経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2010年06月

 直嶋経産大臣の発言を本日も考えてみたいと思います。

 「消費税などを含む税制全体で議論することではなく、国際的
な企業立地の競争条件にかかわる問題だ。2年、3年かけて議
論する余裕はなく、具体的な行動が必要だ」

 昨日、私は、この考え方はおかしいのではないかと言った訳で
すが、それでも皆様のなかには、日本企業の国際競争力を強化
するために経済産業大臣が頑張るのは悪いことではない、と考
える人もいるでしょう。

 まあ、私も日本人ですから、日本の企業が競争に勝ち抜く姿を
みて悪い気がするはずはないのです。

 ただ、だったら何故消費税を上げるのか、と言いたい!

 消費税が例えば、現在の5%から10%或いは15%に引き上げ
られたとしましょう。そうなれば、労働者の生活は確実に苦しくな
る訳ですから、いずれそれに合わせて最低賃金も引き上げられ
ることになるでしょう。そして、そうやって賃金が上がると‥?

 日本国内の賃金が上がるということは、それだけ日本企業が
生産する商品の価格競争力が失われるということになります。

 ということは、逆に消費税を引き下げると、我が国の企業は、そ
れに応じて賃金を引き下げることも可能になるわけですから、我
が国企業の競争力は強化されるということになります。

 では、もっと競争力を強化する方法はないのでしょうか。

 労働者といえば、仕事の後にはビールやお酒を飲んで一日の
疲れを癒すのが常。しかし、そのアルコール類には、消費税の他
に酒税がかけられているのです。それに労働者が吸うタバコにも
高い税金がかかっています。

 だったら、それらの税金もとっぱらってやったらどうでしょうか。
そうなれば、企業は益々賃金を引き下げることが可能になり、我
が国企業の国際競争力は強化される、と。

 もう他には競争力を強化する方法はないのか?

 労働者が稼ぐ所得には、所得税がかかります。この所得税も取
っ払ってあげましょう。そうすれば、さらに賃金を引き下げること
が可能になり、我が国企業の国際競争力は強化される、と。


 直嶋大臣は、何故、法人税だけを取り上げるのか?

 それは、直嶋大臣が、税の帰着の問題をちゃんと理解していな
いからでしょう。

 或いは、法人税を下げてあげると、その分少しは賃上げが可
能になると期待しているのでしょうか。そして、賃上げが可能にな
ると、その中から一部は政治献金として還流してくることを考えて
いるのでしょうか。

 

 税制だけで企業の国際競争力を強化しようなどという考え方が
おかしい、と思う方、クリックをお願いします。
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 直嶋経産大臣が、29日の閣議後の記者会見で、法人税の税
率引き下げについて次のように述べたとか。

「消費税などを含む税制全体で議論することではなく、国際的な
企業立地の競争条件にかかわる問題だ。2年、3年かけて議論
する余裕はなく、具体的な行動が必要だ」

 私は、全然そうは思わないのですが‥、そして、日本の企業の
税負担率も実質的にみて他国よりも大きいとも思わないのです
が、それでも、ここは直嶋大臣の言い分が正当であるとして考え
てみましょう。

 もし、全世界がそのように考えるのであれば、どこの国も法人
税の引き下げに走ることになるのではないでしょうか。

 日本が法人税率を下げれば、ヨーロッパ勢ももっと下げ、そし
て、アメリカも下げる、と。そうなれば、また、日本が下げ、そして
ヨーロッパも下げ、そしてアメリカも下げ、そして、また日本が下
げる、と。

 そうなれば、結果的には、法人税という税制度が世界中からな
くなってしまうということなのでしょうか?

 そして、もし、そうなったとして日本企業の競争力はどうなるの
でしょうか?

 それに、いつも言っているように、日本が貿易赤字である国な
らば、法人税を減税して国際競争力を強化しようと言いたい気も
少しは分かるような気もする訳ですが‥、日本は、長年貿易黒字
を続けている国なのです。

 それに、そこまでして貿易収支の黒字額を増やしたいというの
であれば、そもそもトヨタなどが米国に工場を作る必要もなかった
ということです。

 そしてまた、どんなに法人税が安くなろうとも、人件費などの面
で遥かに海外の方が有利であるのであれば、海外に工場を移転
する企業の動きを止めることもできないわけですから‥

 金融危機の結果、子ども店長が言うように、減税、補助金の恩
恵を受けながら、その上、景気が回復したら、法人税減税のおま
けつきなのですか?


 法人税は税制全体の中で議論するものではない、などと訳の
わからないことを言っていますが、そんなことをしたら、仮に消費
税を引き上げるにしても、幾ら引き上げるべきなのか、計算がで
きないではないですか。

 最後に、法人税の税収がどのように推移しているか、数字を挙
げておきます。
 

      所得税   法人税    消費税
1989年度  21.4兆円  19.0兆円   3.3兆円
1990年度  26.0兆円  18.4兆円   4.6兆円
1991年度  26.7兆円  16.6兆円   5.0兆円
1992年度  23.2兆円  13.7兆円   5.2兆円
1993年度  23.7兆円  12.1兆円    5.6兆円
1994年度  20.4兆円  12.4兆円    5.6兆円
1995年度  19.5兆円    13.7兆円    5.8兆円
1996年度  19.0兆円  14.5兆円    6.1兆円
1997年度  19.2兆円  13.5兆円    9.3兆円
1998年度  17.0兆円  11.4兆円   10.1兆円
1999年度  15.4兆円  10.8兆円   10.4兆円
2000年度  18.8兆円  11.7兆円    9.8兆円
2001年度  17.8兆円  10.3兆円    9.8兆円
2002年度  14.8兆円   9.5兆円    9.8兆円
2003年度  13.9兆円  10.1兆円    9.7兆円
2004年度  14.7兆円  11.4兆円   10.0兆円
2005年度  15.6兆円  13.3兆円   10.6兆円
2006年度  14.1兆円  14.9兆円   10.5兆円
2007年度  16.1兆円  14.7兆円   10.3兆円
2008年度  15.0兆円  10.0兆円   10.0兆円
2009年度   12.8兆円   5.2兆円    9.4兆円
2010年度  12.6兆円   6.0兆円    9.6兆円 

(資料:財務省) 

 かつて、19兆円もあった法人税の税収が今や6兆円ほどになっ
ていて、それをもっと減らせというのですか。

 

 直嶋大臣の言い分は納得できないぞ、と思う方、クリックをお願
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 昨日、G20サミットの宣言文についてこのブログで紹介しました
が、その宣言文の一部についてメルマガの方で詳しく検討しまし
た。

 そうです、日本が例外扱いされている部分です。

 例外扱いというのは、先進国側は2013年までに財政赤字を対
GDP比で半減することを明言するが、日本については別だという
ことです。

 で、その宣言文の外務省の仮訳には、どうも分かりづらいところ
がある、と。 

 この文章です。

「先進国において,財政刺激策を遂行し,今後実施される「成長
に配慮した」財政健全化計画を伝達し,それを将来に向けて実
施すること」

 この文章の真意がお分かりでしょうか?

