経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

2016年03月

 インドの鉄鋼大手のタタ・スチールが英国での事業を売却すると発表したものですから、今、英国では大変な騒ぎになっているようです。つまり、政治家は何とかすべきではないかという声が上っているのです。

 でも、事業を売却するというくらいで、どうしてそんなに注目されるのかと言えば…

 なかなか買い手が見つからない…そして、買い手が見つからないと、工場は閉鎖。そうすると、そこで働いてる約4千人の従業員を含め、英国全体では約1万5千人の労働者が職を失う可能性があるからです。

 まあ、米国のかつてのビッグ3の破綻騒動に匹敵すると言ってもいいのかもしれません。

 それに、鉄鋼業と言えば、かつての産業革命の象徴ともいえる産業であり、そして、かつては英国が世界一の鉄の生産国であったこととも関係しているのかもしれません。

 鉄は国家なりという言葉もあります。ビスマルクの言葉ですね。

 幾ら製造業のウェイトが縮小する運命にあるとは言っても、全く鉄鋼を生産しないような国になってしまうことに対する不安があるのかもしれません。

 事実、国連の安全保障常任理事国のなかで、鉄を生産しない国が存在するのか、なんて声も聞こえてくるのです。英国の防衛力にも影響を与えるのではないか、と。

 では、何故これほどまでに英国の鉄鋼業が衰退してしまったかと言えば…

 それは、最近になって始まったことではないのです。このタタ・スチールはインドの会社であって、10年ほど前に英国の鉄鋼メーカーを買収し、事業が続けられてきたに過ぎないのです。

 しかし、そのタタも英国からの撤退を余儀なくされる、と。

 何故でしょう?

 幾つかの理由が挙げられているようですが、一番の理由は、世界的に鉄鋼が供給過剰になっているなかで中国が安売り攻勢をかけているので、英国の鉄鋼メーカーは採算が合わないから、というのです。

 中国は世界全体で生産される粗鋼の半分を占め、二位の日本以下を大きく引き離しているので、その影響力は計り知れないものがあるのです。

粗鋼生産量ランキング

 しかも、その中国の鉄鋼メーカーは、政府から補助金を得ているだけではなく、二酸化炭素等の排出基準が緩いので、遥かに価格競争力があると言うのです。

 では、米国政府がビッグ3を救済したように、英国政府も救済に乗り出すのでしょうか?

 それとも、他の何らかの手段に乗り出すのでしょうか?

 国有化する以外の手段としては、海外から安い鉄鋼が入ってこないようにするために高い関税をかけることが考えられますが…しかし、そのようなことをすればEUのルールを破ることになり、EUに留まることが難しくなるとされています。

 では、いっそのこと、この際EUを離脱すべきなのか?

 しかし、英国の鉄鋼輸出の大部分はEU向けであるので、EUを離脱すると、鉄鋼の輸出が激減する恐れがあるのです。

 また、英国の鉄鋼メーカーがどんなに努力しても、中国の安い鉄鋼に太刀打ちできないのが事実だとすれば、仮に英国が鉄鋼メーカーを国有化したところで何の解決策にもならないでしょう。

 人民元がこの先、ドルと肩を並べる国際通貨になることを見越した上で、中国にすり寄っている英国は、その中国によって自国の鉄鋼産業が壊滅状態に追いやられようとしているのです。

 なんと皮肉なことなのか!

 但し、英国の労働者のうち、鉄鋼業に直接従事している人は2万人程度であり、全体に占める割合は、0.067%程度の過ぎないのです。

 つまり、鉄鋼メーカーの工場が全て閉鎖されても、英国経済に与える影響は限られていると言っていいでしょう。

 それに、より高品質、つまり付加価値の高い製品に特化することによって生き延びる方法はあると考えます。

 金融業にばかり力を注いだ結果が、このような事態を生み出したも言えるのです。





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 米国では相変わらず金利引き上げの時期とペースが関心を集めているようです。

 私なんかにしたら、そんなことがそれほど重要なのかと思うのですが…

 いずれにしても、昨年12月16日にゼロ金利政策を解除したのはご存知だと思います。

 政策金利、つまりフェデラルファンズ・レートの誘導目標をそれまでの0‐0.25%から0.25%‐0.50%に引き上げたのです。

 では、その後、米国の長期金利(10年物国債の利回り)はどうなっているのかと言えば…

 どう思いますか?

 次の3つから選んでください。

 (1)少しずつ上がっている。

 (2)殆ど変化はない。

 (3)むしろ下がっているように見える。


 さあ、如何でしょうか?

 答えは、(3)のむしろ下がっているが正解と言っていいでしょう。

 グラフをご覧ください。

 米国債(10年)利回り推移


 下がって、上がって、また、少し下がりつつあると言ったらいいのでしょうか?

 では、何故長期金利は下がっているのかと言えば…

 世界経済の先行きの不透明感が強まっていることや、経済の回復力に力強さが足りないこと等などが理由ではないでしょうか。

 いずれにしても、こうして米国の長期金利に下押し圧力がかかり続けると、為替レートにはどのような影響を及ぼすかと言えば…

 日米金利差は思ったほどには拡大せず、従って、ドル高円安にはなかなかなりにくい状況が続いているのです。

 まあ、しかし、為替については、確たることは言えませんが…




 利上げをして、金利が下がるとは皮肉なものだ、と思った方、クリックをお願い致します。
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 日銀が掲載した「5分で読めるマイナス金利」に対抗して、「5分で分かるマイナス金利(本音編)」を発表したいと思います。

(佳子さん)日銀がマイナス金利を導入したのは、何故なのですか?

