昨日、4-6月期のGDPの成長率がマイナスになっていることが判明しました。原因は、輸出が大きく落ち込んでいることに加え、個人消費もマイナスになったからなのです。
 
 但し、新聞などメディアは、個人消費が振るわないことが主たる原因であるかの如く報じるところが多いように見受けられます。

 貴方もそう思いますか?

 でも、そうして個人消費が低調であることが日本経済の最大の問題であるかの如く考えるので、自ずから処方箋もピント外れのものになってしまうのではないのでしょうか。

 誤解のないように言っておきます。確かに4-6月期にGDPの成長率がマイナスになった要因の一つは、個人消費の落ち込みにあるのも事実。

 しかし、例えば10年とか20年といった長い期間で見た場合には、必ずしも個人消費が奮わないことが日本経済が停滞している主たる原因ではないことが分かるのです。

 仮に、個人消費が奮わないことが経済成長率が伸び悩んでいる原因だとすれば、個人消費の伸び率の方がGDPの伸び率よりも低くなければ理屈は合いません。

 では、実際にはどうなっているのでしょうか?

 グラフをご覧ください。GDP、個人消費、設備投資の推移をプロットしています。

GDPと設備投資
(資料:内閣府)

 1994年度の実質GDPは447.2兆円だったのが2014年度には525.9兆円となっています。つまり、実質GDPは20年間で17.6%と増加しています。では、個人消費の方はどうかと言えば、259.9兆円が307.4兆円になっているので、18.3%の伸びになっているのです。

 因みに、企業の設備投資はどうかといえば、58.5兆円が71.9兆円になっているので12.3%の伸びにとどまっています。

 確かに、一般論としては、個人消費が伸びれば伸びるほど設備投資が増え、そしてGDPも増えるであろうということは言える訳ですが、実際にはその個人消費の伸びにGDPや設備投資の伸びが追い付いていないのです。

 ということは、個人消費に元気がないということも一つの理由ではあるが、それ以外にもっと大きな理由があるということなのです。

 そして、その理由として考えられるのが、公共投資が過去の水準に比べて低位にとどまっていることと設備投資が伸び悩んでいることなのです。

 但し、財政難の折から公共投資の伸びを抑えない訳にはいきません。もし、今以上に公共投資を増やすとなれば、さらなる増税が必要になってそのことがまたしても景気に冷や水をかけてしまうからなのです。

 では、設備投資についてはどうなのか? 何故設備投資がせめて個人消費並に増加しないのか?

 
 もう一つのグラフをご覧ください。国内製造業の国内と国外における設備投資の推移をプロットしたものです。

国内と海外の設備投資

 青い折れ線が国内の設備投資額の推移を示しています。この5年間ほど低位で安定しているように見えます。しかし、その一方で国外の設備投資はどうかと言えば、着実に増加しているのです。

 円安が進行し始めた2013年以降も、国内回帰どころかむしろ海外に進出して行っているというべきなのです。

 要するに、企業経営者としては、GDPの数値がどうなるかなんてことよりも自社企業の業績の方が気になる、と。もっと言えば、国内で設備投資をするよりも国外で設備投資をした方が儲かるからそうしているだけの話なのです。

 いいでしょうか? これが現実の日本経済の姿なのです。

 つまり、個人消費が盛り上がらないのが最大の問題というよりも、企業が国内で設備投資をしたがらないことが経済成長率を低めている原因であると考えられるのです。

 では、何故国内企業は、海外に今でも進出して行こうとするのか?

 それは、海外には利用可能な安い労働力や発展が期待されるマーケットが存在しているからなのです。

 そのことは容易に理解できるでしょう?

 でも、だからこそ、政治家が何と言っても企業は国内の設備投資に積極的にはなれないのです。


 
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