経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2013年01月

 昨日、2012年第4・四半期の米国の経済成長率が発表になったのですが‥

 「0.1%のマイナスなんだよね」

 そうなのです、何とリーマンショック後のリセッション以来、初めてマイナス成長になったのだと。但し、マイナス幅は0.1%です。

 「やっぱり景気が悪くなっているのかな‥」

 でも、メディアの報じ方をみれば、それほど悲観をしているようでもないのです。

 「どうして悲観する必要がないの?」

 そこなのです、問題は。つまり、この0.1%のマイナスをどう解釈すべきか? 本当に悲観する必要がないのか? 悲観する必要がないとしたら、その理由は何なのか

 今回の発表内容のポイントをお示ししますので、本当に悲観する必要がないのか、先ず自分で考えてみて下さい。

<2012年第4・四半期のGDPのポイント>

・2012年4Qの実質経済成長率は、年率換算で前期比0.1%減。3年半ぶりのマイナス。

・2012年3Qの実質経済成長率は、3.1%。

・マイナスになった原因は、在庫変動がマイナスになったことと、政府支出が減少したことが大きい。さらに輸出の減少もある。在庫変動で1.27%、政府支出で1.33%、そして、純輸出で0.25%、それぞれGDPを押し下げている。

・個人消費は2.2%増と、3Qの1.6%増を上回っている。

・民間設備投資は8.4%増。民間住宅投資も15.3%増。


 さあ、如何でしょうかなんとなく答えが分かってきましたか?

 そうなのです、個人消費が上向き、そして、設備投資や住宅投資が活発になっているので悲観するどころか、これ以上明るいことはないような状況になっているのです。

 しかし、それを上回るほど政府支出の減少と、在庫変動の影響が大きかった、と。

 では、何故政府支出が減少したのか? 財政の崖と関係しているのか?

 答えは、そのとおりだろう、と。

 では、在庫変動は何故GDPを押し下げたのか?

 恐らく、民間の企業経営者たちが、財政の崖によって不透明感が強まるなか、出来る限り在庫を減らしておいた方が無難なのではないかと行動した結果ではないか、と見られているのです。

 つまり、経営者たちは、財政の崖の関係で在庫に関して慎重な行動を取った、と。しかし、その一方で、設備投資は増えているし、住宅投資も増えているのです。さらに、個人消費も伸びているのです。
 
 まあ、そういうことを聞けば、今回の0.1%のマイナス成長の数字など、気にする方がおかしいのかもしれません。

 しかし、そうは言っても0.1%のマイナスになったということは事実であり、そして、その原因である財政の崖の問題は、今単に先送りされただけの状態になっている訳ですから、まだまだ尾を引くのです。

 だとすれば、2013年1Qの成長率が再びマイナスにならないとも限らない。

 それに、政治の世界では全然妥協が成立しそうには見えない訳ですから。

 楽観視していていいのか、それとも深刻に考えるべきなのか? それが問題なのです。


 
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先週金曜日のレートですが、対ドルで円は91.04円、そして、韓国のウォンは1075.33ウォンを付けているのですが‥どう思います?

 韓国経済が壊滅する?

 ネットの世界には、そう思いたい人が多いみたいなのですが、どうしてそこまで韓国を毛嫌いするのでしょう?

 確かに、竹島を占拠して怪しからんと私も思う!

 それはそのとおり!

 だから、竹島の件については、国際司法裁判所に訴えるべきなのに‥どういう訳か、安倍政権になったら態度を軟化させているではないですか。どういうこと?「取り戻す」という台詞はどうなったのでしょう?

 但し、幾ら竹島の件で韓国が怪しからんといっても、韓国と日本の関係は切っても切れない。幾ら韓国が嫌いだと言っても、我々日本人の血には、韓国人や中国人の血が、或いはロシア人の血も結構混ざっているです。

 それに、歴史を遡れば、専門的技術を持った人々が大陸から日本に来て、日本にそうした技術を伝えたことは事実なのですから。

 プラス、辛子明太子だって、或いはキムチだって食べるでしょ? かつて力道山は日本のヒーローだったのです。力道山って、知らないのですか?


 いずれにしても、ひところと比べ相当な円安になっており、こうした状態が続くのであれば日本の輸出が復活し、そうなれば経済成長率もひょっとしたら政府の思惑どおり2〜3%程度を達成するかもしれません

 しかし‥、言っておきますが、その程度経済が成長しただけでは到底政府の借金の実質的負担が軽くなるなんてことはありません。

 経済成長にともない税収が増えることは十分期待できるものの‥だからといって、補正予算等で大盤振る舞いした分を税収増で賄うことなどできないのです。そこのところを間違わないで下さい。

 但し、益々政府の借金が増えたところで景気がよくなるのであれば、世間のムードは明るくなるでしょう。従って、そうなれば安倍政権の作戦勝ちで、夏の参議院選も圧勝する可能性があるのです。

 繰り返しますが‥だからといって、政府の借金は増えるばかり。

 そんな将来を心配してか、安倍総理自身、プライマリーバランスの黒字化を目指すと言っているのをご存知でしょうか? 先日の施政方針演説においてもはっきりと言っているのです。

 では、プライマリーバランスを黒字にするためには何が必要か? 恐らく参院選後、或いは2014年度には、財政出動打ち止めになる可能性があるのです。

 でも、どうして? 

 そう思った人は、
プライマリーバランスの意味がお分かりになっていないのですよね。

 プライマリーバランスとは何か?

 プライマリーバランスとは、基礎的財政収支のことです。

 余計分からない? では、分かり易く説明しましょう。

 プライマリーバランス、或いは基礎的財政収支とは、国の収入のうちから国債の発行による収入を除いたものから、国の支出のうち国債の元利払いを除いたものを差し引いた収支を言うのです。

 つまり、税収などの本来的な財源で政策経費(国が本来支出するべき経費)を賄うことができるかどうかと言っているのです。従って、税収などで政策経費うことができれば、プライマリーバランスは黒字になり、賄うことができなければ赤字になるのです。

 そして、もし、プライマリーバランスが黒字になれば、その余ったお金でこれまでの借金を返すことができるかもしれないので、ひょっとしたら借金残高を減らすことができるかも、と

 しかし、幾らプライマリーバランスが黒字でも、政府は政策経費の他に借金の利払い費用を賄う必要があるので、その余ったお金で利払いを行った上でさらにお金が余らないと、借金残高を減らすことはできないのです。

 いずれにしても、
プライマリーバランスが取れていれば、借金の利払いために借金をすることがあっても、政策経費を賄うために借金をすることはないので、利息分が借金に上乗せされる以外に借金の残高が増えることないのです。

 従って、プライマリーバランスを黒字化するとは言っても、それによって借金残高がゼロになることを目指すとか、借金残高を減らすなどという大胆な目標を立てることにはならないのです。

 言ってみれば、借金の増えるスピードを大変緩やかなものにするというのが、プライマリーバランスを黒字にするということの意味なのです。

 では、その極めて控えめな目標を達成するために、政府はどのような行動を取る必要があるのか?

 昨日、2013年度の予算案が閣議決定されました。ご存知ですよね?

 総額約92兆6千億円。このうち、国債の償還や利払いに充てる国債費は約22兆2千億円。

 つまり、仮に、2013年度においてプライマリーバランスを取ろうとするならば、新規の国債の発行は22兆円程度しか認められないことになるのです

 では、実際、2013年度はどれくらい新規国債を発行しようとしているのか?

 何と42兆8千億円にも上るのです。

 2013年度は、プライマリーバランスが黒字になるどころか、20兆円の赤字になるのです。

 まあ、直ぐにプライマリーバランスを黒字にするなんて無理でしょう。

 そして、それが直ぐにできないとしても、それは安倍総理のせいではない。

 しかし、それにしても総理は、プライマリーバランスを黒字化することが必要だと言っている訳ですから、少なくても何時ごろまでにそうなることを目指すという程度のことは言ってもいいのではないでしょうか?