(黒田くん)それはね、今年に入ってから世界的に株価は下がるわ、円高になるわで大変だったでしょ。おまけにそんな大事なときに、経済財政担当の大臣まで辞めてしまった。何かやるしかないじゃん。

(佳子さん)というと、株価を上げたり、円高にするのが目的だったのですか?

(黒田くん)あたりー。頭いいね。日銀がマイナス金利を導入すると、円の金利が下がる。そうなるとドルの金利との差、つまり日米金利差が拡大してドル高円安になる。円安になれば株価にはいい影響があるでしょう?

(佳子さん)やっぱり日銀は、経済のことを真剣に考えているのですね。

(黒田くん)あたりー。常に国民のことを考えているんだよ。

(佳子さん)でも、マイナス金利になると、預金金利までマイナスになってしまうんじゃないですか? そうなると、預金を降ろさないでも残高が減ってしまうんでしょ? 嫌だなー。

(黒田くん)その点は、日銀が民間の金融機関に対して目を光らして、マイナス金利にはするなよ、って言っているから大丈夫。絶対にマイナスにはさせないから。

(佳子さん)ふーん。でも、手数料が高くなったりすることはないんですか?

(黒田くん)手数料は手数料。金利じゃないから、そこまでは知らない。

(佳子さん)景気をよくするためなら、預金金利が上がった方が都合がよくありませんか?

(黒田くん)どうして?

(佳子さん)だって、預金の金利収入が多ければ、それでいろんなものを買うことができるし…

(黒田くん)だめだめ! もし、日銀が金利を引き上げると、お金を借りる企業の金利負担が増えてしまうし。そうなると経営内容が益々厳しくなり…賃上げがもっと難しくなってしまうから。

(佳子さん)でも、日本の金利って、どうしてこんなに低いんですか?

(黒田くん)あんまり頭よくないね。長い間、デフレが長く続いているからだよ。景気が悪いのにどうして金利を上げることができる? 下げるしかないでしょ?

(佳子さん)でも、金利を下げると預金者の金利収入が減ってしまい、消費が落ち込むと思いますけど…

(黒田くん)だめなの。金利を下げて企業が設備投資をすれば、その方が景気がよくなるんだから。

(佳子さん)金利を下げ続けた結果、企業の設備投資は積極的になったんですか?

(黒田くん)もう少し辛抱強く待っていると、設備投資に動きが出てくると思う。

(佳子さん)要するに、日本の預金金利が長い間ゼロに近い状態にあるのはデフレのせいで、そして、そのデフレから早く脱出するためにマイナス金利を導入したということなのですか?

(黒田くん)ゼロ金利でも刺激が足りないとしたら、マイナスにするしかないだろう?

(佳子さん)じゃあ、どうして最初からマイナス金利を導入しなかったのですか?

(黒田くん)誰にも言わないって、約束してくれれば本当のことを言うよ。

(佳子さん)約束します。

(黒田くん)絶対だよ! じゃ、言うけど、最初は、マイナス金利なんて考えなかったの。

(佳子さん)どうしてですか?

(黒田くん)マイナス金利だと、お金を貸した方が金利を支払うんだよ。そんなのおかしいじゃん!

(佳子さん)私もおかしいと思う。

(黒田くん)それ以外にも、マイナス金利を導入することができない理由があったのさ。

(佳子さん)どういうことですか?

(黒田くん)誰にも言わない? 絶対秘密だよ。

(佳子さん)誰にも言わないから教えて。

(黒田くん)あのね、3年前に始めた量的・質的緩和という日銀の金融緩和策は、物価を上げることを目標としているのは、知っているよね。

(佳子さん)知ってます。

(黒田くん)そのために日銀が市中の銀行から国債を大量に買い上げ、そして、その売却代金を市中銀行が保有する日銀当座預金口座に振り込んでやるんだよ。日銀当座預金口座に振り込まれたお金は、市中銀行が自由に引き出して使うことができるので、日銀券と同じようなものなので、日銀券、コインとともにマネタリーベースを構成するんだ。

(佳子さん)ふむふむ。

(黒田くん)で、そのマネタリーベースが増加して、世の中にあふれ出ると、どうなる?

(佳子さん)インフレになるのかな?

(黒田くん)あたりー。インフレになるということは、それでデフレとはオサラバ。だから、日銀は、マネタリーベースというか、日銀当座預金残高を増やせば、どれだけでもインフレが起こせると考えたんだよ。

(佳子さん)頭いい!

(黒田くん)だけど、このやり方には一つ問題があって、市中銀行は、必要以上のお金を日銀当座預金口座に置いておこうとはしないことなんだ。

(佳子さん)どうしてですか?

(黒田くん)日銀当座預金は、当座預金だから本来なら金利が付かないのが当たり前。でも、そうなるとなかなか市中銀行が日銀当座預金をしてくれないので、0.1%の金利を付けて上げることにしていたのさ。そうすると、多くの銀行がどんどん日銀当座預金の残高を増やしてくれた。

(佳子さん)でも、実際にはインフレは起きなかったのですよね。

(黒田くん)原油の価格が低下したりしてこともあったし…

(佳子さん)でも、だったら、もっとマネタリーベースを増やせばいいだけの話じゃないんですか?

(黒田くん)私も、そう思ったし、思いたかった。でも、そのうちに、市中銀行が日銀にそんなに大量のお金を預けて置くということは、日銀が折角国債を買い上げても、その代金が世の中に回らないことを意味しているのではないのか、なんて批判する関係者が出てきた。

(佳子さん)思い出した。豚積みってやつですね。

(黒田くん)だから、その豚積みを解消するというか、もっとお金を世の中に回すためには、日銀当座預金に金利を付けるんじゃなくて、反対に、金利を取るべきだと主張する者が出てきたのさ。

(佳子さん)な〜んだ、そういうことだったのか。だったら、最初からそう言ってくれれば、よかったのに。でも、そうすると、もうマネタリーベースを増やすとか日銀当座預金を増やすという目標は諦めたのですか?

