経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 日本銀行

 本日発表になった日銀短観によれば、「大企業・製造業」の業況判断が6年ぶりの高水準になったと報じられていますが、その割には株価はむしろ下げているのです。

 どうしてなのでしょうか?

 それに、よく見てみると、中小企業の非製造業の業況判断は、な、な、なんと22年ぶりにプラスになったというではありませんか?

 それなのにどうして株価は下がるのか?

 先ず、今回の日銀短観のポイントをまとめてみました。

<明るいニュース>

・「大企業・製造業」の業況判断DIがプラス16となり、前回調査より4ポイント改善

・「大企業・製造業」の業況判断DIは2007年12月調査(プラス19)以来の高水準

・「中小企業・非製造業」の業況判断DIが約22年ぶりにプラスに(プラス4に)

・「中小企業・製造業」の業況判DIが6年ぶりのプラスに(プラス1に)

<暗いニュース>

・13年度の設備投資計画は大企業・全産業で4.6%増と、前回調査(5.1%)から下方修正


 お分かりになったでしょうか?

 マーケットが反応しなかった理由としては、本年度の設備投資計画が、前回調査時よりも下方修正されたことにあるようです。さらに言えば、大企業・製造業の業況判断DIも水準自体は高いことには違いないとしても、それは予想通りのものに留まったということもあるのでしょう。

 ところで、今回の日銀短観ついて、もし予想よりも悪い結果が出たならば、むしろ追加の金融緩和策が実施される可能性が強くなり、ドル高円安に振れるという見方が一部にあったのですが‥そして、円安になれば、それに応じて株価が上がる、と。どんな風にも理屈はつくものです。

 いずれにしても、つい先日も、安倍総理が、消費増税に伴う景気腰折れに備え日銀が追加の金融緩和に踏み切るかどうかについて「日銀の黒田総裁が適切に判断されると思う」と発言していたこともあり、そのような見方が増えているのだと思うのですが‥

 しかし、私から言わせたら、何を考えているのか!と言いたい。

 というのも、今年4月に異次元緩和策を日銀が発表したとき、それは、考えられるありとあらゆる手段を総動員したのではなかったのか?!と考えられるからなのです。

 追加の緩和策があり得るとしたら、異次元緩和策は、本当は全ての手段を総動員したのではなかったということになるのです。

 いつもいつも「おねだり」する体質から抜け切れない経済界やマーケットの体質!

 もう随分以前の話になりますが‥小泉内閣の時代に経済界の人々が、「我々はいつも国に頼ることしか考えてこなかったが、そうではなく自分たちで道を切り拓ことが大切なのだ」というようなことをしみじみと語っていたことがあったのです。

 アベノミクスの経済政策とは、まさにおんぶにだっこの政策なのです。どうしてそのような過保護な政策だけで日本の経済力が強靭さを取り戻すことなどできるというのでしょうか。



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 いきなり質問をしてみたいと思いますが‥何故今、円高に振れているのだと思いますか?

 おかしいと思いませんか?

 だって、日本は、2年間でマネタリーベースを2倍にするという未曾有の緩和策を継続する方針に何ら揺らぎはない訳ですし‥他方で、米国の方は、ひょっとしたら緩和策を早めに転換する可能性が出てきているので、ドル高円安が一層加速化することはあっても、円高ドル安に急に振れる理由がなかなか思い浮かばないからなのです。

 こんな風に考える人が多いのではないのでしょうか?

 しかし、現実には違う動きをしているのです。

 日銀の政策決定会合の結果に失望したと言って、株価が下げ、円高に振れる。

 株価が下がるのは理解できても、何故円高に振れるのか? 円安ではないのか?

 本日は、その理由を考えてみたいと思います。

 先ずいきなり答えをお示しします。

 答えは、今なおアベノミクス相場続いているからなのです。大胆な緩和策を実施することによって、円安とインフレを引き起こし、景気を回復させるのがアベノミクス。そして、そのアベノミクスに対する期待が一気に高まったので、円安が起き、株価も上昇したのです。

 ここまでは、分かりますよね?

 しかし、様々な理由によって株価が反転した。

 余りにも一本調子で上がったから、調整があってしかるべきだという意見もある。それ以外に、長期金利が上昇してしまったので、それが景気回復に冷や水をかけることになり‥だから株価を反転させたという見方もある。

 ただ、長期金利が景気回復に冷や水をかけることになっても、だったら円安に振れてもよさそうなものなのに‥

 そのように考える人が多いと思います。

 しかし、それは違うのです! そうではないのです。

 現実は、市場関係者の多くが、アベノミクスが成功するかどうかに賭けていたために、成功しそうであれば円安の圧力がかかるのに対し、成功しそうになければ、円高の圧力がかかるだけなの話なのです。

 アベノミクスが成功するということは、円安とインフレを引き起こして景気がよくなるというシナリオが現実のものになるということであり、逆にアベノミクスが失敗するということは、円高に振れて株価も下落するということを意味する、と。

 5月22日の黒田総裁の記者会見以降、黒田総裁の表情が冴えません。

 それはそうでしょう。何故ならば、黒田総裁は、長期金利を引き下げることによって企業の設備投資を喚起することができると言っていたのに‥5月の中旬ごろから長期金利が上昇を始めたからなのです。

 つまり、シナリオが完全に狂ってしまったのです。

 ご承知のように、企業の設備投資を動かして経済を自立回復の軌道に乗せたい安倍政権の面々。それらの人々に対し、黒田総裁は、日銀による異次元の緩和策によって長期金利を低下させることができるので、いずれ設備投資も動き出すと言っていたのではないでしょうか。そして、安倍政権の面々もそれを期待していた。しかし、長期金利は逆に上がり始め、
シナリオが狂ってしまった、と。

 但し、一時的にシナリオが狂っても、黒田総裁の腕力で再び長期金利を低下させることができれば、黒田総裁の信認が低下することもなかったと思われるのですが‥黒田総裁の発言は大変に心もとない。それどころか、言っていることが正確なのかも、かなり怪しい。

 黒田総裁、昨日の記者会見でも、またおかしな発言を繰り返しているのです。

 「金利のリスクプレミアムへの働き掛けや資産の再配分効果、期待を通じた効果といった量的・質的緩和の効果はいずれも働いている」「日銀による巨額の国債買い入れはリスクプレミアムを圧縮する効果があり、毎月買い入れを進めるなかでさらに強まる」

 日銀の長期国債の買い入れがリスクプレミアムを圧縮する効果があるなんて、そんなこと黒田総裁以外に言っている人がいるのでしょうか?

