何故、アベノミクスがもてはやされるのでしょう?

 アベノミクスは円安と株高をもたらしてくれるから? 確かにそのせいでなんとなーく気分が明るくなっているのです。

 でも、それだけではありません。アベノミクスは、そもそもデフレから日本経済を脱却させる、と。つまり、インフレが起きることを期待している人がいるのです

 では、インフレが起きると何かいいことがあるのか?

 多分給料が上がるだろう、と。

 そうなる保証はありませんが、だからと言ってデフレのままではなおさら給料上がる可能性がないのは、そのとおり。

 それ以外に、インフレになっていいことがあるのか?

 それは、お金借り手にしてみれば、インフレになった分、借金の実質的な負担が軽くなる、と。

 でも、それが本当であれば、多額の借金を抱える財政当局は何故インフレに誘導しようとはしないのか?

 どう思います?

 いずれにしても、為替や株は、今後はどうなのか?

 これからも円安が進み、そして、株高が続くのか?

 多分そう簡単にことが運ぶことにはならないでしょう。

 理由はともかく円安になれば、確かに円安を好感して取り敢えず株価は上がる。

 だって、円安になればなるほど、輸出企業の外貨建ての売り上げは、何もしなくても円安になっただけ額が膨らむ訳ですから。

 しかしその一方で、そうした輸出企業も、原材料の多くを海外から仕入れているので、円安になれば当然のことながらコストが上がる、と。

 従って、なかなか一方調子で株価が上がり続けるとは限らないのです。

 プラス、海外の投資家にしてみたら、幾ら日本の株に投資をして、株価が上がったことによって儲かったように見えても、円安になれば、投資資金を外貨に戻した場合に円安になった分利益が吹っ飛んでしまうからです

 但し、今言ったことは、あくまでも理屈の上の話。株価などというものは理屈だけでは割り切れない動きをするものなのです。上がるときにはとことん上がり、下がるときにはとことん下がる、と。

 でも、為替や株価の動きは理屈では予想でないなんて言ってしまえば身もふたもなし。それはそれで‥やっぱり今後予想されることを考えないと面白くないのです。

 では、今後為替や株価は、どのような展開が予想されるのか?

 取り敢えず我々が、というよりも世界が注目していることは何でしょう?

 安倍さんが、さらに日銀を服従させることになるか、ですって?

 違います。そうではなく、世界の関心事は米国の財政の崖の問題なのです。

 今になっても、全然妥協に見込みは立っていません。それにも拘わらずクリスマス休暇に入ったとか言っているのです。

 米国の政治家って、なんて楽観的な人が多いのでしょう。

 この分だと、恐らく崖から落ちる可能性の方が大きいというべきでしょう。

 年が明けて数か月経過し、第1四半期のGDPの予想が行なわれる頃になって、成長率がマイナスになることが確実視されるようになったら、米国はどう行動するのでしょう?

 幾らマイナス成長になっても、日本のように財政出動とはいかないのです。というよりも、過去、減税など大盤振る舞いした反省に立ち、健全財政の道を歩もうとしているですから。

 財政出動の道が閉ざされているとすれば、後は金融をさらに緩和するしかない、と。

 問題はここにあるのです。

 というのも、安倍さんは、欧米が行っている金融緩和に比べて日本の緩和策は生ぬるいから円高が起こったという考えからです。つまり、米国に負けないようにもっと金融を緩和しなければいけない、というのが安倍さんの考え。

 そして、米国が、今後マイナス成長に突入することによってさらなる金融緩和が行われることになれば、日本としてもそれに対抗して、さらに日銀大量の長期国債を購入させることになるでしょう。

 しかし、幾ら日銀が大量に国債を購入したくても、市中銀行が手放したがらないかもしれない。つまり、札割れが起きる、と。

 だったら、新規に発行する国債を日銀がどんどん購入すればいいではないか、となる。そうすると、流石に少しずつインフレを予想する向きが増えてくるのではないでしょうか。

 それだけではありません。安倍さんは、金融を緩和するだけではなく、思い切った財政出動をすると言っている訳ですから‥そして、大型補正予算の規模は10兆円にもなろうとしている訳ですから‥恐らく簡単には消化しきれない量の工事が一度に発生することになるでしょう。

 その結果は、全国的な人手不足が発生する、と。土木関係の人件費がさらに高騰するでしょう。

 しかし、ひょっとしたらそれでも物価はそれほど上がらないかもしれません。上がったとしても2%程度だったりして‥

 そうなれば、まだまだ財政出動を続けるでしょう。そして、同時に、米国において、さらに財政の崖の影響が大きくなりそうだと認識されるようになれば、さらなる金融緩和が。そして、日本は、それに対抗してまた金融緩和と財政出動実施る、と。

 幾ら日本が金融緩和をしても、それが米国の金融緩和に対抗するためのものであれば、それほど円安ドル高には結びつかないことも考えられます。しかし、そのようなことを繰り返すうちに、日本では少しずつインフレが進み、安倍さんたちが望んでいるような状態が出現するでしょう。

 つまり、インフレ率が3%を超えるだろう、と。場合によっては、4〜5%に達するようになるかもしれません。

 しかし、そうやってインフレ率が高まると、当然のことながら金利が上昇するので、さらに国の借金が増える原因になるのです。

 国債の発行残高が今まで考えられなかったほどのスピードで増える、と。そして、インフレも進行する、と。

 その時に、日本経済はどうなっているのか?

 デフレから脱却できたと国民は喜ぶのか?

 そうではなく、その反対になる可能性が大なのです。インフレが起きて生活が苦しくなったではないか、と。

 アベノミクスを支持する人々のなかには、インフレが起きれば、対GDP国債残高比率はむしろ低下するから問題はないのだ、なんていう人がいます。

 しかし、そのようなことが起こるというのは、戦争の後インフレが起き、それまでにが発行した国債が紙切れになるのと同じようなものなのです。

 つまり、インフレが起き、もし、それによってGDPに対する国債残高の比率が低下するようになったとしたら、その分、国債の保有者が大損をするのです。

 冒頭の質問に戻ります。

 何故アベノミクスもてはやされるのか?

 それは、インフレが起きれば国債が紙きれ同然となり、その結果、国民に増税の負担がかからなくなるからということがあるのかもしれません。

 つまり、増税が嫌だから国債を紙きれにしてしまいたい、と。

 反対に、国債を紙きれにしてしまうと、二度と国債を発行できなくなってしまうからと、財政当局は、インフレを起こす訳にはいかないのです。

 もし、国債が紙きれになる恐れが少しでも感じられ始めれば、投資家は一斉に国債離れを始めるでしょう。つまり、本当に財政が破たんしてしまうのです。

 それでも、政府が破たんしても国家が破綻する訳ではないなんて、とんでも理論をまき散らす無責任な人々がいるのです。

 安倍さんも、そこのところだけはよく考えて欲しいと思うのです。

 
 
 
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