経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2006年11月

 大手銀行6グループの2006年度中間期の決算が発表になっている。前年同期
に続き過去最高益を記録したとか。2007年3月期では、6グループ合計で約3兆
円の純利益を計上する予想らしい。

マクロ経済学

 ところで、テレビのワイドショーは、こうしたニュースを
どのように伝えるかといえば、これだけ儲けていながら
税金を払わずに済んでいるのはおかしい!とセンセー
ショナルに伝える。

 やっぱり、銀行は批判の対象としてはうってつけなの
だ。批判されてこその銀行、儲け過ぎてこその銀行。よ
くぞ、ここまで回復したものだと思う。

 ところで、そんなに黒字になっているのに税金を払わ
ないでいいのはおかしいと思う人のために、そのからく
りを見てみよう。

<黒字なのに税金がかからない理由>

 黒字なのに法人税がかからないといえば、確かにおかしいのであるが、実は、
大手銀行は、過去に巨額の赤字決算を計上しており、その累積損がまだ残って
いるのである。したがって、単年度としてみれば、黒字に回復しているのである
が、通してみればまだ赤字であるということである。そうなれば、法人税を納めな
くてもそれは止むをえないか、と思う。

 しかし、国民のなかにはそれでも銀行が税金を払わないことに腹立たしく思う
人もいることだろう。公的資金まで投入してもらいながら、どうなっているんだと。

 ただ、公的資金には極めて高い金利が課せられていたため、大手銀行は多額
の利子を国に対して支払っていたのである。また、どうして公的資金を急いで返
したかといえば、公的資金を受け入れたままでいると一人前に見られないという
理由の他に、利子負担がバカ高かったという実際的な理由もあったからだ。

 なお、大手銀行の中で住友信託銀行は、2007年3月期には13年ぶりに法人税
を400億円程度納める見通しになったとある。ということは、すでに累積損が一掃
されたということなのであろう。

 ところで、今回の決算は、張り子の最高益ともされている。どういうことかといえ
ば、本業が好調で儲けているのではなく、かつて積み立てた貸し倒れ引当金の
一部が戻ってきた「戻り益」が利益を押し上げたためだとある。

 これだけでは、なんのことかわからない人も多いかもしれないが、銀行は、企
業に貸し付けたお金が焦げ付きそうになると、予想される損失を貸し倒れ引当
金として積み立てるが、景気の回復や、担保にとっていた土地の価格の回復に
ともない予想損失額が縮小すると、貸し倒れ引当金が戻ってくることがあるという
ことだ。

 金融担当大臣は、このため、今回の最高益は「特殊要因の寄与」に過ぎないと
しているが、そうは言っても、貸し倒れ引当金として積み立てた原資そのものは、
本業で儲けたお金であろうから、それほど悲観することもない。

 ただ、いずれにしても、税金を納めないうちは、政治献金を再開するという話は
国民の理解が得られないと考える。

 

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 11月14日に発表になった7−9月期のGDP速報値は、大方の予想を裏切り、前
期比で、0.5%(年率2.0%)の伸びとなった。これで7・四半期連続のプラス成長に
なった。

 ところで、年率2.0%の成長というのは、ほぼ日本の実力に応じた成長率、つま
りインフレを引きおこさずに達成できる最大限の成長率(潜在成長率)と同じ水
準ということになり、あまり言うことはないのであるが、しかし、中身が問題視され
ている。

 どういうことかと言えば、設備投資が前期比2.9%(年率12.0%)伸びているのに
対し、個人消費は前期比-0.7%(年率-2.9%)と落ち込みが大きいからである。個
人消費が盛り上がらないと景気の踊り場入りも懸念されるという向きもあるよう
だ。

 では、どうして個人消費が盛り上がらないかといえば、二つの理由があって、一
つは夏場の天候不順により消費が盛り上がらなかったことと、もう一つは、賃金
の改善が進んでいないからということである。

