経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 景気

 グラフをご覧ください。

 ブレークイーブン・インフレ率 2016−11


 先日お見せしたグラフをリニューしたものです。

 青の折れ線グラフが、通常の残存期間10年の国債の利回り(名目)です。そして、赤の折れ線グラフが同じく残存期間10年の物価連動国債の利回りで…つまり、実質利回りを示しています。

 名目利回りと実質利回りの差は、予想インフレ率になります。

 大統領選後、米国債(10年)の利回りは急上昇していますね。
その理由は、トランプ氏の政策によって、景気がよくなり物価が上がることが期待されているからです。

 そして、このように米国の金利が上昇し内外金利差が拡大しているので、ドル高となっている訳ですが…

 このような現象は今後も続くとみていいのでしょうか?

 しかし、TPPを離脱し、保護主義的な政策に向かうトランプ氏の下で、どうしたら景気が上向くなんて考えることができるでしょう?

 もちろん、保護主義的な政策を採用すれば、再び製造業が復活することが考えられないではありません。但し、そのためには長い年月を要することでしょうし、そして仮に今失業している人々が再び職を得ることができるようになったとしても、米国が輸入を止めた分と同じくらいの輸出の減少が起きる訳ですから、いいことばかりである筈はありません。

 米国民の生活水準が落ちることは避けられないと思います。

 生活水準が下がるとは、毎日の生活に必要なモノの価格が上がるということです。

 なのにどうして楽観的なムードばかり強まり、株価が上がるのか、と。

 私は、いずれ大きく反転する気がするのですが、如何でしょう?




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 米国の雇用統計が発表になっています。

 10月の非農業部門の雇用者数の増加幅は16万1千人と、市場予想(17万5千人)を下回ったものの、8月と9月月の増加幅がそれぞれ上方修正されたこともあって、まずますの結果となっています。

 また、失業率は4.9%に低下にしています。

 ということで、米国の雇用環境は改善している訳ですが…しかし、それでも日本と比べるならば、日本の失業率は3.0%と格段に低いので、日本には及ばないと言っていいでしょう。

 そうでしょう?

 それに、有効求人倍率もバブル期並みの水準にまで上がっているのです。

 しかし、その一方で、経済成長率については、米国の方が我が国を上回っています。

 米国の2016年7-9月期の実質GDP成長率は2.9%。それに対し、我が国については、まだ4-6月期までしか判明していませんが、0.7%とかなりの差がついているのです。

 はっきり言って、潜在成長率で比べると2%ほどは差があると言っていいと思います。

 そこで、ここで貴方に問題を出したいと思うのですが…

 雇用状況は日本の方が遥かに良いように見えるのに、何故日本の経済成長率はこんなに低いのでしょうか?

 まあ、だからこそ、日本は未だに金融緩和を止める見込みはなく、その一方で、米国の方は次の利上げのタイミングに注目が集まっているのですが…

 如何でしょう?

 答えは、日本の方が米国に比べて失業率も格段に低く雇用環境が良いように見えるように思われるのですが…でも、その認識が間違っている可能性があるからです。

 グラフをご覧ください。

就業者数の推移 2016-11


 日米の就業者数の推移を示したものです。2006年1月以降の就業者数の変化を表していますが、ご覧のように、日本の就業者数はリーマンショック前の水準にやっと達した程度なのに、米国のそれはリーマンショック前の水準を遥かに上回っているのです。

 米国の方は、それだけ実際に働いている人の数が増えている訳ですから、当然のことながらその分GDPが増加するのも当たり前。

 日本のGDPの成長率が低いのはその辺に理由があると思われるのです。

 つまり、労働力人口が減っているので、なかなか成長率が高まらない、と。

 では、これを是正するのに金融緩和を続けることがどれほどの効果をもたらすと言えるのでしょうか?

 殆ど意味ないでしょう?

