2025年05月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



473 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:52:50 ID:jOM3Fwng0

2025年5月1日(木)

今日は、月に一度の定期受診の日だった。
普段は火曜日だが、ゴールデンウィーク中のため、曜日がずれたのだ。
午前八時半に病院に着き、しばし待つ。
「なんか飲む?」
「のむー」
唯一の自動販売機へと向かい、商品を眺める。
「お、ふって飲むプリンだって」
「おー……」
「俺、これにしようかな」
「わたしも!」
「××もか……」
ふたりで挑むと、もしハズレだったときにリカバリーが効かない。
だが、
「おそろい、だめ……?」
と上目遣いで言われてしまうと、俺も弱い。
「いや、いいよ。お揃いだな、お揃い」
「うん!」
ふって飲むプリンを二本購入し、待合室へと戻る。
「五回振るんだって」
「わかった」
うにゅほが、両手で缶を振る。
「いーち、にー、さーん、しー、ごっ!」
可愛いなあと思いながら、自分の缶も適当に振る。
開封し、口をつけると、プリン味のゼリーが崩れたようなものが流れ込んできた。
まあまあ美味い。
「おいしい」
「やっぱ飲み物だから、プリンそのものではないな」
「うん、うすい。でもおいしいよ」
「たしかに」
ただ、これは体験を買ったようなものだ。
次に同じ商品を見掛けたとして、リピートするかどうかと言えば難しいところだろう。
診察を終え、薬局へ向かい、帰宅したあと睡眠を取った。
起床後、快晴だったのでまた散歩へ向かい、健康になった気分に浸る。
「はるのうちに、たくさんあるこうね」
「ああ」
散歩コースとして利用しているサイクリングロードは、夏場は草木が繁茂し虫が湧き、歩けたものではなくなる。
冬場はそもそも道がなくなるので、春と秋しか歩けないのだ。
夏になる前に新たな散歩コースを模索したいところだった。








474 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:53:15 ID:jOM3Fwng0

2025年5月2日(金)

機嫌よく冷蔵庫の扉を開ける。
実は昨日、安いスパークリングワインを購入しておいたのだった。
「飲むか!」
「おー!」
「……××も飲むのか?」
「だめ?」
「そりゃ、ダメではないけど」
成人しているのだし。
ただ、うにゅほはお酒にさほど強くないのだ。
「グラスに半分でいいか?」
「うん」
よし。
俺はグラスいっぱい、うにゅほはグラスに半分注ぎ、軽く乾杯する。
ひとくち啜るように飲み、頷いた。
「うん、美味い」
ちびりと舐めるように飲んだうにゅほが、目をまるくする。
「ほー……」
「どうだ?」
「わるくない」
悪くないんだ。
すこし意外だったが、スパークリングワインは飲みやすいものな。
雑談しながら飲み進めていくと、うにゅほの目蓋がとろんと下りてきた。
「◯◯ぃー……」
隣に腰掛けていたうにゅほが、俺の膝に上がる。
背面ではなく、対面でだ。
そして、真正面からギュウと抱き締められた。
「うへへへ……」
「早い……」
出来上がるまでが爆速だった。
まあ、この酒量であれば、翌日に残ることもないだろう。
「ちゅー。◯◯、ちゅー」
「はいはい」
軽くキスを交わしたあと、子供を寝かしつけるように、優しく背中を撫でてやる。
「うにー……」
「──…………」
ふと思った。
「××さん」
「?」
「酔ったふりしてない?」
「──…………」
「──……」
「……ふへ」
してた。
まあ、可愛いからいいか。





475 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:53:39 ID:jOM3Fwng0

2025年5月3日(土)