(黒田くん)否、目標を諦めるなんて断じてない。目標は達成する。そして、インフレも起してみせる。

(佳子さん)でも、マイナス金利を導入したこと自体、最初のやり方が間違っていたということではないのですか?

(黒田くん)否、間違ってなどいない。というか、今更間違っていたなんて言えないんだ。

(佳子さん)でも、最初のやり方では効果がなかったので、マイナス金利を導入したのでしょ? じゃあ、そのマイナス金利でどうやってインフレを起せるのですか?

(黒田くん)マイナス金利になるとお金を借りる者が得をするから、どんどんお金を借りて、住宅投資や設備投資が盛んになるじゃないか。

(佳子さん)でも、企業は国内の設備投資に相変わらず積極的はなっていないし、マイナス金利になって住宅ローンを借り換える人は多くても、新規の住宅ローンが増えているという話は余り聞かないですよね。

(黒田くん)だから、ここは辛抱のしどころ。もう少し待つときっとよくなる。

(佳子さん)でも、マイナス金利が続くと、皆は、マイナス金利が発生するほど、物価は低下する可能性が大きいと思っちゃいますよ。それに、マイナス金利の状態が続くと、元本が少しずつ小さくなっていくので、預金通貨の量は少しずつ減ると思いますけど…そうなると、却って物価は下がってしまいませんか? 

(黒田くん)否、だから、国民がインフレが起きると思えばいいのさ。

(佳子さん)でも、だったらなおのこと、金利をガーンと上げれば、国民は、物価が上がりそうなんだって、思うんじゃありませんか?

(黒田くん)でも、金利が上がると、経済活動に冷や水をかけることになるじゃないか。

(佳子さん)やっぱり辛抱強く待つしかないのか。

(黒田くん)そうそう、信じる者は救われる。

(佳子さん)でも、もう3年も経ったのですよ。






 

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 日本銀行が、「5分で読めるマイナス金利」という解説を日銀のサイトにアップしています。

 マイナス金利に興味があれば、一度お読みになっては如何でしょうか。

 でも、それを読んだからと言って、腑に落ちたという人は多分少ないと思います。

 言い訳ばっかりしやがってと、思うかもしれません。

 どうしてこんなものアップしたのでしょうね?

 勝手な想像ですが、官邸サイドから「マイナス金利を導入したけど全然効果が出ていないではないか」とか、「国民は預金金利がマイナスになると不満を漏らしている」、と注文がついたからではないでしょうか。

 つまり、マイナス金利に対する評価が芳しくないため、国民に対し、マイナス金利の説明を十分に行う必要があるということで、こんなものをアップしたのだ思います。

 解説は、一般の人が日銀に質問する形式になっています。

 そのまま、掲載すると長くなってしまいますので、質疑応答について、要約して紹介します。


(問)日銀がマイナス金利にしたのは本当か?

(答)本当。1月にマイナス金利を始めた。

(問)マイナス金利になると、私が銀行に預金しているお金が減るのか?

(答)個人の預金は別の話。

(問)個人の預金金利はマイナスにはならないのか?

(答)ヨーロッパでは個人預金の金利はマイナスにはなっていない。

(問)マイナスにはならなくても少しは下がるのではないか?

(答)普通預金金利は0.02%だったのが、0.001%になった。

(問)それで消費が悪くなるのでは?

(答)100万円預けた場合、年間の利息が、200円から10円になるだけ。消費を悪くするほどではない。

(問)もともと200円しかもらえなかったのがひどい。

(答)そのとおり。もう15年以上、預金金利はとても低い。でもデフレだったから仕方がない。

(問)デフレとは何か?

(答)物価が毎年のように下がること。

(問)物価が下がって何が悪いのか?

(答)物価が上がらないと会社の売上げも増えないので、給料も上がらない。

(問)デフレだと金利も低くなるのか?

(答)デフレのときに金利を上げるともっと景気が悪くなって、給料や物価はもっと下がる。

(問)金利を上げた方がみんなお金を使うようになる。

(答)金利を上げて利息を増やしても、それで景気が悪くなって給料が下がったり、職を失っては何もならない。

(問)では、どうしたらいいのか?

(答)デフレから完全に抜け出すしかない。今はがまんして金利を低くして、もっと景気を良くして物価をもう少しだけ上げていくしかない。

(問)でも、マイナス金利までしなくてもいいのではないか?

(答)15年もデフレが続き、デフレが当たり前になった。それを変えるには思い切った手を使う必要がある。

(問)マイナス金利はそんなに効果があるのか?

(答)住宅ローンの金利は、10年固定で1%以下になっている。銀行のローンセンターは大忙しだ。家計が家を建てたり、会社が工場やお店を建てたりするときは有利になる。

(問)そうすると銀行が損しないのか?

(答)銀行にとっては貸出金利は下がるので、その分儲けは少なくなる。

(問)本当にそれでデフレから抜け出せるのか?

(答)ガソリンのように世界中で下がっているものを除くと、物価は1%以上上がっている。デフレには戻らないというところまであと少し。必ずデフレから抜け出せる。

(問)もう1%も物価が上がっているなら、十分ではないのか?

(答)ある程度バッファーがないとすぐにデフレになってしまう。2%の物価目標は世界共通。

(問)デフレを脱却すれば預金の利息も増えるのか?

(答)デフレから抜け出せば日本経済は元気になり、そうすれば預金金利も上がる。

(問)『マイナス金利』と聞いて不安になってしまったのだ。

(答)『マイナス』という言葉の響きも悪かったかも。『ニューヨークで株価が下がった』とか『中国から資金が逃げてる』とか、心配なニュースが多い。このイメージと重なったのもある。この政策はとても強力で、いずれ『プラス』の効果が出てくると思う。

 如何でしょうか?

