2026年04月17日

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



828 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:28:29 ID:Unaotugo0

2026年4月1日(水)

「××、散歩行こうか」
「いく!」
身支度を整え、玄関を出る。
気温も、天気も、風速も、ちょうどいい。
「さんぽびよりだねー」
「まったくだ」
「きょう、しょうがっこういくの?」
「そのつもり」
「さんきろこーす、だね」
「まあ、そのくらいは歩けるだろ」
かつての通学路を、うにゅほと歩く。
「この家、友達住んでたな……」
「いまもすんでるかも」
「仮に住んでても、わからんだろうな。顔も名前も」
「なまえ、おぼえてないの?」
「覚えてない」
「そか……」
雑談と共に、1.5kmはあっと言う間に過ぎる。
「ほら、ここが俺の母校だよ」
「ここ、かよってたんだ」
「あんまり覚えてないけどな」
「そなんだ……」
とは言え、入るわけにもいかない。
小学校を遠巻きに見て、ルートを変える。
「じゃ、帰るか」
「うん」
帰り道、変なものを見つけた。
電柱の足元にくくりつけられた350mlの小さなペットボトルだ。
「……これ、なんでしばってるんだろ」
「わからん。まさか、猫避けじゃないよな……」
「ちいさいよ」
「あと、なんかお茶っぽいの入ってるけど」
「……おしっこだったりする?」
「想像したくない……」
街中の違和感に気付くのも散歩の醍醐味だ。
3km、案外普通に歩けるな。







829 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:28:47 ID:Unaotugo0

2026年4月2日(木)

「◯◯、きょうもさんぽいく?」
「行く行く」
身支度を整え、外に出る。
風が強かった。
「……すこし寒いかもなあ」
「そかな」
「××は気にならない?」
「うん」
「そっか。まあ、歩けば温まるしな」
うにゅほとふたり、並んで歩き出す。
「きょうのるーと、どうする?」
「今日はサイクリングロードかな。今のうちに歩いておかないと、すぐに歩けなくなるから」
「そだね……」
すぐに草が生え、虫が飛び始める。
そうすれば、とても歩けたものではなくなる。
「……やっぱ、すこし寒いな」
「うん。すこし……」
サイクリングロードは、周囲に建物のない、だだっ広い草むらだ。
風を遮るものがない。
「どうする? 途中で引き返す?」
「うーん」
途中で引き返すルートは2km、フルで歩けば4kmとなる。
「おととい、にきろ。きのう、さんきろ。きょう、よんきろあるいたら、きれいだね」
「その流れだと、明日は5km歩かなきゃならなくなるだろ」
「うへー」
「……まあ、フルで行くか」
「うん」
連日歩いているから、すこしだけ足が痛い。
「××は、足とか痛くないのか?」
「すこし、かなあ」
「靴擦れは?」
「くつずれも、ないよ」
「ならよし」
「◯◯、あしいたいの?」
「大したことはないけどな」
「むりしないでね」
「しないしない。俺は自分に甘いからな」
「わりとむりするけど……」
「……まあ、うん」
否定できない。
4km歩き通し、満足感と共に帰宅した。
明日は3km程度で済ませよう。
5km歩くと今後が怖い。





830 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:29:04 ID:Unaotugo0

2026年4月3日(金)

