経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2016年01月

 前々から感じていたのですが…マイナス金利っていうのは、相当に人々の関心を引くようですね。

 つまり、サプライズというか、意外性があるというか、常識に反しているというか…

 それはそうですよね。お金を貸したり、預けたりすれば、利息がもらえる筈なのに、反対に利息を払えなんて言われてしまう訳ですから。

 で、その点を衝いた作戦が見事に成功したのが、昨日の黒田総裁なのでした。

 「くろとん、お前もワルよ、のー」

 黒田総裁のことをよく知っているかつての同僚たちなどは、恐らくそのような感想を抱いているのではないでしょうか?

 いずれにしても、取り敢えず奇襲作戦は成功!

 グラフをご覧ください。

マイナス金利発表後の日経平均


 昨日の日経平均の動きですが、凄い乱高下でしょう?

 マイナス金利と聞いて、どっと反応したかと思ったのも束の間、そうはいっても本当に効果があるのだろうかという疑問が湧いて、期待が萎んだかとかと思えば、またまたマイナス金利政策への期待が膨らんだ、と。

 私思うのですが、今回のマイナス金利政策に関し、自分は半信半疑ながらも、一般の投資家は案外期待していると思って、取り敢えず全体の流れに乗ろうという投資家が多いだけのことではないか、と。

 いずれにしても、この効果は今後も続くのでしょうか?

 はっきり言って私は極めて懐疑的に見ています。

 いえ、何もマイナス金利政策の効果を全否定するつもりはないのです。

 仮に、日本が欧州で行われているようなマイナス金利政策を採用するのであれば、少なくても通貨安を引き起こす効果は期待できると思います。

 しかし、今回、日銀がマイナス金利政策を打ち出したといっても、実際にマイナス金利が適用されるのは、今市中銀行が保有している日銀当座預金のうちの1割にも満たないと言われています。

 ということは、誤解を恐れずに言えば、今、0.1%の金利を付けて上げているのを、0.09%とか0.08%に引き下げることにしたというのに等しいのです。

 ただ、これまでの0.1%の金利を0.09%に引き下げるなんて言っても、マーケットに与えるインパクトは殆どありません。ゼロにしたといっても、同じでしょう。そのようなことだと何の新鮮味もないのです。

 だから、全体としては、決してマイナスの金利にならなくても、敢えて「マイナス」という言葉を用いて、マーケットに意外感を与えたかっただけなのです。

 意外感を与えて、期待させることに成功したから株価や為替が反応をした、と。

 ここまでのことはご理解頂けたでしょうか?

 でも、それでは何故黒田総裁は、これまでゼロ金利政策はあり得ないとの立場を取り続けてきたのでしょうか? そしてまた、何故急に考え方を変えたのでしょうか?

 実はゼロ金利政策はあり得ないというのは、既存の量的・質的緩和(策)の構造から考えると当然の帰結だからです。

 というのも、昨日もご説明したとおり、既存の量的・質的緩和(策)は、2年でマネタリーベースを倍増するとか、1年で80兆円のペースでマネタリーベースを増やすことを骨子としたものですが、そうやってマネタリーベース(市中銀行が預けている日銀当座預金)を増やすためには、日銀当座預金に金利を付けてやるなどの措置を施さないと不可能だからです。

 一般の方々は、そもそも当座預金というものをよく分かっていないかもしれません。

 だから、日銀当座預金に0.1%の金利を日銀が付けてあげてもなんとも思わない!

 しかし、企業の経理担当者だったら、当座預金に0.1%の金利が付くなんて凡そ信じられないことなのです。何故ならば、当座預金はいつでも引き出しが可能であり、もっぱら預金者の資金決済を可能にするための口座でしかないからです。

 そんな口座に手数料をかけることはあっても、利息を払うなんて普通考えられません。

 しかし、どういう訳か…というよりも、日本は、米国のやり方を真似て2008年頃から日銀当座預金に0.1%の金利を付けてあげているのです。

 市中銀行としては、当然のことながら、もし日銀当座預金に金利が付かないのであれば、最低限度のお金しか預けておかないのです。必要以上のお金を預けておいても、利子が稼げず無駄になってしまうからです。

 その一方で、リフレ派の主張する政策は、マネタリーベースを増やすことによってマイルドなインフレを起こすために、どうしても市中銀行にお金を預けさせる必要があり、従って、日銀当座預金に金利を付ける政策を放棄する訳にはいかないのです。

 当然ですよね?

