2025年01月17日
- 1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0
- うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます
- ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/

- 345 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:32:27 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月1日(水)
- 「ういー……」
- ベッドに仰向けに倒れ込み、自分の腹を撫でる。
- 「食い過ぎた……」
- 「おすし、おいしかったねー」
- 「美味しいのが悪い、美味しいのが」
- 「えんがわすき」
- 「バーナーで炙ってな」
- 「あぶりえんがわ、おいしい……」
- 「炙って脂が抜けるのに、普通に食べるより脂っこくなるのが不思議だ」
- 「ふつうにたべるの、なんか、そんなきーする」
- 「わかる」
- 脂の存在に気付かず脂を摂取しているということだから、非常に無駄なカロリーである。
- 「今日はだらだらする……」
- 「きょうは」
- 「今日も」
- 「うん」
- 訂正させられた。
- 「……そう言や、去年の元日って、能登半島地震が起きたんだっけ」
- 「そだね……」
- 「今年は何事もなさそうで、よかったよ」
- 「ほんとね」
- あの規模の災害が二年連続で元日に起こったら、世も末だと嘆くところだ。
- 「××ー」
- 「?」
- 「布団になれ」
- 「はーい」
- ぼふ。
- うにゅほが、抱き締めるように俺の上に乗る。
- 「うへー……」
- 「だらだらするぞー」
- 「おさけ、のまないの?」
- 「ビールしかない。買いに行くのめんどくさい。以上」
- 「なるほどー」
- 冷蔵庫にチューハイのひとつもあれば飲んだだろうが、わざわざ苦手なビールを飲むほど酔いたいわけでもない。
- そのまま、うにゅほを抱き締めながら軽く目を閉じる。
- 幸せを感じるひとときなのだった。
- 346 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:33:14 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月2日(木)
- 「──と言うわけで、結局お酒を買って参りました」
- 「わー」
- うにゅほが、ぱちぱちと拍手を送る。
- 最寄りのコンビニで購入したのは、一リットルパックの梅酒だ。
- 「これを、炭酸水で割る」
- 「こいの?」
- 「10%だから特別濃いってんでもないけど、炭酸のほうが飲みやすいだろ」
- 「なるほどー」
- 「薄めにして、××も飲むか?」
- 「のむ!」
- グラスをふたつ用意し、片方には半分ほど、もう片方には一割ほど梅酒を注ぐ。
- 「こんなもんか」
- 「もーちょい、ふやしてもいい」
- 「……大丈夫か?」
- 「だいじょぶ」
- その言葉を信じ、梅酒の量を二割に増やす。
- 「んで、ここに炭酸水を注ぐ」
- 「レモンいりだから、おいしそうだね」
- 「だな」
- こうして、梅酒の炭酸割りが完成した。
- 「乾杯!」
- 「かんぱーい!」
- グラスをカチリと合わせ、梅酒をひとくち啜る。
- 「──うん、美味い」
- 「おいしい」
- 「チーザ食おうぜ、チーザ」
- 「うん!」
- 三十分ほどふたりで晩酌をした結果、
- 「うへえー……」
- べろんべろんのうにゅほが爆誕した。
- 「うちゅー、◯◯、うちゅー」
- 「はいはい……」
- キスの雨を浴びながら、うにゅほを抱っこしてベッドに運ぶ。
- 「まだのむー……」
- 「あとで絶対後悔するから、ダメ。すこし休みなさい」
- 「うー」
- うにゅほの肩まで布団を引き上げ、ぽんぽんと叩く。
- 「もうすこし薄くすればよかったな……」
- 「ここにいてー……」
- 「はいはい」
- うにゅほの額に手を乗せる。
- 「ふへえ」
- 俺の手に頬擦りし、うにゅほが目を閉じた。
- 可愛い。
- 三十分の仮眠から目を覚ましたうにゅほは、また梅酒を飲みたがったが、死守した。
- 二日酔いのうにゅほなんて、可哀想で見ていられない。
- 347 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:33:38 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月3日(金)
