経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 産業界

 本日の日経の1面の記事です。

 「英原発融資に全額補償」
 「政府は日立製作所が英国に輸出する原子力発電所について、日本のメガバンクなどが融資する建設資金を日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償する。先進国向けの案件を全額カバーするのは異例の措置だ。貸し倒れリスクを減らして原発事業に慎重なメガ銀などの融資を引き出す狙い。英政府には新原発が採算のとれる電力価格の設定などを求め、資金支援を要請する。」
(中略)
 「NEXIは通常、民間融資が焦げついた場合に備えた保険を提供し、融資額の90〜95%を補償している。今回の英国案件については特例で全額を補償する方向で邦銀と協議に入る。原発事業は福島原発事故以降に安全対策費が膨らみやすく、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も貸し倒れリスクが大きいと判断しNEXIの全額補償を条件にしていた。途上国向けで全額補償の例はあるが先進国では珍しく、政府は数十年程度の長期融資などを要請する見込みだ。」

 さあ、如何でしょうか? この記事をお読みになって何かお感じになりませんか?

 私は、日立も東芝のようにしてしまうのだろうか、と思ってしまいました。

 何故そのように私が考えるのか?

 その前に、先ず皆様の意見を知りたいのですが…

 貴方は、貿易保険、つまり日本政府が万が一の損失を100%補償するということについてどのようにお考えになりますか?

 そうなれば、日立も、のプロジェクトの建設資金を出す邦銀も大助かりで大変結構なことだと考えますか?

 でも、損失の100%を補償することが望ましいのであれば、何故最初から100%の補償にしていないのか?

 この記事でも、通常は融資額の90%〜95%しか補償しないと言っているでしょう?

 それは、幾ら貿易保険であるとは言え、邦銀に対してもある程度のリスクを背負ってもらわないと融資の審査がおろそかになってしまうからに他なりません。

 だって、万が一のときでも国が全額リスクを負ってくれるのであれば、お金を出す銀行としては少しも怖くない、と。

 では、万が一のことが起きたとき、国はどうするのか?

 そのために政府(貿易保険)は、保険加入者から保険料を集めている訳ですよね。

 で、その保険料は保険金との関係で決まる、と。

 損失の90%がカバーされる場合と損失の100%がカバーされる場合では、当然のことながら後者の方の保険料が高くなる、と。

 しかし、今回特例で100%の補償にするとあるので、保険料率に変更はないと思われます。

 おかしいでしょう?

 もう、これは国丸抱えのプロジェクトと言っていいでしょう。

 確かにお金の出所は民間の銀行であるものの、万が一のことが起きたときのリスクは全て国が負うと言っている訳ですから国家プロジェクトというべきです。

 しかし、儲けがでても、そのときには日立やお金の出し手である邦銀が儲かるだけ。

 そして、仮にプロジェクトが失敗すると、損失は国が負うことになり、結局、国民の負担になってしまうだけ。

 そして、ここまで政府が前のめりになってしまうと、日立や邦銀も嫌とは言えない。

 万が一のときには国が面倒を見ると言っているのだから、民間企業は余計なことを考えるなと言われているようなものなのです。

 でも、それは東芝の歩んできた道と同じようなものではないですか。

 東芝も、経済産業省や安倍総理の強い後押しがあったから、米国の原発会社の買収に踏み切ったのです。

 でも、それがあったために今や存亡の危機に立たされている、と。

 民間が全くリスクを負わないプロジェクトなんて碌なものではありません。

 問題を先送りにして日本経済を脆弱なものにしてしまうだけなのです。




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 毎日新聞の記事です。
 「相談役」「顧問」という日本企業独特の役職の是非が議論になっている。

 相談役は社長や会長経験者、顧問はそれ以外の役員が辞めた後になるのが一般的だ。平均年齢は70歳近いだろう。「会社法」に定めはなく、置く置かないは各社の自由。ただの相談役では物足りないのか、「相談役最高顧問」「名誉相談役」「相談役名誉会長」と呼ばれる人もいる。

 どう思いますか、この相談役などと呼ばれる人々?

 何故、相談役などと呼ばれる人々が企業にいる必要があるのでしょう?

 会社法には別に定めはないのに。

 そうでしょう?