今日の散歩ルートは、昨日と同じサイクリングロードだった。
「はれたねー」
「晴れてて気持ちいいけど、眩しいな……」
「わかる」
「まあ、折り返しまで我慢するか」
何故か異様に目つきの悪いふたりが誕生した。
誰ともすれ違わなくてよかった。
だが、
「わ、むし!」
うにゅほが、顔の前で、ぱたぱたと手を振る。
「晴れたから出てきたんだな、これ……」
「やだもー!」
「サイクリングロード、早くも歩けなくなったな」
「うん……」
「帰ったら、髪に櫛通してあげよう」
「むし、からんでる?」
「わからんけど」
「うー」
せっかく気分良く歩いていたのに、台無しである。
「明日以降のルート、帰ったら決めないとな」
「さいしょの、にきろのるーと、ちょっとみじかくかんじるもんね」
「普通に4km歩いてるからなあ……」
歩かないよりはましだが、すこし物足りない。
「しょうがっこう、またいく?」
「何度も行く場所じゃないな。下校時刻に巻き込まれたら、歩きにくいし」
「あー」
「車通りが少なくて、安全寄りで、歩いてて気持ちのいいルート。長さは3kmから4km程度、か。難しいな」
「さいくりんぐろーど、よかったのにね……」
「虫さえいなければ」
「むしさえ!」
困ったものだ。
帰宅し、うにゅほの髪を櫛で梳かすと、羽虫が一匹出てきた。
うにゅほには言わず、こっそり処理した。






831 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:29:23 ID:Unaotugo0

2026年4月4日(土)

あらかじめ4km弱のルートを決め、その通りに散歩をしてきた。
「××、ほら」
アパートの窓に貼られていた奇妙な紙を指し示す。
「しゅうぼ、もの、きょにゅう……」
「入居者募集、だな」
「あー」
「なんでこんなミスが起きて、かつ直されてないのか、はなはだ疑問ではあるが」
しばらく進むと、ドブ川沿いに出た。
「……臭いな」
「くさいー……」
木々も多いし、きっと虫も出るだろう。
良いルートなのだが──と、そこまで考えて気が付いた。
「向こう側の歩道歩けばいいじゃん」
「あ」
「並木も多くはないし、向こうには川ないし」
「そのはっそうは、なかった」
「明日、向こう側通ってみようか」
「うん」
しばらく歩き、気が付いた。
「電話ボックスがある……」
「わ」
誇張抜きで何百回も往復した道だ。
それなのに、知らなかった。
「絶滅してなかったんだな」
「わたし、はじめてみたかも」
「俺も相当見てないよ。二十年くらい見てないかも」
たかだか散歩と言っても、奥が深い。
飽きるまでは頑張って続けてみようと思うのだった。





832 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:29:42 ID:Unaotugo0

2026年4月5日(日)

4kmほどの散歩から帰ってくると、荷物が届いていた。
「なんだ、これ」
「?」
ダンボール箱を持つ。
異様に軽い。
「あ、わかった」
「なにー?」
「草村ぬいだ」
「あ!」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「ねっとのくれーんで、とったやつだ」
「そうそう」
箱を抱え、自室に戻る。
開封すると、思った通り、VTuber草村しげみのぬいぐるみが出てきた。
「お、いいサイズ」
「かわいい」
「どこに飾るかなー……」
自室を見渡す。
ぬいぐるみ用の棚はあるのだが、ほとんど埋まってしまっていた。
「箪笥の上でいいか」
「いいとおもう」
「ゆっくり霊夢と魔理沙で挟む?」
「えー……」
「挟まないでおこう」
「うん」
箪笥の上には、カピバラさんの巨大なぬいぐるみがある。
隣に置こうとして、ふと考え込む。
そして、カピバラさんの上に座らせてみた。
「どうだ」
「かわいいけど……」
「ダメか」
「ちがうせかいのじゅうにんだから」
「そういうの気にするんだな……」
意外だ。
「まあ、普通に飾りましょうか」
「うん」
限定景品だろうから、取れてよかった。
五千円くらいかかったけど。





833 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:30:03 ID:Unaotugo0

2026年4月6日(月)