 誤解のないように言っておきますが、私は、日銀が国債を購入すれば長期金利を引き下げる効果があることを否定するものではないのです。だって、日銀が高い価格で国債を買えば買うほど国債の利回りが低下するのはそのとおりですから。しかし、だからといって、リスクプレミアムが圧縮される訳ではないのです。

 逆に、日銀が長期国債を買えば買うほど、財政健全化の道が遠のき、リスクプレミアムが大きくなると感じている市場関係者の方が多いのではないでしょうか。
 
 未だにそんな不合理なことを言っている黒田総裁。何故長期金利が上がるのか、長期金利を下げることが狙いではなかったのかと問われて、まともに答えることのできない黒田総裁。

 そんな黒田総裁に対し、市場は「?マーク」を付け始めたということではないのでしょうか。言っていたことと現実は違うではないか、と。

 そして、仮に黒田総裁の言うことが信頼できないとなれば、異次元緩和策の効果も信じるのがおかしいということになり‥だったら、円安ではなく円高に戻るべきではないのか、となるのです。

 そもそも黒田総裁が、2年で2倍にマネタリーベースを増やし、そしてインフレ率2%を目標にするとぶち上げても、長期金利の低下を目指すなどと言わなければこんな事態にはならずに済んだ可能性もあるのです。

 「2%のインフレ率を目指すのだから、そのうち長期金利も上昇するかもしれないが、それを心配し過ぎる必要はない。むしろ、長期金利が上がるのは、デフレから脱却する兆候なのだ」とでも、黒田総裁が最初に言っておけば、今の事態はむしろ歓迎されたかもしれないのです。

 それを長期金利を下げることによって設備投資を喚起することができる、なんて大見得を切ってしまったものだから、今こんなことになっているのです。

 結論。市場は、アベノミクスと異次元緩和策が巧く行っていないと判断すれば、これまで進んできた円安を修正する必要がある、と考える。そして、今長期金利が高止まりしていて、異次元緩和策がシナリオ通りに進んでいないと市場が判断をし、そして、黒田総裁の表情にも自信が窺えないので、円高に振れているのです。

 長期金利の上昇 → 異次元緩和策の失敗 → 黒田総裁の表情が暗くなる → 元の円高に戻る

 それに、日本の金利が上がる訳ですから、円高になって当然という面もあるのです。





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 突然ですが、長期金利は中央銀行がコントロールすることはできない、という議論をよく聞くでしょ?

 えっ、聞いたことがない? そう言われると話が進まないのですが‥いずれにしても、金融界の常識として、そのようなことになっているのです。

 では、何故中央銀行は長期金利をコントロールすることができないのか?

 最高に権威のある日本銀行の説明をご紹介しましょう。

「まず、長期金利は、短期金利とは決まり方が大変違う、ということにご注目下さい。
 短期金利の代表は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)」ですが、これは日本銀行の金融調節によってコントロールされています。また、オーバーナイト物より少し長い短期金利(1週間や1か月の金利)もオーバーナイト物に強く影響されています。つまり、短期金利は、基本的にその時点の金融政策の影響下にあるのです (注) 。
  これに対して長期金利は、その時点の金融政策の影響も受けはしますが、それとは別の次元で、長期資金の需要・供給の市場メカニズムの中で決まるという色合いが強く、その際、将来の物価変動(インフレ、デフレ)や将来の短期金利の推移(やこれに大きな影響を及ぼす将来の金融政策)などについての予想が大切な役割を演ずる(詳細は後述)、という特徴があります。」

 さあ、如何でしょうか?

 中央銀行が長期金利をコントロールできない訳が理解できたでしょうか?

 多分、多くの方が分かったような分からないような‥

 ですよね?

 いずれにしても、そもそも長期金利とは何を意味するのか?

 その定義をはっきりさせないと議論ができないように思われるのですが‥長期金利とは何ぞや?

 実は、この「長期金利」には様々な意味があるのです。

 つまり、期間の長い金利をひとまとめにして長期金利と言うこともあれば、そうではなく新発10年物国債の利回りを指す場合もある、と。

 ただ、最近関心を集めている「長期金利」が何を意味するかと言えば、新発10年物国債の利回りのことなので、これから先は、「長期金利=10年物の新発国債の利回り」だということで議論を進めたいと思います。

 確かに、10年物国債の利回りがどう決まるかと言えば‥日銀が言うように、将来のインフレの可能性や景気の動向、或いは将来の短期金利の予想などが反映されるのは、そのとおりでしょう。

 でも、それはそうだとしても、日銀が大量に長期国債を購入すれば、国債の価格が上るのではないのでしょうか? そして、国債の価格が上るということは、国債の利回りが下がるということであり、だったら、国債の利回りは幾らでも低下させることができるような気がするのですが‥

 そう思いませんか?

 もし、そうは思わないという人は、よく分かっている方だと思われるので、これから先は読む必要はないでしょう。しかし、多分、多くの方が、日銀が大量に国債を購入すれば、国債の利回りは下がる筈だ、と考えるのではないのでしょうか?

 安倍総理や麻生財務相が実際どのように感じているかは知りませんが‥しかし、多くの政治家、多くの人々が、これだけ大胆な金融政策を実施しているのに、何故国債の利回りが上がるのか、不思議に思っているのではないでしょうか?

 もちろん、国債を日銀が大量に購入すれば、いずれインフレが起きやすくなるのはよく理解できる、と。

 そして、そうやって人々がインフレを予想するようになると、長期金利も上昇するであろう、ということも理解できる、と。

 しかし、そうは言っても、日銀が国債を保有している市中銀行から大量に国債を購入すれば‥つまり、需要が供給を上回れば、国債の価格が上り、そうなれば国債の利回りは低下する筈ではないか、と。

 如何でしょう?

 貴方もそのように考えるでしょう?

 確かに、日銀が大量に国債を購入するということになれば、国債の流通市場で、需要が供給を上回るようになるでしょう。

 ただ、大事なことは、この場合、幾ら需要が供給を上回っても簡単には国債の価格が上らないということなのです。

 何故、国債の価格が上らないのか?

 それは、日本銀行が、市場実勢を尊重して国債の購入価格を決めるからなのです。つまり、幾ら国債を大量に買いたいと日銀が思っても、どれだけでもお金を出す、金に糸目は付けないと言っている訳ではないのです。だから、そこには自ずから制限があるのです。

 これがもし、幾らでもお金を出すというのであれば、国債の利回りは限りなくゼロに近くなるでしょう。否、そうではなく、マイナス金利になることさえあるのです。だって額面を遥かに超える価格で日銀が国債を購入するようなことをすれば、その一方で、償還期に日銀が受け取る元本は額面金額でしかないために、日銀にとっては国債を保有することで確実に損になるのですから、利回りはマイナスになってしまうのです。

 黒田総裁は4月4日に、今後2年間において、日銀が未曾有のペースで国債を購入すると約束した。

 president-kuroda1
 それによって黒田総裁自身、長期金利が下がることはあっても、そう簡単に上がることはないだろうと考えていたのではないでしょうか?

 しかし、幾ら日銀が大量に国債を購入するとは言っても、日銀が自由に購入価格を決定できる訳ではないのです。

 そのことについて、多くの人々が理解していないものだから‥だから、昨今の長期金利上昇の現象がイマイチ理解できない、と。

 安倍総理や麻生財務相は、そのことをどれだけ理解しているのでしょう?

 ただ、仮に政治家などが、そのことについて理解したならば、今度は次のような質問が浴びせられるかもしれません。

 何故日銀は、国債の購入価格を自由に決めないのか、と。利回りが低くなるように国債の購入価格を高くすれば済むことではないか、と。

 貴方も、そのように考えるのではないでしょうか?

 しかし、それは日銀にとってはできない相談なのです。

 何故?

 やっぱり日銀が保守的で、リフレ政策に対して警戒しているから?

 そうではないのです。

 仮に、日銀が市中銀行から購入する国債の価格を、実勢相場よりも高くすることにしたとしましょう。

 その結果、例えば、1%の利子のついた額面100円の国債を市中銀行が100円で落札をし、その後、日本銀行が長期金利を低めに誘導するために、その時点での長期金利が1%であるにも拘わらずその国債を例えば102円で購入するようなことをしたらどうなるのか?

