先日、米国の2018年の貿易赤字額が発表されました。

 貿易赤字の問題は、移民問題などと並んでトランプ大統領の優先課題の一つと言っていいでしょう。

 でも、あれだけ必死になって関税措置まで打ち出したのに…

 PBSが報じています。


 最後に私の感想を添えていますので、ご覧になって下さい。

 いつものように、英語が嫌いな方は日本語だけお読みになって頂ければ結構です。
 
 英語に関心のある方は、英語を聞いて、どの位理解できるか試してみて下さい。



President Trump has made the trade deficit a central focus of his agenda.

トランプ大統領は貿易赤字問題に取り組むことを選挙の公約としました。

That's included  a major escalation of tariffs and engaging in trade wars, especially with China.

そして、特に中国との間で貿易戦争が起こり、関税の引き上げ合戦が起きたのです。

But the latest figures for the past year show the overall U.S. trade deficts keeps growing. In fact,  it rose by 12 percent, compared to 2017, and the trade gap is now the widest it's been since 2008.

しかし、最新のデータによれば、昨年の米国の貿易赤字は増え続けています。実際、2017年と比べて12%増加しています。2008年以降、最大の貿易赤字となったのです。

David Wessel of the Brookings Institution is back with us to help unpack what's behind those mumbers and the larger picture.

ブルッキング研究所のデイビッド・ベッセルに来てもらい、この数字の背景について説明してもらいます。

David Wessel, welcome back to the "NewsHour." So, help us understand, how did this number get so high? What's contributing to it?

 ニューズアワーに戻ってくれくれてありがとうございます。どうしてこのように増えているのでしょう?何が原因なのでしょうか?

Well, basically, Predident Trump's tariffs and the retaliatory tariffs by our trading partners didn't help. But the major story here is that our economy is stronger than some of the other economies of the world. Our demand for their stuff is growing faster than their demand for our stuff. And so the trade deficit, which is the difference between our imports and our exports, is widening.

基本的には、トランプ大統領が課した関税と、その報復措置として課された関税が貿易赤字を減らすのに効果がなかったということなのです。しかし、米国の経済が世界の他の国々の経済よりも力強さがあったということを忘れてはいけません。米国の海外製品に対する需要が他の国々の米国製品に対する需要よりも伸びているのです。つまり、貿易赤字は、輸入と輸出の差額であり、その差額が大きくなっているのです。

So, the president has repeatedly talked about that gap and called it unfair, and he said he was going to use those tariffs you just mentioned to try close the gap. We see It's gone the other way right now. But the studies we have seen so far have showed us a little bit of what the effect of those tariffs have been. What do we know about that? 

だから、トランプ大統領は貿易赤字を繰り返し話題にし、そして、それは不公正だとも言っていた訳で、その上で貴方のいうその差額を小さくするために関税を課すことになると言っていたのでした。ところが、実際には逆になってしまっています。つまり貿易赤字は増えていると、と。私たちがこれまで見てきた調査結果によれば、関税の効果は小さいようにしか思えません。どういうことなのでしょう?

Right. Well, first of all, the president actually deserves some of the blame for this, because, when you cut taxes a lot, and you stir the U.S. economy, people buy more stuff. When our budget deficit gets bigger, that tends to widen the trade deficit.

先ず、そのことについては、トランプ大統領に責任があると言えるでしょう。何故ならば、減税が行われ米国経済を刺激すると、人々はモノを買うようになるからです。財政赤字が大きくなることも、貿易赤字を大きくする傾向があります。

What the president sometimes talks about is that somehow China is paying these tariffs. But these recent studies to which you refer are trying to figure out, when you have these tariffs, who gets hurt? Is it the exporting country or the U.S. consumers and businesses who are buying the stuff? And their bottom line is, most of the burden is falling on us, the consumers and businesses of the United States, who are paying more for imported stuff because of the tariffs.

トランプ大統領は、中国が何らかの形で関税を支払うとよく言います。しかし、最近の調査によればそうではないのです。誰が一体傷ついているのでしょうか?輸出国の方でしょうか、それとも中国の製品を購入する米国の消費者や企業なのでしょうか? 結論は、重荷は我々に圧し掛かっている、と。つまり、米国の消費者や企業は、この関税のせいで支払う額が増えているのです。

 So, the burden is falling to us, but I'm also hearing you saying, because of this trade deficit and the numbers, it means we're consuming more than we produce. That suggests we have the cash and the ability to be able to do so. So, what does the trade deficit say about the overall health or strength of our economy?

 負担は我々に圧し掛かっているのですよね。しかし、貿易赤字が増えているということは、我々が生産する以上に消費をしているということであり、そのことは我々がそのためのお金を持っている、或いはそうする余裕があるということになりませんか? 貿易赤字が拡大していることと米国経済の健全性の関係はどうなっているのでしょう?