 そしてまた、黒田総裁もそう考えていたから、マイナス金利政策はあり得ないと答弁していた、と。

 しかし、ご承知のように、年明けからマーケットは大混乱。中国発の株価下落が続き、為替も円高に振れた、と。

 そろそろ何かをやる必要があったのです。

 そこに、ご承知のように甘利大臣の問題が発覚し、甘利大臣が辞職する羽目になった、と。甘利大臣はアベノミクスの司令塔とまで言われた人ですから、なおさら何かを打ち出す必要があったのです。

 それに、そもそも安倍総理自身が、かつてからマイナス金利を導入すべしとの意見の持ち主であったことも忘れてはいけません。

 つまり、本来であれば、黒田総裁としても、安倍総理の意向を尊重してマイナス金利政策を採用できたらなあと考えていた節がなきにしもあらず。しかし、上に述べたように、仮にマイナス金利政策を採用すれば、量的・質的緩和策の構造を崩壊してしまう恐れがあったためにできなかったのです。

 まあ、そこでいろいろ黒田総裁も考えたのでしょうね。

 とにかく、今ある量的・質的緩和策をここで投げ出す訳にはいかない、と。しかし、同時に、マイナス金利政策を打ち出してマーケットにサプライズを与える方法はないものか、と。

 で、考え出したのが、今回のネコ騙し戦略です。

 冒頭で述べたように、今回の措置によってマイナス金利が適用になるのは、現在預かっている日銀当座預金の1割にも満たない部分でしかありません。従って、全体を平均してみたら、これまでつけていた0.1%の金利を0.09%程度に引き下げるのと同じようなこと。

 しかし、それでも、市場関係者の多くはそんな細かいことは考えずに、単にマイナス金利という言葉に跳びつくかもしれないと思ったのでしょう。

 そして、黒田総裁のネコ騙しに市場関係者はまんまとひっかかったのです。

 でも、ネコ騙しに引っかかったとしても、本当にその効能を信じていた訳ではない可能性もあります。そして、仮に気が付いていても、株価が上がったのだから、結果オーライなんて思っているかもしれません。

 このネコ騙しのゼロ金利政策に対して、一番、嫌な思いをしているのは、案外、黒田総裁と、彼を支える日銀のスタッフかもしれません。

 昨日までの数日間、日銀の関係部署は、完全に外部をシャッタアウトし、コンビニの弁当を食べながら徹夜で仕事をしていたと報じられています。

 ネコ騙しの政策を打ち出すために、つまり世間を欺くために、徹夜の作業になるなんて…

 でも、どうしても官邸のご機嫌を損なう訳にはどうしてもいかなかったのでしょう。

 最後に、一言。

 仮に、今後、日銀が真の意味でのゼロ金利政策に着手するようになったら、お金を借りると得をして、お金を貸すと損をする状態が発生します。

 そうなると、今ある、1千兆円ほどの政府の借金も、マイナス金利のお蔭で少しずつ元本が減っていくかもしれません。

 そんな話を聞いて、貴方はどう思います?

 めでたし、めでたし?

 でも、国債を購入したら、金利が得られるどころか、元本が減るというのでは誰も国債を買いたがらなくあるでしょう。つまり、政府の資金繰りはそこでストップし、財政は破綻してしまうのです。

 それに、本当にマイナス金利になってしまえば、多くの預金者が預金を引き出してしまうので、今の金融システムが維持できなくなってしまうでしょう。それに、預金者に入る利子収入がマイナスになるので、預金者の購買力が益々奪われ、消費はさらに勢いを失ってしまうでしょう。

 つまり、今回のマイナス金利は、今まで以上に家計を苛める政策以外の何物でないという訳なのです。



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 日銀が、マイナス金利政策を採用すると発表しました。正式には「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」と言うのだ、と。

 何と言ったらいいのでしょう。

 流石、黒田総裁!

 甘利大臣の辞任とほぼタイミングを合わせるような格好で、予想もされなかった緩和策を打ち出すなんて、憎い、憎い!