 確かに、当該国債の利回りは低下する、つまり長期金利は下がる。それはそのとおり。

 しかし、その国債は、本来相場からすれば100円でしか売れないのです。それを、偶々日銀が高い価格で買うとなれば、市中銀行は、何もしなくて差額の2円分が儲けになる、と。つまり、日本銀行がその差額分を市中銀行にプレゼントすることになってしまうのです。

 おかしいでしょ? 市中銀行が何も苦労することなく日本銀行からお金をもらうなんて。

 だから、日本銀行は実勢よりも高い価格で国債を買い取ることができないのです。

 このメカニズムを今の日本で、どれだけの人々が分かっているのか?

 黒田総裁、本日、国会でまた、国債の大量購入によってリスクプレミアムを引き下げることができる、と訳の分からないことを言っています。

 誤解のないように言っておきますが、良い悪いの議論は別にして‥国債の大量購入によって長期金利に下押し圧力をかけることは可能かもしれませんが、しかし、リスクプレミアムを引き下げることはできないでしょう。

 黒田総裁は、何か誤解しているのではないのでしょうか?

 

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 1ドル=100円が目前に迫っています。株価も好調。

 少し怖くありませんか?

 もちろん、まだまだ、という声も聞こえるのですが‥

 確かに賃金はまだ上がってはいないし、インフレが実現した訳でもない。その意味では、次元の違う金融政策が始まったばかり。

 しかし、繰り返しになりますが、株価はこんなに上がっている訳ですし、円安も相当に進んできている、と。

 私は、腹八分が大切だと思うのです。私の言いたいことがお分かりでしょうか?

 もし、まだマイルドなインフレが達成された訳ではないということで、日銀にさらに張り切らせるとどうなるのか?2%のインフレが早く達成できた方がいいですか?

 もちろん、私は、早く賃上げが実現するのは大賛成。しかし、物価はそれほど上がらなくてもいい。というか上がらない方がむしろいいと思うのです。

 私が、こんなことを言えば、リフレ派的な政策を支持する人々は、何を今さらと仰るでしょう。

 とにかく、デフレの脱却が先決なのだ、と。もっと具体的に言えば、2%のインフレ率を達成することが先決なのだ、と。

 しかし、私は言いたい。

 もし、2%のインフレが達成されたら‥或いは2%のインフレ率が達成されそうになったら、この次元の異なる金融政策は、その時点でストップしなければならない。

 そうでしょう?

 つまり、もはや大規模な国債の買い入れも終わりになる、と。

 そうなれば、何が起こるのか?

 今度は、ここ数カ月間に起きたことと正反対のことが起こる恐れがあるのです。

 ここ数カ月間で、こんなにも低下した我が国の長期金利。



日米10年物国債利回り

 こうして金利が下がるので、
資金がどんどん海外に流出して円安になる、と。

 これと正反対のことが起きるのです。

 つまり、国債を買い支えることができずに、国債の
価格は暴落する、と。そうでなくてもインフレ率が2%という水準に達するならば、黙ていても長期金利は上がる筈なのに、それに加えて、今度は日銀が国債を売りに出す事態となるために、金利は益々上がる、と。

 だって、インフレ率が2%以上にならないようにする責務が日銀にはあるので、
今までの政策を一転し、今度は市場からマネーを回収しなければならず、その
ために手持ちの国債を売りに出す、と。


 長期金利が上れば、今度は、今とは正反対に海外からまたしても資金が流入し、円高になる、と。

 そんなことになるのは歓迎ではないでしょう?

 だから、この際、物価は、マイナスにさえならなければ、それほど上がる必要もないというか、上がっては困るということが分かると思うのです。

 それでも、やっぱり2%のインフレ率の達成が是非とも必要だと思いますか?

 私は、ここら辺りで、将来のシナリオをじっくりと考えるべきではないか、と思うのです。


 
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 円安がさらに進んでいます。1ドル98円台に乗せている、と。

 私などは、円安もほどほどにして欲しいという立場なのですが、いずれにしても黒田日銀総裁が打ち出した次元の違う金融政策の凄いこと!

 昨日は、その本質について書いたのですが‥本日も、それについて書きたいと思います。

 黒田総裁の金融政策とは何か?

 それは、一言で言えば、国債保有禁止令。

 もちろん、国債保有禁止令と言っても、投資家が国債の保有を禁止される訳ではないのです。買いたい人はご自由に、と。

 しかし、幾ら国債を買いたいといっても、日銀が高値で国債を買い占めるようなことをするので、国債の利回りがどんどん低下してしまうのです。

 世界一の借金大国である日本政府の国債の利回りが0.315%を付けるなどと、誰が想像できるでしょう。

 でも、日銀がかたっぱしに国債を買い占めるので、国債の価格は上がる一方。そして、利回りは下がる、と。

 つまり、今や国債の価格は、日銀によって大きく歪められたものになり、内外の投資家からすれば、日本の国債はペイするものではなくりつつあるのです。

 しかし、そうやって国債の投資が事実上、選択肢から排除されれば、当然のことながら、投資家には行き場を失った余裕資金が発生し、そのお金がどこかに流れざるを得ず‥

 てなことをクロトンは考えているのです。

クロトノミクスとは


































 市場の機能を損なうようなことをすれば、今は人気のある政策ですが、いつかは悪く言われるようになる気がします。


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 日曜日にブログをお読み下さり、ありがとうございます。

 いや〜、それにしても先週の黒田総裁のデビューは凄いものがありましたよね。

 「株価が13000円を突破したし‥」

 それもありますが‥

 「東証1部の出来高が、過去最高の58億株を記録したし‥」

 そんなに株取引が活発になっているのですね。さぞかし、株式投資を再開したいと考えている人が多いと思います。

 だって、こんなに株価が上がる訳ですから‥こんなに株価が上がるのに株式投資をしないなんて、バカみたいに思われる‥

 「円が97円台になったから、余計に株が買われるのかな?」

 そうですね、為替も一段と円安が進んだのでしたよね。

 でも、先週の出来事のなかで、もう1つ忘れてはいけない出来事があったのですが、それが何か存知でしょうか?

 そうなのです。長期金利、つまり10年物国債の利回りが0.315%と、これまた最低値を記録したのです。もっとも、最低値を記録した後に、0.6%台に跳ね上がるなど乱高下を繰り返したとされていますが‥

 まあ、こうして黒田総裁のデビューによってアベノミクスに拍車がかかり‥というよりも、安倍総理より黒田総裁の発言の方が今後注目されそうな気配であるのです。

 恐らく今、黒田総裁の支持率を調査したとすれば、圧倒的な支持率を誇ることでしょう。というか、黒田総裁を批判するなんて、お前はアホか!と。

 では、何故これほどまでに黒田総裁の金融政策は効き目があるのか? そして、黒田総裁の金融政策、つまりクロトノミクスの本質とは何なのか?

 お分かりになるでしょうか?

 でも、殆どの方は、まだクロトノミクスの本質が分かっていない。分かっていないけど、とにかく、これまでと違う規模の金融緩和をやると断言しているので、効果がない筈がないと信じている。

 最近、麻生副総理の表情が余り冴えないですよね。

 何故でしょう?麻生副総理もアベノミクスを推進する中心人物の一人である筈なのに‥

 でも、麻生副総理は、金融政策の効果は知れていると考える財政出動派なので‥どうも自分が言ってきたことが否定されているみたいで面白くない面があるのでしょう。

 その一方で、安倍総理はご満悦の筈。自分の主張は正しかったのだ、と。

 では、安倍総理は、クロトノミクスの本質が分かっているのか?

 多分、分かっていないと思うのです。

 だって、安倍総理は、額に汗して働く人が報われるような社会でなければならない、と言っていたからです。つまり、アベノミクスは、そうした勤勉な人々に夢を与える政策であると。

 では、クロトノミクスはどうなのか?

