皆さん、G7が緊急声明を発表したのをご存知でしょうか?
ネット上では「石油備蓄放出を要請も G7声明」なんて報じれらているのです。
それにしても、国内では野田総理の問責決議が行われようとしていたときなのに、財務大臣はG7の会議に出席していたのか‥なんて思っていると、何とこれは緊急声明なのだとか。
つまり、言ってみれば持ち回り閣議みたいなもので‥即ち、電話で関係者が内容を確認して、そして声明を発表したと思われるのです。或いは、電話で話すこともなく、部下が代わりに話をしただけかもしれないのです。
いずれにしても、緊急で声明を発表するほど事態が緊迫しているのか、とも思ってしまうのです。
何故かと言えば、我が国ではそんなことなど一言も報じられていなかったからです。敢て言えば、アメリカではアイザックというハリケーンが近づき‥と。
とにかく、G7の緊急声明では、具体的にどんなことを言っているのか、そして、その狙いは何なのかを知りたくてネットで検索していると、財務省の「G7大臣声明(8月29日)」にアクセスすることができたのです。
何ごとも事実を確認することが大事。この場合には、緊急声明の原文を確認することが大事。
先ずは、財務省の仮訳を読んでみて下さい。
我々は、引き続き、世界経済に対するリスクに警戒している。この文脈において、高い石油価格がもたらす著しいリスクに留意して、我々は、石油市場の状況を注視している。足元における石油価格の上昇は、地政学的な懸念や一定の供給の途絶を反映したものである。我々は、産油国に対し、余剰生産能力を慎重に利用しつつ、需要を満たすように生産量を増大させるよう促すとともに、ロスカボスにおいてサウジアラビアが、必要な場合には、十分な供給を確保するために、既存の余剰生産能力を動員するとコミットしたことを歓迎する。我々は、国際エネルギー機関(IEA)に対し、市場に対して石油が十分かつ適時に供給されるよう適切な行動を取ることを要請する用意がある。我々は、引き続き、適切に機能し透明性の高いエネルギー市場にコミットしている。
さあ、如何でしょうか?
G7が何を言いたいかお分かりになったでしょうか?
「石油備蓄の放出を要請したと思ったけど、IEAに適切な行動を取ることを要請する用意があると言っているだけじゃないの」
そうなのです。まだ、実際にIEAに要請した訳ではないのだ、と。
そして、IEAは、その要請に対してどう考えているかと言えば、石油の価格が上がっているだけの理由では備蓄を放出するのは認められない、と。
「それにしても、分かりにくい日本語ね」
そうなのです。英語のできる人なら、原文を読んだ方が早いとも思えるのですが、英語ができないと、どうしても訳文に頼らざるを得ず、そして訳文というのは、どうしても分かりにくくなってしまうのです。
何故、もっと分かり易い日本語にならないのでしょうか?
それは、大胆に分かり易く訳すこともあり得る訳ですが、そうなると今度は、それは正確な訳ではないとクレームがつく恐れがあり、結局、訳の分からないままに終わってしまうのです。
そして、大臣にしても、副大臣にしても、そしてまた新聞記者にしても、この訳はどういう意味なのかという質問をしたくても、そんな質問をすると官僚にばかりされそうなので‥分かった顔をする、と。
では、この際、訳文を徹底的に検討してみましょう。
We remain vigilant of the risks to the global economy.
「我々は、引き続き、世界経済に対するリスクに警戒している」
いきなり、「我々は‥世界経済に対するリスクに警戒している」ときました。意味するところは分からないではないのですが、なんとなく日本語としては不自然でしょう。「世界経済に対するリスク」ではなく、「世界経済のもろもろのリスク」と言った方が分かり易いでしょう。
In this context and mindful of the substantial risks posed by elevated oil prices, we are monitoring the situation in oil markets closely.
「この文脈において、高い石油価格がもたらす著しいリスクに留意して、我々は、石油市場の状況を注視している」
この文章は、「この文脈において、高い石油価格がもたらす著しいリスクに留意して〜」という箇所が分かりにくい。
「この意味で、そしてまた、石油価格の高騰による重大なリスクに留意しつつ」とでも訳したら如何でしょう。
The current rise in oil prices reflects geopolitical concerns and certain supply disruptions.
「足元における石油価格の上昇は、地政学的な懸念や一定の供給の途絶を反映したものである」
この文章は、「一定の供給の途絶」ということの意味が大変分かりにくい。これは何を意味するのか?
ここは、「ある供給面の混乱」と理解したら如何でしょう。つまり、アイザックによる原油生産への影響を意味しているのでしょう。
We encourage oil-producing countries to increase their output to meet demand, while drawing prudently on excess capacity, and welcome Saudi Arabia’s commitment in Los Cabos to mobilize, as necessary, existing spare capacity to ensure adequate supply.
