経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2010年10月

 TVや新聞は、日中首脳会談がドタキャンされたことを大きく取り上げるわけですが、でも特
にTVのその件の取り上げ方にはイマイチ納得がいきません。皆さまは如何でしょうか?

 どうして腫れものに触るような報道の仕方なのでしょう? 

 ノーベル平和賞が中国人に与えられることに抗議する中国。そして、そのニュースを報じな
い中国。そして、ノーベル平和賞受賞者の名前をネットから削除してしまう中国。

 で、領土問題を巡っては、近隣諸国と軋轢を繰り返し得しているわけです。しかも、軍事力
をバックとして、既成事実を積み上げる方式で。

 それに中国の若者。幾ら日本に文句を言いたいことがあったとしても、日本の国旗を燃や
すとは何事か!

 もし、日本人が中国の国旗を燃やしたら、中国はどんな反応をするでしょうか? そして、日
本のマスコミは、そうしたことが起こったとしたらどのように報じるでしょうか?

 どう考えてもマスコミの報道にはバイアスがかかり過ぎている。とにかく穏便に、穏便にと。

 ところで、今日も言いたいのですが、そもそも首脳会談というのに、何故ナンバー3が登場
するのでしょうか? まあ、形の上でナンバー3といっても、本当の実力者であるのならば、そ
んなこと、それほど問題にもならないのでしょうが‥

 何を言いたいのかといえば、首脳会談は、それぞれの国のトップ同士の話し合いだから意
味があるわけです。それぞれの国には、それぞれの言い分があって、例えば、外務省の官
僚同士で話をさせても埒が明かず、そして、外務大臣同士で話し合いをさせてもやはり話は
進展せず‥、そんななかで、それぞれに建前もあるが、そこはトップ同士が腹を割って話し合
うことに意味がある訳です。

 しかし、ウェン・ジアバオ氏の対応はどうでしょうか? 彼は誰かの目を恐れている訳です。
決して日本側に妥協したらダメだ、と。日本は、結局中国を封じ込めようとしているのではな
いか、と。日本が、フィリピンやベトナムやマレーシアやブルネイなどと一緒になって中国に立
ち向かおうとしているではないか、しかも、バックには米国がいるじゃないか、と。ここは一発
ガツンとやるべきだ、と。

 まあ、中国が日本との首脳会談をドタキャンして日本の総理に恥をかかせることになれば、
それ以外の国々も中国に対する接し方を考え直すであろう、と。

 いずれにしても、ウェン氏が本当にそうすべきだと思って会談をキャンセルしたというより
も、もっと大きな力が働いていると思うのです。ウェン氏よりも偉い人物、或いは、強硬派がそ
のように行動することを暗黙に命じている、と。

 まあ、だから表立って日本の総理と握手するような光景を写真に撮られることは大変に困
るのでしょう。そう言えば、中国の外務大臣も前原大臣と握手をするのを拒否するような態度
を示していました、表情とは裏腹に。ということで、表では会えないが裏では会うことができる
のだ、ということなのでしょう。表向き、日本側と談笑している姿が映し出されると国内でバッ
シングにあってしまうから、と。

 結果として、前回は廊下会談だったのが、今回は控室会談になったということなのでしょう
か。

 しかし、そこまでして会談をする必要があるのでしょうか?

 繰り返しになりますが、彼はナンバー3、決して首脳ではないのです。それに、日本側の総
理が控室で会談をするなんて。そこまでプライドを傷つけられて、菅総理は何を守ろうとして
いるのでしょうか?

 経済的利益?

 だとしたら、中国の民主化が遅れても、そんなことは少しも気にならないということなのでし
ょうか?

 日中の関係が微妙になると、また米国が言う訳です。日本と中国は、緊張緩和に向けて努
力すべきだ、と。

 そんなことを言うのが米国の大統領ならよく分かる訳です。トップ同士の会談がキャンセル
されたことを心配して、第三国のトップが仲に入る、と。まあ、今回韓国の大統領が演じてい
たような役割です。両者に握手をさせようとしていました。しかし、アメリカでそんなことを言っ
ているのは国務次官補、要するに局長であるわけです。納得がいきません。


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 米国の7―9月期の実質GDPが発表になりました。

 前期比年率2.0%の伸びになった、と。

 これを、2.0%しか伸びなかったと受け取るか、或いは、2.0%も伸びたと受け止めるかで
気持ちは明るくもなれば暗くもなるわけです。

 

                     4−6月期       7−9月期    伸び率(年率)
 国内総生産       13兆1949億ドル    13兆2607億ドル    2.0%
 個人消費                  9兆2757億ドル   9兆3346億ドル     2.6%
 設備投資           1兆3553億ドル   1兆3872億ドル     9.7%
 住宅投資              3501億ドル      3213億ドル   -29.1%
 政府支出           2兆5649億ドル   2兆5861億ドル        3.4%
 輸出               1兆6521億ドル   1兆6723億ドル     5.0%
 輸入               2兆1011億ドル   2兆1872億ドル      17.4%

 GDP(除く住宅投資)   12兆8448億ドル  12兆9394億ドル    2.9%

(資料:米BEA)
 

 
 この2.0%の伸びを市場関係者がどうみているかといえば、これで二番底の懸念は後退し
たかもしれないが、しかし、雇用を創出する力強さには欠ける伸び率だ、と。つまり、もっとも
っと伸びてもらわないと失業率は低下しないとみているわけです。

 で、そうなれば、当然のことながら、11月2日、3日に開かれるFOMCにおいても大型の追
加緩和が決定される可能性が大きくなるわけです。

 まあ、確かに2.0%と言えば、それほど高い成長率とは言えません。否、潜在成長率を下
回ってもいるのでしょう。しかし、だからといって、これまでのゼロ金利政策に加えて追加の緩
和策が求められるような状況であるというのでしょうか?

 私は、少しおかしいと思います。

 金融をさらに緩和させても得るところは少ないだけでなく、弊害の方が大きくなるばかりだ、
と。

 それに、GDPの支出項目別にみても、個人消費は2.6%の伸びにとどまっていますが、設
備投資の伸びが9.7%にも達していることを軽視するべきではないと思うのです。つまり、企
業の投資マインドは相当に回復していると考えるべきです。そういう状況にあるにも拘わらず
さらに緩和策が必要と言えるのでしょうか?

 で、そうして設備投資は高い伸びを示しながらも、全体としては2.0%の伸びにとどまったの
は住宅投資が29.1%の低下になっているからなのですが、これは住宅バブルが崩壊したこ
とや住宅減税が切れたことの影響があるので仕方がないのではないでしょうか。

 ということで、仮に住宅投資の項目を除いてみれば、な、な、なんと7−9月の実質GDPは
2.9%の伸びになることが分かる訳です。つまり、もうこれはほぼ健康な状態に戻ったとも言
える伸びであるのです。

 なのに‥、追加の緩和策ですか?