 目標なんていいませんから、メドは何時だと示すべきではないのでしょうか?

 仮に、早い時期にプライマリーバランスを黒字化するというのであれば、そのためには新規国債の発行額を22兆円程度に抑える必要があります。そして、そのために新規国債の発行額を2013年度の半分程度にすることが求められます。つまり、もし税収の増大がこの先それほど望めないとすれば、一般会計の予算規模を2013年度の92兆円から70兆円程度まで減少させることが必要なのです

 しかし、そんなことは現実問題として実現不可能でしょう。

 でも、もしそうすることが嫌なら、増税をするしかありません。しかし、増税といってもこれまた反対する人々が多い訳ですから‥しかも、20兆円も税収を増やすとなれば、どれだけの負担増になることやら‥

 でも、計算は簡単なのです。

 日本人の大人の数を約1億人とみなせば、大人一人当たり20万円の負担増を実現しなけれ20兆円にはならないのです。

 仮に、この先景気がよくなり、給料がどんどん上がれば20万円の負担がそれほどでもなくなる可能性もなきにしもあらずですが‥そうなるためには、一人あたりの給料が100万円近く増える必要があるでしょう。

 プラス、もしそうして景気がよくなり、そして給料が増えるような良き時代に戻ったとしても、そうなれば恐らく金利が上昇している筈ですから、国債の利払い負担が一気に増え、更に増税が必要になるのです。


 多分、多くの人は、将来そういう風になる危険性があることを薄々感じながらも、今は、そんなことを考えないようにしているのかもしれません。

 何と楽観的な人が多いことか!

 リフレ派の政策を批判するなら対案を示せ、とよく言われます。そして、座して死を待つのかとも言われます。

 しかし、そうやって大盤振る舞いの財政出動をすることによって将来がより危機的な状況になることが容易に予想されるから警告しているだけなのです

 いずれにしても、今生きている我々の世代は、将来の世代からボロクソに言われることになるのではないのでしょうか?



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 円安になって株価が回復し‥もうそんな状況になって1か月以上が経過しました。

 そうしていると今度は、トヨタが2012年の自動車販売台数で世界1の座を奪回したのだ、とか。

 円安が2012年の前半頃から起きているならともかく、円安は2012年の11月以降の出来事と考えた方がいい訳ですから‥その意味では大変に立派。

 であるならば、今後今のような円安が継続すれば、2013年は、もっと自動車を売りまくることでしょう。

 そして、そうなるはずだと予想されるのであれば、株価はまた上がる、と。

 ひょっとしたら‥アベノミクスは相当に強運の持ち主かもしれません。

 いずれにしても、今円安の恩恵を被っている日本ですが‥為替レートというものは、一国だけの事情で決まるものではありません。つまり、相手との関係で為替レートは決まる、と。

 従って、円安になったということは、他方で、ドル高が起きていることになり、日本が喜ぶのであれば、アメリカは悲むでしょう。

 案の上、デトロイトの自動車産業の関係者は、アベノミクスの円安政策を批判し始めているのです。

 後は、ご承知のようにドイツが批判をしている、と。

 では、我が国のお隣の韓国はどうなっているのか?

 多くの方は、もう気が付いていると思うのです。

 韓国は、いち早くアベノミクスの円安政策を批判しています。というのも、ウォン高がもたらされ、韓国の輸出産業は大打撃を被りそうだから、と。

 話は少し脱線しますが‥ネットの世界でアベノミクスを支持する人と、韓国嫌いな人はダブっているように見えますが‥そうですよね?

 なんとネットの世界には韓国嫌いな人が多いことか!

 話は戻りますが、何故我が国が大胆な金融政策を展開すると、韓国のウォンの価値が上がるのでしょう?

 どうして韓国の人々は、アベノミクスがウォンの価値を引き上げていると考えるのでしょう?

 おかしくありません?

 何故かと言えば、韓国は昔から日本のやることを真似するのが上手な国。テレビ番組にしても、日本の人気番組をそのままアレンジしなおしたような番組も多かったのです。今は知りませんけど‥

 だから、日本がアベノミクスによって円安を実現したと本当に韓国が信じるのであれば、直ぐ真似すると思うのに‥

 というか、そもそも日本よりも積極的というか、日常的に為替介入をしてウォンの価値を低く抑えてきたのが韓国ではなかったのか? また、だからこそ米国は、韓国に対して、そろそろそのような為替介入を止めるようにと勧告をしていたのではなかったのか?

 韓国も、韓国版のアベノミクスをやれば、ウォンの価値が下がるとは思わないのでしょうか?

 どうもおかしい。

 多分、韓国はウォンの価値を低くするようにと、必死になって出来得る限りのことをやっていると思うのです。だって、そうしなければ輸出産業が大打撃を受ける訳ですから。

 しかし、ウォンの価値はなかなか下がらない!

 私は、浜田教授を始めとする、リフレ派の人々に言いたい。

 もし、貴方がたが韓国からアドバイスを求められたら、どんなアドバイスをするのか、と。

 恐らく、韓国も大胆な金融政策を採用したら、ウォンが安くなるとアドバイスをすると思うのです、もし、韓国が嫌いでなければ‥

 しかし、韓国はそんなこと十分承知しているのです。そして、やるべきことはやっている。

 結局、何故韓国のウォンの価値が上がっているかと言えば、ユーロ危機が収まり、リスク・オンの状態が出現し‥その結果として、円は然るべき水準にまで戻り、そして、新興国通貨などは然るべき水準にまでそれぞれの通貨の価値が上がっているだけの話なのです。

 ということで、韓国が、ウォンの価値が上がっているのが日本のせいで、日本が憎らしいなんて思うのは筋違いなのです。同じく、ドイツが日本のせいで、 ユーロ高になってしまったというのもおかしいのです。そうではなく、ユーロ危機が収まっているから自然とユーロが元の価値を回復し、その反対に円が元の水 準にまで戻しているだけなのです。

以上


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 本日、午前の臨時閣議で2013年度の経済見通しが閣議了解されました。

 2013年度の実質GDPは2.5%になる見込みだ、と。

 さて、ここで貴方に質問をしたいと思いますが、貴方は、熱烈な安倍ファンですか? 

 
もし、そうであって、その理由が安倍総理の経済政策に魅力を感じるからというのであれば、次の質問にしっかり答えて欲しいのです。

 では、質問です。

 安倍政権は、これから14か月後の2013年度が終了したとき、物価の上昇率をどのように想定しているのでしょうか? つまり、2013年度の物価上昇率はどの位になると予想しているのでしょう

 何か言いたそうですね。2%に決まっているではないか、と言いたいのですよね。何故かと言えば、先日、日銀に対して、2%の物価目標値を採用させたばかりだからですよね。

 答えを言う前に、質問をもう一つしたいと思います。

 もし、新しい日銀総裁が選出され、その新総裁の下で無制限の金融緩和策が次々と打ち出され‥しかし、2013年度の結果をみてみたところ、2013年の消費者物価の上昇率が0.5%程度であったり、或いは、GDPデフレーターの上昇率が0.2%程度であったとすれば、貴方は、そうした結果に満足することができるでしょうか?

 そうですよね、満足できないですよね、特にインフレターゲットを強く支持してきた人だったら。

 何故ならば、消費者物価の上昇率が0.5%程度では、旧来の日銀の物価上昇率の目途であった1%にさえ届かない訳ですから。

 だったら、そんな新しい日銀に対して、安倍政権はどのように対応することになるでしょう?

 日銀をどやしつける?

 決してそんなことにはならないでしょう。

 何故か?

 というのも、2013年度中の消費者物価指数の上昇率は0.5%にしかならず、また、GDPデフレーターは、それよりさらに低い0.2%しか上昇しないと本日閣議了解したからのです。

 いいんですか、そんなに甘い態度で? そんなことでデフレから脱却できるのですか?

