経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2012年01月

 そこの貴方! そう貴方です。中国はバブルだなんて思っていませんか? そして、バブルである以上、破裂するのは当然だなんて。

 確かに上海などの大都会では、マンション価格の急落が起きていると言われるのですが‥でも、まだかつての日本のような状況にはなっていません。そして、アメリカで住宅バブルが弾けたときのようにも。

 中国人は依然として騒々しい、もとい、元気ですもの。バブルが弾けてしょんぼりしているのであれば、もう少し勢いも鈍るというものです。それに、例えばGDPの伸び率にもそれが反映されるでしょう。

 しかし、以前としてGDPの伸び率は高い。あんなに高い経済成長率を続けておいて、バブルが弾けたなんていっても‥

 但し、温家宝首相はこんなことを言っているのです。

 「(地方政府債務は)全般に安全で管理可能(にある)」

 何故今どき、中国の首相がそんなことを言うのでしょう?

 中国通の方ならもうご存知ですよね。そうなのです。中国の銀行が地方政府に貸し付けている(とはいっても、直接的には地方政府の子会社である地方融資平台に貸し付けている)債権が焦げ付いているのではないかと言われているのです。現に、元本の返済をできないでいる貸付金が増えているのだ、と。

 返済期限が迫っているのに返済することができない貸付金が大量に存在していて、銀行経営に深刻な影響を及ぼしているのではないかと心配されており、従って、そうした不安を一掃する意味で上記の首相の発言になったようなのです。

 でも、どうして地方政府はお金を返すこができないのか? どうしてでしょう?

 実は、地方政府が融資平台という子会社を通じて借りているお金の多くは、土地開発などのために使われているらしく、地方政府は安い価格で土地を収用し、そして土地を付加価値を高めた上で売り抜く、と。つまり、土地取引によってもたらされる収益で、借金の返済をするつもりでいるのですが、ご承知のように不動産の価格が上昇するときにはこのビジネスモデルは成功ですが、一旦価格が低下しだすと、アメリカの住宅バブルと同じで返済財源に支障を来し、いっぺんに不良債権になってしまうのです。

 「だったら、中国もバブルが弾けたんだ!」

 確かに、そういう表現ができるかもしれません。中国もバブルが弾けた、と。しかし、弾けたとはいっても、その規模はかつての日本や米国ほどではないのです。まだまだ傷は小さい、と。銀行の融資残高に占める不良債権比率も、まだ4〜5%にとどまるのではという見方もあるのです。不良債権の比率で言えば、例えば今から10年以上前の頃の方が遥かに高かった、と。

 ということで、温家宝首相の肩を持つ訳ではないのですが、まだまだコントロール可能な規模であり、これによって中国経済が墜落することはないであろう、と思うのです。

 中国がオリンピックを開催して4年。万国博覧会も開催し‥そして、多くの中国人が世界各地を訪れ‥その姿は日本のかつての農協を連想させるものですが、日本でバブルが弾けるのはまだまだ後のことだったのです。

 日本では、確か1975年前後から不況の色が強まってくるのですが、その直前はミニバブルの様相を呈していたのも事実です。土地の価格も上昇し、そして、就職戦線は売り手市場で、企業側は確保した学生に逃げられないようにと、内定を出した学生たちをハワイなどに連れて行ったりしていたものでした。今では信じられないできごとです。

 しかし、日本でバブルが弾けるのは、その後15年ほどが経ってからのことなのです。従って、私は今中国で起きている現象はミニバブルに過ぎず、本当のバブルは今暫く経ってから、つまり中国経済が米国経済を追い抜くころにやってくると思うのです。

 何と言っても、経済規模でアメリカを追い抜き世界一になれば、誰だって有頂天になるというものです。そのときになって本当のバブルが発生するでしょう。そして、その反動は予想もできないものに
なるでしょう。

 だから、まだバブルは弾けていないと認識すべきなのです。

 中国では、地方政府の債務問題の他にも、闇金が問題になっていると言います。この現象も日本で起きたことと同じですが、違う面もあるのです。暴利をむさぼる、つまり途方もない金利でお金を
融資するのは同じですが、闇金のお金の出所が、場合によっては一般人のへそくりであることも多いと言うのです。そして、そうやって出資したお金が返済されることがなく、庶民がデモを繰り広げたりするというのです。闇金ではありませんが‥日本では、出資法違反の事件がありました。

 で、何故中国の一般人が闇金に出資するかと言えば、金利が低くて、その一方で物価が高いので、お金の価値が目減りしてしまうからというのです。

 金融を緩和しすぎると思わぬ副作用があることにも注意すべきです。



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 来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、先週のことを言うと、鬼はどうするのでしょう?

 感心する、それとも怒る、それとも寝てしまう?

 先週、オバマ大統領の演説がありましたよね。どう思いました?

 私は、二つのことが印象に残っています。というよりも、よくよく考えていたら二つのことが気になったというべきでしょうか。

 一つは、オバマ大統領の中国叩きが再開したということです。

 まあ、どの位本気かどうかは別として、中国が貿易面でフェアではないことを訴え、中国に厳しく接するという態度を鮮明にし‥選挙民に訴える作戦のようなのです。そしてそのことは、ガイトナー財務長官の今回のダボス会議のスピーチでも感じられたのでした。

 ガイトナー財務長官と言えば、オバマ政権発足直前の時点では、中国が為替を操作していると大統領は信じていると発言し、当時注目を浴びました。もちろん、選挙民の支持を取り付けようとしたのだと思います。しかし、オバマ政権発足と同時に、ガイトナー財務長官の厳しいトーンは一転したのです。そして、中国を批判するよりも、むしろ中国に気を使うことが多くなったのです。

 ということで、今回オバマ大統領が中国を厳しく批判しているのも、ひとえに大統領選をにらんでのことだと思うのです。

 そして、もう一つ印象に残っていることがあります。それは、多くの人も同じように感じているかもしれませんが、オバマ大統領が米国の製造業回帰に並々ならぬ熱意を示していることです。確かに、今米国のビッグ3が蘇り、なんとなく自信を取り戻した感のあるアメリカの製造業。税制などの面で国内回帰企業に対し優遇装置を与えると、益々海外脱出組がアメリカに戻ってきるようになり、そうなれば雇用も回復するのではと期待したいのでしょう。

 日本の雰囲気で言えば、企業の海外脱出、つまり空洞化は避けて通れない現象だと思われるのに、では何故オバマ大統領は自信があるのかと言えば、最近、中国人労働者の人件費は急騰する傾向にあり、また、ストライキなどの問題もあり、トータルで考えると必ずしも中国移転が安くつくとは限らないということのようなのです。

 それに、もっと重大なことも言っているのです。オバマ大統領は、米国の労働者の生産性は中国の労働者の生産性の10倍あると言うのです。

 この発言、調べてみるとオバマ大統領の独自の考えというよりも、どうもアメリカの専門家の意見であるのです。

 確かに、米国の労働者の生産性が10倍も高いなら、幾ら中国人労働者の人件費が米国人の1/10であっても、安いことはなく、当たり前になってしまうのです。何故ならば、平均的米国人労働者が、平均的中国人労働者の10倍の働きをするのであれば、前者が後者の10倍の給与をもらっても当たり前であるからです。

 となれば、幾ら表面的に相当に安いように見える中国の人件費も、本当はそれほど魅力のあるものではないということで、それならば、また米国に戻って米国人労働者を雇うことにしようか、と。

 はい、そこの貴方! そうそう貴方です。このオバマ大統領というか、米国の専門家たちの意見をどう思いますか?

 仮に、その主張が正当なものであって、そして日本人の労働者の生産性も、中国人労働者に比べこのように相当高いものであることが証明されたとしたら如何でしょうか?

 日本の企業も、海外脱出なんて馬鹿なことは止めた方がいいということなのでしょうか?

 でも、多くの企業は、本音としては実質的にも海外の労働者の人件費の方が安いと実感しているのです。もちろん、能率などを総合的に判断しての話です。そうでなければ、わざわざ海外に脱出することなどしないのです。

 ところで、貴方は、日本のサービス産業の問題点というのをご承知でしょうか?

 サービス業の問題点といってもいろいろあるでしょうが、私が言いたいのは、近年、我が国の政府関係者が特に関心を示してきた問題です。

 そうなのです。日本のサービス産業は、生産性が低いので、それを引き上げることが課題だなんてことが真剣に議論されてきていたのです。で、生産性を上げるためには、極力パソコンなどを活用して‥なんて。

 まあ、私は、パソコンの活用を批判するものではないのですが‥だからと言って、何とかの一つ覚えみたいに何でもかんでもパソコンさえ導入し、ネットにつなげば、即生産性が上がるなんて考える単純さにいささか驚きを感じてしまうのです。

 そんなことして、例えばどうして理髪店の生産性が上がるの? 顧客の名簿をパソコンで管理して、偶には営業用のはがきでも送る?