 インフレを起こすことになれば、名議長どころか、ドジった議長と言われでしょう。


 追加の緩和策はしょぼい内容となり、そして、インフレ予想が弱まり、物価連動国債5年物
の金利のマイナス幅が少し縮小することになるのではないでしょうか。
ということになれば、
円高ドル安の流れも少し勢いが弱まることになるのでは‥


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 日中首脳会談が突然キャンセルされ、我々日本人はびっくりしゃっくり。

 でも、どうして? 何故?

 中国側の言い分は、

 「日中外相会談で、双方が東シナ海のガス田開発問題の協議再開で合意したという誤った
報道が流れ、日本が事実を歪曲したからだ」

 「米国が尖閣諸島が日米安保の対象になると発言したことも要因」

 「日本側が首脳会談の雰囲気を壊した。責任は日本側が完全に負うべきだ」


 で、日本側の反応はといえば‥

 「驚いた。中国側の真意を測りかねている」(福山官房副長官)


 まあ、キャンセルといってもいろあるわけです。数日前にキャンセルするとか、前日にキャン
セルするとか、或いは、直前にキャンセルするとか。今回は、29日(金)の夜午後6時半(日
本時間で8時半)にセットされていた会談が、直前になって急にキャンセルされたのだ、と。し
かも、菅総理は小1時間も待機していたというのです。

 本日の日経新聞には、ASEANプラス3首脳会議の前の記念撮影で、菅総理が温家宝首相
とすれ違う写真が掲載されています。菅総理は下を向き、先方も無視をしているような‥

 中国の温家宝首相は、また廊下会談を実現したかったのでしょうか。

 「ウェンチァパォ閣下、お話しがあるのですが‥」

 「貴方は、誰あるか?」

 「ウェン閣下、先日廊下でお話しをさせてもらった‥」

 「でも、今日は椅子がない」

 私、思うのですが、こんな外交見たことも聞いたこともないような気がします。仮に、何らか
の理由で会えなくなっても、或いは会いたくないと思っても、もっともらしい理屈をつけて断る
のではないでしょうか。急に帰国することになったとか。急用ができたからとか。急に風邪を
引いたからとか。

 しかし、会談をキャンセルした理由は、日本側が雰囲気を壊したからだ、と。

 これ、要するに喧嘩を売っているということでしょう。

 で、売られた喧嘩をどうしたらいいか分からずに菅総理が困っているということなのでしょ
う。

 菅総理に言いたい!

 何故、そんな不景気な顔をするのか、と。日本側に非があるのか、と。ああすればよかった
とか、こうすればよかったとかという反省でもあるのか、と。日本側に特別の非がないのであ
れば、そんな顔をするなと言いたい!

 貴方は日本の総理であって、国民の代表であるのだ。もっと堂々としていて欲しい。先方が
会いたくないというのであれば、それでいいではないか、と。

 大体、先方は、首相とはいっても国家のナンバースリー。なのに、どうしてその首相と日本
のナンバーワンが会談をしなければいけないのか。そこのところから考え直して欲しい。

 それに話は飛ぶが、NHKのBSのニュースもおかしい。何故中国のニュースの通訳は、日
本人ではなく中国人の通訳なのか? 他の国のニュースの場合には、そういうことはない。
中国のニュースを除けば、全て日本人の通訳だ。まあ、そういうところにも中国の言論統制
の影が見え隠れするわけです。

 もう一度言いたい。菅総理は、しょぼい顔をするな!

 大体、中国は、未だに人権を抑圧し、言論の自由を認めようともしない国であるのに、そん
な国と表面だけ仲良くしようなどという考えが間違っているのです。中国がもう少し人権を認
めるように努力をすれば、日本もそれなりのお付き合いをしてもいいよ、という位の態度でい
るべきなのです。それが、お金のことばっかり考えているから、こんな変な事態を招くことにな
るのです。

 で、菅総理はといえば、「冷静に対応しよう」と言ったと報じられています。

 冷静にというのは、大いに結構。しかし、冷静であるということと何にも言わないとか、波風
を立てないというのは同じでないことを肝に銘じるべきです。冷静であっても言うべきことは言
う、と。ただただ我慢して何も言わないでいると却って不満が溜まって、いつかドカーンと爆発
してしまうでしょう。

 そして、中国の方も、こいつには何を言っても言い返さないからといって、言いたい放題にな
っている傾向がある。

 赤穂浪士のことを思い出してしまいました。


 総理は、経団連的な発想ではなく、国民のことを考えて国民の代表として発言すべきなの
です。
国民が主権者であるにもかかわらず、そもそも尖閣のビデオを国民に見せようとすらし
ない姿勢がおかしい。



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 最近、TPPなんて言葉が流行っているようで‥、何でも環太平洋戦略的経済連携協定とい
う意味なのだとか。Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementの略
だと。

 そういえば、蓋ではなくFTAなんて言葉もありましたが、あの話はどうなったのだろうかなん
て思っていると、結局、TPPもFTAと同じようなものだと。

 だとすれば、幾ら現政権が急にTPPに熱心になり、そしてマスコミもそうした政府の姿勢を
後押ししようとしても、依然として難しい問題が存在していることには違いはないわけです。だ
から、そんなに簡単に実現するものなのか、と。

 まあ、財界関係者がこの手の協定に熱心になるのはよく分かることです。何故ならば、これ
まで各国が課していた関税がゼロになれば、日本製品が輸出しやすくなるからです。その辺
のことは誰でも分かるわけです。ただ、日本が、自国の輸出品についての関税をゼロにして
もらうためには、日本も、海外から輸入する品目について関税を取っ払わなければならなくな
るのです。

 はい、そこの貴方!

 コメの輸入に関して、日本は何%の関税をかけているでしょうか?

 「30%くらい?」

 ブー

 「100くらい?」

 ブー

 「じゃあ200%?」

 ブー。日本は、コメの輸入に778%の関税をかけて日本の農家を守っているわけなので
す。因みにコンニャクの場合には、1700%程度だったか、と。

 だから、もし、本当にTPPに参加するというのであれば、ここで腹を括る必要があるわけな
のです。もうこれから先、日本の国土から水田が見られなくなっても仕方ないと諦めるのか、
と。私は、大反対です。確かに、自由貿易を推進すれば、世界中の国々が豊かになることが
できると経済学の教科書では教えています。アダムスミス以来の教えであるわけです。

 しかし‥、もし、徹底的に自由貿易を推し進めるとするのであれば、日本のような国の場合
には、農業が採算が合わないものになってしまうわけなのです。つまり、多くの農家が廃業を
迫れ、他の職業につかざるを得なくなる、と。

 そんなことでいいのでしょうか?