 いずれにしても、本日、閣議了解された2013年度の経済見通しによれば、GDPの「名実逆転」が16年振りに解消されることになるのだとか。

 名実逆転とは、名目GDPの伸び率の方が実質GDPの伸び率を下回る現象なのです。

 では、そうした逆転現象が何故起きるのかと言えば‥そうなのです、物価上昇率がマイナスになっていると、名目GDPの伸び率よりも実質GDPの伸び率が上回ることとなるのです。

 そして、サラリーマンからすれば、幾ら実質GDPが伸びたと言っても、名目でマイナスになっている、それに伴って賃金が減少しがちになるので、名目GDPを何とかして増やして欲しいという気になるのでしょう。

 では、ここでもう一つ質問です

 16年ぶり「名実逆転」が解消されるということは、その間、ずっと物価が下落していたということを意味するのですが、そのことを貴方はどうお思いになるでしょう?
 
 確かに、デフレがずっと続いているという感覚があるかもしれませんが、しかし、時には物価上昇率がプラスに転じた年もあるのではないでしょうか?

 現に、2001年度以降の消費者物価指数の動き(年度末の指数)をみても、2006年度、2007年度、2008年度の3年間は連続して物価が上がっているのです。

 それなのに、何故16年ぶりだと言うのか?

 答えは‥それは、物価指数には違いがないのですが、実質GDPを算出する物価指数というのは、GDPデフレーターという、消費者物価指数とは異なる物価指数が採用されているからなのです。

 しかし、ここでまた疑問が生じます。

 消費者物価指数の伸び率は、2001年度以降プラスの値を示したことがあったのに、何故GDPデフレーターの伸び率はこれまでプラスに転じたことがなかったのか?

 その原因の一つは、消費者物価指数とGDPデフレーターは、指数を構成する品目の対象が異なるからなのです。

 それに、急に為替レートが大きく変動するようなときに、異なった反応をするからでもあるのです。

 例えば、急に円安が進んだようなときには、物価にどのような影響を与えるか?

 円安になれば、海外から輸入する原油の価格が上昇し、そして、それが様々な商品に波及することが考えられますが、消費者が購入する製品価格にまで転嫁されるにはある程度の期間がかかるのが普通です。もちろん、例えば、ガソリンの価格や灯油の価格は直ぐに反応するでしょうが、幾ら石油等が原材料の一部として使用されていても、その割合が小さな商品であれば、実際に価格が上がるまでには相当の時間がかかるで

 一方、我が国が外国から原油や液化天然ガスを購入する際の価格は、円安になった分、円建ての価格にそのまま反映されるのです。そして、そうして輸入価格が上がると、GDPデフレーターは低下する仕組みになっているので、GDPデフレーターは、円安によって最初はむしろ低下することが多いと言えるでしょう

 近年、GDPデフレーターがどのように推移しているか、次の数値をご覧いただきたいと思います。

<近年のGDPの推移>

      名目GDP  実質GDP  GDPデフレーター
2001年度  -1.8%   -0.4%   -1.4%
2002年度  -0.7%   1.1%   -1.8%
2003年度   0.8%    2.3%   -1.5%
2004年度   0.2%   1.5%   -1.3%
2005年度   0.5%   1.9%   -1.3%
2006年度   0.7%   1.8%   -1.0%
2007年度   0.8%   1.8%   -1.0%
2008年度    -4.6%   -3.7%   -0.9%
2009年度  -3.2%   -2.0%   -1.2%
2010年度   1.3%   3.4%   -2.0%
2011年度  -1.4%   0.3%   -1.7%

2012年度  0.3%) 1.0%) (-0.7%)
2013年度 ( 2.7%) ( 2.5%)  ( 0.2%)

(注) 括弧書きは、政府の見通し


<最近のGDP(前年比)の推移>

2011年4Q   -1.8%   -0.2%   -1.6%
2012年1Q   2.3%   3.4%   -1.1%
2012年2Q   2.9%   3.9%   -1.0%
2012年3Q  -0.3%   0.5%   -0.8%


 如何でしょう?

 今までの推移をみていると、GDPデフレーターが2%近くになるなんて、簡単なことでないことが容易に想像されると思います

 従って、GDPデフレーターの伸び率がたった0.2%ではあってもプラスに転じれば、それだけでも明るい材料として受け止められる可能性が大なのです。

 但し、もちろん幾らデフレーターの伸び率がプラスに転じても、実質GDPが伸びなければ意味がありません。

 いずれにしても、日本経済の今後の行方は、海外の動向次第なのではないでしょうか

 何故ならば、ユーロ危機が収まり、そして、米国の経済が明るさを取り戻すならば、否が応でも円安がが進むからで、そして、同時に海外の需要が回復することが予想されるので、その2つの意味で日本の輸出が促進されることになるからです。

 私としては、名実逆転が実現しなくても、実質GDPが2%以上の上昇率を示せばそれで上出来だと考えます。

 

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 「ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は24日、円高を是正して景気を刺激し、本格的なデフレ対策を打つという意図は正しいと述べ、大胆な金融緩和や財政出動を柱とする安倍政権の経済政策を評価したと報じられています。(1/26 日経電子版)

 果たして、スティグリッツ教授は、具体的にどんな発言をしたのでしょうか

 ネットで調べてもなかなか分かりません。しかし、彼は、今回のダボス会議で次のような発言をしているので、彼がアベノミクスの積極財政策に一定の評価を与えるのは理解できるのです。

 彼は、どんなことを発言しているのでしょうか?

America likes to think of itself as a land of equality and opportunity, the so-called American dream is very deep to our sense of identity,

「アメリカは自分の国が平等と機会均等の国であると考えたがる。つまり、アメリカンドリームが我々の心情に深く根差している」

The stats show otherwise, the U.S. has one of the worst opportunity rates of any of the advanced economies,

「しかし、統計データは、そうではないことを示している。米国は、先進国のなかで機会均等の面で一番遅れている国の一つだ、と」

They repeat the same kind of platitudes, ‘we need to get growth, austerity won’t be enough,’ but no country policies that will achieve growth,

「彼らの言うことは陳腐なことばかりだ。成長を必要とする、緊縮策が十分でない、と。しかし、どこの国の政策も、成長を達成するようなものはない」


 ということで、彼は、欧州も米国ももっと積極的な財政政策に打って出ることが必要だと言うのです。

 つまり、その論法で行くならば、日本積極的な財政出動は評価されてしかるべきだ、と

 では、彼は、それだけが言いたいのでしょうか? つまり、積極的な財政政策に出れば、それでいいのか? もし、そうであるならば、麻生総理と大変近い考え方であるとも推測されるのですが、彼が積極財政を主張するのには別な意味があるのです。

 そのことについて知りたいですか?

 だったら、彼が書いた次の文章を読んでみることです。

The Post-Crisis Crises  Joseph E. Stigliz 2013/1/7

NEW YORK – In the shadow of the euro crisis and America’s fiscal cliff, it is easy to ignore the global economy’s long-term problems. But, while we focus on immediate concerns, they continue to fester, and we overlook them at our peril.

「ユーロ危機とアメリカの財政の崖に隠れているため、我々は、世界経済の長期的な問題を見失いがちである。しかし、我々が目下の懸案事項に気を取られているうちにも、そうした長期的な問題は深刻化している。我々は危険を承知でそうした問題を見逃しているのである」

The most serious is global warming. While the global economy’s weak performance has led to a corresponding slowdown in the increase in carbon emissions, it amounts to only a short respite. And we are far behind the curve: Because we have been so slow to respond to climate change, achieving the targeted limit of a two-degree (centigrade) rise in global temperature, will require sharp reductions in emissions in the future.

