経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2013年10月

 次の文章は、昨日発表された米国の公開市場委員会の声明文です。

 英語だから読まない?

 そうですか、それは残念です。でも、FRBがどんなことを考えているのか、興味はありませんか? あるのだったら少々苦労しても読んでみたら如何でしょうか?

 苦労は嫌だ? でも、苦労して読むからこそ、それが貴方の知識として定着するのです。

 小学生にばかり英語を勉強させるのではなく、大人も努力しなくっちゃ。そうです、是非チャンレンジしてみて下さい。

 それぞれの文章の後に1問ずつ問題を出しますので、答えて下さい。

 正解は、最後に示します。


Information received since the Federal Open Market Committee met in September generally suggests that economic activity has continued to expand at a moderate pace.

(問1)9月以降の米国の経済の成長のスピードは、どうなのか?

(1)早い (2)緩やか (3)遅い

Indicators of labor market conditions have shown some further improvement, but the unemployment  rate remains elevated.

(問2)失業率はどうなっているのか?

(1)上昇した (2)低下した (3)高いまま

Available data suggest that household spending and business fixed investment advanced,
while the recovery in the housing sector slowed somewhat in recent months.

(問3)次のうち回復のペースが鈍ったのはどれか?

(1)住宅市場 (2)家計の支出 (3)企業の設備投資
 
Fiscal policy is restraining economic growth.

(問4)経済成長を阻害しているのは何か?

(1)増税 (2)金融政策 (3)財政政策

Apart from fluctuations due to changes in energy prices, inflation has been running below
the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.

(問5)インフレ予想はどうなっているか?

(1)長期目標より低い (2)エネルギー価格が影響を与えている (3)安定している

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and  price stability.

(問6)FRBの二つの目的の一つは物価の安定であるが、もう一つは何か?

(1)経済の成長 (2)国際収支の均衡 (3)雇用の最大化

The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic growth will pick up from its recent pace and the unemployment rate will gradually decline toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.

(問7)公開市場委員会の予想に合っているものはどれか?

(1)経済成長のペースは速まる (2)失業率は下がらない (3)雇用は悪化する

The Committee sees the downside risks to the outlook for the economy and the labor market as having  diminished, on net, since last fall.

(問8)公開市場委員会は、景気の下振れリスクをどのようにみているか?

(1)リスクは小さくなっている (2)リスクは変わらない (3)リスクは大きくなっている

The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, but it anticipates that inflation will move back toward its objective over the medium term.

(問9)公開市場委員会は、インフレ率が2%を下回るとどのような影響があると考えているのか?

(1)中期目標に近づく (2)景気に悪い影響を与える可能性がある (3)景気に悪い影響を与えるに違いない

Taking into account the extent of federal fiscal retrenchment over the past year, the Committee sees the improvement in economic activity and labor market conditions since it began its asset purchase program as consistent with growing underlying strength in the broader economy.

(問10)公開市場委員会の考え方に合っているものはどれか?

(1)財政支出が削減されているので、経済活動は鈍っている。
(2)財政支出が削減されている割には、景気や雇用市場は改善している。
(3)長期国債等の購入措置の効果は限られている。

However, the Committee decided to await more evidence that progress will be sustained before adjusting the pace of its purchases.

(問11)公開市場委員会は、長期国債等の購入措置をどうしようとしているのか?

(1)今後の景気回復状況に関わりなく、長期国債等の購入を続ける。
(2)景気回復が確認されさえすれば、長期国債等の購入を止める。
(3)景気回復が維持できそうであると確信がもてたら変更する。

Accordingly, the Committee decided to continue purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month and longer-term Treasury securities at a pace of $45 billion per month.

(問12)公開市場委員会が決めたことはどれか?

(1)新たに住宅ローン担保証券の購入を開始する。
(2)引き続き財務省証券の購入を行う。
(3)引き続き長期国債の購入を続ける。
 
The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction.

(問13)公開市場委員会は、住宅専門機関債等の元利金が償還された場合、どうすると言っているのか?

(1)その資金で長期国債を購入する。
(2)長期国債のロールオーバーをする。
(3)再び住宅専門機関の住宅ローン担保証券を購入する。

Taken together, these actions should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with the Committee's dual mandate.

(問14)こうした政策の結果、公開市場委員会は、金利や物価にどのような影響があると考えるのか?

(1)景気がよくなると金利が上昇する。
(2)金利を上がりにくくし、景気を下支えする効果がある。
(3)景気がよくなる結果、物価も上昇するが止むを得ない。

The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months and will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability.

(問15)公開市場委員会は、いつまで長期国債等の購入を続けるつもりだと言っているのか?

(1)雇用市場が改善するまで。但し、物価については考慮しない。
(2)インフレ率が目標値を下回る限り。
(3)基本的には雇用市場が改善するまでであるが、物価についても考慮する。

In judging when to moderate the pace of asset purchases, the Committee will, at its coming meetings, assess whether incoming information continues to support the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective.

(問16)公開市場委員会は、長期国債等の購入のペースを変える時期は何によると考えているのか?

(1)雇用状況とインフレ率が目標値に達したとき
(2)雇用状況とインフレ率に関する委員会の予想に変化が生じさせるようなデータが生じたとき
(3)その時の状況次第

Asset purchases are not on a preset course, and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on the Committee's economic outlook as well as its assessment of the likely efficacy and costs of such purchases.

(問17)長期国債等の購入のペースに変更を与える可能性のないものはどれか?

(1)経済見通し
(2)長期国債等の購入に伴うメリットとデメリット
(3)FRB議長の交替

To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the asset purchase program ends and the economic recovery strengthens.

(問18)公開市場委員会の考えに合致しているのはどれか?

(1)超緩和策は、長期国債等の購入措置を終了させた後は必要でない。
(2)超緩和策は、長期国債等の購入措置を終了させた後、相当の期間必要とされる。
(3)超緩和策と長期国債等の購入措置は関連付ける必要はない。

In particular, the Committee decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that this exceptionally low range for the federal funds rate will be appropriate at least as long as the unemployment rate remains above 6-1/2 percent, inflation between one and two years ahead is projected to be no more than a half percentage point above the Committee's 2 percent longer-run goal, and longer-term inflation expectations continue to be well anchored.

(問19)公開市場委員会が考えていないことは次のうちどれか?

(1)フェデラル・ファンズ・レートは、0%〜0.25%に据え置く。
(2)失業率が6.5%を超える間は、ゼロ金利政策は適当である。
(3)この先1〜2年において、インフレ率が2.5%を超える可能性は十分ある。

In determining how long to maintain a highly accommodative stance of monetary policy, the Committee will also consider other information, including additional measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments.

(問20)超緩和策が今後いつまで続くかを予想する上で、最も影響力がないと思われるものは次のうちのどれか?

(1)金融情勢
(2)財政政策
(3)雇用状況

When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent.

(問21)公開市場委員会は、超緩和策に変更についてどのように考えているのか?

(1)失業率が4%台になるまで変更しない方がよい。
(2)インフレ率が2%に達したら変更すべきだ。
(3)失業率とインフレ率の両方を勘案すべきだ。

 さあ、如何でしょうか?

