原油価格がまたしても、100ドル台に乗せてきました。

 理由はいろいろあるようです。

 ナイジェリアの政情不安、テキサス州の石油精製設備の火災、ドル安
それにOPECの減産見通しです。


 まあ、ドル安は今に始まったことではないのですが、更なるドル金利
の引き下げもみこまれることから、今後インフレ懸念が強まり、そうなる
とインフレに強い運用体制にしておくことが望まれるということで、金や
原油などが運用対象としての魅力が増しているからだといいます。

 そういえば、今年の初めに原油が100ドル台に乗せたとき、今年1年
の大雑把な見通しを立ててみました。(関心がおありであれば、今年1
月初めの記事を読んで見て下さい)

 サブプライム問題、経済の減速懸念
   ↓↓↓
 金利の引き下げ
   ↓↓↓
   ドル安
   ↓↓↓
 原油や金などの高騰


 以上のような単純な図式でしたが、幸か不幸か、今のところ、だいた
い見通しどおりに進んでいるようです。

 


 で、それはそうと、今回の原油価格高騰の理由の一つに、OPECの減
産見通しというのがあります。

 なんでも、3月5日にOPEC総会が開かれるそうですが、そこで減産方
針が打ち出されるのではないかということが噂されているというので
す。


 このニュースを聞いて、皆さんどう思いますか?

 なんてこった、と頭を抱えるでしょうか。


 でも、少しばかり違った角度から考える小生(ひねくれ者と思う人もい
ます)は、この際、OPECを褒めてあげたい。それだけでなく、原油の減
産を計画的に将来に渡って行うのであれば、ノーベル平和賞を100個ま
とめてあげてもいいくらいだと思います。

 「どういうこと?」

 つまりですね、OPECが原油を減産すると、アメリカがどう言おうと、ま
た、中国がどれだけ石油を使いたいと思っても、二酸化炭素の排出量
を制限することができるからです。

 ねえ、いいと思いません?

 「でも、石油の値段が上がるよ」

 しかし、石油の値段が上がるから、代替エネルギーの開発が進むの
です。というか、高い石油に頼ることができないとなれば、他の手段を
探すしかなくなるでしょ。

 「そんなこといたって、生活が苦しくなるじゃないの」

 それならそれで、個別の対策を立てればいいことです。寒冷地の貧し
い家庭には、政府が燃料代の補助金を出すとか。

 いずれにしても、皆さん、地球温暖化は阻止しないといけないと思って
いるでしょ?

 もし、「そんなの関係ない」というのであれば、そこで話は終わりです。


 でも、「なんとかしないとね」とか、「どげんかせんと‥」とか、
"We have to do something"と思うのであれば、何らかの対策を
立てないといけないということです。

 しかし、今の政府のやっていることを見るととても心もとない。

 やっと経団連が排出権取引を認めようか‥、という程度の牛歩の歩
みです。

 でも、排出権取引を認めても、全ての国がどれだけ義務を負うのかの
かということについて合意できなければ、所詮不完全な対策でしかあり
得ないのです。


 
 中国やインドなどが二酸化炭素の排出量を制限してもいいよと、言う
と思いますか?

 Noです。

 一方、アメリカは、「中国などが参加しない枠組みは意味がない」とき
っぱり言っています。

 となると、幾らヨーロッパや日本が排出権取引を行ったところで、ヨー
ロッパや日本の企業が排出する二酸化炭素の量は抑えることができて
も、世界全体の二酸化炭素の排出量をコントロールすることは不可能
なのです。

 


 でも、でも、でも‥

 もし、OPECが、減産をしてくれたらどうなりますか。

 例えば、今後毎年1%、或いは2%ずつ前年に比べ減産していくと決
めたら‥

 そうすると、少なくともOPEC産出分の石油の消費量は確実に減るこ
とになりますので、中国がどんなに石油を使いたいと思っても、そこには
自ずから上限が課せられ、従って、二酸化炭素の排出も制限されること
になるのです。

 もう、「中国が参加しない枠組みなど意味がない」というアメリカのロジ
ックは成り立たなくなります。

 日本が幾ら減らすとか、EUが幾ら減らすとか、アメリカが幾ら減らすと
か、中国が幾ら減らすとかという交渉は、必要がなくなります。

 各国は、少しでも多く原油を確保したいのであれば、その限られた原
油に対し高いお金を払うだけのことになります。

 どうです、これ、いいシステムでしょ。


 「でも、原油を生産しているのは、OPECだけではないよ」

 それはそのとおり。

 でも、あのOPECが地球温暖化を食い止めるために、自らの犠牲を省
みず減産をしているという姿を世界に見せれば、他の産出国も追随せ
ざるを得ないことになるのではないでしょうか。

 そうでもしないと非難の嵐です。


 でも、現実は、どうかといえば、先進国側は、OPECに増産を呼びかけ
るという情けない姿です。

 どうです、プライムミニスター・福田、洞爺湖サミットにOPECを呼んで、
このアイデアをぶつけてみたら‥。



 なんか、原油とドルの話が、いつもの石油・石炭産出権取引の話に
及んでしまいましたが、話を少し戻しましょう。


 米国の経済が減速し、それが金利を低下させ、そして、それがドル安
を招くという構図でしたが、本日の日経の「再考・基軸通貨 ドルの行
方」では、エコノミストの水野和夫さんが、書いています。

 見出しは次のようになっています。

 「ユーロと二極並存大勢に」

 「資本主義変質映す」

 「強いドル政策の限界露呈」


 水野さんの主張は、極めて明快です。

 資本と国家が一体だったかつての資本主義は、1990年代半ばに資本
が国家を超越するグローバル資本主義に変容した。そして、米国は「強
いドル」政策で乗り切ろうとしたが、限界が来たと。

 
 1995年にルービン財務長官は「強いドルは国益だ」と述べました。

 これによって、

 経常赤字の増大
  ↓
 ドル安
  ↓
 資本流出
  ↓
 金利引き上げの必要性
  ↓
 低成長


 という図式を逆転する必要があったのです。


 経常収支の赤字
  ↓
 「強いドル」政策
  ↓
 資本流入
  ↓
 高成長


 とまあ、以上のような都合のいいシナリオを描いたということでしょう
か。

 でも、超低金利政策をとる日本からの円を含め、世界中のマネーがア
メリカに集まった結果、バブルが発生してしまったのでしたね。今回の
住宅バブルもそうですし、原油先物価格の高騰もそうでしょう。

 それに水野氏によれば、2000年9月のインテルショックが大きな契機
になったというようにあります。

 インテルショックとは何か?

 米インテルの欧州子会社の利益が当時のユーロ安のために、ドル建
てに換算すると予想を下回ることとなり、それを嫌気して同社の株が1
日で22%も下がってしまった。

 この時点で、米企業にとってはもはや強いドルは不要になってしまっ
たのだと。

 まあ、企業だけでなく、政府の言動にもドル安を容認する姿勢が垣間
見られます。

 「強いドルは国益」とは言いつつも、「為替レートは市場が決める」もの
と言い、そして、最近のドル安によって米国の輸出が増加に転じてこと
にしばしばブッシュ大統領も言及しているからです。

 ということで、急激なドル安は困るが、マイルドなドル安は容認すると
いうのがアメリカの本音になってきているのではないでしょうか。


 でも、今後もドル安が続くということは、米国の地位の衰えを示すもの
であることなのですが、それも認めるということになるのでしょうか。

 米国が変身しつつあるようです。



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