 「先進国において、財政刺激策を遂行し」とあります。ヨーロッパ
においてはギリシャだけではなくスペインや英国も、今や景気刺
激ではなく、緊縮財政に着手しているというのに、まだ財政刺激
をやるぞということなのでしょうか?

 その文章の後にもへんてこな文章が続きます。

 「今後実施される「成長に配慮した」財政健全化計画を伝達し,
それを将来に向けて実施すること」

 成長に配慮した財政健全化計画とは何なのか?

 そして、その計画を伝達するとはどういうことなのか?

 そしてそれを将来に向けて実施するとはどういうことか?


 この文章を分かりやすく、みんなに解説することができれば、ア
メリカが何を考え、そしてヨーロッパが何を考えているかが分かっ
ているということになりますが‥

 昨日のメルマガを読んで頂いた方は、だいたい分かったよ、と
言って下さると思うのですが‥。

 先ず、外務省の仮訳を修正してしまいましょう。

 Following through on fiscal stimulus and 
communicating “growth friendly” fiscal consolidation
plans in advanced countries that will be implemented
going forward.

 財政出動(財政刺激策)をやり遂げること、そして、「経済成長
に優しい」財政緊縮策を先進諸国側に広めること(に我々は本日
合意した)。そして、その財政緊縮策は将来実行されることにな
ろう」


 如何でしょう。こうすれば少しは意味が理解しやすくなったので
はないでしょうか。

 でも、読者のなかには、本当にそういう理解でいいのか、と思っ
ている人がいるかもしれません。
ということで、本日は、もう少し
詳しく説明したいと思います。ただ、その説明の材料は、米国の
公共ラジオ放送のNPRによるものです。つまり、アメリカ人がそう
解説してくれているということです。


 Around the world, governments have increased
spending over the last couple years to try to help
their economies pull out of the global financial crisis.
But this weekend, at the Group of 20 Summit in
Toronto, leaders agreed to some strong medicine to
deal with those expanding budget deficits.

「世界中の政府は、世界金融危機から自国経済を抜け出させる
ために過去2年間に渡って、政府支出を増加させてきた。しかし、
今週末、トロントのG20のサミットにおいて、世界の首脳たちは、
増大する財政赤字に対処する強力な処方箋に合意をした」

 The move comes despite a warning from President
Obama that big cuts in government spending could
choke off the fragile economic recovery.

「その動きは、政府支出を大幅に削減することは、まだしっかりし
てきたとは言えない経済回復を阻害してしまうことになりかねな
いというオバマ大統領の警告にも拘わらず出ているのだ」

NPR's Scott Horsley reports.

SCOTT HORSLEY: President Obama says coordinated 
efforts by the G-20 countries over the last 18
months has succeeded in reversing an economic
catastrophe and put the member countries on a path
to recovery. But he warned that a recovery is still
fragile and says it would be a mistake for
governments that had been propping up the
economy to rush to the exits all at once.

「オバマ大統領は、過去18カ月のG20諸国による協調した努力
は、経済の失墜を反転させ、成長への軌道に乗せることに成功
した、と語る。しかし、彼は、 景気回復の力はまだ弱々しく、これ
まで景気回復に努めてきた各国政府が一斉に出口戦略に着手
しようとすれば、それは間違いになるであろうと言う」


President BARACK OBAMA: In the United States and
around the world, too many people are still out of
work. In too many economies, demand for goods
and services is still too weak.

「米国においては、否、世界においてもまだ多くの人々が失業し
ている。そして、多くの国々において、需要がなお弱い状態となっ
ている」

HORSLEY: The president's call for continued stimulus
found some support at the G-20 from leaders like
Indian Prime Minister Manmohan Singh. But there's
now a competing chorus of leaders whose primary
concern is budget deficits. Canadian Prime Minister
Stephen Harper cited the Greek debt crisis as a
wake-up call for governments to stop spending
beyond their means.

「大統領が財政出動の継続を要望することに対して、G20のなか
では、例えばインドのマンモハン・シン首相のように支持する人も
いた。しかし、自分たちの主たる関心事が財政赤字である国の
首脳たちのなかには、違った声も上がっているのである。カナダ
のハーパー首相は、ギリシャの財政危機が、各国にとって収入以
上の支出をすることを止めさせる警告になるという」

Prime Minister STEPHEN HARPER (Canada): Here is
the tightrope that we must walk to sustain recovery.
It is imperative we follow through on existing
stimulus plans, most of which we committed
ourselves last year. But at the same time,
advanced countries must send a clear message that
as our stimulus plans expire, we will focus on getting
our fiscal houses in order.

「経済回復を支援するために我々が歩まなければいけないの
は、空中に張られた綱の上なのである。現在の財政支出(刺激
策)を完遂することは必要不可欠であり、そのほとんどは、昨年
実施を約束したものである。しかし同時に、先進国側は、この財
政出動が終了したときには、財政状態を正常なものに戻すことに
焦点が移るのだという明確なメッセージを送らなければならない」

HORSLEY: Leaders didn't highlight these
disagreements in public. That might have rattled
financial markets. Instead, they suggested it was
only a difference in emphasis that led some
countries to call for further stimulus, while others are
enacting strict austerity measures.

「首脳たちは、こうした意見の相違を公の場では目立たせはしな
かった。そんなことになれば、金融市場に動揺を与えかねないか
らだ。その代わり、首脳たちは、それは、どこに重点を置くかの違
いにすぎないとした。ある国はさらなる刺激策を求め、またある
国は、緊縮措置を取りつつあるということだ」

U.S. Treasury Secretary Timothy Geithner notes that
even as the Obama administration continues to push
for more targeted government spending, the end is
in sight for the big stimulus program approved last
year.