 額に汗して働けば報われるということを教えているのか?

 答えは、ノー。

 クロトノミクスは、アリさんではなくて、キリギリスさんを応援する政策のです。

 貴方にクロトノミクスの本質を問いたい。クロトノミクスとは何か?

 「2、2、2の政策だ」

 インフレ率を2年で2倍にするためにマネタリーベースを2倍にするのでしたよね。

 では、そのために何をするのか? 

 クロトンは、1年間で60兆円から70兆円ほど国債を買い増すと言っているのです。(但し、長期国債の購入は、50兆円ほどと言っています)

 一方、毎年度の新発国債の発行額は、2012年度が50兆円弱、そして、今後は恐らく減少するとみられているので、今後2年間では80兆円から90兆円ほど新発国債が発行されるのではないか、と見られる訳ですが、その一方で、日銀が今後2年間で100兆円ほど市中から長期国債を買い上げると言っているので‥当然のことながら、その差額の分だけ、民間銀行や生命保険会社など投資家が保有する国債は減ることになるのです

 要するに、民間銀行や生保が幾ら国債を保有したいと思っても、それを上回る条件で日銀が国債を買い取ってしまうので‥市場には国債が出回らなくなってしまう。

 そして、そうして国債が市場で出回らなくなると、国債の価格が益々上がり、金利はさらに低下する、と。

 これまで、民間銀行は、幾ら長期国債の利回りが低くいとはいっても、さらに利回りが低下し、国債の価格が上ることも期待できていたので、国債投資に旨みがあったのですが、流石にこれだけ長期金利が下がってしまうと、もう本当に下がる余地がなくなり、従って、国債の価格が上ること期待することはできない、と。

 要するに、クロトンの大量の国債購入策は、国債の流通市場を機能させなくする措置でもあるのです。

 そして、同時に民間銀行は、日銀に国債を売却した代金が懐に入るので、取り敢えず当座預金においておくとしても、いずれはその余裕資金を何かに投資することを考えるかもしれない、と。

 先週、長期金利が0.315%を付けたと言いました。

 10年間、借金をしても、金利は0.315%で済むというのですから、想像を超えた低金利時代というべきでしょう。

 しかし、そうして未曾有の低金利状況が発生すると、民間銀行から見て、他の投資の魅力が相対的に増すこと必至。つまり、これまではリスクがあるように見えていた株式投資も、国債の投資の魅力が落ちることによって、有力な選択肢として浮上する、と。

 いずれにしても、民間銀行としては、これまで安全な投資手段と考えていた国債への投資がクロトンによって制約される結果になる訳ですから何か他のことを考える必要がある、と。

 で、気が付いたら、今、こうして株価が上がっているのです。

 確かに20年ほど前、株価が暴落して大損を経験した民間銀行。

 しかし、株式投資を再開するのは何時なのかと、彼らは考えている。

 「今でしょ!」

 そのように囁く声が聞こえてくる。

 民間銀行は、株式投資に再び本格的に参入することになるでしょう。

 そうして横並び的な発想をしがちな日本の金融機関が一斉に株式投資を再開すれば、さらに株価が上がる、と。

 つまり、クロトノミクスというのは、日銀が国債の流通市場積極的に介入することによって国債投資の旨みを奪い去り、そのことによって民間銀行などを他の投資先に追いやる政策であるです。
クロトノミクス
 

 



































 他の投資先には、もちろん一般企業に対する融資も含まれる訳ですが、いずれにしても民間銀行は何かを考えなければいけないのです。

 日本の国債が購入できないとなれば、米国債を購入しようという民間銀行が増えるかもしれません。
そうなれば、まだまだ円安が進むことになるのです。

 いずれにしても、そうして株や不動産の価格が回復すれば、人々の気持ちが明るくなるので、企業や家計がお金を使うようになるであろうというのが、クロトノミクスの本質であるのです。

 一言で言えば、バブルを起こすのがクロトノミクス。



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 ウォールストリート・ジャーナル5日付の社説で、黒田総裁を「日本のバーナンキ議長」と評したと報じられています。

 クロトンがバーナンキ?

 それだけ世界的に見ても注目されているという証でしょう。

kuroda1  いずれにしても、これだけ黒田総裁の存在がクローズアップされると、これからはアベノミクスというよりも、クロトンをもじって、クロトノミクスという言葉がもてはやされるようになるかもしれません

 では、クロトノミクスとは何か?

 クロトノミクスとは、量的・質的金融緩和策の別名。

 クロトノミクスはどのようなメカニズムでマイルドなインフレを起こし、デフレから脱却させることが可能なのか?

 ここで少し貴方に質問をしてみたいと思います。

 大胆な金融政策を打つと、例えば2%程度のインフレが何故起きるようになるのか?

 如何です?

 私の想像ですがリフレ政策を支持する多くの方は、世の中に出回るお金の量が増えれば、インフレになるのは当然ではないか、と考えると思うのです。

 世の中に存在するモノやサービスの量が一定である一方で、お金の量が増えれば、お金の量が増えるに応じて商品の価格は上がる筈だ、と。

 そういう考え方を貨幣数量説という訳です。

 では、クロトンこと黒田総裁もマネーを大量に市場に放出すれば、物価が上がるのは当然だということで、ガンガン長期国債を購入するというのか?

 もし、そうであれば、非常に分かり易い。そう言った考えが正しいかどうかは別にして、非常に分かり易い。

 今まで日銀がやってきたことが非常に生温いと批判する人々の多くは、多分、そのような考え方をしていると思うのですが、如何でしょう?

 話は本線に戻りますが、では黒田総裁は、どういうメカニズムでマイルドなインフレを起こすというのか?

 もちろん彼の主張はもう既にご承知のように、今後2年間に渡って大量に長期国債を買い上げることが中心になっており、従って、それに応じてマネタリーベースが大量に供給されることになるのですが‥

 では、マネタリーベースが増大すれば、即インフレが起きると言うのか?

 でも、彼の主張はそんなに単純ではないのです。

 彼が持っていたフリップには次のように書かれてあったのです。

 1.長めの金利や資産価格のプレミアムへの働きかけ

 2.リスク資産の運用や貸し出しを増やす
   ポートフォリオリバランス効果

 3.市場・経済主体の期待 の抜本的転換
 

 何のことがお分かりになります?これだけでは、何が何だか分からないと思います。そこで、彼が記者会見で述べたなかから、大切な箇所を抜き出してみました。

 「金融市場調節の操作目標としては、マネタリーベースが一番適切だろうと考えました。それから、ネタリーベースは、端的に言うと、日本銀行の出す通貨、お金という意味でも分かりやすく、学界でも一番よく知られている指標ではないかと思います」

 「長めの金利をさらに下げていく、あるいは資産価格のプレミアムに働きかけていくことによって、より十分あるいは迅速に資金需要に対応できるようになり、その結果、これまでよりも、当然、資金需要が出てくるわけです。このような形で、かなり直接的にイールドカーブ全体を下げ、リスクプレミアムを縮小していく効果があります」

 「また、こうしたことを通じ、金利が下がり、リスクプレミアムが下がっていけば、投資家や金融機関、あるいは企業や個人などの主体は、他のポートフォリオに資産をシフトしていくわけです。そのようなポートフォリオがシフトしていく先には、色々な資産、例えば、株や外債やその他たくさんあると思いますし、一部の経済学者には、直接的に投資や消費に――特に投資に――シフトしていくという議論をする方もおられます。従って、ポートフォリオ・リバランス効果というのも、かなり期待できるのではないかと思います。その上で、市場・経済主体の期待に影響が出てくると、物価がこれまでよりも上がっていくという見方が出ます。今後、物価が 2%程度上がっていくと見込まれた場合には、設備投資や住宅投資、その他の投資の需要も増えてくることになります」

 さあ、如何でしょう? これで黒田総裁がどのようなことを考えているの分かったでしょうか?