 難しい問題は殆どなかったと思いますが、どれだけ早く正しい答えをみつけられるかがポイントだと思います。

 いずれにしても、これらの問題を解くことで、公開市場委員会がどのような考え方をしているかが、よく分かったのではないでしょうか。


<正解>
問1(2)問2(3)問3(3)問4(3)問5(3)問6(3)問7(1)問8(1)問9(2)問10(2)問11(3)問12(3)問13(3)問14(2)問15(3)問16(2)問17(3)問18(2)問19(3)問20(2)問21(3)

訂正とお詫び 

問3の答えは(1)が正解です。訂正してお詫びします。


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 みずほ銀行の内部処分案について、政治家がクレームをつけています。

 ・佐藤康博頭取の辞任を求める。
 ・詳細を知らなくても、組織のトップとして責任を取るのが経営責任だ。
 ・半年間報酬がなくても痛みはない。これで処分したというのはおかしい。

 やっぱりねえ‥年間の報酬が1億円を超えていたから、この野郎とでも思ったのでしょうね。しかし、私としては、「本当にもう‥全くもう‥」と言いたい。

 何故かと言えば、暴力団融資と言われているものの、みずほ銀行は暴力団員と知っていて融資したのではないのですからです。

 少なくても第三者委員会はそう判断していますし、金融庁も、そうだという決定的な証拠を掴んでいるとは思えないのです。

 但し、提携ローンを供与した相手が暴力団員だと分かったときの対応がまずかった。つまり、提携ローンの解除をするとか、回収を急ぐべきだったのに、それを怠った、と。

 では、何故そうした事後措置が十分ではなかったのでしょうか?

 もし、政治家が頭取の責任をもっと追及するというのであれば、その辺りの事実関係をはっきりさせてからするべきなのに‥どうもそうではないようにしか見えないのです。

 日本は、言うまでもなく法治国家であるのです。罪刑法定主義も採用しています。

 何が言いたいかと言えば、処罰の対象となる人の、どんな行為が、どのような法規に違反していて、それに対する処罰の内容も予め決めておく必要があるということなのです。

 今回、暴力団員への融資があると判明した後、十分な事後処理をしなかった訳ですが、そうした際の罰則内容が明らかになっていたのでしょうか?

 決してそうとは思えません。だから、銀行側も曖昧な態度を取り続けたのです。罰則がはっきりしていれば、必ず何らかの対応をしていたと思われるのです。だって、頭の良いエリートたちの集まりなのですから。

 金融庁としても、そうした事態が判明した場合に銀行がどのような行動を取るべきか、はっきりしたガイドラインを示していないのではないのでしょうか?

 ところで、報じられるところによれば、佐藤頭取がある事実について特定の新聞社にだけリークをしたものだから、他の新聞社の記者が「頭取の首を取ってやる」と言っていたというではありませんか? まさに、そのようなことが報じられた直後のこうした政治家の発言ですから、一般の人々はよくよく注意して事態を見守ることが必要なのです。

 それはそれとして、今回の件を踏まえて、11月5日からメガバンク3行に一斉に検査に入ることが報じられています。確かにこれだけの騒動になったので、金融庁も何かアクションを起こす必要があると考えたのでしょう。しかし、率直に言えば、国民の多くは、今回みずほ銀行はどんな悪いことをしたのかはっきりと認識している訳ではないのです。

 提携ローンだから、銀行が直接審査した訳ではないのだろう‥なんて。確かに、暴力団員に融資するのはまずいのかもしれないが‥というような感じですが、政治家だけ過剰に反応をする。

 私、そのような政治家に聞いてみたいと思うのですが、もし、自分がラーメン屋をやっていて、そのラーメン屋に普通の格好をした暴力団員が来てラーメンを注文した時に、ラーメンをお出しすることはできないと、断らなければいけないものか、と。

 言っときますが、普通の格好をしているために、店の人以外は誰も暴力団員だと気が付かない場合にですよ? そして、普通にラーメンを注文し、普通に食べて、普通に料金を支払うことが分かっている場合に、ですよ?

 どうなのでしょう?

 多くの一般のお客がいる前で、貴方は暴力団員だからラーメンを出すことはできません、などと言おうものなら、却ってその場の雰囲気を拙くしてしまう気がするのですが‥

 そこまで徹底しなければいけないのでしょうか?

 そのようなことを考えるにつけ、私は、今回、一方的に銀行を批判する気にはなれないのです。

 それに、政治家のなかにも暴力団員との関係がある人が皆無だとは思わないのですが‥何故、政治家は今回、みずほ銀行叩きに一生懸命になっているのでしょう?

 ご存知でしょうか? 普通、地銀以上の上位の金融機関は、政治家との間には適当な距離を保とうとすることを。別に敵対関係になる訳ではないが、必要以上に接近することはない、と。

 何故か?

 あまり親しくなり過ぎると、政治家からの融資要請を断りにくになってしまうからです。

 ということで、政治家と親しい関係にある金融機関と言えば、主に信用組合だったり、信用金庫だったりという場合が多いのです。だから、銀行に対して余り良い印象を持っていない政治家も多い、と。一言で言えば、なまいきだ!と。 一発、ガツンとやっておくか、と。

 そんな乗りの政治家も多いのではないでしょうか。

 

 今回の政治家の反応は、過剰すぎると思う方、クリックをお願い致します。
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 みずほ銀行が、世間から注目されている暴力団融資に関して社内処分の内容を発表しました。

 その処分内容というのは‥頭取の役員報酬を半年間ゼロにする、と。でも、それでも年間5千万円以上の報酬は確保できるのだとか。

 欧米のバンカーの報酬に比べれば大したことはないのかもしれませんが‥それでも我々庶民からみたら、「えっ、そんなに!」なんて。

 で、ついそんなことにばかり注意が行ってしまうみずほ銀行の処分内容なのですが‥では、改めて、何故そのような処分が必要であったのか?

 こんな質問をすれば、多くの方は次のように答えるでしょう。

 「暴力団員に融資をしていい筈がない」

 貴方もそうお感じになりますか?

 しかし、先日も言いましたように、みずほ銀行が暴力団員と知ってお金を融資した訳ではないのです。何でも、暴力団員が中古車デーラーで車を買う際の自動車ローンのお金の出所がみずほ銀行であっただけで、みずほ銀行の職員は車を買った暴力団員に会ってはいないのです。それどころか、そのローンを仲介したオリコの職員でさえ、自動車ディーラーからファックスで送られてきた提携ローンの申込書を見ただけなのだとか。

 つまり、一般の自動車購入者のなかに暴力団員が紛れ込んでいて、それを自動車ディーラーの営業マンやオリコの担当者が見抜けなかったというだけの話なのです。

 因みに、そうして暴力団員に結果として融資してしまった件数は230件ほどであり、金額は総額で2億円に上るのだとか。

 いいですか? 2億円と言えば大きい額に見えるかもしれませんが、融資1件当たり約100万円に過ぎないのです。

 従って、この融資で得た金を本当に自動車の購入資金に充てていることが明らかであれば、幾ら暴力団員に対する融資ではあっても、それほど悪質なものだとは考える必要がないでしょう。但し、この点について、疑問を呈する見方もあり得るのです。つまり、自動車ローンというのは隠れ蓑であって、その合計2億円ほどの融資は、別の目的に使われたのではないのか、と。この点については、後ほど検討することにしましょう。

 私、もし、こうした融資手続きがずさんであるという理由で銀行が責任を取るべきだというのであれば、本来は、銀行の頭取が責任を取るというよりも、融資部長だとか、提携ローンの担当の課長などが主に責任を問われてしかるべきだと思うのです。もちろん、だからと言って頭取が全く責任を問われなくてもいいということにはならないと思いますが‥

 しかし、実際には、会長や頭取、そして、それ以外の役員たちが主に責任を問われた形になっているのです。

 もう一度、お聞きしたいと思います。

 何故、みずほ銀行の頭取たちは責任を問われたのか?

