2025年01月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



345 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:32:27 ID:85OBH5kg0

2025年1月1日(水)

「ういー……」
ベッドに仰向けに倒れ込み、自分の腹を撫でる。
「食い過ぎた……」
「おすし、おいしかったねー」
「美味しいのが悪い、美味しいのが」
「えんがわすき」
「バーナーで炙ってな」
「あぶりえんがわ、おいしい……」
「炙って脂が抜けるのに、普通に食べるより脂っこくなるのが不思議だ」
「ふつうにたべるの、なんか、そんなきーする」
「わかる」
脂の存在に気付かず脂を摂取しているということだから、非常に無駄なカロリーである。
「今日はだらだらする……」
「きょうは」
「今日も」
「うん」
訂正させられた。
「……そう言や、去年の元日って、能登半島地震が起きたんだっけ」
「そだね……」
「今年は何事もなさそうで、よかったよ」
「ほんとね」
あの規模の災害が二年連続で元日に起こったら、世も末だと嘆くところだ。
「××ー」
「?」
「布団になれ」
「はーい」
ぼふ。
うにゅほが、抱き締めるように俺の上に乗る。
「うへー……」
「だらだらするぞー」
「おさけ、のまないの?」
「ビールしかない。買いに行くのめんどくさい。以上」
「なるほどー」
冷蔵庫にチューハイのひとつもあれば飲んだだろうが、わざわざ苦手なビールを飲むほど酔いたいわけでもない。
そのまま、うにゅほを抱き締めながら軽く目を閉じる。
幸せを感じるひとときなのだった。








346 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:33:14 ID:85OBH5kg0

2025年1月2日(木)

「──と言うわけで、結局お酒を買って参りました」
「わー」
うにゅほが、ぱちぱちと拍手を送る。
最寄りのコンビニで購入したのは、一リットルパックの梅酒だ。
「これを、炭酸水で割る」
「こいの?」
「10%だから特別濃いってんでもないけど、炭酸のほうが飲みやすいだろ」
「なるほどー」
「薄めにして、××も飲むか?」
「のむ!」
グラスをふたつ用意し、片方には半分ほど、もう片方には一割ほど梅酒を注ぐ。
「こんなもんか」
「もーちょい、ふやしてもいい」
「……大丈夫か?」
「だいじょぶ」
その言葉を信じ、梅酒の量を二割に増やす。
「んで、ここに炭酸水を注ぐ」
「レモンいりだから、おいしそうだね」
「だな」
こうして、梅酒の炭酸割りが完成した。
「乾杯!」
「かんぱーい!」
グラスをカチリと合わせ、梅酒をひとくち啜る。
「──うん、美味い」
「おいしい」
「チーザ食おうぜ、チーザ」
「うん!」
三十分ほどふたりで晩酌をした結果、
「うへえー……」
べろんべろんのうにゅほが爆誕した。
「うちゅー、◯◯、うちゅー」
「はいはい……」
キスの雨を浴びながら、うにゅほを抱っこしてベッドに運ぶ。
「まだのむー……」
「あとで絶対後悔するから、ダメ。すこし休みなさい」
「うー」
うにゅほの肩まで布団を引き上げ、ぽんぽんと叩く。
「もうすこし薄くすればよかったな……」
「ここにいてー……」
「はいはい」
うにゅほの額に手を乗せる。
「ふへえ」
俺の手に頬擦りし、うにゅほが目を閉じた。
可愛い。
三十分の仮眠から目を覚ましたうにゅほは、また梅酒を飲みたがったが、死守した。
二日酔いのうにゅほなんて、可哀想で見ていられない。







347 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:33:38 ID:85OBH5kg0

2025年1月3日(金)