 私は、何を言いたいのか?

 実は、日本の労働問題の専門家も、そしてアメリカの産業問題の専門家も、生産性の意味をはき違えている恐れがあるのです。

 まあ、難しい議論をする前に、そもそもアメリカ人の労働者が中国人の労働者の10倍も生産性が高いという主張をどう感じますか?

 そんな話を聞かされると、アメリカ人なら、少しばかりおもはゆい、というか嬉しくなるでしょう。やっぱりアメリカはナンバーワンだ、と。

 しかし、中国人は、その話をどのように感じるでしょう? 「中国人の労働者は、アメリカ人の労働者の1/10しか働かない? そんなバカな!」

 では、中立の立場の日本人からすれば、その主張をどう評価すべきでしょう?

 確かに、例えばビル・ゲーツだとかスティーブ・ジョブズなどのことを考えると、アメリカ人のなかには驚くべき才能を持った人がいるのは、そのとおりなのでしょうが‥しかし平均すると、それほどの違いはないのではないでしょうか? まあ、これが特殊な才能を要する労働者の場合であれば、生産効率が何倍か高いという事もあり得るでしょうが、例えば、パソコンを組み立てたり、シャツを製造したり、或いはバービー人形を作ったりする仕事において、アメリカ人は中国人の10倍も能率がいいなどということがあり得るのか?

 答えは、ノー。

 その一方で、実際の統計上の生産性という意味での米国人労働者の生産性が、中国人労働者の生産性の10倍あるというのは本当であるのです。

 しかし、この場合の「生産性」の意味をよく理解する必要があるのです。

 生産性とは、何でしょうか? 常識的な意味では、生産効率というか、能率というか、そういったことを意味する訳ですが、統計的に算出させる生産性とは、次のような式になっているのです。

     労働生産性=生産量(付加価値)÷労働量(従業員数)

 いいですか? 生産性は、生産量を投入労働量で割ったものということですから、1単位当たりの労働が生み出す生産量を指す訳ですが、注意しなければならないのは、その場合の単位当たりの生産量は、あくまでも付加価値で表示されるということなのです。付加価値とは、その単位当たりの生産物に幾らの価値が付くかということです。

 つまり、中国人の労働者の場合には、ある製品を1日の労働によって10単位生産することができ、その一方で、アメリカの労働者の場合にも10単位生産することができても、中国人のその10単位の製品の価値が10ドルにしか過ぎず、他方でアメリカ人労働者が生産する10単位の製品には100ドルの価値がつくならば、アメリカ人労働者の生産性は、中国人の10倍になる訳です。

 もちろん、その際、アメリカ人の生産する製品の品質などが大変優れている場合も考えられるのですが、全く同じ品質の製品しか作っていないことも考えられるのです。では、何故、アメリカ人の製品は中国製品の10倍の価値が付くのか? それは、アメリカの製品は、アメリカ人労働者の人件費が高いために、10倍の価格を付けざるを得ないだけのことなのです。

 ということで、労働生産性と言う言葉は、実際の仕事の能率を示す場合もあり得るが、実際には、各国の労働者の人件費というか、所得を反映する場合が多いということに気が付く必要があるのです。

 つまり、日本のサービス業の生産性が欧米に比べ低いというのは、何も日本のサービス産業に携わる人々の能率が悪いということではなく、単に稼ぎが少ないというだけかもしれないのです。

 となれば、アメリカの労働者の生産性が中国に比べ10倍高いという事実は、少しも喜ぶべきことではないことが分かるのです。単にアメリカの労働者の人件費が高いから、生産性が高いという風に見えるだけかもしれないのです。

 オバマ大統領が、その事実を知ったら、多分大変に落胆すると思うのです。

 製造業を回帰させたいという気持ちに水を差す気はないのですが、楽観はできない言いたいのです。中国人の給与水準がもっともっと上がらないことには、米国の製造業の復活はないと言うべきでしょう。

 

 平均的アメリカ人の能率が10倍も高いなんてことはないだろう、と思う方、クリックをお願い致します。
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 はい、そこの貴方! 日曜日なのにブログを見て頂き、ありがとう。

 ところで、質問なのですが、人手不足という言葉を聞いてどう思います?

 「人手不足ではなく、仕事不足じゃないの? 米国じゃ、オバマ大統領は雇用の創造にやっきだし、ユーロ圏も失業率が高くて大変みたいだし‥」

 では、日本ではどうなのでしょう?

 「日本だって、失業率こそ相対的に低いものの、実態はよくないのじゃないの? だって、円高で企業は海外に出ていくし‥」

 だとしたら、やっぱり国内も仕事はないのでしょうか?

 しかし、だとしたら何故仕事不足が起きているのでしょう。市町村が公共事業を実施したくても、人手不足で発注できないのだとか。

 「そんなところがあるの? 何と幸せな‥」

 ところが、その一見幸せそうに見える地域は、一番かわいそうな地域であるのです。というのも、人手不足が起きているのは、被災に遭った地域だからです。ガレキの処理など仕事は幾らでもあるものの、必要な作業員の確保が難しく、そして作業員の確保が難しいので人件費は高騰する、と。

 まあ、そういうことで、仙台の歓楽街は好景気の様相を呈しているというのです。ブランド物の売れ行きもいいし、タクシーのお客さんも増えている、と。

 「へー、そうなの?」

 実は、仙台などの被災地でバブル景気の様相を示しているという話は、これまでテレビなどでは余り報じられてこなかったのです。

 何故でしょう? 伝え方が難しいのでしょうね。被災地の人は大変だというイメージが壊れてしまうからとか、被災地の人々が景気がいいなら、むしろやっかみを買うことにはならないか、とか。

 いずれにしても、この先、被災地の経済はどうなるのでしょうか? 景気が回復することによって人々の生活も活気づき、そしてその効果が全国にも及ぶことが期待できるのでしょうか?

 もし、被災地の景気の良さが全国にまで及ぶことになれば、亡くなった方々にはお気の毒なのですが、経済の面に関しては少しは明るさを取り戻すということで、悪い話ではないのです。

 確かに、ガレキ処理には長い年月と莫大な予算が投じられ、その効果は大きいでしょう。つまり、被災地の土木事業にかかわる人々の懐は久しぶりに潤うことでしょう。そして、そうやって懐が潤うので消費も活発化しバブルの様相を呈するのです。問題は、それが更なる呼び水効果を生み出すかどうかであるのです。

 私は、楽観は許されないと思うのです。何故ならば、今は無限に思える瓦礫の処理も、いつかは終焉を迎えるからです。そうすると、市町村によっては、新たな街づくりなどの復興事業が継続するでしょうが、土木工事の全体量は少しずつ減少するのは確実であるからです。

 それに、大切なことを忘れてはなりません。

 土木工事の仕事が増えたお蔭で、歓楽街の売り上げは飛躍的に伸び、従って、そうした関係者は、如何にも景気がよくなったという気持ちになるのですが‥果たして、日本の富は増えているのか? と。

 確かに土木工事は増えました。しかし、その土木工事によって、例えば、その地域の土地の価値が昔に比べて増したということではないのです。例えば、荒野を開拓することによって農地にすることができたり、市街地を造成することに成功すれば、新たな価値を創造したと言えるのでしょうが、ガレキの処理というのは、ずたずたに破壊された自分たちの町を元の状態に戻す一歩に過ぎないからです。もちろん、そのための土木事業に対し、国や地方自治体からお金が支給される訳ですが、そのお金も、国や自治体の税金や借金によって賄われているに過ぎないのです。

 ケインズの経済学を信じる人からすれば、まあ、それでも景気回復のためには大切なことなのだと主張するでしょう。何故なら、ケインズは、単に地下深く穴を掘らせ、そして再び埋め戻すような仕事でも経済回復のためには有用なのだと真面目に主張したからです。

 でも、単に穴を掘ってまたそれを埋める仕事に国がお金を支給するのであれば、それは単に、生活補助を与えるのと何ら違うところはないのです。何故、そんな行為が景気を回復させるのか?単に、誰かの富を貧乏な労働者たちに再分配しただけではないのか、と。