散歩が毎日続いている。
今日も4kmほど歩き、健康的な気分で帰宅した。
「だいたい一時間くらいか……」
「あるいたねー」
「人間の歩く速度って、やっぱ、時速4kmくらいなんだな」
「あ、きいたことある」
「で、歩数は──」
iPhoneで確認する。
「6,200歩か」
うにゅほも、自分のiPhoneを取り出した。
「わたし、ななせんぽあるいてる」
「歩幅の違いかな」
「そうかも」
俺とうにゅほは、身長に25cmほども差がある。
それだけ違えば、歩幅も変わるだろう。
「しっかし、一日一万歩歩いてる人たちはすごいな……」
「わかる」
「出勤通学とかで稼ぐんだろうか」
「わたしたち、いしきしないと、いえからでないからね……」
「すぐ車使うしな」
「うん」
自室でのんびりしていると、うにゅほが階下から面白いものを持ってきた。
「◯◯、これあった!」
うにゅほが手にしていたのは、NOPEだ。
最近発売したばかりのギルティ炭酸飲料である。
「誰が買ってきたんだ……」
「わかんないけど、にほんあった。いっぽんもってきた」
「よし、飲んでみるか」
「うん!」
うにゅほがNOPEを開封し、恐る恐るひとくち飲む。
「……あま!」
「そんなに」
「のんでみて、のんでみて」
「ああ」
飲んでみた。
華やかな風味のあとに残るのは、強烈な──
「甘ッ!」
「ね!」
「これは甘い……」
でも、甘みが麻痺してくると、不思議と悪くないように思えてくる。
ふたりで飲み干したあとに、気が付いた。
600mlあたり336kcalもあるということに。
半分ずつとは言え、散歩ぶんの消費カロリーが飛んでいった。
味は嫌いではないが、もう飲めないな……。






834 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:30:33 ID:Unaotugo0

2026年4月7日(火)

雨が降っていた。
「さんぽ、いけないねー……」
「今日は足を休めましょう」
「はーい」
「ただ、出掛けはしようかな」
「どこいくの?」
「散髪」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「◯◯、かみ、すーごいながい」
「たぶん、三ヶ月くらい切ってない。日記を見る感じ」
「きょねん?」
「去年っすね……」
「それはのびる」
「と言うことで、俺は髪切りに行ってくるけど」
「わたしもいくよ?」
「暇だろうに……」
「◯◯のいくとこ、わたしもいくから」
強い意志を感じる。
仕方がない。
愛車を駆り、いつも通っているスーパーマーケット内のカットハウスへ向かう。
幸いにも、客はひとりもいなかった。
「××。ホームセンターのほうで、足の爪用の爪切り探してみてくれるか」
「いいよ!」
うにゅほの暇潰しのためにおつかいクエストを発注し、俺はカットハウスに入った。
十五分後、散髪を終えてブースを出ると、うにゅほが俺を待っていた。
「さっぱり」
「切った髪の量、××に見せたかったよ」
「みたかったー……」
「それ、爪切り?」
「うん」
うにゅほが、テープの貼られたケースを俺に手渡す。
「関孫六……」
関孫六って、足の爪用の爪切りなんて出してたんだ。
「わたし、こんなおっきいつめきり、はじめてみた」
「俺も……」
「あしのつめのびたら、これできってあげるね」
「こちらこそ」
「うん」
これ、普通の爪切りとしても使えるのだろうか。
今度試してみよう。





835 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:30:53 ID:Unaotugo0

2026年4月8日(水)

今日は、散歩のルートをすこし変えてみた。
「こっち、いえすくなくて、いいね!」
「軽く田舎感出るよな」
「でるでる」
天気は良いが、風が強い。
すこしだけ寒さを感じながら、俺たちはのんびり散歩を楽しんでいた。
「今日は、手稲山がよく見えるな」
「うん、きれい」
「富士山って、どんだけでかいんだろうな……」
「ふじさんって、どのくらい?」
「三千メートル以上だったと思うけど」
「ていねやまは?」
「千メートルくらいじゃないかな」
「じゃあ──」
うにゅほが足を止め、手稲山を指で測る。
「うえに、さんばい」
俺も、うにゅほの隣に立ち、富士山の高さを想像してみた。
「……でっか!」
「おっきいね……!」
「そりゃ、神聖なもの扱いされるわ」
iPhoneを取り出し、ChatGPTに富士山の高さを尋ねる。
「──えっ、3,776mもあるのか」
「よんばい!」
「待って、手稲山も調べる」
調べた。
「1,023mだから、やっぱ四倍弱だ」
「すげー……」
「この距離に富士山あったら、見上げるんだ……」
富士山。
さほど興味はなかったが、身近なものと比較すると、その巨大さがよくわかる。
「えべれすとは?」
「ちょい待ち」
調べた。
「8,849m……」
「くびいたくなっちゃう」
「だな……」
山は、すごい。
そして、一生登る気が起きないのだった。