「──あ、そうだ」
ドライヤーで濡れ髪を乾かしているうにゅほに、あるものを見せる。
「?」
「化粧水の試供品をもらったんだよ。使ってみるか?」
「ごくじゅん」
「極潤だな。いいのかどうか知らんけど」
「んー、つかってみる」
普段からうにゅほが使っている化粧水と乳液は、母親におすすめされたもので、たしか、そこそこ高いものだ。
試供品など必要ないのかもしれないが、このまま捨てるのも忍びない。
髪を乾かし終えたうにゅほが、俺の前に両手を差し出す。
「だしてー」
「はいはい」
試供品の袋を破り、うにゅほの両手に中身を垂らしていく。
「わ、おおい! おおい!」」
今や、うにゅほの両手には、ちょっとした池ができている。
「おおいよー……」
「そう言われても……」
「うー」
うにゅほが、化粧水を顔に塗りたくっていく。
「びちょびちょ……」
完全に顔が濡れている。
普段の化粧水より、明らかに多い。
「◯◯、かおかして」
「ええ……?」
「かして!」
うにゅほの眼前に、顔を突き出す。
ぺちょ。
濡れたうにゅほの手が、俺の顔を這い回る。
そのたび、しっとりしていく感覚があった。
「はい」
「塗れた?」
「ぬれた。ふたりぶんある、これ……」
「試供品って、たしかに、量が多いイメージはあるな」
「おおすぎだよー……」
結局、極潤が良い化粧水なのかどうなのかは、よくわからなかった。
化粧水の試供品って、意味あるのだろうか。
 






348 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:33:56 ID:85OBH5kg0

2025年1月4日(土)

正月三が日も過ぎ、平常モードに戻る。
大差ないだろと突っ込んではいけない。
「うーん……」
「?」
「Amazon初売りかあ……」
「なにかかうの?」
「欲しいものは特にないかな。炭酸水もアホほどあるし」
「まだ、よんはこある……」
Amazonの専用ページを順繰りに眺めていく。
買うべきものは去年のうちに買ってしまったし、どれもピンと来ない。
無理に何かを買う必要もないのだが、せっかくの初売りだし、見るだけは見てしまうのが人の性というものである。
十分ほどマウスホイールを転がした結果、
「──うん、買うもんなし!」
「そか」
「欲しいもんがひとつもないかと言えばそうではないけど、いま無理に買うほどじゃないな」
「なにほしかったの?」
「そうだな。たとえば、ノートパソコンとか」
「ほしいんだ」
「メインのPCに何かあったときのためにな。でも、急がないし、絶対でもないし、そもそも買うならAmazonでは買わない」
「そかー」
「だから、俺の誕生日に買わなくてもいいからな」
「……ばれた」
「さりげなく情報収集してるな、って」
「するどいよー……」
「××のことだけはな」
俺の誕生日まで、あと一週間少々だ。
特に欲しいものもないのだが、うにゅほは納得しないだろう。
「……なんか考えとくか」
「はやくしてね。たんじょうび、まにあわない……」
「うーん……」
現状、マジで何も思い付かない。
とは言え、うにゅほの気持ちを無視するわけにもいかない。
欲しいもの、探してみよう。





349 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:34:20 ID:85OBH5kg0

2025年1月5日(日)

「××」
「?」
今日も今日とて膝の上でくつろぐうにゅほが、こちらを軽く振り返る。
「欲しいもの、いちおう見つかったんだけど……」
「おー!」
うにゅほが前に身を乗り出し、ディスプレイを覗き込む。
「どれどれ?」
「これ」
Amazonの販売ページを開く。
ElgatoのStream Deck+の画像が表示された。
Stream Deckシリーズは左手デバイスの一種で、ボタンに機能を自由に割り当てて作業を快適にするものだ。
「あ、これ、これのやつ?」
うにゅほが、デスクの左端に置いてあるStream Deck Miniを指差す。
去年の五月に購入したものだ。
「そうそう、これのでかくてダイヤル付いてるバージョン」
Stream Deck Miniには六つのボタンしかないが、Stream Deck+は八つのボタンと四つのダイヤルを備えている。
「べんりだーって、いってたもんね」
「Miniでも十分便利なんだけどな。だから、今すぐ絶対に欲しいってわけでもないんだけど、これしか思い浮かばなかった」
「うん、プレゼントするね」
「早い早い。値段見ろ値段……」
参考価格は32,980円。
だが、正月初売りのおかげで15%引きになっており、27,980円だった。
「わ、セールちゅうだ。いそいでかお!」
「いやいや、高いだろ」
「たかいけど、◯◯のたんじょうびだし……」
「半々にしよう」
「しない」
「──…………」
「ぷれぜんとしたい」
たぶん、そう言うとは思っていた。
「……わかった。代わりに、大事に使うから」
「うん!」
うにゅほが、にぱっと笑顔を浮かべる。
その顔を見ていると、誕生日に三万円の品を買わせる罪悪感も薄れていくのだった。





