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最安だけど必要十分。PWTのトルクレンチ徹底レビュー

月初めの買い物って楽しい!ってことで、PWTのトルクレンチが手元に届きました。
これでANCHOR RS8のトルク管理は完璧やな・・・!
にしても、こんな便利なら早く買っておけばよかったなぁ。。。

そんなわけで「PWT トルクフィックス コンパクト トルクレンチ PTW214」をどこのサイトよりも徹底的にレビューします。ロードバイク整備用にトルクレンチの購入を考えている人は是非参考にして下さい。

トルク管理の恩恵はカーボンフレームだけじゃない

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トルク管理といえば、”カーボンロードバイクにのみ必要”というイメージが強いですが、必ずしもそれだけではありません。具体的には以下の点で適切なトルク管理が利益を与えてくれます。
  1. カーボン繊維の圧縮・破断を回避する
  2. アルミなどの金属疲労を軽減する
  3. 転倒の際、衝撃からフレームやコンポへのダメージを受け流す
特に3番目、「転倒の際、衝撃からフレームやコンポへのダメージを受け流す」。これが重要。

落車すると、ほぼ必ずSTIレバーとサドルに大きな不可がかかります。
この時適切なトルク設定ができていれば、サドルやSTIレバーが左右にズレることにより衝撃を受け流すことが出来ます。しかし、そのトルク具合を人の勘で当てるのは中々難しい。

よって締めすぎると転倒の際の衝撃をダイレクトに受けて、破断や歪みが生じる恐れがあり、逆に緩すぎると走行中にパーツがズレてバランスを崩すということが起こってしまうのです。

フレームやコンポと長く付き合っていく上で、トルクレンチはフレーム素材に関わらずプラスなアイテムであるといえます。

BIKE HAND/grange(グランジ)のトルクレンチとの比較も行います



グランジ コンパクトトルクレンチ
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■BIKE HAND (バイクハンド) YC-617-2S コンパクト トルクレンチ
■グランジ [grange] コンパクトトルクレンチ

PWTのトルクレンチの購入を検討するに当って、ライバル候補となるのは間違いなくこの2製品。
自分も悩みました。

ネットを回ってみると、このBIKE HANDとgrungeのトルクレンチは2つとも同一製品らしいですね。
OEM品ということで、マイナーチェンジが施されているものの、性能は全く一緒と捉えて問題ありません。
従って、この2製品を1製品として扱い、PWTのトルクレンチと比較を含めたレビューしていきます。

多くのロード乗りのトルクレンチ選びに貢献できれば幸いですね。

公表されているスペック

ロードバイク、MTBなどのトルク管理にオススメのコンパクト、軽量な取り回しの良いトルクレンチです。作業中でもトルク設定値がズレないトルクフィックス機能搭載。握りやすいエルゴノミックグリップ採用モデル。

■差込角1/4"(6.3mm)
■測定範囲:2-14n/m
■精度:±4%
■重量:約280g
■長さ:約220mm
■付属ビット:3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、T-25、T-30、PH2
■付属品:9種類のビット、ソフトケース、説明書、精度検査証明書付属

―PWT公式商品説明より

Amazonでの価格(2015/08/04現在)

定価¥8480だが、ここ半年以上¥4890(税+送料込)で固定


ロードバイク向けトルクレンチではおそらく最安値

ロードバイク向け低価格トルクレンチは現状「PWT」、「BIKE HAND/grunge」の3択です。
この製品はその中で最も安価で購入できます。

トルクレンチにも色々なタイプがありますが、これらトルクレンチが安価な理由は比較的誤差が大きい事や、経年劣化による誤差の拡大を校正する機能を省いているからです。
もっとも、その誤差は人間の勘による誤差と比べれば全く差し支えるものではないでしょう。

外観・デザイン

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本体は金属製で重量感があり、グリップ部分は硬質樹脂でエルゴノミック形状です。
インジケーター部はプラスチック製のようです。
シンプルで握りやすいという印象でした。

