貴方は、朝鮮労働党39号室をご存知だろうか? 英語では、Office 39と呼ばれているらしい。

 何でも北朝鮮の外貨獲得機関であり、麻薬の密売や武器の売却、或いは通貨偽造などによって外貨を獲得しているらしい。北朝鮮の権力者にとっては、まさにサンキュウと言うべき機関なのである。

 はっきり言って私は、この類の情報には疎い。Office 39なんていう言い方も初めて知った。

 では、何故こんな機関が存在するのか? だって、偽ドルを作ることができるのであれば、わざわざ苦労して外貨を稼がなくても‥でも、偽ドルは、すぐに偽札であることがばれてしまうために、どうしても正真正銘のドル或いは円、或いはユーロなどを稼ぐ必要があるのだ。

 では、何故外貨が必要なのか?

 北朝鮮の権力者は、ドル札を眺めてニンマリするのが好きなのか? そうではない。そのドルで好きなものを買いたいからに他ならない。つまり、北朝鮮の生産能力が限られているから外貨が必要なのである。もし、北朝鮮が、車でも、パソコンでも、携帯電話でも、或いはワインでも自由に生産する能力を有しておれば、仮に外貨の保有高が限られていても困ることはない。

 しかし、北朝鮮の生産能力は極めて貧弱なのである。松茸とかアサリは獲れるかもしれないが、現代人の生活にとって必要な自動車やパソコンを作る力はないのである。

 しかし、北朝鮮のエリート階級も同じ人間。他の国の人々が保有しているものは、やはり自分たちも使ってみたい。車も欲しい、パソコンも欲しい。高級なワインも飲んでみたい。だから、どうしても外貨が欲しくなる。

 で、北朝鮮に核開発を止めさせたいと願っている米国としては、そこのところに狙いを定めることになる。北朝鮮の支配階級が欲しがる物が手に入れられないようにすれば、北朝鮮も折れるのではないのか、と。つまり、北朝鮮に対する贅沢品の輸出を禁止することによって、北朝鮮が核開発を止めるように仕向ける作戦なのである。

 では、その作戦は成功しつつあるのか? その答えが、ウォールストリートジャーナルに掲載されている。

 何でも北朝鮮に対する贅沢品の輸出は、ここ数年増えているのだとか。

 自動車の輸出額は、2010年で3000万ドル強。エアコンの輸出額は、同じく約600万ドル。これは前年比倍増である。パソコンは700万ドル弱。これは前年比5割増し程度。そして携帯電話は、約3500万ドルであり、前年の7倍程度になっている。

 国連決議で北朝鮮へ制裁を課しているのに何故?

 なんでも、贅沢品の解釈を、各国の判断に委ねているからなのだとか。つまり、輸出している国の考えでは、そうした製品は贅沢品に該当しないのだ、と。

 では、どこの国が北朝鮮へそうした製品を輸出しているのかと言えば‥言わなくてもお分かりであろう。北朝鮮と国境を接し、北朝鮮からの難民流入を恐れている国である。

 本当に酷いではないか? アメリカは、中国が北朝鮮に対し贅沢品を輸出している事実を知りながら何も言うことがなく、その一方では、日本が、拉致被害者の救済のために北朝鮮に接することには、厳しく釘を刺す、と。

 まあ、でも、モノは考えよう。そうして中国から大量のパソコンや携帯電話が北朝鮮に持ち込まれることによって、北朝鮮の国民は海外の事情に精通するようになって、むしろ現体制の崩壊を早める一助にもなるのではないかとの見方もできるのだ、と。

 但し、そういった考え方は、決して中国の考え方ではないだ。何故ならば、現体制の崩壊が進むようなきっかけを中国が作るはずがないからだ。

 もう一度、北朝鮮への輸出状況を詳しくみてみると(ウォールストリートジャーナルの情報だが)‥

 2010年に、北朝鮮は14台のカラースクリーンをオランダから輸入した。チリやフランス、南アフリカなどから5万本のワインを輸入した。中国から3559台のビデオゲームを輸入した。中国から3191台の車を輸入した。中国から433,183台の携帯電話を輸入した。北朝鮮の携帯加入者は、約80万人になっている。


 いずれにしても、米国と中国がもっと腹を割って話すことをしなければ、北朝鮮の問題が解決することはなく、拉致問題の解決も期待薄なのである。

 我が国が中国の顔色を伺いながら、そして同時にアメリカの意向に逆らわないようにして拉致問題を解決するのは至難の技なのである。




  
 それにしても、中国がそんなに北朝鮮に輸出してたのでは、制裁措置も意味ないじゃん、と思う方、クリックをお願い致します。
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