 まあ、私がそんなことを言えば、農家に戸別補償を与えれば農家を守ることはできるのだ、
という意見も聞こえてきそうですが、それはそれで別の大きな問題を孕んでおり、決して持続
可能な方法であるとは思えないわけです。

 私は思う訳です。個々人が自ら得意な仕事に従事することは、全体のためにもなるという
のはその通りだ、と。国家も同じである、と。だから、アダムスミスやリカードが言ったように各
国は得意な産業に特化をすることが基本的には望まれるであろう、と。

 しかし、だからといって、得意なことだけに従事することが本当に国家の発展に役に立つの
か、と。自動車を生産するのが得意だからといって、国中で車を作ることがいいのか? ワイ
ンの生産が得意な国だからといって、国中でワインを作ることがいいのか? 他のことはしなく
てもいいのか、と。

 一国のなかにはいろいろな人々が生存しているわけです。サラーりーマンが向いている
人、工場で働くのが向いている人、公務員が向いている人、スポーツマンが向いている人、
農業が向いている人、漁業が向いている人、銀行マンが向いている人、エンジニアが向いて
いる人、研究が向いている人。

 もし、日本がTPPに参加すれば、農業をやりたくても農業を止めなさいということに等しいわ
けです。確かに戸別補償をもらうことができれば、細々と農業を続けることができるかもしれ
ませんが、そんなお情けで農業を続けることに深くプライドが傷つけられる農家もいるわけで
す。

 アメリカは何故、TPPに積極的なのか?

 それは、アメリカは、日本が農作物の関税を撤廃するならば、米国の農産物の輸出を増加
させることができ、自国の利益に結び付くと考えているからです。

 では、何故WTOの交渉がまとまらないのか?

 世界中には、日本だけでなく、農業を保護しようとする国が沢山存在しているからなので
す。つまり、ヨーロッパの中には戦略的な意味合いで農業を保護している国が多いのだ、と。

 もし、日本がTPPに参加することになるとすれば、単に日本が農作物の全面的な輸入の自
由化を認めることだけでなく、アメリカ式の農業に敗北したということを意味するでしょう。
つま
り、遺伝子操作作物を大量にコストを抑えて生産するという手法です。環境に対する影響は
大変心配されるものがあり、また、大量の農薬に頼る農法という意味でも安全性が気になる
ところであるのです。それに遺伝子作物の種子は、特定の会社が権利を独占していて、もし、
日本がアメリカ式の農業に屈することになれば、世界中の農業をアメリカの特定の会社がコ
ントロールすることにもつながる恐れがあるのです。

 従って、仮に民主党がTPPを推し進めることが必要であるというのであれば、先ず、日本の
農業を将来的にどうするのだという青写真を示した上でなければ到底議論を進めることがで
きないということなのです。TPPに参加すれば、GDPが何兆円増加するとか減少するなどと
いう議論は、殆ど意味を有しないのです。

 私がかねてから主張しているように、日本は日本独自の農業を確立し、つまり、農薬になる
だけ頼ることなく自然の摂理を重んじだ農法を採用し、そして安全でおいしい作物の生産に
成功し、そしてそれを世界中の消費者によくPRし、その上で日本の農作物が幾ら高くても売
れるという見通しが立った上でTPPに参加するというのであれば、それなら支持することがで
きるわけです。

 しかし、今のように何の見通しもなく、農家には戸別補償を与えておけばよい、などと考え
ているとすれば、本当に日本から水田が姿を消してしまうことになるでしょう。そして、そうや
って自然をないがしろにするようなことばかりしているから、熊や猿や鹿の害に悩まされるこ
とにもなるわけです。


 国家の場合にも、一人の人間と同じように、バランス良く成長していく必要があるのです。
勉強ばかりではダメなのです。勉強も運動も、社交性も、そしてユーモアも、そんなバランス
がとれた人間がたくましく生き抜いていくわけです。


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 昨日もお伝えしましたが、米国の物価連動国債5年物の利回りがマイナスになっています。
実は、既発債の流通利回りは9月の終わりごろからマイナスに突入しており、そのマイナス幅
も−0.49%をつけるほどにまでなっていたわけですが、25日に新たに発行された物価連動
国債の落札利回りが、何とマイナス0.55%を付けたわけなのです。

 こうして国債の落札利回りがマイナスを付けるのは、初めてのことなのだとか。

       物価連動国債5年物                                                                       

































(資料:FRB)


 では、ここで貴方に質問をしたいと思います。ある銀行が、1年もの定期預金の募集をして
います。金利は年利マイナス0.5%です。貴方は、預金をしたいと思いますか?

 「絶対しない!」

 どうして?

 「どうしてって、金利がマイナスだということは、預金者の方が銀行に金利を付けてやるわけ
だから」

 そういうことですよね。もし、貴方が現金で100万円もっていたとして、それを自宅の金庫に
入れておけば、1年後も100万円のままですが、もし、預金をしたとすれば、その100万円の
うちから5000円が利子として徴収され、差引き99万5千円になってしまうわけなのです。そ
んな損な取引など誰もする筈がないでしょう。

 しかし、ではどうしてアメリカでは、マイナスの利回りなのに国債を購入する人がいるのか?

 念のために言って置きますが、このアメリカの物価連動国債5年物は表面利率がマイナス
になっているのではありません。今回、表面利率は0.50%とされているのです。

 「マイナス金利じゃないじゃん」

 確かに表面利率はマイナスではありません。しかし、応募者は額面100に対して、もし、そ
れを上回る払い込みに応じるとすれば、例えば100に対して105を払い込むとすれば、利回
りがマイナスになるようなことが発生してしまう訳なのです。

 「将来100万円しか戻ってこない国債に対して、105万円も支払うことがあり得るの?」

 状況を単純化して考えましょう。


 国が1年もの国債を発行しようとしています。利率は1%。しかし、多くの投資家は利率は
2%はないとおかしいと思っているとしましょう。そのとき、投資家は、その国債を幾ら位の価
格で買おうとするでしょうか?

 2%ほどの利率が求められるということであれば、100万円投資して1年後に102万円にな
るということですから‥、だとしたら、額面100で売り出される1%の利率の国債には99ほど
の価格が付くということになるでしょう。もし、99万円でその国債を買うことができれば、1%
の金利と元本の100万円が1年後に手に入り、2%の利回りで運用することができるからなの
です。

 では、同じく多くの投資家が2%ほど利率が適当であると思っているのに、国が利率3%の
国債を売りに出したとしたら、投資家はどう行動するでしょうか?

 そうなれば、額面100に対し投資家はそれを少しくらい上回るお金を支払ってもいいと考え
るでしょう。仮に100に対し100.5を払い込んでも、100.5の元手で1年後には103に増やす
ことができ、2.5%ほどの利回りが確保されることになるからなのです。

 ということで、投資家の立場になれば、額面を上回るお金を払い込むこともよくあるわけで
す。

 「しかし、額面を超える金額を払い込むことに同意するのは、そうして通常よりも高い利回り
が確保できるからでしょ? しかし、今回の場合には、マイナス金利になっているじゃないの
さ」

 確かに!