 彼は、世の中に出回るお金の量が増えれば、即インフレになるなんてプリミティブな議論は展開しないのです。

 彼の主張を非常に単純化すれば次のようになるのです。

 長期国債をガンガン買う。

 そうすると、長期金利が下がる。長期・中期も含め、金利全体が下がる。

 そして、長期国債を買うと同時に、株や不動産買う。

 そうすると、株や不動産の価格が上る。

 こうしたことの結果、投資家は、国債への投資から、株や不動産、或いは貸出など投資シフトする。

 で、そうした変化が起これば、企業や家計の予想に変化が起こり、経済活動が活発となり、インフレが起きる、と。


 お分かりになりましたか?

 ところで、皆さんのなかには、マネタリーベースが2年間で倍増する訳だから、だったら、それだけでインフレが起きると何故言わないのかと不思議に思っていらっしゃる人も多いと思うのです。

 でも、言っときますが、確かにクロトンはマネタリーベースを2倍にすると言ってはいるのですが、実際に世の中に出回る日銀券の量は、たった3兆円しか増えないとも言っているのですよ。

 まあ、いいでしょう。

 いずれにしても、では、このクロトンの考えは、オリジナルなものなのでしょうか?

 それとも、これまで先人たちが言ってきたことをいろいろと取り入れた結果なのでしょうか?

 どう思います?

 実は、クロトンのこのアイデアは、バーナンキ議長が2012年8月31日にジャクソンホールで行った講演の内容とほぼ同じものなのです

 このブログでもその講演の内容を訳して紹介したのですが‥憶えていますか?

 憶えていないですよね。

 では、大事なところを再現してみましょう。

Balance Sheet Tools

In using the Federal Reserve's balance sheet as a tool for achieving its mandated objectives of maximum employment and price stability, the FOMC has focused on the acquisition of longer-term securities--specifically, Treasury and agency securities, which are the principal types of securities that the Federal Reserve is permitted to buy under the Federal Reserve Act. One mechanism through which such purchases are believed to affect the economy is the so-called portfolio balance channel, which is based on the ideas of a number of well-known monetary economists, including James Tobin, Milton Friedman, Franco Modigliani, Karl Brunner, and Allan Meltzer. The key premise underlying this channel is that, for a variety of reasons, different classes of financial assets are not perfect substitutes in investors' portfolios. For example, some institutional investors face regulatory restrictions on the types of securities they can hold, retail investors may be reluctant to hold certain types of assets because of high transactions or information costs, and some assets have risk characteristics that are difficult or costly to hedge.

「雇用の最大化と物価の安定という連銀の使命を達成する手段としてバランスシート政策を使用するに当たり、FOMCは、特に長期国債、或いは政府機関債の取得に焦点を当てた。そうした債券は連銀法によって購入が許されているものである。そうした債券の購入を通して経済に影響を与えることができると信じられているメカニズムは、所謂ポートフォリオを通じたものである。そうした考えは、ジェームズ・トービン、ミルトン・フリードマン、フランコ・モジリア二、カール・ブランナー、そしてアラン・メルツアーなどの著名なマネタリストのアイデアが基になっている。この効果の重要な前提は、異なった金融資産は、投資家のポートフォリオ上、完全な代替資産にはなり得ないということである。例えば、ある機関投資家が彼らが保有することのできるある種の証券について法的な規制がかかったとするならば、個々の投資家はその種の資産を保有することを躊躇するようになるかもしれない。というのも、取引コストや情報コストがかかるからである。そして、ある資産はリスクを負うようなり、そのリスクをヘッジすることは難しいかお金がかかるようになる」

Imperfect substitutability of assets implies that changes in the supplies of various assets available to private investors may affect the prices and yields of those assets. Thus, Federal Reserve purchases of mortgage-backed securities (MBS), for example, should raise the prices and lower the yields of those securities; moreover, as investors rebalance their portfolios by replacing the MBS sold to the Federal Reserve with other assets, the prices of the assets they buy should rise and their yields decline as well. Declining yields and rising asset prices ease overall financial conditions and stimulate economic activity through channels similar to those for conventional monetary policy. Following this logic, Tobin suggested that purchases of longer-term securities by the Federal Reserve during the Great Depression could have helped the U.S. economy recover despite the fact that short-term rates were close to zero, and Friedman argued for large-scale purchases of long-term bonds by the Bank of Japan to help overcome Japan's deflationary trap.

「資産の不完全な代替性が意味するところは、個人投資家が入手できる様々な資産の供給に変化が現れるということは、そうした資産の価格や利回りに変化をもたらし得るということである。こうして連銀が、例えば住宅ローン抵当証券(MBS)を購入すれば、価格が上がり、利回りが低下することになろう。さらに、投資家はMBSを連銀に売却し、その代り他の資産を入手することによって彼らのポートフォリオには変化がもたらされるので、彼らが購入する資産の価格は上がり、その利回りは同様に低下するであろう。こうた措置により利回りが低下し、そして価格が上がることによって金融市場は緩和され、経済活動は刺激される。こうしたロジックに従い、トービンは大恐慌の際の連銀による長期債券の購入が米国経済の回復に貢献したと示唆する。当時、短期金利はゼロに近くなっていたという事実に拘わらずである。フリードマンは、日本銀行による長期国債の大規模な購入がデフレの罠から抜け出すのに貢献すると論じた」

Large-scale asset purchases can influence financial conditions and the broader economy through other channels as well. For instance, they can signal that the central bank intends to pursue a persistently more accommodative policy stance than previously thought, thereby lowering investors' expectations for the future path of the federal funds rate and putting additional downward pressure on long-term interest rates, particularly in real terms. Such signaling can also increase household and business confidence by helping to diminish concerns about "tail" risks such as deflation. During stressful periods, asset purchases may also improve the functioning of financial markets, thereby easing credit conditions in some sectors.

「大規模な資産購入策は、金融市場や広い意味の経済に違ったチャンネルを通じても影響を及ぼし得る。例えば、彼らは、中央銀行が以前よりもさらに緩和策を取るという姿勢を市場に示すことができると言う。そして、そうすることによって投資家の金利見通しを引き下げることとなり、また長期金利―特に実質金利ベースでみて―に下押し圧力をかけることになる。そうしたシグナルはデフレなどのテールリスクについての懸念を弱め、家計や企業の自信を回復させることにもなる。金融危機の局面では、資産の購入が金融市場の機能を正常化させ、そしてそれによって融資条件が緩和されることにもつながるであろう」

With the space for further cuts in the target for the federal funds rate increasingly limited, in late 2008 the Federal Reserve initiated a series of large-scale asset purchases (LSAPs). In November, the FOMC announced a program to purchase a total of $600 billion in agency MBS and agency debt. In March 2009, the FOMC expanded this purchase program substantially, announcing that it would purchase up to $1.25 trillion of agency MBS, up to $200 billion of agency debt, and up to $300 billion of longer-term Treasury debt. These purchases were completed, with minor adjustments, in early 2010. In November 2010, the FOMC announced that it would further expand the Federal Reserve's security holdings by purchasing an additional $600 billion of longer-term Treasury securities over a period ending in mid-2011.