 これでさらに安倍総理の覚えが良くなることでしょう。

 でも、このニュースに驚いている人が少なからずいると思うのです。

 いや、一般の方も驚いてはいると思うのですが、事情通の人ほど違った意味で驚いていると思います。

 では、何故事情通は、このマイナス金利に驚くのか?

 それは、日銀の、これまでのマネタリーベースを年間80兆円のペースで増やすという目標を実現するためには市中銀行が日銀に預ける預金、つまり日銀当座預金に若干の金利を付けてやることが不可欠だからなのです。

 マネタリーベースなんていうと、一般の方には分かりづらいと思うのですが、今や、その大半は日銀当座預金が占めていると言っていいのです。

 で、その日銀当座預金残高を増やすことによってマイルドなインフレを起こそうと日銀は必死になっている訳ですが…本来であれば、幾ら日銀が当座預金を増やそうと思ってもそう簡単には増えないのです。

 というのも、当座預金というのは、本来金利がゼロだからです。

 金利が付かない預金をそんなに沢山保有するということは、市中銀行にとっては資金の運用方法が極めて稚拙だということになり、普通はあり得ないのです。

 従って、日銀が何もしないで手を拱いていては、本来年間に80兆円近くも日銀当座預金が増えるなんてことはないのです。

 しかし、実際には、ここ3年間ほど日銀が宣言したとおり日銀当座預金は増えています。何故でしょうか?

 答えは、日銀が、日銀当座預金に0.1%の金利を付けてあげているからです。

 つまり、本来金利がゼロのところ、0.1%の金利を付けて上げることによって年間80兆円ほど日銀当座預金を増やす政策に協力させているのです。

 ここまでのことはご理解頂けたでしょうか。

 もしご理解頂けたら、日本が欧州のようにマイナス金利政策を採用することが困難であることは容易に想像が付くと思います。

 というのも、もし市中銀行が日銀に預けている預金に金利が付かないどころか、逆にマイナスの金利が課せらられれば、市中銀行は損を被るからです。

 ですから、もし、これまでに貯め込んできた日銀当座預金の全てにマイナスの金利が適用されるとなれば、市中銀行は、その大半を即座に引き出してしまい…そうなると、日銀当座預金イコールマネタリーベースは急減してしまうでしょう。

 そんなことこれまでの政策を撤回しない限りできませんよね。

 だから、事情通にとっては、日銀がマイナス金利政策を採用すると言われても、どういうことか理解に苦しむわけです。

 では、日銀は何をしようとしているのでしょうか?

 日銀のサイトには次のように説明されています。

 「金融機関が保有する日本銀行当座預金に▲0.1%のマイナス金利を適用する。今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。」

 具体的には…

 日本銀行当座預金を3段階の階層構造に分割し、それぞれの階層に応じて、プラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用する(別紙)。

 お分かりでしょうか?

 今回、全ての日銀当座預金にマイナス金利が課せられる訳ではないのです。

 別紙の内容をみてみましょう。

 3段階の構造は、(1)基礎的残高と(2)マクロ加算残高と(3)政策金利残高に3つから成り、(1)の基礎的残高とは、既往の残高を意味し、これまでどおり0.1%の金利が付くのです。

 (2)のマクロ加算残高の細かい内容は必ずしも明確ではありませんが、年間80兆円のペースでマネタリーベースが増えるのに応じて増加することが予想されます。で、この部分に対しては、金利がゼロになる、と。

 そして、(3)の政策金利残高に対してのみ今回のマイナス金利が適用されるというのですが、政策金利残高とは、(1)の基礎的残高と(2)のマクロ加算残高を上回る部分とされています。

 なんとなく、日銀が何を考えているのか分かりかけてきたのではないでしょうか。

 いいでしょうか。

 マイナス金利が適用されるとは言っても、それは政策金利残高に対してのみであるので、日銀の年間80兆円のペースでマネタリーベースを増やす政策を阻害しない範囲で適用されるのに過ぎないと言っていいでしょう。

 だとすれば、マイナス金利を適用するとは言っても、殆どアナウンスメント効果しかないのではないでしょうか。

 つまり、マイナス金利を適用するとはいっても、それによって今ある日銀当座預金が一度に沢山引き出され、市中に資金がどっと出回るなんてことは期待できないのです。

 では、一体なんのために?