 額面を超える金額を払い込むことがあるとしても、それは、そうしてより高い利回りが確保さ
れるからなのですが‥、では、物価連動国債の特徴について考えてみましょう。物価連動国
債とは何?

 「物価が上昇すれば、それに応じて償還元本が増加し、その反対に、物価が下がれば、そ
れに応じて償還元本が減少するわけでしょ?」

 そのとおり。では、ここで最初の質問に戻ることに致します。

 ある銀行が、1年ものの定期預金を募集していた、と。金利はマイナス0.5%。

 で、顧客が、銀行に質問するわけなのです。
「金利がマイナスって、どういうこと?」

 ですから、金利は、お客様の方が銀行にお支払い頂くわけです。

 「お金を預けるのはお客の方だよ」

 でも、その代わり銀行は、どんなにインフレになろうとも、インフレ率に応じてお客様から預
かった元本を増額してさしあげます。

 「例えば、100万円預金して、1年後に10%のインフレ率になっていたら?」

 その時には、銀行は、お客様に対して110万円をお返しし、その代わり、お客様は、110万
円の0.5%分、つまり5500円を金利としてお支払い下さい。

 「ということは、100万円が109万4500円になるということ?」

 そのとおりです。

 「いいね‥」

 はい。

 「しかし、良い話には‥、物価が下がったら?」

 例えば、物価が1%下落していたとすれば、お客様の100万円は99万円になり、そしてお
客様は、99万円の0.5%分、つまり4950円を金利としてお支払い頂きます。

 「ということは、100万円預金して、98万5050円に減っちゃうということ?」

 はい。

 「預金したら1万4950円も減ってしまうの? そんなバカな! 絶対預金しない。現金で持っ
ておく」

 それは、お客様がお決めになることですが、もし、インフレになったら‥、もし、インフレにな
ったときに、お客さんがそもまま現金でお金を持っていると、100万円は100万円のまま。し
かし、その100万円は10%も価値が落ちているのですよ。しかし、当行に預けてもらえれば、
お客様は109万4500円もお手元に残るわけなのです。


 結局、将来インフレになる確率が高いと予想すればするほど、物価連動国債を買っておこう
と思い、金利がマイナスになる現象が起きやすくなるのです。



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 インフレ・ターゲットに代わって物価水準目標論(プライス・レベル・ターゲット)というのが提
案されているのだとか。インフレ・ターゲットの場合には、インフレ率の目標値を設定するが、
プライス・レベル・ターゲットの場合には、インフレ率ではなく一定の物価水準自体が目標とな
るので、目標への達成度合いが低ければ低いほど更なる強力な緩和策が実施されることに
なるのだと。

 いずれにしても、プライス・レベル・ターゲットも、インフレを引き起こして実質金利の高止まり
を回避し、それによって投資を引き出そうという戦略には違いない訳なのです。

 どうです、このアイデア?

 インフレターゲットを支持する政治家などは、多分、それもいいアイデアだ、何て思っている
のでしょうね。

 でも、ヘリコプターからお札をばら撒いてもデフレに陥らせはしないとか、或いは、日本銀行
はケチャップでも何でもいいからどんどん購入することによってお金を市場に放出すれば、イ
ンフレを起こすことができると言っていたあのバーナンキ議長が、このところ慎重な態度を取
っているわけなのです。

 何故かって?

 確かにデフレに陥らせないことが重要であるが、だからといってそんな政策を採用した結
果、もしアメリカがインフレにでもなってしまったら、自分は最悪のFRB議長として名を残してし
まうことになるかもしれない‥と。

 まあ、マイルドなインフレだったらいいのでしょうが‥、しかし、ここにきてバーナンキ議長が
慎重になっている理由は、インフレのリスクを冒すことと、景気を浮揚させる効果を天秤にか
けて比べた場合に、景気を浮揚させる効果が余り感じられないということになるのではないで
しょうか。

 つまり、インフレを起こすことに成功はしたものの、失業率はなかなか下がらない、と。で、
そうなれば、インフレが起きて人々の生活が実質的に苦しくなるだけの話である、と。


 ところで、プライス・レベル・ターゲットを提案して注目されているのは、シカゴ連銀のエバン
ズ総裁と言う人ですが、彼がそんなことを提案するのは、今、米国経済は流動性の罠に嵌っ
ているからだというのです。

 流動性の罠に嵌ると、もうそれ以下には金利が下がることがなく、そうした中で物価が低下
すれば、実質金利はむしろ上昇してしまうではないか、と。で、実質金利が上昇すれば、企業
は設備投資などに消極的にならざるを得ないから、そうしたことが起こらないように物価を上
げる金融政策が必要なのだ、と。

 私は、何度も言いますが、ゼロ金利政策を採用している結果、それ以下に名目金利が下が
ることがない状態は、流動性の罠の状態とは違うと考えているわけです。

 というのも、本来の流動性の罠の状態とは、人々の貨幣(流動性)に対する選好が異常に
高まり、その結果名目金利が高止まり、そのために企業はお金を借りづらくなる状態を指す
わけですが、現在のアメリカは必ずしもそのような状態にはないということなのです。つまり、
今の金利水準でもお金を借りたい企業や消費者はいるのに、銀行が不良債権を抱えている
関係で、新規の融資に前向きになれないだけなのです。

 ただ、この際、議論を面白くする上で、米国経済が流動性の罠に陥っていると考えたとしま
しょう。つまり、もし、実質金利を低下させることができれば、米国経済が復活する可能性が
ある、と。
だとしたら、どんな政策を提案するのか?

 経済学の教科書は、流動性の罠に陥って金融政策が無効になった場合には、財政政策に
頼るべきだと書いてあります。まあ、それはそのとおり。

 しかし、小泉政権下では日本は財政政策に頼ろうとはしなかった。

 何故か? それは、小泉政権下では新規国債の発行額を30兆円以内に抑える目標を掲
げ、財政再建を優先させたからであり、また、財政出動を続けても大した効果がないと感じて
いたからでもあるわけです。

 では、今のアメリカはどうか?