 どうも釈然としないのです。

 それに、肝心の金融庁が口を閉ざしているので、なお真相が分からない。

 そうでしょう? 金融庁の担当大臣でもある麻生副総理は、これまで殆どこの件について中身のあることを言ってこなかったのです。

・10月15日
 「個別金融機関にかかる検査に関して、金融機関との具体的なやりとりや何かについてコメントすることはありません。この件に関しては、今、銀行法第24条に基づいて報告徴求命令を実施している最中だと思いますので、その報告を踏まえて、今後の対応について検討していきたいと思っておりますので、これ以上のコメントはありません」

・10月22日
 「これは予算委員会でも言いましたけれども、個別金融機関の検査の内容について、私の方からコメントすることはありません」「いずれにしても、この件については、現在、みずほ銀行が第三者委員会を含めて、事実関係を改めて調査をしているところなので、その調査結果などを踏まえて対応していきたい、対処していきたいと考えています」

 まあ、以上のような受け答えを続けていたのですが、昨日、社内処分案が示されたということで、少しばかり展開がありました。

・10月28日
 「反社会的勢力との関係があったことを、第三者委員会から指摘されたのは非常に大きな問題だ。また金融庁に対して間違った話をしたのは銀行としていちばんしてはいけないことであり、きちんと精査しないで報告していたことも問題だった」

 しかし、お分かりのように新たに言っていることと言えば、金融庁に対して事実と反することを報告したのは遺憾というだけ。

 これだけだと、何故みずほ銀行の頭取の報酬が5千万円も減らされる必要があったのか、その理由が分からないのです。

 これが、もし頭取が、頭取は話を知らかなったように金融庁に報告しておけと指示したのであれば別ですよ。しかし、そのようなことは明らかになっていないのです。

 にも拘わらず、相当に厳しい処分案が示された、と。

 いずれにしても、みずほ銀行は、本件の調査を第三者委員会に任せて、その結果を待ったわけなのですが‥

 その調査は、今月8日に発足した第三者委員会が3週間弱でまとめたものに過ぎないのです。

 そのような第三者委員会が限られた時間で調べた内容が、的確であるという保証がどこにあるのでしょうか?

 もちろん、金融庁から事実を報告しろと迫れられたから、調査結果の信憑性を増すために敢えて第三者委員会を発足させたという事情はよく分かるのです。しかし、様々な権限をバックに事実関係を炙り出す筈の金融庁の検査でも真相が分からなかったと思われるのに、単に肩書きばかりが立派な弁護士さんたちに調査を任せたからといって何が分かるのか?

 もちろん、弁護士さんたちがまとめた報告書ですから、理路整然として筋の通ったものにはなっているでしょう。

 しかし、その報告書の内容が本当に正確であるかは何とも言えないし、また、内容が十分であるとも言えないのです。

 いずれにしても、どんなことをその第三者委員会は報告書で言っているのでしょうか?

<経緯>
 2010年7月、オリコとの提携ローンについて、自行として審査開始決定
 2010年12月、228件を反社会勢力への融資として認定。当時の西堀頭取に報告
 2011年3月、システム障害が発生し、問題の融資が放置。

<背景>
 提携ローンであったため、自行融資との認識が乏しかった。
 法令担当部署がトップに詳しい状況を説明しなかった。
 西堀頭取が引き継ぎを行わなかった。

 いいですか? 以上のようなことしか言っていないのです。後付け加えるのならば、合併してできた銀行だから、内部の意思疎通が十分でないということなどです。

 この第三者委員会の言っていることは、大体これまで報じられてきたことをまとめたような内容に過ぎないではないですか? つまり、本当の真相にまでメスを入れたとは到底思えない。

 いいでしょうか? 金融庁が一番問題にしているのは、そして、私が一番知りたいのは、暴力団関係者に対する融資が判明した後の対応なのです。

 恐らく提携ローンだから、審査が甘くて暴力団員に対する融資が紛れ込んでも、ある程度は止むを得ないと金融庁も認識しているのではないでしょうか?

 しかし、分かった以上、何故適切な措置を取らなかったか? そのことを金融庁は問題にしているのだと思うのです。

 もし、それがそうだとしたら、麻生担当大臣としては、一般論としてそのことを国民に分かり易く説明すべきであると思うのです。もちろん、実際に上層部が、そうした事実関係が判明した後、どのように対応したかについては、コメントできないかもしれませんが、いずれにしても、事後の対応ぶりを金融庁としては重視しているのだ、というようなことは国民に説明すべきなのです。

 しかし、それについては何も言わない。

 何故言わないのか?

 それを言ってしまうと、皆の関心が、当時の頭取に向いてしまうからでしょう。つまり、当時の頭取がグレーに近いと皆に思わせることは回避したい、と。

 しかし、そうやって金融庁が明確なことを言わないものだから、マスコミは、一体何がこの融資の最大の問題かが分からないでいるのです。

 ところで、先ほど述べたように、本件に関して、形式的には自動車ローンという形を取っているが、実は、それは真実を隠すための隠れ蓑に過ぎないという見方もあるようです。つまり、暴力団に融資をするために、隠れ蓑として提携ローンを利用したのではないか、と。

 私は、その可能性は低いと想像しています。何故ならば、余りにも関係者が多数に上り、いずれ誰かの口から真相がばれてしまうことが簡単に予想されるからなのです。それに、仮に暴力団に融資をする必要性に迫れたとしたら、ダミー会社を利用して行うなどすれば、幾らでも融資が可能であるからなのです。

 従って、真相はそこまで悪質ではないのでしょう。しかし、暴力団員に対する融資があることが判明した後、その融資の解除や回収を急がなかったのは事実なのです。だから、その真の理由が何であったかを明らかにしなければならないのです。

 もし、仮に頭取が、自分の身の安全などを心配したために、暴力団員への融資の回収を支持しなかったとしたら、それをどう考えるべきなのか?

 仮にそのような事実があったとしたら、それは大変に大きな問題であって、銀行のトップは相当の責任を負う必要があるでしょう。

 では、そのような事実を踏まえて、今回の処分案は決定されたのでしょうか?

 しかし、報告書で指摘されていることから判断すれば、どうもそうではないのです。単に、職務怠慢で、このような事態を放置しただけだ、と。しかし、仮にそうであるにしても、事柄の性質上、重い責任が問われてしかるべきだ、となっているようなのです。

 では、真相は、報告書が指摘したとおりなのか?