 何かをしないと、無能に思われるので、だから何かをやったというだけのことではないでしょうか。

 そういえば、黒田総裁は、先日、何でもやると言っていたのです。



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 FRBが、26日、27日の2日間に渡って開いていたFOMCの会合を終え、金利据え置きを決定したと発表しました。

 まあ、世界的に株価が軟調になっていることもあり、予想どおりではあるのですが…

 FOMCの声明文を読むと、中国の文字は出てこないものの、中国を強く意識している様子が窺われるのです。

 では、どのようなことが書かれているのか?

 前回の声明文と今回の声明文を比べてみましょう。重要な部分のみ抜粋します。

<前回の声明文 2015年12月>

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability.

「当委員会は、その法的な任務に従い、雇用の最大化と物価の安定を促進すべく努める」

The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace, with labor market indicators moving toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate.

「当委員会は、労働市場の指標がその二つの任務に沿ったレベルに向かっていることから、適切な緩和策の下、経済活動は緩やかなペースで拡大すると予想する」

The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced.

「当委員会は、経済活動と労働市場の見通しに対するリスクはほぼバランスが取れているとみている」

The Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate.

「当委員会は、労働市場がさらに改善し、エネルギー価格の低下という一時的な影響と他の要素が消失するにつれ次第に2%に向かって上昇すると予想する」

The Committee continues to monitor inflation developments closely.

「当委員会は、物価の進展を引き続き注視する」


<今回の声明文 2016年1月>

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. (前回と同様)

「当委員会は、その法的な任務に従い、雇用の最大化と物価の安定を促進すべく努める」

The Committee currently expects that, with gradual adjustments in the stance of monetary policy, economic activity will expand at a moderate pace and labor market indicators will continue to strengthen.

「当委員会は、金融政策のスタンスが徐々に調整されるなか、経済活動は緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標も引き続き力強いものになると現在予想している」

Inflation is expected to remain low in the near term, in part because of the further declines in energy prices, but to rise to 2 percent over the medium term as the transitory effects of declines in energy and import prices dissipate and the labor market strengthens further.

「インフレ率は、エネルギー価格がさらに低下すると見られることもあり、短期的には低い水準に留まると見られるが、エネルギー価格と輸入価格の低下という一時的影響が消失し、また、労働市場がさらに強まるにつれ中期的に2%に向かって上昇すると見られる」

The Committee is closely monitoring global economic and financial developments and is assessing their implications for the labor market and inflation, and for the balance of risks to the outlook.

「当委員会は、世界経済と金融面の進展を注視し、それらが労働市場やインフレ見通しにどのような意味を有するのか、そして、将来見通しのリスクをどのように変化させるのかを評価することとする」


 如何でしょうか?

 中国のことなんか何も書いていないではないか、と言われそうな気もしますが…

 当委員会(FOMC)は、世界経済の進展を注意深くモニター(監視)すると言っており、これは、冷静に考えるとただ事ではないといべきでしょう。

 確かに中国とは言っていません。しかし、今世界経済で一番関心を集めていると言えば、中国を置いて他には考えられないのです。

 中国経済が減速しているからこそ、原油価格の低下にも拍車がかかり、また、中国の株価が低下するから、世界的にも株価が軟調になるのです。

 それに、今、中国から大量に資金流出が起きていることも事実であり、従って、そうした動きを注視するのは当然と言えば当然。

 いずれにしても、本来であれば、国内の雇用の最大化と物価の安定にのみ目を向けていればすむFRBが、敢えて世界経済について注視する必要があるというのですから、尋常ではないと考えるべきでしょう。

 まあ、だからと言って、中国の株価が下がり続ければ、米国の利上げのペースが必ず遅くなるかと言えば、そうとも言えないと思いますが、少なくても利上げのペースを速める理由にならないことは事実でしょう。



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 国際金融協会(IIF)が、中国からの資金流出が2016年には5520億ドル(約65兆円)になるとの予測をとりまとめました。

 もっとも、この流出規模は、過去最大だった2015年に次ぐ高水準だとありますから、既に起こっている資金流出が2016年もほぼ勢いを弱めることなく継続するという風に理解する必要があります。

 いずれにしても、そうなると、今後も人民元には下げ圧力がかかり、また株価も弱含みで推移することが容易に想像されるのです。

 案の定というべきか、本日もまた上海総合指数は下げ続けています。米国や日本のマーケット反は発しているにも拘わらず、です。

 ところで、この予測をとりまとめた国際金融協会とは何ぞやと言えば…

 The Institute of International Finance, Inc. (IIF) is a global association or trade group of financial institutions.