 アメリカも、もはや大盤振る舞いする余裕などないわけです。金融政策が効果がない状態
では財政政策の出番であることは重々承知しつつも、財政再建の目標を放棄する訳にもい
かない、と。

 で、そうなれば、効果がないと言われているのに再び金融政策が注目される、と。

 おかしなものなのです。
ですが、幾ら教科書には効果がないと書かれてはいても、否、手段
はあるのだという経済学者たちがいるわけです。それが、インフレ・ターゲットであり、プライ
ス・レベル・ターゲットであるということなのです。

 もし、マイルドなインフレを起こすことに成功する一方で、ゼロ金利政策を継続するのであれ
ば、実質金利はどんどん低下し、或いはマイナスになり、お金を借りることが得になるので、
投資が盛んになるであろう、と。

 しかし、繰り返しになりますが‥、インフレを起こすことはリスクが大きい、と。

 さあ、ここに大きな問題が発生するわけです。インフレを起こせば、実質金利を低下させる
ことが可能かもしれないが、インフレのリスクも大きい、と。リフレ派の人々は、インフレを起こ
さないと実質金利を引き下げることができないと考えているわけなのです。何故かといえば、
シカゴ連銀のエバンズ総裁もクルーグマン教授も、「流動性の罠」に陥っていると主張してい
るからなのです。

 しかし、本当は罠には陥っていないのです。インフレを起こさなくても、実質金利を引き下げ
る方法はあるのです。
しかも、ある大手の債務者は現実に、今般、マイナスの実質金利でお
金を借りることができた、と。

 どういうことなのでしょう?

 米国政府の発行する物価連動の5年物国債の利回りは、今年の9月28日からマイナスの
領域に入っており、10月14日にはマイナス0.49%まで低下しているということなのです。そ
れに、25日に実施した5年物の物価連動国債の入札では、落札利回りがマイナス0.550%
と、1997年の入札開始以来初めてマイナスを記録したとされているのです。つまり、実質利
回りがそれ以下に下がることのない「流動性の罠」になど決して嵌ってはいないということな
のです。
 

 では、どうすればいいのか?

 ということになれば、一般企業も米国政府を見習えばいいわけです。何もインフレを起こす
ことなく、実質金利をどれだけでも低下させることができ、或いはマイナスにさえすることがで
きるかもしれない、と。

 ズバリ、物価連動の社債を発行すればいい、と。物価が上昇するようであれば、借金の元
本償還額もそれに合わせて増加し、逆に物価が下落するようであれば、元本償還額もそれ
に合わせて減少する、と。ですから、仮に金利を低く設定しておけば、どんなにデフレになろう
とも、実質金利が上昇して企業の実質負担が増大することを回避することができるのです。

 えっ、マイナスの実質金利にする方法ですか?

 それは簡単です。社債を引き受ける投資家が、もし、その社債に魅力を感じて額面を相当
に上回る価格で落札することになれば、実質金利はマイナスになり得るということなのです。

 物価上昇率が低く過ぎ、その結果実質金利の高止まりが生じているという指摘が本当であ
るとしたら、一般企業は米国政府を真似して、物価連動社債を発行すればいいだけの話で
す。


 実質利回りがマイナスになっているなんて知らなかったという方、クリックをお願い致しま
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 G20が終了しました。で、G20の共同声明では、通貨安競争を回避すると宣言したわけで
す。

 move towards more market determined exchange rate systems that
reflect underlying economic fundamentals and refrain from competitive
devaluation of currencies.

 「基礎となる経済ファンダメンタルズを反映する、より市場型の為替システムに移行するとと
もに、通貨の引き下げ競争を止める」

 まあ、今、日本経済は円高に苦しんでいるため、日本人のなかには、円高を食い止めるた
めに断固たる措置をとるべきだという意見の人は多い訳です。もっといえば、為替介入を行っ
て欲しい、と。ただ、その一方で、各国が通貨安競争を行うことについてどう思うかと問えば、
それは良くないという意見の人も多いでしょう。

 各国が競って自国通貨を切り下げるようなことになれば、戦前のようになってしまい、どこの
国も得をすることはないからだ、と。

 先日、ガイトナー財務長官も言っていたわけです。

 No country can devalue its way to prosperity and competitiveness.

「如何なる国も、通貨価値を切り下げることによって繁栄したり、競争力をつけることはできな
い」

 でも‥、建前はそうなのでしょうが‥皆さんも、そうは思いませんか?

 何故中国は、頑なに人民元の大幅な切り上げを行うことを拒否するのか? それは、人民
元を米ドルの価値にほぼ固定化させておくことが、自国の輸出を支援し、それによって中国
の経済成長を持続させることができると信じているからなのです。つまり、人民元安の政策に
よって、繁栄と競争力が維持できるのだ、と。

 日本でも同じことです。為替介入はまだ1回行っただけのようですが、でも、介入を行うこと
によって経済成長を少しでも後押ししたいから行う訳なのです。つまり、円安の方が繁栄と競
争力維持に都合が良いからだ、と。

 で、それは、米国でも同じことで、だからこそ超緩和策を維持しながらドル安を演出している
わけでもあるわけです。

 つまり、本音としては自国通貨を安くする方が都合が良いとは思いながらも、建前として
は、それはいけないことなのだという訳なのです。

 大人の世界というものは、ややこしいものなのです。ああ、ややこしや‥

 では、本当に各国が自国の通貨を安くしようと動き出すことはいけない事なのでしょうか?
また、それによって弊害があるというのでしょうか?

 で、それについて専門家はこのように言う訳なのです。「各国が通貨安競争に走れば、結
局保護主義が台頭してしまう」と。

 確かに、各国が海外からの輸入に高い関税を掛けたりするようになれば、世界の貿易は縮
小してしまい、世界経済にとって大きなマイナスになってしまいます。

 でも、幾ら通貨安競争に走ったとしても、各国が保護主義に走ることはないと約束したらど
うでしょうか。その場合でも、各国が市場に介入して自国通貨を安くしようとすることはいけな
いことなのでしょうか?

 このことについて、先日、ウォールストリート・ジャーナルは、次のような意見を掲載していま
した。

 When one country devalues its currency, others tend to follow suit. 
As a result, nobody achieves trade gains. Instead, the devaluations put
upward pressure on the prices of commodities such as oil. Higher
commodity prices, in turn, can cut into global economic output. In one
ominous sign, the price of oil is up 8.7% since August 27.

「一国が通貨を切り下げると、他の国々もそれに追随しようとする傾向がある。その結果、ど
この国も得るところがない。その代わり、通貨の切り下げは原油などの商品の価格に対し上
昇圧力をかけることになる。そして、商品相場が上昇すると、今度は世界の生産量を減少さ
せることが起こり得る。一つの不吉な兆候であるが、原油価格は8月27日以降8.7%上昇し
ているのである」


 皆さん、この意見を、どうお感じになるでしょうか?

 各国が通貨安競争に走る。例えば、今米国も安いドルを演出している、と。で、ドル安のた
めに原油や穀物の価格が上昇しているではないか、と。で、そうやって一次産品の価格が上
昇することになれば、消費にブレーキをかけることにもなるので、経済成長に水を差す結果に
なるのだ、と。

 でも、この意見には、あのクルーグマン教授が異論を唱えているわけなのです。

 So yes, a fall in the dollar tends to raise the price of oil in dollars —
but it also tends to reduce the price of oil in euros. A fall in the euro tends
to raise the price of oil in euros, but reduce it in dollars. [whoops!]
So what would devaluations that raise commodity prices in terms of all
currencies look like? I have no idea.