「我々は、産油国に対し、余剰生産能力を慎重に利用しつつ、需要を満たすように生産量を増大させるよう促すとともに、ロスカボスにおいてサウジアラビアが、必要な場合には、十分な供給を確保するために、既存の余剰生産能力を動員するとコミットしたことを歓迎する。」
「余剰生産能力を慎重に利用しつつ」という意味が分かりづらいです。産油国にもっと生産量を増やして欲しいとお願いする一方で、「慎重に利用しつつ」とは? 余剰能力があるのであれば、積極的に
それを利用して、とでも言いたいところですから。「慎重に」というからには、何か副作用を恐れているのでしょうか? prudently は、ここでは「賢く」と訳せばいいのではないでしょうか?つまり、「余剰生産能力を賢く利用して」と。
We stand ready to call upon the International Energy Agency to take appropriate action to ensure that the market is fully and timely supplied.
「我々は、国際エネルギー機関(IEA)に対し、市場に対して石油が十分かつ適時に供給されるよう適切な行動を取ることを要請する用意がある」
意味は十分伝わるのですが、こなれた日本語にするならば、「市場に対して石油が十分かつ適時に供給されるよう」というのではなく、「市場に石油が十分かつタイムリーに供給されるように」と訳したらどうでしょう?
We remain committed to well-functioning and transparent energy markets.
「我々は、引き続き、適切に機能し透明性の高いエネルギー市場にコミットしている」
この文章は、翻訳文の典型でしょう。官僚はどういう訳か、commitをコミットとしか訳さないのです。そして、一般の方は、その言い方がどうも分かりづらいと。多分多くの人がこの文章の意味を理解できないでしょう。
ここは、「エネルギー市場が十分機能することと透明性を保つことを信奉している」と訳した方がましでしょう。
ということで、全体を改訳すると‥
「我々は、引き続き世界経済の諸々のリスクを警戒している。この意味で、そしてまた、石油価格の高騰による重大なリスクに留意しつつ、石油市場の状況を注意深く監視している。現下の石油価格の上昇は、地政学的な懸念と供給面の混乱を反映している。我々は、産油国が余剰生産能力を賢く利用しつつ、需要に応ずることができるように生産量を増大させることを促すとともに、サウジアラビアがロスカボスにおいて、十分な供給量を確保するよう、必要に応じ既存の余剰生産能力を動員すると言明したことを歓迎する。我々は、国際エネルギー機関(IEA)に対し、市場に石油が十分かつタイムリーに供給されるように適切な行動を取ることを要請する用意がある。我々は、エネルギー市場が十分機能することと透明性を保つことを、これまでどおり信奉している。」
さあ、如何でしょう。
私の改訳が正確だという保証はありませんが、それでも随分分かり易くなったと思うのです。これなら米国が何を言いたかったのか、よく分かると大臣たちも思うのではないでしょうか。
いずれにしても、こうして緊急声明まで出して、石油価格の高騰を封じ込めようとしたアメリカなのですが、やっぱりここでも選挙が近づいているということが影響しているのでしょう。
イラン制裁なんてやったから石油価格の高騰を招いた面もあるのに‥と思った方、クリックをお願い致します。
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ネット上では「石油備蓄放出を要請も G7声明」なんて報じれらているのです。
それにしても、国内では野田総理の問責決議が行われようとしていたときなのに、財務大臣はG7の会議に出席していたのか‥なんて思っていると、何とこれは緊急声明なのだとか。
つまり、言ってみれば持ち回り閣議みたいなもので‥即ち、電話で関係者が内容を確認して、そして声明を発表したと思われるのです。或いは、電話で話すこともなく、部下が代わりに話をしただけかもしれないのです。
いずれにしても、緊急で声明を発表するほど事態が緊迫しているのか、とも思ってしまうのです。
何故かと言えば、我が国ではそんなことなど一言も報じられていなかったからです。敢て言えば、アメリカではアイザックというハリケーンが近づき‥と。
とにかく、G7の緊急声明では、具体的にどんなことを言っているのか、そして、その狙いは何なのかを知りたくてネットで検索していると、財務省の「G7大臣声明(8月29日)」にアクセスすることができたのです。
何ごとも事実を確認することが大事。この場合には、緊急声明の原文を確認することが大事。
先ずは、財務省の仮訳を読んでみて下さい。
我々は、引き続き、世界経済に対するリスクに警戒している。この文脈において、高い石油価格がもたらす著しいリスクに留意して、我々は、石油市場の状況を注視している。足元における石油価格の上昇は、地政学的な懸念や一定の供給の途絶を反映したものである。我々は、産油国に対し、余剰生産能力を慎重に利用しつつ、需要を満たすように生産量を増大させるよう促すとともに、ロスカボスにおいてサウジアラビアが、必要な場合には、十分な供給を確保するために、既存の余剰生産能力を動員するとコミットしたことを歓迎する。我々は、国際エネルギー機関(IEA)に対し、市場に対して石油が十分かつ適時に供給されるよう適切な行動を取ることを要請する用意がある。我々は、引き続き、適切に機能し透明性の高いエネルギー市場にコミットしている。
さあ、如何でしょうか?
G7が何を言いたいかお分かりになったでしょうか?