836 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:31:16 ID:Unaotugo0

2026年4月9日(木)

今日も、ふたりで散歩をした。
「向こうの、大きな公園のほう行ってみないか?」
「ずっとまえ、じてんしゃでいったとこ?」
「そうそう」
「いこう、いこう」
風は強いが、天気は悪くない。
ずんずん歩いていく。
「おもったより、とおいね」
「車だと、すぐなんだけどな……」
うにゅほがアップルウォッチを確認する。
「もう、にきろあるいてる」
「……2km歩いて着かないのか」
「さいしょのさんぽ、にきろだったのにね」
「そうだなあ」
どんどん距離が伸びている。
大きめの公園へと辿り着き、のどかな自然の中を歩く。
芝生の上で遊んでいる子供たちがいたり、犬の散歩をする人々がいたり、なかなか気持ちがいい。
「あるくのたのしいね。とおいけど」
「道は怖いんだよな。車が通るから……」
「そだねー……」
公園を通り抜け、ようやく帰宅の途につく。
「ごきろあるいてる……」
「マジか」
「あし、つかれてきたかも」
公園から家まで、およそ3kmはある。
うにゅほは耐えられるだろうか。
「つらくなったら言えよ。父さんか母さんに迎えに来てもらおう」
「うん……」
「おんぶして帰れたらカッコいいんだけどな」
「むりしないで」
「しないって」
いくら軽いとは言え、うにゅほを負ぶって3km歩くのは、普通にきつい。
なんとか帰宅して歩数を確認すると、
「うわ、11,520歩だって」
「いちまんぽ!」
「××は?」
「うーと」
うにゅほがiPhoneを取り出す。
「いちまん、さんぜん、ななひゃく、さんじゅう、にほ」
「すごいな」
「さ、こんなにでるんだ」
「身長差って馬鹿にならないな……」
「うん……」
一日一万歩、なかなか大変だ。
これを毎日こなしている人たち、尊敬してしまいそうだ。





837 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:31:32 ID:Unaotugo0

2026年4月10日(金)

うにゅほが窓に貼り付いていた。
「あめだー……」
「今日は、散歩できないな」
「うん。でも、よかったかも」
「なんで?」
「あし、だるいから……」
「昨日、8km歩いたもんなあ……」
「うん」
「明日は短く済まそうか。そうじゃないと、そのうち10kmとか歩き始める」
「そだね……」
「でも、新しいルートの開拓とか、楽しいんだよな」
「わかるー。たのしい」
「大きい公園、歩くのにはよかったよな。また行きたいわ」
「でも、とおい……」
「車で行くのもアリじゃないか?」
「あ、いいかも。くるまでいって、さんぽして、くるまでかえる」
「悪くないな」
「でも、こんどは、みじかすぎるかも……」
「それもあるか」
そんな会話を交わしながら、最近の自分を鑑みる。
「最近、健康的だよなあ」
「そだね!」
「散歩してるし、軽くだけど筋トレしてるし、サプリも飲んでるし」
「けんこうになっちゃう」
「なっちゃいたいな……」
「けんこうしんだんも、いかないと」
「そうだ、それもあった」
「びょうき、こわいから……」
「本当にな」
つくづくそう思う。
「あと、桜が満開になったら、お花見しに行かないと」
「そだ、そだ。ことしも、たのしみだね」
「ああ」
あと何度、桜を見られるのだろう。
うにゅほのためにも、なるべく長く生きたいけれど。