「フェデラルファンズ・レートの目標値の引き下げ余裕が少なくなるなかで、2008年後半、連銀は、大規模な資産購入策(LSAPs)に着手することにした。11月、FOMCは、総額6000億ドル上るに住宅ローン抵当証券と住宅機関債の購入を発表した。2009年3月、FOMCは、この計画を大幅に拡大した。つまり、1兆2500億ドルの住宅ローン抵当証券と、2000億ドルの住宅機関債と3000億ドルの長期国債を購入することとしたのである。こうした措置は、若干の調整はあったものの、2010年初めには完了した。2010年11月、FOMCは、長期国債を6000億ドル分を2011年央までに追加的に購入することにより連銀の証券保有高を引き上げると発表した」

About a year ago, the FOMC introduced a variation on its earlier purchase programs, known as the maturity extension program (MEP), under which the Federal Reserve would purchase $400 billion of long-term Treasury securities and sell an equivalent amount of shorter-term Treasury securities over the period ending in June 2012. The FOMC subsequently extended the MEP through the end of this year. By reducing the average maturity of the securities held by the public, the MEP puts additional downward pressure on longer-term interest rates and further eases overall financial conditions.

「おおよそ1年前、FOMCは、償還期間延長策(MEP、ツイストオペ)を導入した。これにより連銀は、4000億ドルの長期国債を購入し、そして同額の短期国債を2012年6月までの間、売却することになった。FOMCは、その後、MEPを今年の末まで延長した。一般の投資家が保有する証券の平均償還期間を短くすることにより、MEPは、長期国債の利回りにさらなる下押し圧力をかけ、そして金融市場を緩和することになる」

How effective are balance sheet policies? After nearly four years of experience with large-scale asset purchases, a substantial body of empirical work on their effects has emerged. Generally, this research finds that the Federal Reserve's large-scale purchases have significantly lowered long-term Treasury yields. For example, studies have found that the $1.7 trillion in purchases of Treasury and agency securities under the first LSAP program reduced the yield on 10-year Treasury securities by between 40 and 110 basis points. The $600 billion in Treasury purchases under the second LSAP program has been credited with lowering 10-year yields by an additional 15 to 45 basis points. Three studies considering the cumulative influence of all the Federal Reserve's asset purchases, including those made under the MEP, found total effects between 80 and 120 basis points on the 10-year Treasury yield. These effects are economically meaningful.

「バランスシート政策はどれほど効果的であるのか? 大規模資産購入の4年近い経験で言えることは、研究の成果通りの結果が現れたということである。総じてみれば、連銀の大規模資産購入は、相当に長期国債の利回りを低下させたと。例えば、研究の結果、最初の大規模資産購入計画に基づいて行われた1兆7000億ドルの長期国債と住宅機関債の購入の結果、10年物国債の利回り40〜110ベーシスポイント低下させた、と。そして、第二次の大規模資産購入計画に基づいて行われた6000億ドルの長期国債の購入の結果、10年物国債の利回りは15〜45ベーシスポイント低下した、と。MEPを含むこうした連銀の資産購入による累積的な効果は、10年物国債の利回りを80〜120ベーシスポイント引き下げたことになる。こうした効果は経済的に大変意味のあるものである」

Importantly, the effects of LSAPs do not appear to be confined to longer-term Treasury yields. Notably, LSAPs have been found to be associated with significant declines in the yields on both corporate bonds and MBS. The first purchase program, in particular, has been linked to substantial reductions in MBS yields and retail mortgage rates. LSAPs also appear to have boosted stock prices, presumably both by lowering discount rates and by improving the economic outlook; it is probably not a coincidence that the sustained recovery in U.S. equity prices began in March 2009, shortly after the FOMC's decision to greatly expand securities purchases. This effect is potentially important because stock values affect both consumption and investment decisions.

「重要なことは、こうした大規模資産購入の効果は、長期国債に限られないということである。例えば、社債や住宅ローン抵当証券の利回りも大きく低下していることが確認されている。特に、最初の購入策の際は、住宅抵当証券や住宅ローンの金利の大幅な低下がみられている。大規模資産購入策は、株価にも好影響を与えるように見える。恐らく貸出金利を引き下げる効果と経済見通しを改善する効果があるからであろう。FOMCが資産購入計画を大きく拡大することに決定した後の2009年3月に米国の株価が回復しだしたのは偶然の出来事ではないであろう。この効果は、株価が消費と投資の意思決定に非常に影響することから、大変重要なのである」

 
 ねえ、考え方の骨格は全く同じと言っていいでしょう。

 但し、バーナンキ議長は、自らの政策を大量の資産購入策と呼んだのに対して、クロトンは、マネタリーベースを政策目標とする量的・質的金融緩和と呼ぶだけの違いなのです。

 ともに共通する大量の長期国債の購入と平均残存期間の長期化

 そして、両者とも、大量の長期国債の購入によって長期金利の低下が促される、と。そして、長期金利の低下が促されるので、投資活動が活発になるであろう、と。

 しかし、クロトンは大切なことを忘れてしまっているようなのです。

 それは、米国においても、そうした超緩和策を採用した結果、米国の長期金利はむしろ上昇に転じているという事実なのです。

 つまり、日本においても、米国を真似した政策を採用すれば、いずれ長期金利の上昇が起こるであろうということです。

 だって、人々がこれから先インフレが起きるであろうと予想するようになるのだったら、お金を貸す人々はインフレ率に応じて金利を上げようとするのは当然であるのですから。




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 流石やるもんですね。今までの地味な日銀総裁と比べて、今度の黒田新総裁は、なんと明快であることか。市場が何を求めているかよく分かっている。総理が何を求めているかもよく分かっている。

 だから、110点とか120点という満点以上の点数が付くのでしょう。

 その結果、ご承知のように

 長期金利は、史上最低の0.315%を記録し‥

 為替は、1ドル97円台に乗り‥

 そして、日経平均は、13000円台に。

 ところで、黒田総裁は昨日、「量的・質的金融緩和」を導入すると述べましたが、私としては、今回の金融緩和措置が今までと質的に違うと言われてもそれはどうかなと思うのです。

 政策目標を、無担保コールレート、つまり政策金利からマネタリーベースに変更したのだから、これは、はっきりと質的に違うものだと言いたいのかもしれませんが、例えば、今から10年以上前に、量的緩和策を採用したときにも、日銀当座預金残高を目標値として設定した訳ですから、その意味では同じようなことの繰り返しと言えるのです。

 しかし、量的緩和に関しては、私も、驚いた!!!

 今、NHKの朝ドラファンの間で流行り出している言葉を借りるならば、じぇじぇじぇ!と言いたい。

 何故、これほどまでに急激に長期金利が下がるのか?

 それは、未曾有の規模の国債の買い入れを日銀がやると断言したからです。

 そして、その規模たるや‥

 グラフをご覧ください。

 マネタリーベース
 今現在、130兆円ほどあるマネタリーベーが、2年間で270兆円増えるまで国債を買い入れると言っているのです。

 簡単に言えば、2年間で140兆円ほど国債の保有額を増やす、と。

 私、30年ほど前、日本政府の国債発行残高が100兆円を突破したときに、こんなことをしていて本当に日本がインフレになってしまうのではないか、と心配し思い出があるのですが、そんな自分がアホみたいに思えてきました。

 だって、たった2年間で140兆円も国債を買い入れる、しかも純増ベースでですよ。

 本当に、じぇじぇじぇ!

 そして、マネタリーベース270兆円まで増えるということで、日銀当座預金残高は175兆円まで増やす予定なのだとか。

 確か、筋金入りのリフレ派ともいうべき岩田副総裁が、日銀当座預金が80兆円ほどになれば、2%のインフレ率が期待できるなんて言っていたのですが、その80兆円をさらに100兆円ほど上回る額になっているのですから、じぇじぇじぇ!