「最も深刻なものは地球温暖化である。世界経済の成長率が鈍っているために、二酸化炭素排出量の増加のペースもそれに応じて鈍っているが、それも暫しの休憩に過ぎない。我々は目標からはるかに遅れている。我々気候変動対応が大変遅いので、地球の気温の上昇を2度に留める目標値を達成するために、将来さらに厳しい二酸化炭素の排出削減が必要となる」

Some suggest that, given the economic slowdown, we should put global warming on the backburner. On the contrary, retrofitting the global economy for climate change would help to restore aggregate demand and growth.

「経済が停滞しているので、地球温暖化の問題を棚上げすべきだと言う者がいる。それどころか、世界経済の構造を気候変動に対応することができるように改良することが、総需要の増加につながり、成長を取り戻すことになるのである」

At the same time, the pace of technological progress and globalization necessitates rapid structural changes in both developed and developing countries alike. Such changes can be traumatic, and markets often do not handle them well.

「同時に、技術進歩と国際化のスピードが速すぎると、先進国においても、そして、途上国においても急速な構造変化が求められるが、そうした変化は大変に衝撃が大きく、市場が上手く対応できないことも多い」

Just as the Great Depression arose in part from the difficulties in moving from a rural, agrarian economy to an urban, manufacturing one, so today’s problems arise partly from the need to move from manufacturing to services. New firms must be created, and modern
financial markets are better at speculation and exploitation than they are at providing funds for new enterprises, especially small and medium-size companies.

「大恐慌は、農村からの移動、つまり農業経済から都市の製造業中心の経済に移行することが困難であったことも原因であったが、それと同じように、今日の問題は、製造業からサービス産業へ移行する必要あることも原因である。新しい企業が作られなければならない。そして、現代的な金融市場は、新しい企業、特に中小の会社に資金を供給すること以上に投機や搾取が巧いのである」

Moreover, making the transition requires investments in human capital that individuals often cannot afford. Among the services that people want are health and education, two sectors in which government naturally plays an important role (owing to inherent market imperfections in these sectors and concerns about equity).

「さらに、そうして構造が移行するためには、個人としては行うことのできないような人的資本への投資が必要となる。人々が必要とするサービス産業には健康と教育があり、この二つの分野で政府は重要な役割を果たしている(こうした分野では市場が完全に機能することがなく、また、平等を確保するためにである)

Before the 2008 crisis, there was much talk of global imbalances, and the need for the trade-surplus countries, like Germany and China, to increase their consumption. That issue has not gone away; indeed, Germany’s failure to address its chronic external surplus is part and parcel of the euro crisis. China’s surplus, as a percentage of GDP, has fallen, but the long-term implications have yet to play out.

「2008年の危機が起こる以前は、世界経済の不均衡の問題、そして、ドイツや中国など貿易収支黒字国が消費を増加させる必要性について、よく話がなされた。そうした問題はなくなっていない。事実、ドイツが慢性的な貿易黒字に対応できなかったことがユーロ危機の本質である。対GDPでみた中国の黒字は落ちてきているものの、しかし、長期的にはまだ解決された訳ではない」

America’s overall trade deficit will not disappear without an increase in domestic savings and a more fundamental change in global monetary arrangements. The former would exacerbate the country’s slowdown, and neither change is in the cards. As China increases its consumption, it will not necessarily buy more goods from the United States. In fact, it is more likely to increase consumption of non-traded goods – like health care and education – resulting in profound disturbances to the global supply chain, especially in countries that had been supplying the inputs to China’s manufacturing exporters.

「米国の貿易赤字は、米国の国内貯蓄が増加し、そして、世界の金融取り決めに関して根本的な変化がなければ解消することはないであろう。前者(米国の貯蓄増加)は、米国の景気を一層悪化させるであろう。そして、どちらの変化も起こりそうにない。中国が消費を増加させても、必ずしも米国製の商品を買う訳ではない。事実、モノの消費を増やすよりも、医療や教育のようなサービスの消費を増やすことになりそうだ。そして、その結果、中国の輸出業者に対して部品を供給してきた国々の供給体制に混乱をもたらすであろう」

Finally, there is a worldwide crisis in inequality. The problem is not only that the top income groups are getting a larger share of the economic pie, but also that those in the middle are not sharing in economic growth, while in many countries poverty is increasing. In the US, equality of opportunity has been exposed as a myth.

「最後に、世界的に格差の危機が起きている。問題は、最上位のグループが経済のパイのより大きなシェアを確保していることだけではなく、中流階級が経済成長の恩恵を受けていないことである。一方、多くの国の貧困は増しているのである。米国において機会の均等は神話になっている

While the Great Recession has exacerbated these trends, they were apparent long before its onset. Indeed, I (and others) have argued that growing inequality is one of the reasons for the economic slowdown, and is partly a consequence of the global economy’s deep, ongoing structural changes.

「今回の景気後退がこうした傾向を悪化させた一方で、そうしたことは以前から明らかであった。事実、私たちは、こうして格差が大きくなっていることが景気悪化の一つの原因であり、また、世界経済の深刻な構造変化の結果でもあると論じてきた」

An economic and political system that does not deliver for most citizens is one that is not sustainable in the long run. Eventually, faith in democracy and the market economy will erode, and the legitimacy of existing institutions and arrangements will be called into question.

「多くの国民の期待に応えることのない経済と政治のシステムは、長期的にみて持続可能なものではない。最終的には、民主主義と市場経済の信頼が損なわれ、既存の体制の正当性に疑問が投げかけられるであろう」

The good news is that the gap between the emerging and advanced countries has narrowed greatly in the last three decades. Nonetheless, hundreds of millions of people remain in poverty, and there has been only a little progress in reducing the gap between the least developed countries and the rest.

「良いニュースがある。それは、新興経済国と先進国との格差がこの30年間で大きく縮小してきていることである。しかし、それでも何億人もの人々が貧困の状態にある。最貧国グループとそれ以外の国々の格差は僅かしか縮まっていない」

Here, unfair trade agreements – including the persistence of unjustifiable agricultural subsidies, which depress the prices upon which the income of many of the poorest depend –
have played a role. The developed countries have not lived up to their promise in Doha in
November 2001 to create a pro-development trade regime, or to their pledge at the G-8
summit in Gleneagles in 2005 to provide significantly more assistance to the poorest countries.

「不公正な貿易取り決めがある。正当化できない農業補助金は、最貧国の多くが依存している農産物の価格が上がらないように圧力をかけているが、そうした農業補助金が存在しているのである。先進国側は、2001年11月にドーハで約束したこと、つまり開発型の貿易体制を作ると言った約束を果たしていない。或いは、最貧国にさらなる支援を行うとし2005年のグレンイーグルスの約束守っていない」

The market will not, on its own, solve any of these problems. Global warming is a quintessential “public goods” problem. To make the structural transitions that the world needs, we need governments to take a more active role – at a time when demands for cutbacks are increasing in Europe and the US.

「市場は、それ自身ではこれらの問題を何も解決することはない。地球温暖化は、典型的な「公共財」の問題である。世界が必要とする構造シフトを果たすためには、我々は政府にもっと積極的な行動を取らせる必要がある。欧州と米国で、緊縮の要望があるときであるから」

As we struggle with today’s crises, we should be asking whether we are responding in ways that exacerbate our long-term problems. The path marked out by the deficit hawks and austerity advocates both weakens the economy today and undermines future prospects.
The irony is that, with insufficient aggregate demand the major source of global weakness
today, there is an alternative: invest in our future, in ways that help us to address simultaneously the problems of global warming, global inequality and poverty, and the
necessity of structural change.