「ガイトナー財務長官は、仮に、オバマ政権が財政出動を継続す
るとしても、昨年承認された大型の景気対策の終了時期は視野
に入っていると認めている」


 さあ、如何でしょうか?

 米国は、当面は景気回復に力を注ぎ、その一方で、ヨーロッパ
勢は、財政再建に着手するということなのですが、その両方の言
い分を盛り込んだ文章を作ったら分かりにくい文章になったという
ことなのです。

 ただ、ここで一つの疑問が浮かびます。

 それは何故日本だけが財政赤字を半減させるということに関し
例外扱いされるのか、ということです。つまり、米国は、当面財政
出動を続けると言っているわけですから、米国も例外となるので
はないかという疑問が浮かぶのですが‥

 しかし、米国の場合には、もう昨年から、2013年までには財政
赤字の半減に努めると宣言しているわけで、その公約まで変え
るつもりはないということなのです。何故ならば、米国がもし、そ
の公約を変更することになれば、国債価格の暴落が心配され
る、と。

 で、結局、2013年までには、ヨーロッパもアメリカも財政赤字を
半減させることを目指す、と。

 では、日本は?

 「日本は、それまでに財政赤字を半減させることは無理なのでしょ?」

 そう欧米に言われたわけです。

 「無理なら無理でいいから」と。

 財政赤字を削減することよりも、日本がもっと内需拡大に励ん
でくれると欧米にとっては有難いということのようなのです。


 

 それにしても、ワールドカップの審判はなっていない、と思った
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 G20が財政赤字半減で合意したが、日本だけは例外扱いして
もらえたと報じられています。

 これ、どんな意味でしょうか?

 日本は、世界が困っている時にはいつも皆のためにお金を出
すなど世界に貢献しているから、この際、日本だけ優遇しようと
いうことでしょうか?

 確かに日本は、国連の分担金や、世界銀行への出資などでも
多大の貢献をしているのですが‥、そんなことを知っているのは
極めて僅か‥、それどころか、鯨を取る野蛮な国にされているで
はありませんか。

 一体全体、何故日本だけが例外扱いなのでしょうか。

 G20の会合終了後、記者会見した議長国・カナダのハーパー
首相は、次のように言ったといいます。

 財政赤字削減がG20の国際公約だ。しかし、日本は先進国の
中で最悪の財政状況だが、外国に対する借金が他の先進国より
少なく「事情が異なる」として例外を認めた、と。


 日本は最悪の財政状況だが‥?

 「外国からの借金が少ない」のは、そのとおり。

 しかし、それだけの理由で例外扱いされたというのでしょうか。

 そうではないのです。日本の財政赤字(対GDP)を短期間で半
減させるためには、急いで大幅増税を行うか、或いは思い切った
歳出削減をするしかないのですが、大幅な歳出削減などはとても
無理。だといって直ぐに増税をしろといってもそれも難しい。いず
れにしても、財政赤字を半減させようとすれば、もうこれまでのよ
うに国債の発行に頼ることは止めなければいけない、と。

 しかし、
そんなことを日本に無理強いしたら、日本の国内需要
が益々縮小してしまう。

 ガイトナー財務長官が先日言っていましたよね。日本やドイツ
はもっと内需拡大に努力しろ、と。

 つまり、アメリカにとっては、日本がどれだけ国債を発行しようと
も、内需拡大にせっせと努力をしてくれることが必要だ、と。だか
ら、日本は例外扱いなのです。

 日本は、何故これほどの借金の山を作ってしまったか?

 理由は一つではありません。ただ、幾つかある理由の一つが、
アメリカからの圧力です。

 機関車論というのを覚えていますか?

 1977年のロンドンでのサミット。日本とドイツは、世界経済をけ
ん引する機関車の役割を果たすべきだ、と。つまり、外需に頼っ
ている日本やドイツは、もっと内需を拡大する努力をせよ、と。

 で、そうした要求は、その後も繰り返され、そして、今回もそれ
ほど大きな声にはなっていませんが、日本に対して内需拡大の
要求がなされているのです。

 つまり、米国としては、日本の財政が悪化することなどこれっぽ
っちも心配していないのです。そんなことよりも、もっと日本が貢
献しろ!と。

 私は、どう考えてもアメリカが日本のことを心配してくれていると
はとても思えないのです。でも、日米同盟は、大事なのですって。

 菅さんが日米同盟を深化させるといっていることに気を良くして
いるようにも見受けられますが、また、お金を出させようという魂
胆なのでしょうか。

 大体、リーマンショックによって世界経済に深刻な打撃を与えた
のも元はと言えば、アメリカの不手際です。それなのに、その反
省もしないままに、日本やドイツにもっと金を使えとどうして言え
るのでしょう。

 普天間基地の移転の問題にしても、元はといえば、米兵がいろ
んな事件を起こすことがきっかけになっているのに、オバマ大統
領は、そうしたことに対し済まないと思う気持ちはこれっぽっちも
ないようです。

 そして、ただ、いつも同じセリフの繰り返しです。「日米同盟はア
ジアの平和と繁栄の礎石だ」

 

 
 日本だけ例外扱いにしてあげるといいながら、日本にもっとお
金を使わせる作戦だな、と思った方、クリックをお願いします。
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<G20トロント・サミット宣言の抜粋(仮訳は外務省)>
 
 10.我々は,回復の持続,雇用の創出,及びより強固で,より
持続可能で,より均衡のとれた成長の達成のために協調行動を
とることにコミットしている。これらは,各国の状況に即して差別
化される。本日我々は以下に合意した。

 先進国において,財政刺激策を遂行し,今後実施される「成長
に配慮した」財政健全化計画を伝達し,それを将来に向けて実
施すること。

 健全な財政は,回復を維持し,新しいショックに対応する柔軟
性を提供し,人口の高齢化という課題に対応する能力を確保し,
並びに将来の世代に財政赤字及び債務を残すことを回避するた
めに必要不可欠である。

 調整の経路は,民間需要の回復を持続させるため,注意深く
水準調整されなければならない。幾つかの主要国が同時に財政
調整を行うことは,回復に悪影響を及ぼすリスクがある。必要な
国で健全化が行われないことが,信認を損ない,成長を阻害する
リスクがある。このバランスを反映し,先進国は, 2013年までに
少なくとも赤字を半減させ,2016年までに政府債務の対GDP比
を安定化又は低下させる財政計画にコミットした。

 日本の状況を認識し,我々は,成長戦略とともに最近発表され
た日本政府の財政健全化計画を歓迎する。深刻な財政課題が
ある国は,健全化のペースを加速する必要がある。財政健全化
計画は,信頼に足る,明確に説明され,国の状況に即して差別
化され,経済成長を促進する措置に焦点を当てる。


10. We are committed to taking concerted actions to
sustain the recovery, create jobs and to achieve
stronger, more sustainable and more balanced
growth. These will be differentiated and tailored
to national circumstances. We agreed today on:

 Following through on fiscal stimulus and
communicating “growth friendly” fiscal consolidation
plans in advanced countries that will be implemented
going forward.

