今回の日中両国による国債の持ち合いの合意に関しては、いろいろな解釈が成り立ちますが、
それでも一つだけはっきりしていることがあるのです。それは、中国が人民元の地位をもっと高めようとしている、ということです。
人民元の地位を高めるということは、どういうことなのか? 人民元の価値を切り上げるということなのか?
いいえ、そんなことを考えているのではないのです。否、むしろ人民元の価値は徐々に上がっていけばいいのであって、急速に価値が上がることを認めてしまえば、中国の輸出産業は大打撃を受けてしまうではないか、と。
人民元の地位を高めるというのは、人民元の国際化を進めるということであるのです。では、人民元の国際化とは何か?
簡単に言えば、世界中の国々が人民元をもっと保有するようになり、貿易の決済通貨などとして人民元が今よりもっと使用されることになるのを意味しているのです。
今や世界第二位の経済大国にのし上がった中国。アメリカのスーパーマーケットやデパート、或いは各家庭を覗いてみれば、中国製品でいっぱいになっていることに今更ながらに驚かされる訳
なのです。否、もはや驚くことなどないのです。安い中国製品を抜きにした毎日の生活など考えられなくなっている、と。今年のクリスマスプレゼントととしても、大量の中国製のおもちゃが購入されたことでしょう。
中国の権力者たちの野望は、今、半分達成されたと言っていいのです。
長い長い我慢の時代。今、ようやく世界に胸を張るようになることができた、と。アメリカに一番モノを供給しているのは中国。そして、アメリカに一番お金を貸しているのも中国。幾らアメリカが中国に圧力をかけようとしても、自ずから限度があるのです。一体全体、それだけ借金がある国に対して本気でものなど言えるものか?
中国に文句を言え、とか圧力を掛けろと言っているのは、事情がよく分かっていない政治家たち
だけなのです。
ただ、そうはいっても、中国の野望はまだ全てが実現された訳ではないのです。中国製品は世界の至る所で見受けられるようになった。何と嬉しいことか。この感情は、日本人がかつて経験したものと同じでしょう。日本人がアフリカなど世界中を旅行したときに、思いもかけず日本製の車が走っている光景を見て‥ああ日本は経済発展を遂げたと感じたものなのです。
ただ、そうして中国製品は世界中で見受けられるようになったのですが‥中国の通貨、つまり人民元はまだまだ活躍しているとは言えないのです。つまり、中国の次なる野望は、この人民元を世界に普及させることにあるのです。そして、そのための準備を今着々と進めている、と。
モノとお金で凌駕することができれば、中国は世界ナンバーワンになる。中国のGDPがアメリカに追いつく前に、何としても人民元の地位を引き上げる必要がある。世界中が認める人民元にしたい、と。
では、どうするのか?
先ずは、今はドルによる決済が当然視されている慣行を、少しずつ改めさせることが必要である。つまり、貿易の決済を人民元建てで行うようにしたり、人民元建ての資本取引を活発化させる
ことが必要である、と。
例えば、海外の一流企業が、人民元建ての債券を中国本土で発行するようなことをもっと活発に
できないか。或いは、海外の中央銀行が、外貨準備として人民元建ての中国国債を保有することを促進することができないか。
そして、そうやって人民元がドルに代る日が到来すれば、その人民元の発行権を握っている中国当局が、世界の通貨の発行権を握ることになり、名実ともに中国は世界一になれる、と。
それが、中国が描いているシナリオであるのでしょう。では、将来、そのシナリオは実現する可能性があるのか?
しかし、中国の野望には大きな矛盾が潜んでいるのです。
人民元が国際化するということは、海外の国々、海外の企業による人民元に対する需要が増えることなしには実現する訳などないのです。
では、どうやったら人民元に対する需要は増すのか? どうやったら人民元の魅力は増すのか?
そのためには、人民元が自由に取引されることを認めるしかないのです。つまり、人民元の使い勝手をよくすることが必要であるのです。使い勝手が悪いままでは、魅力が増すことなどないのです。つまり、市場原理に任せることなしには、人民元の需要が増えることはないのです。
つまり、今までのようながんじがらめの為替制度下では、誰も安心して人民元を保有したいとは
思わないということなのです。
ということになれば、中国当局は、人民元の国際化のために、思い切って為替の自由化を進めるしかなくなる訳です。しかし、為替の自由化を一気に進めるとなると、当然のことながら人民元は、今以上に投機の対象にもなり、人民元の価値は急上昇するでしょう。そして、人民元の価値が急上昇すれば、今までのようにハイペースで輸出を続けることはできなくなるのです。
結局、人民元の国際化という野望を中国が求め続ける限り、中国は次第に為替の自由化を進めざるを得ず、そうなると、今までのように為替レートを自由にコントロールすることができなくなるのです。結局、中国も、市場原理に従うしかなくなる、と。
中国は、人民元の国際化を進め、中国の国際社会におけるプレゼンスをもっと高めたい。日本政府はそれを察知して、人民元の国際化を促進するお手伝いをすると、中国に申し出る。そして、中国は日本政府の申し出を受け入れる。で今後は、さらなる人民元の国際化に向けて様々な具体策を1つずつ実施していく。そして‥それでもなお、人民元の需要が高まらず、国際化の歩みが鈍いことに気が付く中国政府がどう判断をするかということであるのです。
もし、中国政府がもはや後戻りできないというのであれば、為替レートの決定を市場原理に任せるしかないということになるのです。
今回の国債持ち合いの合意は、米国にもゴマを摺ったものであるのです。
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それでも一つだけはっきりしていることがあるのです。それは、中国が人民元の地位をもっと高めようとしている、ということです。
人民元の地位を高めるということは、どういうことなのか? 人民元の価値を切り上げるということなのか?