350 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:03 ID:85OBH5kg0

2025年1月6日(月)

「◯◯、とどいたー」
「え?」
「ぷれぜんと、とどいた!」
「早ッ!」
注文したの、昨日の昼間だぞ。
「ね、ね、つかってみよ」
「おう」
袋からStream Deck+の箱を取り出す。
でかい。
「思ったよりでかいかも……」
開封し、Stream Deck Miniと比較してみる。
「何倍あるんだ……」
「おやこみたい」
「親子にしたって、幼稚園児とかだな。Miniのほう」
そのくらいの差はある。
Miniを外し、Stream Deck+をPCに繋げる。
そして、自分が使いやすいようにカスタマイズを行っていく。
「なるほど、ダイヤルはこういう感じか……」
「いい?」
「いいな。使いやすそうだ」
「うへー」
Miniの長所であった小ささゆえの取り回しの良さが、ダイヤルによって補完されている。
つまり、サイズが大きくなったことの恩恵だけを受けられるというわけだ。
カスタマイズを終え、軽く使ってみる。
「──うん。今まで通りの感覚で、今までより便利になってる」
「よかったー」
隣で丸椅子に腰掛けていたうにゅほに、ぺこりと頭を下げる。
「ありがとうな、××。大切に使うよ」
「うん。たんじょうび、まだだけど、おめでとう」
「まだ六日もあるけどな……」
まさか、注文した翌日に届くとは思わなかった。
物流、頑張りすぎでは。
「ちいちゃいの、どうするの?」
「売るかな。五千円くらいにはなるだろ」
「するがや?」
「他に売るもの──は、さすがにないかな」
「ないかも……」
まあ、何かあれば送りつけよう。
今日は良い日だ。





351 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:21 ID:85OBH5kg0

2025年1月7日(火)

「サボテンを剪定する夢を見た」
「きっちゃったの……?」
「てっぺんのだけな」
「えー……」
寄せ植えのバニーカクタスは、育てていけば頭頂部から子株が生える。
その子株を剪定した夢を見たのだ。
「切るとき、すげえもっちもちしててさ」
「おー」
「なんか気持ちよかった」
「いいかも」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「──ただ、剪定は本当にしたほうがいいかもな」
「えー!」
うにゅほが目をまるくする。
「本来は平たく成長するはずなんだけど、ほら。長く伸びちゃってるだろ。これ、徒長って言って、日照不足でなるらしい」
「ふゆだから……」
「ああ、冬だからだろうな」
日当たりの悪いところに置いているわけではないのだが、冬は単純に日照時間が短い。
「このままだと、どうなるの?」
「えーと──」
徒長したまま成長したバニーカクタスの画像を探し、うにゅほに見せる。
正直に言って、かなり見苦しい。
「こうなる」
「……これは、ちょっと、やかも」
「可愛くないよな」
「かわいくない……」
「剪定しようか。日照時間が長くなれば、ちゃんと成長するさ」
「うん……」
ハサミを手にし、立ち上がる。
「わたしがきる」
「……トゲ、気を付けろよ?」
「うん」
自分の寄せ植えだから、自分で管理する。
立派だ。
徒長した子株を剪定したうにゅほが、苦笑しながら言った。
「もちもちしてなかった……」
そらそうだ。