 Sound fiscal finances are essential to sustain
recovery, provide flexibility to respond to new
shocks, ensure the capacity to meet the challenges of
aging populations, and avoid leaving future
generations with a legacy of deficits and debt.


 The path of adjustment must be carefully calibrated
to sustain the recovery in private demand. There is a
risk that synchronized fiscal adjustment across
several major economies could adversely
impact the recovery. There is also a risk that the
failure to implementconsolidation where necessary
would undermine confidence and hamper 
growth. Reflecting this balance, advanced economies
have committed to fiscal plans that will at least halve
deficits by 2013 and stabilize or reduce government 
debt-to-GDP ratios by 2016.

 Recognizing the circumstances of Japan, we
welcome the Japanese government’s fiscal
consolidation plan announced recently with 
their growth strategy. Those with serious fiscal
challenges need to accelerate the pace of
consolidation. Fiscal consolidation plans will be
credible, clearly communicated, differentiated to 
national circumstances, and focused on measures to
foster economic growth.

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 菅総理が、一人仲間に溶け込めてないと報じられています。

 まあ、自分ひとりで外国人のなかに跳び込んだ経験がある人な
ら、菅さんに同情をするかもしれませんね。

 それに菅さんの英語力、読売が伝えるところによれば、英会話
は、高校生レベルだとか。これ、殆ど話せないということですよ
ね。しかも、英語を話してもらう場合にも、極めてゆっくりとはっき
り発音してもらわない、と‥。

 しかし、仮に菅さんが流暢な英語使いだったとしても、欧米のリ
ーダーとの距離感は埋まらなかったかもしれません。というのも、
彼らが考えていることがよく分かっていないからのようなのです。

 菅さんは、鳩山総理と同じように、行き過ぎた市場原理主義は
いけないのだ、と散々発言してきました。そんな発言をする人を、
アメリカや英国がどう思うのかということを考えたことがないので
しょうか。そのことが第一。

 次に、菅さんは、財政再建と経済成長を両立させる第三の道を
説明しただけではなく、他国も参考にして頂きたいと言ったといい
ます。

 日本は凄いんだぞ。君たちも見習ったらどうだ、と他国には聞
こえたと思うのですが、新参者からそういうことを聞いて、各国の
リーダーはどう思ったのでしょうか?

 「彼は経済学の専門家なのか?」

 「日本は、それで実績を挙げたのか?」

 この第三の道を実践した結果、今その成果が表れているという
のであれば、少しくらいそうしたアイデアを披露するのもいいかも
しれませんが‥、まだ実践もしておらず、どうなるかもしれない単
なる思いつきをサミットの場で披露されても‥、そう思った人が多
いのではないでしょうか。

 経済と財政を同時に立て直す、そんな魔法をみたいなことがで
きるのであれば、是非教えてもらいたいものだ、と。

 菅さんは強い財政ということを言っていますが、それはどのよう
なことを意味するのでしょうか。

 国債の残高が減少していくような状態でしょうか?

 まあ、そんなこと急には無理な話です。それは、マニフェストに
おいても、2020年までにプライマリーバランスを均衡化させるよ
うにしたいと言っているだけですから、今後10年間は、今よりも
国債の残高(対GDP比で)が増加することを認めているのです。

 それに、プライマリーバランスを均衡化させるためには、2010
年度の予算をベースに議論すれば、23.7兆円余り税収を増額す
るか、歳出をカットするかをしなければいけない訳ですが、23兆
円も税収を増額するためには、仮に消費税だけで対応しようとす
れば、消費税が15%以上になるのは必至であり、そんなことが
そう簡単に実現できるとはとても思えないからです。


 一方、今のアメリカはどう考えているかといえば‥、ガイトナー
財務長官は次のようなことを述べています。

 We have to make sure that people understand that
we are going to take the steps necessary to bring
down our deficits over time. But we also need to
make sure we're growing,

「我々としては、時間をかけて財政赤字を削減するためのステッ
プを踏むことになるということを国民が確かに理解するようにしな
ければならない。しかし、我々はまた成長を続けることを確かなも
のにする必要もある」


 That balance is going to differ across countries. But
I think you're going to see a strong commitment
again by these major economies to do what is
necessary to make sure that we are supporting
recovery and getting that balance right.

「その二つのバランスは国によって異なるであろう。しかし、これ
らの国々が、景気回復を支援し、そしてバランスを的確に保つた
めに必要なことを行うと強く言明したことを皆さんは分かるであろ
う」

 The scars of this crisis are still with us. So, this
summit must be fundamentally about growth,

「今回の危機の傷跡はまだ残っている。そこで、今回のサミットは
基本的には成長を論ずる場でなければならない」

 
 菅さんのいう第3の道が実現可能であれば、米国の要望に応
える最優秀答案になり得るのですが‥


 財政再建と経済回復が両立できるというのは、楽観過ぎると思
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 皆さんは、ウェークという番組を見ますか? そう、土曜の朝8
時からやっているTV番組です。

 で、本日は誰が出るているのかと思ったら、ハイ・ブリッジ・オー
シャン・ファースト氏です。

 お風呂屋さんで高級時計をみつけて、でもって、何時間後に警
官がかけつけ‥、そして、不起訴にはなったものの、大学を辞め
させられ‥、しかし、半年ほどしてからは深夜番組に復帰し‥、
で、本日はウェークに出ているわけです。

 別にテレビに出るのがいけないとかいうつもりもないし‥、人間
は過ちを犯すこともあるわけですし‥、しかし、どうしても納得が
いかないのは、彼が正直に何が起こったかをテレビの視聴者に
対して説明しないことです。

 ねこばばしたのか、しなかったのか?

 それとも嵌められたのか?

 単に預かっていただけなのか?


