昨日、トランプ大統領が連銀に対してマイナス金利を要求したことを紹介しましたが…

 な、な、なんと、欧州中央銀行がマイナス金利政策を深堀りしたとのニュースに接しました。

 日経の記事です。

 欧州中央銀行(ECB)は12日開いた理事会で、3年半ぶりの金融緩和を決めた。2018年12月に打ち切ったばかりの量的緩和政策を再開する。さらに銀行が中央銀行に余剰資金を預ける際の金利を現在のマイナス0.4%からマイナス0.5%に引き下げる。政策の先行き指針も変更し、物価目標の実現がしっかりと見通せるまで政策金利を現状かそれ以下に据え置くと約束した。

 そうした動きを察知していたからこそ、トランプ大統領は、米国もマイナス金利政策に踏み切れと言ったのかもしれませんね。

 でも、そうしたマイナス金利政策がどれほどの効果があると言うのでしょう?

 欧州でも専門家の間では反対意見が多いのです。

 金利がマイナスであっても、新規の資金需要は発生しない、と。

 さらに言えば、マイナス金利のせいで民間銀行の経営が厳しくなっており、その弊害がむしろ心配されるのだ、と。

 欧州では民間銀行の株価が大きく落ち込んでいると言われています。

 日本では、地方銀行などの決算が非常に悪化していることが心配されていますが、似たような状況にあると言っていいでしょう。

 こうしたなかで、FRBがトランプ大統領の発言に恐れをなして、マイナス金利政策を導入したらどうなるのか?

 そうなれば、日本銀行はマイナス金利の深堀りをする可能性が大になります。

 欧州中央銀行だって、さらにマイナス金利の深堀りを行うかもしれません。


 ここで、マイナス金利の効果について、どう考えたらいいかという人も多いかと思いますので、ある専門家の意見をご紹介したいと思います。


 Market Flash 2019年9月12日(第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 主任エコノミスト 藤代 宏一氏)

 <以下、8月19日付けの当レポートを一部加工したものを再掲>
一般に名目金利引き下げが景気刺激効果を持つとされるのは“常に”「プラスの代替効果>マイナスの所得効果」という前提が置かれているためだ。ここでいう代替効果とは、金利低下による貯蓄動機の低下が投資・消費動機を高めること所得効果とは、金利低下による利子所得の減少(予想)である。たしかに、この状態では名目金利引き下げが実体経済(設備投資・消費)を刺激することで景気が勢いづき、人々の予想物価上昇率が上昇すると考えられる。しかしながら、現在の日本がそうであるように超低金利が20年も続いている状態では「代替効果」が食い尽くされている可能性がある。名目金利が下がった場合、人々がそれを一時的現象と見做せば、これを好機と捉え、投資・消費に前向きになると予想されるが、現在の日本でそうした行動パターンがあるとは言い難い。人々は低金利が恒久的に続くと考えている節があるし、あるいはそもそも金利というその存在自体を認識していないかもしれない。他方、負の所得効果は案外強く効いている可能性がある。それを象徴したのは、2016年のマイナス金利導入時や年金2000万円問題の過熱。国民の声として「金利が低くて資産形成ができない」という不安・批判があがったことは、利子所得が見込めないことが将来不安の増幅を通じてGDP6割を占める個人消費に下押し圧力をかけている可能性を浮き彫りにした。このように代替効果が薄く、負の所得効果が作用する下では「負の所得効果>正の代替効果」となっている可能性があり、そうした下での名目金利引き下げはデフレ的状態を醸成してしまうことになる。


 分かりやすい解説でしょう?

 中央銀行が金利の引き下げを行う場合、「プラスの代替効果>マイナスの所得効果」という前提が置かれているのだ、と。

 で、金利の正常化を以前から主張する私は、その前提がおかしいと言っているのです。

 つまり、マイナスの所得効果の方が大きいのではないか、と。預金者(消費者)の利子所得という収入を奪い去ってしまっている、と。

 そして、さらに重要なことは、それ以外に、マイナス金利が金融機関の経営内容を悪化させ、それが経済に悪影響を及ぼすことが懸念されることです。

 そしてまた、金融機関としては、どんなにリスクが大きいそうな融資先であっても、それなりの金利を設定できるときには融資を行うことも考えられるが、今みたいな超低金利になると、リスクのある融資先には怖くて新規の融資を行うことなど考えられなくなっているということなのです。

 融資を促すために行っているいるゼロ金利政策、或いはマイナス金利政策のせいで、民間金融機関の融資がむしろ受けにくくなっているという現実があるのです。

 

 結局、自分の国だけ(地域)だけが良ければという考えの下で行うマイナス金利政策によって、世界経済が全体として悪い方向に進んでいるのです。



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