 否、本音としては誰もそのようなポストは要らないと思っているのです、そのポストに就いている人以外は。

 何故そのようなポストが存在するのでしょうか?

 だって、社長や会長を歴任してきた人を、その人から指名された後輩の社長が首を切れる訳がない!

 でも、繰り返しになりますが、そのようなポストは会社法には定めがないのです。

 従って、仮に経営上の重要な問題が発生しても、相談役などが責任を問われることは一切ないのです。

 では、相談役は、企業の経営判断に影響を及ぼすことはないのか?

 相談役が全くのお飾りであるならば、責任を問われることがなくても当たり前かもしれません。

 しかし、相談役が経営判断に何らかの影響を与えていたとしたら、それから生じた結果に関してそれなりの責任を負うのが当然なのです。

 但し、会社法に相談役等の規定がないということは、本来であれば、そのような人が会社の経営判断に口を出してはいけないということなのです。

 責任ある判断は取締役会や株主総会でなされるものであって、相談役などが口を挟む筋合いのものではないのです。

 でも、本音と建前を使い分けるのが日本の社会の特徴。

 そして、そんなことがまかり通るからガバナンスが滅茶苦茶になってしまうのです。

 かつて社長や会長を務めた相談役に対して、後輩たちが黙っていて下さいとは言いにくいからです。

 政治の世界でも似たような現象が起きています。

 例えば、かつて総理を務めた人が、オリンピックの運営に口を出す、と。

 或いは、総理夫人がいろいろと国政に関して口を出す、と。

 総理夫人は公人ではないと閣議決定されているので、総理夫人は如何に口を出しても責任を問われることはないのです。

 おかしいでしょう?

 自分が言ったこと、やったことに関して責任を問われることがなくて、どうして健全な組織運営ができるでしょうか?

 私は、地方銀行等の監督業務という仕事に何年か携わったことがあり、相談役に就いている人間が銀行の経営を牛耳っていたことを見聞きした経験があります。

 頭取の人事も相談役が決めたりして…

 そういうときに不祥事が起きても、実際に判断を下していた相談役が責任を問われることは一切なかったのです。

 金融庁も間抜けですよね?



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 東芝が、監査法人のお墨付きなしの決算を発表することにしたと言われています。

 既に2度も決算発表を延期しており、そして、本日も決算発表ができないとなると上場廃止になる恐れがあるので、監査法人のお墨付きなしの決算を発表せざるを得ないと言うのです。

 東芝


 しかし、どう考えてもおかしい!

 話が逆です。

 3回目の決算発表延期となると上場廃止になるからといって、監査法人がOKと言っていない決算を発表して何の意味があるというのでしょう。

 そもそもトンデモナイ粉飾決算を行ってきて、それでも上場が認められていることが異常だと言いたい。

 金融庁の担当大臣でもある麻生副総理の責任は大変に大きいと思うのですが、分かっているのかと言いたい。

 私思うのですが、これがグレーゾーンにある案件というのであれば、監査法人だって渋々であるが適正という判断を下すと思うのです。

 その監査法人がやっぱり適正意見を出すことができないということは、言ってみればクロと言っていい案件だと考えた方がいいでしょう。

 東芝の経営陣に言いたい。

 そんな中身の保証のない決算を発表してどうするのか、と。

 投資家たちに、その決算を信用してくれというのか、と。

 今さらそんなことをしてどうなるのでしょう?

 1兆円もの赤字を計上し、大幅な債務超過に陥っていることは明らかなのですから、もはや民事再生法でも適用した方がいいと思うのです。

 それに稼ぎ頭の半導体部門を売却してしまうと、あとに何が残ると言うのでしょうか?

 エレベーターと照明器具?

 私には意味が分かりません。

 経営に失敗した訳ですから潔く責任を取るべきなのです。

 そもそも東芝の粉飾決算が明らかになった2年前から、何の根拠もなくこれは不適切な会計ではあるが決して粉飾などではないと言い放ってきたメディア、そこには日経や産経など、多くの新聞社が含まれるのですが、彼らにも相当の責任があると言いたい!