 そこのところを視聴者に説明することもなく、説教めいたことを
喋るのは如何なものでしょうか。

 で、その人が本日言っていたわけです。

 日本の公的債務が対GDP比で200%(近く)あろうとも、その一
方で資産の部も見ないといけない。債務残高が世界で一番多い
といっても、資産も世界一保有しているのだ、と。

 こんな話を聞かされると、確かにそうだと思う人もいるのですよ
ね。別に借金がいくら多くても、それ以上に土地や建物や預金・
現金を保有していたら、何も恐れる必要はないではないか、と。

 でも、それは、資産が負債を上回っている場合の話です。

 財務省は、25日、2008年度の中央政府のバランスシートを公
表しました。

 で、一般会計の貸借対照表をみると‥、右側の負債の部に公
債681兆円が計上されています。つまり、政府が国債を発行して
681兆円の借金をしているということです。

 では、資産の部はどうなっているのでしょうか。

 現金・預金24兆円。有価証券99兆円。貸付金163兆円。運用
預託金125兆円。有形固定資産182兆円。出資金54兆円。

 沢山資産を保有しているように見えるのですが‥、でも全部足
しても665兆円にしかならないのです。で、その一方で負債の合
計はとみれば、982兆円。つまり、317兆円の債務超過というこ
となのです。

 話が違うじゃないの!と言いたい。

 高橋氏は、何を言いたかったのでしょうか?

 勘違いしているのでしょうか?

 


 高橋氏から事実を話してもらいたいと思う方は、クリックをお願
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 法人税最高!ではありません。

 本日も法人税の引き下げについて考えてみます。ということで
法人税再考!

 とつぜんですが、お金の話になると、みなさん俄然熱くなります
ね。政治家の悪口を言った時も反応が敏感なのですが、今回の
法人税論議についても、両方の立場からまるで相手方を罵倒す
るかのような反応ばかりです。

 さて、法人税を引き下げるべきだという立場の根拠から振り返
ってみたいのですが、彼らの言い分は、海外において法人税が
引き下げられる傾向にあるなかで、日本だけが今の法人税率を
維持すると、日本の企業の国際競争力が失われるとか、日本の
企業が海外に移転してしまうというのが主たるものであると思い
ます。

 改めて、法人税の実効税率の国際比較をしてみましょう。

<法人所得課税の実効税率 2010年1月>

米国:  40.75%
日本:  40.69%
フランス:33.33%
ドイツ: 29.41%
英国:  28.00%
中国:  25.00%
韓国:  22.00%

(資料:財務省)

 

 これらの数字は、恐らく法人税を引き下げるべきだと主張する
人たちが一番注目するものでしょう。

 税引き前の利益が仮に100億円あったとしたときに、もし、その
企業が日本にあれば、税金を支払った後には59億円しか残らな
いのに、ドイツにあれば70億円も残り、英国にあれば72億円、
中国にあれば75億円、そして韓国にあれば78億円も残る、と。
これだと、海外の企業が国際競争力をつけていくのは当然では
ないか、と。

 しかし、この議論は、重要な点を見逃しています。それはこの議
論は、その企業が一定の資本を用い同じような営業活動をした
場合に、どこに国においても100億円の税引き前利益を計上す
ることができるという前提を置いているということです。

 では、その前提条件は肯定することができるのか?

 それはなんともいえないのではないでしょうか。

 仮に、その企業が、一定の資本を用い同様の営業活動をして
も、英国では何らかの理由によって100億円の税引き前利益を
計上することが非常に困難であり、せいぜい50億円ほどしか税
引き前利益を上げることができないとしてみましょう。

 そのときには、税引き後の利益は、50×0.72=36億円しか残
らないということになるわけです。

 もし、貴方が会社の経営者であったとして、そして1円でも法人
税を少なく納めることを重視する経営者であったとして、会社を日
本から英国に移すことを考えるでしょうか?

 日本にいたままであれば、約41%の税金を払う必要がある
が、それでも税引き後の利益としては59億円残るのに、英国に
移ったとしたら、28%の税金しか支払う必要はないけれども税引
き後の利益は36億円しか残らないのです。

 だから、この実効税率とやらだけを単純に比べていても何も分
からないというわけなのです。

 それにもかかわらず、直嶋大臣や菅総理は、我が国の企業が
国際競争に勝ち残るためには税率を下げないといけない、と言
っているわけです。

 もし、彼らが本当にそうと信じているのであれば、彼らは、川端
文科大臣のいう「おりこうさん内閣」の資格はないでしょう。そし
て、もし、彼らがおりこうさんだというのであれば、法人税の実効
税率と国際競争力にはそれほどの関係がないことを知りつつも、
何らかの理由により、法人税を下げると財界に約束したばかり
に、それを実行するために演技をしているということになります。

 まあ、それでも、日本企業の国際競争力がなく、貿易収支も長
い間赤字が続いているというような状況にあるのであれば、「法
人税を下げて欲しい」という言い分も少しは説得力を持つのでし
ょうが、ご承知のとおり、日本は長い間貿易黒字を計上している
のです。

 いずれにしても、以上の私の議論は、海外で100億円の税引き
前利益を挙げることが日本においてよりも難しいのであれば、と
いうことが前提条件となっていましたが、そうではなく、海外にお
いても日本と同じように100億円を稼げるというのであれば、ま
た話は違ってくるわけですが、税に関する数値を見る限り、海外
においては、同じ100億円の税引き前利益を挙げることが難しい
といこうことが推測されるのです。

 では、その根拠を挙げたいと思います。

 貴方が、自動車を生産して、それを日本や海外で販売しようと
したときに、もし、自動車の販売に異なった税率の消費税がかか
ったしたら、貴方の売り上げや利益にどの様な影響を与えるでし
ょうか?

 当然のことながら税率が高ければ、車の価格も押し上げられ、
そして売行きは落ちる、と。

 つまり、税金の負担率が高い国ほど、利益を出しにくいというこ
とが一般的に言えることなのです。

 では、消費税の負担率はどうなっているのか?