352 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:39 ID:85OBH5kg0

2025年1月8日(水)

「ふあ、……っふ……」
漏れかけたあくびを噛み殺す。
「ねむい?」
「眠いってほどじゃないけど、あったかくてさ……」
見れば、室温は28℃もある。
おまけに、うにゅほという湯たんぽを膝の上に乗せているのだから、冬の寒さとは対極にある状態だ。
「すとーぶ、いらなそうだね」
「だな」
石油ファンヒーターではなく、出力の弱い送風機でも十二分に暖かいのは、サーキュレーター付きのシーリングライトのおかげだろう。
天井に滞留しがちな暖かい空気を拡散してくれているのだ。
「ほんと、いい買い物したよな……」
「らんきんぐ、さんいだったもんね」
「あー、買ってよかったものランキングか」
たしか、年末にそんな会話をしたっけ。
「ことしのらんきんぐ、なにになるかなー」
「今年が始まって、まだ一週間だぞ」
「うへー」
「とは言え、既にひとつ買ってもらってるんだよな。誕生日プレゼントで」
「これ」
うにゅほが、デスクの左側に置いてあるStream Deck+を指差す。
「ああ。めっちゃ便利に使わせてもらってるよ」
「らんきんぐ、はいるかな」
「入るかもな」
「たのしみ」
「今年は××も三位まで発表してくれよ」
「わたしも?」
「去年はサボテンの寄せ植えだけだったしな」
「わたしも、しーりんぐらいとと、はんでぃくりーなーは、はいってた」
「じゃあ、ほとんど同じだったのか」
「うん」
「なるほどなあ」
実際、自室の環境や習慣を激変させたのは、そのふたつだった。
俺もうにゅほも同じ部屋に住んでいるのだから、かぶるのは当然かもしれない。
2025年は何を買うことになるのだろう。
答えは一年後の俺たちが知っている。





353 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:35:59 ID:85OBH5kg0

2025年1月9日(木)

大学病院を出て、伸びをする。
「あー、クッソ混んでたあー……!」
「こんでたね……」
普段より予約が遅かったせいか、ひどく待たされた。
「薬局行って、帰るかあ……」
「うん……」
「ああ、いや。なんか食って帰るのもいいな」
「あ、いいね!」
「何が食べたい?」
「◯◯は?」
「うーん……」
しばし思案し、ふと思い立つ。
「ステーキは?」
家族の誰かの誕生日には、ステーキハウスへ行くのが常だった。
だが、手術の結果、弟は固形物を食べるのが難しくなってしまい、この慣習はなくなった。
「……そだね。◯◯のたんじょうび、もうすぐだし」
「俺たちだけってのも、すこし寂しいけどさ」
「うん……」
だが、どうしようもない。
生きていれば、いろいろあるものだ。
「んじゃ、ステーキ食って帰ろう」
「うん」
かなりの遠回りをしつつ、大学病院から行きつけのステーキハウスへと向かう。
「肉じゃ肉じゃ」
「ひさしぶりだね!」
「だな」
ドデカいステーキをかぶりつくように食べるのは、本当に久々だった。
八分目を超えて満腹な胃袋を抱え、帰路につく。
「……夕飯は無理だな」
「すーごいたべたね……」
「××は?」
「わたしはたべれるけど」
「200gだもんな……」
「でも、おいしかったね!」
「だな」
「また、ふたりでいこうね」
「ああ」
また潰れなければいいのだが。






354 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:36:50 ID:85OBH5kg0

2025年1月10日(金)