 それに経済産業省にも大きな責任があると言わざるを得ません。

 東芝の経営陣は監査法人に不信感を抱いているなんて、テレビで言っていましたが、東芝の経営陣こそ不信感を持たれているのです。


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 東芝の今期の最終赤字が1兆円になると報道されています。債務超過額は6200億円になるとか。

 ところで、東芝の粉飾決算が表面化したのは2015年7月頃のことかと記憶しています。

 当時、私を含め一部の者が粉飾決算という言葉を使っていたのに対して、日経や産経を含む多くのメディアは粉飾決算とは言わず、不適切な会計処理という言い方をしていたのをご存知でしょうか?

 産経などは、売上額の水増し操作をしているものの、別にそれをしなくても赤字になるのではないのだから…なんて言っていませんでしたっけ?

 それが、2年も経たずにこの体たらく!

 1兆円を超える赤字なんて、原発事故を起こした東京電力で記録されただけなのです。

 それくらいのすご〜い規模の赤字なのです。

 どうしてこんなことになったのか?

 原因はいろいろある訳ですが…一つには、米国のウエスティングハウス社を相場よりも遥かに高い価格で買い入れたものの、その原子力事業が裏目に出たことなのです。

 アホか! と言いたい。

 ただ、そうした判断に至ったのは、東芝だけの責任ではないのです。

 というよりも、国の後押しがあった、と。

 経産省は当時、『原子力立国計画』を発表し、既存原発の60年間運転、30年以降も原発依存度30〜40%を維持、核燃料サイクルの推進、原発輸出を官民一体で行うとぶち上げていたのです。

 つまり国家ぐるみの買収計画だったと言ってもいい!

 そして、その原子力立国計画を立案したのが、今、安倍総理の秘書官をしている今井氏なのです。

 それに、安倍総理と東芝の社長などは何度も海外に原発プラントの売り込みに行っていたでしょ?

 東芝とすれば、これは国家プロジェクトだ、と。総理が後ろについているのだ、と。

 そこで、無理が無理を呼び、とんでもない会計ルール違反を犯してしまったのではないでしょうか?

 しかし、結局、もはやこれ以上の先送りは無理だと分かり、こんなとんでもない状態になっているのです。

 私、本日の新聞の記事をみて驚いたのですが…

 今まで大手行は、東芝の債務者区分を「正常先」にしていたのですって。

 で、流石にそれではまずかろうということで、今回、「要注意先」に変更した、と。

 呆れてものも言えません。

 要注意先だなんてレベルでないことは明らかではないですか。だって、6200億円もの債務超過になってしまったのですから。

 どんなに甘く見積もってもその下の「要管理先」或いは、「実質破たん先」にしてもおかしくないほどなのです。

 今の金融庁は、そんな大甘の資産分類を認めているのです。

 おかしいでしょう?

 いずれにしても、東芝は債務超過をなんとか解消しなければならないということで、半導体メモリー事業を売却する予定だとされています。

 但し、一番の稼ぎ頭の半導体メモリー事業を売却してしまうと、あとは、エレベーターとか照明器具の事業などしか残らないというのです。

 つまり、東芝という名前を残すことができても、エレベーターの東芝ということになってしまうのです。

 なんと寂しいことなのか!

 こんなことになるくらいなら、もう何年も前に、真実を明らかにして抜本的な改革に取り組んだ方がどれだけよかったことか!

 嘘に嘘を重ねても、結局、こういうことにしかならないのです。

 テルミクラブも同じではないですか!?

 でも、今の政権が続く限り、粉飾がなくなることなどないでしょう!

 しかし、だからこそ、私は、安倍総理は辞めるべきだと思うのです。

 そうしなければ、日本経済の再生はあり得ないでしょう。



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 読売新聞が、石炭価格急上昇していると報じています。

 「石炭価格、50%上げへ…1〜3月鉄鋼生産用
 「鉄鋼生産に使う石炭(原料炭)について、新日鉄住金と海外の資源大手が、2017年1〜3月期の「長期契約」で輸入する価格を、16年10〜12月期に比べて約50%引き上げる方向で最終調整していることが分かった。1トン当たり300ドル前後となる。国内の鉄鋼各社も追随する見通しだ。」
 50%の引き上げで300ドルになったということは…

 300÷1.5=200

 前回の価格は200ドルということになります。
 でも、「取引ごとに決まる「スポット価格」は年初に75ドル前後だったのが、直近は300ドル超となっている。」 
 ということですので… 