<付加価値税率 2010年1月>

米国(NY市): 8.875%
日本    : 5.0  %
フランス  :19.6  %
ドイツ      :19.0  %
英国        :17.5  %
中国        :17.0  %
韓国        :10.0  %


 さあ如何でしょうか。フランスやドイツや英国は法人税の実効
税率が低いとはいっても付加価値税ががっぽりかかるので、他
の条件が等しいとしたら、車の価格が高くなり、それにつれて売
れ行きも落ちることが予想されるのです。

 それに、もし、法人税の低い国に世界中の企業が集まったとし
たら、恐らくその国では、労働者不足となり、賃金
が急上昇する
でしょうから、思惑どおりに利益を挙げることはできないのです。

 最後に、大事なことをもう一つ。

 皆さんの多くは、消費税は消費者が負担するものであって、企
業は決して負担するものではないと考えているのではありません
か? ひょっとしたら企業経営者のなかでもそんな誤解をしてい
る人がいるかもしれません。

 しかし、5%の消費税のうち、どれだけが消費者の負担になっ
ていて、どれだけが企業の負担になるかは、商品によって、また
時期によっても区々であるのです。だから、消費税の負担は全部
消費者の肩にかかり、その一方で、法人税を減税しても消費者
は何の恩恵も受けないという前提で議論をしている政治家がお
かしいということなのです。

 つまり、菅総理が、我が国の企業に国際競争を勝ち抜かせる
ために法人税をどうしても減税するのだというのであれば、消費
税だって上げてもらっては困るのです。何故ならば、消費税を上
げれば、その分売行きが落ちることが予想され、そうなれば、消
費税の一部は企業が肩代わりすることになってしまうからです。

 私は、何が何でも法人税の減税に反対するというのではありま
せん。でも、そもそも日本の財政事情は群を抜いて悪化してい
る、そのために、財政再建が必要だと言い、そして消費税を上げ
ようというなかで法人税の減税を言いだすから反対をするので
す。

 消費税は、実際には誰が負担するのか、そして、法人税は、実
際には誰が負担するのかは、見た目ほどはっきりしたものではな
いのです。そんなことも分からずに税制論議が進んでいるので、
警告を発しているのです。



 

 税制について、政治家が勝手に結論を出すのは反対だ、という
方、クリックをお願いします。
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 参院選を目前に控え、各党の党首が討論会を行いました。

 いろいろ論点はあるのでしょうが、本日は税制論議に焦点を当
てたいと思います。

 貴方は、消費税の引き上げに賛成ですか?

 「えーと‥」

 やっぱり反対?

 「というか‥」

 では、賛成ということですか?

 「賛成というわけではないけど、もし、このまま国の借金が増え
続けると大変なことになっちゃうのでしょ? だったら、少しくらい
の増税はやむを得ないのかな‥と」

  本当は、増税をされると生活が苦しくなるので大変なのだけ
ど、だからと言って借金が増え続けると、もっと大変な事態になる
可能性がある‥と言っているわけですね。
見上げた姿勢です。
自分の損得について考えるよりも、国の将来のことを考えている
なんて。

 それに比べ、政治家というものは。
国の将来のことどころか、7
月11日に開票になる参院選のことしか考えていないような発言
もあります。

 まあ、だからといって、消費税を直ぐ上げろと私が主張するもの
でもないのですが‥

 
 各党の党首がどんな発言をしているか抜き出しました。貴方
は、どの考え方を支持しますか?


A党 「私どもは、4年間消費税を上げないと国民に約束してい
る。消費税の議論の前に景気対策、格差の是正などをやること
が大事だ」「特別会計を役人が握ったままにしているのを剥がせ
ば、10兆円や20兆円は直ぐ出てくる」


B党 「(消費税の引き上げには)反対だ。所得税の最高税率を
何故10数年前に戻すと提案しないのか」「今の時点で消費税を
上げれば価格に転嫁できず、中小・零細企業の倒産、それにとも
ない死に追いやられる人は増える」


C党 「将来は消費税の廃止を目指すのが私たちの考えだ」「消
費税を引き上げてもほとんど法人税の減税の財源になってしま
う」


D党 「消費税が必要だなどとは言っていない。名目で4%以上
の成長を続ければ、5年から10年の間に基礎的財政収支が回
復するので、増税は全く必要ない」


E党 「12年から福祉に限って3%やる(引き上げる)。状況をみ
て将来は4〜7%の間で国民の合意を得て上げていきたい」

F党 「無駄の排除が十分ではない。国会議員の定数削減などを
やるのが前提」「社会保障の目的税化をやるとともに地方財源と
して活用しない限り、協議には乗れない」

G党 「財政再建は基本的には経済成長による税収増、徹底し
た歳出削減。この2点にもっと力を入れる必要がある」

H党「消費税の税率は10%に」

I党 「消費税の増税については、超党派の議論を呼びかけた
い」「軽減税率や還付制度も検討したい」


 さあ、如何でしょうか。9つの党のうちに、消費税の増税に明確
に言及しているのは3つだけのようです。ということは、後の6つ
の党は、消費税の増税は必要ないと考えるか、仮に増税をする
にしても、その前にやるべきことがあるとの意見のようなのです
が‥


 各党の意見を検討してみましょう。

 A党は言います。我が党は消費税の増税は4年間やらないと約
束したのだから、約束を守ると、と。

 約束を守ることは大いに結構! では、その4年が過ぎたらどう
なるのでしょうか? 4年たったら、そのときに初めて議論を始め
るといのうのでしょうか? それに、特別会計の見直しで10兆円
や20兆円は簡単に出てくると言っていますが、それなら具体的
にどこをどうすればいいのか、言って欲しいと思います。

 それから、百歩譲って、否、千歩譲って、仮に特別会計の見直
しで20兆円の財源が出てきたところで、それだけでは政府の借
金体質が大きく改まるとはとても考えられません。何せ1年間で
44兆円もの新規国債を発行するような状況になっているわけで
すから。

 次、B党。

 消費税の増税には反対し、その代わり、所得税の最高税率を
上げればいい、と。これは筋の通った考え方のようです。でも、所
得税による税収は、現在年間十数兆円の規模にしか過ぎないこ
とと、我が国には大金持ちの人はそれほど多くいるわけではな
いので、仮に最高税率を引き上げたところで、今の借金体質が
改まるほどの税収増が期待できるわけではないのです。

 つまり、消費税の引き上げに反対するのはいいとしても、だとす
ればどうやって税収増を実現するのか、もっと説得力のある案を
示してもらわないといけないということになります。

 或いは、B党は、かなり所得が低いクラスに対しても所得税の
増税をすべきだということなのでしょうか。でも、そこまでは考えて
いないと思われます。

 では、C党。

 消費税をなくすのが将来的な目標だ、と。それは一つの見識と
いうものでしょう。また、消費税を増税しても法人税減税の財源に
なるだけだ、と。それもごもっともかも。では、どうやって財政再建
を果たそうというのでしょうか。結局、B党に対するのと同じような
批判がC党に対してもなされるということです。