- 「──あ、そうだ」
- ドライヤーで濡れ髪を乾かしているうにゅほに、あるものを見せる。
- 「?」
- 「化粧水の試供品をもらったんだよ。使ってみるか?」
- 「ごくじゅん」
- 「極潤だな。いいのかどうか知らんけど」
- 「んー、つかってみる」
- 普段からうにゅほが使っている化粧水と乳液は、母親におすすめされたもので、たしか、そこそこ高いものだ。
- 試供品など必要ないのかもしれないが、このまま捨てるのも忍びない。
- 髪を乾かし終えたうにゅほが、俺の前に両手を差し出す。
- 「だしてー」
- 「はいはい」
- 試供品の袋を破り、うにゅほの両手に中身を垂らしていく。
- 「わ、おおい! おおい!」」
- 今や、うにゅほの両手には、ちょっとした池ができている。
- 「おおいよー……」
- 「そう言われても……」
- 「うー」
- うにゅほが、化粧水を顔に塗りたくっていく。
- 「びちょびちょ……」
- 完全に顔が濡れている。
- 普段の化粧水より、明らかに多い。
- 「◯◯、かおかして」
- 「ええ……?」
- 「かして!」
- うにゅほの眼前に、顔を突き出す。
- ぺちょ。
- 濡れたうにゅほの手が、俺の顔を這い回る。
- そのたび、しっとりしていく感覚があった。
- 「はい」
- 「塗れた?」
- 「ぬれた。ふたりぶんある、これ……」
- 「試供品って、たしかに、量が多いイメージはあるな」
- 「おおすぎだよー……」
- 結局、極潤が良い化粧水なのかどうなのかは、よくわからなかった。
- 化粧水の試供品って、意味あるのだろうか。
-
- 348 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:33:56 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月4日(土)
- 正月三が日も過ぎ、平常モードに戻る。
- 大差ないだろと突っ込んではいけない。
- 「うーん……」
- 「?」
- 「Amazon初売りかあ……」
- 「なにかかうの?」
- 「欲しいものは特にないかな。炭酸水もアホほどあるし」
- 「まだ、よんはこある……」
- Amazonの専用ページを順繰りに眺めていく。
- 買うべきものは去年のうちに買ってしまったし、どれもピンと来ない。
- 無理に何かを買う必要もないのだが、せっかくの初売りだし、見るだけは見てしまうのが人の性というものである。
- 十分ほどマウスホイールを転がした結果、
- 「──うん、買うもんなし!」
- 「そか」
- 「欲しいもんがひとつもないかと言えばそうではないけど、いま無理に買うほどじゃないな」
- 「なにほしかったの?」
- 「そうだな。たとえば、ノートパソコンとか」
- 「ほしいんだ」
- 「メインのPCに何かあったときのためにな。でも、急がないし、絶対でもないし、そもそも買うならAmazonでは買わない」
- 「そかー」
- 「だから、俺の誕生日に買わなくてもいいからな」
- 「……ばれた」
- 「さりげなく情報収集してるな、って」
- 「するどいよー……」
- 「××のことだけはな」
- 俺の誕生日まで、あと一週間少々だ。
- 特に欲しいものもないのだが、うにゅほは納得しないだろう。
- 「……なんか考えとくか」
- 「はやくしてね。たんじょうび、まにあわない……」
- 「うーん……」
- 現状、マジで何も思い付かない。
- とは言え、うにゅほの気持ちを無視するわけにもいかない。
- 欲しいもの、探してみよう。
- 349 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:34:20 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月5日(日)
- 「××」
- 「?」
- 今日も今日とて膝の上でくつろぐうにゅほが、こちらを軽く振り返る。
- 「欲しいもの、いちおう見つかったんだけど……」
- 「おー!」
- うにゅほが前に身を乗り出し、ディスプレイを覗き込む。
- 「どれどれ?」
- 「これ」
- Amazonの販売ページを開く。
- ElgatoのStream Deck+の画像が表示された。
- Stream Deckシリーズは左手デバイスの一種で、ボタンに機能を自由に割り当てて作業を快適にするものだ。
- 「あ、これ、これのやつ?」
- うにゅほが、デスクの左端に置いてあるStream Deck Miniを指差す。