「我々は、現在の危機に悪戦苦闘しながら、長期的な問題を悪化させるよう振る舞っているのではないか、自らに問うてみなければならない。緊縮財政派によって示される道は、現在の問題である経済を弱め、そして将来の見通しを暗くする。皮肉であるのは、総需要が弱いために現在、世界経済が弱体化しているが、しかし対案があることである。将来に投資するのである。地球温暖化の問題と格差と貧困の問題、そして、構造変化に対応しなければならない問題に同時に対処するような仕方で将来に投資するのである」


 これでお分かりになったように、スティグリッツ教授は、世界経済の長期的問題に頭を悩ましているのです

 世界の国々において格差が広がっているではないか、と。そしてまた、地球温暖化の問題は、こうして我々が手を拱いている間にも、徐々に顕在化してきているではないか、と。さらにまた、先進国では製造業からサービス産業へと構造転換を図る必要が起きているのではないか、と。

 こうした問題は、市場に任せていただけでは何ら解決されない。

 つまり、政府の出番なのだ、と。

 単純なケインジアン的な発想ではないのです。

 日本にはなかなかこのような経済学者は現れないですよね。


 スティグリッツ教授の言いたいことが分かったと言う方、クリックをお願い致します。
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 本日未明、NHKのラジオを聞いていたら、安倍政権が新年度の実質経済成長率を2.5%見込むことになった、と報じていました。

 まあ、布団の中でぼーっと聞いていたので、どれだけ記憶が正確か分からないのですが、そのとき、とっさに思ったのです。

 安倍政権は、日銀に対してインフレ率が2%になるようにあらゆる手段を講じろと指示している訳だから、実質経済成長率が2.5%になるということは、名目成長率は4.5%になるということだろうか、と。

 それが本当なら、なんと強気な見通し!

 しかし、どうもそこのところがはっきりしない。そこで、起きてから新聞などで事実を確認しようとしても、それらしき記事は出ていない。そこでネットで調べると、NHKと毎日が報じていました

 で、何故他紙は報じないのかと言えば、正式に決定されるのは来週月曜の閣議でのことになるので、どうも完全に決定された訳でないからのようなのです。つまり多分に推測の要素が含まれている、と。

 いずれにしても、NHKや毎日がどう報じているかと言えば‥

 「政府は、新年度・平成25年度の経済成長率の見通しについて、大型の経済対策の効果や世界経済の回復による輸出の増加などが見込まれるとして、物価の変動を除いた実質で2.5%とする方針を固めました。中略)

 政府は新年度の経済成長率の見通しについて、物価の変動を除いた実質で2.5%、物価を反映させた名目で2.7%とする方針を固めました」(NHK

 あれれ‥名目成長率は2.7%ではないですか。

 名目成長率が2.7%であり、そして実質成長率が2.5%だということは、物価の上昇率は0.2%ということになるのです。

 ほんまでっか?

 インフレ率は2%を目標にすると言いながら、政府の見通しとしてはたった0.2%のインフレ率で満足するということですか?

 そして、その件について、毎日新聞は次のように報じているのです。


 「消費者物価も前年度比0.5%増を見込んでいる。昨年8月時点の13年度の成長率試算は、実質1.7%程度、名目1.9%程度を見込んでいた」(毎日)

 消費者物価は、前年度比0.5%増?

 これは、確かに0.2%よりも大きい。しかし、それにしても2%の目標値と比べれば小さすぎはしないのか?

 でも、何故名目成長率と実質成長率の差から求められるインフレ率が消費者物価の上昇率と異なるのか?

 そ、れ、は‥GDPデフレーターは消費者物価指数と一致するとは限らないからなのです。

 そのことはお分かりですよね?

 つまり、そうした物価指数を構成する対象品目が異なるからなのです。GDPデフレーターの方は、GDPを構成するモノやサービスの全てが対象となるのに対し、消費者物価指数は、消費者が購入するモノやサービスしか対象にならないからなのです。

 この際細かいことはどうでもいい。

 いずれにしてもあれだけ物価を上げるようにと厳しく日銀に迫っている政府自身が消費者物価の上昇率は0.5%程度だろうと見積もるのは如何なものなのでしょう?

 それとも、この事実に安倍総理自身気が付いていないのか?

 それにしても、そもそもアベノミクスは、実質GDPの数値よりも名目GDPを重視する方針ではなかったのか?

 それが、ここにきて、実質GDPをどうするかなんて決めるということは何を意味するのか?

 やっぱり実質GDPを引き上げないと意味がないということに気が付き始めたということか?

 来週の月曜日の閣議で、正式にどのように決定されるのか、楽しみに待ちたいと思います。


 安倍政権として、本年度のインフレ率を0.5%としか見積もらないのは、少々筋が通らないのではないか、とお感じの方、クリックをお願い致します。
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 昨年の今頃、我が国の貿易収支が31年ぶりに赤字になったことが注目されました。2011年の貿易収支は、2.5兆円の赤字になった、と。

 さて、本日、2012年の貿易収支が発表になりました。ご存知でしょうか?

 まさか黒字に復帰したなんてことはないですよね。

 そんなことはありません。単月ベースでも概ね赤字が続いていたからです。そうなれば、当然年間の数字も赤字になる筈です。確か、11月までの累計で赤字が6兆円を超えていのです

 では、2012年の貿易収支は

 なんと6.9兆円の赤字だ、と。赤字の規模が、一気に昨年の3倍弱ほどになったのです。

      輸出      輸入      貿易収支
2001年   48.9兆円   42.4兆円     6.5兆円
2002年   52.1兆円   42.2兆円     9.8兆円
2003年   54.5兆円   44.3兆円     10.1兆円
2004年   61.1兆円   49.2兆円     11.9兆円
2005年   65.6兆円   56.9兆円     8.7兆円
2006年   75.2兆円   67.3兆円     7.9兆円
2007年   83.9兆円   73.1兆円     10.7兆円
2008年   81.0兆円   78.9兆円     2.0兆円
2009年   54.1兆円   51.4兆円     2.6兆円
2010年   67.3兆円   60.7兆円     6.6兆円
2011年   65.5兆円   68.0兆円     -2.5兆円
2012年   63.7兆円   70.7兆円     -6.9兆円  
(資料:貿易統計)


 これだけ貿易赤字が巨額になっているのにも拘わらず、円安の原因アベノミクスにしか求めない人の何と多いことか!

 もちろん、アベノミクス投資家心理に与えた影響は顕著なものがあったと思うのです。だから、もちろんアベノミクスが一つの大きな原因であることは否定できないのですが、そうであってもこの数か月間に急速に円が安くなっていることの背景には、そうして貿易収支の赤字が定着していることと、ユーロ危機が落ち着いてきていることがあるのです。
 
 いずれにしても、幾ら予想していたこととはいえ、なんと寂しいことか!

 しかし、ものは考えようなのです。

 というのも、これだけ巨額の貿易赤字を計上している事実を諸外国に示せば、最近の円安を彼らも受け入れざるを得ないと思うのです。

 そうでしょ?

 それに、そもそもこの1〜2か月間に急速に円安に振れたの事実であるとしても、その間、我が国は為替介入など一切行っていないのです。

 もちろんアベノミクスの効能が利いているのはそのとおりでしょう。しかし、そうやって効能があるというのは、内外の市場関係者が勝手に円は安くなるであろうと予想した結果に過ぎないのですから、謂わば市場メカニズムによって決まったこと。従って、諸外国が日本政府を責めるのはおかしいのです。

 つまり、自国通貨の価値を直接コントロールしている中国や韓国、或いはスイスなどとは話が違うのです。

 だから、日本の政治家は、為替レートの話になったとき、変に力む必要はない。為替介入なんてしていないのだから。

 ただ、その一方で、日本と米国の貿易関係はどうなっているのかと言えば、相変わらず日本の黒字、米国の赤字という関係が変わっていないのです。だから、そうしたことから言えば、米国としては、円の価値が対ドルで余りにも急速に低下するという現象は理解できないかもしれません。

 かし、その一方で、日本は主にどこの国々との関係で輸入超過になっているかと言えば、原油や天然ガスを輸入する中東地域との関係で、なのです。

 そして、その中東の湾岸諸国は、彼らの通貨の価値をドルに固定させる政策を取っているので結果として、彼らの通貨の価値が最近円に対して強くなっているのです。

 でも、それって自然なことでしょ?