 300÷75=4

 つまり、1年も経たないうちに4倍にまで価格が上がっているのです。

 これは、大変なことですね。

 グラフをご覧ください。

原料炭価格の推移


 まさに石炭(原料炭)の価格が急上昇している様子が分かると思うのです。

 では、何故石炭の価格が高騰しているかと言えば…

 (1)中国政府が過剰な生産能力を抱える石炭産業の生産調整を進めており、生産量を削減しているから。

 (2)中国では今夏、エルニーニョ現象の影響で、原料炭の4割強を生産する山西省で豪雨が発生し、炭鉱操業や鉄道輸送に影響が出たから。さらに、世界最大の原料炭輸出国である豪州のクイーンズランド州でも複数の有力炭鉱が操業トラブルに見舞われるという事態が発生したから。

 では、鉄鋼メーカーは、この石炭価格の上昇分を鉄鋼価格に反映することができるかと言えば…

 石炭と同じく過剰設備を抱える鉄鋼の減産は思うように進まず、中国がダンピングを続けているため、石炭高騰分を転嫁することは困難な状況にある、と。

 ということで、ただでさえ鉄鋼の価格が低下して採算が取れない状況になっているのに、そこに原料炭価格の上昇というさらなる悪材料が重なり、鉄鋼メーカーとしては泣きっ面に蜂の状態になっていると言っていいでしょう。

 但し、その一方で、石炭の主要な輸出国であるオーストラリアなどはまさに恵みの雨ということで大歓迎しているようなのですが…ただ、振り返ってみると、その石炭産業はつい最近まで衰退産業とみなされてきた訳で、なんとも複雑な状況が展開されているのです。

 今年に入るまで石炭の価格は低下しっぱなしの状態が続いていた訳ですが、その理由について東洋経済(2014年9月7日号)は次のように報じていたのです。
 石炭は発電に使われる一般炭と、鉄を作るのに使う原料炭に分かれる。日系鉄鋼メーカーが使用する原料の指標である豪州産強粘炭の契約価格は、ピークだった2011年に1トン当たり330ドルをつけたが、2014年7〜9月は同120ドルまで低下した。

 (中略)

 価格下落の要因は2つ。中国の鉄鋼需要の伸びが減速していることと、豪州で原料炭の増産が続いていることだ。

 2013年の中国の鉄鋼生産量は7億トンと、世界のほぼ半分に達している。ただ中国経済の減速を受け、足元の生産量は2014年1〜7月実績で前年同期比5%の伸びにとどまっている。かつての年間2ケタ増という水準からすれば、大幅な鈍化だ。

 要するに、中国の動向次第で世界経済が大きく影響を受けるということなのですね。




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 本日の日経によると、上場企業の年金債務が2015年度末に91兆円と過去最高に膨らみ、その結果、企業年金の積立不足額も26兆円に拡大したとされています。

 公的年金の持続可能性に疑義が抱かれるようになってから久しい訳ですが、企業年金についても安心してはいられないのです。

 具体的に言えば、当然支給されると思っている退職金や企業年金が、将来、支払われないという事態もあり得るということなのです。

 でも、どうしてここにきて上場企業の年金債務が急に膨らんでいるのでしょうか?

 そもそも企業の年金債務とは、企業が将来支払う年金や退職金の総額の現在価値を示したものなのです。例えば、1年先に100億円支払う債務の現在価値は、仮に割引率(利回り)が10%だと90.9億円となります。

 どうしてかと言えば、現時点で90.9億円保有していて、それを1年間10%の利回りで運用すれば、1年後には100億円になるからです。

 同様に、仮に割引率が5%であれば現在価値は95.2億円となり、割引率が1%だと99億円となるのです。

 もうお分かりのように、割引率が低くなればなるほど、年金債務の現在価値は膨らむのです。

 因みに、この割引率がマイナスになると、現時点で将来支払うべき以上のお金を用意しておかなければならないということになってしまうのです。

 ということで、何故上場企業の年金債務が膨らみ、積立不足額が拡大しているかと言えば、日銀がマイナス金利を導入したことが大きいのです。

 日銀がマイナス金利を導入すれば、企業は益々低い金利で資金を調達できるから、企業収益上プラスになる筈だと言われますが、実は、その反対のマイナスの影響があることもこれで分かるのです。
 
 ところで、安倍総理は、アベノミクスのエンジンをもっとふかす必要があるなんて言っていましたよね。

 つまり、金融緩和をもっとやる、と。でも、そうなるとマイナス金利幅がさらに拡大し、さらに年金債務が膨らみ、企業収益が悪化する恐れがあるのです。

 一体何のための金融緩和なのかと思ってしまいます。

 マイナス金利は、そんな深刻な作用を及ぼしているのだということをリフレ派の人々は知らないのでしょうか?