 It was created by 38 banks of leading industrialized countries in 1983 in response to the international debt crisis of the early 1980s.

 1980年代の累積債務問題に対応するために、1983年に先進国の38の銀行によって創設された組織である(Wikipedia)、と。

 2015年7月現在、79の国と地域から商業銀行・投資銀行・証券会社・保険会社・投資顧問会社など459社が参加している、とも(デジタル大辞泉)

 ということで、その構成メンバーの層の厚さからして、今回の予測は単なる一機関の予測というよりも、国際金融界の最大公約数的な予想であると言うべきでしょう。

 つまり、国際金融に携わる多くの人々がそのような予想をしている、と。言ってみれば、中国からの資金流出は今や常識である、と。

 ただ、予想は予想であり、必ずしもそうなるという保証はない訳ですが、しかし、中国に流入していた資金の主な出所は先進国側であって、その先進国側の金融機関が主なメンバーであるIIFがそのような予想をする訳ですから、その予想の意味は大変に重いと言わざるを得ません。

 如何でしょうか?

 要するに、少なくてもこの先1年は、中国からの資金流出が継続し、株価も弱含みで推移するという可能性が高いということなのです。

 では、そうした動きが続く中、日本の経済や日本の株価にはどのような影響を与えると考えられるでしょうか?

 少なくても日本の実体経済にプラスの影響を与えることはないでしょう。否、相当な影響を与えると覚悟しておいた方がいいかもしれません。

 では、株価に対してはどうでしょうか?

 ここ暫く、中国の株価に引っ張られっぱなしの感のある日本の株価ですが…例えば、米国経済が、中国経済の減速にも拘わらず力強く回復しだせば、そして、株価も再び回復するようなことになれば、日本の株価もむしろ米国の株価に追随する可能性の方が大であるのではないでしょうか。

 その意味では、日本の株価は必ずしも中国の株価に引っ張られる運命ではない、と。

 いずれにしても、国際金融協会が、今年も中国から大量の資金流出が続くと断言した訳ですから、基調としては人民元と上海株は軟調であると考えていた方がいいと思います。



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 円は安全資産と言われます。ご存知ですよね。

 つまり、経済の先行きが不透明になると、リスクを回避する動きが強まり、投資家は一時安全資産に逃避するので円高になる、と。

 まあでも、このような説明に対しては、政府の対GDP債務比率が群を抜いて高い日本の通貨が、何故安全だと言えるのかと疑問を持つ人もいるのです。

 私は、そのような考えがおかしいと批判するつもりはさらさらありませんが、しかし、多くの投資家が円を安全資産と考えるので、リスクオフの流れが強まると円高に振れがちになることは否定できないと思います。

 要するに、本当はどうであれ、皆が円を安全資産だと思うから、安全資産としての性格を有するようになる、と。

 まあ、そのように考えると、ユーロ危機が収まるにつれ円安が急速に進んだ訳も納得がいくかと思うのですが…では、今、円とは逆に通貨安の圧力がかかっているとみられる人民元はどのような性格を有していると考えることができるのでしょうか?

 先行きが不透明になるなかで人民元を手放そうとする動きが加速しているので、安全資産とは反対の資産、つまり危険資産とみるべきなのでしょうか?

 危険資産というと語弊があるかもしれないので、言い直すならば、リスクオフの流れが強まると手放され、反対にリスクオンの流れが強まると選好される資産である、と。

 では、仮にリスクオフの流れが強まると円が好まれ、その反対にリスクオンの流れが強まると人民元が好まれると仮定するならば、我々の経済活動にどのような影響を与えることになるのでしょうか?