 つまり、湾岸諸国が彼らの通貨の価値を米ドルに固定させることを米国が認める一方で、日本の円の価値が急に低下していることに仮にクレームを付けようとしたら、それはおかしいことになるのです。

 本日は、結果的にアベノミクスの円安政策を支持した形になりましたが、海外から円安に関して、クレームがついても決して力む必要はないのです。

 涼しい顔をしていることが肝要。繰り返しになりますが、日本は為替介入は行っていないのですから。



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 インフレターゲット論者の皆さんはさぞかし嬉しいに違いない。何故ならば、もう10年以上インフレターゲットを設けることを主張し続け、それが昨日やっと実現できたからだ。

 Congratulations!と言うべきなのか?

 ただ、テレビに登場する評論家の意見を聞いていると、こうしてインフレターゲットを採用しても、実際に賃金が上ったり、物価上昇率が目標値に達するようになるためには相当の期間が必要なのだとか。

 それはそうでしょう。例えば賃金について、経済界は、今年の賃上げはあり得ないと早々に予防線を張っている訳ですし‥それに仮に企業の利潤が増えるような事態になったとしても、そう簡単に賃上げが実現するとは限らないからなのです。

 では、何故賃上げが実現しそうにないのか?

 だって、そうではありませんか? そんなこと就職戦線を見れば分かります。また、求人状況を見れば分かります。

 つまり、賃上げが実現するためには、職に就きたいと願う人々、つまり労働の供給よりも労働に対する需要が上回る状況になる必要があるからです。そうした状況は、単に企業の収益が増大したからと言って実現するとは限りません

 もちろん、企業がどんどん儲かるようになって企業規模の拡大に乗り出す、つまり、採用者を増やすようになれば、それなら賃金が上がることが十分期待できるようになりますが‥果たしてこの高齢化が進展する日本で今後消費活動が活発になるようなことが考えられるのか、という懸念があるのです。

 だとしたら、消費活動を活性化するための根本的対策としては、中国の一人っ子政策とは正反対のことを行うことではないでしょうか? つまり、三人っ子政策を採用する、と。

 世の中には、結婚のチャンスに恵まれないような人も多いので、結婚をしたら、なるだけ子どもを沢山産みましょうと政府が推奨する、と。少なくても2人か3人は産んで欲しい、と。

 そして、そのような呼びかけに若い人々が応じてくれるようになれば、人口の減少にもストップがかかり、ひょっとしたら子どもたちの数が増えるかもしれません。

 そしたら、どうなります?

 当然のことながら、赤ちゃん用品や子供用品が売れるようになるでしょう。そうなれば、当然、企業としても増産体制を取る、と。つまり、そうなると従業員の採用を増やす必要があるので、賃金を上げざるを得ない、と。

 そうなれば、自然に賃金が上がりデフレは解消するでしょ?

 しかし、政府が実際にやっていることは、公務員の給料を下げるようなことばかり。もちろん、社会的公正さを確保するために、それが正しいかもしれません。

 しかし、幾ら正しいことであっても、そうした結果、公務員になりたがる人の数は減るでしょう。特に、成績優秀な人のなかには、もう少し給料が高い職場の方を選びたいと思う人。そして、そのような動きが強まれば、民間企業としては給料を上げなくても優秀な人材が確保できるので、何故賃金を上げる必要があるのか、となるのです。

 だから、単に企業の業績が少し位良くなったからといって、なかなか賃金が上がるところまでは期待できないのです。あり得るとすれば、公共工事が急激に増加しているために、そうした部門での人手不足の影響が他の業界にまで及び、その結果、労働者全体の賃金が上がる、と。

 いずれにしても、そうした可能性が今後大きくなるかどうかは、新規の有効求人倍率をみていれば予想が付くでしょう。

 では、物価上がる可能性はどうでしょう?

 安倍政権は、四半期ごとに物価が上がっているかどうか、そして、それを実現するために日銀がしっかりと仕事をしているかをウォッチすると、教育ママのようなことを言っているのですが‥率直に言って、そう簡単には上がらないでしょう。

 しかし、2%の物価を上げるという目標が実現できそうもないとなれば、途方もないプレッシャーがかけられるでしょう。そして、最終的には、もう何でもありの金融政策が展開され、どうにか2%のインフレ率が実現されるでしょう

 では、そうした物価の目標が達成されたとき、安倍政権は日銀を褒め称え、国民もハッピーになる
のでしょうか?

 実は、物価だけが上がっても国民はハッピーにはならないのです。そうなのです。それ以上に賃金が上がらないと、むしろ不満の声が大きくなるでしょう。

 では、物価は2%上昇することになったが、賃金が上がらないとか、或いは実質GDPがそれほ増えないという状況が起きたら、安倍政権としてはどのような行動に出るでしょう?

 多分、物価の上がり方がまだ少ないからいけないということになるでしょう。つまり、2%なんていうのは、too little だ、と。

 そうなると、この際物価上昇率を倍の4%に上げるべきだとなるかもしれません。しかし、物価を4%も引き上げるためにはさらに無茶苦茶な金融政策が展開されることになるでしょう。恐らく新規国債を日銀が直接引き受けるようなことも、もちろん財政法を改正したうえでの話ですが、行われることになるかもしれません。

 でも、それでも人々の消費行動にそれほどの変化が表れなければ?

 そうなれば、インフレ率は10%位が望ましいのだ、というような声が出るかもしれません。自分たちのインフレターゲットの目標はなんと小出しであったのか、なんて言って‥

 では、仮に10%のインフレ率が実現できたとして、それで日本経済が活性化する可能性はどれほどあるのでしょう?

 或いはまた、そのように通貨の供給量を増加させることによってインフレを起こすということは、デノミの反対の措置を取ることによってインフレを起こすこととはどんな違いがあるのか、という疑問が生じるかもしれません。

 つまり、例えば、この際気分一新で、これまでの1万円札を新しい2万円札に交換するという措置を取ったとしたらどうなるのか、と。

 多分、そうなれば、速やかに物価は2倍前後になるでしょう。

 だとしたら、その方が一番手っ取り早いのではないのか?

 いずれにしても、そうして強制的に物価を引き上げたとして、どのようなメカニズムで景気が良くなるのでしょうか?

 本日、テレビのワイドショーを見ていると、そのことに関して、インフレが起きれば、人々は商品が値上がりする前に購入を急ごうとするだろうから‥なんて言っていましたが、2%のインフレ率で、本当に消費者の行動パターンに変化が表れるのでしょうか

 多分、インフレ率が20%程度以上にならないと顕著な変化は表れないでしょう

 ということで、物価を上げることによって消費パターンに変化を起こしたいと考える人からすれば、2%の物価目標値なんて全く小出しに過ぎないのです。

 そして、物価が少々上がるようになっても、景気にそれほどの変化表れなければ、もっと物価目標値を引き上げるべきだという声が強くなり、益々目標値が引き上げられることとなるでしょう。

 

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 日銀は、本日の金融政策決定会合で、2%の物価目標値を採用することを決定し、併せて政府との共同文書の内容を決定すると報じられています。

 まあ、それしか道はないのでしょう。

 アベノミクスというか、安倍総理と浜田教授の金融政策に関する考えに従えば、それしかないということです。また、安倍総理が言うように、これだけ為替と株価が反応している訳ですから、その意味では勝負あったというべきで、だから誰もアベノミクスに反対できないムードが出来上がっているのです。

 まあ、それならそれでいいでしょう。民主的な手続きを経て政権が交替し、そして安倍内閣が誕生した。そして、その安倍総理が大胆な金融政策を主張している訳ですから、仕方がないと言えば、仕方がない。