 しかし、乗数効果があるからとか‥分かったようなことを言うのですよね。

 私は、そのような説を殆ど信じません。真の経済の回復は、自分たちの生産能力を高めるまでは実現しない、と。確かに生産能力を高めるために、需要を喚起することが重要な役割を果たすことがあるにしても、です。需要面だけでは解決することはないのです。やっぱり、本当に富を生産し、そしてそれが再生産されるプロセスをしっかりと打ち立てるまでは、経済の自立回復は期待されないのです。

 別に冷や水をかけるつもりはないのですが‥今の被災地のバカ景気を支えているのは、税金と借金に違いない訳ですら、その税金と借金の分だけ被災地の景気がよくなっても、それは当然というものなのです。

 そうした被災地の景気がよほどの税収をもたらすようになれば別ですが、そのような事態になるまでは、余りぬか喜びしない方がいいと思うのです。

 



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 先日のEUのイラン産原油輸入禁止決定を受けて、イランが対抗手段を打つのでないかと報じられています。

 対抗手段と言えば、もちろんホルムズ海峡の封鎖? なんて思っていませんか。イラン自身がそう言明しているからなのです。

 でも、ホルムズ海峡の封鎖となれば、米国や英国が黙っている訳にはいかなくなってしまうのです。実際ホルムズ海峡が封鎖され、原油の流通に大きな混乱がもたらされると、途方もない損害が
世界経済にもたらされてしまうでしょう。

 ですから、オバマ大統領もそのことに関して、先日、イラン側に書簡を送ったばかりです。軽率なことをするなよ、と。そんなことをすれば、米国として黙って見過ごす訳にはいかないのだから、と。

 それに、アメリカとしては今、戦争などする気もないし、そのための費用を賄えない状況であるのです。アメリカの今の最大の課題は、経済を立て直し、雇用を回復させること。未だに8%台の失業率をなんとしても、あと2%程度は下げたいと思っているでしょう。そのような見通しが立たなければ決して大統領選に立ち向かうことはできない、と。

 では、どうやって雇用を回復させるかと言えば、先日の一般教書演説のとおり。アウトソーシングからインソーシングへ。つまり、海外移転の流れを逆転させる。再び国内回帰を促す。そして、そのためには国内回帰する企業に税制上の優遇措置を施す。或いは、大規模な公共事業を実施する。エネルギー政策を見直す。

 ただ、そのためには莫大な資金が必要となる訳です。しかし、ご承知のとおり、今米国は、財政再建に向かって無駄の削減に努めているところ。一体そのようなお金がどこから出てくるのか?

 その答えが分かっている人は、一般教書演説をよく聴いていた人でしょう。

 そうなのです。オバマ大統領は、国防費を大幅に削減し、それによって浮いたお金の半分を経済の立て直しに利用したいと言っているのです。

 私は何を言いたいのか?

 つまり、今、米国はイランと事を荒立てる余裕などないということです。だからお願いだからホルムズ海峡を封鎖するようなことはしてくれるな、と。イランだって、それは本意ではないだろう、と。

 ただ、イラン側からすれば、そんなことをオバマ大統領が言う位なら、何故、イランに対して制裁など課すのか、と。

 まあ、この辺のところが、なかなか理解しずらいところであるのです。

 イランとぶつかりたいなんて思っていないのに、何故イランを刺激することをするのか、と。しかし、米国からすれば、刺激しているのはイラン側だ、と。

 ねえ、分かりずらいでしょう?

 どっちも刺激しているようにも見え‥しかし、大切なことを忘れてはいけません。

 確かに、イランが核開発をすることによって、イランから米国は刺激を受けているのですが、一番刺激されているのは、米国というよりもイランのすぐそばに位置するイスラエルであるのです。イスラエルは、イランの核開発を大変深刻に受け止めている、と。何故それが分かるかと言えば、イスラエル自身が、イランの核開発は自国の存立を脅かすものだと言っているからです。つまり、イスラエルはいつでもイランを攻撃できる態勢を整えている、と。

 極東の我々から見れば、なんとぶっそうなことか。

 イスラエルとイランの間には、大変な緊張関係が発生しているのです。そして、それを米国は察知して、その緊張が戦争に発展しないようにと気を使っているのです。それに、イスラエル側からは何かと支援や影響を受けている米国ですから。次の大統領選のことも考えなければいけませんし。

 ということで、どうにかイスラエルを宥めたい米国としては、イスラエルに成り代わってイラン側に核開発の中止を求めたい、ということなのでしょう。

 でも、それはイスラエルと米国の論理であって、イランとしては、核開発こそ自国の独立を守る手段であると考えているのでしょう。何故、自分たちが核開発を止めなければいけないのか?イスラエルでさえ、核を保有しているから強気の態度でいられるではないのか、と。

 つまり、イランは核開発を止めることなど考えていないということでしょう。しかし、だからと言ってイランとしても、戦争までする気はない。だから、ホルムズ海峡の封鎖を実際にやるつもりはないかもしれない。しかし、米国やEUから経済制裁を突き付けられたままにしておくこともできない、と。何らかの対抗措置が必要である、と。

 そこで出てきたのが、逆制裁というやつであるのです。イランからの原油の輸入を禁止するというのであれば、自分たちの方から、原油輸出禁止を叩きつけてやろうではないか、と。

 EUのなかでも例えばイタリアなどはイラン原油の輸入に大きく頼っている訳ですから、それが、いきなり輸入ができなくなれば、イタリア経済にとっては大変な打撃になるはずです。それでいいのかと、逆にイランは脅かしをかけようというのです。

 ただ、いずれにしてもそうやってイランが逆制裁を掛けるとなれば、もはやホルムズ海峡を封鎖する必要もなくなるのです。何故ならば、そもそもイランが原油の輸出を止めてしまえば、イランの顔は立つ、と。

 そして、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性が小さくなれば、当然のことながら米国などが軍事的に反応をする必要もなくなるということで、ドンパチの可能性はなくなる訳です。そして、そうなればイランとしては、今まで通り核開発を進めようという魂胆であるのです。

 問題は、そういう事の進展をイスラエルがどう考えるかということなのです。

 事の本質は、イランにあるというよりも、イスラエルにあると考えた方が理解しやすいかもしれない
のです。

 英国や米国は、歴史的経緯を踏まえて、中東の平和実現のためにもっと本気で働く必要があるのではないでしょうか?

 「イランは、原油輸出を禁止することによって、外貨収入が途絶えないの?」

 まあ、中国などに原油を輸出すればいい、或いは、一時的な措置なので特に支障は生じないと考えているということでしょう。

 
 どさくさに紛れてイランの原油を買い叩こうとしている中国って何?
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 昨年の我が国の貿易収支が赤字になり、少し寂しい気持ちになっている方も多いと思います。

 で、貿易赤字が定着するのかという議論はおいておいて、もし仮に貿易赤字が定着するようであれば、我々日本人はどのように対応すればいいのでしょうか?

 貴方はどう思いますか?

 主に二つの答えが予想されるのです。

 「貿易収支が赤字であっても、所得収支で稼ぎ、経常収支では黒字をキープすれば問題はない」

 では、所得収支とは何か?

 所得収支とは、経常収支の一部であり、主に直接投資や証券投資などによりもたらされる配当や利子(支払い分を差し引いた収支)からなるのです。

 つまり、所得収支で稼ぐとは、海外に投資することによって配当や利子収入を得るということですから、上手に資金運用することがポイントになるのです。

 ということで、幾ら日本の輸出競争力が今後弱まり、貿易によって稼ぐことが難しくなっても、その代り、これまでの蓄えを上手に運用することによっていつまでも豊かな生活を維持することができるかも、と。

 「だけど、アメリカはこれからもゼロ金利を続けると言っているし‥」

 そうなのです。世界的な超低利の状態が長引くと、それにともない所得収支が落ち込みが懸念されるのです。それに、幾らこれまでの蓄えがあるといっても、高齢化の進展とともに蓄えの取り崩しが進むでしょうから、本源的な蓄えの源である貿易収支で稼がないことには、という気にもなるのです。

 とすれば、もう一度貿易黒字を維持できるような作戦を練るか、ということになるのですが‥いずれにしても、ここら辺りに大きな誤解があるようでならないのです。

 端的に言えば、貿易収支や経常収支の黒字は、いつまでもいつまでも黒字を維持することが可能なのか、ということであるのです。

 今見てきたように、貿易収支はともかくとして、経常収支の方は、いつまでもいつまでも黒字を維持してきたいと殆どの方が思っていると思います。

 経常収支の黒字がずっと続くということは、蓄えがどんどん増え続けるということなのです。丁度、今の中国がそのような状況にあると考えていいでしょう。アメリカとは正反対に、中国は毎年多額の経常収支の黒字を計上し、それを背景に着実に外貨準備を増やしていっているのです。

 確かに蓄えが増え続けることは、力強くもあり大変に嬉しい!