「ねむー……い」
ぐでーっと、デスクに突っ伏す。
昼寝の準備をしていたうにゅほが、寝室側からこちらを覗き込んだ。
「◯◯も、ねる?」
「寝るかあ……」
遅寝早起きのうにゅほは、昼過ぎに一度仮眠をとる。
そうしなければ、入浴後にうとうとしてしまうらしい。
「いっしょに──ねれないかあ」
「CPAPあるからな」
睡眠時無呼吸症候群の俺は、仮眠のときでもCPAPを装着する。
その状態での同衾は、さすがにうにゅほが可哀想だ。
「……つーか、大丈夫か? うるさくないか?」
「わたし、ねるのとくい」
「あー……」
たしかに。
「いちおう、安眠用のBGM流しとくか」
「いいよー」
YouTubeで適当に検索し、リラックスできる音楽を流す。
一時間半もあれば十分だろう。
自分のベッドに横たわり、CPAPを装着する。
「くるしそう……」
「しないほうが、苦しい」
「そか……」
そのための器具なのだから、当然だ。
そのまま目を閉じ、気が付けば午後四時を回っていた。
CPAPを外し、隣のベッドを見ると、うにゅほの姿はそこになかった。
「あ、おはよー」
パソコンチェアに腰掛けたうにゅほが、両手をこちらに振る。
「おはよう。何時に起きた?」
「さんじくらい」
「……あんま寝れなかった?」
「そんなことないよ」
とは言え、二時間近くは寝ているのか。
昼寝としては十分だよな。
むしろ、俺が寝過ぎである。
しかし──
「……なんか、まだ眠いな」
「ねる?」
「あと三十分……」
それを三度繰り返し、しっかりと目を覚ます頃には午後五時を大きく回っていた。
疲れていたのかもしれない。





355 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:37:17 ID:85OBH5kg0

2025年1月11日(土)

「──暑い!」
ピッ。
温風を吐き出していた送風機を、リモコンで停止させる。
「29℃あるぞ……」
「あちーねえ……」
「天井のサーキュレーター、優秀過ぎるな。冬場にこんなあったかいの、初めてかも」
膝の上のうにゅほが、こちらを振り返る。
「わたし、おりる?」
うにゅほのおなかに回した腕に力を込めた。
「逃がさないぞ……」
「にげないよー」
「トイレに行きたいときだけ許す」
「んー……」
下腹部を撫で、うにゅほが答える。
「まだ、いきたくない」
「ならば、我が腕の中で愛でられるがよい」
「はーい」
「わしゃわしゃわしゃ」
「ふひっ、うひ、うひひひひ!」
などと、いちゃこらしていると、気付けば午前一時を過ぎていた。
「ねるー」
「寝かさないぞ……」
「え」
「特に理由はないけど、寝かさないぞ」
「ないの……」
「夜更かしする?」
「する!」
ちょろい。
「なにするの?」
「別に何もしないけど……」
「じゃあ、げんしんやって!」
「いいぞー」
うにゅほを膝に乗せたまま、ちまちま進めている原神を起動する。
ぽつりぽつりと会話しながら小一時間ほどプレイしていると、気付けばうにゅほが寝息を立てていた。
「ふすー……」
随分気持ち良さそうに寝ているな。
このままにしたい気持ちはあるが、寝起きに首が痛くなりそうなので、心を鬼にしてうにゅほを起こす。
「──××、××。ベッド行け」
「はふ、……ふあい……」
ベッドまでうにゅほをエスコートし、肩まで布団を掛けてやる。
「おやふみ……」
「ああ、おやすみ」
軽く頭を撫でて、パソコンチェアに戻る。
膝の上が、すこし寂しいのだった。






356 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:37:50 ID:85OBH5kg0

2025年1月12日(日)