 しかし、安倍政権の面々や浜田教授が言っているとおり、日銀には手段の独立性は認めるが、目標の独立性は認めないというのであれば、2%の物価目標値を日銀に押し付ける以上、政府として、否、安倍総理自身として、何故2%の物価目標値を設けることが必要であるのか、国民に分かり易く説明する責任があるのです。

 というのも、確かに専門家と同様に国民のなかにもインフレターゲットを設けることを強く主張する人々がいるのはそのとおりなですが、しかし、そのような人々は国民のなかの極一部に過ぎません

 もちろん、多くの国民が給料が上がるような時代に戻って欲しいと願っているのはそのとおりでしょう。しかし、同時に、多くの国民は、物価が上がれば生活が苦しくなるという不安感を抱いているのも事実。だから安倍総理は、この際、国民に向かって分かり易く説明すべきなのです。

 1月11日の、緊急経済対策を決定した際に行った記者会見でも、そのことについては何も言っていないのです。言っているのは、3本の矢とパイを大きくするという話だけ。

 まあ、私がこんなことを言えば、リフレ派の人々は次のように言うかもしれません。

 デフレから脱却すること優先課題と言っているのだから、そのための目標値を設けるのは当たり前ではないか、と。

 デフレの定義、物価が持続的に低下することと理解するのであれば、確かに、物価上昇率を恒常的にプラスに維持できれば、それでデフレから脱却したことになるのはそのとおりでしょう

 ですが、国民の多くは、それから後の話を聞きたいのです

 物価が毎年2%程度上がるようになったとしましょうついでに、可能性は低いものの給料も物価に合わせて毎年2%程度上がるようになったとしましょう

 しかし、それでは実質成長率がゼロということですから、今までと殆ど変りがない。なのに、物価が2%上がることがそれほど重要なことなのか、と。

 もっと言えば、実現の可能性がないことは言わない、というのが信条の安倍政権、物価上昇率の目標値を2%とする一方で、名目GDPの伸び率は3%を目標とすると言っている訳ですから、実質成長率は1%程度しかならないのです。

 できもしないことを言うよりも、何も言わない方がいいかもしれない。しかし、1%の実質成長率を実現することがアベノミクスのパイを大きくするという意味なのでしょうか?

 しかし、実質成長率が年率1%だったら、今までとどこがどう違うのでしょうか?

 例えば、これまでは仮に物価が毎年1%程度下落していたとして、その一方で、名目GDPの伸び率が0%だとすれば、実質GDPの伸び率は1%になる訳ですが、その状態に比べて何がどういいと言うのでしょうか?

 「縮小均衡の再配分(再分配)から成長による富の創出」というのは安倍総理の常套句です。

 ですが、実質成長率に変わりがなければ、どうして富が新たに創出されたと言うことができるのでしょう? パイの大きさは変わらないではありませんか? 富が増えたと思うのはお金の価値が落ちたために、名目ベースでそう見えるだけの話で、我々が享受できる食べ物や着る物、或いはそれ以外の様々な商品、様々なサービスの量に違いはないのです。

 だから、どういうメカニズムで富が追加的に創出されることになるのか、そこのところを分かり易く国民に説明して欲しいのです。

 で、その点について、どのような説明があり得るのかを勝手に想像すれ、先日も言ったとおり、シナリオは3つほどになるのです。

1. 物価が上昇すると、人々は、デフレ局面と正反対に、商品の価格が上がる前に購入しようとて消費が活性化するから。

2.物価が上昇する一方で、名目金利を上がらないようにすることができれば、実質金利が低下することとなるが、そうなれば企業の実質的な金利負担が軽くなるので、投資活動が促進されるから。

3. 物価が上昇するということは通貨価値が低下することを意味するが、そうなれば円の相対的な対外価値が低下する、つまり円が安くなるので日本の輸出にとって有利になるから。 

 
 さあ、如何でしょう?

 どれが安倍内閣の考えなのでしょう? 或いは、3つともそうであるとお考えなのでしょうか?

 しかし、それら3つの理由について、どれだけの国民が納得することができるでしょう

 毎年2%程度物価が上がるようになったとして、我々国民消費行動に変化が生じるのか?

 多分それほどの効果はないでしょう。これが、オイルショック後のモノ不足によって狂乱物価になった時のような状況になれば話は別ですが、2%程度の物価の上昇が起きただけでは、我々消費者は殆ど反応を示さないでしょう

 では、物価が上がる一方で金利が上がらなければ、実質金利が下がるので、それで企業の投資活動を刺激するという考えは如何でしょう?

 これも相当に怪しい。だって、物価が上がれば、当然金利はそれに反応して上がり始めるからなのです。

 百歩譲って、金利はそれほど上がらずに、実際に実質金利が下がったとしても、それによって企業が投資活動を増やすことになるかどうかは大いに疑問です。いずれにしても、そのことについては、企業経営者に聞け分かることなのです

 では3番目の、円安になるから日本の輸出にとって有利になるという考えはどうでしょう?

 まあ、そのような理由なら輸出企業は大歓迎するかと、一瞬想像する訳ですが、実際に幾ら円安になったとしても、それがインフレの結果としての円安であるならば、輸出企業としては、インフレになった分、製品価格を引き上げなければ採算が取れないので、従って、円安の結果、円ベースの輸出代金が増えても、全然利潤が増えことにはならないのです

 例えば、1ドル80円でどうにか採算が取れていた輸出企業にとって、急に1ドルが90円になれば、商品を1ドル分売る毎に80円得ていたのが90円になり、10円利潤が増える計算になりますが、もし、国内でインフレになった結果、80円のものが90円に値上がりしたとすれば、1ドル分の売り上げによる円ベースの売上代金が80円から90円に増えたとしても、それでやっとペイするだけのことですから、実質的には利潤は増えないのです。

 こんなことを私が言うと、どうして否定的なことばかり言うのか、とか、だったら対案を示せとか話を逸らす人々がいるのも予想しています。

 しかし、少なくても、総理は日銀に対し2%の物価目標値が正しいと主張したのですから、ちゃんとご自分で、国民に分かり易く説明する義務があるのです。

 「座して死を待つよりもいいではないか」なんていう言い方も最近よく見かけますが、それも変じゃありませんか?

 どうして、普通に行動しているだけで、座して死ぬことになるのでしょうか?

 その辺の発想にも危ういものを感じるのです。

 第二次大戦が始まったのも、元はと言えば、日本が不況に陥り、そして大陸に活路を求めることから始まった訳ですから

 あの当時も座して死を待つのか、なんて言って戦争に突入して行ったのです。




 確かに、安倍総理は、物価の上昇率が2%になったら何故景気がよくなると考えるのかを説明すべきだと思う方、クリックをお願い致します。
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 私、数日前に、浜田宏一教授のことを「飛ぶ鳥を落とす勢い」と形容しました。今や経済学の世界で一番注目されている人。この人に話を聞けば、次の日銀総裁が誰になるか分かるかもしれない、否、この人こそ日銀総裁に相応しいかもしれない、と。

 因みに、浜田宏一氏は「はまだこういち」とお読みするのだとか。どこかで聞いたようなお名前ですね。そうです、あの国会の暴れん坊と呼ばれていたハマコウさんも、はまだこういち(浜田幸一)でした。

 その浜田教授が昨日NHKの討論番組に出演したものの、お年のせいかIMF専務理事のことをガルダスと呼だり、野口悠紀雄教授との討論ではどうも押されっぱなしにも見えた、とか。

 人間って、こうやってテレビカメラの前で話をさせると、その正体が次第に明らかにされるのですよね。

 エール大学の教授なんて肩書きを示されると、外国崇拝の傾向がある日本としては、ははーと崇めたくなるものですが

 いずれにしても浜田教授が「日本銀行がエルピーダを潰した」なんて発言を一度ならず何度も繰り返すと、それは何でも言い過ぎだろうと思わざるにはいられないのです。

 何故、浜田教授はそのような発言をするのでしょうか?