 では、中国の経常黒字はずっとずっと続くのか? 

 こんな質問をすると、中国以外のアジアの国がさらに追い上げてくるから‥というような答えが予想されるので、世界は米国と中国の二つしかないと仮定しましょう。

 米国は大変豊かな国であった。そして、中国は貧しい国であったが、安い人件費を武器に輸出で稼ぐようになった、と。そして、米国の経常赤字と中国の経常黒字が定着するようになった、と

 さあ、中国の経常黒字体質はいつまで続くのでしょう? そして、米国の経常赤字体質はずっと続くのでしょうか?

 ここまで来ると、気が付く人も多いと思うのです。

 幾ら中国人がドルを貯めこむのが大好きで、輸出で稼ぎまくっても、結局手にするのはドル紙幣。もちろんそのドル紙幣をもっていればこそ、アメリカで好きな買い物もでき、アメリカの高層ビルを買収することもできるのです。

 しかし、中国の経済発展がとことん進み、米国の経済と実質的にも肩を並べるようになると、中国人のドルに対する見方に変化が起きてくるでしょう。ドルが今までほどありがたいものには思えなくなってくる、と。幾らドルを保有していても、段々買いたいものも限られてくるようになる、と。で、そうなれば、ドルの価値は落ち、保有している大量の米国債の価値が大きく低下するでしょう。

 結局、大切にしてきた蓄えが、殆ど価値を持たないものになってしまうこともあり得るのです。そんな状態になったとき、中国は米国に輸出を続けようとするのか? 

 そんなことはないでしょう。米国が中国に対して提供できるものを持たないようでは、もはや中国も米国に対し貴重な労働の産物を手渡すことはなくなるでしょう。

 日本はよく、資源がない国だから‥と言われます。それはそのとおりです。そして、資源を購入するためには外貨が必要であって、その外貨を手に入れるには、何かを海外に売却することが必要であるのです。その何かが、昔は生糸であり繊維製品であったのが、鉄鋼に代り、自動車に代りとしてきたのです。

 ですから、最低限度の外貨は、これからも稼いでいくことが必要であるのはそのとおりなのですが、だからと言って必ずしも保有外貨の量を増やし続ける必要があるという訳ではないのです。それに幾ら保有外貨を増やし続けたつもりでも、それがドル建ての米国債などの場合には、過去経験してきたように、大幅な価値の下落が起こり得るので、決して安心することはできないのです。

 結局、富を生み出す能力、日本人が持っているポテンシャルを高める努力と工夫が求められると
いうことではないでしょうか? そのためには地道な努力も必要となるのです。




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 昨年の我が国の貿易収支が約2兆5千億円の赤字となったことが発表され、内外の注目を集めています。

 何と1980年以来の出来事なのだとか。気の早い方は、これで日本の輸出立国としての立場も終わるのかとか、日本はビジネスモデルを変えるべきなのではないか、なんてことを言っているのです。

 ただ、いずれにしても、貿易赤字のニュースには一抹の寂しさが伴うのです、日本人としては。

 しかし、それが事実だとすれば、海外からみればこの日本の貿易収支赤字のニュースはどのように映るのでしょう? なんて思っていると、ウォールストリートジャーナルが「輸出立国 日本の時代の終わり」なんて書いたのだ、とか。

 やっぱり「他人の不幸は蜜の味」なのか? 海外のメディアがそんな風に扱っているのかと思うと、日本人として益々寂しくなるというものです。


 では、ウォールストリート・ジャーナルはどんな風に報じているのでしょう。

End of Era for Japan's Exports

「日本の輸出時代の終わり」

For decades, Japan used the combination of manufacturing might and an export-oriented trade policy to shower markets around the world with its cars and consumer electronics and semiconductors.

「何十年もの間、日本は、製造技術と輸出志向政策の組み合わせによって、世界の市場に自動車と電気製品と半導体の雨を降らせてきた」

No longer.

「しかし、それも終わりである」

The Japanese government is expected to announce Wednesday that the country recorded
its first annual trade deficit since 1980. If the yen remains strong and global demand weak, economists warn that Japan could run trade deficits for years to come.

「日本政府は水曜日に、同国が1980年以来初めて貿易赤字になることを発表するとみられている。もし円高がこのまま続き、世界的な需要が弱いままであれば、日本はこの先も貿易赤字を記録することがあり得ると、エコノミトたちは警告する」


 まあ、ここまでの内容であれば、確かにタイトルこそ刺激的ではあるものの‥それほど反応しなくても、とも思うのですが‥こんなことも書いてあったのです。

It is an ominous development for Japan. If the trade deficits continue, Japan could change from a steady provider of capital to a net borrower. The country could eventually struggle to finance a debt burden that is already bigger than Italy's as a percentage of its economy. While the yen is sky-high now, it will eventually plunge if Japan keeps running trade deficits. A weak yen would help Japanese manufacturers but would take a toll on an economy increasingly dependent on imports.

「それは日本にとって不吉な事態の進展である。もし、貿易赤字が続けば、日本は資本輸出国から最終的にはネットの資本輸入国になることがあり得る。そうなると、今でさえイタリアよりも対GDP比で大きな債務を抱える日本が、借金返済のために苦労することにもなり得る。今は超円高である一方、貿易赤字が続けば円は下落するであろう。円安は、日本の製造業者たちを助けるであろうが、益々輸入に頼ることになる経済にとっては重石となるであろう」


 日本人としては、何かここのところに引っかかるのです。つまり、ユーロ危機で取り沙汰されているイタリアなどと比べられる箇所です。

 ただ、私としては、このような報道に余り驚く必要はないと思うのです。というか、理屈はそのとおり。ただ、このウォールストリートジャーナルの記事も、そのような事態が直ぐに訪れるなんてことは少しも言っていないのです。貿易赤字がずっと続けば、将来いつかはそんなことになることもあり得る、と。

 それに、そもそも多くの日本人は錯覚しているのではないでしょうか?

 それは、貿易黒字がいつまでもいつまでも続くなどということは理屈としてあり得ないということです。

 問題を単純化するために、世界が二つのブロックに分かれていたとします。AブロックとBブロックです。Aブロックは、製造業の技術が進んでいて、貿易収支が黒字基調にあり、その反対にBブロックは、その分赤字基調にある、と。

 で、Aブロックの人々は思うのです。自分たちのブロックは資源に乏しいから、製品輸出で食っていくしかない、と。それに輸出で稼ぐと、お金持ちになれて嬉しい、と。

 では、Aブロックの貿易黒字が未来永劫続き、Bブロックの貿易赤字が未来永劫続くことがあり得るのか?

 そのようなことは決してない。何故ならば、Bブロックの方も、何かAブロックが欲しがるものを代わりに提供しないことには、Aブロックからの輸入を続けることができないからです。お金を渡せばいいと思われるかもしれませんが、そのお金の価値が、貿易赤字を原因にどんどん落ち続ける訳ですから、Aブロックとしては、Bブロックのお金に少しずつ価値を見出さなくなってしまうです。

 でも、現実の世界では、日本はずっと貿易黒字を続けてきたし、そして、同じような路線を中国が歩んでいる、と。そして、その一方では何十年もアメリカが貿易赤字を続けているものだから、多くの人々はそれが当たり前だと錯覚をしているのです。つまり、いつまでもそのような状態が続くであろう、と。

 繰り返しになりますが、そのようなことは決してありえない!