「世間ではゴールデンウィークらしいですよ、××さん」
「しってるよー……」
「問題です」
「ててん」
「今日は、何の日でしょう」
「──…………」
うにゅほの視線がカレンダーへと向けられる。
「おっと」
「わ」
慌ててうにゅほに目隠しをする。
「ずるいぞ」
「うへー……」
「何の日でしょう!」
「うと」
しばしの思案ののち、うにゅほが答えた。
「……やまのひ?」
「たぶん違う」
「たぶん?」
「いや、俺もわかってないから……」
「わかってないんかい」
出た、うにゅほのツッコミ。
カレンダーを確認し、読み上げる。
「憲法記念日だ」
「へえー」
「どうでもいい?」
「そんなことないけど……」
「明日はみどりの日だぞ」
「みどりのひって、なんのひ?」
「みどりの日だけど」
「うと」
困ったように、うにゅほが続ける。
「みどりのひ、なんで、みどりのひ……?」
「あー、そういう意味か」
「うん」
「知らんけど」
「しらんのかい」
一日に二度もツッコミが冴え渡るのは珍しい。
それはそれとして、調べてみた。
「──なるほど。もともとは天皇誕生日だったのか」
「そなの?」
「ああ。昭和天皇の誕生日だったんだけど、昭和天皇は自然が大好きだったから、名前を変えて祝日は残ったんだって」
「へえー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
感心しているらしい。
「また賢くなってしまったな」
「こまったね」
今日もちびちびとスパークリングワインを飲んだ。
美味い。





476 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:54:01 ID:jOM3Fwng0

2025年5月4日(日)

「……なーんか、微妙に腰が痛い」
膝の上のうにゅほが、慌ててこちらを振り返った。
「え、だいじょぶ?」
「普通にしてるぶんには……」
「こしもむ?」
「ああ、揉んでもらおうかな」
「うん!」
フローリングでうつ伏せになると、うにゅほが足を跨ぐように膝立ちになった。
「もむよー」
「頼むー」
ぐい、ぐい。
ぐい、ぐい。
うにゅほが腰を押すたび、全身がリラックスしていく。
「きもち?」
「ああ、気持ちいい……」
マッサージとして効いているかと言えば、たぶん効いてはいない。
だが、うにゅほのふわふわマッサージは、そんなことがどうでもよくなるくらい心地いいのだ。
それも、だんだん眠くなってくるおまけつきで。
「……──はふ」
「ねむい?」
「ちょっと……」
「ねる?」
「いや、もうすこし……」
「わかった」
ぐい、ぐい。
ぐい、ぐい。
一定のリズムが、これまた眠気を誘う。
しばしして、
「──は」
ぱち、と目を開く。
口の端からよだれが垂れかけていた。
危険だ。
「ありがとう、××。もういいよ」
「きもちかった?」
「ああ、気持ちよかった……」
久し振りにしてもらったが、うにゅほのふわふわマッサージって本当にいいんだよな。
眠れないときとか、またしてもらおう。






477 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:54:29 ID:jOM3Fwng0

2025年5月5日(月)

ふと、あることを思い付いた。
「ChatGPTに日記を読み込ませてみよう」
「おー」
膝の上のうにゅほが、ぱちぱちと軽く手を叩いてくれる。
「なんで?」
「分析してもらおうと思って」
「ぶんせき……」
「百聞は一見にしかず、だ。とにかくやるぞ」
「はーい」
ChatGPTのサイトを開き、最初の一ヶ月ほどの日記をo3に読み込ませ、感想を求めてみた。
「わ、ながい」
「すごく丁寧に読んでくれるんだよな……」
文章のリズムと音頭。
うにゅほという一人の人間の輪郭。
物語としての"山"。
読後に残るもの──さまざま観点で感想を書いてくれるため、とても参考になる。
「んで、最近のも読み込ませてみよう」
「なんで?」
「最初と最近でどう変化してるのか、気にならない?」
「きになる……」
「だから感想を求めるのさ」
再び、今度は直近一ヶ月ぶんの日記を読み込ませる。
待つと、答えが出力されていった。
「おお……」
俺とうにゅほとの関係の変化から、うにゅほの成長に至るまで、さまざまな項目がズラリと並んでいる。
「ちゃっとじーてぃーぴ―、すごいね……」
「GPTだからな」
「はい」
「グプタと覚えよう」
「それなに?」
「なんか、漫画のキャラにいた気がする」
「そなんだ」
「なんの漫画かは覚えてないけど……」
「ぐぷた、ぐぷた。おぼえた」
「──…………」
本当かな。
ともあれ、ChatGPTは素晴らしい。
AI技術の発展はシンギュラリティを引き起こすかもしれないが、それはそれとして死ぬまでに見てみたいものだ。