 でも、そのようなことについて本気で議論することのない日本銀行の政策決定会合。



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 私、多くの人々が、もう少し景気が良くなってくれたらありがたいと感じていることを承知しています。特に、かつてのバブルを経験したような中高年の人々ならなおさらでしょう。

 しかし、そもそも我が国は、少子高齢化が進展している訳ですし…具体的に言えば、自分たちの通っていた小学校、中学校の児童や生徒の数は、今や、自分たちがそうであった頃の半数にも満たない状態になっているのですから、例えばランドセルの売り上げが半分以下に落ち込むのは当たり前。

 まあ、その分、高齢者の人口が増えているので健康食品や薬の売り上げは増えているのでしょうが、総じてみれば消費に勢いがなくなるのは当然なのです。

 それに、新興国の経済が発展していますから、当然のことながら海外の安い品物が国内にどんどん入ってくるのでモノの値段は上がらず、従って、給料が上がることもなかなか期待できないのです。

 まあ、そのような状況にあることから、0.5%程度であっても、実質経済成長率がプラスを維持できるのであれば、御の字というべきかもしれません。

 しかし、仮にそうではあっても、日本経済がもう少し元気になる方法がないことはないのです。

 何だと思いますか?

 それは安倍政権が交代することです。否、自民党が選挙に負ける必要があるというのではないのです。少なくても総理が辞めれば、そして、アベノミクスの看板を下ろすならば、もう少しましな状況になる可能性があるかもしれないと言いたいのです。

 但し、だからと言ってアベノミクスが全然効果がなかったと言う訳ではありません。

 それが本当に良い政策であったかどうかは別として、少なくても円安を実現し、それによって企業業績の回復と株価の上昇をもたらした訳ですから、それなりの効果があったと言うべきでしょう。

 しかし、それはそうであっても、安倍政権誕生から3年半近く経過し、そうした効果が薄れるどころか今や逆効果が表れてきていることから、アベノミクスではない新しい看板を打ち立てた方がいいと言っているのです。

 安倍総理は、アベノミクスのエンジンを最大限に吹かすことが必要だと言っていますが、その逆なのです。

 マイナス金利まで導入したものの、その後、円高の圧力がかかりっぱなしですし、株価も低迷しているではありませんか!?

 つまり、アベノミクスに対する市場関係者の期待が大きかった反面、それが巧く行かないと、失望も大きいのです。

 だから、アベノミクスに見切りをつけて、新しい経済運営プランを打ち出した方がいい、と。

 しかし、安倍総理が在任している限りは、アベノミクスを放棄する訳にはいかない、と。それはそうですよね。アベノミクスが失敗だったということになれば、責任を取らざるを得なくなるからです。

 でも、それは逆に言うと、責任を取りたくないからアベノミクスが失敗だとは認めることができない、ということになります。

 しかし、アベノミクスが失敗だと認めないから、抜本的な解決策が浮かぶこともないのです。

 シャープでも東芝でも、トップが過ちを認め、責任を取らないからあんなことになってしまったのです。

 それだと、景気がよくなる訳ないではないですか!?

 それに、安倍総理は、自分が約束したことを簡単に反故にして平気な顔をしています。

 でも、国民にしてみたら、一国のリーダー言うことを信じることができないから、将来の不安が先に立ち、消費を手控えざるを得ないのです。

 2020年に基礎的財政収支を黒字化する目標は維持するなんて総理は言っていますが、誰が信じるものか、と。

 今度は、もっと誠実な人が総理と日銀総裁に就くべきではないのでしょうか。




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 2016年1−3月期のGDP速報値が発表になりました。 

 実質成長率は、前期比で0.4%、年率換算で1.7%です。

 主要支出項目別では…

 ・個人消費:0.5%の増加(年率換算1.9%の増加)

 ・設備投資:1.4%の減少(年率換算5.3%の減少)

 ・輸出:0.6%の増加(年率換算2.4%の増加)

 ・輸入:0.5%の減少(年率換算1.8%の減少)

 我が国の潜在成長率は0.5%程度だと言われる状況のなかでは、健闘した結果と言えるのでしょうか?

 但し、2015年10−12月期には前期比で0.4%の減少になっていたことを考えれば、今回、さらにその前の2015年7−9月期の水準に戻ったにすぎません。

 では、その2015年7−9月期の伸び率はどうだったかと言えば、これまた前期比0.4%のプラスで、そして、その前の2015年4−6月期はどうだったかと言えば、前期比マイナス0.4%であった訳で、結局、2015年1−3月期の水準と、それから1年経った2016年1−3月期の水準は、殆ど変っていないということなのです。

 グラフをご覧ください。

実質GDP2016年1−3月期


 2015年1−3月期の実質GDPが530兆円だったのが、下がって上がって、また、下がって上って530兆円のレベルに戻っているのです。

 要するに、1年間で実質GDPは全然増加していないということなのです。

 さらに言えば、2016年1−3月期には2月が1日多いうるう年効果というものが反映されているので、実質的にみれば通常の年の528兆円の水準しかないとも言えるのです。

 となると、やっぱり景気はよくなっている筈などないと言うべきなのでしょうか?