 何とも言い訳じみた説明でしょう?

 それに、上の想定問答から、論理展開の中心となるものを抜きだせば次のようになるのですが…そうすると様々な疑問が浮かび上がってくるのです。
 
(問)預金金利が低すぎる。

(答)でもデフレだったから仕方がない。

(問)デフレだと金利も低くなるのか?

(答)デフレのときに金利を上げるともっと景気が悪くなる。

(問)では、どうしたらいいのか?

(答)物価をもう少しだけ上げていくしかない。そのためには思い切った手を使う必要があり、マイナス金利を導入した。この政策はとても強力でいずれ効果が出てくるので、今は我慢して欲しい。

 
 日銀は、金利の引き下げが景気の回復のための絶対条件のように言っていますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?

 確かに、金利を引き下げることによってお金を借りる立場にある企業や家計は助かる面はあるものの…しかし、最近の日本の企業は金利が高いから設備投資に消極的になっている訳ではないのです。また、だからこそ金利をどれだけ下げても設備投資が活発になることがないのです。その一方で、預金金利が低いことで家計の購買力は完全にその一部を奪われています。例えば、家計の金融資産高は日本全体で1700兆円ほどありますが、仮に2%の金利が支払われれば、総額34兆円にもなるので、今は、34兆円分の購買力が家計から奪われていることになるのです。

 国のGDPの規模を500兆円と考えれば、これで約0.7%はGDPを引き上げることができるのです。

 まあ、この点を別にしても、おかしな説明が多いのです。

 デフレだと確かに金利が低くなる傾向にあるのはそのとおりですが、しかし、必要以上に金利を引き下げているのは日銀の判断として行っていることなのです。

 また、日銀は、デフレから脱却することが先決だとして、2013年4月から量的・質的緩和を実施していますが、マイナス金利が必要であるなら、何故最初からマイナス金利政策を導入しなかったのでしょうか?

 日銀は、直ぐ欧米のことを引き合いに出しますが、欧州は、中銀預金の金利をプラスからマイナスにしたのではないのに対し、日本は、本来ゼロである筈の日銀当座預金金利をプラスにした後、今回一部をマイナスにしたのです。

 では、何故本来ゼロであるべき日銀当座預金がプラスになっていたかと言えば…そうしないとどの銀行も莫大な金額のお金を日銀に預けて置こうなんて思わないからです。

 結局、そうやって無理してマネタリーベースの増大プランを実施してきたものの、物価はなかなか上がらなかったので、だから従前の政策を転換したというべきなのです。

 もう一つ重要なことを言えば、マイナス金利政策を導入したことと長期金利がマイナスになったことには直接の因果関係はありません。

 いいでしょうか?

 日銀が、日銀当座預金の一部にマイナス金利を適用しても、だからと言って長期金利(10年物国債の利回り)がマイナスになる必然性はありません。

 では、何故10年物国債の利回りがマイナスになるのかと言えば、それは単に日銀が不当に高い価格で市場から国債を買い上げているからに他なりません。そして、日銀に国債を売り渡す銀行等も、日銀が高い価格で買い上げてくれるということを知っているから、これまた不当に高い価格で政府から国債を引き受けているだけなのです。

 国民の多くは、何故お金を借りる日本政府が、金利を支払うどころか、将来返済すべき元本が借りたお金より少なくて済むのか、その理由が分からないのです。

 否、物価の下落率が3%、4%、或いは5%にも達し、実際にお金の価値が年々上がる状態(デフレ状態)が続いているので、若干のマイナス金利でお金を貸しても損をしないというのなら分かります。つまり、銀行等が本当にマイナス金利を受け入れているのであれば、分かるのです。しかし、今言ったように長期金利がマイナスになっているのは、日銀が不当に高い価格で国債を買うからそうなっているだけなのです。

 何故、国家機関の一部とも言える日本銀行が、本体の日本政府に対して、そのような過剰サービスをするのか、ということなのです。

 確かに思い切った措置と言えるでしょう。

 しかし、異例の措置ではあるものの…無理が通れば、道理が引っ込むだけの話なのです。

 思い切った措置を取ったということの意味を、将来もなかなか経済は好転しないということだなと理解して、国民は自信が持てないでいるのです。



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 日経が次のように報じています。

 「安倍晋三首相は世界経済の減速に対応し、消費喚起を狙った経済対策を策定する。5月26〜27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前にまとめ、財政出動による国際協調を構築する狙いだ。対策を裏付ける2016年度補正予算案は7月の参院選後、秋までに予定する臨時国会に出す。今後の景気状況によっては17年4月の消費増税再延期も視野に入れる」

 如何でしょうか?

 財政出動で国際協調をしようと米国や欧州などの先進国に訴えるのですって。

 でも、米国や欧州勢が景気対策のために財政面で大盤振る舞いをするとは到底期待できません。

 何故かと言えば、米国の2015年10-12月期の実質経済成長率は1.4%(年率換算前期比)であり、EUにしても1.6%(前年同期比)と、それほど悪い状況ではないからです。

 それに、米国は、次の利上げは何時になるかが関心を集めているのですから、そんな国が景気対策のために財政出動をすることなど考えられないのです。財政出動をする位なら金利を上げる訳がないからです。

 プラス、米国の議会の捻じれ現象を見れば、米国議会で財政出動が認められるなんてありえないこと位、簡単に想像がつく筈です。

 にも拘わらず、米国や欧州勢に向かって財政出動をしましょうと、安倍総理は呼びかけるのですって。

 結局、安倍総理は、そうして日本の財政出動を国際公約にしてしまい…そして、財政出動が国際公約になれば、それと反対の行動とみなされる増税などもっての外だという論理で、消費税増税をまたまた延期する作戦ではないのでしょうか?

