新聞へ軽減税率を適用することが自民党と公明党の間で決定されました。

 どう思います?

 というか、軽減税率の話は、昨日で一応終わりにしようと思っていたのに、本日も軽減税率の話になって申し訳ありません。

 いずれにしても、新聞へ軽減税率を適用する必要なんてない、と思っている方も多いと思います。

 一番多い意見としては、さんざん消費税増税を煽っておきながら自分たちの商品だけを例外扱いにしろとは何事だというものでしょうか。それに、新聞が低所得者が生活を営む上で是非とも必要だとは思えないし、と。

 逆に、新聞社は、何故軽減税率の適用が必要だと言うかといえば…活字文化の維持のためとか、民主主義の礎を守るためなんですって。

 では、仮に新聞社の意見を尊重したとして、何故、市販される新聞のうち、定期購読分は軽減税率が適用される一方で、駅の売店などで買う分は軽減税率が適用されないのでしょうか?また、何故電子版の新聞は軽減税率が適用されないのでしょうか?

 まだ、ご存知ない方がいるかもしれませんが、自民党と公明党の間で、そのように決定されたのです。

 どう思います?

 実は、それについて考えると、新聞社が何故新聞に軽減税率を適用して欲しいというのか、本当の理由が見えてくるのです。

 何故駅の売店で売る新聞には軽減税率が適用されなくてもいいのか?

 私は、定期購読していない人が新聞を読むきっかけをつくる意味でも、駅の売店で売る新聞も軽減税率の適用対象にした方がいいと思います。もちろん、仮に新聞にも軽減税率を適用するのであればという前提での話ですが。

 それに、新聞社の人たちは、欧州では新聞に軽減税率が適用されるのが当たり前だと口をそろえて言いますが、その殆どはスタンドで売られる新聞が対象なのです。

 欧州に倣って新聞に軽減税率を適用すべきだと言いつつ、スタンド売りの新聞については全く異なった扱いにした新聞関係者たち。

 おかしくありませんか?

 結局、問題の本質は、日本の新聞の宅配制度に隠れているのです。

 毎朝、新聞販売店の人たちが新聞を配達してくれるでしょう?

 まあ、海外でも同じように新聞を配るところもありますが、流石に日本のように完璧といっていいほどの宅配制度がある国は珍しいのです。

 では、宅配制度メリットはどこにあるのでしょうか?

 消費者の側とすれば、いちいち買いに行く手間が省ける上に、定期購読をする方が安くなる、と。

 その一方で、売る側としては、定期購読をしてくれると、販売数が安定するというメリットがあるのです。悪く言えば、どんな記事を書こうと、一旦読者になってくれた人は、そう簡単に定期購読を止めることはないので、新聞社の経営が安定する、と。

 しかし、ご承知のように、インターネットの普及で若者を中心とし新聞離れが始まっており、新聞の売り上げ部数が減るとともに、新聞販売店の数も近年着実に減ってきているのです。

 グラフをご覧ください。

新聞販売店数の推移
 
 新聞販売店数が、じわじわと減少してきているでしょ?

 ピーク時は24000弱ほどあったものが、今や17000台にまで落ちてきているのです。

 その上、消費税の増税で新聞の価格が上がれば、さらに新聞の売り上げ部数が減り、同時に新聞販売店の数も減ってしまうでしょう。

 我々一般の消費者は、それだけ聞いても何とも感じないかもしれませんが、新聞関係者にとっては大変恐ろしいことなのです。

 何故かと言えば…

 売り上げ部数が減ることは、新聞社の経営が難しくなることを意味することは誰もが分かると思いますが…それ以外にも、新聞の広告代は売り上げ部数に応じて決まるシステムになっているために、なんとしても売り上げ部数を減らさないようにする必要があるからです。

 同じようなことは、販売店についても言えます。というのは、販売店の収入の半分ほどは、新聞を配達することの対価から成りますが、あとの半分ほどは折り込み広告の収入から成り、その折り込み広告の収入も販売部数に応じて決まるからなのです。

 すなわち、新聞社にしても、個々の新聞販売店にしても、販売部数を減らさないことが死活的に重要だということなのです。

 さらに言えば、宅配制度の割合が小さくなればなるほど、新聞の売れ行きの変動が激しくなるとともに、新聞社が各販売店に割り当てることによって売り上げ部数をかさ上げするテクニック(偽装)が利用しにくくなってしまうのです。

 要するに、新聞社は、宅配制度を悪用して各新聞販売店が個々人と契約を締結している部数以上の新聞を毎日送り付け、新聞が実際以上に売れているように偽装することが可能だということなのです。

 新聞社は、各販売店に配達手数料を支払うとともに販売促進費を支払っているのですが、それらの合計額のうちの2割ほどは販売手促進費が占めているのです。

 何故、そのような多額の販売促進費を支払うことができるかと言えば、そもそも本来配達されずに廃棄処分になることが予想されるものを個々の販売店に押し付けているからではないのでしょうか。

 ということで、このまま販売店が減り続けていくと、いつかは宅配制度に大きく依存する今までの新聞の経営戦略が成り立たなくなってしまうので、新聞業界はどうしたものかと自問自答しているのだと思います。

 
 新聞社の経営に関しても規制緩和を進め、透明性を確保することが必要だと思う方、クリックをお願い致します。
 ↓↓↓
 人気blogランキングへ