 しかし、リフレ派の人々は、景気を判断する場合は、名目GDPを見るべきだというのが持論ですよね。

 実質でみると見誤る恐れがあるので、生活実感に合った名目GDPで見るべきだ、と。

 では、次のグラフをご覧ください。

名目GDP2016年1−3月期


 2014年4−6月期に消費税増税が実施された後、暫くは確かに名目GDPは減少したのですが、その後は、割と着実に回復していると言っていいのではないでしょうか?

 貴方は、景気を判断するためにGDPを見るとき、実質GDPを重視すべきというお考えですか、それとも名目GDPを重視すべきというお考えですか?

 どういう訳か、安倍総理を含めリフレ派の人々は名目重視が多いのです。また、だからこそ安倍総理も名目GDPを600兆円にまで増やしたい、なんて言っているのです。

 でも、そうした人々が消費税増税が景気を後退させてしまったというときに使うデータが実質GDPなのです。

 もう一度グラフをご覧ください。

 確かに、実質GDPの方でみると、景気は良くないように見える。それに比べて名目GDPでみると消費税増税の影響は、もはやなくなっているようにも見える、と。

 消費税率が3%上がり、その結果、物価が2%ほど上昇することによって、家計の購買力が2%ほど削減されることを考えれば、実質消費がその分落ち込むのは、ある意味当然のことなのです。

 でも、生活実感に合っているのは名目GDPの方であるというのであれば、実際に財布から支出された現金の額で消費を判断しないと首尾一貫しないと思うのです。

 おかしいではありませんか。

 いずれにしても、私は、景気は良くも悪くもなく、従って、ここで財政出動が必要だとはとても思えないのです。


 名目GDPを見るべきだという人が、消費税増税の影響を論じるときにだけ実質GDP、或いは実質ベースの個人消費に言及するのは、論理が矛盾していると思う方、クリックをお願い致します。
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 政府の景気判断が1年ぶりに下方修正されたとNHKが報じています。

 「政府は今月の月例経済報告で景気の現状について、緩やかな回復基調は続いているものの、中国経済の減速の影響で企業の生産が減っていることなどから「一部に弱さも見られる」とし、景気判断を1年ぶりに下方修正しました」

 どう思います?

 「どう思いますって、アベノミクスが成功していないと言わせたいのか?」

 いえ、そうではないのです。景気判断の下方修正は本当に1年ぶりのことなのか、と言いたいのです。

 何故私がそのようなことを言うかと言えば、先月の月例経済報告において、内閣府は、景気判断が修正されたのか、それとも据え置きなのかについて判断を示さなかったからです。

 では、何故9月25日に行われた月例経済報告において、景気判断の方向性が示されなかったのでしょうか?

 でも、その前に、基調判断の文章がどのように変化していったかを見てみましょう。
 
 2015年1月
 「景気は、個人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 」
 
 2015年2月
 (前月と同じ)「景気は、個人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 」

 2015年3月
 「景気は、企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年4月
 (前月と同じ)「景気は、企業部門に改善がみられるなど、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年5月
 「景気は、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年6月
 (前月と同じ)「景気は、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年7月
 (前月と同じ)「景気は、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年8月
 「景気は、このところ改善テンポにばらつきもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年9月
 「 景気は、このところ一部に鈍い動きもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」

 2015年10月(今回)
 「景気は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」


  如何でしょうか?

  眠くなってきた? そんなこと言わずにお付き合い下さい。でも、眠くなると言いたくなるのは分からないではありません。というのも、若干の文章の変化はあるものの、「景気が、緩やかな回復基調が続いている」ということに関しては一貫しているからです。

 でも、どういう訳か10月発表分の今回になって、下方修正された、と。

 だったら、9月に下方修正された可能性もあったのか?

 しかし、実際には下方修正されなかっただけではなく、据え置きという判断もされなかったのです。つまり、内閣府として、判断を留保した、と。

 これまで長い間、毎月、据え置きなのか、上方修正なのか、それとも下方修正なのかを示してきたのに、何故9月はそうしなかったのでしょう?