838 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:31:49 ID:Unaotugo0

2026年4月11日(土)

今日も今日とて散歩に明け暮れていた。
うにゅほが、ふと足を止める。
「ね、ね、◯◯」
「どした?」
「これなに?」
うにゅほが足元を指差す。
そこには、縁石に紛れて、正方形のプレートがあった。
矢印の中に、俺たちの住む市の名前が書かれている。
「あー、たまに見るなあ」
「なんだろ」
「調べてみるか」
「しらべられるの?」
「たぶん」
プレートを写真に収め、ChatGPTに投げる。
「へえー……」
「わかった?」
「境界標とか埋設物標っていって、目印らしい」
「めじるし」
「上下水道とかガスの埋設管の位置表示、行政区域や管理境界の目印、工事時の参照ポイントって書いてる」
「なるほど……」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「ちゃっぴー、すごいね」
「写真送ったら、ちゃんと認識して教えてくれるんだからな」
「すごい」
「わからないものがあったら、写真に撮ろう」
「なにまでわかるのかなあ……」
「××の写真、送る?」
「え、わたしのなまえ、わかるの?」
「わからんわからん」
「びっくしした……」
「可愛いって返ってくるかも」
「……もー」
軽く蹴られる。
照れ隠しだ。
「まあ、実際には送らないけどな。個人情報だし」
「たしかに」
「英語わからないときとか、便利だろうな……」
「えいごみつけたら、しゃしんとろ」
「ああ」
だが、住宅街で英文は、なかなか見当たらないのだった。





839 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:32:06 ID:Unaotugo0

2026年4月12日(日)

散歩に出掛けようとして、玄関を出たときのことだった。
「──風強ッ! 寒ッ!」
うにゅほが、俺の背中から顔を出す。
「わ!」
「これ無理だ、戻ろう」
「そだね……」
継続のコツは、無理をしないことだ。
散歩は体にいいし、できる限り続けたい。
だからこそ、ここで撤退するのだ。
自室に戻り、伸びをする。
「なんか、体動かしたいな……」
「きんとれする?」
「するかー……」
強度こそ高くはないものの、いちおう筋トレも行っている。
夜にする予定だった筋トレをこなしながら、俺はうにゅほに尋ねた。
「××は筋トレしないのか?」
「しないー」
「しないんだ」
「むきむき、なりたくないし……」
「ならないって」
「ならないとは、おもうけど」
「世のムキムキたちが、どれだけ頑張ってムキムキになったか……」
「それはそうだけど」
「ほら、一緒に壁腕立て伏せやろうぜ」
「わかった……」
床ではなく、本棚を支えに腕立て伏せを行う。
「──十八、十九、二十!」
「にじゅう!」
「はい、終わり」
「あれ、かんたん……」
「そりゃ、壁腕立て伏せだし。本棚から離れれば離れるほど、強度も上がるぞ」
「どのくらい?」
「斜めになるくらい」
「ななめに……」
うにゅほが、本棚から一メートル以上離れる。
「……なんかこわい」
「大丈夫だって。倒れそうになったら支えてやるから」
「うん……」
本棚に向かって、恐る恐る手を伸ばし──
「──…………」
「──……」
「こわい」
「そっか……」
思いきりの悪いうにゅほだった。





840 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:32:25 ID:Unaotugo0

2026年4月13日(月)

