね……」
「××は、このディスプレイで目疲れなかったのか?」
「へいき。たぶん、ぶんしょうとかうたないからだとおもう……」
「たしかに」
すこし離れてYouTubeを見るぶんには、画面が大きくて嬉しいだけだ。
テレビを見るときは、部屋を明るくして、離れて見てね。
子供のころにいつも見ていた注意書きの、逆へ逆へと行っていた俺だった。





272 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:30:10 ID:9o/RAztc0

2024年10月26日(土)

家族が使わなくなったiPadを売ることにした。
「無駄にあるんだよな、iPad……」
「おとうさん、へやごとにおいてるから」
「そんないらんだろ。いいけどさ」
iPadでYouTubeとTikTokを見るのが父親の趣味のひとつだ。
どうやら、持ち歩くのが面倒らしい。
「そんで、売れそうなのが、この三台か……」
「おいくら?」
「まず、型番から機種を調べないと」
iPadを引っ繰り返し、裏に刻印された小さな小さな文字を読み取る。
「──って、読めるか! 小さすぎるわ!」
「ろうがん?」
「まだ違うと思うけど……」
うにゅほにiPadを手渡す。
「読めるか?」
「よめるよ」
自信満々に、うにゅほがiPadの背面を睨みつける。
「──…………」
「──……」
「えーの、ごーろくなな……?」
「A567な」
検索する。
「……ないぞ」
「え」
「もしかして、A1567じゃないか?」
「──…………」
再び、うにゅほがiPadを睨む。
「いちごーろくなな、かも」
「やっぱ小さいよな……」
「うん……」
「素直にカメラ使おう」
「カメラでよめるの?」
「ああ。こう言うのは、スマホのカメラで覗いて拡大すれば読める」
「べんり」
「小さすぎるよな、この文字……」
「うん……」
三台の型番を調べた結果、そこそこの値段で売れそうなことがわかった。
「よしよし、小遣いゲットだぜ」
「さいきん、おかね、つかいすぎだったもんね……」
「補充補充」
自室改造計画で生活が一変したが、貯金が多少犠牲になった。
もちろん後悔はしていないが、財布の紐を締め直す必要がありそうだ。





273 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:30:33 ID:9o/RAztc0

2024年10月27日(日)

掃除のため、書斎側のシーリングライトのカバーを外す。
パキッ。
「あ」
プラスチックが劣化していたのか、カバーの一部が割れてしまった。
「どしたの?」
「カバーにヒビ入った……」
「え!」
丸椅子から下り、うにゅほにカバーを見せる。
「ここ」
「ほんとだ……」
天井だから気にならないと言えば気にならないが、気分の良いものではない。
昨日、財布の紐を締めねばと思ったばかりだが、新しいシーリングライトを購入すべきだろうか。
「どーすっかなあ」
「そんなにぱりぱりになってるの?」
うにゅほが、ひび割れた部分を軽く掴む。
パキッ。
「え」
さらに割れた。
「ち、ちからいれてないよ……?」
「思った以上に劣化してるな」
「うん……」
今ので、新調する方向に傾いた。
「……新しいの、買うかあ?」
「かう?」
「買ってもいいかな、とは思ってる」
「かうかー……」
「どうせ買うなら、おしゃれなのがいいな」
「あ、わたしもそうおもった!」
「Amazonで調べてみるか」
「うん!」
掃除を済ませたあと、うにゅほを膝に乗せてAmazonを開く。
「あ、これいいかも」
「どれ」
サクラチェッカーにかける。
「……あー、ダメだ」
「だめかー」
そんなことを繰り返すうちに、気が付いた。
サクラチェッカーで合格点を取る商品が、ほとんどない。
どうやら、外観の個性的なシーリングライトのレビューには、サクラが入っていることが多いようだった。
「ある程度覚悟して買うしかないのかな……」
「そうかも……」
シーリングライトの購入は、すこし検討してからにしよう。
そう思った。





274 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:30:59 ID:9o/RAztc0

2024年10月28日(月)