 つまり、今の状態は、もっともっと長い目でみたら‥つまり、100年とか200年のタイムスパンでみれば、ほんの一時的な現象に過ぎないということであるのです。今は、中国がまだ貧しいから、ドルを有難がるだけの話です。中国のドルの準備高がいつまでも増え続けると思いますか? この先、10年とか20年というのであれば、それもあり得るかもしれません。しかし、もし中国の経済力が米国並みになる日がくるとすれば、その時にはもはやドルをありがたがらなくなるでしょう。そうなれば、当然のことながら中国の貿易黒字も頭打ちになるのです。何故ならば、中国が有難いと思うモノやサービスをアメリカが余りもっていないとすれば、中国からの買い物を続けることができなくなるからなのです。

 ということで、輸出立国が仮に終わりになるとしても、それだけのことを過大評価するのは間違っているのです。貿易赤字が固定化するのは危険ですが、貿易収支がトントンであれば何も問題はないのです。もちろんアメリカのように貿易赤字が構造的なものになると大変危険であるのですが。

 但し、日本はアメリカとは違うのです。円は、基軸通貨でもありません。だから、日本の経済力が仮に相対的に今後も落ち続けるとすれば、それに伴い円安も急速に進むことでしょう。そして、そうなれば当然輸出力も維持できる、と。

 いずれにしても、私は、輸出立国のビジネスモデルを直ちに修正すべしという考えには賛成できないのです。
それは、喩えるならば、歌番組が減ったので、歌手が漫才でもやろうかと言うことと同じで
す。幾らテレビで歌番組が少なくなっても、歌手が簡単に漫才で食っていける訳はないのです。つまり、日本も、勢いは衰えても、一番得意とするところが製造業であるならば、それを続けていくべきであるのです。
レパートリーを変えてもいいでしょう。でも、いきなり変えて、それで良くなるかは大変疑問であるのです。


 過度に心配する必要はないのです。これからも得意な分野で頑張ればそれでいいのです。

 
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 オバマ大統領の今回の一般教書演説、お聞きになりましたか?

 聞いていない? それはいけませんね。私が、私として気になった部分を選択の上、日本語に訳しましたので、どうぞご一読下さい。



No, we will not go back to an economy weakened by outsourcing, bad debt, and phony financial profits. Tonight, I want to speak about how we move forward, and lay out a blueprint for an economy that's built to last ? an economy built on American manufacturing, American energy, skills for American workers, and a renewal of American values.

「我々は、海外移転や巨額の債務、そして金融機関の偽りの利潤で弱められた経済に戻ることはない。今夜、私は、如何にして前進するか、そして長続きする経済の青写真を示したいと思う。アメリカの製造業、アメリカのエネルギー、アメリカの労働者の技能、そしてアメリカの価値観の上に拠って立つ経済である」

This blueprint begins with American manufacturing.

「青写真は、アメリカの製造業で始まる」

On the day I took office, our auto industry was on the verge of collapse. Some even said we should let it die. With a million jobs at stake, I refused to let that happen. In exchange for help, we demanded responsibility. We got workers and automakers to settle their differences. We got the industry to retool and restructure. Today, General Motors is back on top as the world's number one automaker. Chrysler has grown faster in the U.S. than any major car company. Ford is investing billions in U.S. plants and factories. And together, the entire industry added nearly 160,000 jobs.

「私が大統領に就任した日、自動車産業は崩壊に瀕していた。死なせた方がいいと言う者さえいた。百万人もの職がかかっていたので、私はそれを拒否した。政府の救済と引き換えに、私は責任を求めた。労働者と経営者側に和解させた。そして、自動車産業を再構築させた。本日、ジェネラルモータースは、世界ナンバーワンの企業に返り咲いた。クライスラーは、アメリカの他の如何なる主要企業よりも高い成長率を示している。フォードは、国内の工場に何十億ドルも投資している。そして、これら全てで、16万近くの職をもたらした」

We bet on American workers. We bet on American ingenuity. And tonight, the American auto industry is back.

「我々はアメリカ人の労働者に賭ける。アメリカ人の才能に賭ける。今夜、アメリカの自動車産業が戻ってきた」

What's happening in Detroit can happen in other industries. It can happen in Cleveland and Pittsburgh and Raleigh. We can't bring back every job that's left our shores. But right now, it's getting more expensive to do business in places like China. Meanwhile, America is more productive. A few weeks ago, the CEO of Master Lock told me that it now makes business sense for him to bring jobs back home. Today, for the first time in fifteen years, Master Lock's unionized plant in Milwaukee is running at full capacity.

「デトロイトで起きていることは、他の産業でも起こり得ることだ。クリーブランドでも、ピッツバーグでも、ローリーでも。我が国から去っていた仕事を全て戻すことはできない。しかし、今や、中国のようなところで会社経営をするのはもっと高くつくようになっている。その一方、アメリカの生産性はより高いのだ。数週間前、マスターロックのCEOが私に言った。国内に仕事を戻した方が合理的である、と。今日、この15年間で初めて、マスターロックの工場がミルウォーキーで操業を始めている」

So we have a huge opportunity, at this moment, to bring manufacturing back. But we have to seize it. Tonight, my message to business leaders is simple: Ask yourselves what you can do to bring jobs back to your country, and your country will do everything we can to help you succeed.

「従って、この瞬間、我々には製造業を蘇らせる大きなチャンスがあるのだ。しかし、我々はそのチャンスを掴む必要がある。今夜、私の経営者たちに対するメッセージは単純なことだ。貴方の国に仕事を引き戻すために、貴方が何をできるのかを問うて欲しい。そして、貴方の国は、貴方を助けるためにあらゆることをするであろう」

We should start with our tax code. Right now, companies get tax breaks for moving jobs and profits overseas. Meanwhile, companies that choose to stay in America get hit with one of the highest tax rates in the world. It makes no sense, and everyone knows it.

「税法の話から始めなければならない。今現在、会社は海外に仕事を移し、利益を挙げることに対して免税措置を受けている。一方、アメリカにとどまることを選んだ会社は世界で一番高い税率によって苦しんでいある。これはおかしい。誰もが知っている」

So let's change it. First, if you're a business that wants to outsource jobs, you shouldn't get a tax deduction for doing it. That money should be used to cover moving expenses for companies like Master Lock that decide to bring jobs home.

「だから、これを変えよう。先ず、貴方の会社が海外移転を望むのであれば、我々はそうすることに対して免税を認めない。そのお金は、マスターロックのように、仕事を国内に連れ戻した会社の移転費用に使われるべきである」

Second, no American company should be able to avoid paying its fair share of taxes by moving jobs and profits overseas. From now on, every multinational company should have to pay a basic minimum tax. And every penny should go towards lowering taxes for companies that choose to stay here and hire here.

「第二に、アメリカの会社であれば、海外に移転したり、海外に利益を移し替えることによって、公正な税負担を回避することができなくすべきである。今から先は、全ての多国籍企業が最小限度の基礎的税を支払うこととする。そして全てのお金を、国内にとどまり、国内で人を雇う会社の税を引き下げるために使う」

Third, if you're an American manufacturer, you should get a bigger tax cut. If you're a high-tech manufacturer, we should double the tax deduction you get for making products here. And if you want to relocate in a community that was hit hard when a factory left town, you should get help financing a new plant, equipment, or training for new workers.

「第三に、もし貴方が、アメリカの製造業者があれば、免税額を大きくする。もし、先端技術の製造業者であれば、国内で活動する場合には、対象となる免税額を2倍にする。そして、例えば、工場が立ち退いたために痛手を受けたような町に工場を新たに移転させる場合には、そうした工場や訓練施設の移転経費を融資する」

My message is simple. It's time to stop rewarding businesses that ship jobs overseas, and start rewarding companies that create jobs right here in America. Send me these tax reforms, and I'll sign them right away.

「私のメッセージは簡単である。海外に移転することに対して報いることを止める。代わりに、アメリカ国内で職を創造する企業に対して報いることにする。こうした法案を通して欲しい。直ぐにサインして法律を誕生させるから」

We're also making it easier for American businesses to sell products all over the world. Two years ago, I set a goal of doubling U.S. exports over five years. With the bipartisan trade agreements I signed into law, we are on track to meet that goal ? ahead of schedule. Soon, there will be millions of new customers for American goods in Panama, Colombia, and South Korea. Soon, there will be new cars on the streets of Seoul imported from Detroit, and Toledo, and Chicago.

「我々はまた、アメリカの企業が世界中に自分たちの製品を売りやすくもする。2年前、私は、アメリカの輸出を5年間で倍増する目標を立てた。超党派の合意によって立法化し、その目標に向かって走っている。目標を上回っているのだ。パナマ、コロンビア、韓国に何百万人というアメリカ製品の新しい顧客が直ぐに生まれるであろう。デトロイト、トレド、そしてシカゴから輸入された新しい車が、韓国の通りに直ぐ現れるであろう」

I will go anywhere in the world to open new markets for American products. And I will not stand by when our competitors don't play by the rules. We've brought trade cases against China at nearly twice the rate as the last administration ? and it's made a difference. Over a thousand Americans are working today because we stopped a surge in Chinese tires. But we need to do more. It's not right when another country lets our movies, music, and software be pirated. It's not fair when foreign manufacturers have a leg up on ours onlybecause they're heavily subsidized.