 結局、選挙に勝つことだけが目的なのでしょう。

 ああ情けない!

 多大な労力とお金を投じてサミットを開催するのですから、もっと世界経済のためになる議論をすべきです。

 とは言っても、格調高い議論をしろと言っているのではないのです。率直に意見を述べればいいのです。

 安倍総理は何を思っているのか?

 今年に入ってから、世界的に株価が低下し…それが心配だったのでしょう? だから、マイナス金利なんてものも導入した、と。

 だったら、何故世界的に株価が急落したのか、どうしたら株価の低下を食い止めることができるのかを世界のリーダーたちと率直に話し合ったらいいのです。

 何故株価が急落したのでしょうか?

 それは、株式市場から投機資金が一斉に逃げ出したからなのです。

 では、何故投機資金が株式市場から逃げ出したかと言えば…それには、様々な理由が考えられますが、その一つは、中国経済の減速の影響が大きいと思われます。

 そして、その中国の株式市場でも投機資金の流出が起きたばかりでなく、そもそも資本の海外流出が起きているのです。

 逆に言えば、それまでそうした投機資金が世界の株式市場に大量に流れ込んできたから、実体経済以上に株価が上がっていたとも言えるのです。

 原油価格の下落にしても、世界的な原油に対する需要の低迷があるにしても、それまでそうした投機資金が原油価格を不当に引き上げていたので、その反動が今起きているという要素も大きいのです。つまり、原油価格も、そうした投機資金が存在しなければ、もっと緩やかな値動きをする筈だ、と。

 で、安倍総理を含め世界のリーダーたちは、そうした株価や原油価格の乱高下を気にせざるを得ない状況になっているのです。

 それはそうですよね。株価が大暴落してしまえば、そのことが実体経済に与える影響は深刻なものがあるからです。

 でも、だったらどうしてそうした投機資金というか、ホットマネーの存在を許しておくのか、不思議でなりません。

 もちろん、先進国は資本の流れを自由にしているので、国境をまたいで移動する資金の量が多いことは理解できます。

 しかし、タックスヘイブンに流れていく大量の資金を放っておく手はないではないですか?

 要するに、母国の課税や規制を逃れたお金が、今大量に世界中に溢れているのです。

 実際にどの程度のお金がタックスヘイブン流れ込んでいるか公式のデータはありませんが、どんなに控えめにみても2千数百兆円はあるという説や、8百兆円程度あるという説があるのですが…いずれにしても莫大な金額なのです。

 これらのお金は、その時々の経済状況をみて瞬時に国境をまたいで移動する性格を有しています。儲け話があればすぐ跳びつき、損をしそうだと思えば一斉に逃げ出す。だから、アジア通貨危機などが起きたし、また、今年に入ってからは株価が大きく値を下げたのです。

 だとしたら、資本の流れを規制しろとまでは言いませんが、少なくてもタックスヘイブンに流れる資本の動きを止めること位のことをするのが、先進国の務めではないのでしょうか。

 タックスヘイブンを利用する個々の企業に、それを止めろと言っても止める筈はありません。それで節税が可能であり、国もそれを禁じていないからなのです。

 でも、実態は脱税に近い行為をしていると言ってもいいでしょう。だとしたら、国が禁止するのが当然です。

 



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 米国では、大統領候補指名争いがデッドヒートしてるようです。

 デッドヒートというよりも、中傷合戦?

 だって、トランプ氏の妻のかつてのヌード写真まで披露し、この人がファーストレディーになるのが嫌ならテッド・クルーズに投票することもできます、なんてやっちゃったからです。

 どんなヌード写真なのか?

 お好きですね。

 ネットで検索して下さい。すぐ見つかります。とはいっても、それほど刺激的なものではありません。

 なんか梅宮アンナさんみたいな雰囲気もあります。

 それはそれとして、そんな酷いことをされたトランプ氏は、どう反撃したのでしょうか?

 Lyin' Ted Cruz just used a picture of Melania from a G.Q. shoot in his ad. Be careful, Lyin' Ted, or I will spill the beans on your wife!

「嘘つきテッド・クルーズは、GQ誌からメラニアの写真を切り取って、選挙の宣伝に使った。気をつけろ、嘘つきテッド。さもないと、お前の妻の秘密をばらすぞ!」

 もう、なんと言ったらいいのでしょうか? 

 因みに、分かりにくい英語を説明しておきますと…

 Lyin' は、lying ということですね。それからG.Q. とは、Gentlemen's Quarterly という雑誌です。

 それから、「気を付けないと、お前の妻に豆をまくぞ」などと思ってはいけません。豆をまくのではなく、秘密をばらすぞ、という意味なのです。

 いずれにしても、どんな秘密があるというのでしょう? 

 誰もが知りたくなりますよね。

 なんという高等戦術!

 で、それに対し、クルーズ氏の反論は…

 Pic of your wife not from us. Donald, if you try to attack Heidi, you're more of a coward than I thought.

 お前の妻の写真は、我々が出したものではない。ドナルド、もし、お前がハイジを攻撃するのなら、お前は、思った以上に卑怯者だ!」

 トランプ氏は、また反論します。

 Lyin' Ted Cruz denied that he had anything to do with the G.Q. model photo post of Melania.That's why we call him Lyin' Ted!

 「嘘つきテッド・クルーズは、GQ誌のメラニアのモデル写真は、自分と関係がないと言った。しかし、だから、我々は彼を嘘つきテッドと呼ぶのだ」

 そして、クルーズ氏の妻の写真を利用するのです。

 A picture is worth a thousand words.