Well, sometimes, I think the trade deficit is overemphasized as a measure of the economy's health. It does mean, as you say, that we're consuming more than we produce. We're lucky enough to be able to do that. It also means that we invest more than we save. We're borrowing a lot of the money to buy these imports. But I think that the bottom line is that there are good ways and bad ways to get rid of a trade deficit. A bad way would be, we could have a recession.Then we can't afford to buy things. A good way to get rid of the trade deficit would be for us to save a little more or for us get a little more competitive, make better things, work more efficiently. So, it's a signal that we have work to do on that front.

貿易赤字が経済の健全性との関係で誇張されることがあると私は思っています。貴方の言うとおり、我々は生産する以上に消費をしている。我々は、そうする余裕がある。ただ、そのことは我々は、貯蓄をする以上に投資をしていることを意味します。我々は、輸入品を購入するために多額のお金を借りています。しかし、最終的には、貿易赤字を減らすには良い方法と悪い方法があるということなのです。悪い方法は、我々が不況に陥ることです。そうなればモノを買う余裕がなくなります。貿易赤字を減らす良い方法は、我々が貯蓄を増やしたり、競争力を付けること、つまり、より魅力のある製品を作り出し、効率的に働くようになることです。貿易赤字が拡大しているということは、その方向に向かって我々が努力すべきだということを物語っているのです。

So, David, does this number say to you that there's any reason for us to be concerned or, if it continues fo grow, could there  be reason for concern?

だとしたら、我々として心配すべき理由があるということになるのでしょうか? さらに貿易赤字の拡大が続けば心配すべきなのでしょうか?

Yes. If it continued to grow, there would be reason to concern. At these levels, it's not so bad. The problem is, it's probably going to get worse, because the rest of the world is not doing very well. China is slowing. China's actually importing less from all its trading partners, not just from us. And, today, for instance, the European Central Bank marked down it forecast for growth in Europe.  That means they're goning to be buying less stuff for us. So the trade deficits is going to get bigger. At some point, it could get dangerously large. But we're not there yet.


貿易赤字が増え続ければ懸念すべき理由があるということになりますが、今のレベルではそれほど心配することはありません。ただ、問題は、米国以外の国の状況がよくないので、貿易赤字の悪化は続くと思われることです。中国経済は減速しています。中国の輸入は、米国からのものだけでなく、それ以外の国との関係でも減っているのです。欧州中央銀行は、本日、欧州の経済成長率見通しを引き下げました。それは彼らが米国製品の購入を減らすということを意味しています。そこで、貿易赤字は拡大するでしょう。そして、ある時点に至ると危険な水準となってしまうでしょう。しかし、今はまだそうではありません。

We're not there yet. We will continue to track it then.
David Wessel of the Brookings Institution, thanks for your time, as always.

今はまだそうではないのですね。これからもフォローしていきたいと思います。
ありがとうございました。ブルックリン研究所のデイビッド・ベッセルさんでした。

You're welcom.


 このデイビッド・ベッセル氏の考えというのは、オーソドックスな考えと言っていいでしょう。

 しかし、そのような考えが主流だからこそ、なかなかこの貿易の不均衡問題が解決しないという側面もあるのです。

 貿易赤字と貿易黒字。

 何が原因なのか?

 1980年代、日米の貿易摩擦が激しくなったときも議論になりました。

 日本人は貯蓄性向が高く、消費性向が低い、と。一方で、米国はその逆。消費性向が高く、貯蓄性向が高い、と。そうしたことが貿易不均衡の原因なのだから、日本人がもっと消費をするようになればいいし、米国人はもっと貯蓄に励むようにしなければならない、と。

 しかし、ですね。その考えが間違っているとまでは言いませんが…

 何故日本の製品が米国で売れるかと言えば、同じ性能の製品の場合、多くは日本製の方が安いからと言っていいでしょう。つまり安いから売れる、と。

 アメリカ人が、如何に貯蓄性向が低く消費性向が高いと言っても、米国製の方が海外製よりも安ければ、当然のことながら米国人も米国製を買う、と。そして、幾ら日本人の消費性向が低くても(今はそうは言えませんが)米国製品の方が価格が安ければ、当然のことながら米国製品を買い、日本の貿易黒字は一瞬にして消え去ってしまうのです。

 では、何故米国製品は高いのか?

 誤解を恐れずに言えば、それは米国の人件費が高いから。

 従って、米国が貿易赤字を減らそうとするならば、人件費が上がらないようにすれば、少しは効果があると思うのですが…そのような政策が国内で受け入れられることはほぼない。

 だから、米国では貿易赤字がなかなか縮小しないのです。

 その一方で、日本の賃金は、最近話題になっているように、なかなか上がらないでしょう? インフレ率に及ばない、と。でも、だからこそ貿易黒字を続けていると言えるのではないでしょうか?

 


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