 それは、エルピーダが円高のために国際競争に生き残ることができなかったからだ、と。

 では、円高が襲わなかったらエルピーダは生き残れたのか?

 そんな話を信じる業界関係者は殆どいないと思うのです。もちろん円高影響したのは事実かもしれないが、それが決定的な要因ではなかった筈だ、と。

 それに、仮に円高が決定的な要因になったとしても、では、その円高をもたらしたのは、全て日本銀行のせいなのか?

 そうではないでしょう

 だって、為替政策は政府・財務省の所掌になっているからです。もちろん、日銀が政府の指示に従い実際に為替市場に介入するのはそのとおりだとしても、それは全て政府の手足として動いているのに過ぎないのです。

 だから、政府が円高を回避することができなかったのが原因だというのであればまだ筋は通っているのに、日銀が悪いというのはおかしい。

 また、そうした所管の問題を別にして、日銀が大胆な金融緩和をしておけば円高が回避できたということを浜田教授が言いたいとしても、日本銀行だってただ手を拱いていただけではなく、これまで緩和策を何度も打ってきたではないですか?

 それでも緩和が足りないと言うのであれば、それは、そもそも日銀による国債の直接引き受けを禁止した財政法が悪いというべきであって、そうなれば、そうした法律を改正しない立法府、つまり国会議員に責任があるというべきではないのでしょうか?

 でも日銀を悪いと言ってしまう。

 いずれにしても、こうした議論を聞いていると、ある一つのことが浮かび上がってくるのです。

 為替政策を政府が担当するか日銀が担当するかの問題は別として、とにかく円を安くすることが日本経済の復活にとって必要であると、浜田教授や安倍政権の面々が考えているという事実です。

 確かに、リーマンショック以降の円高は余りにも急だったのです

 そうでなくても、世界同時不況が起きたために海外の日本製品に対する需要が大きく落ち込んでいたのに、それに加え、円高が襲ったので二重の意味で日本の輸出に大きな足かせになったのです。

 そして、その後、ユーロ危機が襲い、そのことによっても円高が引き起こされた、と。

 そのような意味では、せめて為替が以前の水準にまで戻ってくれたら‥という輸出企業の思いが分からないでもないのです。

 そして、だからこそ民主政権の時代においても、超円高を反転させようと大規模な為替介入を行ったのです。ただ、その結果は、皆さんご承知のようにそれほどの効果はありませんでした。超円高を食い止める効果はあったかもしれないが、今回のように嘗ての水準にまで引き戻す効果はなかったのです。

 それに比べ今回のアベノミクスの効能いこと!

 あれよあれよと言う間に円安に振れ、今や1ドル=90円。対ユーロでは、1ユーロ=120円。

 さぞかし輸出業界にとっては居心地がいい為替水準であるでしょう。だからこそ株価も上がるのです

 では、これだけ効果の大きい円安戦略を、アベノミクスの一つの柱として打ち出していいものなのか?

 そこに私は不安を感じるのです。何故ならば、アベノミクスの3本の矢の1つである大胆な金融緩和の中身が、実は表向きインフレを誘導する政策に見えながらも、真の狙いが円安を引き起こすことにあると海外の関係者が認識するようになれば、日本に対する批判が一斉に高まる恐れがあるからです。

 そして、そうやって批判が高まれば、円安の流れまた反転しないとも限らないのです。

 私、安倍政権の政策運営の拙さの一つは、円安を起こして何が悪い、と余りにも声高に叫ぶことにあると思います

 もちろん、だからといって日本が海外の犠牲の上に自分だけ経済繁栄を遂げればいいなんて考えではないのですが、その辺のこと海外に理解してもらうのは難しいのです。

 安倍政権としては、これまで余りにも円高が進んだので、それをリーズナブルな水準に修正しただけだという認識でいるのでしょうが、海外にはそうは映りません特に、米国からすれば、そうなのです。というのも、日米間の貿易収支は、幾ら超円高が進んでいたからといっても、それでもずっと日本の黒字、米国の赤字という関係は変わっていないからなのです。

 つまり、少なくても米国からすれば、日本の説明は言い訳にしか響かないのです。

 浜田教授やリフレ派の人々は、米連銀や欧州中銀、リーマンショック以降、マネタリーベースを飛躍的に増加させたが、その一方で、日本のマネタリーベースの伸び率は余りにも低かったので、そうしたことが超円高をもたらしたと主張します。

 しかし、そのようなナイーブな議論を信じる人は、実務界では少数派と言っていいのではないでしょうか?

 それに言っときますが、米国においてマネタリーベースが近年急増しているのが事実であるとしても、そうしたお金は、市中銀行が連銀に保有する準備預金残高の形で増えているだけの話であって、世の中に出回るお金の量が実際にそれほど増えている訳ではないです。

 百歩譲って、そうしマネタリーベースを増やすことによって為替レートが決定されるというのであれば、ドルが円に対して安くなる前に、米国で酷いインフレが起きていなければ話の辻褄が合わないのです。違います?

 誤解を恐れずに言えば、通常、為替レートを決めるのは短期的には内外の金利差であり、中長期的には国際収支の動きであると言っていいでしょう。いずれにしても、そうした事情によって為替市場における通貨の需要と供給が発生する訳であり、幾ら自国の通貨の量を増加させても、それが為替市場における通貨の需要と供給に変化をもたらさなければ、何の効果もないのです。

 さらに千歩譲って、ある国が自国通貨を安くする戦略を有していたとしても、それを能天気に口にするような政治家は通常、外国では見られないのです。

 そんなことを言えば、海外から批判されるのは目に見ているので、たとえ本音として自国通貨を安くする狙いがあったとしても、それを口にするリーダーなど海外にはいないのです。

 米国のオバマ大統領は、輸出を5年間で倍増することによって雇用を創出すると何年か前に言いました。つまり、オバマ大統領にとっても緩やかなドル安が起きれば大変嬉しいに違いないのですが、決してそれを口にすることはしません

 通貨安戦略は、1930年代の近隣窮乏化政策に逆戻りしてしまうからなのです。そして、欧州ユーロという統一通貨を採用しているのも、そうした過去の教訓を踏まえてのことなのです。

 だから、通貨安政策は明らかに禁じ手のです。

 そうしたことを踏まえれば、安倍政権としても、決して円安に誘導することがいいことだなどと言う必要はないのです。そんなことを言えば、海外に対して喧嘩を売るようなもの。デフレ脱却のために金融を緩和し続けているだけで、その結果、副次的に円安に振れているのかな、と言えばいいだけの話です。

 安倍政権の面々の言う話を聞いていると、余りにも正直すぎます

 例えば、麻生副総理。彼は、欧米だって自国通貨を安くしてきたではないか、と言います。通貨安競争をしないというルールを守ってきたのは日本だけだ、と。

 なんか第二次大戦前の状況に似ている気がします

 日本が中国侵略していると言うけれど、そもそも先にアジアに侵略してきたのは欧米諸国ではなかったのか、と。日本が中国に進出することを批判できる国があるのか、と。

 でも、そうし振る舞いは大人だったらしてはいけないのです。は大人は、幾ら本音は違うところにあっても、紳士のように振る舞うべし、と。

 そうした意味で、為替政策の管轄を日本銀行に移すなどということをしたら、海外からすれば、それこそ日本が不当な為替操作をしている証拠としてみなされかねません。つまり、中央銀行が日常的に行う金融政策に為替操作が含まれていたら、その国の中央銀行が市場のメカニズムで形成されるべき為替レートに不当に圧力をかけていると見なされかねないのです。

 私も日本人ですから、どんな政権であっても、海外から悪く言われることは嬉しくありません。

 そのためにも、円安にして何が悪いんだ、などという言い方は極力控えて頂き、偶々円安に振れているだけなのでは‥なんて言い方をした方がいいと思うのです。
 

 
 
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