478 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:54:53 ID:jOM3Fwng0

2025年5月6日(火)

弟のお見舞いへ行くため、新川沿いの桜並木を通り掛かった。
「さくら、ちってるねー……」
「さすがにな。ゴールデンウィークも終わりだし」
「ごーるでんだった?」
「いや特に……」
「しるばー?」
「シルバーウィークはまた意味が違うだろ」
「ぶろんず……」
「……まあ、そのくらいかな」
「ぶろんずうぃーく、だったんだ」
ふと気付く。
「××、銅って英語でなんて言うか知ってる?」
「?」
小首をかしげ、うにゅほが答える。
「ぶろんず」
「ぶぶー」
「えー?」
「ブロンズは青銅です」
「せいどう……」
「銅の合金だな。何混ぜてるか忘れたけど……」
「じゃあ、どうは?」
「カッパー」
「かっぱ」
「カッパー」
「かっぱー……」
うにゅほが微妙な表情を浮かべる。
「××の言いたいこと、わかるぞ」
「わかるの?」
「あんまりカッコよくない」
「わかられてた……」
「ブロンズのほうが語感がカッコいいよなあ」
「うん」
「銅メダルは純銅じゃなくて青銅だから、ブロンズメダルで合ってるんだとさ」
「かっぱーめだる、ではなかった」
「響きがよくないよな、カッパーメダル」
「かっぱかいてそう」
「そうなってしまいますね……」
そんな会話を交わしながら、大学病院へと向かう。
弟は、そこそこ元気だった。





479 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:55:15 ID:jOM3Fwng0

2025年5月7日(水)

またワインが飲みたくなったため、近所のセイコーマートへ行くことにした。
徒歩で。
アルコールを摂取するぶん、すこしでも健康になっておこうという腹だ。
「♪~」
俺の腕を抱きながら歩くうにゅほを愛おしく思いながら、周囲を見渡す。
「ここらへん久し振りに歩くけど、だいぶ変わったな……」
「うん。いえふえた」
「……つーか、この道歩くの何年ぶりだ? 家から二、三十メートルだけど」
「あるかないもんね……」
どこへ行くにも車を使う。
この習慣が根付いたのは、うにゅほと出会う遥か前だ。
となれば、最後に近所を歩いたのは、まだ愛犬が生きていた頃かもしれない。
十年以上も前のことだ。
しばらく歩くと中学校の通学路を横断する。
見知らぬ家ばかりの道に、ひどく違和感があった。
「車で通るのと、歩くのとじゃ、見えるものってこんなに違うんだな」
「うん。たのしい!」
「ああ、楽しい」
暖かく、風も強めで、歩いていて心地いい。
すこし腰が痛いが、それは椅子で寝落ちした自分の責任だ。
ふと、とあるアパートを指差す。
「ほら、あそこ覚えてるか?」
「んー?」
うにゅほが目を凝らす。
「なんか、みおぼえある……」
「大島てるのサイトで、心理的瑕疵アリって書かれてた物件だよ」
「……ゆうれい?」
「かもしれない。違うかもしれない」
「きになる」
「住んでみるか?」
「やだ」
「俺も嫌だな」
セイコーマートでは、スパークリングワインを一本とシードルを一本、そしておつまみのナッツを購入した。
今夜の晩酌が楽しみだ。






480 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:55:36 ID:jOM3Fwng0

2025年5月8日(木)

