経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 金融危機

 NYダウが5日連続で最高値を更新しています。株価は、今や1万6097ドル33セントにまで上昇しているのです。

 流石にここまで来ると、バブルではないかという声が大きくなっています。

 先日、イエレンFRB副議長が議会証言に立った時も、誰かが彼女に、株価はバブルではないかと質問していました。

 彼女はそれに対して、そんなことはないと返答したのですが、そういうことが質問されること自体、既に多くの人が、バブルではないかと感じている証拠なのです。

 では、何故株価は上がるのか?

 それは、QE3という量的緩和策を米連銀が採用し続けているからなのです。分かり易く言えば、毎月850億ドルのペース、つまり毎月約8兆5千億円分の長期国債や住宅ローン担保証券を米連銀が市場から買い入れ‥つまり毎月8兆5千億円もの資金を市場に投入しているということなのです。

 毎月8兆5千億円だと、1年間で102兆円もの規模になります。

 では、何故米連銀は、そのような途方もない規模の資金供給を行っているのか?

 株価を上げることが目的なのか?

 いいえ、そうではありません。少なくても表面的にはそうではなくて、実体経済を支援するためのものなのです。つまり、景気を良くして、失業率を少しでも下げたいと思えばこそそのような非伝統的政策、もっと言えば禁じ手にまで手を出しているのです。

 では、そのQE3は、所期の目的を達成しつつあるのか?

 多くの人は、それほどの効果はないと思っているのです。少なくてもそれによって雇用状況が着実に改善しつつあるとはとても言えない。

 では、QE3なんて止めてもいいのではないか?

 しかし、それほどの効果がないとしても、失業率を低下させるために止めることはとてもできない。それに、物価が安定したままであるので、なお止めることができない。これが、少しでもインフレの兆候が出てくれば、QE3を早めに止める必要があるという意見も出てくるのでしょうが、インフレ率が2%以内に収まっている限り、そのような声はなかなか出てこない。

 それに、今やQE3が株価を支えているという認識が広がっているので、その意味でもなかなかQE3を止めることができない、と。

 しかし、そうだとすれば、やっぱり今の株価はQE3によって支えられているというのが事実であるということになるのです。つまり、最近の株高は、経済のファンダメンタルズを反映したものというよりもバブルであると考えた方がいいのです。

 まあ、そんなことを考えて米国のPBSのNews Hourを見ていたら、バブルという言葉に遭遇しました。

 The Newest Bubble: Peer-to-Peer Lending?

 Peer to Peer Lendingとは何のことかお分かりでしょうか?

 これ、簡単に言えば、お金を借りたい人とお金を貸す人をネットで結びつける金融仲介サービスのことであるのです。

 ネットで、お金を必要としている事業者を紹介する。そして、その一方で、その事業者にお金を融資してもいいという一般の投資家を募る、と。

 ネットが発達することによって今ではそのようなことまで行われるようになっているのだとか。

 では、そのような投資話に危険はないのか?

 ポール・ソロモン氏は、危険がないことはないと警告するのです。何故ならば、そうした素人の投資家は信用リスクというものを自分で判断することができず、いきおいそうした仲介業者の言葉を信用するしかない、と。そして、そうした仲介業者は、必ずしもそのような一般の投資家たちと利益を同じくするものではないので、投資家を欺くようなことをしがちであるからだというのです。

 なんか、どこかで見聞きしたような話なのです。

 中国の理財商品などというのも、似たようなものです。

 さらに、こうした一般の投資家たちは、ゼロ金利政策が続く中でなかなかいい投資先を見つけることができないので、こうした儲け話にひっかかりやすい、と。

 この番組でインタビューに答えていたDoug Dachille氏が、次のように言っています。

  What history has demonstrated is that while the name of the financial instruments responsible for financial crises always seem to change, the root causes are the same: poor credit underwriting standards, the excessive use of leverage, classic agency problems (lack of economic skin in the game) and the power of group thinking pushing the belief that this time, things will be different and financial alchemy has somehow produced real instead of fool's gold.