 その点に関し、甘利大臣は当時次にように述べています。

 「景気が緩やかな回復基調であることは変わりはない。黒か白かという判断は適切ではない」

 但し、その一方で、実質的な下方修正であることは否定しなかったとも伝えらえています。

 何とも腑に落ちない! 

 黒か白かという判断は適切でないというのであれば、今回だって、緩やかな回復基調が続いているという文言はそのままである訳ですから、今回だって判断を留保すべきではなかったのでしょうか?

 しかし、今回はまた、方向性を示した、と。

 考えてみたら、9月25日に月例経済報告が発表された前日の24日に、安倍総理は新3本の矢を打ち出し、アベノミクスが第二ステージに入ったと高らかに宣言したのでした。名目GDPを600兆円にする、と。もはや「デフレではない」という状態まで来た、と。デフレ脱却はもう目の前だ、と。

 そんなに威勢のいいことを言った翌日に、どうして内閣府が景気判断を下方修正することができるでしょう?

 否、内閣府の役人たちが仕事に忠実であるのならば、下方修正すべきだったのです。

 しかし…そうはいっても…結局、誰も猫に鈴を付ける勇気のある者はいなかった、と。

 でも、だとしたら「経済が最優先だ」など言うのは口だけの話としか思えません。何故ならば、経済の現状を正確に把握することなくして、的確な対策を講じることなどできないからなのです。

 ああ情けない!

 これでは中国のことを批判することなどできなくなってしまうではないですか。日本だって偉そうなことを言うが、都合の悪いことは伏せてしまうのだから似たようなものだ、と。

 黒田総裁プラス安倍総理の下で、益々情報が操作されているような気がしてなりません。


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 昨日、4-6月期のGDPの成長率がマイナスになっていることが判明しました。原因は、輸出が大きく落ち込んでいることに加え、個人消費もマイナスになったからなのです。
 
 但し、新聞などメディアは、個人消費が振るわないことが主たる原因であるかの如く報じるところが多いように見受けられます。

 貴方もそう思いますか?

 でも、そうして個人消費が低調であることが日本経済の最大の問題であるかの如く考えるので、自ずから処方箋もピント外れのものになってしまうのではないのでしょうか。

 誤解のないように言っておきます。確かに4-6月期にGDPの成長率がマイナスになった要因の一つは、個人消費の落ち込みにあるのも事実。

 しかし、例えば10年とか20年といった長い期間で見た場合には、必ずしも個人消費が奮わないことが日本経済が停滞している主たる原因ではないことが分かるのです。

 仮に、個人消費が奮わないことが経済成長率が伸び悩んでいる原因だとすれば、個人消費の伸び率の方がGDPの伸び率よりも低くなければ理屈は合いません。

 では、実際にはどうなっているのでしょうか?

 グラフをご覧ください。GDP、個人消費、設備投資の推移をプロットしています。

GDPと設備投資
(資料:内閣府)

 1994年度の実質GDPは447.2兆円だったのが2014年度には525.9兆円となっています。つまり、実質GDPは20年間で17.6%と増加しています。では、個人消費の方はどうかと言えば、259.9兆円が307.4兆円になっているので、18.3%の伸びになっているのです。

 因みに、企業の設備投資はどうかといえば、58.5兆円が71.9兆円になっているので12.3%の伸びにとどまっています。

 確かに、一般論としては、個人消費が伸びれば伸びるほど設備投資が増え、そしてGDPも増えるであろうということは言える訳ですが、実際にはその個人消費の伸びにGDPや設備投資の伸びが追い付いていないのです。

 ということは、個人消費に元気がないということも一つの理由ではあるが、それ以外にもっと大きな理由があるということなのです。

 そして、その理由として考えられるのが、公共投資が過去の水準に比べて低位にとどまっていることと設備投資が伸び悩んでいることなのです。

 但し、財政難の折から公共投資の伸びを抑えない訳にはいきません。もし、今以上に公共投資を増やすとなれば、さらなる増税が必要になってそのことがまたしても景気に冷や水をかけてしまうからなのです。

 では、設備投資についてはどうなのか? 何故設備投資がせめて個人消費並に増加しないのか?