 次、D党。

 名目で4%の経済成長が継続できれば増税の必要はないと言
っていますが、では、どうやって名目4%以上の経済成長を実現
するのか? それを言ってもらわない限り、絵に描いた餅というこ
とになります。


 E党は、一転、消費税の引き上げ率についてまで言及していま
す。将来的には4〜7%の引き上げも行うと。消費税の引き上げ
を口にすると選挙には不利に作用するかもしれないということを
承知しつつ、この党は、敢えて消費税の増税を明確に打ち出して
いるわけですが‥

 そして、このE党とは正反対のアプローチをするのが、F党。ま
だまだ無駄の排除が十分ではないなどと言っていますが、消費
税を口にすると選挙に有利に働くことはないと判断してのことで
はないのでしょうか。

 G党も、経済成長による税収増などを口にする当たり、それほ
ど財政再建の必要性を感じているようには思えません。

 H党とI党は、ともに消費税増税の方向性を打ち出しています
が、両党とも法人税については減税が必要だという考え方のよう
です。でも、法人税を減税してしまったら、折角消費税を増税して
も財政再建には結ぶつかないとも考えられるのですが、その点
はどう考えているのでしょうか?

 もう一度貴方に質問をします。

 貴方は、消費税の増税は本当は困るのだが、国の将来のこと
を考えたら受け入れるべきだという考え方のようでしたが、では、
貴方は、H党やI党の考え方を支持しますか?

 「だけど、消費税を増税しても、法人税を減税すると、国の借金
が減ることにならないような気が‥。どうして法人税を減税する
必要があるの?」

 総理はこう言っています。

 「アジアや世界の競争にしっかり勝ち残るために、税率は下げ
ないといけない」

 アジアの競争といえば、競争相手は、中国、韓国、台湾などが
直ぐ思い浮かびますが、法人税の税率を下げると、競争上、そん
なに有利になるのでしょうか? それに海外に進出していった企
業が日本に戻ってくるというのでしょうか。また、海外に進出する
ことを思いとどまることになるのでしょうか?

 私には、どうもそうは思えないのです。

 我が国の企業が、韓国や中国の企業と比べて国際競争力を持
つようにするためには、我が国の企業の損益分岐点を海外企業
のそれと比べて低くする必要があるわけですが、法人税の税率
を引き下げたからといっても、基本的には損益分岐点が変わる
わけではないのです。
 
 法人税の引き下げが行われば、黒字企業にとって、その税引
き前利益のうち、会社に残る税引き後の利益が増えるだけの効
果しか有しません。

 つまり、幾ら法人税を減税をしたところで、国際競争力のない業
界の国際競争力が強化される訳ではないのです。

 具体的に考えてみましょう。

 中国と日本に、干し椎茸を生産しているメーカーが存在してい
るとします。

 ご承知のとおりに、日本の椎茸の生産コストは、中国のそれに
比べて遥かに高い。だから、農家から生椎茸を仕入れて干し椎
茸を生産するメーカーは、なかなか中国の干し椎茸に太刀打ち
できない。それでも日本製の椎茸を買ってくれるのは、国内産で
ないと嫌だという消費者がいてくれるお陰なのです。

 つまり、幾ら法人税を下げてもらえるとはいっても、そもそも干し
椎茸のメーカーが採算割れの状態であれば、幾ら法人税を下げ
ても赤字が黒字になることはないのです。

(注)但し、黒字企業にとっては、法人税の引き下げによって税引
き後の利益が増加するので、その増加した分に相当する額だ
け、コストアップに耐え得る余力が出てくるという効果はあるでし
ょう。


 まあ、この法人税の減税と国際競争力の関係については、政
治家のみならず、企業経営者自身も正しい認識をしているのか
どうか大変に怪しい面があるのですが、仮に、ここでも百歩譲っ
て、法人税の減税によって国際競争力が強化されるとしてみまし
ょう。

 その場合に、法人税の減税は我が国の経済成長にはプラスに
働くのか?

 この件について、第一生命経済研究所が試算結果を先日発表
しました。

 それによれば、法人税を10%引き下げると、GDPは、10年後
に5.9兆円増加させる効果がある、と。

 しかし‥

 この経済成長によってもたらされる税の増収効果は、10年間で
は、減税分の64%を賄うに過ぎないというのです。

 つまり、法人税の減税をすれば、国の借金は益々増加すること
になるのです。

 最後に貴方にもう一度問いたいと思います。

 貴方は、消費税の増税を受け入れることができますか?

 「法人税の増税をしないという条件であれば‥」


 いずれにしても、法人税を減税しようと減税しまいと、海外に出
ていく企業は出ていくでしょうし、出ていかない企業は出ていかな
いということではないのでしょうか。

 それに、もし、法人税の減税によって国際競争力が強化できる
という考え方が正当なものであるのであれば、米国政府が、法人
税の税率をもっと引き下げようとしないのかが分からないというこ
とになります。

 米国政府は、法人税の税率を引き下げても、それによって国際
競争力が回復するなどと考えていないことの証拠ではないのでし
ょうか。


 いずれにしても、国民を巻き込んでじっくりと議論をして決める
べきだ、と思う方は、クリックをお願いします。政治家が勝手に決
めるべきではない、と。
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 人民元レートが上昇しています。

 「いやん」

  いやん?

 「いやんで分かんなきゃ、れんみんび」

 ああ分かりました。人民元を英語で言っているのですね。Yuan
ですね。ただ、よーく聴くと、ユアンとイアンの中間のような発音
です。

 昨日から、その人民元が2年間の拘束から解かれ、少しずつ動
き出しています。昨日は、1ドル=6.7076元まで上昇し(終値)、
本日はさらに上昇しています。

 でも、アメリカ側から言わせたら、それでもイヤンは、25%から
40%程度安く評価されているとのことだそうで、本来であれば、
1ドル=4元程度であってもいいのだとか。

 ということで、米国の政治家の皆さんは、まだまだ中国にプレッ
シャーをかけるぞ、という構えを崩していないようなのですが‥


 いずれにしても、こんなニュースを聞くと、人民元のレートが如
何に安く設定されているかという思いを強くしてしまいがちなので
すが、では、昔はどうだったのでしょうか?

 例えば、1950年代の人民元レートは、どうであったのか?