「だから、そうなのだ。ドルの価値の低下は、原油のドル価格を引き上げる傾向がある。しか
し、それは原油のユーロ価格を引き下げる傾向もあるのだ。ユーロの価値の低下は、原油の
ユーロ価格を引き上げる傾向があるが、ドル価格を引き下げる。であるとすれば、全ての通
貨で商品相場を引き上げるような通貨の切り下げは、どのように見えるのであろうか。私に
は分からない」


 確かに、最近のドル安によって原油や金や穀物などの価格が上昇している訳ですが、それ
はあくまでもドルベースで考えた場合の話であり、ドルに対し強くなっているユーロや円や豪
ドルで考えたら、それほど商品相場が上がっているわけでもなく、クルーグマン教授の言い分
にも理由がありそうです。

 では、通貨安競争の最大は弊害は何なのか? それに、各国とも、どれだけでも通貨安競
争に参加することができるのか?

 結局、通貨安に誘導するためには、為替介入を行うか、他国に比べ金融を大幅に緩和す
るしかないということになるわけですが、そんなことを続けていると、過剰流動性が発生してし
まい大変なインフレになることが懸念されるわけなのです。そして、もし、インフレになったらな
ったで、更に通貨安を招くことになるわけですが‥、そうなればその国の経済は大混乱に陥
ってしまう訳なのです。で、インフレを収束させることが、今度は最優先課題をなり、そうなれ
ば金融を大幅に引き締めることが求められることになり、景気は一気に冷え切ってしまうこと
になるでしょう。

 つまり、自国通貨を安くしようと為替介入をしたり、超緩和策をいつまでも採っていると、い
ずれはインフレを招いてしまい、そして、そのインフレを収束させるために今度は逆に金融の
大幅な引き締めが要求されてしまうのだ、と。

 これが通貨安競争の最大の弊害なのです。決して、保護主義に走らせるから悪いと考える
べきではないのです。通貨安競争の結果、保護主義に走らせたというよりも、過去、通貨安
競争と保護主義がセットとなって世界経済に出現しただけの話であり、別にその二つには必
然的な結びつきがあるわけではないのです。

 ということになれば、インフレの心配をする必要がない国は通貨安競争に参加することがで
き、そうでなくインフレの恐れのある国は、通貨安競争に参加できないだけだ、と。

 ブラジルが、今通貨戦争の状態にあると言って米国を非難しているのは、ブラジルいう国
は、インフレで悪名を轟かせた国であるために通貨安競争に参加することができないから、
通貨安競争を止めろというしかないわけです。その反対に、米国は、今インフレの恐れがな
いから、通貨安競争に参加している、と。ただ、それだけなのです。

 ただ、米国は今インフレの恐れがないと言いつつも、ご承知のように既に金や原油や穀物
価格が上昇しており、バブルの様相を呈していることも事実であるわけなのです。また、同時
に中国は、先日、突然金利の引き上げを実施したところですが、その理由は、不動産価格の
これ以上の上昇を抑えたい、つまり、バブルの発生を極力抑え込みたいという思いがあるか
らなのです。

 つまり、いつまでも米国や中国が通貨安競争に参加できるかといえば、そうでもないという
ことになりそうなのです。

 経済の現象を論じる時に、良いことだとか悪いことだとかを基準に議論をすることなど余り
意味がないのです。
良いことでも悪いことでも、自国に都合が良ければ、皆、自国の利益にな
るように行動をするものだ、と。通貨安競争が悪いことだとお互いに認めたとしても、各国は
依然として通貨安に向かうように目立たないように行動をするだけだ、と。で、各国が、もし、
通貨安競争を止めたいと思う時が来るとすれば、その時には、通貨安に誘導することが自国
の利益にならないことがはっきりしたためで、ある、と。

 だから、今ドル安を望んでいる米国も、ドル安が米国にとってプラスよりもマイナスになるこ
とが多いと分かるまでは、ドル安政策を続けるということではないのでしょうか。ただ、それだ
けのような気がするのです。

 そんなことが分かっていても、世界から関係者が集まりG20の会合を開く訳です。それが大
人の行動ということでしょう。

 
 通貨安競争が良いだの悪いだのと言っても始まらない、と思う方、クリックをお願い致しま
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 郵便ですよ! などと言って届けれられた書簡ではないでしょう。多分、メールが送られ、後
に正式の書簡が届けられるのでしょうか。或いは紙の手紙など今は使われないのでしょう
か。

 まあ、いずれにしても、G20を前にガイトナー財務長官は、G20諸国にお手紙を書いたとい
います。


 I am writing to offer some suggestions for our meeting later this week. We
are obviously at a moment when the world is looking to the G20 to provide
a stronger commitment to work together to address the major challenges to
a sustainable global recovery. I know that some of you will want to reserve
any substantive agreement until the November Leaders' Summit, but I
think we should take advantage of the presence of the central bank
governors to try to reach agreement on the broad elements this weekend,
and put those in a report to our Leaders.

「今週末の会合において幾つかの提案を致したく、手紙を書いています。世界はまさにG20
が持続可能な世界経済の回復に向けて協調して取り組むことを、今見守っているのです。
貴方がたのなかには、実質的な合意は11月のサミットまで保留しておきたいという意見の人
がいることを私は知っていますが、折角各国の中央銀行の総裁が出席するのでそれを生か
し、今週末の時点で幅広い事項に合意し、そして、それをリーダーたちへの報告書に盛り込
みべきであると考えるわけです」

 ということで、今回のG20は、それ自体で完結することを目指しているというよりも、この後、
サミットが控えているということで、そのサミットで最終合意に達するように今回のG20会合で
よく話し合いをしましょうということのようです。


Building on Pittsburgh's Framework for Strong, Sustainable, and Balanced
Growth and Toronto's commitments on addressing sovereign debt
sustainability, here are three specific suggestions designed to provide a
stronger framework of cooperation on international financial issues:

「強力で、持続可能であり、そして均衡の取れた成長のためのピッツバーグの枠組み、そし
てまた、財政の持続可能性に対するトロントの確約、それらに加えてここに、国際金融問題
に関する強固な枠組みを提供するための3つの提案をお示しします」

 米国としては3つの提案があるのだ、と。

First, G20 countries should commit to undertake policies consistent with
reducing external imbalances below a specific share of GDP over the next
few years, recognizing that some exceptions may be required for countries
that are structurally large exporters of raw materials. This means that G20
countries running persistent deficits should boost national savings by
adopting credible medium-term fiscal targets consistent with sustainable
debt levels and by strengthening export performance. Conversely, G20
countries with persistent surpluses should undertake structural, fiscal, and
exchange rate policies to boost domestic sources of growth and support
global demand. Since our current account balances depend on our own
policy choices as well as on the policies pursued by other G20 countries,
these commitments require a cooperative effort.

