政界の方では、組閣が注目されていますが、はっきりいってどうでもい
いことです。

 総理と、その内閣の代弁者である官房長官が同じ顔ぶれでは、全く
新鮮味が感じられないからです。

 ところで、その組閣は、二人の閣僚のお仕事のために遅らされてきま
した。

 その二人とは誰のことか?

 二人は、どこで何をしていたのか?

 
 経済ニュースゼミを読むような知的レベルの高い人なら、彼らが何を
やっていたかは、ご存知ですよね?

 「知らないよ」

 えっ、本当に知らないのですか?

 農水大臣と経産大臣です。WTOの交渉、やっていたでしょ?

 「ああ、WTOの交渉ね」


 よかった、思い出して頂きましたね。

 で、この二人が参加していたWTOの交渉は決裂してしまいました。


 「へー、そうなの。決裂?」


 はい、交渉は結局決裂。

 ここで、皆様に、質問したいと思います。

 WTOの交渉決裂をどう思いますか?


 決裂という言葉からは、どうしてもマイナスイメージが漂ってしまいま
す。

 多くの国が失望しているようです。

 日経新聞などは、社説で「保護主義という名の亡霊が息を吹き返そう
としている」などと、センセーショナルな表現を使用しています。


 でも、本音でいうと、取り敢えずホッとしている人々がいるもの事実な
のですよね。

 「誰、それ?」

 農業関係者です。

 関税の大幅削減が先送りされ、しばらく猶予期間が与えられたような
ものですから。

 「じゃあ、決裂になって失望した人とホッとした人がいるということね」

 そうなのですね。

 失望した人と、ホッとした人がいます。

 「でも、どうして決裂しちゃったの?」


 最大の理由は、インドが農産物の特別セーフガードの発動条件を緩
和するように固執したからだとか。

 セーフガードとは、緊急輸入制限のことで、海外から特定品目の輸入
が急増したときに、国内の農業を守るためにとる緊急の輸入制限のこ
とです。


 で、アメリカ側からすれば、そのような例外措置が幅広く認められるよ
うになると、何のための自由化なのかということになり、認めることがで
きなかったのです。

 つまり、農産物を輸出する側のアメリカと、今や輸入国になったインド
や中国との間で、話し合いがまとまらなかったことが決裂の大きな原因
なのです。

 「インドや中国が悪いの?」

 そうとも言えません。

 アメリカは、常々、保護主義の台頭を許してはいけないと言います。

 先に紹介した日経の社説も同じようなものですね。

 でも、アメリカは、莫大な補助金をアメリカの農家に与えているので
す。だから、アメリカの農産物は価格競争力を有しているということがで
きるのです。

 零細な農家に対する補助金とは訳が違います。年収が何千万円もあ
るような農家が補助金を受け取っているのです。

 ですから、アメリカ以外の農産国からすれば、アメリカの態度は、大変
アンフェアーに映るのです。

 アメリカが、農業補助金など1セントも農家に与えていないのであれ
ば、もう少しアメリカの主張は説得力を持つでしょう。しかし、補助金でし
っかり農家を保護しながら、他国に対して、関税を下げろというのです
から、「いい加減にしてくれよ」と思う国が多いのではないでしょうか。

 それに、自由貿易を促進することが世界経済の発展にとって必要なこ
とであるとしても、農業分野はある程度、例外扱いされるべきだと、多く
の国が考えているのです。

 ヨーロッパの国々は、いろいろな方策で自国の農業を保護し、自給率
を高める努力をしていますし、あのアメリカのブッシュ大統領でさえ、食
糧の多くを輸入に頼ることなど、安全保障の観点から考えられないとま
で言っているわけですから。


 でも、そのブッシュ大統領は、繰り返しますが、保護主義の台頭を許
すべきではないというのですね。

 これ、要するに、自国に有り余るほどの農産物を生産する力があるか
ら、そんなことを言っているだけの話なのです。

 
 そんなことを考えると、インドなどが、セーフガードの発動条件を緩和
してくれといっても、それほど贅沢な要求とは思えないのです。

 それに考えてみて下さい。

 インドは、まだまだ貧乏な国なのですから、そのインドとアメリカが本
気でケンカするなんてみっともないことです。

 もう少し、大国の余裕を見せるべきではなかったのでしょうか。



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