「──…………」
目を覚まし、のそりと起き上がる。
「あ!」
俺の気配に気が付いたうにゅほが、こちらへ駆け寄ってくる。
「たんじょうび、おめでと!」
「あー……」
そうだった、そうだった。
誕生日なのだった。
「ありがとうな、××」
「うへー」
とは言え、誕生日だからと何が変わるわけでもない。
年齢がひとつ、無駄に上がっただけだ。
「──そう言えば、豆知識があるぞ」
「まめ?」
「法的に年齢が上がるのは、誕生日の前の日なんだ。だから、4月1日生まれの人は早生まれ扱いになる」
「え、なんで?」
「ヒントを出そう」
「おー……」
「ヒントは閏年」
「なんで?」
「ヒント出したんだから考えてくれよ……」
「きになる……」
いいけどさ。
「誕生日が2月29日の人は、四年に一回しか年を取らない。そんなわけにもいかないだろ」
「あ、そか。それじゃこまるもんね」
「その通り。だから、法的には、2月28日に年を取るようになってるんだ」
「あたまがよくなってしまった……」
「豆知識で大袈裟な」
「◯◯、なんでもしってる。あたまいい」
「うーん……」
思わず、大きく首をかしげる。
「体系づけられてない雑学をいくら知ってたって、学にはならない気がするんだよなあ」
「そなの?」
「単に雑学に触れる機会が多かったってだけの話で……」
「かんがえすぎなきーする……」
それはそうかもしれない。
「プリンあるよ、たべる?」
「食べる」
甘くて美味しいプリンを食べると、年齢も、雑学も、どうでもよくなった。
甘いものは、体重以外のすべてを解決する。





357 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:38:13 ID:85OBH5kg0

2025年1月13日(月)

「◯◯、◯◯」
「んー」
「まめちしき、おしえて」
「豆知識……」
「きのうみたいの」
「あー」
昨日、うにゅほに、雑学をひとつ披露した。
それが楽しかったのだろう。
「豆知識はたくさん知ってるけど、いきなり言われてもな。せめてカテゴリを決めてもらわないと……」
「かてごり?」
「何に関する豆知識か、ってこと」
「うーん……」
しばしの思案ののち、うにゅほが口を開いた。
「どうぶつ!」
「動物か……」
動物についての雑学を、脳内から引っ張り出してくる。
「パンダのうんこは緑色、とか」
うにゅほが目をまるくする。
「え、そなの?」
「パンダって笹やら竹やら食うだろ。でも、考えてみたら、パンダは熊の仲間だ。食性がおかしいと思わないか?」
「たしかに……」
「パンダの胃や腸は、植物を消化するのに向いてない。だから、ほとんど未消化のまま排便するんだよ。だから緑色」
「はー……」
うにゅほが、感心したように頷いた。
「ほかには?」
「他に……」
わくわくとした目でこちらを見上げる。
「うんこ繋がりで、コピ・ルアクとブラック・アイボリーとか」
「それなに?」
「コピ・ルアクはジャコウネコ、ブラック・アイボリーはゾウが食べたコーヒー豆をうんこから取り出して淹れたコーヒーのことだよ」
「きたない……!」
「でも、どっちもアホほど高価。特にブラック・アイボリーは、今だと一杯三十万円くらいになる」
「のみたくない……」
「俺も」
「ね、ね、ほかには?」
「他に……」
「うんこいがいで」
「はいはい」
しばらくのあいだ、うにゅほにせがまれるまま雑学を並べ立てた。
ふんふんと興味深げに聞いてくれるのは、披露する側としては嬉しいものだ。






358 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:38:31 ID:85OBH5kg0

2025年1月14日(火)

「ね」
「ん?」
「まめちしきをください」
「随分気に入ってるなあ……」
「おもしろい」
まあまあわかる。
「今日も動物か?」
「んー……」
うにゅほが、大きく首をかしげる。
「じゃあ、にんげん」
「人間ねえ……」
かなり多岐に渡るカテゴリだ。
「人間ひとりの血管をすべて繋ぎ合わせると、地球を二周半するとか」
「え!」
「毛細血管とか、全部な」
うにゅほが、自分の手のひらを見つめる。
「すごい……」
「本当か嘘か知らんけど、そう言われてる」
「ね、ね、ほかには?」
「そうだなあ」
脳内を適当に検索し、出てきた雑学を披露する。
「人間が何かをしようと意識したとき、その0.5秒前には既に脳の活動が始まってるんだって」
「?」
理解できなかったのか、うにゅほが小首をかしげる。
俺は、うにゅほの頭を軽く撫でた。
「××の頭を撫でようと思う。その0.5秒前には、××の頭を撫でる準備が整ってる」
「え、おかしい……」
「そうなんだよ。こうして××の頭を撫でようと思ったのは、本当は誰なんだろうな」
「こわいこわい」
「でも、面白いだろ」
「ふしぎ……」
「自分で自分のことを決めてると誰しも思ってるけど、本当は違うのかもな」
「うん……」
「他には──」
今日もまた、うにゅほに雑学を披露しまくった。
知識を虫干ししているようで、心地よかった。