「──◯◯、◯◯」
「んが」
うにゅほに肩を叩かれて、目を覚ました。
「ベッドでねたほう、いいよ……?」
「……あー」
どうやら、パソコンチェアで寝落ちしていたらしい。
何故かアゴの付け根が痛かった。
「いや、起きる。大丈夫」
「ほんと?」
「ああ」
しばしして、
「──◯◯、◯◯」
「んご」
うにゅほに肩を叩かれて、目を覚ました。
「ベッドでねないと……」
どうやら、思ったよりも眠気が強いらしかった。
「寝るかー……」
「うん」
チェアから立ち上がると、うにゅほが安心したように頷いた。
心配を掛けていたのか。
ベッドで横になり、CPAPを装着して目を閉じる。
「──…………」
眠れない。
眠気はあるはずなのに、不思議と眠りが遠かった。
十五分ほど横になったあと、起き上がる。
「あれ?」
「なんか、眠れない……」
「そなんだ」
起きて、再びパソコンチェアに腰掛ける。
また、しばしして、
「──◯◯……」
「んごっ」
うにゅほに肩を揺すられて、目を覚ました。
「ぱそこんちぇあでしか、ねれなくなっちゃった……?」
「いや、そんなことも」
ない、と思いたい。
さすがに四度目の寝落ちはなかったが、どうにも眠気の強い一日だった。





481 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:55:57 ID:jOM3Fwng0

2025年5月9日(金)

Revolution Idleというゲームを始めた。
Idleとは書いているが、アイドルは関係ない。
IdolではなくIdle。
つまるところ、いつもの放置ゲームである。
「こんかいの、どんなの?」
うにゅほが、膝の上で小首をかしげる。
「ほら。赤、オレンジ、黄色、緑──って、中心から外に向かってそれぞれ円が動いてるだろ」
「きれい」
「これが一周すると、ポイントがもらえる」
「ほー」
「ポイントを使ってレベルを上げると、よりポイントがもらえるようになる」
「うん」
「たくさんポイントを集めたら、それを全部使って、最初に戻す」
「もどすの?」
「ああ。よりポイントを集めやすい状態で再開できるんだ。いわゆる転生だな」
「ふうん……」
「それを繰り返すと、より上位の転生ができる」
「じょういの……」
「さらに繰り返して一定のポイントを得ると、インフィニティ──つまり無限に到達する」
「むげん!」
「無限に到達すると、インフィニティ・ポイントを得ることができて、今度は今までの作業をすべて自動化することができる」
「あ、だから、さいしょれんだしてたんだ……」
「自動化されてない頃は大変だったな……」
「そしたら?」
「また無限に到達するとインフィニティ・ポイントが得られるから、それを使ってさらに有利に進めていける」
「ふんふん」
「今は、何度も無限に到達して、インフィニティ・ポイントを稼ぎまくってる最中だよ」
「くらくらするねー……」
「まだまだ先があるらしい。楽しみだな」
「◯◯、こういうのすき」
「好き」
クッキークリッカーも散々やったものだ。
特に作業の邪魔をするようなゲームでもないので、適度に楽しもう。





482 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:56:27 ID:jOM3Fwng0

2025年5月10日(土)

今日も今日とてRevolution Idleをプレイしている。
どうやら俺は、ポイントが指数関数的に増えていくのを見るのが好きらしい。
YouTubeを垂れ流しなら、時折Revolution Idleを操作する。
自動化を終えたので、あとは基本放置だ。
ぬか床に手を入れるような頻度で操作をすればいいだけである。
「おもしろい?」
膝の上で面白い恰好をしていたうにゅほが、そう尋ねた。
「わりと……」
「こんかいの、しんぷる」
「グラは、ただ、色違いの同心円がランダムに幾つも描かれるだけだもんな……」
これをいきなり楽しめと言われても、難しい人が多いだろう。
ゲーム内説明もすべてを網羅しているとは言い切れず、不親切極まりないゲームと言える。
だが、自動化してからが楽しいのだ。
幾度もインフィニティに到達し、インフィニティ・ポイントを集めていく。
それで何が起こるのか、まだわからない。
だが、ロックされている機能がまだ二つもある以上、現時点は序盤も序盤なのだろう。
「先が長いな……」
「やるの?」
「まだやる」
「すきだねー……」
「××もやってみたらどうだ? これじゃなくても、近いやつとか」
「えー」
あまり気乗りはしないらしい。
まあ、無理に勧める必要はないだろう。
いつか気が向くのを待てばいい。
「でも、すーごいねえ……」
「綺麗?」
「きれい!」
気に入ってくれたようでよかった。
とりあえず、気が済むまでプレイしようと思う。