重量・質感

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金属製のため、ずっしり重く、足の小指に落としたら悶絶することが予想できます。
精密機器でもあるため、落としたら壊れたり精度に難が出るかもしれないと思いました。

本体の金属部部分は滑らかにコーティングされており、油っぽいとか低品質を連想させる要素は見当たりませんでした。ヘッド部分には正逆切り替えレバー(緊急用)と、中心部にピットリリースボタンがあります。

ケース・付属品

ケース

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ケースはBIKEHAND/grungeのものとは異なり、ソフトハードシェルです。
開閉はジッパーで行いますが、安っぽさを感じさせずコストダウンを図っている印象。
しっかり形状を保持しており、型崩れなどの心配は無いでしょう。

中身は硬質ウレタンパッドで各種部品を収めています。すっぽり収まりいい感じ。
ケース上部にはドキュメント類が入っているミニポケットがあります。
ちなみに製造は「MAID IN TAIWAN」です。

追記(2015/08/06):ケースの大きさについて

大きめに見積もって、横:約27cm、奥行き:約8cm、高さ:約6cmでした。

付属品(取扱2種+精度検査証明証+ビッド)

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  • 各種ビッド(計9種類)
  • PWT日本語取り扱い説明書
  • 各国語汎用トルクレンチ説明書
  • 精度検査証明書
以上4点です。
PWTの日本語説明書は仕様と非常に使用方法が書いてあります。
各国語の汎用説明書は日本語説明書と内容は同じなので無視してよいでしょう。
精度検査証明書はこの価格帯では珍しいものです。

測定可能トルク範囲は2-14n/m

測定可能なトルク範囲は2-14n/mです。
これってBIKE HAND/grungeのトルクレンチと比べてどうなんだろう・・・と考えている方は多いはず。
これは後述するとして、結論から言うと、「必要十分」です。

コンポーネントがSHIMANO製品群であることを前提とした場合。
ヘックスレンチを使用するコンポ取り付けで最もトルクを要する箇所は「クランク固定ボルト」です

そしてこの「クランク固定ボルト」に必要なトルクが12-14n/mです(SHIMANOディーラーズM参照)。
ちょうど、PWTトルクレンチのトルクレンジ内に収まります。

またフレーム関連だと一番トルクが必要な箇所は「サドル固定ボルト」で、これはシートポスト毎に指定されていますが、普通は9〜12n/m程度です。

むしろ14n/m以上トルクを要する場所は圧倒的に少なく、ペダル、BB、スプロケットのロックリング固定には35〜55n/mかかりますが、BIKEHAND/grungeのトルクレンチでも役不足です。

精度検査証明証を読んでみる

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この価格帯で精度検査証明書が付属するのは珍しいそうです。
BIKEHAND/grungeのトルクレンチには精度検査証明書は付属しません。
この精度検査証明証の内容に目を通してみましょう。

検査日は215年5月5日。
国際基準に則った方式により、気温20℃環境下の実験室でテストを行っています。

トルク設定は3n/m、8n/m、14n/m。
「(CW)±4%」では公表精度±4%から導き出される最大マイナス誤差値(Min)と最大プラス誤差値(Max)、
「Actual Reading」で実際の計測結果3回分それぞれを記しています。
青字の署名はテストを行った管理者の判子です。

この精度検査証明書では「Actual Reading」から誤差が4%以内であることが分かります
ロードバイクのトルク管理には全く問題のない範囲だといえるでしょう。

自分はより高水準なトルクレンチを持っていないので、この証明書通り当製品の誤差の大小を検証することは出来ませんが、メーカー側がこのように保証書を着けてくれるのはとても心強いですね。

ビット

PWTは全9種

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ヘックスレンチ:3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、
トルクスレンチ:T-25、T-30
プラスドライバーヘッド:PH2
全9種

ロードバイクの整備に最もよく使う3,4,5,6mmヘックスレンチ(六角レンチ)
あると便利なT-25、T-30。整備に使うことのない8,10mm。
トルク管理が必要なのかよくわからないPH2(プラスドライバーヘッド)。