 
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 インドの鉄鋼大手のタタ・スチールが英国での事業を売却すると発表したものですから、今、英国では大変な騒ぎになっているようです。つまり、政治家は何とかすべきではないかという声が上っているのです。

 でも、事業を売却するというくらいで、どうしてそんなに注目されるのかと言えば…

 なかなか買い手が見つからない…そして、買い手が見つからないと、工場は閉鎖。そうすると、そこで働いてる約4千人の従業員を含め、英国全体では約1万5千人の労働者が職を失う可能性があるからです。

 まあ、米国のかつてのビッグ3の破綻騒動に匹敵すると言ってもいいのかもしれません。

 それに、鉄鋼業と言えば、かつての産業革命の象徴ともいえる産業であり、そして、かつては英国が世界一の鉄の生産国であったこととも関係しているのかもしれません。

 鉄は国家なりという言葉もあります。ビスマルクの言葉ですね。

 幾ら製造業のウェイトが縮小する運命にあるとは言っても、全く鉄鋼を生産しないような国になってしまうことに対する不安があるのかもしれません。

 事実、国連の安全保障常任理事国のなかで、鉄を生産しない国が存在するのか、なんて声も聞こえてくるのです。英国の防衛力にも影響を与えるのではないか、と。

 では、何故これほどまでに英国の鉄鋼業が衰退してしまったかと言えば…

 それは、最近になって始まったことではないのです。このタタ・スチールはインドの会社であって、10年ほど前に英国の鉄鋼メーカーを買収し、事業が続けられてきたに過ぎないのです。

 しかし、そのタタも英国からの撤退を余儀なくされる、と。

 何故でしょう?

 幾つかの理由が挙げられているようですが、一番の理由は、世界的に鉄鋼が供給過剰になっているなかで中国が安売り攻勢をかけているので、英国の鉄鋼メーカーは採算が合わないから、というのです。

 中国は世界全体で生産される粗鋼の半分を占め、二位の日本以下を大きく引き離しているので、その影響力は計り知れないものがあるのです。

粗鋼生産量ランキング

 しかも、その中国の鉄鋼メーカーは、政府から補助金を得ているだけではなく、二酸化炭素等の排出基準が緩いので、遥かに価格競争力があると言うのです。

 では、米国政府がビッグ3を救済したように、英国政府も救済に乗り出すのでしょうか?

 それとも、他の何らかの手段に乗り出すのでしょうか?

 国有化する以外の手段としては、海外から安い鉄鋼が入ってこないようにするために高い関税をかけることが考えられますが…しかし、そのようなことをすればEUのルールを破ることになり、EUに留まることが難しくなるとされています。

 では、いっそのこと、この際EUを離脱すべきなのか?

 しかし、英国の鉄鋼輸出の大部分はEU向けであるので、EUを離脱すると、鉄鋼の輸出が激減する恐れがあるのです。

 また、英国の鉄鋼メーカーがどんなに努力しても、中国の安い鉄鋼に太刀打ちできないのが事実だとすれば、仮に英国が鉄鋼メーカーを国有化したところで何の解決策にもならないでしょう。

 人民元がこの先、ドルと肩を並べる国際通貨になることを見越した上で、中国にすり寄っている英国は、その中国によって自国の鉄鋼産業が壊滅状態に追いやられようとしているのです。

 なんと皮肉なことなのか!

 但し、英国の労働者のうち、鉄鋼業に直接従事している人は2万人程度であり、全体に占める割合は、0.067%程度の過ぎないのです。

 つまり、鉄鋼メーカーの工場が全て閉鎖されても、英国経済に与える影響は限られていると言っていいでしょう。

 それに、より高品質、つまり付加価値の高い製品に特化することによって生き延びる方法はあると考えます。

 金融業にばかり力を注いだ結果が、このような事態を生み出したも言えるのです。





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 本日、貿易統計が発表されました。

 2015年の日本の貿易収支は、2兆8322億円の赤字になったものの、そして、赤字は5年連続であるものの、赤字は77.9%も減少していると報じられています。

 では、何故貿易赤字なそのように大きく減少しているのでしょうか?