「アメリカ製品の新しい市場開拓のために、私はどこにでも出かけるつもりだ。そして、我々の競争者がルールに従って行動しない場合には、黙ってみていることはない。我々は、前政権に比べて2倍の割合で中国を提訴している。そこで違いも生まれるのだ。中国のタイヤの増加を食い止めたことで、今、千人を超すアメリカ人が働いている。しかし、まだやる必要がある。海外の製造業者が手厚い補助金を受けているというだけの理由で、競争力があるのであれば、公正ではない」

<中略>

During the Great Depression, America built the Hoover Dam and the Golden Gate Bridge. After World War II, we connected our States with a system of highways. Democratic and Republican administrations invested in great projects that benefited everybody, from the workers who built them to the businesses that still use them today.

「大恐慌のとき、アメリカはフーバーダムとゴールデンゲイトブリッジを建設した。第二次大戦の後、高速道路網を作って各州をつなげた。民主党の政権も共和党の政権も、大規模プロジェクトに投資をし、全ての人に利益をもたらした。それらの建設に従事した労働者から、今それらの施設を利用している企業に至るまで」

In the next few weeks, I will sign an Executive Order clearing away the red tape that slows down too many construction projects. But you need to fund these projects. Take the money we're no longer spending at war, use half of it to pay down our debt, and use the rest to do some nation-building right here at home.

「来週以降、多くの建設プロジェクトを遅らせる原因となっている行政の諸手続きを一掃する命令にサインをするつもりだ。しかし、これらのプロジェクトにはお金がかかる。そのお金は、不要になった戦費から調達する。半分は借金の返済に充て、残りをそうした施設の建設に使う」

There's never been a better time to build, especially since the construction industry was one of the hardest-hit when the housing bubble burst. Of course, construction workers weren't the only ones hurt. So were millions of innocent Americans who've seen their home values decline.

「建設時期としては今ほどいい時はない。特に、建設産業が、住宅バブル崩壊のために痛手を受けているときだからである。もちろん、建設関係の労働者だけが被害を被っているのではない。何百万人という非のないアメリカ人が住宅価値の低下によって被害を受けている」

<中略>

A return to the American values of fair play and shared responsibility will help us protect our people and our economy. But it should also guide us as we look to pay down our debt and invest in our future.

「フェアプレイと責任の分担というアメリカ人の価値観に戻ることが、我々と我々の経済を救うことになろう。しかし、借金を支払い、将来に投資する方向に我々を誘導するであろう」

Right now, our most immediate priority is stopping a tax hike on 160 million working Americans while the recovery is still fragile. People cannot afford losing $40 out of each paycheck this year. There are plenty of ways to get this done. So let's agree right here, right now: No side issues. No drama. Pass the payroll tax cut without delay.

「今、我々の最大の優先課題は、1億6千万人に圧し掛かる増税を止めさせることだ。景気回復がおぼつかないでいるのに。人々は、今年、各自の収入から40ドルを失う余裕はないのだ。このための方法はいろいろある。ここで合意しようではないか。今だ。小さな問題ではない。芝居でもない。所得税減税法案を遅滞なく通すべきだ」

When it comes to the deficit, we've already agreed to more than $2 trillion in cuts and savings. But we need to do more, and that means making choices. Right now, we're poised to spend nearly $1 trillion more on what was supposed to be a temporary tax break for the wealthiest 2 percent of Americans. Right now, because of loopholes and shelters in the tax code, a quarter of all millionaires pay lower tax rates than millions of middle-class households. Right now, Warren Buffett pays a lower tax rate
than his secretary.

「債務について言えば、我々は既に、2兆ドル以上もの削減と節約に合意している。しかし、まだやる必要がある。そして、それは選択の問題になる。今現在、我々はアメリカの2%の最富裕者層のための一時的減税のために、1兆ドル以上のもお金が使われることになっている。今現在、税法の抜け穴などのために、全ての億万長者の約四分の一が何百万人という中産階級の家庭の税率より低い率しか払っていない。今現在、ウォーレン・バフェット氏は、彼の秘書よりも低い税率しか支払っていない」

Do we want to keep these tax cuts for the wealthiest Americans? Or do we want to keep our investments in everything else ? like education and medical research; a strong military and care for our veterans? Because if we're serious about paying down our debt, we can't do both.

「我々は、最富裕者のアメリカ人のための減税をいつまでも続けたいのか? 或いは、教育や医学の研究などの他の分野に投資することを望まないのか? 強い軍事力や退役軍人のために使うべきでは? 何故ならば、もし借金を支払うことに真面目になるのであれば、両方のことを満足させるわけにはいかないからだ」

The American people know what the right choice is. So do I. As I told the Speaker this summer, I'm prepared to make more reforms that rein in the long term costs of Medicare and Medicaid, and strengthen Social Security, so long as those programs remain a guarantee of security for seniors.

「アメリカの人々は、何が正しい選択肢か分かっている。私もである。昨年の夏に下院議長に私が言ったように、私はメディケアとメディケイドの経費問題に関し長期的に取り組み、そして、社会保障を強化する用意がある。年配の者に対する保証が確保される限りは」

But in return, we need to change our tax code so that people like me, and an awful lot of Members of Congress, pay our fair share of taxes. Tax reform should follow the Buffett rule: If you make more than $1 million a year, you should not pay less than 30 percent in taxes. And my Republican friend Tom Coburn is right: Washington should stop subsidizing millionaires. In fact, if you're earning a million dollars
a year, you shouldn't get special tax subsidies or deductions. On the other hand, if you make under $250,000 a year, like 98 percent of American families, your taxes shouldn't go up. You're the ones struggling with rising costs and stagnant wages. You're the ones who need relief.

「しかし、代わりに税法を変える必要がある。私のような者、及び議会の多くのメンバーのような者が、公正な分担金を払うためにだ。税改革は、バフェット・ルールに従うべきだ。もし、貴方が年間100万ドル以上を稼ぐのであれば、収入の30%以上を支払うべきだ。私の共和党の友人であるトム・コバンは正しい。ワシントンは、億万長者に補助金を与えることを止めるべきである。事実、もし貴方が年間100万ドル以上稼いでいるのであれば、貴方は特例措置や特別控除を受けるべきではない。一方、貴方が、年間25万ドル未満しか稼がないのであれば、つまり、全てのアメリカ人の家庭の98%のような稼ぎしかないのであれば、貴方の支払う税が上がることはない。貴方は、上がる経費と、上がらない賃金に苦しんでいるのであるから。貴方こそが支援を必要としているのだ」

<中略>

Finally, none of these reforms can happen unless we also lower the temperature in this town. We need to end the notion that the two parties must be locked in a perpetual campaign of mutual destruction; that politics is about clinging to rigid ideologies instead of building consensus around common sense ideas.


「最後に、こうした改革は、この街(ワシントン)の温度を下げなければ起こりえない。我々は、二つの党は互いに破壊しあうという永遠の宿命を打破しなければならない。政治は、常識的な考えを築き上げるのではなく、凝り固まったイデオロギーにしがみつくという概念を打破しなければならない」

I'm a Democrat. But I believe what Republican Abraham Lincoln believed: That Government should do for people only what they cannot do better by themselves, and no more. That's why my education reform offers more competition, and more control for schools and States. That's why we're getting rid of regulations that don't work. That's why our health care law relies on a reformed private market, not a Government program.

「私は、民主党員である。しかし、私は共和党のリンカーンが信じたことを信じる。政府は、国民が上手にすることができないことだけを、国民のためにするべきであって、それ以上のことをすべきではない。それが、私の教育改革がもっと競争と、学校や州に対するコントロールを強めようとする理由である。それが、健康保険法が政府の考えよりも市場の改善された原理に従うべきとする理由である」

<中略>

Anyone who tells you otherwise, anyone who tells you that America is in decline or that our influence has waned, doesn't know what they're talking about. That's not the message we get from leaders around the world, all of whom are eager to work with us. That's not how people feel from Tokyo to Berlin; from Cape Town to Rio; where opinions of America are higher than they've been in years. Yes, the world is changing; no, we can't control every event. But America remains the one indispensable nation in world affairs ? and as long as I'm President, I intend to keep it that way.