「第一に、G20諸国は、今後数年間のうちに対外収支の不均衡額を対GDP比で一定の額に
減らすための政策に取り組むことを言明する。但し、原材料の主要な輸出国については例外
を認めることが必要になるかもしれない。このことは、一貫して赤字を計上しているG20諸国
は、持続可能な財政赤字額にまで赤字を減らす中期財政目標を採用することによって、そし
てまた、輸出を強化することによって国の貯蓄を高めることを意味する。反対に、一貫して黒
字を計上しているG20諸国は、内需の拡大したり、また世界の需要を支援するための構造
調整策や財政政策、或いはそのための為替政策を採用しなければならない。経常収支とい
うのは、各国の政策と同様に他のG20諸国の追求する政策に依存しているために、こうした
ことを確約するためには、協調して行うことが必要になる」

 
 今の世界経済は、経常黒字国と経常赤字国がはっきりしてしまっている、と。これをもう少し
バランスが取れたものにすべきだというのが、アメリカの主張のようなのですが、どうなので
しょう? 何故って、アメリカは市場経済をどこの国よりも信奉する国でありながら、市場原理
を修正しようと言っているからなのです。

 一貫して黒字の国‥、どこでしょう?

 それは、中国、ドイツ、そして、日本。

 では、赤字の国は?

 それは、米国‥

 では、例外扱いをされる国は?

 原油輸出国のサウジアラビアを指しているのでしょうか。米国とも仲がいい訳ですし‥

 工業製品を輸出して多額の黒字を計上するけしからんが、原油を輸出して多額の黒字を計
上するのは何故認められるのでしょうか? 
論理の一貫性が感じられません。

 

Second, to facilitate the orderly rebalancing of global demand, G20
countries should commit to refrain from exchange rate policies designed to
achieve competitive advantage by either weakening their currency or
preventing appreciation of an undervalued currency. G20 emerging market
countries with significantly undervalued currencies and adequate
precautionary reserves need to allow their exchange rates to adjust fully
over time to levels consistent with economic fundamentals. G20 advanced
countries will work to ensure against excessive volatility and disorderly
movements in exchange rates. Together these actions should reduce the
risk of excessive volatility in capital flows for emerging economies that have
flexible exchange rates.

「第二に、世界の需要を秩序だった方法で再び均衡化させるために、G20諸国は、通貨安競
争や、安く評価された通貨価値の上昇を妨げるなどの方法で競争力を確保するような為替
政策を慎むことを確約する。G20諸国のうちで過小評価された通貨を保有し、また十分な外
貨準備を保有している新興市場国は、自国の通貨の価値を時間をかけて経済ファンダメンタ
ルズに一致するレベルに調整することを認める必要がある。G20のうちの先進諸国は、為替
レートの行きすぎた変動や乱高下を抑えるために努力する。こうした措置が一緒になって、
変動相場制を採用している新興国経済への資本の流れが過度に変動するというリスクを減
少させるであろう」

 中国とは言っていませんが、誰が見てもすぐ中国のことだと分かります。中国は、少々時間
がかかってももっと人民元を切り上げて欲しい、と。

 で、自分たち先進国はと言えば、急激なドル安が起こったりして新興国側に迷惑をかけるこ
とがないように努力したい、と。つまり、通貨戦争状態にあるといって米国を非難したブラジ
ルのことを配慮しているわけなのです。


Third, the G20 should call on the IMF to assume a special role in monitoring
progress on our commitments. The IMF should publish a semiannual report
assessing G20 countries' progress toward the agreed objectives on external
sustainability and the consistency of countries' exchange rate, capital
account, structural, and fiscal policies toward meeting those objectives.

「第三に、G20はIMFに対して、我々の誓約がしっかりと守られているかどうかを監視する役
割をお願いすることになる。IMFは、G20諸国の状況、つまり対外収支の持続可能性、為替
政策の一貫性、資本収支の状況、そして、そうした目標に向けた構造調整政策や財政政策
について評価した報告書を半年に1回公表することとする」

With progress on these fronts, we should reach final agreement on an
ambitious package of reforms to strengthen IMF's financial resources and its
financial tools, and to reform the governance structure to increase the voice
and representation of dynamic emerging economies.

「こうした点に関して合意を見た上で、我々は、IMFの財源と財源手段を強化するための、そ
してまた、新興国経済の発言権と代表権を拡大させるガバナンス改革のための野心的パッ
ケージに合意することになる」

 で、最後に、IMFの発言権の問題を取り上げているわけです。中国などの新興国側は、
IMFの投票権の拡大を求めているわけですが、米国の要望を聞いてくれないと、そっちも実
現しないよ、と。

 米国が一人で頑張っているということですね。





 ガイトナー長官の言いたいことは分かったけど、合意は難しいだろうと思う方、クリックをお
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 ガイトナー財務長官がウォールストリートジャーナル紙に対し述べたことが、ドル高円安に
向かわせたと言われています。

 ガイトナー長官は一体どんなことを言ったのでしょうか。
 

Treasury Secretary Timothy Geithner said he would use weekend meetings 
of G-20 finance ministers to advance efforts to "rebalance" the world 
economy so it is less reliant on U.S. consumers, to move toward
establishing "norms" on exchange-rate policy, and to persuade others the
U.S. doesn't aim to devalue its way to prosperity.

「ガイトナー財務長官は、今週末のG20の財務相会合を利用して、世界経済がこれまでのよ
うに米国の消費者に依存することがなくて済むように世界経済を再均衡化させる努力をした
いと言った。そしてまた、為替政策を正常化させる方向に努め、そして、米国が為替の切り下
げを通して経済成長を図ろうとしているのではないことを他国に説得したいと」

<中略>

Mr. Geithner divided world currencies into three groups. In one, he put
countries with currencies "undervalued by any measure," especially China.
He said, though, that if the pace of appreciation seen since September
were sustained, it would help correct the undervaluation. Other
emerging-markets play a role, he said.

「ガイトナー氏は、世界の通貨を3つのグループに分類する。第一のグループは、何らかの
手段によって通貨の価値が割安になっている通貨であり、特に中国のことである。もっとも彼
は、9月以降の人民元の切り上げのペースが維持できたとするならば、通貨価値の是正に役
立つであろうとも言った。彼は、他の新興経済国も役割を果たすと言った」

"If China knew that if it moved more rapidly, other emerging markets
would move with them, it would be easier for them to move," Mr. Geithner
said.