 それは何とも言えません。そして、それを徹底的に調査するのが検査の目的でもあるのです。

 でも、検査では、恐らく確たる証拠はつかめなかったのでしょう。また、だからこそ、金融庁の役人は、麻生副総理に「金融庁に対して間違った話をしたのは銀行としていちばんしてはいけない」とだけ発言させたのでしょう。

 恐らく、これ以上のことが今後表面化することはないのではないでしょうか。

 いずれにしても、一番の焦点は、何故暴力団員への融資が230件ほどもあることが判明したのに、それを放置するようなことをしたのか? その真の理由なのです。

 本当に、提携ローンであるからという理由で軽く考えたことが最大の理由なのか? 

 ひょっとしたら、暴力団員に回収を強要すると、身の危険があるかもしれないと感じたことが原因であるかもしれません。頭取だけではなく当該提携ローンに関係する多くの銀行関係者も同じように感じていたかもしれません。つまり、さわらぬ神に祟りなし、と。

 だって、これまで何千億、何百億円の貸出金の償却に慣れっこになっているメガバンクからしたら2億円なんてゴミみたいなものですから。でも、そんなこと世間に言ってはいけない、と。

 或いは、提携ローンとは言いながらみずほ銀行が暴力団員に融資をしていた事実が判明するだけで、銀行のイメージが大きく傷つくと思ったのかもしれません。

 いずれにしても、金融庁は、みずほ銀行の何がどう問題であるのかを国民に分かり易く説明する責任があるのです。もし、何も国民に説明する気持ちがないのであれば、一体何のための金融検査なのかと言いたい!

 

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 食材偽装のニュースが続きます。

 今度はリッツカールトンで。
ホテル側の言い分によれば、意図的なものではなく、スタッフの知識不足によるもので、飽くまでも誤表示なのだとか。

 まあリッツカールトンに関しては「誤表示」が今のところ広範囲に渡っていそうではないので、これ以上大きな問題に発展する可能性はなさそうなのですが‥従って、本件は、ホテル側の主張のとおり、偽装ではなく「誤表示」として処理され、それで終わりになると思われるのですが‥

 しかし、そんなことだから、さらなる偽装を誘発してしまうのです。

 それに、フジテレビの「特ダネ」の小倉さんの言い方を聞いていると、これだから偽装がなくならないのだとつくづく思うのです。

 「殻が付いていれば分かるかもしれないが、殻が外されたらどうなのでしょう」

 すると、笠井さんが言うのです。

 「私たちには違いは分からないでしょう」

 ですが、車エビとブラックタイガーの違いですよ?

 分かるのじゃないですか? もし、分からないという人がいたら、いつもブラックタイガーなど海外から輸入したエビばかり食べているからではないのでしょうか? 

 仮に車エビとブラックタイガーとの違いが分からないでも、バナメイエビとの違いなら、分からない筈はありません。でしょう? 但し、芝エビとバナメイエビの違いはとなれば‥

 いずれにしてもコックというか調理人さんなら分からない筈はありません。分からないなら調理人には不向きです。すぐ仕事を変えた方がいいでしょう。

 当然ですよね。しかし、どういう訳かホテルの総支配人は、「表示に関する知識や認識が不足し、メニューの作成時に確認不足があった」と言うのです。

 私は、その説明には全く納得することができません。というのも、車エビにしても、ブラックタイガーにしても、バナメイエビにしても、全てスーパーなどでいつも売られているような普通の食材に過ぎないからなのです。

 その違いが分からない専門家って一体どのような人々なのでしょうか? 一般の主婦だって違いが分かります。

 ところで、このホテルのレストランにあのミシュランは一つ星を付けていると言います。

 言っときますが、エビに関する誤表示は7年前から起きているというのに‥つまり、7年間もミシュランの調査員は、違った食材が使われているということに気が付かなかったということになるのです。或いは、ひょっとして気が付いていたのでしょうか? しかし、気が付いたら、星を付けることはありませんよね?

 この際、ミシュランからも十分納得のいく説明があってしかるべきなのです。そうでもしないと、ミシュランにはレストランを格付けする資格はないと言っていいでしょう。

 「フレッシュ・オレンジ・ジュース」などと表記しながら冷凍ものを使用したことについては、「質を一定に保ち、ごみを削減するため。搾ったものと濃縮還元(冷凍もの)をスタッフで飲み比べたところ、スタッフの全員が濃縮の方がおいしいと答えたから、変更した」と言いますが、それでは全然理由になっていません。

 ゴミの削減と、「フレッシュ」という表記と何の関係があるのでしょうか?

 仮にそうしたことが濃縮ジュースを採用した本当の理由であったとしても、だったら、「フレッシュ」の文字は削除して、「濃縮ジュース」とすべきであったのです。それをしなかったのはやはり不誠実な対応というか、偽装でしょう。

 まあ、私がこんなに厳しいことを言うのも、このホテルが超一流ホテルだと名乗っているからなのです。貴方がたにはプライドというものがないのか、と。

 多分、見た目だけをよく見せようという気持ちしかないのでしょう。中身は二の次。それに、これがバブルの時代だったら、幾らでも金額の高い素材を使用することができたかもしれませんが‥長引くデフレのなかで、料金を高く設定しにくくなっていたことも多少は影響しているかもしれません。

 だから、本当は車エビを食材として使う必要があっても、止む無くブラックタイガーに代役を務めさせた、と。そして、ブラックタイガーを使用しても、そのことに気が付く客が殆どいないようにしか見えなかったので、ブラックタイガーを引き続き使用してきた、と。

 私思うのですが、仮にメニューにどのようなエビを使用しているかを書いていなくても、超一流ホテルなら車エビを使うことは当然だというプライドを持って欲しかったと思うのです。そうでしょう? ブラックタイガーやバナメイエビを使っていたとすれば、それがどんなに美味しい料理であっても、もはや超一流ホテルと名乗ることはできません。

 仮にブラックタイガーやバナメイエビを使用するならば、それでも超おいしい料理を作ることができても、B級グルメの話にしかならないのです。

 いずれにしても、同種の食品偽装の問題が繰り返される日本。何故偽装が絶えてなくなることがないかと言えば‥日本人の国民性に大いに問題があるからなのでしょう。

 つまり、高級品に憧れる気持ちは大変に強いものの、その一方で、安い商品に引かれる気持ちも同じように強い。だから、高級品が安い価格で売られると、つい跳びつきたくなる。

 しかし、冷静に考えてみたら、高級なのに安い価格が付いていたとしたら、なにか事情があるからに相違ないのです。そうでしょう?