クロムバナジウム鋼

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ビッドには「CROME VANADIUM」と刻印されています。
工具先端部の鋼材としては定番のクロムバナジウム鋼製なのです。

ビットは規格品のため、追加+拡張が可能

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ビットの差込角は規格があり、当トルクレンチは1/4"(6.3mm)です。
従ってこの大きさに合わせててビッドを追加拡張できます。

今後必要性を感じたら延長ソケットや、2.5mmヘックスレンチビッドを購入するかもしれません。

トルク設定性能

トルクフィックス機能

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PWTトルクレンチのいいところの一つは、作業中設定したトルクが誤ってズレることがないこと。
それはこのトルクフィックス機能によるものです。

要はトルクを設定するためには、画像のようにグリップの尾部を押し込んでハンドルを回さないといけない仕組みになっているということです。安心してトルク管理が可能です。

目盛りによってかなり細かくトルク設定が可能

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目盛りはグリップ中央部のメインインジケーターと尾部のサブ目盛り兼ハンドル
0.5n/m以下での細かいトルク設定が可能です。

インジケーターは内蔵式。目盛りと合わせて確実なトルク設定が可能

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メインインジケーターは内蔵されており、グリップのプラスチック窓から見えるようになっています。
赤い線が現在設定されているn/mで、画像では2n/mに設定されています。

実際に使用してみる

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ビットの脱着はワンプッシュ

ヘッド中央部のピットリリースボタンを押しながら任意のビッドを装着します。
ビッドを外すときもリリースボタンを押しながら引っ張るだけです。

指定トルクに達するとヘッドが捻り、「カクッ」という音で知らせてくれる

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例えば測定トルクを5n/mに設定し、その値までトルクがかかれば、画像のようにヘッドが傾き、同時に「カクッ」あるいは「パキッ」という音で知らせてくれます。

最初の内は分かりにくいかもしれません、耳と感覚を澄ませてやれば初めてでも分かるはず。
設定したトルク値に達しているわけですから、当然それ以上力をかけてはいけません。

使用後は必ず最低値「2n/m」に戻して保管する

各種トルクの設定が終わったらビッドを取り外して、トルクを必ず2n/mに設定し保管します。
ハンドルを回せばこれ以上低い値にすることも出来るのですが、説明書に2n/mと明記されているので厳守すること。

気になる・良くない点

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1.取り付けたビットが少しグラグラする

これは仕様なのか、低品質故かわかりかねますが、ビットは少しぐらつきます。
良く言えば”遊び”があるわけで、差し込みの際角度をつけることが出来るので不良とは断言できません。
勿論作業に支障をきたすことは無いので大丈夫です。l
一応気になった点として一つ挙げときます。
2016/01/08追記:グラつきはトルクレンチにおける一般的な仕様で、一級品も同様とのこと。

2.恐らく使う事の無いビッドが含まれる

前述したとおり、ロードバイクの整備にはまず使うことのない8mm、10mmヘックスレンチと、一体どこで活躍するのだろうと思うPH2ビッドが含まれます。
これらを排して2.5mmヘックスレンチビッドや延長ソケットが有ればよかったです。

2015/08/11追記:10mmヘックスレンチはBB30対応クランク外しに使用するようだ

BB30についてちょっと調べ物していたところ、10mmヘックスレンチはBB30対応クランクを外す再使用することとが分かりました。こういうところを見越して10mmヘックスレンチは含まれているんですね。
8mmヘックスレンチもシマノ以外のコンポで使うことがあるのかもしれません。

3.内蔵インジケーターは左右にズレることがある

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内蔵されたインジケーターは恐らく内部のバネと連結しており、微妙に左右にズレます。
画像では下側(右側)にわずかにズレていることがわかると思います。
もっとも縦方向にズレることはない上、サブ目盛りもあるので、誤ったトルク設定をすることはありません。

4.説明書は淡白で誤あり。自身である程度”トルクレンチ”に関する知識収集を推奨

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この画像も説明書から切り取ったものですが、「正逆切り替えレバー」が左に向いてます。
これは誤りで、これでは逆ネジに回してしまいます。
正ネジに回すにはレバーは右側に向いていないといけません。