- 去年の五月に購入したものだ。
- 「そうそう、これのでかくてダイヤル付いてるバージョン」
- Stream Deck Miniには六つのボタンしかないが、Stream Deck+は八つのボタンと四つのダイヤルを備えている。
- 「べんりだーって、いってたもんね」
- 「Miniでも十分便利なんだけどな。だから、今すぐ絶対に欲しいってわけでもないんだけど、これしか思い浮かばなかった」
- 「うん、プレゼントするね」
- 「早い早い。値段見ろ値段……」
- 参考価格は32,980円。
- だが、正月初売りのおかげで15%引きになっており、27,980円だった。
- 「わ、セールちゅうだ。いそいでかお!」
- 「いやいや、高いだろ」
- 「たかいけど、◯◯のたんじょうびだし……」
- 「半々にしよう」
- 「しない」
- 「──…………」
- 「ぷれぜんとしたい」
- たぶん、そう言うとは思っていた。
- 「……わかった。代わりに、大事に使うから」
- 「うん!」
- うにゅほが、にぱっと笑顔を浮かべる。
- その顔を見ていると、誕生日に三万円の品を買わせる罪悪感も薄れていくのだった。
- 350 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:03 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月6日(月)
- 「◯◯、とどいたー」
- 「え?」
- 「ぷれぜんと、とどいた!」
- 「早ッ!」
- 注文したの、昨日の昼間だぞ。
- 「ね、ね、つかってみよ」
- 「おう」
- 袋からStream Deck+の箱を取り出す。
- でかい。
- 「思ったよりでかいかも……」
- 開封し、Stream Deck Miniと比較してみる。
- 「何倍あるんだ……」
- 「おやこみたい」
- 「親子にしたって、幼稚園児とかだな。Miniのほう」
- そのくらいの差はある。
- Miniを外し、Stream Deck+をPCに繋げる。
- そして、自分が使いやすいようにカスタマイズを行っていく。
- 「なるほど、ダイヤルはこういう感じか……」
- 「いい?」
- 「いいな。使いやすそうだ」
- 「うへー」
- Miniの長所であった小ささゆえの取り回しの良さが、ダイヤルによって補完されている。
- つまり、サイズが大きくなったことの恩恵だけを受けられるというわけだ。
- カスタマイズを終え、軽く使ってみる。
- 「──うん。今まで通りの感覚で、今までより便利になってる」
- 「よかったー」
- 隣で丸椅子に腰掛けていたうにゅほに、ぺこりと頭を下げる。
- 「ありがとうな、××。大切に使うよ」
- 「うん。たんじょうび、まだだけど、おめでとう」
- 「まだ六日もあるけどな……」
- まさか、注文した翌日に届くとは思わなかった。
- 物流、頑張りすぎでは。
- 「ちいちゃいの、どうするの?」
- 「売るかな。五千円くらいにはなるだろ」
- 「するがや?」
- 「他に売るもの──は、さすがにないかな」
- 「ないかも……」
- まあ、何かあれば送りつけよう。
- 今日は良い日だ。
- 351 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:21 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月7日(火)
- 「サボテンを剪定する夢を見た」
- 「きっちゃったの……?」
- 「てっぺんのだけな」
- 「えー……」
- 寄せ植えのバニーカクタスは、育てていけば頭頂部から子株が生える。
- その子株を剪定した夢を見たのだ。
- 「切るとき、すげえもっちもちしててさ」
- 「おー」
- 「なんか気持ちよかった」
- 「いいかも」
- うにゅほが、うんうんと頷く。
- 「──ただ、剪定は本当にしたほうがいいかもな」
- 「えー!」
- うにゅほが目をまるくする。
- 「本来は平たく成長するはずなんだけど、ほら。長く伸びちゃってるだろ。これ、徒長って言って、日照不足でなるらしい」
- 「ふゆだから……」
- 「ああ、冬だからだろうな」
- 日当たりの悪いところに置いているわけではないのだが、冬は単純に日照時間が短い。
- 「このままだと、どうなるの?」
- 「えーと──」
- 徒長したまま成長したバニーカクタスの画像を探し、うにゅほに見せる。
- 正直に言って、かなり見苦しい。
- 「こうなる」
- 「……これは、ちょっと、やかも」
- 「可愛くないよな」