 理由は、聞かなくても大体分かりますよね。

 そうです、原油やLNGの価格が低下したことが大きいのです。

 では、円安によって輸出が伸びたことは効いていないのでしょうか?

 2015年の輸出額は75.6兆円と、前年の73.1兆円から3.5%増加してはいるのですが…輸入額が前年の85.9兆円から78.5兆円と8.7%減少したことに比べると効果は小さいと言っていいでしょう。

 それに、数量ベースでみると、輸出は前年に比べ1.0%減っているのです(輸入は2.8%の減少)。

 要するに、2015年は、2014年よりも円安に振れたものの日本の輸出力は回復しなかったと言っていいのです。

 グラフをご覧ください。

日本の輸出力

 円建ての輸出額、輸入額等の推移を示したものですが、ご覧のように、輸出は金額ベースでみても、まだリーマンショック以前の水準を回復していないのです。

 我が国の場合、2011年3月に原発事故が起こり、その後原油や液化天然ガスの輸入量が増えたという事情がありますが、そうしたことや原油価格の変動等の影響を除いてみてみるために、輸入額から鉱物性燃料の輸入額を除いたベースで貿易収支を試算してみました(青色の棒です)。

 それでみると、ご覧のとおり、ここ数年間ほど、日本の貿易で稼ぐ力に殆ど変化がないことが分かるのです。

 アベノミクスで円安を実現し、それによって日本の経済成長力を底上げしようとした試みは成功していないといっていいのではないでしょうか。

 財政出動派の人々は、日本の内需が弱いことが潜在成長率が低い最大の原因だなどとよく言いますが、仮に内需が弱くても、日本にもっと輸出力があるならば、海外に幾らでも輸出することが可能となり、高成長は必ずしも不可能ではないのです。

 近年、何故日本の輸出力は落ちているのか、その原因解明をしないで日本が再び高成長路線に戻ることはあり得ないでしょう。



 
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 8月3日、全米における新車販売台数を自動車各社が発表したらしいのですが、このままの勢いが続けば今年は年間1700万台を突破し、過去10年間余りで最高の売り上げになるだろうと報じられています。

 では、何故今、自動車の販売台数が伸びているのかと言えば…

 ・ガソリンが安い

 ・自動車ローンの金利が安い

 ・景気が回復してきている

 という3つの要因が考えられるのだとか。

 こうなると、かつてGMなどが破産したことがもはや嘘のように思えてくるほどです。

 あの頃、米国の自動車メーカーは、もっと燃費が良い車にシフトすべきだなんてことがよく言われたものなのです。

 で、今売れている車と言えば…SUV、つまりスポーツタイプの多目的車やトラックなどだというのです。

 どうしたのでしょうね、あの頃の反省は。

 結局、アメリカ人の嗜好は本質的に変化をしていないということなのでしょう。だから、これだけ全米で車が売れていても、トヨタの売り上げはぱっとしないのです。

 要するに、昔の米国の自動車市場に戻ったみたいだと言っていいでしょう。ということは、トヨタとしては、ガソリン価格が上がった方がメリットが大きい、と。

 念のために米国のおける新車販売台数のグラフを掲載しておきますね。

米国自動車販売台数


 どうです? リーマンショックでガクンと落ち込んだ後、少しずつ着実に回復してきているのが分かるでしょう。

 私は、ここまで新車の販売台数が回復してきているのであれば、もはやゼロ金利政策など解除しておかしくないという思いますが、実際にマーケットでも、9月にはゼロ金利政策が解除されるのではないかとの見方が強まっていると言います。

 それに、ゼロ金利政策の解除時期が遅くなれば、またぞろバブルの発生が懸念されることにもなる訳ですし…

 但し、世界の中央銀行の多くは、金融政策の内容を決定するに当たってはインフレ率をメルクマールにすることが当たり前になっているので、幾らバブルの発生が懸念される状況になっても、それに応じて金融政策に変更することが困難である場合もあるのです。