 
 もう一つのグラフをご覧ください。国内製造業の国内と国外における設備投資の推移をプロットしたものです。

国内と海外の設備投資

 青い折れ線が国内の設備投資額の推移を示しています。この5年間ほど低位で安定しているように見えます。しかし、その一方で国外の設備投資はどうかと言えば、着実に増加しているのです。

 円安が進行し始めた2013年以降も、国内回帰どころかむしろ海外に進出して行っているというべきなのです。

 要するに、企業経営者としては、GDPの数値がどうなるかなんてことよりも自社企業の業績の方が気になる、と。もっと言えば、国内で設備投資をするよりも国外で設備投資をした方が儲かるからそうしているだけの話なのです。

 いいでしょうか? これが現実の日本経済の姿なのです。

 つまり、個人消費が盛り上がらないのが最大の問題というよりも、企業が国内で設備投資をしたがらないことが経済成長率を低めている原因であると考えられるのです。

 では、何故国内企業は、海外に今でも進出して行こうとするのか?

 それは、海外には利用可能な安い労働力や発展が期待されるマーケットが存在しているからなのです。

 そのことは容易に理解できるでしょう?

 でも、だからこそ、政治家が何と言っても企業は国内の設備投資に積極的にはなれないのです。


 
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 本日発表された財務省の法人企業統計調査によると、2015年1-3月期の設備投資が前年同期比で7.3%も増加したとされています。しかも、増加は8期連続である、と。

 今まで殆ど動きを見せていなかった民間の設備投資ですが、ここにきてようやく動き出しているということなのでしょうか?

 グラフをご覧ください。

法人企業統計

 四半期毎の設備投資の推移をプロットしたものです。赤のラインがGDP統計における設備投資の額であり、青のラインが法人企業統計における設備投資の額です。

 ほぼ似たような傾向を示していることが分かると思うのですが…しかし、法人企業統計調査で示された2015年1-3月期の設備投資は、このグラフで示された期間における最高値を示していますが、GDP統計の設備投資はそうはなっていないのです。

 我々は、通常、GDP統計の数値を頼りにすることが多いので、設備投資はまだそれほど動き出してはいないという認識であったのですが、法人企業統計調査の結果を踏まえれば、設備投資が動き出したということなのでしょうか?

 但し、仮にそうだとするのであれば、設備投資の先行指標と言われる機械受注統計との関係はどうなっているのでしょうか?

 機械受注統計の方は、相変わらずそれほど目新しい動きは出ていませんよね。

 とうことで、今回の法人企業統計における設備投資が増えた理由をみてみると…NHKが報じたところですが、次のようなことを言っています。

 「これは、製造業で新型車向けの生産設備やスマートフォン用の電子部品の生産能力が増強されたほか、非製造業でも物流センターの整備やホテルの改修などが行われたためです」

 確かに、物流センターの整備やホテルの改修などは機械受注とは関係がないので、それなら辻褄が合わない訳ではありません。

 円安が進む一方なので、流石に国内の設備投資に動きが出始めたいうことなのでしょうか。


 いずれにしても、今回の法人企業統計調査の結果を踏まえ、1-3月期のGDPが、上方修正されるものと思われます。 




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 突然ですが、ベージュブックというのをご存知でしょうか?

 ベージュ色の本?

 実はですね、米国の地区連銀がまとめた経済情勢報告をベージュブックと言うのです。つまり、FRBが金融政策の内容を決定するに当たって、一番の拠り所となるレポートと言えるでしょう。

 従って、ゼロ金利の解除時期にも大きな影響を与えるであろう、と。

 興味が湧いてきましたか?

 で、そのベージュブックの最新版が4月15日に公表されましたので、早速みてみることにしましょう。例によって、読むのは日本語訳だけでも結構です。
 
Reports from the twelve Federal Reserve Districts indicate that the economy continued to expand across most regions from mid-February through the end of March.

「米連銀の12地区からの報告によれば、経済は、2月央から3月末にかけ殆どの地域で引き続き拡大した」

Activity in the Richmond, Chicago, Minneapolis, Dallas, and San Francisco Districts grew at a moderate pace, while New York, Philadelphia, and St. Louis cited modest growth.

「経済拡大のペースは、ニューヨーク、フィラデルフィア、そしてセントルイスでは控えめであった一方、リッチモンド、シカゴ、ミネアポリス、ダラス、そしてサンフランシスコでは緩やかなペースで拡大した」

Boston reported that business activity continues to expand, while Cleveland cited a slight pace of growth.

「クリーブランドの成長は僅かであった一方、ボストンの経済活動は引き続き拡大した」

Atlanta and Kansas City described economic conditions as steady.