- 「かわいくない……」
- 「剪定しようか。日照時間が長くなれば、ちゃんと成長するさ」
- 「うん……」
- ハサミを手にし、立ち上がる。
- 「わたしがきる」
- 「……トゲ、気を付けろよ?」
- 「うん」
- 自分の寄せ植えだから、自分で管理する。
- 立派だ。
- 徒長した子株を剪定したうにゅほが、苦笑しながら言った。
- 「もちもちしてなかった……」
- そらそうだ。
- 352 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:39 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月8日(水)
- 「ふあ、……っふ……」
- 漏れかけたあくびを噛み殺す。
- 「ねむい?」
- 「眠いってほどじゃないけど、あったかくてさ……」
- 見れば、室温は28℃もある。
- おまけに、うにゅほという湯たんぽを膝の上に乗せているのだから、冬の寒さとは対極にある状態だ。
- 「すとーぶ、いらなそうだね」
- 「だな」
- 石油ファンヒーターではなく、出力の弱い送風機でも十二分に暖かいのは、サーキュレーター付きのシーリングライトのおかげだろう。
- 天井に滞留しがちな暖かい空気を拡散してくれているのだ。
- 「ほんと、いい買い物したよな……」
- 「らんきんぐ、さんいだったもんね」
- 「あー、買ってよかったものランキングか」
- たしか、年末にそんな会話をしたっけ。
- 「ことしのらんきんぐ、なにになるかなー」
- 「今年が始まって、まだ一週間だぞ」
- 「うへー」
- 「とは言え、既にひとつ買ってもらってるんだよな。誕生日プレゼントで」
- 「これ」
- うにゅほが、デスクの左側に置いてあるStream Deck+を指差す。
- 「ああ。めっちゃ便利に使わせてもらってるよ」
- 「らんきんぐ、はいるかな」
- 「入るかもな」
- 「たのしみ」
- 「今年は××も三位まで発表してくれよ」
- 「わたしも?」
- 「去年はサボテンの寄せ植えだけだったしな」
- 「わたしも、しーりんぐらいとと、はんでぃくりーなーは、はいってた」
- 「じゃあ、ほとんど同じだったのか」
- 「うん」
- 「なるほどなあ」
- 実際、自室の環境や習慣を激変させたのは、そのふたつだった。
- 俺もうにゅほも同じ部屋に住んでいるのだから、かぶるのは当然かもしれない。
- 2025年は何を買うことになるのだろう。
- 答えは一年後の俺たちが知っている。
- 353 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:59 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月9日(木)
- 大学病院を出て、伸びをする。
- 「あー、クッソ混んでたあー……!」
- 「こんでたね……」
- 普段より予約が遅かったせいか、ひどく待たされた。
- 「薬局行って、帰るかあ……」
- 「うん……」
- 「ああ、いや。なんか食って帰るのもいいな」
- 「あ、いいね!」
- 「何が食べたい?」
- 「◯◯は?」
- 「うーん……」
- しばし思案し、ふと思い立つ。
- 「ステーキは?」
- 家族の誰かの誕生日には、ステーキハウスへ行くのが常だった。
- だが、手術の結果、弟は固形物を食べるのが難しくなってしまい、この慣習はなくなった。
- 「……そだね。◯◯のたんじょうび、もうすぐだし」
- 「俺たちだけってのも、すこし寂しいけどさ」
- 「うん……」
- だが、どうしようもない。
- 生きていれば、いろいろあるものだ。
- 「んじゃ、ステーキ食って帰ろう」
- 「うん」
- かなりの遠回りをしつつ、大学病院から行きつけのステーキハウスへと向かう。
- 「肉じゃ肉じゃ」
- 「ひさしぶりだね!」
- 「だな」
- ドデカいステーキをかぶりつくように食べるのは、本当に久々だった。
- 八分目を超えて満腹な胃袋を抱え、帰路につく。
- 「……夕飯は無理だな」
- 「すーごいたべたね……」
- 「××は?」
- 「わたしはたべれるけど」
- 「200gだもんな……」
- 「でも、おいしかったね!」
- 「だな」
- 「また、ふたりでいこうね」
- 「ああ」
- また潰れなければいいのだが。
- 354 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:36:50 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月10日(金)
