皆さん、菅・林の乗数論争というのをご存知ですか?

 私は、うっかりしていて昨夜まで知りませんでした。どうして、も
っと早く教えてくれなかったのか、と言いたい。

 菅というのは、当然菅財務相のことであり、そして、林というの
は、自民党の林議員のことです。


<国会の質疑の再現 但し、簡略化しています>
 
 菅:1兆円出して1兆円しか効果がないようやり方をしてきて、経
   済の低迷を招いた。

 林:乗数効果のことを言っていると思うが、公共事業は乗数効
   果は、最低1ある。では、子ども手当の乗数効果はどれだけ
   あるのか?

 菅:1兆円出して、1兆円の効果しかないのは事実上効果はゼ
   ロだ。

 林:私の質問は、子ども手当の乗数効果をどのくらいとみてい
   るか、ということだ。

 長妻:民間最終消費支出を1兆円程度押し上げる。実質GDPを
     0.2%ほど引き上げる。

 林:消費の効果を言ったので、使う額でその額を割ったら乗数
   が算出できる。

 仙谷:子ども手当の乗数効果は、計算していない。ただ、1以上
     であることは間違いない。幼保一体化などをすれば、
     1.3、1.5以上にもなる。

 菅:概ね0.7程度の消費性向。給付金は0.3。

 林:消費性向と乗数効果の違いについて述べて欲しい。

 菅:乗数効果の詳細な計算はしていない。

 林:消費性向は説明してもらった。消費性向と乗数効果の関係
   を説明してほしい。1兆円の財政支出して1.3兆円の効果が
   あれば、消費性向は1.3ということか。

 菅:例えば、1兆円支給されて半分が消費されれば、消費性向
   は0.5。

 林:給付をする政策については、消費性向が半分ということは、
   残りが貯蓄される訳だから、限りなく乗数効果と同じ概念に
   なると私は理解する。それなら、0.7と言うことは1を切って
   いるので、消費性向は1より低いことを認めているので、1を
   下回るものをドーンと増やして、1以上あるものを切れば、経
   済効果は、同じ財源をつかうのであれば、マイナスになる、
   これは中学校位の数学で分かることだ。

 菅:給付については、100%使われた時に100%だから、1以
   上になり得ない。給付については、1を超えることはない。1
   より低いことは確か。ただ、別の効果がある。日本の活力を
   失っていることに対する改革の道筋になっている。
   
 林:これ以上続けると市場が暗くなるとよくない。


 さあ、この二人の質疑はどうしてかみ合わかなったのでしょう
か? 
菅さんの基礎知識が不足していたから?

 それもあるでしょう。しかし、林議員も誤解をしているのです。た
だ、菅さんは、林議員のことを買いかぶり過ぎていて、林議員が
誤解をしていることが分かっていない。だから、より一層、議論を
混乱させているのです。

 いずれにしても、この2人が議論しているときの、回りの反応が
気になりました。というのは、二人が勘違いをした発言をしている
ときに、誰も驚きの反応を示す人がいないということです。という
ことは、よく分かっていない人が大半ではないか、と。

 
 本当は、こんなやり取りをして欲しかった。

<望ましいやりとり>

 菅:1兆円出して1兆円しか効果がないようやり方をしてきて、経
   済の低迷を招いた。

 林:乗数効果のことを言っていると思うが、公共事業は乗数効
   果は、最低1ある。では、子ども手当の乗数効果はどれだけ
   あるのか?

 菅:1兆円出して、1兆円の効果しかないのは事実上効果はゼ
   ロだ。


 先ず、菅さんが子ども手当の乗数効果について答えられないの
が問題ですね。で、知らないなら知らないで率直にそう言えばよ
かった。或いは、今時ケインズの乗数効果などを論じることこそ
時代遅れだ、とか。


 林:私の質問は、子ども手当の乗数効果をどのくらいとみてい
   るか、ということだ。

 長妻:民間最終消費支出を1兆円程度押し上げる。実質GDPを
     0.2%ほど引き上げる。


 この長妻さんの発言も、乗数効果の意味を分かっていての発言
とは思えません。つまり、誰かが用意した答弁のままです。


 林:消費の効果を言ったので、使う額でその額を割ったら乗数
   が算出できる。

 仙谷:子ども手当の乗数効果は、計算していない。ただ、1以上
     であることは間違いない。幼保一体化などをすれば、
     1.3、1.5以上にもなる。


 仙谷さんも逃げていますね。逃げている以上に誤解をしてい
る。1以上であるというのは間違い。というのは、1兆円支給され
ても、全てが貯蓄に回れば効果はゼロだから、乗数効果はゼロ
となるのです。


 菅:概ね0.7程度の消費性向。給付金は、0.3だった。

 この菅さんの答弁は、問題なし。


 林:消費性向と乗数効果の違いについて述べて欲しい。

 菅:乗数効果の詳細な計算はしていない。


 この菅さんの答弁は逃げている。消費性向と乗数の関係につ
いて正確に説明することはできない、と言うべき。


 林:消費性向は説明してもらった。消費性向と乗数効果の関係
   を説明してほしい。1兆円の財政支出して1.3兆円の効果が
   あれば、消費性向は1.3ということか。

 この辺から、林さんも誤解していることが推測される。


 菅:例えば、1兆円支給されて半分が消費されれば、消費性向
   は0.5。

 この菅さんの答弁は、問題なし。


 林:給付をする政策については、消費性向が半分ということは、
   残りが貯蓄される訳だから、限りなく乗数効果と同じ概念に
   なると私は理解する。それなら、0.7と言うことは1を切って
   いるので、0消費性向は1より低いことを認めているので、1
   を下回るものをドーンと増やして、1以上あるものを切れば、
   経済効果は、同じ財源をつかうのであれば、マイナスにな
   る、これは中学校位の数学で分かることだ。

 ここで林さんの誤解が判明。消費性向と乗数効果が限りなく同
じ概念になるというのは意味不明。林さんは、消費性向が0.7で
あれば、普通の計算をすれば乗数は、1÷(1-0.7)=3.33
になることを説明すべきであった。そして、そのうえで、子ども手
当などの給付の場合には公共事業などと異なり、最初の財政支
出分が単なる所得の移転にすぎないから、その場合、3.33の効
果ではなく、そこから1を引いた2.33の効果しかないと言うべきで
あった。

 要するに林さんも誤解していて、消費性向が0.7であることを乗
数が0.7であることと混同している。

 菅:給付については、100%使われた時に100%だから、1以
   上になり得ない。給付については、1を超えることはない。1
   より低いことは確か。ただ、別の効果がある。日本の活力を
   失っていることに対する改革の道筋になっている。

 ここでも菅さんの認識不足が判明。消費性向は通常1未満にな
る。しかしだからといって、乗数が1より低いなどということはな
い。例えば、消費性向が0.9の場合には、乗数は10となるわけ
であるから。

 菅さんは、そこまでの説明をしたうえで、でも、そうした乗数効
果というのは机上の議論であり、ケインズ自身も、乗数はせいぜ
い2〜3程度にしかならないことを認めていたと主張するべきであ
った。

   
 林:これ以上続けると市場が暗くなるとよくない。


 テレビがこの議論を余り取り上げないのは、このやり取りを分か
りやすく説明できる自信がなかったからでしょう。また、そんなこと
を説明しても、きっと分かってもらえない、つまり視聴率も稼げな
い、と。


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