アレクサに天気を尋ねると、曇り時々雨、とのことだった。
「うーん……」
「さんぽ、やめたほういいねえ」
「そうだな」
「あしたははれだし、あしたいこうね」
「ああ……」
うにゅほが小首をかしげる。
「どしたの?」
「行かない日が挟まると、習慣が途切れそうで嫌なんだよな……」
「あー」
うんうんと頷く。
「せっかく、けんこうてきなのにね」
「そうなんだよ。散歩は長く続けたいのに」
「◯◯、こしおもいけど、きどうにのったらながい」
「散歩も軌道に乗りかけてるから、本当は今日も行きたかった」
「でも、てんきわるくていけないのなんて、このさき、なんどもあるよ」
「……それはそうだ」
「だから、いけないのにも、なれないとね」
うにゅほの言う通りだった。
一週間ほども天気が愚図つくことだって、普通にある。
むしろ、二日で済んでよかったと考えるべきだ。
「──よし、切り替え完了。ありがとうな、××」
「どういたしまして」
「明日はどこ歩こうかな……」
「さいしょ、きめてるけど、きゅうにかえるのたのしいね」
「赤信号で急に曲がるとかな」
「さんぽの、だいごみ」
「サイクリングロード、虫が出てくれてよかったかもな。毎日ずっと同じルートだと、さすがに飽きる」
「だから、いままで、つづかなかったのかも……」
「そうかもしれない」
だんだん義務感が出てくるんだよな。
「あした、なんきろあるくかな……」
「まあ、4kmとか5kmに収めたいところだけど」
「はちきろ、やめようね」
「そうだな……」
適度に適度に。
それも、長く続けるコツである。






841 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:32:43 ID:Unaotugo0

2026年4月14日(火)

快晴である。
「よし、散歩行くか!」
「うん!」
意気揚々と玄関を出て、手を繋ぎながら歩き出す。
「なんきろあるく?」
「まあ、5kmくらいかな……」
「そだね」
「歩いたことない道、歩こうぜ」
「いこう、いこう」
見晴らしの良い田舎道を歩いていくと、青看板に港の名前が現れた。
「港……」
「うみ?」
「海、歩いて行けるのかな」
「……いってみる?」
「さすがに遠いと思うけど」
「てんきもいいし」
うにゅほはノリノリだ。
「なら、途中まで行ってみようぜ。無理そうだったら進路を変えよう」
「うん」
青看板に従い、歩き続ける。
誰もいない歩道を行きながら、俺は、iPhoneでマップを開いた。
「……海、かなり遠そうだなあ」
「むりかなあ」
「だいぶきついと思う」
「そか……」
「まあ、今回はやめとこう」
「うん」
などと言いつつ、かなり遠くまで来てしまっていた。
帰り道の途中、うにゅほが嘆く。
「じゅっきろあるいてる……」
「歩いてるな……」
「いえ、まだとおい……」
「遠いな……」
「まちがえたー……」
「頑張ろう。帰ったら、足揉んでやるから」
「うん……」
二時間半以上かけてようやく帰宅し、アップルウォッチを見ると、12km歩いていた。
「つーかーれーたー……」
「風呂だ風呂!」
「うん……」
入浴を済ませ、足を揉み、湿布を貼ったあと、キョリ測というサイトで海までの距離を計測してみた。
「……××、引き返して正解だ。海まで9kmある」
「いって、かえったら……」
「18km」
「ひい」
「明日は、ほんと、5kmくらいにしような……」
「うん……」
明らかに歩きすぎである。
足が痛かったら、休むのもありだな。






842 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:33:01 ID:Unaotugo0

2026年4月15日(水)