 私自身は、天候不順こそが7-9月期の個人消費低迷の最大の理由だと考えて
いるのであるが、後者の要因も大きいのではないかと見る向きもあるようだ。

 大田経済財政担当大臣なども、「一人当たりの賃金が伸びていない」と語って
いたし、11月21日付けの日経に日本経済研究センターの日本経済短期予測が
掲載されているが、そこでも「7-9月期の個人消費の減少は、ガソリン価格上昇
などを嫌気した消費者心理悪化や天候不順の影響など一過性要因もあるが、
基本的には賃金の改善がおくれていることが原因とみることができる(図)」とあ
る。

 図とあるので、図を参照せよということと思い、図を探すと、次の図が掲載され
ていた。

雇用所得

 

棒グラフが雇用者報酬であり、
折れ線グラフが民間最終消費
支出、つまり個人消費である。

 

 

(11月21日、日経)

 こんなにも、雇用者報酬、要するにサラリーマンの給与と消費は連動している
ものかと、一瞬思ってしまったが、実は、この図の右半分は、これからの予測な
のである。だから、如何にも雇用者報酬と個人消費は強い連動性があるように
見えるのである。

 ということで、実際の数字を並べてみることにする。

時期     雇用者報酬 前期比  個人消費前期比                      

2003 1-3        272.6       1.3%           -0.2%
2003 4-6        270.0      -1.1%           -0.2%
2003 7-9        266.7      -1.1%            0.5%
2003 10-12     267.1       0.1%            1.1%
2004 1-3        264.8      -0.8%            0.8%
2004 4-6        267.8           1.1%            0.0%
2004 7-9        268.3           0.2%            0.5%
2004 10-12     267.1          -0.4%           -0.7%
2005 1-3        268.0           0.3%            1.2%
2005 4-6        272.6           1.7%            0.9%
2005 7-9        274.3            0.6%            0.9%
2005 10-12    277.0           1.0%            0.7%
2006 1-3        277.1           0.0%           -0.1%
2006 4-6        278.7            0.6%            0.5%
2006 7-9        278.4           -0.1%    -0.7% 

(注)雇用者報酬は、季節調整済みで、単位は兆円。

 こうしてみると、短期的には、雇用者所得の伸びと個人消費の伸びはそれほど
連動していないことが確認できるのである。

 もちろん、長期的には雇用者所得の伸びが個人消費の伸びを決定付けるもの
であることは誰も否定できないところであろうが、しかし、短期的にはむしろ天候
などが大きく作用しているのである。

 それにもう一つ大切なのは、7-9月期に雇用者所得が低下したといっても、そ
れは前期比0.1%にとどまり、見方によれば横ばいともとれる数字である。

 また、来年には鉄鋼大手が6年ぶりに賃金改善を実施する予定であり、さらに
団塊世代の大量の退職という事態を控え、労働需給はますます逼迫すると見込
まれ、賃金の引き上げの可能性は高まると見込まれる。

 以上のようなことからすれば、7-9月期に個人消費が年率で2.9%のマイナスに
なったからといって、それほど悲観することはないと考えている。

 

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 中国の外貨準備高が1兆ドルを突破したと報じられています。

 このニュースを聞いて、どうお思いでしょうか。

 単に1兆ドルを突破しただけならばいいが、日本を抜いて1兆ドルになっている
ので、少し寂しいとでもお思いでしょうか。

 1兆ドルと言えば、円に換算すると120兆円弱になります。我が国の外貨準備高
は88兆円程度ですから、この前抜かれたと思ったら、もうこんなに差がついてし
まいました。

 では、中国の外貨準備高がどの程度のスピードで伸びてきたかみてみましょ
う。

 実は、2000年末時点では、中国の外貨準備高は1600億ドル程度で、2000億
ドル台に乗ったのは2001年のことです。そして、それから約5年でその5倍の1兆
ドルになったわけです。2003年末に4000億ドルを突破してからは、毎年2000億ド
ルずつ伸ばしている計算です。

 一方、我が国の外貨準備高は、1996年末に約22兆円であったのが、それから
約10年たって約4倍の大きさになっているということです。ただ、我が国の近年の
外貨準備の伸びには特筆すべき点があります。それは、96年末に約22兆円だっ
たのが01年末に約40兆円になったのですが、その後の1年で9兆円増え、そして
その1年後には33兆円増え、03年末に約83兆円に達しているのです。要するに
01年から03年にかけて大々的な為替介入を行なったことがそこに表れていると
いうことです。為替介入を止めてからは、外貨準備高の増加スピードは緩やかで
す。