 それに、こうして組織ぐるみの偽装が行われる場合には、組織内においてそれを改めようという声をなかなか上げることができない雰囲気があるということも一因でしょう。仮に誰かが、偽装は止めるべきだなどと言おうものなら、組織に留まることはできないでしょう。だから、職を失いたくなければ黙っているしかない。

 いろいろな職場で、偽装がこれまで何回も指摘されてきましたよね。食品に関しては、民間の会社が主体ですが、公金の使用に関して、何度役所の不適切なお金の使用が指摘されてきたことか。

 車エビの代わりにブラックタイガーを使用したからと言って、人の健康にまで影響を与える訳ではないし‥或いは、味の違いなどどうせ判らないだろう、などと思っているのでしょうか。

 しかし、そうしているうちに、自分たちの精神に多大な影響が及んでいるのです。つまり、真実を語るよりも組織の和を保つ方が優先されてしまい‥。

 10年以上も前の話ですが、私、広尾の明治屋さんでアゲマキと書かれた貝が陳列されていたのをみつけたことがあるのです。アゲマキは私の好物なので、すぐ反応をしたのですが、よく見ると、それはマテガイであったのです。私は、そのときに思いました。東京の人は、アゲマキをよく知らないのでに、マテガイをアゲマキと誤解したのだな、と。

 だから、確かに食材によっては、このように実際知識不足で誤表示が起きることもあるでしょう。しかし、どう考えても、車エビとブラックタイガーを間違うことなどないでしょう。それも7年間も気が付かなかったなんて。

 食材知識が不足しているホテルですが‥と自分のホテルを紹介すべきではないでしょうか。


 
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 みずほ銀行が暴力団に融資したとして責めれられていますが、貴方はどのようにお感じになっているでしょうか? イマイチ分かり難いという気がしませんか?

 そこで、本日は、この問題について質問形式で考えてみたいと思います。

 では、いきなり質問をします。

<質問1>みずほ銀行は暴力団員に融資したということが報じられていますが、何故みずほ銀行は責められなければいけないのか?

 さあ、如何でしょうか?

 「暴力団員にお金を融資するのは、暴力団を支援するのと同じだから、責められて当然だ」

 多くの方が、暴力団員にお金を貸すようなことをしてはいけないと、単純に思っているかもしれません。

 「それに、件数が230件以上にも及び、金額は2億円を超している」

 確かに、230件も暴力団員に対する融資案件があるとなれば、数としては尋常ではない気がしますが‥しかし、その一方で、金額が2億円ということは、1件当たりでは100万円程度になるのです。

 どう思いますか? 要するに、今回問題になっている暴力団員に対するローンというのは金額も小さく、典型的な銀行融資でないということなのです。

 例えば、ある暴力団員が何か事業をするということで、数千万円とか数億円の融資をするというのであれば、それはまさに正真正銘の暴力団員に対する融資であると言っていいでしょう。しかし、今回問題になっている融資案件は、そうした典型的銀行融資ではないのです。


<質問2>みずほ銀行が暴力団員に融資をしたと報じられていますが、実際に申し込みを受けつけ、審査をして融資を事実上決定したのは当該自動車ローンの提携をしているオリコであるのですが、それでもみずほ銀行は責められるべきなのでしょうか?

 「でも、お金の出所はみずほ銀行であるのは確かだし‥」

 しかし、飽くまでも自動車ローンを適用するかどうかを事実上決定するのは、オリコなのです。もっと言えば、自動車を買いたいと思った個人が自動車ディーラーを訪れ、そこで自動車を買う契約をすると同時に、ローンの申込書に記入し、そして、問題がなければほぼ自動的にローンが提供されるのが提携ローンというものなのです。つまり、当該個人が仮に暴力団員であったとしても、その個人に会うのは、ディーラーの店員だけであり、みずほ銀行の職員どころか、オリコの職員でさえ会うことはないのです。

 もちろん、それでも見るからに暴力団員風の人は、申し込みを拒絶されると思われますが、見た目がそうでないうえに、勤務先や年収などを偽られると、それを見破るのは難しいのです。

 これでも、みずほ銀行は、大きな責任があると言うべきなのでしょうか?

 仮に、みずほ銀行に責任があるとしたら、同様に、オリコにもそして自動車ディーラーにも大きな責任がある筈ではないのでしょうか?
 
<質問3>では、みずほ銀行の何が問題なのでしょうか?

 仮に、貴方が提携ローンの実態をよくご存じであれば、結果として、暴力団員に対するローンを根絶することがほぼ無理であることが分かると思います。というのも、そもそもディーラーは、自動車を売ることが主たる目的であり、そして、オリコも自動車ローンの仲介をすることによって手数料を得ることが目的であるので、相手方が暴力団員かどうかということばかりに注意を払うわけにはいかないからです。

 つまり、騙されて暴力団員にローンを提供したとしても、そのことによって直ぐにディーラーやオリコや、そしてみずほ銀行が責められるというのは酷な気がするのです。

 だったら、今回、みずほ銀行はもっと堂々と胸を張っていればよいのか?

 問題は、そうした事案が多数判明したにも拘わらず、その後の処理の仕方がまずかったということなのです。というのも、暴力団員に対するローンであることが判明した後、それを適切に処理したとは思えないからです。つまり、みずほ銀行は、たとえ提携ローンが典型的な銀行融資とは違うと言っても、暴力団員への融資はしないと社会に向かって言明している訳ですから、それならばそれに従って、毅然とした態度を示すべきだったのに、それができなかったからです。

 その理由の一つは、ローンの契約書に契約解除の条件が明示されていなかったから‥ということが言われています。

 いずれにしてもみずほ銀行は、暴力団員への融資が存在することが後日判明した場合の対応策を予めしっかりと準備していなかったのです。だから、こうして対応がおかしなことになったのです。

 では、何故、そうした対策を講じなかったのでしょうか?

 それは、日本人の特性でもあるのです。例えば、東日本大震災が起こる前までは‥つまり、福島第一の原発事故が起こる前までは、原発の事故が起こることなど関係者にとってはあり得ない事態だったということと同じなのです。

 事故を起こしては決していけない。事故が起きた場合にどう行動するかではなく、起こさないように万全の注意を払うべきだ、と。

 暴力団員への融資にしても、過去、総会屋への利益供与という事件に懲りた第一勧銀が合併してできたみずほ銀行だけに、暴力団員への融資などあり得ないと考えていたのではないでしょうか。

 そう考えたからこそ、万が一暴力団員への融資が判明した場合の対応策について、十分に準備しておくことがなかった、と。それに、繰り返しになりますが、提携ローンは金額的にも小さいので、甘く見ていたのではないでしょうか。提携ローンも一応銀行融資に違いないが、だからといってそこまで神経質になる必要があるのか、と。

 これが今回の問題の本質であるのです。

 だから、最後まで事態を甘く見て、頭取には報告されていないとまで嘘をついてしまった、と。

 一番の問題は、こうして嘘をついてその場を切り抜けようとする姿勢であるのです。だから、問題を大きくしてしまい、引くに引けなくなってしまったのでしょう。

 元々、それほど銀行が責められる必要もない案件だと思うだけに、何故もっときちんとした対応ができなかったと思うのです。

 

 このような案件よりも、もっと悪質な案件が隠されているかもしれないのに‥と思う方、クリックをお願い致します。
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 昨日は、我が国の地域別輸出動向について考えてみた訳ですが‥一言で言えば、思いの外EU向けの輸出が芳しくないのではないか、ということでした。

 もちろん、円安のお陰でEU向けの輸出が回復しているのは確かなのですが、ピーク時の水準と比べれば余りにも低い、と。一方、中国向けの輸出は、今年に入ってからもなかなか回復の兆しはみられなかったのですが、流石に今年の5月頃から動き出し始め、もう少しでピーク時の水準に肩を並べるまでに迫っていることが分かりました。

 ということで、大雑把ながらも地域別の動向が掴めたところで、本日は、品目別の輸出動向について考えてみたいと思います。

 先ず、どのような品目が一番輸出されているのか。ベスト6をリストアップしてみます。

 1.自動車
 2.鉄鋼
 3.半導体等電子部品
 4.自動車部分品
 5.原動機
 6.科学光学機器

 やっぱり自動車の占める割合が大きいのです。それに、鉄鋼がまだまだ健闘していることに改めて気が付かされます。半導体等電子部品もしぶとく頑張っているようですが、厳しい競争に晒されているようです。

 では、そうした輸出品目の輸出額は、近年どのように変動しているのでしょうか?