 リスクオフの流れが強まるということは景気が悪くなるということですので、景気が悪くなる中で円の価値は上がり、その反対に人民元の価値は下がる、と。

 でも、景気が悪くなる中で自国通貨の価値が上がると、なお経済活動に冷や水をかける形になるので甚だ都合が悪いのです。できれば、自国通貨の価値が下がって景気を下支えして欲しい、と。

 となると、なんだか中国のことを羨ましく思う人が出てきそうなのですが…しかし、最近、何度か言っているとおり、今の中国は、人民元の価値が下がるので、そのことが株価を下げる要因になり、そして株価が下がるので益々景気が悪くなってしまうのです。

 なかなか巧く行きませんね。

 いずれにしても、円が本当に安全資産であるかどうかは別にして、多くの投資家がそのように思うから、リスクオフの流れが強まれば円高に振れやすくなることには注意をしておいた方がいいでしょう。

 もっと言えば、海外の人々が本当に円が安全であると思っているかどうかは別の話ではないのか、と。


 

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 本日、貿易統計が発表されました。

 2015年の日本の貿易収支は、2兆8322億円の赤字になったものの、そして、赤字は5年連続であるものの、赤字は77.9%も減少していると報じられています。

 では、何故貿易赤字なそのように大きく減少しているのでしょうか?

 理由は、聞かなくても大体分かりますよね。

 そうです、原油やLNGの価格が低下したことが大きいのです。

 では、円安によって輸出が伸びたことは効いていないのでしょうか?

 2015年の輸出額は75.6兆円と、前年の73.1兆円から3.5%増加してはいるのですが…輸入額が前年の85.9兆円から78.5兆円と8.7%減少したことに比べると効果は小さいと言っていいでしょう。

 それに、数量ベースでみると、輸出は前年に比べ1.0%減っているのです(輸入は2.8%の減少)。

 要するに、2015年は、2014年よりも円安に振れたものの日本の輸出力は回復しなかったと言っていいのです。

 グラフをご覧ください。

日本の輸出力

 円建ての輸出額、輸入額等の推移を示したものですが、ご覧のように、輸出は金額ベースでみても、まだリーマンショック以前の水準を回復していないのです。

 我が国の場合、2011年3月に原発事故が起こり、その後原油や液化天然ガスの輸入量が増えたという事情がありますが、そうしたことや原油価格の変動等の影響を除いてみてみるために、輸入額から鉱物性燃料の輸入額を除いたベースで貿易収支を試算してみました(青色の棒です)。

 それでみると、ご覧のとおり、ここ数年間ほど、日本の貿易で稼ぐ力に殆ど変化がないことが分かるのです。

 アベノミクスで円安を実現し、それによって日本の経済成長力を底上げしようとした試みは成功していないといっていいのではないでしょうか。

 財政出動派の人々は、日本の内需が弱いことが潜在成長率が低い最大の原因だなどとよく言いますが、仮に内需が弱くても、日本にもっと輸出力があるならば、海外に幾らでも輸出することが可能となり、高成長は必ずしも不可能ではないのです。

 近年、何故日本の輸出力は落ちているのか、その原因解明をしないで日本が再び高成長路線に戻ることはあり得ないでしょう。



 
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 本日は、株価が反発しています。上海総合指数は依然として冴えない動きをしているのですが、どうしたことでしょう?

 追加緩和の期待からなんて話もありますが…

 では、仮に日銀が追加緩和策を打ったとして、それがどうして株価を支えることになるのでしょうか?

 物価が上昇する?

 それを期待するのは無理ではないでしょうか。もし、それでインフレ率が上がるのであれば、既に日銀は着手している筈です。

 円安に振れる?

 仮に、今の円高圧力が緩和し、これまで以上に円安が進めば、企業収益にプラスになることも考えられないではありませんが…

 グラフをご覧ください。

円相場の推移
 
 過去、3年間ほどの円相場の推移を示しています。

 なんとなく面白いグラフだとは思いませんか?

