賃上げ平均3.8%と報じられていますが…

 なかなか給料が上がらないどころか、下がることもあったこれまでの数十年間を思うと、若干ではあるが、賃金が上がり出してほっとしているという人が少なくないかもしれませんが…

 この数字、注意して見る必要があるのです。

 先ず、日経の記事をご覧ください。

 賃上げ平均3.8%、連合1次集計 30年ぶり高水準に

 連合は17日、2023年春季労使交渉の第1回回答集計の結果を公表した。定期昇給と基本給を底上げするベースアップ(ベア)分を合わせた賃上げ率は平均3.80%と、前年同時点から1.66ポイント上昇した。過去の最終集計と比較すると1993年(3.90%)以来、30年ぶりの高い水準になっている。3%を超えれば29年ぶりとなる。

 17日午前10時時点の805組合に対する回答をまとめた。定昇を含めた賃上げ額は月額1万1844円と、前年の同じ時点に比べて5263円増えた。ベアと定昇を明確に区別できる612組合で比較すると、ベアの引き上げ率は2.33%と1.83ポイント上がった。

 集計した805組合のうち組合員数300人未満の中小組合398の賃上げ率は定昇とベアを合わせて平均3.45%と、前年同時点から1.40ポイント上がった。賃上げ額は9026円と3642円増えた。

 如何でしょうか?

 3.8%であれば、仮に今のインフレ率が4%強だとすれば、インフレ率には及ばないなと受け止める人が多いと思いますが、それがそもそもの間違いです。

 というのは、この3.8%には定昇分が含まれているからで、マクロで考える場合の賃上げ率は、定昇分を除いた「ベア」考えなければいけないからです。

 そこで、定昇分を除いた賃上げ率(「ベア」)をみると、この記事にあるとおり、2.33%しかありません。

 ということは、仮に4%程度のインフレが今起きているとすれば、2.33%の賃上げでは明らかに物価上昇分に追いつかない、と。しかも、労働者が毎日の生活に必要なモノやサービスに限れば、物価はもっと上がっている筈ですから、この程度の賃上げでは、生活が楽になるなどということは到底考えられないのです。

 では、経営者側の儲けが増えているのかと言えば、コストアップ分を製品価格に十分転嫁できていないと考えれば、経営者側もまた犠牲を強いられている可能性が大なのですが…

 それにしても、このように賃金が上がったという印象操作をするのはちょっと私はおかしいと思っている訳です。

 いずれにしても、定昇分を除いたベースで賃上げ率を大きく報じるべきであり、それをしないのは欺瞞としか言いようがありません。


 


 そもそも原材料費のコストが国際的に上がっている上に、日銀の愚かな緩和政策のせいで
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