359 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:38:55 ID:85OBH5kg0

2025年1月15日(水)

「♪~」
機嫌よく自室に戻ってきたうにゅほの手に、水が半分ほど注がれたペットボトルがあった。
「寄せ植えに水やるのか」
「うん!」
「……水、多すぎないか?」
1リットルのペットボトルに半分だから、おおよそ500mlだ。
ごく小さな鉢植えだから、水だけで満杯になりそうだった。
「ぜんぶはいれないよー……」
「入れたら枯れるな」
「うん」
うにゅほが、ちょぼちょぼと鉢植えに水を掛けていく。
「しめるくらい?」
「冬場はそのはず」
「じゃあ、このくらい」
案の定、ペットボトルの水はほとんど残っていた。
「……もったいないかも」
「加湿器に入れたら?」
「それだ!」
加湿器を開き、タンクに水を注ぐ。
「水、減ってる?」
「からっぽ」
「ああ、水入れないと……」
チェアから腰を上げ、加湿器のタンクを持ち上げる。
軽い。
うにゅほが注いだ400ml程度の水しか入っていないから、当然だ。
「加湿器って、すぐ空っぽになるよな」
「へや、かわいてるのかなあ」
「××のお肌でわからない?」
「わかんない」
「湿度低くても瑞々しいもんな……」
「うへー」
タンクを満杯にし、加湿器に戻す。
「人間も、サボテンも、水がないと生きられないのは同じだな」
「そだね」
まあ、加湿器はなくても生きられるけれど。
上がっていく湿度を温湿度計で確認しながら、そんなことを思った。






360 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/01/17(金) 00:39:45 ID:85OBH5kg0

以上、十三年二ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2025年01月17日 19:10  ID:V4FFeNbe0
    13年!!!?


  • 2  Name  名無しさん  2025年01月17日 19:29  ID:m1ktnKpS0
    こんなもんを13年纏めたときってどんな気持ちになるの?


  • 3  Name  名無しさん  2025年01月17日 19:35  ID:SRZZ8Enh0
    パズドラとかが13周年らしいな


  • 4  Name  名無しさん  2025年01月17日 19:49  ID:ymC0bzxr0
    で?
    これの何が面白いの?



  • 5  Name  名無しさん  2025年01月17日 19:52  ID:LvetggZ00
    管理人の家族を解放しろ


  • 6  Name  名無しさん  2025年01月17日 20:43  ID:t28Z6iM30
    >>5

    ツマンネ


  • 7  Name  名無しさん  2025年01月18日 00:07  ID:.auN8osi0
    この日記目にするたびに笑顔になれる


  • 8  Name  名無しさん  2025年01月18日 12:24  ID:8RZIAh6C0
    日記についてるコメントが好きで毎回開いてしまう


  • 9  Name  名無しさん  2025年01月18日 14:51  ID:af29rqGt0
    >>8
    毎回同じような事しか書かれてないやん


  • 10  Name  名無しさん  2025年01月18日 18:10  ID:B02XrOS90
    (コメントだけ読みにきているスレ)


  • 11  Name  名無しさん  2025年01月18日 20:41  ID:XT5KC3M60
    文章をまともに読めなくなる程疲れた時に読むと面白い。


  • 12  Name  名無しさん  2025年01月19日 22:08  ID:pCIMLi8P0
    管解しろ定期


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