 「百聞は一見に如かずだ」

trump



 なんとお粗末な大統領指名候補争いであることか!


 
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 トランプ氏は、中国が人民元の価値を不当に低く抑え輸出競争力を維持していることへの対抗手段として45%の関税を中国製品に掛けることを主張しています。

 まあ、そこには並々ならぬ決意も窺える訳ですが…

 しかし、ねえ…と思わない訳にはいきません。

 というのも、米国は、本当に人民元の価値が上がり、そしてドルの価値が下がることを望んでいるかと言えば、非常に微妙であるからなのです。

 確かに人民元の価値が上がり、そしてドルの価値が下がれば、米国の輸出産業にとっては恵みの雨となるでしょう。しかし、その一方で、米国の消費者たちは輸入品にしろ、国産品にしろ、今までより高い代価を支払うことが余儀なくされるので、国民の生活水準は下がってしまうのです。それにドルの価値が下がり続けるということは、米国に入ってくるお金が減ることを意味し…そうなると、株価には下押し圧力がかかるとともに、米国債の売れ行きは悪くなってしまうのです。

 但し、そうした副作用について十分分かった上で、もうこれ以上貿易赤字を積み上げることは不可能だというのであれば、それなら安いドル政策に舵を取ることも考えられると思います。

 否、もうそろそろ米国は本気で貿易赤字減らしに取り組んだ方がいいのです。

 では、その際、トランプ氏が主張しているように輸入課徴金を課すことがいいのでしょうか?

 しかし、単にドル安に誘導したいというのであれば、もっと穏便で簡単な方法があるのです。

 それはですね…

 世界で一番金の公的保有が多い国をご存知ですか?

 ずばり、それは米国です。

 しかし、世界一の債務国が、世界で一番金を沢山保有しているなんておかしいでしょう?

 私は、仮に米国が金を売りに出せば、簡単にドル安が実現できると思います。

 だって、そうでしょう? 金を売らなければいけないとは、相当に困窮しているのだなという印象を内外に与えることになるからです。

 理屈ではないのです。人々の感情に訴えるのです。

 金の保有が底を衝くことによって、初めて自分たちの国は、世界一の借金国だと気が付くのです。

 ドルの急落が怖いというのであれば、金を少しずつ売りに出せばいいのです。そうすると少しずつドルの価値が下がると思います。

 いずれにしても、ドルの価値が下げて米国の製造業を復活させることが目的なのでしょう?

 でも、米国は、やっぱり金を手放したくないのですよね。万が一のことが起きた時、金を持っていた方が何かと都合がいいと考えているのです。

 しかし、そんな中途半端な態度だから、ドル安にはもっていけないのです。

 米国の国民は、中国製品に輸入課徴金を課すべきかどうかを考えるよりも、先ず、安いドル政策が望ましいと考えるのかどうか、そこのところをよく考える必要があるのではないでしょうか。

 今から45年ほど前、ニクソン大統領は次のようなスピーチをしたのですが、そこにも、安いドルを望むのか、強いドルを望むのかが曖昧な態度が示されているのです。

 In recent weeks, the speculators have been waging an all-out war on the American dollar. The strength of a nation's currency is based on the strength of that nation's economy--and the American economy is by far the strongest in the world. Accordingly, I have directed the Secretary of the Treasury to take the action necessary to defend the dollar against the speculators.

「最近、投機家たちが米ドルに対して全面的な戦争を仕掛けている。国の通貨の強さはその国の経済の強さに基づいている。米国の経済は世界一なのだ。そこで私は、財務長官に対して、ドルを投機家たちから守るべく必要な措置を取るように指示した」

 I have directed Secretary Connally to suspend temporarily the convertibility of the dollar into gold or other reserve assets, except in amounts and conditions determined to be in the interest of monetary stability and in the best interests of the United States.

「コナリー長官に、ドルを金や他の準備資産へ交換することを一時的に停止するように指示した。但し、金融の安定及び米国の利益になると認められる場合において、一定の額と条件を満たす場合は例外とする」

 I am taking one further step to protect the dollar, to improve our balance of payments, and to increase jobs for Americans. As a temporary measure, I am today imposing an additional tax of 10 percent on goods imported into the United States. This is a better solution for international trade than direct controls on the amount of imports.

「ドルを守り、国際収支を改善し、そして国民の職を増やすために、私はさらなる措置を取る。一時的な手段として、本日、米国に輸入される商品に対し10%の追加的税を課す。貿易問題を解決するためには、輸入額を直接コントロールするよりも、この方が優れている」

 This import tax is a temporary action. It isn't directed against any other country. It is an action to make certain that American products will not be at a disadvantage because of unfair exchange rates. When the unfair treatment is ended, the import tax will end as well.

「この輸入課税は一時的なものである。特定の国に対するものではない。不公正な為替レートによって米国製品が不利にならないようにするための措置である。そうした不公正な扱いが終了したとき、この輸入課税も終わりにする」

 As a result of these actions, the product of American labor will be more competitive, and the unfair edge that some of our foreign competition has will be removed. This is a major reason why our trade balance has eroded over the past 15 years.

「こうした措置の結果、米国製品は競争力が向上し、我々の競争相手が保有していた不公正な手段が取り除かれる。これこそが、我が国の国際収支が過去15年に亘って均衡を失ってきた最大の理由である」

 ニクソン大統領は、ドルを守る必要があると言いながら、ドルの価値は不当に高くなっていると主張しています。

 何か矛盾していますよね。

 トランプ氏も、ニクソン大統領と同じような考え方をしていると思われますが、そのような考えから抜け出せないから、いつまで経っても問題が解決しないのです。というよりも、まだ、何が問題か分かっていないのですね。




 輸出競争力を回復するために弱いドルが必要だと言いながら、金は手放したくないというのでは、問題は解決する筈がないと思う方、クリックをお願い致します。
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 大統領候補の指名争いをしているトランプ氏ですが、どう思いますか?