 というよりも、インフレ率の金融政策の内容に対する感応度が大変に鈍くなっていると考えるべきかもしれません。つまり、どれほど金融を緩和しようと、なかなかインフレを引き起こすことが難しくなっている、と。

 さらに言えば、大幅なマイナスのインフレ率が継続するような状況であればともかく、ゼロ%近傍のインフレ率が続くからといって、それを余りにも深刻に受け止める方がおかしいのかもしれないのです。


 いずれにしても、米国のゼロ金利政策の解除はそれほど先のことではないような気がします。



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 東芝が3年間で500億円強も営業利益を膨らませていたと報じられています。

 粉飾決算をしていたいうことですね。
どう思います?東芝もそんなことをするのかと少々寂しくなってしまいます。何とも残念!

 で、今後、東芝としてどう対応するのかと言えば…

 社外の専門家からなる第三者委員会を立ち上げ、これまでの決算を見直す方針なのだとか。

 何かあると外部の専門家による第三者委員会を立ち上げるというのは、今や危機対応のABCになった感さえあります。

 貴方もそうお感じになるでしょう?

 但し、他の種類の不祥事に関してならともなく、このような決算に関わる問題に関して今さら第三者委員会を立ち上げる必要があるのかと、私は疑問を禁じ得ないのです。

 何故かと言えば、大企業は、公認会計士または監査法人の監査を受ける必要があるからです。つまり、決算や経理処理に関しては、既に第三者委員会が存在しているようなものではないか、と。

 何故、東芝の監査法人は、そのような粉飾に気が付かなかったのでしょうか。或いは半ば気が付きながらも見逃してしまったのか? それとも、公認会計士がチェックをした後、何か大きな事情の変化が生じたのか?

 因みに、東芝はどこの監査法人を利用しているかと言えば…新日本有限責任監査法人。そこから何名もの公認会計士が送り出され、東芝の決算の内容をチェクしているのです。

 新日本さんの名誉のために言っておくと、1年前には、米国サウステキサスプロジェクト(STP)の減損処理を巡り東芝側と相当に激しいやり取りを行っていたことなどが報じられたこともあるのです。つまり、そうした報道内容からする限り、新日本の公認会計士さんたちは真摯な態度で任務を全うしようとしていたことが窺われるのです。

 そのような監査法人が一体何故?

 ここでいろいろ想像を巡らしても何の意味もないので、後は事実の解明を待ちたいと思うのですが、一つだけ私には言いたいことがあるのです。

 それは、監査法人が監査をする相手の企業から報酬を受けることに関してです。

 そもそも監査法人の監査は誰のために行うのか?

 確かに監査を行ってもらう企業のためだということが言えます。というのも、監査を経ない決算書は有効ではないからです。しかし、それ以上に監査は、決算書の内容に信頼を寄せる投資家のために存在するとも言えるのです。

 しかし、投資家は、監査法人に対して監査をしてもらってありがとうと言うこともなければ報酬を与えることもない。つまり、投資家は無料で監査法人のサービスの恩恵を受けているようなものなのです。

 で、そうなると監査法人としては、投資家のことよりも報酬(仕事)を与えてくれる企業のことばかり考えてしまうのです。

 理屈はどうあろうと、仕事がないと生き残れないのですから。だとすれば、粉飾に該当しない範囲で可能な限り依頼主の企業の事情も斟酌したいと考えるのが人情というもの。場合によっては、粉飾の疑いの濃いものを見逃してしまう恐れも。

 これが、もし監査法人の報酬が、例えば証券取引所から支払われるような仕組みになっていたとしたらどうでしょうか? 例えば、投資家が株の取引などをする際に支払う手数料の一部を証券取引所にプールし、そこから監査法人に対して支払うことにする、と。

 そのような制度であれば、公認会計士さんたちは、監査対象の企業に必要以上の配慮をする必要がなくなるのです。

 それはそれで、監査が厳しくなりすぎる恐れがなきにしもあらずですが…少なくても公認会計士が粉飾決算を知りつつそれを見逃すようなケースは殆どなくなるのではと期待されるのです。

 何故、監査の報酬制度にメスを入れようとしないのか、私にはそれが昔から不思議に思えて仕方がないのです。

 きっと、そうして監査が厳しくなりすぎることを懸念する向きが多いということなのでしょう。

 

 
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