シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の続いて、経営破綻の恐れがあると見られていた
ファースト・リパブリック銀行を支援するため、民間の大手銀行が合計4兆円の預金をすることにしたと報じられています。

 東京新聞の記事をご覧ください。

 預金流出の米ファースト・リパブリック銀行を支援へ JPモルガン・チェースなど11社が4兆円を預金

 【ワシントン=吉田通夫】JPモルガン・チェースなど米金融大手11社は16日、預金流出が続く米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行(西部カリフォルニア州)を支援するため、協調して計300億ドル(4兆円)を預金すると発表した。米財務省や、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)などは共同声明で「銀行システムの健全性に資する」と歓迎した。
 ファースト・リパブリック銀の昨年末の資産規模は2126億ドルで、全米14位。富裕層向けの金融サービスを手掛けており、預金保険制度の保護上限を超える預金も多いことが不安視され、預金が流出していた。
 今回の支援策は、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスなど金融大手を中心に、11社が一定額ずつ預金する。ロイター通信によると、支援の枠組みはイエレン財務長官とFRBのパウエル議長、JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)が話し合って決めたという。


 預金保険の対象となる25万ドル超の預金についても保護の対象にするとした先日の措置とは違い、これなら文句のつけようがありませんね。

 納税者のお金が使われる訳ではありませんし、預金保険の例外を認める訳でもない、と。

 では、何故大手の銀行が一致協力したかと言えば、銀行の破綻が相次ぎ、全国的な金融破綻の連鎖が起これば、金融界自体が機能マヒに陥ることが十分に予想されたからです。

 つまり、誰かを助けるというよりも、自分たちの身を守るための措置と言えるでしょう。

 いずれにしても、預金保険の限度を超す預金を保護する必要があることが今回明確に認識されているようですが、では、25万ドルという限度を引き上げればいいのか?

 しかし、そうするためには各金融機関が負担する預金保険料を引き上げる必要がありますし、また、そうやって預金保険の対象となる限度が引き上げられることによって、モラルハザードが起きることが懸念されてしまいます。

 ここでいうモラルハザードとは、保険の対象になることによって、将来起こる可能性のあるリスクに関して鈍感になってしまうことを意味します。

 火災保険に入ることで、火災予防の意識が低下してしまう、とか…

 火事になって家屋が焼失しても、お金がもらえる筈だからとなれば、火災保険に入っていない場合と比べて火災が起きる確率は高くなると言っていいでしょう。

 それと同じように、どんなに銀行が破綻することがあっても、自分の預金は完全に保護されるとなれば、どこの銀行に大切なお金を預けるかを考える場合に、いい加減に決定してしまうことが多くなり、そうなると経営内容の劣る銀行が淘汰されない恐れも出てくる訳です。

 ということで、仮に預金保険の限度を引き上げて欲しいと望む大口の預金者がいるのであれば、預金者自身が保険料を支払って預金を保護してもらう預金保険の制度を別途整備する必要があると考えます。

 もちろん、その場合もモラルハザードが起きる可能性がありますが、現行のように預金者が全く預金保険料を直接負担しない場合に比べれば、弊害は遥かに小さくて済むと思われます。

 なお、日本の場合、決済用の預金、つまり当座預金などは全額保護の対象となっているので、それほど心配する必要がないのかもしれません。

 

  
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