「もし中国がもう少し素早く行動したとすれば、他の新興市場も中国に追随するであろうとい
うことを、仮に中国が知っていたとすれば、彼らも動きやすくなるのに、とガイトナー氏は言った」

In a second group, he put "emerging economies with flexible exchange
rates that intervene or impose taxes to try to reduce the risks of
significant overvaluation, of bubbles and of inflationary pressures."
The U.S. isn't objecting to such efforts.

「第二のグループは、変動相場制を採用している新興経済国であり、通貨価値が割高になる
リスクや、バブル或いはインフレ圧力のリスクを回避しようとして市場に介入したり関税をか
けたりしている国である。米国は、そうした措置に反対するものではない」


In the third group, he put "the major currencies, which are roughly in
alignment now," a suggestion that he sees no need for the dollar to sink
more than it already has against the euro and yen. Mr. Geithner
emphasized that the U.S. is not pursuing a deliberate policy of devaluing the
dollar. Earlier this week, speaking in Palo Alto, Calif., he said that no
country can "devalue its way to prosperity and competitiveness."

「第三のグループは、現在調整段階にある主要通貨のグループであり、彼は、ドルはユーロ
や円に対して既に価値が低下した以上に更に価値が下がる必要はないと見ていることを示
唆した。ガイトナー氏は、ドルの価値の引き下げを画策しているわけではないと強調した。今
週、彼はカリフォルニアのパロアルトで、如何なる国も通貨価値を切り下げて繁栄することも
できなければ競争力をつけることもないといった」


 円は第三グループに分類されていて、ドルは、円に対してこれ以上安くなる必要はないの
だ、と。

 どう思いますか? こんなに日本のことを意識した発言は珍しいのではないのでしょうか?

 人民元の介入を止めさせるためには、日本に対しても介入を自粛して欲しいと考えている
のかと思ったら、もうこれ以上円高ドル安になる必要はないのだ、と。
多分米国としては、こ
の際日本を敵に回すよりも、日本を米国側に取り込み、G20での発言力を増そうとしていると
いうことではないでしょうか。本当は、円は、さらに高くなってもらってもいいのだが、この際
は、人民元一本に絞ろう、と。そういう作戦なのでしょう。まあ、だから、第二のグループのウ
ォンについても、介入に反対はしないと言っているのでしょう。

 それにしても、昨日の仙谷官房長官の発言も気になります。

 「今回のような安全保障環境の変化という事態の中では思いやり予算も重要性が増してい
る」

 重要性が増しているということは、思いやり予算を増やすということでしょうか。少なくても削
ることはないでしょう。

 魚心あれば水心!

 You scratch may back, I'll scratch yours.

 思いやり予算を増やしてもらうかわりに、円に対してリップサービスを行った?


 私は、思いやり予算を増やすことには賛成できません。

 それはそれ、これはこれ。

 いずれにしても、ガイトナー財務長官がリップサービスをしてくれたことで、日本側としては
益々介入がしづらくなっているのではないでしょうか。だ
ったら記録更新もあり得るということ
です。

 

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 中国の利上げの影響でドル高に振れたかと思ったのですが、もうドル安に戻っているようで
す。 

 それはそうと、今回の中国の利上げで気になったことがありませんか?

 「中国は、貸出金利や預金金利を直接上げることができるので、そこが凄い!」

 そう言われたら、日本やアメリカなどは政策金利の誘導目標値というのを変更し、それによ
って貸出金利や預金金利に間接的に影響を及ぼそうとするのに対し、中国は、そんなまどろ
っこしいことをする必要がないのですよね。

 非常に単純明快。しかし、それだけに少し怖い気もする訳です。民意よりも中央の判断が
優先するのか、と。で、中央の判断がいつも民意よりも優れているとは限らないわけで‥


 「で、気になったこととは?」

 そうです、そうです。今回の利上げの幅を聞いて何か感じませんでしたか?

 「0.25%でしょ。大体利上げをする時は、アメリカでも日本でも0.25%ずつ上げることが多
いよね」

 まあ、それはそうなのですが‥、中国の場合には、これまで0.27%とか0.54%刻みで上
げていました。

 「知らない‥」

 例えば、3年ほど前の2007年7月23日のブログの記事で、何故中国は0.27%刻みで金利
を引き上げるのかかと書いています。理由を知っている読者の方がいたら教えて、と。
で、そ
うしたら読者の方から反応があって、縁起が良いとされている9の倍数ではないのか、とのお
便りがあったこと記憶しています。

 そんなに縁起が良いものであるのであれば、何故今回から止めてしまったのか?

 0.25%刻みだなんて、米国や日本と同じではないか、と。

 でも、0.27%が幾ら縁起がいいといっても、4回の利上げの合計は、0.27%×4=1.08%
で‥、0.27%刻みだと面倒くさいのですよね。これが0.25%刻みであれば、4回利上げをす
れば1%だと、簡単に分かるわけですから。

 つまり、中国と言えども少しずつ少しずつ変わりつつあるということです。

 確かに反日デモが続いているようですが、でも、どうも表情は幾分穏やかそうになっている
ようですし、服装も昔とは相当違ってきています。

 で、その中国は今思っているわけです。「日本の轍を踏む訳にはいかない」

 これ、どこかで聞いた台詞ですよね。そうです、そうです、アメリカの台詞です。アメリカでも
物価の上昇率が低くなっており、ひょっとしたらデフレに陥る危険性があるが、それは何とし
ても回避しなくてはならない、と。

 では、中国でもデフレの恐れがあるこということなのか?

 そうではないのです。中国が日本の轍を踏む訳にはいかないと言うのは、日本が低金利政
策を長引かせたせいでバブルを引き起こしたことを言っているのです。

 つまり、米国も中国もともに日本のようになりなくないといって、米国は超緩和策を長引かせ
ているのに対し、中国はその反対に利上げが必要であるのだ、と。

 中国の預金金利は、今回の利上げによって1年もので2.5%になると言います。で、その一
方で、8月の消費者物価指数の上昇率は3.5%であるということですから、手持ちの現金を
銀行に預けておいても、1年で1%の目減りを強いられることになってしまうわけです。
となれ
ば、人々は、インフレが起きても損失を被らないようにと、値上がりの見込める不動産などに
投資しようとするのは理解できることでもあるわけです。

 でも、そうした結果、中国では投資目的でのマンションの購入が増加し、空き室が目立つマ
ンションが増加しているのだとか。

 これ以上不動産価格の上昇を招くような金融政策は緩和し過ぎであるとも言えるわけです
が、しかし、急ブレーキをかければバブルの崩壊が一気に起こり、それは大変に危険なこと
であるわけです。
不動産価格が低下することはないが、上昇もすることがないように少しずつ
緩やかに金融を引き締めていくことが必要ではないのでしょうか。ということは、急激に人民
元を切り上げることは望ましいとは言えないが、人民元の緩やかな上昇を認める方は中国に
とっても有意義だということです。


 
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