- 「ねむー……い」
- ぐでーっと、デスクに突っ伏す。
- 昼寝の準備をしていたうにゅほが、寝室側からこちらを覗き込んだ。
- 「◯◯も、ねる?」
- 「寝るかあ……」
- 遅寝早起きのうにゅほは、昼過ぎに一度仮眠をとる。
- そうしなければ、入浴後にうとうとしてしまうらしい。
- 「いっしょに──ねれないかあ」
- 「CPAPあるからな」
- 睡眠時無呼吸症候群の俺は、仮眠のときでもCPAPを装着する。
- その状態での同衾は、さすがにうにゅほが可哀想だ。
- 「……つーか、大丈夫か? うるさくないか?」
- 「わたし、ねるのとくい」
- 「あー……」
- たしかに。
- 「いちおう、安眠用のBGM流しとくか」
- 「いいよー」
- YouTubeで適当に検索し、リラックスできる音楽を流す。
- 一時間半もあれば十分だろう。
- 自分のベッドに横たわり、CPAPを装着する。
- 「くるしそう……」
- 「しないほうが、苦しい」
- 「そか……」
- そのための器具なのだから、当然だ。
- そのまま目を閉じ、気が付けば午後四時を回っていた。
- CPAPを外し、隣のベッドを見ると、うにゅほの姿はそこになかった。
- 「あ、おはよー」
- パソコンチェアに腰掛けたうにゅほが、両手をこちらに振る。
- 「おはよう。何時に起きた?」
- 「さんじくらい」
- 「……あんま寝れなかった?」
- 「そんなことないよ」
- とは言え、二時間近くは寝ているのか。
- 昼寝としては十分だよな。
- むしろ、俺が寝過ぎである。
- しかし──
- 「……なんか、まだ眠いな」
- 「ねる?」
- 「あと三十分……」
- それを三度繰り返し、しっかりと目を覚ます頃には午後五時を大きく回っていた。
- 疲れていたのかもしれない。
- 355 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:37:17 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月11日(土)
- 「──暑い!」
- ピッ。
- 温風を吐き出していた送風機を、リモコンで停止させる。
- 「29℃あるぞ……」
- 「あちーねえ……」
- 「天井のサーキュレーター、優秀過ぎるな。冬場にこんなあったかいの、初めてかも」
- 膝の上のうにゅほが、こちらを振り返る。
- 「わたし、おりる?」
- うにゅほのおなかに回した腕に力を込めた。
- 「逃がさないぞ……」
- 「にげないよー」
- 「トイレに行きたいときだけ許す」
- 「んー……」
- 下腹部を撫で、うにゅほが答える。
- 「まだ、いきたくない」
- 「ならば、我が腕の中で愛でられるがよい」
- 「はーい」
- 「わしゃわしゃわしゃ」
- 「ふひっ、うひ、うひひひひ!」
- などと、いちゃこらしていると、気付けば午前一時を過ぎていた。
- 「ねるー」
- 「寝かさないぞ……」
- 「え」
- 「特に理由はないけど、寝かさないぞ」
- 「ないの……」
- 「夜更かしする?」
- 「する!」
- ちょろい。
- 「なにするの?」
- 「別に何もしないけど……」
- 「じゃあ、げんしんやって!」
- 「いいぞー」
- うにゅほを膝に乗せたまま、ちまちま進めている原神を起動する。
- ぽつりぽつりと会話しながら小一時間ほどプレイしていると、気付けばうにゅほが寝息を立てていた。
- 「ふすー……」
- 随分気持ち良さそうに寝ているな。
- このままにしたい気持ちはあるが、寝起きに首が痛くなりそうなので、心を鬼にしてうにゅほを起こす。
- 「──××、××。ベッド行け」
- 「はふ、……ふあい……」
- ベッドまでうにゅほをエスコートし、肩まで布団を掛けてやる。
- 「おやふみ……」
- 「ああ、おやすみ」
- 軽く頭を撫でて、パソコンチェアに戻る。
- 膝の上が、すこし寂しいのだった。
- 356 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:37:50 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月12日(日)
- 「──…………」
- 目を覚まし、のそりと起き上がる。
- 「あ!」
- 俺の気配に気が付いたうにゅほが、こちらへ駆け寄ってくる。
- 「たんじょうび、おめでと!」
- 「あー……」
- そうだった、そうだった。
- 誕生日なのだった。
- 「ありがとうな、××」
- 「うへー」