「そうではないという者がいる。アメリカは衰退している、或いは我々の影響力は弱まっているという者がいる。しかし、そう言う者は、自分が何を言っているのか分からないのだ。我々が世界のリーダーたちから得るメッセージはそんなものではない。彼らは皆、我々と一緒に働きたがっている。東京からベルリンに至るまで、人々はそのようには感じてはいない。ケープタウンからリオに至るまで。長年、アメリカの評価が彼らより高いところではそうなのだ。確かに世界は変化している。確かに我々は全てをコントロールすることはできない。しかし、世界の出来事において、アメリカは欠くことのできない存在でいるのだ。私が大統領でいる限り。そして、私はそれを維持するつもりだ」


 ああ、やっぱり人間って、どこの国にいっても、自分たちが一番だ、と思いたいのですよね。

 だからこそ、自分たちはナンバーワンだと言ってくれる大統領を求めるのでしょう。

 いずれにしても、オバマ大統領の言うことを聞いていると、もはや市場経済の国と呼ぶには相応しくないような気もしているのですが。でも、大統領はセールスマンになる覚悟がある、と。



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 本日、日本時間の午前11時頃から何があるかご存知でしょうか?

 「知らないけど」

 日本では昨日何がありましたか? 国会でですが。

 「施政方針演説?」

 聴いていました?

 「聞いてはいないけど‥福田さんとか麻生さんの言ったことをパクッたとか」

 麻生さんは、抱きつかれたなんて言っていました。

 では、本日は何があるのか? アメリカでの話です。

 「分かった、オバマ大統領の一般教書演説ね。でも、少し飽いてきた」

 確かに、オバマ大統領の演説にも少し飽きてきたかもしれませんね。それに支持率も落ちていることですし‥

 ですが、腐っても鯛ではありませんが、やはり現職の大統領。与党野党を問わず、それなりにお芝居がかったことをするのです。今回も、またまた派手な演説ショーが行われるでしょう。

 でも、今回は何を重点に話すのか? オバマ大統領の功績は何か?

 米国の公共ラジオ放送によると、次のようなことを言っているのです。

 ending the war in Iraq, beginning the troop draw-down in Afghanistan, and most importantly, killing Osama bin Laden.

 イラク戦争の終焉。アフガニスタンからの撤退。

 まあ、この二つは分かるのですが、最後のが怖い!

 もう少し婉曲的な表現ができないものでしょうか。まあ、だからこそアメリカなのか?

 いずれにしても、この公共ラジオ放送によれば、過去のオバマ大統領のスピーチから本日の演説の内容が予想できるのではないかとしているのです。

 この予想当たるのでしょうか?

 
 On Tuesday night, I'm going to talk about how we'll get there. I'm going to lay out a blueprint for an economy that's built to last.

 「火曜日の夜、私はどうやってそこに至るかについて話をする。長続きする経済の青写真を披露するつもりだ」

 I will continue to work with Congress, states, and leaders in the private sector to find ways to move this country forward. But where they can't act or won't act, I will. Because we want the world to know that America is open for business.

「議会と、各州と、そして民間部門のリーダーたちと引き続き協力し、この国を前進させる方法を探したい。しかし、民間のリーダーたちが行動できないところで、或いは行動しようとしないところで私は努力する。何故ならば、アメリカはビジネスに対してオープンであることを世界に知ってもらいたいからだ」

 It's wrong that in the United States of America a teacher or a nurse or construction worker, maybe earns $50,000 a year, should pay a higher tax rate than somebody raking in $50 million.

「アメリカでは、教師、看護師、現場の作業員は年間5万ドルほどを稼ぐかもしれないが、5千万
ドルを稼ぐ人々よりも高い税率を払うとするならば、それは間違っている」

 Our success has never just been about survival of the fittest. It's about building a nation where we're all better off. We pull together. We pitch in. We do our part.

「我々の成功の秘訣は、決して適者生存ではなかった。我々全てが豊かな暮らしを送ることのできる国を築くことである。集まろう。仕事にとりかかろう。そして、それぞれの役割を果たそう」



 本番の演説の内容が分かったら、紹介したいと思います。




 雇用の回復の話が中心になるのだろうか、と思った方、クリックをお願い致します。
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 欧州は、ユーロ危機の対策で忙しいのかと思っていたら、イランに対する経済制裁を正式に決定したと報じられています。

 私、思うのです。イランに対する経済制裁は意味があるのか、と。

 ただ私がそう言うからと言って、米国や欧州の姿勢を批判し、その一方でイランを擁護しようというのではありません。確かに核兵器開発は止めてもらいたい。

 しかし‥どうも釈然としないものが残るのです。確かに世界は、核兵器を放棄するとともに、新たに核開発をすることも断念すべきであるのです。

 でも、既に多くの国が核兵器を保有しているではないですか?

 何故に、米国は他の国に対して、核兵器を持つなという権利があるのだろうか? 

 私には、そこのところのロジックがどうしても分かりません。ただ、ロジックは分からないながらも、米国が、他の国が核兵器を持つことを怖がる理由はよく分かる。特に、米国に対し好意を抱いていない国が核兵器を保有する場合には。また、だからこそ米国が、核兵器の拡散を防ごうとやっきになっているのです。

 しかし、理由はそれだけではないのです。それにはイスラエルとイランの関係悪化が影響しているのです。イランからの働きかけがあれば、どうしてもそれに応えざるを得ない米国。大統領選挙戦の動向なども影響しているのかもしれません。

 ただいずれにしても、米国の大義は、戦争の防止、平和の実現であるはずです。

 つまり、「核兵器開発を止めない国=戦争を厭わない国=イラン」という図式を世界の人々の頭の中に叩き込み、従って、イランに核兵器開発を止めさせることこそ平和実現の手段である、と主張しているのです。

 では、果たして、米国の言うとおりに多くの国が行動すれば、イランの核兵器開発を断念させ、平和な世の中になるというのでしょうか?

 もし、その可能性が大であるというのであれば、この際、日本もイランからの原油の輸入をストップさせることが望まれるでしょう。

 では、イランは、経済制裁が発動されると、素直に米国のいうことを聞くようになるのでしょうか?

 でも、それは大変に難しい。背景には宗教的な対立感情があり、また、それだけでなくこれまでの複雑な経緯もある。イランの権力者が簡単に米国の言うことを聞くようでは、国民からの支持を得ることができず、大勢は崩壊してしまうでしょう。

 それに、そもそも米国自身が、イランがそう簡単に核兵器開発を止めるなどと思っていないのではないでしょうか?

 例えば、イランよりも経済規模の小さい北朝鮮にしても、どれだけアメリカが脅かしたりなだめたりしても、核開発を止めようとはしないからです。北朝鮮もイランも、核開発を進めることによって外からの攻撃を防ぐことが可能だ、自国の独立を保つこそが可能だと信じているのではないのでしょうか。

 だから、過去、日本が経験したような事態にでもならなければ、イランや北朝鮮が素直に米国の言うことを聞くことはないでしょう。

 では、米国も欧州も、イランが言うことを聞かないであろうと思いつつも、経済措置を加えようとしているのでしょうか? そして、経済制裁発動によって、どのような事態を招来すると考えているのか?

 私、今回の出来事を眺めていると、嫌な感じがするのです。70年ほど前の日本の置かれた状況と似ているのではないのか、と。西欧の列強国は、他の国に侵出して、おいしいところをかっさらって行く。そして、それを日本もそれをお手本に朝鮮や中国に侵出した。しかし、余りにも日本の行動が目につきだした。自分たちの権益が侵される。そう感じた西欧勢は、直接日本に手出しをすることはないものの、エネルギー資源を日本が手に入れることを妨害することによって、日本の行動をコントロールしようとした。そして、その結果、戦争に至るのです。

 幾ら直接手出しをしないとは言え、経済制裁を課し、それが効果を有するようになれば、経済制裁を課された国は大変な状況に陥ってしまうのです。つまり、原油を海外に売ることができなくなったイランとしては、外貨を得ることができなくなるために必要な物資を海外から購入することができなくなるのです。そして、必要な物資を手に入れることができなくなると、国民は困難に直面することになるのです。

 で、そうなれば、イランとしては、米国や欧州勢に対抗しようという機運が高まるでしょう。つまり、ホルムズ海峡の封鎖どころか、現実にドンパチが始まってしまうでしょう。

 そのようなことを米国は気が付いていないのでしょうか?

 まあ、気が付いていないということはないでしょう。ただ、だからと言って好きこんで戦争をしようと考えている訳でもないでしょう。できることなら戦争は回避したい、と。しかし、過去の歴史から分かるとおり、やむを得ない場合には戦争も厭わないというのが米国です。

 では、今回、戦争を想定しているのか?