 日本の場合には、1ドル=360円という時代がありましたよね。
だとすれば、中国の人民元も今よりもずっと安いレートであった
のでしょうか。例えば、1ドル=20元とか30元とか。

 しかし、そうではないのです。

 むしろ驚くほど高かったのです。

 1950年代から1960年代にかけては、1ドル2元台で推移し、
そして1970年代に入ると、何とそれよりも人民元は強くなり、1ド
ル1元台にまでなったことがあるのです。

 しかし、そうした流れは、1980年代に入ると少しずつ変わり始
め、人民元は弱くなり始めます。何故かと言えば、中国の輸出競
争力が弱く、貿易収支の赤字が累積していったからです。そし
て、何と1994年には管理変動相場制に移行し、1ドル=8.7元
に固定されてしまったという歴史があるのです。但し、1997年以
降は、1ドル=約8.27元に固定されるドル・ペッグ制に移行して
います。

 で、そうなると今度は徐々に輸出競争力が強化され、そしてご
承知のように高い経済成長率が実現されることになったのです。

 こうした長いスパンで歴史を眺めると、今まで見えてこなかった
ものが見えてくるような気がします。

 今後仮に中国の人民元が今より3割ほど強くなったとして、そし
てそのときでも米国が巨額の貿易赤字を計上していたら、そのと
き米国は何というのでしょうか。

 イヤン?


 

 人民元のレートが切り上がっても、米国の貿易赤字はそう簡単
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 先週、人民元の切り上げを求める声が米国で再び強くなったと
思っていたら、あっという間に中国は、人民元の弾力性を強化す
ると発表しました。

 長かったですね。ほぼ2年の間、ユアン(人民元)をドルにペッ
グさせてきたわけですから。

 でも、中国が人民元の切り上げを再開するとはいっても、その
ペースは極めて緩やかなものにとどまりそうな気配です。恐らく、
アメリカがまたイライラし始めるほどのスピードでしか人民元のレ
ートは上昇しないでしょう。

 皆さん、このことについてどう思いますか?

 やっぱり中国はずるい?

 そう思う人もいるかもしれません。そして、なるほど中国の国際
競争力からしたら、もっと人民元のレートが上昇してもしかるべき
だという意見があるのも当然でしょう。

 しかし、経済の世界では、gradual、つまり、徐々にやる、或い
は漸進的といってもいいと思うのですが、いきなり状況を急変さ
せることは大変に危険なことなのです。

 その代表例が、日本のかつての不動産バブルです。

 地上げという言葉を聞かない日がないくらい、土地バブルで浮
かれていました。

 不動産投資や株投資をしないものは、おバカさんみたいに思わ
れていたことがありましたよね。

 「どうしてマンションを買わないの?」

 「家があるもの」

 「別にそのマンションに住む必要はないのさ」

 「どういうこと?」

 「マンションを買っておけば、直ぐ値上がりするので儲けること
ができるのさ」

 「でも、お金もないし‥」

 「お金は銀行が幾らでも貸してくれるよ」

 「そうはいっても‥」

 「それに銀行からお金を借りれば、その利子が経費扱いになる
から、納める税金も少なくなり、いいことばかりだ」

 「本当?」

 

 などといって、いろんな人が不動産投資に参加したのでした。
で、そうやって皆が買うから、さらに土地の価格が上がる、と。そ
して、土地の価格が上がると、また儲かるから、さらに買いを誘
う、と。

 歌う不動産屋などと呼ばれた人もいましたよね。しらかば〜

 しかし、そうやって地上げ行為などが横行するものだから、世
の中は殺伐となり、銀行が不動産業に融資することを非難する
声が大きくなっていきました。銀行がお金を貸しさえしなければ、
こんな悲惨な状況にはならなかったものを、と。

 新聞社も、そうした銀行の姿勢を批判し、また、銀行の監督を
する大蔵省を叩き始めたのです。

 で、そこまで言うのであれば‥、ということで当局は、一転、不
動産融資の規制に乗り出すことになったのです。

 で、そうやって不動産購入の資金源がストップさせられると、あ
れよあれよという間に土地の価格が下落して行った、と。

 そして、土地に価格が下がり出すと、今度は、もう誰も不動産投
資に手を出したがらなくなり、そうなると益々土地価格が下落して
いったというわけなのです。

 要するに、極めて緩和的な金融政策を実施していたのに、突如
として資金の蛇口を閉めるようなことをしたから、とんでもないこ
とが起こり、その事態の急変に経済界が対応することができなか
ったのがバブルの崩壊ということなのでした。


 だから、政策を変えるときには、徐々にやる、しかも、それが市
場参加者に十分理解されるようにする時間をかけてやることが
必要だ、と。そうすれば、経済界も事態の変化に対応することが
可能になるのです。

 ということで、中国の今までの為替政策が如何に批判されよう
とも、急激に人民元のレートを変えるというようなことはすべきで
はないのです。そんなことをすれば副作用が大き過ぎる、と。人
民元の切り上げは少しずつ時間をかけてやればいいのです。

 それに、今中国では、賃金の上昇が急速なスピードで起きてい
るので、仮に人民元の切り上げのスピードが遅いものであって
も、物価を考慮した実質為替レートは相当のスピードで切り上が
るはずですから、米国側としても、それほどイライラする必要は
ないのです。

 今、中国のGDPと日本のGDPは、ほぼ同じほどの規模となっ
ています。ということは、米国のGDPは、中国のGDPの2.5倍以
上はあるということですが‥

 でも、こうやって人民元の切り上げが再開され、そして、今後
益々中国経済が発展する筈だ、と考える投資家が世界中で増加
することになれば‥

 どうなると思います?

 お金儲けの好きな投資家は、だったら人民元に投資をしたいと
思うのではないでしょうか。何故ならば、自国通貨建てで利益を
計算する場合は、人民元が強くなればなるほど、利益が出るとい
うことになるからです。

 今、そうした投資家の「熱銭」が規制の目をかいくぐって中国に
流入していると言います。そして、そうした資本の流入が続け
ば、益々人民元は強くなる、と。

 中国のGDPが米国のGDPに追い付くのは、予想よりも早まる
可能性があるのです。

 でも、そうなれば今度は中国でのバブルの崩壊が懸念されるこ
とになるのでしょう。

 ただ、中国でバブルが酷くなれば、日本経済には当面プラスに
作用することになりますが、その後またリーマンショックのようなこ
とが起こると思っていた方がいいかもしれません。


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