「アトランタとカンザスシティの経済情勢は底堅い」

Demand for manufactured products was mixed during the current reporting period.

「製造品に対する需要は、この期間強弱が入り混じったものとなった」

Weakening activity was attributed in part to the strong dollar, falling oil prices, and the harsh winter weather.

「活動が弱まったのは、一部にはドル高、原油価格の低下、そして厳しい冬の天候によるものであった」

Business service firms saw rising activity, especially for high-tech services, and they expect positive near-term growth.

「ハイテク関連を中心とするサービス業では活動が上向き、 短期的にはプラスになると予想される」

Cargo diversions resulting from labor disputes on the West Coast boosted activity at several East Coast ports.

「貨物輸送については、西海岸における労働争議の結果、東海岸において活動が高まっている」

A majority of Districts reported higher retail sales, and they cited consumer savings from lower energy prices as helping boost transactions.

「多くの地区において小売の増加が報告されているが、エネルギー価格の低下によって消費者の購買力が高まり、消費活動が活発になったとしている」

Auto sales rose in most Districts.

「多くの地区において、自動車の販売が増加した」

Tourism and business travel is rebounding from the harsh winter, with contacts expecting growth for the remainder of the year in corporate and leisure travel.

「旅行と出張が、厳しい天候の反動で増加した。法人及び個人レベルの旅行が、今後年末までにかけて増加すると期待される」

Residential real estate activity was steady to improving across most Districts, although there was some slowing in housing starts due to abnormal seasonal patterns owing to the harsh weather.

「多くの地区において、居住用の不動産取引が回復している。もっとも、厳しい天候のせいで住宅着工に遅れがでたところもある」

Multifamily construction remains strong.

「アパート建設は引き続き力強さがある」

Activity in nonresidential real estate was stable or improved slightly across many Districts.

「非居住用の建設については、多くの地区において落ち着いているか僅かに改善している」

Agricultural conditions worsened slightly.

「農業に関しては、僅かに悪化している」

Factors contributing to these conditions varied by District, but included wet fields, persistent drought, and a harsh winter.

「悪化の原因に関しては地区によって区々であるが、水害や干ばつ、それに厳しい冬の天候が影響している」

Investment in oil and gas drilling declined, while mining activity was mixed.

「鉱業に関してはまだら模様であるが、石油関連の投資は減少した」

Banking conditions were largely stable, with some improvement seen in loan demand.

「金融に関しては落ち着いており、借り入れ需要に改善がみられる」

Labor markets remained stable or continued to improve modestly.

「雇用市場は引き続き落ち着いており、控えめなペースで改善を続けている」

Layoffs related to the decline in oil and gas prices were reported in multiple Districts.

「幾つかの地区で、原油価格の低下に関連したレイオフが報告された」

Difficulty finding skilled workers was frequently reported.

「技術者の求人が困難となっていることが度々報告された」

Districts noted modest upward pressure on wages and overall prices.

「賃金と物価に対する控えめな押し上げ圧力がかかっている」

 
 さあ、ここで皆さんに問題を出したいと思います。

 米国の製造業の活動は、まだら模様であったようですが、悪い意味で影響を与えた3つの材料を上げろと言われたら、貴方はすぐ答えることができるでしょうか?

 そうです、答えは、ドル高、原油価格の低下、そして、冬の悪天候です。

 では、このなかで、消費にはプラスに作用しているものがありますが、それは何でしょう。

 そうです、答えは原油価格の低下です。

 原油価格の低下によって、世界的に物価が益々上がりにくくなっているようなのですが…だから、ある意味ではデフレが懸念される訳ですが、このベージュブックでも言っているように、原油価格の低下によって消費者の購買力が引き上げられているので、経済成長にはプラスになっているのです。

 だとしたら、無理して物価を引き上げる必要はないと私は思うのですが、如何でしょう?

 いずれにしても、米国の経済には明るさが増しているような気がします。

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 本日の日経新聞の2面には、大きな字で「景気『よくなる』36%」と出ています。なんでも、日経新聞とテレビ東京が世論調査を行ったのだとか。

 私、このタイトルをみて、世の中の人々は景気がよくなると感じている人が多いのかと一瞬思いました。

 貴方もそう思いませんか?