膝の上のうにゅほを抱き締めながら、呟く。
「最近、さすがに寒いかもな……」
「そろそろ、じゅういちがつだもんねえ……」
「雪降るかも」
「ゆき!」
うにゅほの声が弾んでいる。
「たのしみ」
「ソウデスカ」
「◯◯、ゆき、きらいだもんね」
「嫌いですねえ……」
「ざんねん」
たとえ好き嫌いが分かれても、互いを尊重できるのが俺たちだ。
「でも、わたし、さむいのすきだよ」
「くっつけるから?」
「うん」
「まあ、暑くてもくっついてるけど……」
「ごうほうてきに」
「夏場は違法だったのか」
「◯◯は、さむいのすき?」
「好き嫌いで言えば、普通かな。やっぱ、ちょうどいい気温が好きだし」
「それはきんし」
「禁止カードだったか……」
「だって、ちょうどいいのは、ちょうどいいもん」
言ってることはわからんが、言いたいことはわかる。
「あついのと、どっちすき?」
「どうだろ。夏と冬で言えば夏だけど、暑さ寒さで言うと難しいな」
「ふゆ、ゆきあるもんね」
「仮に、冬場に雪が降らなかったとしたら──」
しばし思案し、頷く。
「最高だな」
「さむいのすき?」
「いや、結局暑いほうが好きだわ」
「そなんだ……」
「暑さはエアコンで防げるし、寒さはストーブで防げるだろ。でも、ストーブは部屋を均一にあっためてくれないから……」
「なるほど……」
「単に、北海道の寒さが厳しすぎるってだけかもしれないけど」
「そうかも」
寒い冬がやってくる。
今年も頑張ってやり過ごし、暖かな春をじっと待とう。





275 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:31:21 ID:9o/RAztc0

2024年10月29日(火)

外出した際、あるものが目に入ってきた。
「あ、ふぁみま!」
「ファミマできるのか……」
たしかに、何かコンビニらしきものが建設されている雰囲気はあった。
「ここにファミマは嬉しいな」
「とおかったもんね、ふぁみまだけ」
「しかし──」
すぐに見えてきたセブンイレブンに視線を向け、呟く。
「この一帯、コンビニ戦国時代だな……」
「あー」
ファミリーマートがある。
ローソンがある。
セブンイレブンは二軒ある。
そして、セイコーマートも新しく開店したばかりだ。
互いに客を食い合って、どこかが潰れるのではないだろうか。
「なんで、わざわざ近くに開店するんだろうな。嬉しいけど」
「わかんない。うれしいけど」
「まあ、なんだかんだで使い分けてるし、そこまで競合しないのかな」
「かも」
ただ、他のコンビニの売り上げを減らすためだけに開店する場合もあると聞く。
恐ろしい話だ。
そんな会話を交わしながら、スーパーマーケット内の千円カットへ向かう。
「……千四百円になってる」
「せんえんかっとじゃないね……」
「なんでも高くなるなあ」
「うん……」
「じゃあ、悪いけど買い物でもしてて」
「はーい」
うにゅほと別れ、散髪をする。
時間帯がよかったのか、幸い、他の客はいなかった。
さっぱりしてブースを出ると、既にうにゅほが待っていた。
「待たせた」
「ううん」
「なに買ったんだ?」
「チーズとか、かったよ」
「セルフレジ使えた?」
「うん、つかえた」
「偉い偉い」
「うへー」
「んじゃ、帰るか」
「うん」
歩きながら、うにゅほが、俺の後頭部をぞりぞりと撫でる。
「おー」
「お客さん好きですねえ」
「すき」
後ろ、刈り上げてもらってよかったなあ。
うにゅほのその一言だけで、そんなことを思うのだった。





276 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:31:45 ID:9o/RAztc0

2024年10月30日(水)