 それにしても、この人、本当に名前負けしているというか、名前どおりと言うか…

 そんなことを言うと、何を言っているのだと文句を言われそうですね。

 だって、名前どおりというのと名前負けというのは正反対だからです。

 でも、トランプ、trump の意味を考えていくと、名前どおりのようでもあり、全く逆のようでもあり…

 先ず、トランプと聞いて、多くの日本人はゲームで使うカードのトランプを思いつくと思うのです。

 で、そのトランプは何を意味するかと言えば…切り札、或いは切り札を出すという意味があるのですが、その他に、立派な人という意味もあるので、名前負けしているのではないかと思うのです。

 まあ、仕事につけない米国の若者たちにとっては、最後の切り札のような意味がない訳ではないでしょうが…

 trumpには他にも意味があります。ラッパ、つまりトランペットを意味する他、ラッパを吹くことも意味します。

 この意味だったら、トランプ氏はまさに名前どおりと言っていいでしょう。

 いずれにしても、もしこのトランプ氏が大統領に就任することになったら、経済面ではどんなことが起こるでしょうか?

 私は、トランプショックが起こるのではないかと勝手に想像しています。

 では、そのトランプショックが何を意味するかと言えば…1971年8月に起こったニクソンショックの再現です。

 若い方はご存知ないかもしれませんが…1971年8月15日、テレビでボナンザ(後のカートライト兄弟)を放映している時間帯に、ニクソン大統領が突然、ドル紙幣の金(ゴールド)との交換を停止するとともに、10%の輸入課徴金を課すと宣言したのです。

 トランプ氏は、常日頃言っているでしょう?

 中国や日本やメキシコは怪しからん、と。自国通貨を安くして米国に輸出攻勢をかけ、その結果、米国の労働者は職を奪われている、と。自分が大統領になったら、そうしたことを改めさせる、と。どうしても言うことを聞かなければ、高い関税をかけてそうした国の製品が入ってこないようにする、と。

 メキシコとの国境に高い壁を建てることより、輸入課徴金を課したり、ドル安政策を取る方がむしろ実行しやすいと思われるのです。

 でも、私がそんなことを言えば、中国やメキシコとの関係は知らないが、日本は貿易収支が赤字に転落しており、円の価値が安すぎるなんて言われる覚えはない、と考える人も多いと思います。

 貴方もそう思いますか?

 グラフをご覧ください。

対米貿易収支


 確かに、対世界全体でみた日本の貿易収支は、5年間連続で赤字になっています。しかし、対米国との関係で見ると、日本の黒字が依然として続いているのです。そして、その黒字幅は、リーマンショック後に一時、縮小したものの再び増加しているのです。

 ということは、ドルとの関係だけで考えると、やはり円は安すぎるのかもしれません。

 もちろん、だからと言って、米国が突然、輸入課徴金を課すようなことは認められないと思うのですが…幾ら日本や中国が文句を言っても、米国が一方的にそのような決定をしたら、どうしようもありません。それに、もっと穏便な方法として、マイナス金利を導入するなどしてドル安に誘導する作戦を取るかもしれません。

 単にマイナス金利を導入するだけだったら、真の目的はドル安誘導にあるにしても、欧州や日本もやっていることだから、文句を言われる筋合いではないと主張する可能性があるのです。

 では、もし、米国がマイナス金利を導入するなどして、急激なドル安を引き起こしたらどうなるのでしょうか?

 日本も、対抗上さらにマイナス金利の幅を大きくするのでしょうか?

 いずれにしても、米国が究極の選択肢として、マイナス金利を導入するならば、誰も米国の国債など購入しなくなり、米国への資金還流が滞ることによって株価も暴落してしまうでしょう。

 仮に、米連銀が、日本のように大量に国債を買い上げるような政策を取れば…

 そうなれば、益々投資家が米国債を敬遠するようになり、米連銀以外で米国債を購入するものはいなくなり…

 そして、そのとき、ドルは基軸通貨としての役割を終えるでしょう。



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 昨日も、国際金融経済分析会合が開催され、クルーグマン教授からヘアリングを行ったと報じられています。

 クルーグマン教授は何といったのか?

 予想されていたことを言っただけなのです。

 「世界経済は弱さが蔓延しているので、各国が財政出動で協調すべき」

 「日本は、長期的には財政状況が心配だが、2-3年は収支を気にせず財政出動をすべき」


 思ったとおりでしょう?

 私、世の中に消費税増税に反対する人が大勢いるのを承知しています。そして、日本は民主主義国家であるので、多数意見によって増税すべきかどうかを決することになってもそれは当然だと考えます。

 つまり、何が何でも増税すべきとは言いません!

 しかし…ですよ。

 クルーグマン教授だって、日本は長期的にみて財政状況が心配だと言っているではありませんか!?

 つまり、いつかは、消費税率の引き上げという形を取らなくても
、何らかの増税が必要だと言っているのです。

 あと2-3年は財政のことなど気にせず財政出動うべきだと言っていますが…仮にそのアドバイスに従って日本が行動したとして、2-3年後、或いはその後に日本経済はどのような状態になっていると言うのでしょうか?

 例えば、世界の主要国が協調して財政出動に出た結果、日本の実質経済成長率が3%とか4%に上がることが考えられるのでしょうか?

 私は、それはあり得ないと思います。というのも、日本は既に人手不足の状態に陥っており、需要が弱いことよりも供給力に問題が発生しているからです。

 それに、過去何度大規模な補正予算を組んだことか? そのような結果、実質経済成長率が飛躍的に伸びたということがありましたか?

