278 :(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです:2013/11/12(火) 17:03:02 ID:ZV/JPgQc0


わたしの生まれたのは、とてもあつい場所。

ぐるぐると回る、モーター。
うなる機械。
キラキラと光るかたまりだったわたしは、どろどろにとけて新しいわたしになる。

とけたわたしは、水になって、糸になる。
細い細い糸になった私は、機械の中から飛び出す。


そして、棒でくるくると巻けば、ほら。



わたしの、出来上がり。


わたしは、お砂糖。わたしは、わたあめ。
ふわふわのわたしは、だれかに食べてもらうことが夢。



(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです

279 :(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです:2013/11/12(火) 17:03:52 ID:ZV/JPgQc0


(*><)「すごいんです!」


生まれたばかりのわたしの姿を、一人の男の子が見ていた。
男の子の来ている服は、ひらひらしている。

これは『ゆかた』というもので、今日は『お祭り』という日だ。
ずっとお砂糖だったわたしは、ちゃんと知っている。


(*‘ω‘ *)「わたしはすごいっぽ」


そう言ってみたけれど、わたあめのわたしの言葉はだれにも届かない。
ただ、まだお砂糖のわたしたちがクスクスと笑う声がきこえた。


( ´曲`)「おう、坊主。おっちゃんとこの綿菓子はうめぇぞ!」


( <●><●>)「おや、なつかしいですね」

(*><)「おにいちゃん、ぼくあれがほしいんです」


わたしをキラキラとした目で見る、小さな男の子。そして、そのとなりに立つ大きな男の子。
あの子に食べるのかな。だったら、うれしいな。

280 :(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです:2013/11/12(火) 17:04:59 ID:ZV/JPgQc0


(;<●><●>)「またですか? お金は大事にしなさいと、お母さんに言われたのを忘れたんですか」

(;><)「あうあう……」


大きい男の子が言う。
その子の手には、わたしの仲間のお菓子や食べ物がいっぱいある。
このままではこの子が行ってしまう。それはいけない。わたしはこの小さな男の子に食べられたいのだ。

わたしがおいしいのは、ほんのちょっとの間だけ。
おいしい時間がすぎてしまえば、わたしはしぼんでおいしくなくなってしまう。
それはイヤだ。せっかく、わたあめになったのだから、おいしく食べてほしい。


(*‘ω‘ *)「ねぇねぇ、わたしはふわふわでおいしいっぽよ」


ポーズをつけておねだりをしてみる。
聞こえないだろうけど、届くといいな。


(*><)「ふわふわ!」


――あ、届いた。

281 :(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです:2013/11/12(火) 17:06:07 ID:ZV/JPgQc0


(;><)「おにいちゃん、ボクいい子にするから買ってほしいんです!
      お母さんの言うことも、ちゃんと聞くんです」

(;<●><●>)「……」


大きい男の子が、少し困った顔をした。
だけど、しばらく悩んでから『ゆかた』のなかから『おさいふ』というものを取り出した。


( <―><―>)「これで最後ですよ」

(*><)「はいなんです!」


( *´曲`)「毎度あり!」


小さい男の子はにこにこ。わたしもにこにこ。
ついでに、わたしをわたしにしてくれた、おじさんもにこにこ。
そして、おじさんは最後の仕上げにかかる。


( ´曲`)「よーし、坊主。袋は何がいい?」

(;><)「えと……」

282 :(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです:2013/11/12(火) 17:07:39 ID:ZV/JPgQc0


( <●><●>)「好きなのを、選んでいいですよ。
        くまのショボンでも、正義のヒーロードクオでも、大将ブーンでも」

( ><)ノ「そのミドリのがいいんです!」


おじさんは、『屋台』から、緑色のビニールを取り出した。
緑色のビニールは、わたしのお洋服。
ふわふわなわたしは、緑色のかわいい服を着せられて、おめかしをする。

Image0321


ふわふわの綿のスカート。
甘いにおい。とってもステキな緑のお洋服。
おじさんから小さな男の子に、そっとわたしがわたされる。


( ´曲`)「はい、どうぞ」

(*><)「わーいなんです!」


はじめまして、あなた。
わたしは、わたしを食べてくれるあなたを、ずっとまっていたのよ。

283 :(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです:2013/11/12(火) 17:08:28 ID:ZV/JPgQc0


(*><)「おいしそうなんです」

(*‘ω‘ *)「よろしくだっぽ」


小さな男の子が、わたしを頬張る。
わたしはとけて、また水にもどる。
わたしはどんな味だろう、気に入ってくれるといいなぁ。


(*><)「おいしいんです!!」


男の子の顔が、ふにゃぁと崩れた。
口元にうかぶのは笑い顔で、ほっぺたもりんごみたいな赤色。
ああ、うれしいなぁ。わたしはおいしくなれたんだ。


( <●><●>)「じゃあ、そろそろ帰りましょうか。お母さんが心配します」

(*><)「はいなんです」


小さな男の子と、大きな男の子が笑った。
その笑顔がとてもかわいくて。
この子たちを笑顔にしてあげられる、わたしはほんとうに幸せだなぁと思った。



(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです  おしまい



285 :名も無きAAのようです:2013/11/12(火) 17:11:50 ID:XXni33DA0
皆かわいい
わたあめ食べてるビロードが想像つきすぎてやばい、和んだ

286 :名も無きAAのようです:2013/11/12(火) 17:28:06 ID:HCd2Kp9o0
乙!
くっはー可愛いな

287 :ミセ*゚ー゚)リ:2013/11/12(火) 17:47:24 ID:13PUp83kO
乙!

イラストのふわふわした雰囲気と、お話の優しい感じがぴったりでとっても可愛い
ビロードも、ほろほろと水になっていく妖精さんも幸せをいっぱいに感じていて素敵!