 グラフをご覧になって下さい。
主な輸出品目
(貿易統計を基に作成)

 このグラフは、2年毎の数値を棒グラフにしたものであるために2006年度がピークのように見えますが、実は、2007年度には輸出総額が80兆円を超しているので、その旨ご了解下さい。

 さて、このグラフの一番右側は、「2013年度上×2」となっています。つまり、2013年度の上期の数値を2倍したものを棒グラフにして表示しているのです。従って、単純な予想値としてご理解頂きたいのですが、まあ、これだけでも随分と回復してきたように見えるのです。

 但し、最近よく言われるのは、円安になっているのだから円建てベースの輸出額がある程度膨らんで見えても当たり前だということと、輸出額では回復しているように見えても、数量ベースの輸出は、まだまだそれほど回復していない‥どころか、9月はまたマイナスになってしまったということです。

 では、輸出数量は、今後回復する見込みはあるのでしょうか?

輸出数量前年比
(貿易統計を基に作成)

 我が国の輸出品目の中で最大のシェアを占める自動車についてみると、確かに昨年の12月頃から急速に円安が進む中において、自動車の輸出数量は3月まで前年同月比でマイナスを記録し、そして、4月にやっと1.6%のプラスになった後も、さらに5月、6月と2か月連続してマイナスになっていたのでした。

 ただ、そうした動きがここに来て少し変化をし出していると言えるのです。

 自動車の輸出数量は、7月には0.2%ながら再びプラスになり、そして、8月は2.0%、9月には8.7%を記録しているのです。

 9月は、輸出額でみるとなんと前年同月比29.9%も伸びているのです。そして、それを地域別でみると、特に米国向けが伸びているのです。米国向けの輸出数量は、前年同月比19.2%にも達しています。そして、EU向けについても、どういう訳か自動車だけは群を抜いて伸び率が高いのです。数量ベースで23.8%も伸びていて、輸出額では65.0%も伸びているからです。(EU向け輸出額合計の前年同月比は、14.3%に留まっています) その一方で、アジア向けは輸出数量ベースで-4.4%と依然マイナスに留まっています。

 いずれにしても、確かに全体としては輸出数量がなかなか回復しないように見受けられていたのですが、そろそろ回復をし始めているのではないか、という気もするようになりました。

 もちろん、この先世界経済の動向がどうなるかが一番の決め手になるでしょうが、あまり悲観的になる必要はないかもしれません。

 具体的に言えば、2013年度通年の輸出総額は、70兆円台の半ばに達することもあり得るのではないでしょうか。

 
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 先日、9月の貿易統計が発表になり、思ったほど我が国の輸出が回復していない事実が改めて関心を集めています。

 1年前の9月は1ドル=78円程度であったのが、今年の9月は1ドル=98円程度にもなっているのです。それほど円安になったにも拘わらず、輸出額の伸びはそれほどでもなく、また輸出数量でみれば前年同月を下回っているではないか、と。

 まあ、こうしたことの背景にはいろいろな理由が考えられるのです。例えば‥

 (1)欧米の経済がもたついている。
 (2)日中間の摩擦が悪い影響を与えている。
 (3)日本の輸出力そのものが低下している。

 貴方は、どのような理由が大きいと思いますか?

 これまで一番意識されていたのは、日中間の摩擦が貿易関係に悪い影響を与えているということではなかったでしょうか。急激な円高が修正されるなかで、対米輸出は回復し始めたのに、中国向け輸出には回復の兆しが見られない、と。

 しかし、流石に対中国向けの輸出額も今年の5月頃からは動きが出始めているのです。

 では、何がイマイチ輸出の回復を妨げているのでしょうか?

 懸念していたことながら、我が国の輸出力そのものが低下し始めていると考えた方がいいのでしょうか?

 まあ、一部にそのようなことを指摘する声が出始めていますが‥私は、まだ、それを確認するだけの材料を手にはしていません。

 従って、確定的なことを言う段階にはないのですが‥但し、我が国の輸出額の推移を長期的に眺めていると一つの事実が浮かび上がってくるのです。グラフをご覧ください。

日本の輸出額
(貿易統計を基に作成)

 対世界の輸出の動きと、国別(地域別)の輸出の動きを表しています。

 我が国の輸出額は、年度でみると、リーマンショックが起こる前の2007年度にピークをつけています。1年間でなんと85.1兆円の輸出を実現し、それが、リーマンショックによる影響で2009年度には59兆円にまで落ち込んでいるのです。金額にして約26兆円ものダウン。我が国のGDPが約500兆円だと仮定すれば、5%強もGDPの伸び率を引き下げるほどの大きさです。

 そして、輸出はそれ以降は一旦伸びたもののまた低下し、そして、超円高を克服してまた上向いて来ているのです。2013年度上半期の輸出額は35.3兆円なので、それを単純に2倍すると2013年度1年間では70.6兆円の規模に達すると予想されるのです。

 では、国別(地域別)で見れば、どうなのでしょうか?

 米国向けは、2012年度の11.3兆円から13.1兆円に増加すると予想され、EU向けも6.3兆円から6.9兆円に増加。そして、中国向けも11.3兆円から12.8兆円に増加すると予想されるのです。要するに、どこもほぼ順調に増加すると見込まれるのです。

 では、ピーク時と比較すると、どのようなことになるのでしょうか?

<ピーク時からの変化>

米国:17.1→ 13.1  -23.4%
EU :12.6→  6.9     -45.2%
中国:13.3→ 12.8     -3.8%
世界:85.1→ 70.6  -17.0%


 如何でしょうか?

 日本のEU向けの輸出は、ピーク時と比較してまだこんなに低い水準にしかないのです。米国向けも、それほどではないにしてもまだ低い。一方で、中国向けの輸出は、もうすぐピーク時の水準に並ぼうとしている。

 つまり、EU向けの輸出が殆どといっていいほど回復していないのが、日本の輸出がイマイチ奮わない原因であると言えるのです。仮に、日本の輸出力が落ちていることが原因だとすれば、世界のどのような地域に対しても似たような傾向が現れると思われるのですが、こうしてEU向けの輸出が奮わない事実に気が付くと、日本の輸出が不振である原因は、日本にあるというよりも欧州経済がもたついていることにあると言うべきでしょう。

 まあ、この事実に気が付くと、中国の経済成長率が落ちてきている原因の一つもやはり欧州経済のもたつきにあることが容易に想像されるのです。

 では、何故欧州経済はもたついているのか?

