7月の経常収支が1兆9999億円の黒字であったと発表になりました。

 だからどうしたの?なんて声が聞こえてきそうですが…

 では、貿易収支はどうだったかというと、なんと745億円の赤字なのだ、と。

 何か感じませんか?

 安倍政権になってから7年近くになろうとしているのに…

 そして、その間、それ以前の円高の時代から円安の時代に急速に移行したのに…

 安倍総理が主張したインフレターゲット政策のお蔭で円安が進み、そして、その結果輸出が回復する筈だという話だったですよね?

 黒田総裁は、当初、Jカーブ効果がどうたらこうたらと言っていました。つまり、数年たてば輸出が回復する筈だ、と。

 ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマンもそう言ってアベノミクスを援護していました。

 しかし、実際には貿易が回復したという事実はないのです。

 結局、これだけ円安になっているにも拘わらず、日本の貿易収支がこのように赤字になることがあるということは、それだけ日本企業の輸出競争力が落ちていることの証明でもあるのです。

 ああ、あの輸出大国日本はどうしたのでしょうね?



 で、ここでそうした事実から導き出される私の主張をご紹介したい訳ですが…

 日本が最低賃金を上げると、消費者の購買力が上がり、それによって消費が増えるから景気が回復するという議論があります。

 多分、皆様のなかにもそうした議論を支持する人が多いかと思います。

 で、それに関して私が先日、日本を含め先進国の労働者の賃金が上がりにくくなっている大きな理由の一つは、先進国と開発途上国の同質の労働者の賃金が均衡する力が働いているからだと主張しました。

 しかし、私がそのようなことを言うと、お前は血も涙もないやっちゃ、みたいな批判が寄せられます。

 確かに、日本の労働者からすれば、何と冷たい奴だ、おれたちの賃金が上がらなくても当然だというのは許せないと言いたいのでしょうね。

 でも、開発途上国の労働者からしたら、どうして自分たちの賃金と先進国の労働者の賃金にこんなに差があるのかということになる訳です。



 いずれにしても、では、仮に日本が最低賃金を含め賃金をガーンと上げるような政策に移行したとしましょう。

 そのときに、日本経済はどうなるのか?

 そうなれば、確かに消費が活性化し、一時的に景気がよくなる可能性はあるでしょう。

 しかし、今でも貿易収支が赤字になることがあるほど日本企業の輸出競争力が落ちている訳ですから、その上国内の賃金が上がれば益々輸出が落ち込むことが懸念されるのです。

 そして、また、消費が活性化して景気がよくなれば、日本の海外からの輸入が増加し益々貿易赤字は拡大する、と。

 そうなれば、今は黒字を維持している経常収支が赤字に転落することさえあり得る訳です。

 では、経常収支が赤字になれば、どのような影響を日本経済に与えるのか?

経常収支

 経常収支が赤字になり、そうした状態が定着してしまうと、これまでの最大の債権国としての地位が次第に揺らぐことになるでしょう。

 で、日本の有する対外資産が減少をし始めると、国債の信用度が低下し始めるでしょう。

 そうなると今のようなマイナス金利政策とかゼロ金利政策はもやは維持できなくなるのが必定。

 急速に金利が上昇し始め、また、それと同時に日銀が政策転換せざるを得ない、と。

 もはや日銀による株の買い支えも不可能。

 株価は下がるでしょう。

 そうすると年金の積立金も急速に減少してしまい、年金に関する不安が増大してしまう、と。



 でも、私がこういうことを言うと、では、お前は賃金が上がるのことに反対なのだな、という批判が寄せられるかもしれません。

 違うのです。賃金が上がることに反対している訳ではないのです。

 そうではなくて、賃金の上昇を望むのであれば、それに相応しいだけの生産性の向上に励むべきだと言っているのです。

 つまり、労働者が自分たちの技術力の向上に努力すべきだ、と

 そうした結果賃金が上がるのであれば、日本の輸出競争力の低下につながることはないのですから。


 

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