だるい。
だるかった。
「◯◯、からだいたいー……」
「俺も……」
運動不足の身であるにも関わらず、いきなり12kmも歩いたのだ。
むしろ、こうなるほうが自然である。
「……さんぽ、なしでいい?」
「そうだな。俺も、今日はきついわ」
「うん……」
「今日は休んで、明日また歩こう。んで、明日はマジで短めにしよう」
「よんきろとか……」
「4kmとか」
基準がおかしくなっている気もしたが、まあいい。
「動画でも見るかー……」
「みる」
うにゅほを膝に乗せ、いつものようにYouTubeを開く。
百円ショップの商品に印刷されている英語がおかしい、という動画を見ながら、うにゅほがこちらを振り返った。
「ね、◯◯」
「ん?」
「◯◯のうわぎ、えいごかいてたよね」
「あー」
黒地のウィンドブレーカーなのだが、淡い金色の文字が印刷されているのだ。
「あれも、おもしろいのかな」
「読んでみるか」
「うん!」
うにゅほが膝から下り、クローゼットから俺のウィンドブレーカーを持ち出してくる。
「なんてかいてる?」
「えーと、"NICE TO MEET YOU"……」
「ふふっ」
「ダサッ!」
「これは、ふふ、ださい……」
「こんなこと書いてたのかよ、このウィンドブレーカー……」
「ね、ね、ほかには?」
「そうだな……」
そこで、俺は、衝撃的な一文を見つけてしまった。
「……"The most fashionable"」
「ぶふっ」
「着たくなくなってきた……」
「じぶんで、ふふ、じぶんで……!」
「誰だよデザインしたの!」
調べなければよかった。
着やすいからまだ着るけど、英語が堪能な人とはすれ違いたくないのだった。






843 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/04/16(木) 01:33:50 ID:Unaotugo0

以上、十四年五ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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コメント一覧

  • 1  Name  名無しさん  2026年04月17日 19:12  ID:XdwwicvM0
    管理人の家族を解放しろ


  • 2  Name  名無しさん  2026年04月17日 20:05  ID:ahccli5Y0
    >>1
    ガィジは同じことしか言えない



  • 3  Name  名無しさん  2026年04月18日 01:52  ID:2IdQFOWU0
    書いてるのが管理人の可能性はないのか?


  • 4  Name  名無しさん  2026年04月18日 08:26  ID:LlQbrP9v0
    >>3
    ※1の事を言ってるなら、そいつはタダのハッタショやろ
    奴らの特徴に同じ事を何度も言う・一つの物事に強くこだわるっていうのがある
    多分、本人は面白い事書いてるつもり

    もし本当に管理人が書いてるんだとしても、こんなゴミ記事まとめてるヒマあったら仕事しろから、こんなゴミ記事書いてるヒマあったら仕事しろになるだけだな
    そのくらい、荒れるスレが多い



  • 5  Name  名無しさん  2026年04月18日 09:31  ID:oK9F6RKS0
    種子島で中3のケイコを犯して中出しした日高(高1)を許すな!!!

    日高が中出しした瞬間、ケイコが「いやぁっ!」と叫んだから、相当量の精液を中に放出したと思われる!
    それなのに、事後「ボクのせいじゃないからね!」と宣ったクソ日高!!!

    その後、ケイコは同級生の彼氏と中出しセックスして、妊娠偽装をした模様!!!


  • 6  Name  名無しさん  2026年04月18日 09:32  ID:oK9F6RKS0
    オマンコが臭い。
    それは、皆が日々、想っている事で、あろうが!黒岩!!!
    何と!黒岩が全国ツアー!その名も…

    「全国のオマンコが臭い女性ば救う、黒岩クンニツアー」開催さる!!!

    さぁ、意気揚々とボロプリウスば乗って全国ば回ろうとする黒岩!全国のオマンコば舐めて廻ってピリジンが、黒岩の喉ば、襲う!?
    いや!そげなこつは無いノデス何故なら、黒岩はバンテリン、いや違う!モンダミンば持ってるから!?

    「アナタのオマンコば綺麗にします」
    っち看板ば、掲げ、女性客ば待つ黒岩!然し乍ら、思いの外ババアしか来ないので、もう、良か!っち、櫓に帰ったとです。

    この、裏切り者!!!


  • 7  Name  名無しさん  2026年04月18日 09:33  ID:oK9F6RKS0
    2026年【サイズUP・早漏遅漏改善メソッド】
    https://tqv.jp/u/gju/a/JKRYcXA3/v6a0jrsg


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