 ただ。その大きな字の隣に「内閣支持・不支持で差」とも書いてあります。

 さらに本文を読んでいくと…

 「今後の景気について、内閣支持層では57%が『よくなると思う』と答え、『よくなるとは思わない』の26%を引き離した」とも。

 しかし、その後、「不支持層では『よくなると思う』は10%にとどまり、『思わない』は79%に達した」と。

 では、全体としてはどうなのかと言えば…なんと「よくなるとは思わない」が47%であり、「よくなると思う」が36%なのだとか。

 どう思います?

 この結果を一言で言うならば、景気「よくならない」が47%と書くのが普通なのではないのでしょうか?

 ところで、この世論調査では賃上げによる所得増の期待に関しても質問をしています。

 では、その結果はどうなったかと言えば…内閣支持層でも、69%の人々が「期待できない」と。全体でも77%の人々が「期待できない」と答えているのです。

 流石に、これでは賃上げによる所得増への期待について大きな字で報じない訳だと思いました。

 こんな報道をすれば、日経は相当安倍内閣に気を使っているなと思いたくなるのですが、如何でしょうか?

 賃上げによる所得増への期待が大きいということが分かったならば、恐らく大きく取り上げていたと思うのですが…



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 増税したから7−9月期も経済成長率がマイナスになってしまったと言われています。

 そうですよね、与党も野党もどの政党の議員もそのようにテレビで主張していますよね。

 確かに、そう言えば分かりやすいのは事実!

 しかし、それは本当なのでしょうか?

 もし、消費税増税のせいで7−9月期のGDP成長率がマイナスになったというのであれば、そもそも個人消費が4−6月期と比べて減少していなければいけないのですが…実際には減少ではなく増加しているのです。

 でも、幾らそのようなことを私が言ってもなかなか受け入れようとはしない。

 「あなたがどう言おうが、消費が冷え込んでいるのは事実なのだ」と。

 では、実際に個人消費はどのように推移しているのでしょうか。

 グラフをご覧ください。

名目個人消費

 


















 青いグラフと赤いグラフがありますが、どちらの方が正しいのでしょうか? 或いは、どちらの方があなたの実感に合っているでしょうか?

 青色のグラフの方が示すところによれば、2014年4−6月期、7−9月期とも、個人消費は前年同期を下回っているものの、ほぼ同じような水準であるとも言えます。

 一方、赤いグラフの方は、2014年4−6月期、7−9月期とも、個人消費は前年同期を大きく下回っています。

 もう一度お聞きします。どちらの方があなたの実感に近いでしょう?

 リフレ派の方々や増税反対派の方々は、赤いグラフが実感に近い、つまり正解だと言うのではないでしょうか?

 実は、青いグラフも赤いグラフもともに正解なのです。

 どういうことかと言えば、青いグラフは名目の個人消費を示し、赤いグラフは実質の個人消費を示しているだけですから。

 でも、私は、赤いグラフが実感に合っていると考えた人に問いたい!

 赤いグラフは実質値なのです。リフレ派の方々は、常日頃、GDPを見るには生活実感にあった名目値でみるべきだと言っていたではありませんか? だったら、何故個人消費についても名目ベースで見ないのか、と私は言いたい。

 いいでしょうか? 青いグラフが示す個人消費の2014年4−6月期と7−9月の値が、前年同期と殆ど近い数値を示しているということは、消費者は別に増税があったから消費を特に控えているなんてことがないことを物語っているのです。

 もちろん増税を境に個人消費が大きく減少したことは事実ですが、それは増税の直前に駆け込み需要が発生したことの反動であるだけで、増税そのものが個人消費を落ち込ませている訳ではないのです…少なくても名目ベースでは。

 一方、実質ベースの個人消費は、駆け込み需要の反動減という要素を除いても落ち込んでいるのは事実です。でも、それは増税という形で消費者が購買力が2%程度奪われたから当たり前の話なのです。因みに、何故2%分購買力が奪われたかと言えば…3ポイント税率が引き上げになっても、物価は実際には2%ほどしか上がっていないからです。

 いずれにしても、名目ベースで考えるならば、増税の影響で個人消費が大きく落ち込むことなんてありえないのです。消費者は可処分所得の許す範囲で生活に必要な物資を購入するだけのことですから。

 もし、それでも納得がいかないと思うのであれば…つまり、個人消費の動向は実質ベースで判断すべきだというのであれば、GDPも名目値ではなく実質値で判断すべきなのです。


 
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