いいえ、そんなことを考えているのではないのです。否、むしろ人民元の価値は徐々に上がっていけばいいのであって、急速に価値が上がることを認めてしまえば、中国の輸出産業は大打撃を受けてしまうではないか、と。
人民元の地位を高めるというのは、人民元の国際化を進めるということであるのです。では、人民元の国際化とは何か?
簡単に言えば、世界中の国々が人民元をもっと保有するようになり、貿易の決済通貨などとして人民元が今よりもっと使用されることになるのを意味しているのです。
今や世界第二位の経済大国にのし上がった中国。アメリカのスーパーマーケットやデパート、或いは各家庭を覗いてみれば、中国製品でいっぱいになっていることに今更ながらに驚かされる訳
なのです。否、もはや驚くことなどないのです。安い中国製品を抜きにした毎日の生活など考えられなくなっている、と。今年のクリスマスプレゼントととしても、大量の中国製のおもちゃが購入されたことでしょう。
中国の権力者たちの野望は、今、半分達成されたと言っていいのです。
長い長い我慢の時代。今、ようやく世界に胸を張るようになることができた、と。アメリカに一番モノを供給しているのは中国。そして、アメリカに一番お金を貸しているのも中国。幾らアメリカが中国に圧力をかけようとしても、自ずから限度があるのです。一体全体、それだけ借金がある国に対して本気でものなど言えるものか?
中国に文句を言え、とか圧力を掛けろと言っているのは、事情がよく分かっていない政治家たち
だけなのです。
ただ、そうはいっても、中国の野望はまだ全てが実現された訳ではないのです。中国製品は世界の至る所で見受けられるようになった。何と嬉しいことか。この感情は、日本人がかつて経験したものと同じでしょう。日本人がアフリカなど世界中を旅行したときに、思いもかけず日本製の車が走っている光景を見て‥ああ日本は経済発展を遂げたと感じたものなのです。
ただ、そうして中国製品は世界中で見受けられるようになったのですが‥中国の通貨、つまり人民元はまだまだ活躍しているとは言えないのです。つまり、中国の次なる野望は、この人民元を世界に普及させることにあるのです。そして、そのための準備を今着々と進めている、と。
モノとお金で凌駕することができれば、中国は世界ナンバーワンになる。中国のGDPがアメリカに追いつく前に、何としても人民元の地位を引き上げる必要がある。世界中が認める人民元にしたい、と。
では、どうするのか?
先ずは、今はドルによる決済が当然視されている慣行を、少しずつ改めさせることが必要である。つまり、貿易の決済を人民元建てで行うようにしたり、人民元建ての資本取引を活発化させる
ことが必要である、と。
例えば、海外の一流企業が、人民元建ての債券を中国本土で発行するようなことをもっと活発に
できないか。或いは、海外の中央銀行が、外貨準備として人民元建ての中国国債を保有することを促進することができないか。
そして、そうやって人民元がドルに代る日が到来すれば、その人民元の発行権を握っている中国当局が、世界の通貨の発行権を握ることになり、名実ともに中国は世界一になれる、と。
それが、中国が描いているシナリオであるのでしょう。では、将来、そのシナリオは実現する可能性があるのか?
しかし、中国の野望には大きな矛盾が潜んでいるのです。
人民元が国際化するということは、海外の国々、海外の企業による人民元に対する需要が増えることなしには実現する訳などないのです。
では、どうやったら人民元に対する需要は増すのか? どうやったら人民元の魅力は増すのか?
そのためには、人民元が自由に取引されることを認めるしかないのです。つまり、人民元の使い勝手をよくすることが必要であるのです。使い勝手が悪いままでは、魅力が増すことなどないのです。つまり、市場原理に任せることなしには、人民元の需要が増えることはないのです。
つまり、今までのようながんじがらめの為替制度下では、誰も安心して人民元を保有したいとは
思わないということなのです。
ということになれば、中国当局は、人民元の国際化のために、思い切って為替の自由化を進めるしかなくなる訳です。しかし、為替の自由化を一気に進めるとなると、当然のことながら人民元は、今以上に投機の対象にもなり、人民元の価値は急上昇するでしょう。そして、人民元の価値が急上昇すれば、今までのようにハイペースで輸出を続けることはできなくなるのです。
結局、人民元の国際化という野望を中国が求め続ける限り、中国は次第に為替の自由化を進めざるを得ず、そうなると、今までのように為替レートを自由にコントロールすることができなくなるのです。結局、中国も、市場原理に従うしかなくなる、と。
中国は、人民元の国際化を進め、中国の国際社会におけるプレゼンスをもっと高めたい。日本政府はそれを察知して、人民元の国際化を促進するお手伝いをすると、中国に申し出る。そして、中国は日本政府の申し出を受け入れる。で今後は、さらなる人民元の国際化に向けて様々な具体策を1つずつ実施していく。そして‥それでもなお、人民元の需要が高まらず、国際化の歩みが鈍いことに気が付く中国政府がどう判断をするかということであるのです。
もし、中国政府がもはや後戻りできないというのであれば、為替レートの決定を市場原理に任せるしかないということになるのです。
今回の国債持ち合いの合意は、米国にもゴマを摺ったものであるのです。
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