- とは言え、誕生日だからと何が変わるわけでもない。
- 年齢がひとつ、無駄に上がっただけだ。
- 「──そう言えば、豆知識があるぞ」
- 「まめ?」
- 「法的に年齢が上がるのは、誕生日の前の日なんだ。だから、4月1日生まれの人は早生まれ扱いになる」
- 「え、なんで?」
- 「ヒントを出そう」
- 「おー……」
- 「ヒントは閏年」
- 「なんで?」
- 「ヒント出したんだから考えてくれよ……」
- 「きになる……」
- いいけどさ。
- 「誕生日が2月29日の人は、四年に一回しか年を取らない。そんなわけにもいかないだろ」
- 「あ、そか。それじゃこまるもんね」
- 「その通り。だから、法的には、2月28日に年を取るようになってるんだ」
- 「あたまがよくなってしまった……」
- 「豆知識で大袈裟な」
- 「◯◯、なんでもしってる。あたまいい」
- 「うーん……」
- 思わず、大きく首をかしげる。
- 「体系づけられてない雑学をいくら知ってたって、学にはならない気がするんだよなあ」
- 「そなの?」
- 「単に雑学に触れる機会が多かったってだけの話で……」
- 「かんがえすぎなきーする……」
- それはそうかもしれない。
- 「プリンあるよ、たべる?」
- 「食べる」
- 甘くて美味しいプリンを食べると、年齢も、雑学も、どうでもよくなった。
- 甘いものは、体重以外のすべてを解決する。
- 357 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:38:13 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月13日(月)
- 「◯◯、◯◯」
- 「んー」
- 「まめちしき、おしえて」
- 「豆知識……」
- 「きのうみたいの」
- 「あー」
- 昨日、うにゅほに、雑学をひとつ披露した。
- それが楽しかったのだろう。
- 「豆知識はたくさん知ってるけど、いきなり言われてもな。せめてカテゴリを決めてもらわないと……」
- 「かてごり?」
- 「何に関する豆知識か、ってこと」
- 「うーん……」
- しばしの思案ののち、うにゅほが口を開いた。
- 「どうぶつ!」
- 「動物か……」
- 動物についての雑学を、脳内から引っ張り出してくる。
- 「パンダのうんこは緑色、とか」
- うにゅほが目をまるくする。
- 「え、そなの?」
- 「パンダって笹やら竹やら食うだろ。でも、考えてみたら、パンダは熊の仲間だ。食性がおかしいと思わないか?」
- 「たしかに……」
- 「パンダの胃や腸は、植物を消化するのに向いてない。だから、ほとんど未消化のまま排便するんだよ。だから緑色」
- 「はー……」
- うにゅほが、感心したように頷いた。
- 「ほかには?」
- 「他に……」
- わくわくとした目でこちらを見上げる。
- 「うんこ繋がりで、コピ・ルアクとブラック・アイボリーとか」
- 「それなに?」
- 「コピ・ルアクはジャコウネコ、ブラック・アイボリーはゾウが食べたコーヒー豆をうんこから取り出して淹れたコーヒーのことだよ」
- 「きたない……!」
- 「でも、どっちもアホほど高価。特にブラック・アイボリーは、今だと一杯三十万円くらいになる」
- 「のみたくない……」
- 「俺も」
- 「ね、ね、ほかには?」
- 「他に……」
- 「うんこいがいで」
- 「はいはい」
- しばらくのあいだ、うにゅほにせがまれるまま雑学を並べ立てた。
- ふんふんと興味深げに聞いてくれるのは、披露する側としては嬉しいものだ。
- 358 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:38:31 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月14日(火)
- 「ね」
- 「ん?」
- 「まめちしきをください」
- 「随分気に入ってるなあ……」
- 「おもしろい」
- まあまあわかる。
- 「今日も動物か?」
- 「んー……」
- うにゅほが、大きく首をかしげる。
- 「じゃあ、にんげん」
- 「人間ねえ……」
- かなり多岐に渡るカテゴリだ。
- 「人間ひとりの血管をすべて繋ぎ合わせると、地球を二周半するとか」
- 「え!」
- 「毛細血管とか、全部な」
- うにゅほが、自分の手のひらを見つめる。
- 「すごい……」
- 「本当か嘘か知らんけど、そう言われてる」
- 「ね、ね、ほかには?」
- 「そうだなあ」
- 脳内を適当に検索し、出てきた雑学を披露する。