 本当に驚いた。これこそ、クロトンのバズーカ砲と言っていいのでしょう。

 でも、最後にもっと驚くべきことを皆さんにお知らせしておきましょう。特に、リフレ派の人々に。

 何故マネーの量を増やすとインフレになるのか?

 だって、世の中に出回るお金が増えれば、自然にモノの値段が上がるからと考えるからですよね。

 では、本当に今後2年間で世の中に出回るお金が増えるのか?

 日銀当座預金は、現在55兆円ほどあるのが、先ほど言ったように175兆円ほどにまで増えるのですよね。

 でも、いつも言っているように、日銀当座預金と言うのは、民間銀行が日銀に預けている預金であって、実際に世の中に出回っているお金ではないのです。

 そんな民間銀行の預金が幾ら増えても、実際にお札が世の中に出回らなければ、インフレにはなりそうもないと思いませんか?

 では、実際、日銀券は2年後に、今よりどの位多く世の中に出回るようになるのか?

 黒田総裁が、公表した資料によれば、世の中に出回る日銀券は2012年末の87兆円から2014年末には90兆円になると言うのです。

 驚きました? 驚いたでしょ?

 たった3兆円しか日銀券の量は増えないと言うのです。

 それで、どうしてインフレが起こせるの?




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 本日から、黒田総裁の下で初の金融政策決定会合が開かれているのですが‥国民はどう思っているのでしょうね?

 否、国民というか、多くの人々は、なんとも思ってはいない。

 もちろん、経済や金融に煩い人が一般の人々のなかに存在しているのも事実。そして、そのなかには、リフレ派的な考えを熱狂的に支持する人々がいるのも事実。

 しかし‥概して言えば、普通の人には、どうしてインフレになれば景気がよくなるかという理屈が分からないのです。

 私自身も分からない。

 景気がよくなればインフレになるというのなら、よく分かる。

 しかし、インフレになれば景気がよくなる、というのが‥

 いずれにしても、黒田新総裁は安倍さんと同じ考え方らしく、何が何でもマイルドなインフレを起こさなければならないし、そのための手段はあると言う。

 では、どうやってインフレを起こすというのか?

 まあ、その具体的な方策に関して、本日と明日の2日間で、じっくり議論すことになるのでしょうが‥今までのところ漏れ伝わってきている黒田総裁の考え方と言えば、例えば償還が行われるのが3年先以上より残存期間の長い長期国債を大量に買い入れることとする、と。そして、これまでそうした長期国債の購入を別枠で行っていた仕組みを統一化する、と。

 では、これから先、より残存期間の長い国債をバンバン購入すれば、インフレが起きると言えるのか?もし、そうだとすれば、どのような理屈からなのか?

 黒田総裁によれば、残存償還期間が短ければ、折角日銀が長期国債を購入しても、直ぐにその国債が償還されてマネーが日銀に戻ってきてしまうので、効果が薄いと言うのです。

 なるほど、それはそのとおり!

 「黒田総裁に座布団1枚!」

 でも、それがより残存期間の長い長期国債を購入する理由であるとするならば、償還期間の短い国債であっても、より大量にそしてより頻繁に購入することによって、市場に出回るマネーの量を増やすことが可能である訳ですから、必ずしも残存期間の長い国債に限る必要性はないのです

 「山田君、黒田総裁の座布団を1枚持って行って!」

 でしょ?

 でも、まあ、いいでしょう。これから先、より残存期間の長い長期国債を日銀が積極的に購入することに決めたとしましょう。

 では、それによって本当にインフレが起きるのか?

 しかし、インフレになるためには、市場にマネーが大量に放出される必要があるのですが‥日銀が例えば民間銀行が保有する長期国債を大量に購入したからと言って、本当にマネーが世の中に大量に出回るのでしょうか?

 その前に、幾ら日銀が大量に国債を購入したいと言っても、それに応じる民間銀行がどれだけいるのでしょうか?

 そもそも、何故、民間銀行は国債を大量に保有しているのか?

 それは、民間銀行からみて有利な融資先が限られているから、リスクの大きい企業に融資する位だったら、国債で運用する方が安全確実に利益を確保できるからそうしているのです。

 だから、もし民間銀行が保有している国債を日銀に売却してしまえば、それによって得た売却代金をどのようにして運用するかという問題に直面してしまうのです。

 だったら、その代金で、また国債を購入する?

 そういうことがここ数か月間起きているので、国債の利回りが低下をしているのです。

 或いは、幾ら国債を購入したくても、購入できないかもしれない。そのようなときに、その余裕資金をどのように運用するのか?

 仮に、民間銀行がリスクを取って、企業にどんどん融資するようになれば、それなら世の中に出回るお金の量が増えて‥そうなれば何時しかインフレになったり、或いは、景気がよくなったりする効果も期待できるのです。

 では、民間銀行は、今後企業に対する融資を増やすことになるのか?

 しかし、ご承知のように、企業は数百兆円に上る内部留保を保持しているのです。つまり、幾ら企業が設備投資などに乗り出そうとしても、銀行に頼らなくても資金の確保にはそれほど困らないのです。

 では、国債を売却して得た資金を民間銀行はどうするのか?
 
 有難いことに、日本銀行は、民間銀行が預け日銀当座預金に対して、0.1%の金利を付与する措置をずっと取っているのです。

 0.1%の金利しか稼げないと思ってはいけません。というよりも、当座預金なのですから、本来利子はつかない筈なのに‥だって、そうでしょ? 預金者の民間銀行は、資金が必要とあらば、いつでも引き出しが可能なのですから。そんな預金に日本銀行は、0.1%という高い金利を付けてくれているのす。

 だから、運用先に困るときには、取り敢えず当座預金をしておく、と。

 そして、多くに民間銀行が、取り敢えずの当座預金を増やす一方なので、いつまで経っても世の中に出回るマネーの量が増えない。

日銀当座預金残高2
 で、そうなればインフレが起きる訳がない。

 昨日、つまり4月2日現在の日銀当座預金残高が幾ら位あるかご存知ですか?

 なんと55兆2800億円。一方で、実際に世の中に出回っている日本銀行券の総額は、80数兆円程度ですから、如何に日銀当座預金残高が増えているか分かるでしょ?

 元々、この日銀当座預金残高は5兆円程度あれば、事足りていた訳なのです。それが、50兆円も増えている。

 そして、そうして50兆円増やしたのは、これまでの日本銀行であった訳ですが、リフレ派は、それがtoo little だと言う。岩田副総裁などは、80兆円ほどに達すれば2%のインフレ率が実現できるとも言う。

 5兆円が55兆円にまで増えても何も起こらなかったのが、55兆円から80兆円に増えることによって、何か質的な変化が起きる保証でもあるのでしょうか?