 というのは、安倍政権が発足して以降、円安が進んでいたのが、2014年に一旦、1ドル=100数円のレベルに固定されていたかのような期間があることと、また、2015年以降は、120円を基準として推移しているように見えるからです。

 私、これまで何度か指摘しているように、黒田総裁は、これ以上円安に誘導しないように米国から言われており、そして、市場もそのような空気を察知しているために、120円を超えた水準が長く続くことは考えにくいと想像しています。

 で、仮にその仮説が当たっているとすれば、日銀も追加緩和策を打ちにくく、また、追加緩和策を打ったところで1ドル=120円を超える円安は起きにくく、従って、株価を支える力も限定的だと思うのです。

 しかし、株価って、理屈ではないのかもしれません。

 勢いとでもいうか、ムードとでもいうのか…

 でも、だからこそ、特別な理由がなくてもまた弱気になるのです。

 ただ、追加緩和策を打ってしまうと、材料出尽くしで却って株価を下げる可能性もあります。

 それに、今後は、経済的な要因の他に、政局絡みの出来事も株価に影響しそうな気がしております。



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 本日は、反発して始まっている東京市場ですが、年明けからこんなに株価が低下するなんて誰が想像したことでしょう。

 それにしても、何故今、こんなに下げ続けているのでしょう?

 安倍政権の経済閣僚たちは、日本のファンダメンタルズが悪い訳ではない、と言います。

 確かに、それはそのとおりでしょう。最近、急に日本の景気が悪化しているとも思えません。

 では何が原因なのでしょうか?

 考えられるのは、中国株の低下や原油価格の低下ですが…

 中国株は、昨年の6月頃からそれまでの動きとは一転、軟調に転じていることは皆さんご承知のとおりですが、どうも日本の株価は、人民元の突然の切り下げが行われた8月辺りから勢いを失っているように思われるのです。

 では、何故中国の株価が下がれば、日本の株価も下がるのでしょうか?

 NY株が下がるのと歩調を合わせるように日本株が下がるのは分かるものの…

 「えっ、米国の株価が下がると日本の株価も下がるの?」

 そのような疑問を持つ方がいるかもしれません。

 米国企業の業績が悪化する一方で、日本企業の業績がそれほど悪くなければ、むしろ日本の株価は上がるのではないかのか、なんて。

 もちろん、個々の投資家のなかには、そのような判断の下に行動する者もいるでしょうが、しかし、それは少数派。

 というのは、海外の投資家の多くにとって、メインは米国株であり、日本株はその補完的な位置づけをされているのに過ぎないからです。(もっとも、これも一般論に過ぎないので、その点はよく注意をして下さい)

 もし、米国の株と日本の株の位置づけが、そのようなものであったとすれば、米国株で儲けるとその余力で日本の株を買い、反対に、米国株で損を被ると、その損をカバーするために日本株を売って利益を現実化するような行為に出るのは頷けるのではないでしょうか。

 ということもあり、昔から日本の株価は米国の株価と同じような動きをするなんて言われてきた訳ですが、では、中国株と日本株にもそのような関係が存在するのでしょうか?

 否、その前に、本当に日本の株価は中国の株価と関連が強いと言えるのでしょうか?

 グラフをご覧ください。

日経平均と上海総合

 数年ほど前までは、こんなことはなかったと思うのですが…

 この1年間ほど、特に昨年の8月以降の両国の株価の動きはよく似ていると思いませんか?

 ということで、確かに今日本の株価は中国の株価と同じような動きをしていると言っていいでしょう。

 では、何故、中国の株価が下がると日本の株価も下がるのでしょうか? そして、
中国の株価の回復なくして、日本の株価の上昇はあり得ないのでしょうか?

 中国の株価と日本の株価の間には、日米の株価の間で見られたような関係は殆どないとしか思えないのに…

 しかし、今や中国の経済は世界2位を占めるほどのウエイトがあります。それに中国の株価が下がっている背景には、資本の流出があると言われています。つまり、海外の投資家が中国の成長力に対し自信を失い始めている、と。このまま、中国で資金を運用していても期待したほどの利回りは確保できないであろう、と。

 そして、中国の経済が減速するということは、世界的な需要の減退を意味する訳ですから、ここは様子見に徹した方がいい、つまりリスクオフの流れに乗ろうということになるのです。

 リスクオフの流れが強まるということは、日本の国債が買われ、円が強くなるということを意味する訳ですから、日本の株価は下がりやすくなる、と。

 いずれにしても、日本の株価がこれほど中国の株価に左右されているという現実を軽視してはいけないと思います。


 
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 本日、日本政府観光局が2015年の訪日外客数を発表しました。