 それは、欧州でもバブルが弾け、広範な地域において財政破綻のリスクが高まってしまったからなのです。

 まあ、そうした欧州危機も昨年の秋頃からは小康状態を保っているので、欧州経済のリスクを少しずつ忘れかけている訳ですが、その影響はこのようにまだ大変大きく、世界経済に暗雲が垂れこめているのです。

 EUは経済が疲弊して、海外からモノを買う力が大きく落ち込んでいるので、幾ら円が安くなり、日本製品が安くなったからと言っても、そう簡単にどんどん日本製品を買うことはできないのでしょう。


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 中国の習近平国家主席が経済成長最優先の戦略を見直すと発表したとか。

 どう思いますか?

 それはそうだろう、と思う方が多いのではないでしょうか。というのも、最近の中国国内の環境問題は、最悪の事態に達したと言ってもいいからです。、これほどの犠牲を伴わなければいけない経済成長というのは、一体何なのかと言われかねないのです。否、実際、そのような批判が国内には渦巻いているのです。

 一言で言えば、幾らお金が貯まっても、命がなくなったらおしまいだろう、と。

 但し、その一方で、誰だってお金儲けは好きなもの。そして、金持ちになることが夢なのです。だから、所得を倍増すると国から言われれば、国民としては黙って国の言うことを聞くのです。

 従って、中国当局も、何も喜んで
経済成長優先の政策を改めるというのではないのです。それしか選択肢がないから、そうせざるを得ないだけなのです。

 それに、環境問題は別として‥幾ら高い目標値を掲げてもその実現が難しくなり始めているから、経済成長最優先の政策を改めざるを得ないのです。

 何故ならば、中国自身がもうかなり長い間高度成長を続けており、そうなれば経済成長率が自然に低下するのは当たり前だからです。

 だってそうでしょう? これまでは安い人件費を武器に輸出部門を伸ばしてさえいれば幾らでも輸出主導の経済成長を謳歌できたわけですが‥その中国にも強力なライバルが次から次に登場してきているからなのです。つまり、中国周辺の東南アジアの国々が中国よりも安い人件費で対抗するので、中国としては今までのような経済活動を続けることが難しくなっているのです。

 プラス、中国特有の問題もあります。特に、日本の企業としては、様々なリスクを抱える中国から脱出して、その周辺国に移転するところが増えているのです。

 いずれにしても、そうしていつまでも高度成長を続けることが難しくなってきていると中国自身が認識し始めているのです。それに、仮に、
高い経済成長率を掲げたままでいる一方で、その目標が達成できなければ、必ずその責任が問われる羽目になるので、その意味においても、経済成長優先政策を改めると言わざるを得ないのです。

 いずれにしても、中国が経済成長優先を改め‥もっと端的に言えば、今よりも相当低い経済成長率で満足せざるを得なくなった時に、どのような未来が中国にとって待っているのか?そして、日本に対してはどのような影響があるのか?

 先ず、日本に対する影響を先に考えてみましょう。

 中国という広大なマーケットの成長率が落ちると、我が国にもマイナスの影響を与えるのか?

 確かに、プラスの影響を与えることはないかもしれませんが‥しかし、それほど懸念することもないのです。というのも、そもそも中国の経済成長率が低下している背景には、我が国の企業が脱中国の動きを見せているからでもあるのです。従って、中国の経済成長率が低下するのは織り込む済みと考えていいでしょう。

 昨今、中国に対する我が国の輸出が奮わないことが関心を集めていますが、実は、それについても、それほど心配する必要はないのかもしれません。確かに、中国の消費者が日本製品を敬遠する動きがあることは否定できませんが、中国に侵出していた日系企業が脱中国の動きを示しているために、我が国からの部品の調達等が少なくなっているというような事情もあるからです。従って、中国への輸出がそれほど奮わなくても、その分を中国以外の国々に対する輸出で補う形になっているのです。

 では、中国自身は、経済成長率が低下することによって、どのような事態を迎えるのか? 少しずつ経済成長率が低くなるだけの話なのか? それとも、予想が付かないような出来事が起きる恐れがあるのか?

 幾ら中国がソフトランディングを目指そうとも、私は、中国の多くの人々は、まだまだ高い成長率が続くことを前提として、これからも行動することが多いと予想します。何故ならば、それが人間の性癖だからです。特に、都合がいいことはいつまでも続くと勝手に思い込む。だから、これから先、経済成長率が落ち込むのに比例してより頻繁にバブルが弾け続けるでしょう。しかし、一気に弾けるわけではないでしょう。少しずつ、様々な投資案件に関して損失が表面化することになるでしょう。

 その一方で、環境問題はそう簡単に解決することはないでしょう。何故ならば、今後も幾ら目標値を引き下げるとは言え、依然として他の先進国経済からみれば、信じられないほどの高さの成長率を目指すからです。

 もちろん、経済成長重視策を改めるという方向は間違ってはいないのです。そうやって環境にも配慮しなければ、持続可能な経済成長は維持できないからです。しかし、繰り返しになりますが、その程度の環境への配慮ではむしろ環境問題は悪化し続けるだけで、従って、中国国内の不満は益々高まるでしょう。

 まあ、そのようなことが十分予想されるからこそ、先手を打って中国当局も経済成長優先の政策を改めると言っているのだと思うのですが‥如何せん、余りにも経済優先の矛盾が顕在化してしまっています。

 マーフィーの法則ではありませんが、当局が無茶苦茶な政治を行っている間は、国民は静かにしており、その反対に当局がまともな道を歩み始めようとした途端に、国民が暴れ出すような気がしてなりません。

 いずれにしても、少しずつ時代は変わっているのです。


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 ネット上でニュースをチェックしていたら、安倍総理が、領空侵犯した中国の無人機が我が国の警告を無視した場合、撃墜することを認めたと報じられていました。

 どう思いますか?

 それにしても、本当にしつこい中国!

 しかし、無人機を日本の領空に飛ばすというのは中国の作戦なのです。分かるでしょう?

 無人機なら人間が乗っていないので、日本側はひょっとしたら撃ち落とすかもしれない、と。従って、その無人機を日本が撃墜したときのシナリオも、中国としては準備している筈なのです。何もシナリオを準備することなく、ただちょっかいをかけるだけということはないでしょう。

 では、日本側が、領空侵犯した無人機に対し警告をした上で、それでも従わないので撃墜したときに、中国側はどのような行動に出るのか?

 日本側としては、国際法に照らして正当な行為であると主張することができますが、中国がそれを認めはしないでしょう。

 中国は言う筈です。

 尖閣諸島は中国の固有の領土だ、と。その上空に中国機を飛ばして何が悪いか、と。そして、その中国の無人機を撃墜した日本の行為は、中国に対する攻撃そのものだ、と。従って、中国には、日本の軍事行為に対して対抗する権利がある、と。

 つまり中国は、日本に対して軍事行動に出る口実を探しているのです。

 何もしないのに、中国が日本に軍事行動を起こす訳にはいかない。そんなことをすれば米国も黙っている訳がない。しかし、先に日本が手を出したとなれば話は別。そのように考えているのです。

 さらに、そうして日中間にもめ事があることが国際的に認知されるのであれば、尖閣に対する権利を主張する上で、少しは有利にことを運ぶことができるようになると期待しているのでしょう。

 だとしたら、日本にとっては必ずしも得にならないので、日本としては無人機を撃ち落とすようなことは控えるべきなのでしょうか?