483 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:56:49 ID:jOM3Fwng0

2025年5月11日(日)

あれは、午前十一時過ぎのことだった。
起きてから時計を見たから、まず間違いはないはずだ。
のんきに寝こけていたとき、それは起きた。
──ビキッ!
「はがッ!?」
左足に激痛。
一瞬で覚醒し、事態を把握する。
足が攣っていたのだ。
「──◯◯!?」
うにゅほが寝室側に駆け込んでくる。
「つ、……ッた。攣った……!」
「わかった!」
うにゅほが俺の足首を立て、ふくらはぎを伸ばしてくれる。
的確な処置だ。
「は……ッ、はあ、はー……」
「だいじょぶ……?」
「ああ、ようやく治ってきた……」
「てーはなすね」
ビキッ!
「うッ!」
「まだかー!」
そんなことをしばらく続けたあと、本当に症状が落ち着いてきた。
「ふゥー……」
「へいき?」
「ふくらはぎ痛いけど、まあ、大丈夫」
「よかったー……」
「……前もあったな、これ」
「あった」
「寝てるときに足攣るの、マジでやめてほしいわ。一瞬で目ェ覚める」
「そんなにいたい?」
「××、足攣ったことなかったっけ」
「きおくない」
「なら、一生攣らないほうがいいよ……」
「うん……」
うにゅほが苦しむのは、俺が苦しむより嫌だ。
「やっぱ、普段からストレッチしたほうがいいんだろうな」
「しよう」
「ああ」
足の攣らない生活を。
これが今年のスローガンである。





484 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:57:09 ID:jOM3Fwng0

2025年5月12日(月)

Amazonで注文していた靴下が届いた。
靴下が足りない気が、ずっとしていたのだ。
開封し、気付く。
「──これ、五本指じゃん!」
「あ、ほんとだ」
「やっちまったー……」
頭を抱える。
「ごほんゆび、だめなの? むかーし、はいてたきーする」
「まあ、履いてた時期はあるけどな……」
「だよね」
「ただ、履くのは面倒だし、小指は抜けるしで、長続きはしなかった」
「あー……」
「いちおう、試しに履いてみるか。もったいないし」
「うん」
履いてみた。
「……指が入らん!」
「ひとさしゆび、きつい?」
「きつい以前に、入らん」
「そんなに」
諦めて脱ぐ。
「……どうしよう、これ」
「わかんないけど……」
「箪笥の肥やし、決定だな」
「おとうさんとか、はかないかな」
「履かないと思う」
「きいてみるね」
判断の早いうにゅほが、五本指ソックスを持って自室を出て行く。
一分ほどして戻ってきて、
「いらないって」
「だろうな」
だが、捨てるとなれば、もったいないと絶対に拾うのだ。
困ったものである。
「これは箪笥の奥に突っ込むとして、次は普通の靴下を注文しないとな……」
「ごほんゆび、きーつけてね」
「二度も同じ過ちは繰り返したくないな」
と言うわけで、今度こそ五本指ではない普通の靴下を注文した。
そのうち届くだろう。





485 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:57:34 ID:jOM3Fwng0

2025年5月13日(火)

明日、父親の大腸内視鏡検査がある。
「おとうさん、だいじょぶかなあ……」
「大丈夫だろ。ポリープはあると思うけど、一泊で帰ってくるって」
「うん……」
最近のうにゅほは心配性だ。
弟のことがあるから仕方がないと思う。
俺たちは、この一年間で、さまざまなものを失いすぎたのだ。
「はァ……」
溜め息ひとつ、膝の上のうにゅほを抱き締める。
大切なものがここにある。
彼女を失うことなんて考えられないし、考えたくもない。
うにゅほもそうだろう。
「そういえば」
話題を変えるように、うにゅほが言った。
「あのげーむ、どうなったの?」
「Revolution Idleか」
「うん」
「えーと、どこまで話してたっけ」
「むげん、なんかいもやるって」
「ああ」
常時起動しているRevolution Idleのウィンドウを表示させる。
「今のところ、二万回くらい無限に到達してるな」
「にま!」
「最初は一度の無限で一ポイント得られたんだけど、今は二億ポイントくらいになってる」
「におく……!」
「インフレすごいだろ」
「すごい」
「これが楽しいんだよな……」
「でも、わたし、◯◯がこれやってるとこ、あんましみてない」
「最初こそ忙しかったけど、基本放置だからさ。俺も、思い出したときにしかゲーム画面見ないし」
「ふしぎなげーむだねえ……」
「放置ゲーってそんなもんだよ」
ほとんどプレイしないゲーム。
考えてみれば、よくわからない存在だ。
それでも面白いのだから、うにゅほの言う通り、たしかに不思議なゲームではある。
「まだまだ先があるみたいだから、楽しみだよ」
「さきいったら、おしえてね」
「もちろん」
Revolution Idleは、無料でプレイできる。
読者諸兄も是非どうぞ。