- 「人間が何かをしようと意識したとき、その0.5秒前には既に脳の活動が始まってるんだって」
- 「?」
- 理解できなかったのか、うにゅほが小首をかしげる。
- 俺は、うにゅほの頭を軽く撫でた。
- 「××の頭を撫でようと思う。その0.5秒前には、××の頭を撫でる準備が整ってる」
- 「え、おかしい……」
- 「そうなんだよ。こうして××の頭を撫でようと思ったのは、本当は誰なんだろうな」
- 「こわいこわい」
- 「でも、面白いだろ」
- 「ふしぎ……」
- 「自分で自分のことを決めてると誰しも思ってるけど、本当は違うのかもな」
- 「うん……」
- 「他には──」
- 今日もまた、うにゅほに雑学を披露しまくった。
- 知識を虫干ししているようで、心地よかった。
- 359 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:38:55 ID:85OBH5kg0
- 2025年1月15日(水)
- 「♪~」
- 機嫌よく自室に戻ってきたうにゅほの手に、水が半分ほど注がれたペットボトルがあった。
- 「寄せ植えに水やるのか」
- 「うん!」
- 「……水、多すぎないか?」
- 1リットルのペットボトルに半分だから、おおよそ500mlだ。
- ごく小さな鉢植えだから、水だけで満杯になりそうだった。
- 「ぜんぶはいれないよー……」
- 「入れたら枯れるな」
- 「うん」
- うにゅほが、ちょぼちょぼと鉢植えに水を掛けていく。
- 「しめるくらい?」
- 「冬場はそのはず」
- 「じゃあ、このくらい」
- 案の定、ペットボトルの水はほとんど残っていた。
- 「……もったいないかも」
- 「加湿器に入れたら?」
- 「それだ!」
- 加湿器を開き、タンクに水を注ぐ。
- 「水、減ってる?」
- 「からっぽ」
- 「ああ、水入れないと……」
- チェアから腰を上げ、加湿器のタンクを持ち上げる。
- 軽い。
- うにゅほが注いだ400ml程度の水しか入っていないから、当然だ。
- 「加湿器って、すぐ空っぽになるよな」
- 「へや、かわいてるのかなあ」
- 「××のお肌でわからない?」
- 「わかんない」
- 「湿度低くても瑞々しいもんな……」
- 「うへー」
- タンクを満杯にし、加湿器に戻す。
- 「人間も、サボテンも、水がないと生きられないのは同じだな」
- 「そだね」
- まあ、加湿器はなくても生きられるけれど。
- 上がっていく湿度を温湿度計で確認しながら、そんなことを思った。
- 360 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:39:45 ID:85OBH5kg0
- 以上、十三年二ヶ月め 前半でした
- 引き続き、後半をお楽しみください
コメント一覧
1 Name 名無しさん 2025年01月17日 19:10 ID:V4FFeNbe0
13年!!!?
2 Name 名無しさん 2025年01月17日 19:29 ID:m1ktnKpS0
こんなもんを13年纏めたときってどんな気持ちになるの?
3 Name 名無しさん 2025年01月17日 19:35 ID:SRZZ8Enh0
パズドラとかが13周年らしいな
4 Name 名無しさん 2025年01月17日 19:49 ID:ymC0bzxr0
で?
これの何が面白いの?
これの何が面白いの?
5 Name 名無しさん 2025年01月17日 19:52 ID:LvetggZ00
管理人の家族を解放しろ
6 Name 名無しさん 2025年01月17日 20:43 ID:t28Z6iM30
>>5
ツマンネ
ツマンネ
7 Name 名無しさん 2025年01月18日 00:07 ID:.auN8osi0
この日記目にするたびに笑顔になれる
8 Name 名無しさん 2025年01月18日 12:24 ID:8RZIAh6C0
日記についてるコメントが好きで毎回開いてしまう
9 Name 名無しさん 2025年01月18日 14:51 ID:af29rqGt0
>>8
毎回同じような事しか書かれてないやん
毎回同じような事しか書かれてないやん
10 Name 名無しさん 2025年01月18日 18:10 ID:B02XrOS90
(コメントだけ読みにきているスレ)
11 Name 名無しさん 2025年01月18日 20:41 ID:XT5KC3M60
文章をまともに読めなくなる程疲れた時に読むと面白い。
12 Name 名無しさん 2025年01月19日 22:08 ID:pCIMLi8P0
管解しろ定期