 こうしてみると、1年間で2000億ドルも外貨準備が増大することがどれほど凄い
ことか分ると思います。

 ところで、中国が1年間で儲ける貿易黒字額は、どの程度が知っていますか。

 実は、中国の貿易黒字額は05年に約1020億ドルを記録しています。今年は、
それを上回るペースで増加していますが、それにしても、外貨準備高の増加額
ほどには1年間の貿易収支の黒字は及んでいないということです。因みに、我が
国の1年間の貿易収支の黒字額も10兆円程度から15兆円程度といったところで
しょうか。

 中国は、貿易で稼ぐ以上に外貨準備を積み上げているのです。

 外貨準備高を積み上げることに中国としては充実感を感じることでしょうが、そ
れ以外にも実質的な理由があります。それは、外貨準備高の増加は為替介入
の結果起こっているのですが、為替介入をし人民元のレートを維持すればこそ、
米国を始めとする海外へのハイペースの輸出を維持できるからです。

 ところで、外貨準備高の増加には副作用がともないます。

 それは、中国のマネーサプライがこの4年間、14%〜20%のレンジで推移して
いることです。輸出で手に入れたドルを中央銀行が買い支える結果、このような
凄いスピードでマネーサプライが増大しているのです。

 これだけマネーサプライが増加すれば、インフレが起きそうなものですが、今の
ところ、消費者物価の上昇率は、概ね1%台前半で推移しているということです。
これは、価格が統制されていることも影響しているのかと、勝手に想像していま
すが、正確なところは分りません。

 ただ、不動産の価格だけは、二桁の伸び率が続いており、やはりインフレ圧力
が強まっていると言えると思います。

 今後、中国でインフレが起きそうになったとき、どのような政策を採用するかが
注目されます。

 いずれにしても、中国の外貨準備高がこれだけ膨大になると、米国にとって
は、益々脅威に見えてくるのではないかと思われ、今後の米中関係の行方が注
目されます。

 

 今後、中国でインフレが起こるのではないかと考える人はクリックをお願いしま
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 2002年2月に始った今回の景気拡大であるが、2006年10月で、57ヶ月を
数え、これまでの最長であった「いざなぎ景気」(1965年11月〜1970年7月)
に並びました。

 ところで、今回の景気拡大の特徴は、実感できないということころあるようで
す。多くの人が、景気は回復しているのかもしれないが、実感できないと言ってい
るからです。

 では、何故実感できないのでしょうか。

 いざなぎ景気、バブル景気、そして今回の景気を比べてみましょう。

         いざなぎ景気      バブル景気    今回の景気

実質成長率      11.5%        5.4%         2.4%

名目成長率      18.4%        7.3%         1.0%

給料の伸び率    114.8%       31.8%        △1.6%

(注)給料の伸びは、雇用者報酬の伸び

 先ず、経済成長率でみると、いざなぎ景気のときには実質でも10%を超える成
長を示し、また、バブル景気のときにも実質で5%を上まわる成長を示しました。
そして、名目では、いざなぎ景気では18.4%、バブル景気では7.3%の成長となっ
ています。それに対し今回の景気拡大局面では、実質で2.4%の伸びにとどま
り、名目でみると、それをさらに下回る1.0%の伸びしか示しておりません。これ
は物価が下落したために、実質よりも名目の成長率が低くなったからです。

 名目で1.0%しか成長していないのですから、そのスピードの遅さから、成長を
実感できないのかもしれません。

 そして、給料の伸びを比べると、さらに驚くべきことが分ります。

 いざなぎ景気のときには、給料が6年近くの間に倍以上になり、バブル景気の
ときにも4年強の期間に3割ほど給料が増加していますが、今回は、なんと1.6%
のマイナスとなっているのです。

 自分たちが貰っている給料が減っているということですから、景気の回復を実
感できないのは当たり前かもしれません。

 ただ、鉄鋼などでは、6年ぶりに07年度から賃上げを行なうと報じられており、
今後徐々に景気の回復が感じられるようになるかもしれません。

 

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