486 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:57:54 ID:jOM3Fwng0

2025年5月14日(水)

「──あっづ!」
「はちー……」
デスクの上の温湿度計を確認する。
32℃。
「マジで」
「さんじゅう、にど……」
「窓開けてるよな」
「あけた」
「窓開けて、32℃……?」
「なつ!」
「夏だよ夏」
少なくとも、五月中旬の室温ではない。
「散歩行こうと思ったけど、悩むなあ……」
「いく?」
「うーん」
気温と室温が同じであれば、とても歩けたものではない。
だが、俺たちの部屋は、もともと異様に暑いのだ。
「……行くか。暑かったら即帰ろう」
「うん」
身支度を整え、外出する。
「──あ、涼しい」
「やっぱし、へやだけあついんだ……」
「日当たりが良すぎる」
「わかる」
俺たちの部屋は、南東と南西とに窓がある。
つまり、太陽の出ているあいだ、常に陽光が射し込み続けるのだ。
当然と言えば当然なのかもしれない。
今日も2kmルートで散歩を終え、帰宅する。
「ただいまーっと」
「ただいま、おかえり!」
「おかえり、××」
家に誰もいないので、ただいまとおかえりを交互に言い合う。
大腸内視鏡検査を受けた父親は、ポリープがひとつだけ見つかったそうで、やはり一泊二日の入院になるそうだった。
夕刻、コストコから帰宅した母親と三人で食事をとり、自室へ戻る。
なんだか家が静かな気がするのだった。





487 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:58:20 ID:jOM3Fwng0

2025年5月15日(木)

「──もう、我慢ならない」
「うん……」
不穏な始まりだが、こればかりは仕方がない。
時刻は夜。
窓も開けている。
にも関わらず、室温が32℃を下回らないのだ。
暑い。
暑すぎる。
と言うわけで、
「エアコンつけよう……」
「うん!」
まさか、五月の中旬に、エアコンに頼るとは思わなかった。
うにゅほが冷房を入れ、俺の膝に戻ってくる。
なお、暑いなら密着するな、というツッコミは受け付けていない。
「これで、しばらくすれば涼しくなるはず……」
「えあこん、えらい」
「偉いな」
しばしして、自室の寝室側から冷たい空気が流れ込み始める。
「あ、涼しい……」
「すずしいー……」
久方ぶりのエアコンの風に、新鮮な驚きを覚える。
これぞ人類の叡智だ。
サーキュレーター付きのシーリングライトからも真下に風を送っているので、空気の循環効率も良いはずだ。
「ふはは、勝ったな」
「なにに?」
「わからんけど、勝った気がする」
「きはする」
だが、勝利はいつまでも続かなかった。
「……ちょっと寒くない?」
「さむい……」
エアコンとサーキュレーターの組み合わせは、あまりに効率的過ぎたかもしれない。
あっと言う間に肌寒くなってしまった。
「エアコン切るか」
「そだね」
エアコンの稼働時間は、ほんの小一時間ほど。
サーキュレーターのおかげで、今年の夏は電気代が安く済みそうである。






488 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2025/05/16(金) 03:59:15 ID:jOM3Fwng0

以上、十三年六ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2025年05月17日 19:31  ID:UvkSXIE60
    13年..需要ある人はあるコンテンツなのかもしれない(居るのか?)