 な、な、なんと、その数1973万7千人前年比47.1%も伸びているのだとか。

 但し、経済通の方は、このニュースを聞いても何も驚かないと思います。

 というのも、そのくらいの数字になることは数カ月前から予想されていたからです。

 いずれにしても、爆買いの言葉に象徴されるように、日本を訪れる外国人旅行者の数が急増していることを如実に示す統計データです。

 それに、こんなことも言っています。

 ・主な要因は、クルーズ船の寄港増加、航空路線の拡大、燃油サーチャージの値下がりによる航空運賃の低下、これまでの継続的な訪日旅行プロモーションによる訪日旅行需要の拡大。

 ・市場別では、主要20市場のうち、ロシアを除く19市場が年間での過去最高を記録し、中でも中国は前年比107.3%増の499万人に達し初めて最大市場となった。

 中国人の旅行者が499万人ということですから約500万人。全体が約2000万人と考えれば、日本を訪れた外国人のうち4人に1人が中国人だったということなのです。

 因みに、この中国人というのは狭義の中国人であり、他に台湾の旅行者が368万人、香港の旅行者が152万人ですから、全部合わせると、1019万人。つまり、外国人旅行者のうち2人に1人は、広い意味での中国人になるのです。

 どう思います?

 まだまだ爆買いは続くぞ、ホテルを建設したり、民泊をもっと認める必要があるなんて、考えますか?

 でも、それは少々軽率!

 次のグラフをご覧ください。

 中国人訪日客数2


 1月9日にも似たようなグラフをお示ししました。あのときは、2015年11月分までのデータしかカバーされていなかったんですが、今回は12月のデータもカバーされています。

 いいでしょうか、これが実際に毎月日本を訪れている中国人旅行者の数値なのです。

 未だに高い水準を示しているとはいっても、8月のピークと比べれば急激に減っているのです。

 恐らく、中国経済の減速、そして、人民元の下落などを背景にして、これまでのような爆買いは少し沈静化するとみていた方がいいのではないでしょうか。

 もちろん、全体としての傾向は、これからも日本を訪れる外国人の旅行者の数は増えるでしょうが…その増加のペースはひと段落すると考えた方がいいでしょう。



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 アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁が17日、就任後初めて記者会見し、無駄がなく(lean)、清潔(clean)で、環境に優しい(green)をモットーとして掲げ、実行力を伴う国際開発銀行にすると語ったとされています。

 リーン、クリーン、そして、グリーンと韻を踏んでいるということですね。

 調べてみたら、このモットーは以前から総裁のものというよりもAIIBとして掲げているらしいのですが…ちょっと格好良すぎではないのでしょうか。

 まあ、本当にlean で、clean で、そして green なら申し分ありませんが、今の中国を見ている限りとても信じることはできません。

 また、だからこそ日本と米国はAIIBへの参加を見送ったと言っていいでしょう。

 でも、AIIBの総裁は、次のようにも言っているのです。

 「ドアは開き続けている」

 そうですか。要するに、米国と日本にも参加をして欲しいという訳ですよね。
 
 では、何故米国と日本の参加を望んでいるかと言えば…

 「中国主導」の色が強くなりすぎることを避けたいのではなんて言われていますが、米国と日本が参加しないと、十分な資金が集まらないことが一つと、また、AIIBが独自に資金調達をしようとしても、日米抜きの国際機関では高い格付けが得られないからではないのでしょうか。

 要するに、日米を巻き込んで、中国の有利になるようにことを運びたい、と。

 だったら、日米としても、中国が変わったと確信を得るまでは参加すべきではないでしょう。折角筋を通して参加を見送ったのですから。

 ただ、そうはいっても、今後の成り行き次第では米国がいつAIIBに参加しないとも限りませんが、では、仮にそうなったときには日本もAIIBに参加すべきなのでしょうか?

 私は、必ずしもそうは思いません。

 繰り返しますが、中国が変わったと確信を持てるようになるまで、日本はAIIBへの参加を拒否し、それなりのシグナルを中国に送ることが大切だと考えています。

 いずれにしても、アジア諸国のためのAIIBというよりも、プラント輸出等を通じて中国の利益になるようなことを考えているとしか思えないのですから、今後、じっくりと模様眺めに徹するべきだと思うのです。




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