 全くありません。

 そもそも何故今、世界経済の足取りが不安定になっているかと言えば…一番の原因は、中国経済の減速にあるのです。

 では、何故中国経済が減速しているかと言えば、リーマンショック後の景気対策として大規模な財政出動を行った結果、様々な産業分野において過剰な設備を作り過ぎてしまったことが背景にあるのです。

 だとしたら、ここで世界の主要国が財政出動しても、結局問題を先送りするだけではないのでしょうか。

 そして、財政出動をするために国債を増発することになれば、益々どこの国も財政事情が悪化し…そして、そうやって財政事情が悪化するので、さらに増税が必要となって消費を抑え込んでしまうのです。

 何の解決策にもなっていないではないですか?

 要するに、財政出動して経済成長率を高めれば、投入した税金が将来の増収によって回収できる筈だというケインズの説明が間違っているというだけのことなのです。

 いずれにしても、もし、先進国が協調して財政出動が必要だとまで言うのであれば、だったら、そもそも米国自身が財政出動すべきですが、それはあり得ないでしょう。それに、利上げなどすべきではないのではないでしょうか?

 クルーグマン教授やスティグリッツ教授は、日本に注文を出す前に、そもそも自国政府やFRBに対して注文すべきです。

 最後に言います。

 今、仮に日本が増税を先送りすべきだとしても、いつなら増税が可能になるのでしょうか?

 どう考えても、原千晶さんの言っていることが、クルーグマン教授の言っていることより懸命に思われるのです。




 


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 お昼のTBSのひるおび!を見ていたのですが…第一生命の永濱氏がとんでもないことを言っていたのでご紹介するとともに、皆様の判断を仰ぎたいと思います。

 安倍総理が、最近、国際金融経済分析会合という名のヒアリングを実施しているのをご存知でしょう? スティグリッツ教授とかを招いて、消費税増税の実施を含め意見を聞いているのです。

 スティグリッツ教授は、増税を行うような時期ではないなんて言っていますよね?

 そして、安倍総理の見解はと言えば…リーマンショックのようなことがない限り、予定通りに増税は実施する、と。

 では、ここで貴方の意見を伺いたいと思うのですが…今、日本及び世界の経済はリーマンショック時のような危機的な状況にあるのでしょうか?

 聞くまでもないですよね。あの時には、リーマンブラザースが破綻したばかりでなく、米国の大手銀行の多くが破綻寸前までに追い詰められ、米国の金融関係者の顔は真っ青になっていたのです。

 そして、輸出は激減。内外を問わず失業者が街に溢れていました。

 今はどうでしょう? 米国の失業率は、ピーク時の約半分にまで低下し、日本は、むしろ人手不足が懸念される有様なのです。株価だって、年明けから暫く軟調に推移していたものの、当時の水準からすれば遥かに高い!

 そんな状況にありながら、永濱氏は、個人消費はリーマンショックの後以上に落ち込んでいると言うのです。だから、消費税増税を延期することはあり得るのだ、と。

 私、唖然としました。

 そんな、バナナ!

 というのも、リーマンショックが起きた後、輸出は急減しましたが、個人消費はそれほど落ち込むことはなかったことを知っているからです。

 個人消費というものは、そういうものなのです。だって、毎日の生活に必要なものは買わずにはいられないからです。つまり、個人消費の動向は、景気に左右されにくいのです。

 にも、かかわらず、個人消費は消費税率8%への引き上げによって大きく落ち込んでしまったと。

 では、何故そのようなことを永濱氏は言うのでしょうか?

 グラフをご覧ください。

 個人消費の推移(実質)

 個人消費の推移を示しています。これと全く同じものではなかったのですが、いずれにしても、このようなグラフを示して、個人消費はリーマンショックのときよりも落ちていると言うのです。

 リーマンショックが起きる前の2008年4-6月期の個人消費は294.5兆円である一方、2009年1-3月期は287.6兆円となっているので、6.9兆円減少したことになるが、消費税率の8%への引き上げによって、個人消費は、2014年4-6月の321.8兆円から305.8兆円と大きく落ち込んでいる。駆け込み需要の影響を除くために2013年10-12月の314.7兆円と比べても、8.9兆円減少している。つまり、減少額は、消費税増税後の方が大きく、その後も回復していない、と。

 しかし、この説明はミスリーディングなのです。

 何故かと言えば、これは実質ベースの個人消費を示したもので、実際に国民が支出したお金はこんなに大きく減少してはいないからです。

 もう一つのグラフをご覧ください。

個人消費の推移(名目)


 こちらは名目の個人消費の推移を示したものです。

 名目の個人消費で比べてみると、リーマンショックの前後では、2008年7-9月の292.9兆円から2009年1-3月期には280.9兆円へと12兆円ほど減少しているのに、消費税増税前後では、2013年10-12月期の295.1兆円から2014年4-6月期の292.1兆円へと3兆円減少しているのに過ぎないのです(2014年1-3月期は駆け込み需要が含まれているため参考になりません)。

 永濱氏は、実質ベースの個人消費を問題にしている訳ですが、消費税率が3ポイント引き上げられ、それによって物価を2%ほど引き上げる効果があったと言われている訳ですから、実質消費が2%ほど減少するのは当たり前のことであり、当然予想されていたことなのです。

 これで、永濱氏の主張が説得力を持たないことがご理解頂けたかと思います。

 なお、ひるおび!に出演していた原千晶さんは、「私も主婦だから増税は嫌ですけど、今、増税を実施できないとなると、いつできるのでしょう?」と疑問を呈していました。

 まさに正論です!

 原千晶さんの方が、ノーベル賞受賞者のスティグリッツ教授や永濱氏よりも遥かに賢明ではないかと思います。


 
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