前日までの雨が嘘かのように晴れ上がった阪神競馬場。ただ、中山とか府中みたいに路盤改修をしたわけではないから、溜まりに溜まった雨はそうそう乾いてくれない。馬場状態はなんとかやや重馬場。いかにも例年通りの梅雨時のグランプリレースになってしまった。
 果たして、ダービー以降別々の道を歩んできた人気を背負う4歳3頭。バラバラになった線が一つの点として交わったのがこの宝塚記念。そのまま4歳の人気馬が結果を残し、4歳世代強しを印象付けて、秋に襲い掛かってくるであろう最強世代にプレッシャーをかけられたのか。それとも、プレップレースで結果を残してきた年上世代が一矢報いたのか。いずれにせよ、今後の競馬界を占う大切な一戦に。

 キタサンブラックがいつも通り逃げる展開。しかし、昨秋の天皇賞よろしく、ノースヒルズの勝負服を纏った田辺騎手が逃げる武豊の馬を突っついた。結果、キタサンブラックも気持ちオーバーペース気味に。前半1000Mは59秒とやや重馬場を考えるとハイペースとなった。そんな中で後ろで足を貯めたドゥラメンテ。一気にはじけるかと思われた。
 しかし、阪神内回り独特のフォルスストレートでジワリと進出してきたマリアライトがエリザベス女王杯と同じように長くいい脚を使って伸びてきた。追い詰めるドゥラメンテを振り切って2勝目のG1制覇を達成した。
 京都外回りと同じで3、4コーナーでフォルスストレートがある阪神内回りコース。しかもエリザベス女王杯と同じ2200M。それに加えて、前が速くなったことで消耗戦になったこともあり、この馬のしぶといところが生きた格好だ。追い詰めるドゥラメンテはやや重馬場を嫌い、キタサンブラックは思ったよりもペースが速くなってしまった。人気2頭に予想外の展開になってしまったとき、好走条件が整ったマリアライトが勝利に値したということか。

 人気2頭は仲良く2着争い。わずかにドゥラメンテが2着となり、圧倒的一番人気馬のメンツを保つことができた。ペースが速くなったことで、後ろに控えたドゥラメンテにとって末脚が生きる展開となった。ただ、そこはやや重馬場。しかも、直前輸送と夏の暑さで発汗が抑えきれない様子。グランプリに縁遠いダイナカール一族という血の因縁もあったと思う。それがなければ勝てたかもしれない。だが、マイナス要因があっても2着に入るのがスターホースというもの。
 レース後にハ行を発症。レース後の下馬はちょっとドキっとしたが、大事に至らなくてよかったもの。ただ、これで凱旋門賞参戦は白紙に。となると、追加登録馬がいなければ凱旋門賞はマカヒキだけの参戦となる。JRAが海外競馬馬券の発売を始め、その最初のレースが凱旋門賞なのだが、ちょっと盛り上がりに欠けるかなぁ。
 なんだか、8枠に入った府中良績ありの関東馬が穴をあけて、2着には凱旋門賞参戦を狙う圧倒的一番人気のサンデーレーシングの馬が入り、凱旋門賞参戦を見送ってしまった。まるで、2010年のナカヤマフェスタとブエナビスタのそれを思い出した。あの時も馬場状態はやや重だった。ただ、あの時と違うのはマリアライトには凱旋門賞出走の意思がないことぐらいか。

 3着には逃げ粘ったキタサンブラック。春の天皇賞から馬体重はプラス12キロ。だが、パドックを見る限りはそう思えない仕上がりだった。いわゆる究極の仕上がりだったのかもしれない。もしくは昨年末の有馬記念みたいにちょっと疲れているかなとも思った。レースでは人気のある逃げ馬の宿命なのだが、誰かに後ろから突かれると苦しくなってしまう。
 そんな中で苦しいペースの中であわや2着という競馬をして見せたのだから、やっぱりこの馬は強い。こういう馬だし、武豊は天皇賞ではエイシンヒカリに乗るわけだから、一思いに凱旋門賞に行ってくれるといいなぁと思ってしまう。どうせ、この馬は府中は少し怪しい気もするし。
 前年覇者のラブリーデイは見どころ十分の4着。最後の最後で馬券になれなかったのはやっぱり力の問題なんだと思う。この馬が勝った宝塚記念も天皇賞も結局は今年のレヴェルまでの内容ではなかったということかもしれない。
 期待していた一頭のステファノスは伸びてきたものの最後は脚が止まって5着。好走した香港も天皇賞も鳴尾記念も2000M。このレースでは最後の1ハロンが余計だった。だからこそ秋の天皇賞ではもう一度買いたい。
 反対に期待していたラストインパクトは1ハロン短かった印象。人気の割には好走したので、見る目は間違っていなかったものの、さすがは非根幹距離2200M。1ハロンの違いは馬の実力に大きな影響を与える。だからこそ、こういう距離のG1は予想が難しくて当てた時の爽快感が大きい。

 3番人気に入ったアンビシャスはキタサンブラックをマークする展開まではよかったのだが、4コーナーで一気に脚がなくなってしまった。やっぱり距離の問題もあるし、もともと出る予定のレースではなかったのに無理やり間に合わせた感も否めなかった。やっぱり1800、2000Mの馬。左回りのトップレヴェルで戦えれば天皇賞でも戦えるが、マイルチャンピオンシップとか香港のほうがいいかなと思ったり。
 最後に期待したトーホウジャッカルも4コーナーで行きっぷりが悪くなってしまった。仕上がりは悪くないと思っていたのだが・・・。やっぱりもう苦しいのかなぁ。
 というわけで本命馬が1着。対抗馬が3着。ドゥラメンテも抑えていたので3連単を的中することができた。一応プラス収支。ただ、両ライヴァルのどちらかが飛ぶことに大勝負を賭けていたのでちょっと物足りない配当かなぁと思う。まぁ、予想は完ぺきだったので競馬予想は百点。ただ馬券ヘタだった。それだけ。

 今回のコラムはここまで。このコラムで再三書いてきたことだし、やっぱり自身最高配当となった手前みそにもなるが、昨年末の有馬記念上位組はレヴェルが高いと思う。だからこそ、マリアライトをしっかりと買えた。そして、だからこそゴールドアクターにサウンズオブアースの復権は期待したい。そうすれば4歳世代もそうだし、3歳世代とも大一番を戦うことができる。
 春の競馬収支はマイナス17万円ほど。まぁ、昨年一年で100万儲けたことを考えるとまだまだ余裕はあるが、やっぱり悔しい。秋の巻き返しに期待してください。かつて得意だった凱旋門賞をまずはしっかりと当てて、弾みをつけたい。今回のコラムは以上です。