  • 2  Name  名無しさん  2025年05月17日 22:08  ID:GjVBZDVR0
    お燐「さとり様、ここでクイズです!」
    さとり「なによいきなり......」
    お燐「さとり様が無能だとか色々言われているからですよ、前の怨霊騒ぎで」
    さとり「好きに言わせておきなさいよ......」
    お燐「私は悔しいんですよ、我らのさとり様が悪く言われるのは」
    さとり「それは良い事ではないけど......しょうがないじゃない」
    お燐「そこで、私にいい考えがあるんですよ。難問を解いて、頭のいいところを見せるんです!」


  • 3  Name  名無しさん  2025年05月17日 22:11  ID:GjVBZDVR0
    さとり「難問?どこから出すのよそんなの」
    お燐「それは......私たちが考えますよ」
    さとり「じゃあ考えてからここに来て言ってちょうだい」
    お燐「あっ、心を読むのはだめですよ?カンニングはなしですからね」
    さとり「ちっ......考えを読めば『1+1』より簡単だったのに」
    お燐「問題を出すときは使いの者を出しますから、少々お待ちください」
    お燐「さとり様を惑わせて、地霊殿の株は上がってく~♪ あー引き立て役は楽しいなぁ!」


  • 4  Name  名無しさん  2025年05月17日 22:13  ID:GjVBZDVR0
    ゾンビフェアリー「」トコトコ...
    さとり「ご丁寧に問題用紙を3つ折りにしちゃって。全部で3枚ね」
    さとり「まずは......これはお燐の考えた問題ね」

    ハツカネズミは妊娠してから20日で出産するからハツカネズミと呼ばれます。
    20日ごとに2匹の子供を産むとした場合、1匹の生まれたてのハツカネズミが100日後には何匹になるでしょう?
    なおハツカネズミは20日で妊娠できるようになり、死亡することはないと考えます。

    お燐より


  • 5  Name  名無しさん  2025年05月17日 22:15  ID:GjVBZDVR0
    さとり「ハツカネズミの由来は諸説あるって聞いてるけど......次はお空の問題ね」

    火の側で眠い日挟美が残夢に抱き着く
    水の上で魔理沙が3匹の魚を釣り
    月で玉兎がインベーダーを4羽で楽しむ
    土の中からサニーが6回顔を出せば
    日の下にはなんにんいるでしょうか?

    お空より


  • 6  Name  名無しさん  2025年05月17日 22:18  ID:GjVBZDVR0
    さとり「あれ?こいしも問題を作ったのね」

    おねえちゃんは自分に11点を付けるほどの自信家だよ。
    そんなお姉ちゃんを、地上の人は尊敬して反則探偵と呼んでる。
    でもおねえちゃんは今まで犯人を見つけたことないし、3回も誤認逮捕してるドジっ子なんだ
    地上の人たちはおねえちゃんを何かいしているでしょう?

    こいし


  • 7  Name  名無しさん  2025年05月17日 22:21  ID:GjVBZDVR0
    さとり「だいぶ失礼な問題ね......」
    ゾンビフェアリー「お燐様からの言伝です」
    さとり「?何よいきなり......」
    さとり「!...そう、全員の答えから数字を合計して犯人を導き出すのね。......何のことよ?」


  • 8  Name  名無しさん  2025年05月18日 08:35  ID:HXaRhrK30
    ホラ+ー~ゲームのPSA*/Seria?lSOft
    根地由狭供ぉ斥印人慰送ァ嘩成団抱今
    昨ぅャィヮォ李っュョ法ぁ葉ィゅィぅ
    益越探海或ィ顧ェゅゅ時ッ医要紙養成
    ぉャッッ退ィ烈ゅヮヮ載ゎゎゃュッ法
    派週資織会ぅ絶闊異詫道ぇ御鹿親音警


  • 9  Name  名無しさん  2025年05月18日 12:19  ID:0S8K3OW10
    これ嫌われてるのにずっと記事上げ続けてヘイト稼ぐ管理人は逆にアンチだよな


  • 10  Name  名無しさん  2025年05月18日 22:27  ID:4COjpFdN0
    この人の生活 体調崩すぐらいしかイベントないのか


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