 しかし、もし日本が度重なる領空の侵犯行為を黙って見逃し続ければ、今度は、益々侵犯行為が横行し、事実上、尖閣を占有してしまうでしょう。

 つまり、黙っていては、尖閣が中国のものになってしまうのです。

 ということで、中国としては、日本が反応を示しても或いは反応を示さなくても、中国に有利になるような作戦を描いているのです。

 従って、日本としては、幾ら日本の主張が100%正しいとしても、ただ単に中国の無人機を撃墜することは得策ではないし、さればとて、黙って手を拱いていることもできないのです。

 では、どうするのがいいのか?

 日本は、中国がやっていることを世界に対して訴えるべきなのです。

 例えば、世界の主要紙に対して、事実を訴える記事を掲載してもらう。そして、国連の安全保障理事会においても、中国の不当な行動を訴える、と。

 そうした行動を繰り返し繰り返し行った上で‥つまり、よく事実関係を世界に分かってもらった上で日本の警告を聞かない無人機を撃墜するのであれば、それならそれで事態は、中国の作戦通りには進むことがないでしょう。

 それに、そもそも安倍総理は、尖閣に公務員を常駐させると言っていたのに、何故それを実現しないのでしょうか? 石原元都知事の言っていた船溜まりの建設はどうなっているのでしょうか?

 そのような行為は、中国側を刺激するからという理由で抑制しているのでしょう? なのに、その一方で、幾ら警告を聞かないとは言っても、無人機を撃墜してしまえば、それこそ中国側を刺激するでしょう。

 そのようなことをすれば、中国側は、それを日本側の軍国主義の復活だなどと、大体的に報じるでしょう。それが彼らの作戦なのです。

 だから、とにかく中国側の作戦の裏をかくことが必要なのです。

 それに、中国は、韓国が竹島を事実上占拠している事実を重視しているのです。

 日本側が100%自分の領土だと言っている竹島を韓国が事実上占拠して長い年月が経つが、日本は黙って放置しているではないか、と。だったら、中国も韓国を真似して、事実上尖閣を占拠してしまえばいいのではないか、と。

 結局、穏便に事を済ませようとして竹島に対する主張を日本が封じ込めてしまっているからこそ、中国の横暴な行動を招いてしまっているのです。

 そして、日本との間で、似たような利害関係にあるから、韓国と中国は手を結んでいるのです。

 だったら、竹島に対しても毅然とした態度で接するべきなのです。

 しかし、毅然とした態度というのは、言うべきことを言うだけの話で、何もそれらの国と敵対的な関係になれというのではないのです。

 いずれにしても、平和的な手段で事実を世界中に知らせることが先決なのです。

 
 
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 2013年9月の貿易統計が発表になりました。

 9月の貿易赤字額は‥貿易赤字と聞いても、もう驚かなくなってしまったのではないでしょうか?

 いずれにしても、その9月の貿易赤字額が9321億円になったのだとか。なんと9月としては過去最大の赤字額なのだ、と。

 余り驚かないようですね。

 では、もう一つ。9月の数値が出たことで、同時に2013年度上半期の数値もまとまったのですが、2013年度上半期の貿易赤字額が、な、な、なんと4兆9892億円になってしまったのです。まあ、大雑把に言えば、5兆円の赤字です。

 ということは、その額を基に2013年度を予想すると‥貿易赤字は10兆円の大台に乗ると思われるのです。

 あれっ、不満そうな顔ですね。何をおっしゃりたいのでしょうか?

 分かりました。そろそろ円安の効果が出てきて貿易収支も改善に向かうだろうから、2013年度の貿易赤字額がそのような数値になる筈がないとおっしゃりたいのですね。

 円安が進んでも最初はJカーブ効果が働き、貿易収支はむしろ悪化するが、暫くすると輸出も増え、貿易収支は改善する筈だ、と。日銀の黒田総裁も、以前からそのような発言をしています。

 そして、内閣府も今年の4月頃に、2013年8月頃から貿易収支は改善に向かうだろうというレポートを出していたのでした。

 しかし‥繰り返しになりますが、9月の貿易収支は、9月としては過去最大になっているのです。そして、この7月、8月、9月と毎月約1兆円のペースで貿易収支は赤字を記録しているのです。改善どころか悪化しているのです。

 それに輸出額を見ても、確かに前年同月と比べれば増えてはいるのですが‥そのまた1年前の同月と比べれば、それほど増加しているとは思えないのです。それに、輸出数量でみれば、前年同月と比べ、増えるどころか減少してさえいるのです。

2013年9月貿易収支


 アベノミクスで急速な円安を実現した日本。そのため、アベノミクスがスタートした当初は、欧州勢の嫉妬を買ったほど。特にドイツなどが日本を批判しました。しかし、最近は、そうした批判もすっかり聞こえなくなっています。1つには、米国が仲裁に入り、日本を弁護したためですが、最大の理由は、幾ら円安が実現しても、こうして日本からの輸出がそれほど増えていないことにあるのでしょう。

 2013年9月と2012年9月の為替レートを比べると、1ドル=78円程度が1ドル=98円程度にまで急速に円安になっているのにも拘わらずです。

 確かに、円安によって輸出企業の円建て表示による売り上げが急増することになり、また、利益も大きく膨らませることに成功したのはそのとおり。しかし、財務省の貿易統計で見る限り、輸出数量は全然増えていないのです。輸出額でみても、前年同月に比べれば増えてはいるものの‥そのまた1年前の水準と同じくらいなものなのです。

 ひょっとしたら、これは日本の経済力が落ちてきている兆候を示すものかもしれません。

 でも、まだ貴方はそれほど心配している様子ではないようですね。

 分かりました。日本の貿易収支が多少赤字になったところで、経常収支はまだまだ黒字を続けているではないかとおっしゃりたいのでしょう。所得収支で稼ぐ構造ができているから‥つまり、海外に投資した資本がもたらす利子や配当の収入があるから、心配することはない、と。

 確かに、年間ベースでみた経常収支はまだまだ黒字を続けているのはそのとおりです。しかし、稼ぎ頭の所得収支も、過去の数値から予想するならば、10兆円〜15兆円程度しか期待できないと思っていた方がいいのです。従って、一方で、我が国の貿易赤字が年間10兆円を超えるようになれば、経常収支が赤字に陥ってしまうことが心配されるのです。

 いいですか?! 

 こんなに円安が進行していても、輸出は思ったほどは増えはしない。輸出数量で見ればむしろ減ってさえいる。だとすれば、経済関係者は、円安の効果をこれまで過大評価していたということではないのでしょうか?

 今までは、円安が起きる度に株価が上昇した。しかし、円安にそれほどの効果がないことが認識され始め、そしてさらに、経常収支までもが赤字に転落するようなことになれば、今度は、円安が危険な兆候にしか映らなくなるかもしれません。

 つまり、日本が今まで蓄えた富が次第に流出し始める、と。そうなれば、むしろ円の価値を維持することが重要課題になるかもしれません。

 そんな先のことに政治家は気を配るべきなのに‥相変わらず目先のことにしか関心が行っていないようなのです。


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