「石油備蓄の放出を要請したと思ったけど、IEAに適切な行動を取ることを要請する用意があると言っているだけじゃないの」
そうなのです。まだ、実際にIEAに要請した訳ではないのだ、と。
そして、IEAは、その要請に対してどう考えているかと言えば、石油の価格が上がっているだけの理由では備蓄を放出するのは認められない、と。
「それにしても、分かりにくい日本語ね」
そうなのです。英語のできる人なら、原文を読んだ方が早いとも思えるのですが、英語ができないと、どうしても訳文に頼らざるを得ず、そして訳文というのは、どうしても分かりにくくなってしまうのです。
何故、もっと分かり易い日本語にならないのでしょうか?
それは、大胆に分かり易く訳すこともあり得る訳ですが、そうなると今度は、それは正確な訳ではないとクレームがつく恐れがあり、結局、訳の分からないままに終わってしまうのです。
そして、大臣にしても、副大臣にしても、そしてまた新聞記者にしても、この訳はどういう意味なのかという質問をしたくても、そんな質問をすると官僚にばかりされそうなので‥分かった顔をする、と。
では、この際、訳文を徹底的に検討してみましょう。
We remain vigilant of the risks to the global economy.
「我々は、引き続き、世界経済に対するリスクに警戒している」
いきなり、「我々は‥世界経済に対するリスクに警戒している」ときました。意味するところは分からないではないのですが、なんとなく日本語としては不自然でしょう。「世界経済に対するリスク」ではなく、「世界経済のもろもろのリスク」と言った方が分かり易いでしょう。
In this context and mindful of the substantial risks posed by elevated oil prices, we are monitoring the situation in oil markets closely.
「この文脈において、高い石油価格がもたらす著しいリスクに留意して、我々は、石油市場の状況を注視している」
この文章は、「この文脈において、高い石油価格がもたらす著しいリスクに留意して〜」という箇所が分かりにくい。
「この意味で、そしてまた、石油価格の高騰による重大なリスクに留意しつつ」とでも訳したら如何でしょう。
The current rise in oil prices reflects geopolitical concerns and certain supply disruptions.
「足元における石油価格の上昇は、地政学的な懸念や一定の供給の途絶を反映したものである」
この文章は、「一定の供給の途絶」ということの意味が大変分かりにくい。これは何を意味するのか?
ここは、「ある供給面の混乱」と理解したら如何でしょう。つまり、アイザックによる原油生産への影響を意味しているのでしょう。
We encourage oil-producing countries to increase their output to meet demand, while drawing prudently on excess capacity, and welcome Saudi Arabia’s commitment in Los Cabos to mobilize, as necessary, existing spare capacity to ensure adequate supply.
「我々は、産油国に対し、余剰生産能力を慎重に利用しつつ、需要を満たすように生産量を増大させるよう促すとともに、ロスカボスにおいてサウジアラビアが、必要な場合には、十分な供給を確保するために、既存の余剰生産能力を動員するとコミットしたことを歓迎する。」
「余剰生産能力を慎重に利用しつつ」という意味が分かりづらいです。産油国にもっと生産量を増やして欲しいとお願いする一方で、「慎重に利用しつつ」とは? 余剰能力があるのであれば、積極的に
それを利用して、とでも言いたいところですから。「慎重に」というからには、何か副作用を恐れているのでしょうか? prudently は、ここでは「賢く」と訳せばいいのではないでしょうか?つまり、「余剰生産能力を賢く利用して」と。
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意味は十分伝わるのですが、こなれた日本語にするならば、「市場に対して石油が十分かつ適時に供給されるよう」というのではなく、「市場に石油が十分かつタイムリーに供給されるように」と訳したらどうでしょう?
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「我々は、引き続き、適切に機能し透明性の高いエネルギー市場にコミットしている」
この文章は、翻訳文の典型でしょう。官僚はどういう訳か、commitをコミットとしか訳さないのです。そして、一般の方は、その言い方がどうも分かりづらいと。多分多くの人がこの文章の意味を理解できないでしょう。
ここは、「エネルギー市場が十分機能することと透明性を保つことを信奉している」と訳した方がましでしょう。
ということで、全体を改訳すると‥
「我々は、引き続き世界経済の諸々のリスクを警戒している。この意味で、そしてまた、石油価格の高騰による重大なリスクに留意しつつ、石油市場の状況を注意深く監視している。現下の石油価格の上昇は、地政学的な懸念と供給面の混乱を反映している。我々は、産油国が余剰生産能力を賢く利用しつつ、需要に応ずることができるように生産量を増大させることを促すとともに、サウジアラビアがロスカボスにおいて、十分な供給量を確保するよう、必要に応じ既存の余剰生産能力を動員すると言明したことを歓迎する。我々は、国際エネルギー機関(IEA)に対し、市場に石油が十分かつタイムリーに供給されるように適切な行動を取ることを要請する用意がある。我々は、エネルギー市場が十分機能することと透明性を保つことを、これまでどおり信奉している。」
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