 ただ、どうも本音としては、そこまでは考えていないのではないでしょうか。経済制裁はする。しかし、戦争をする気はさらさらない。

 先日、オバマ大統領が、イラン側に書簡を送ったとか。ホルムズ海峡を封鎖するようなことはするな、と。

 私、思うのですが、この書簡は一つのサインではないか、と。確かにイランには核兵器の開発を止めさせたい。しかし、だからと言って戦争までする気は今の米国にはない。ただ、そうは言っても、もしイランがホルムズ海峡を封鎖するようなことをすれば、米国も黙っている訳にはいかない。だから、拙速な行動を慎んで欲しいと言っているのではないのでしょうか。

 つまり、今米国とイランという二つの国は、本気で戦争をする気はさらさらないものの、お互いに相手を威嚇するようなジェスチャーを取っているだけだ、と。

 それはそうでしょう。幾らイランに核兵器の開発を止めさせることを米国の国民が望んでいるとはいえ、また戦争が起き、その結果原油価格の高騰が起きれば、それこそ世界経済は大混乱に巻き込まれてしまうからです。

 だから、本音としては、オバマ大統領も事を荒立てたくはない。しかし、その一方で、大統領選なども絡みもありイランに強く当たることが求められている、と。

 まあ、こんなことを考えていると、如何に日本側に主体的にモノを考える能力がないか、よく分かるというものです。

 ところで、イランの主要な原油の輸出先をご存知でしょうか?

 2010年のデータですが

 1.中国      20%
 2.日本      17%
 3.インド     16%
 4.イタリア    10%
 5.韓国       9%
 6.その他    28%

 要するに、中国、日本、インド、韓国のアジア勢で、6割以上を占めているということです。欧州勢では、イタリアが主要輸入国として名前が上がる程度です。

 何故、米国がイランに制裁を科すことができるのか?

 それは、石油をイランに頼っていないからに他なりません。EUも、一部例外はあるものの、同じような状況にあるのでしょう。だから、EUは割と容易にイラン制裁を決定した、と。

 米国が言うように、イランに制裁を科すことが平和の実現を促進することになるのでしょうか?
私は、その反対だと思うのです。

 イランは、核兵器を開発していると言われていますが、中国は、核兵器を保有しているのです。皆知っているところです。そして、米国は中国をどのように考えているかと言えば、軍事的に脅威だと位置づけているのです。

 しかし、米国は中国に対して、核に関してとやかく言うことはない。決してない。何故か? それは、戦略的な互恵関係にあるからなのです。

 戦略的な互恵関係とは何か?

 難しいことを言うつもりはありません。ただ、中国は米国にとって如何に脅威であろうとも、今や中国との経済関係を否定することはできない関係になっているということです。仮に、中国がどんなに米国の言うことを聞かなくても、例えば、中国からの輸入をストップすることは米国にはできない。貿易摩擦の関係で、品目によっては関税を課すようなことはできても、全面的な輸入の禁止は決してできない。もし、そんなことをすれば、米国の国民の生活が成り立たなくなるからです。

 で、そうやって互いを必要とする関係に米国と中国があるので、何かの問題が両国に発生しても、決して戦争という選択肢は浮かんでこないのです。

 つまり、米国は、もっともっとイランから石油を買えばいいのです。イランがなければ米国のエネルギーが確保できなくなるようにすればよい。で、そうやって、両国が互いに必要とし合うようになれば、幾らイランが核兵器を保有しようと、決してそれを米国に向けて使うようなことは考えないでしょう。

 ということで、経済制裁よりも、イランとの経済的関係を深めることが、平和実現の道だと思うのです。

 

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 ギリシャの債務削減に関する民間銀行団との交渉が行き詰まっているようです。

 一体全体、いつまで時間がかかるのでしょう。話し合いがついたのかと思っていたら、実はまだもめているのだとか。

 報道では、債権者側の代表であるダラーラIIF(国際金融協会)専務理事が、ギリシャを離れてしまったのだ、とか。

 ダラーラという名前を聞いても、殆どの人は、彼がどんな人か分からないでしょう。この人、20年ほど前、米国財務省に勤務していて、例えばメキシコの債務問題などに関し、日本側にああだこうだ言っていた人なのです。

 まあ、いろいろ注文を付けるのはいいとしても、この人、金曜日に日本側にファックスを送りつけ、いろいろ宿題を出すのです。来週の月曜日までに答えを出してね、と。しかし、向こうが金曜日の午後にファックスを送ると、受け取る側の日本は土曜日になっている訳で、土日を返上して仕事をさせられる羽目になっていたのです。

 そんなことを思い出してしまいました。

 ところで、一体何が問題なのかと言えば‥数日前の時点では、債務削減後に旧債券と交換される新たな債券の利子を巡ってもめているとか言われていました。金利が4%では高すぎるとか、どうとか、と。確かに金利が高すぎれば、ギリシャもなかなか払うことができないでしょう。しかし、それは、ギリシャの債務を5割とか6割とか削減した後の話であり‥簡単に判断することはできないのです。

 いずれにしても、本日、BBCのサイトを眺めていると、問題はどうも金利だけの話ではないようです。

 European leaders agreed in principle last year that private lenders would voluntarily write off 50% of their loans to Greece, but private creditors still need to agree to the terms of the deal.

 「ヨーロッパのリーダーたちは、昨年、民間銀行側が、ギリシャ向けローンを50%自主的に削減することに原則合意した。しかし、民間債権者たちは、なお条件面で合意する必要がある」

 Athens and the IIF last week discussed not only the size of the write-off, but also the rate of interest on the new loans, which will be renegotiated and rolled over into new bonds as part of any agreement.

 「ギリシャ当局とIIF(国際金融協会)は、先週、債務削減の幅についてだけでなく、新ローンの金利についても話し合いを行った。新ローンというのは、条件改定の後、新しい債券に交換されるローンのことである」

 Reports have suggested that a small number of hedge funds are blocking the deal, either to try to force a reduced write-off or to trigger a default, against which
they are insured.

 「伝えられるところによると、少数のヘッジファンドが決着を拒んでいるという。債務削減の幅を小さくするか、或いはデフォルトさせろ、と。デフォルトになれば、彼らの債権は保証される」


 ああ、そういうことだったのですか。

 クレジットデフォルトスワップというのがありましたよね。ギリシャの国債を保有している債権者のなかには、万が一の事態に備えてCDSを購入していたと。つまり、ギリシャが万一デフォルトを起こしても、CDSという保険に加入しているので、全額が貸し倒れになることはない訳です。損失のどの位がカバーされるのか私は知りませんが、いずれにしてもデフォルトのリスクが小さくなるのです。

 ということで、ギリシャの債務問題の行く末がどのように転ぼうと、CDSを購入している債権者にとっては不安は小さいのかと思いきや‥現実は全く逆なのです。

 どういう意味かお分かりでしょうか?

 例えば、ギリシャが何らかの原因で国債の元利払いができなくなれば、デフォルト宣言をせざるを得なくなるのですが、そうなると、ギリシャ国債を保有し、かつCDSを購入している銀行やヘッジファンドは保険金が下り、損失がカバーされることになる、と。

 では、今回保険金が下りるのか?

 実は、保険金は下りないのです。元本の50%以上も削減されるというのにです。つまり、貸したお金の半分以上が帳消しになるのに保険金は下りないのだ、と。では、一体何のためにCDSを購入したのか、と。

 何故、保険金が下りないのでしょう?

 それは、今回の債務削減措置が、あくまでも債権者側の任意の措置だからなのだ、と。法的に強制されたものでないからだ、と。

 保険会社にしてみたら、「貴方、自分の好意でギリシャに対し、債務の帳消しを認めたのでしょ?」ということになるからです。

 まあ、そんなことになっているので、CDSを購入している債権者のなかには、とんでもないと憤慨している者がいるということのようなのです。

 つまり、少し位債務を削減してあげてもいいけど、もう少し削減幅を小さくして欲しいとか、或いは、削減幅を小さくすることができないのなら、デフォルト扱いにしろ、と。デフォルト扱いになれば、保険金が下り、損失がカバーされるのです。

 まあ、こうやって債権者側の言い分を聞くと、彼らの言い分も分からないではないのです。

 今のまま、ギリシャはあくまでもデフォルトではない‥なんて態度を取り続けると、なかなか解決することができないということでしょう。ここは、あっさりと秩序正しいデフォルトを選択しては如何でしょう? そうすることが、ギリシャにとっても、そして債権者側にとっても望ましいのではないでしょうか。

 幾らメルケルさんやサルコジさんが、ギリシャをデフォルト扱いしたくないと思っても、デフォルト扱いせずあくまでも任意の債務削減であるというのであれば、債権者側の譲歩できる限度も限られる訳ですから。



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