 私には、そう簡単に事が運ぶとは思えないのです。

 但し、断っておきますが、絶対にインフレが起きないとは言いません。つまり、違ったチャンネルでインフレが起きそうな気配はあるのです。つまり、アベノミクスによって円安が起き、その円安が、インフレをもたらす、と。

 しかし、だからと言って、そのインフレは、リフレ派が言う、マネーを増大させた結果としてのインフレとは少しばかり性質が違うのです。

 いずれにしても、何故インフレになれば景気がよくなるのか、それを黒田総裁の口から聞きたいと思います。

 

 
 黒田総裁率いる日本銀行も、いきなりドラスティックな手段は採用できないだろう、と思う方、クリックをお願い致します。
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 景気は気から私もそれを否定しません。気持ちの持ち方次第で、我々は幸せを感じることもできば、その反対に不幸のヒーローになることもできる。

 株式相場もまさにそのとおり。

 幾ら、株価が余りにも下がり過ぎ、今こそ絶対の買い時だと専門家があらゆるデータを駆使して説得したところで、多くの投資家の心理が沈みきっている場合には、株価が上がるなんてことはない。むしろ、まだまだ下げてしまう。そんなときに、政府がどれだけ株価対策を取ろうと、皆白けた反応を示すだけなのです。

 その反対に、冷静に考えれば今後株価が上がる材料が殆どない場合でも、投資家の多くがアニマルスピリッツの赴くまま貪欲に株を買い続けるのであれば、株価はさらに上がり続けるのです。そして上がるからまた買おうとし、買われるから、また上がる、と。

 いずれにしても、アベノミクスを支持するリフレ派の人々は、黒田総裁を含め、期待に働きかけることの重要性を強調するのです。

 期待‥或いは予想と言うべきなのかもしれませんが‥例えば、物価が今後上がるのだというように人々の気持ちを変えることが決定的に重要だと言うのです。

 みんなが、物価が上がることのないデフレが今後もダラダラと続くのではないかと予想するから本当にデフレから脱却できないのだ、と。気持ちを切り替えることが重要だと言うのです。

 確かに、気持ちの持ち方は大事なのです。明確な目標なしにどうして偉業が成し遂げられるでしょう。

 Where there is a will, there is a way.

 精神一到何ごとかならざらん!

 確かに、本人のモチベーションを高めることが大切。

 では、仮に、成績がなかなか上がらない子供を持つ親がいて、どのようにすれば、その子供の成績が上がるようになるのか?

 勉強をする癖を付けさせる。家庭教師を付ける。勉強の面白さを味あわせる

 いろいろあると思うのです。いずれにしても、本人がその気になることが大事。

 では、親はどのように振る舞えばいいのでしょう

 この子は何時かは成績が上がる筈だと信じることが大切なのか?

 もし、そう信じれば、必ず成績は上がるのか?

 或いは、なかなか会社で偉くならない亭主に対し、その妻は、どうすれば亭主出世させることができるのか?

 妻自身が、亭主は必ず出世する筈だと思うことが必要なのか?

 これが、結婚して間がないのであれば、恐らく周りが何と言おうとも妻は夫のことを信じようとするでしょう。しかし、次第に年数が経つ、と。3年が経過し、7年が経過し、20年が経過し‥そのうちに妻亭主が出世する筈がないと気が付くケースも多いのです。

 そして、妻が亭主に対し期待しないから、亭主の方も、自分が出世することはまずないだろうな、と
益々思ってしまう、と。

 そんな夫婦も多いと思うのです。

 景気は気から。それはある面では正しい。しかし、だからと言って、気だけで全てが解決することあり得ないのです。自分は能力があり、テストの成績もいずれは上がる筈だとどれだけ本人が信じたとしても、肝心の勉強をしなければ、多分成績は上がらないでしょう。

 私、リフレ派の人々は、本当に世間というものが分かっていないと思うのです。

 アメリカの経済学者たちが言うことが全てと思ってしまう。彼らが期待に働きかけることが重要だと言うので、自分たちもそう思い込んでしまう

 仮に日本人の多くが、リフレ派の学者のような発想をするのであれば、少しは違った結果になる可能性もあるとは思うのですが‥

 私は、何を言いたいのか?

 人々の期待に訴えることが重要だなんて言ったって、リフレ派の考えていることと、庶民の考えていることは根本のところから大きく食い違っているのですから、所謂「期待に訴える政策」が巧くいく筈がないのです

 リフレ派の人々は、物価が上がらないデフレの状況が、日本経済低迷の最大の原因であり、そうした状況を長引かせてきたのは全て日本銀行のせいだと言うのです。

 そして、だからこそ物価を上げることが先決だ、と。

 では、庶民というか、日本の多くの人々は、物価は上がっていないと考えるのか?

 日本銀行が、四半期に一度、全国の約4千人を対象に行っている「生活意識に関するアンケート調査」というのがあり、その53回目の調査結果が昨日発表になっているのです。

 そのなかに「現在の物価に対する実感」という項目があり‥人々が、1年前と比べて物価が上がっているのか、どうなのかが分かるのです。その結果をお知りになりたいですか?

 テレビで、デフレスパイラルの恐怖とかが散々喧伝されてきたので、人々は、物価がずっと下がり続けていることを懸念しているのか?

 表の調査結果をご覧ください。

生活意識に関するアンケート

  













 






 
如何でしょう?


 今回の調査を含め、過去3回の調査の結果どんなことが分かるかと言えば‥そもそも物価が下がっていると感じている人は、物価が上がっていると感じている人に比べて何と少ないことか!

 つまり、大多数の人々は、物価は殆ど変っていないか、若干上がっていると感じているのです。

 リフレ派は言います。人々が、物価が下がり続けると予想すれば、モノの価格が下がってから買った方が得であると考えるので、消費を先延ばしにするであろう、と。その反対に、物価が上がることが予想されるならば、早く買った方が得であるので、消費が活発になるであろう、と。

 しかし現実は違ったのです。人々はそもそも、物価が下がっているとは考えていなかった。だから、物価が下がると人々が予想するので消費が低迷するという主張は全く根拠を欠くと言わざるを得ないのです

 違います?

 しかも、人々はどの程度1年間で物価が上がっていると感じているかという問いに対して、平均して2.6%という数値を示しているのです。

 政府と日銀が共同の目標とする物価上昇率2.0%である訳ですが、人々は、既に1年間で2.6%程度物価が上がっていると感じているのです。

 だったら、何のための物価目標値なのか?

 その上、人々は、この先1年すると物価は平均して4%上がると見ているのです。

 そして、そうした物価上昇に対して、人々がどのように感じるのかと言えば‥8割程度の人が「どちらかと言えば困ったことだ」と。

 つまり、黒田総裁が今後目標値の2%のインフレ率達成に向け、努力をすればするほど、そして成果が出れば出るほど、人々は、そうした状態を困ったことだと、感じるのです。

 もちろん、人々が困ったと感じるのは錯覚であるとか、或いは実際に一時的に困った状態になっても、それ以上に経済成長がもたらされるのであればそれでいいではないか、という議論もあり得る訳ですがそもそもリフレ派は人々の期待に訴えることが重要だと言う訳ですから、そうなれば話の辻褄が合わないのです。

 この調査結果で明らかなように、人々は、インフレに対してバイアスがある。つまり、インフレは嫌だ、と。だから、その嫌なことが起こらないように、と。そして、インフレに対して警戒心が絶えず働いているから、いつもインフレが起きているような気がるのでしょう。

 従って、人々は、インフレが起きていると感じながらも、消費に走ろうとはしない現実がそこに認められるのす。そうしてインフレが起きているように見えるから、むしろ無駄遣いしないようにしようとする、と。

 だとすれば、これから先の2年間ほどのうちにインフレ率が実際に2%程度高まったところで、人々がパッとお金を使うようになると期待するのは全く根拠がないと言わざるを得ません

 もちろん、株が上がれば、投資家は贅沢な買い物をするようになるかもしれません。それはそのとおり。結局、あぶく銭ならすぐ消費に回るのです。

 しかし国民の多くが保有する1500兆円にも上る金融資産が、額に汗して働いた結果であるのならば、そう簡単に使うようなことはしないでしょう。


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