また説明書には仕様と各部名称、基礎的な使用方法のみの記述のため、淡白です。
トルクレンチという工具を理解するために、自身である程度調べることを推奨します。

留意・注意点

1.このタイプのトルクレンチは使用・年数と共に精度が狂っていく

トルクレンチは高価、廉価に関わらず、使用・年数と共に精度がわずかに狂っていきます。
このため、高価なトルクレンチには「校正機能」がありますが、PWTのトルクレンチにはありません。
数年に一回くらい、懇意にしているショップのトルクレンチを借りて、精度を検証するといいかもしれません。

尚、BIKEHAND/grungeにも校正機能はありません。

2.使用後のトルク設定をしないと寿命を削る

「使用後は2n/mに設定して保管する。」と前述しましたが、これを怠ると精度が狂います。
これはトルクレンチがバネを利用した構造故の理由です。かならず守りましょう。

3.正ネジにしか回してはいけない

本製品には正逆切り替えレバーがあり、逆ネジに回すことも可能ではありますがやってはいけないようです。
非対応とのことで、逆ネジ回しはパーツが破損しそうなほど誤ってトルクをかけた際の緊急用です。

4.トルクレンチは測定用工具

トルクレンチは作業用工具ではなく、測定用工具です。
トルクレンチをゲットしたからといって、今まで使ってた六角レンチを捨ててはいけません。

基本は今まで通り六角レンチで作業し、任意トルクに設定する仕上げとして、または検査用としてトルクレンチを使うことです。これによりバネの疲労を軽減し、トルクレンチの寿命が伸びるわけです。留意しておきましょう。

BIKEHAND/grungeのトルクレンチとの比較

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【ケース】ハード樹脂、金属クランプで高級感と堅牢感がある

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【トルク】BIKEHAND/grungeは測定範囲は2-24n/m。しかし。。。

15n/m以上のトルクが必要な部位はロードバイクには殆ど無い

前述したとおり、ロードバイクにおける実用トルクは2〜14n/mです。
したがって15n/m〜23n/mは使用することがまずありません(SHIMANO製品群前提)。

SRAM、Campagnoloのコンポに必要なトルクは当方では分かりかねます。
所持者はそれらの推奨トルクを確認し、14n/m以上が必要なら迷わずこちらの製品を買うべきでしょう。

精度検定証は無い

BIKEHAND/gurngeのトルクレンチには精度検定証は無く、実際どれほどの誤差があるかは分かりません。

【ビット】BIKEHAND/grungeも全9種だが内容が異なる

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ヘックスレンチ:3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm
ヘックスレンチ(ロング):5mm
トルクスレンチ:T-25、T-30
全9種類

ヘックスレンチ(ロング):5mmはよく使う大きさだし、長いと入り込んだ場所にも入りやすい。
付属ビットの種類に関してはBIKEHAND/grungeに軍配が上がる印象
※ビットは規格品のため、追加拡張が可能。

【トルク設定】ハンドル全体での設定するため誤動作が起こりうる

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BIKEHAND/grungeのトルクレンチはグリップそのものがハンドルになっており、これを捻ることによってトルクを設定しますがPWTのように誤動作防止機構がないため作業中設定したトルクがズレるおそれがあるそうです。

【トルクインジケーター】偶数目盛りのみで信用性に乏しい印象がある

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PWTのトルクレンチにはサブ目盛りがあり、奇数どころか小数点以下のトルク設定も可能ですが、こちらはメインインジケーターのみのため、詳細なトルク設定は難しく大雑把になる印象です。

まとめ

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  • PWTのトルクレンチは精度検査証明証があり信用性がある
  • 必要なトルク設定範囲を網羅している
  • 価格が圧倒的に安い
  • BIKE HAND/grungeのトルクレンチと比べても勝る点が多い
  • BIKE HAND/grungeのトルクレンチの強みは広いトルク設定範囲
  • 自身のロードバイクパーツの推奨トルクを確認して購入すべし




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