Amazonで注文してあった32インチ4Kディスプレイが届いた。
「──……ふゥー……」
大きく息を吐く。
かなりの力仕事になる。
「がんばろうね!」
「××も手伝ってくれな」
「うん!」
やる気満々のうにゅほと共に、俺たちは作業を開始した。
まず、これまでメインに使っていた43インチ4Kディスプレイを、テレビスタンドごと背面に移動させる作業だ。
そのためには、PCからすべてのケーブル類を抜き取り、いったん移動させる必要があった。
その後、L字デスクをずらし、ディスプレイごとテレビスタンドを移動させ、小箪笥を持ち上げ設置する。
作業の途中で、
「──あっ」
どがらがしゃん!
43インチディスプレイを落としてしまった。
スゥ、と背筋が寒くなる。
「こ、こわれた……?」
「わからん。動くか試してみよう……」
Switchを接続したところ、画面映りにも、スピーカーにも、異常はなかった。
「あぶねー……」
「きーつけないとね」
「だな」
43インチディスプレイを背面に設置したあとは、32インチディスプレイにスタンドを装着してデスクに置き、ケーブル類を改めて接続するだけだ。
以前より遥かに美しくケーブル類を取りまとめ、PCの電源を入れる。
32インチディスプレイが、ドット抜けもなく綺麗についた。
「づがれだー……!」
「おつかれさま」
「××もな……」
「わたし、おてつだいしただけだよ」
「ひとりだと厳しい場面、けっこうあったし」
「あったね……」
「でもさ」
「うん」
「……このディスプレイ、微妙に前に傾いてね?」
「かたむいてる……」
スタンドの付け方が悪かったのだろうか。
それとも、もともとなのだろうか。
いずれにしても、
「モニターアームもか……」
出費はまだまだ終わらないのだった。






277 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:32:11 ID:9o/RAztc0

2024年10月31日(木)

最近マジで、物を買った、物が届いたと言う日記ばかり書いているが、今日も今日とて電動エアダスターが届いた。
「あ、くうきぷしゅーのやつだ」
「そう、空気プシューのやつだ」
「くうきでる?」
「試してみよう」
コード長めのプラグをコンセントに差し込み、スイッチを入れる。
「……?」
動かない。
「どしたの?」
「なんか、動かない。初期不良かな」
「えー……」
「いや待て」
差し込んだ延長コードの元を辿る。
「そもそも延長コードがコンセントに刺さってなかった……」
「あはは」
昨日、模様替えをした弊害である。
「んじゃ、もう一度行くぞ!」
スイッチを入れる。
轟音と共に、強力な風が、エアダスターの先端から放たれた。
「おお」
手のひらに風を当てると、風圧で皮膚が凹む。
「ほら、××。手出して」
「はい」
うにゅほの手のひらに風を当てる。
「ふふ、くすぐった!」
「風圧、なかなか強いんじゃないか?」
「つよいかも」
「よし、キーボードの掃除をしてみよう」
「はーい」
先日、日記外で購入したばかりの有線キーボードを外し、電動エアダスターの空気を発射する。
「──ああ、もともと汚れてないからゴミが飛ばない!」
「てすとになんないね……」
「でも、思ったより勢いあるな。缶のエアダスターより強いかも」
「かんのよりいいね。あれ、くさいし」
「たしかに」
臭いし、邪魔だし、処理は面倒だし、いいことがない。
もっと早く買っておけばよかったと思うのだった。






278 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2024/10/31(木) 21:32:59 ID:9o/RAztc0

以上、十二年十一ヶ月め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2024年11月02日 23:50  ID:ESGgNayG0
    💩<うんこつまんない!



  • 2  Name  名無しさん  2024年11月03日 19:03  ID:edFsWLnr0
    小説じゃなく漫画だったら伸びてたのかもね


  • 3  Name  名無しさん  2024年11月03日 20:14  ID:WRNfpfvN0
    管理人の家族を解放しろ


  • 4  Name  名無しさん  2024年11月04日 12:25  ID:DxwFjSzy0
    記事も※欄もツマラン


  • 5  Name  名無しさん  2024年11月04日 15:00  ID:xZB7SuFA0
    王大人「ヤシロヤー生存確認!」


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