 「歴史が教えるところによれば、金融危機を引き起こす金融商品の名は絶えず変化するように見えるが、しかし、金融危機の真の原因は同じである。融資基準がいい加減であること。レバレッジを利かせすぎること。古典的なエージェンシー問題(経営者が自らの会社に出資をしないようなこと)。それに、今回はいつもと違う、つまり、今や金融工学が本物の金を作り出すことができるようになったというような考えが広まることだ」

  まあ、そう言われれば、まさにそのとおりなのです。

 しかし、分かっていても、株価が上がっているのに黙ってみていることができないのが人間の性というものなのです。


 確かに、米国の株価は上がり過ぎかもしれないと思う方、クリックをお願い致します。
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 ウォールストリートジャーナルが、米検察当局がモルガンスタン
レーを捜査していることを報じています。

「米連邦検察当局は、モルガン・スタンレーが住宅ローン関連の
デリバティブ取引で投資家を欺いたかどうか捜査している。この
デリバティブはモルガン・スタンレーが組成に関与しており、同行
はデリバティブの価値を下落させる取引も行っていた。関係筋が
明らかにした」


 デリバティブの価値を下落させる取引とは一体何のことなの
か?

「モルガン・スタンレーが組成したのは債務担保証券(CDO)。ト
レーダーによると、同行のトレーディング部門は折に触れ、販売
したCDOの価値が下落する取引を行っていたという。同行が自
らの役割を正しく説明していたかどうかが当局の捜査の焦点とい
う。

 関係筋によると、当局が捜査している商品の中に、ジェームズ・
ブキャナンとアンドリュー・ジャクソンの2人の歴代大統領の名を
付したものがある。モルガン・スタンレーはこれらの商品設計を支
援し、価値が下落する取引を行った。しかし、顧客への販売には
関わっていない。これらは「デッド・プレジデンツ」取引と呼ばれ
た。

 06年半ばに作られたジャクソンCDOとブキャナンCDOは、実
質的には住宅ローンや商業不動産ローンを担保とする数十種の
証券のパフォーマンスを映すデリバティブのポートフォリオだ。引
き受けと販売を担当したのはシティグループとUBSだ」


 モルガンスタンレーも、ゴールドマンと同じように債務担保証券
を組成していたということのようですが‥そして、それらの商品の
中には大統領の名前を付けたものがあって‥、しかし、何度読ん
でも「価値が下落する取引」の意味が分かりません。

 一体どういうことなのか?

 原文をチェックすることにしました。

 U.S. prosecutors are investigating whether Morgan
Stanley misled investors about mortgage-derivatives
deals it helped design and sometimes bet against,
people familiar with the matter said, in a step that
intensifies Washington's scrutiny of Wall Street in the
wake of the financial crisis.


「米検察当局は、モルガンスタンレーが考案の手助けをし、また
時にはその価格が下がることに賭けた住宅ローンデリバティブ
の取引に関し、モルガンスタンレーが投資家を誤解させたかどう
かを捜査中であると、関係筋が述べた。この捜査は、金融危機
後のウォールストリートに対する議会(ワシントン)の綿密な調査
をより強化させる一歩となる」
 
 Morgan Stanley arranged and marketed to
investors pools of bond-related investments called
collateralized-debt obligations, or CDOs, and its
trading desk at times placed bets that their value
would fall, traders said. Investigators are examining,
among other things, whether Morgan Stanley
made proper representations about its roles.

「モルガンスタンレーは、債務担保証券、即ちCDO(債券絡みの
投資商品を集めたもの)を組成し、そして投資家にそれを販売し
ながら、自らはしばしばその商品の価値が低下する方に賭けて
いた、とトレーダーたちは言う。捜査官たちは、特にモルガンスタ
ンレーが自らの役割について適切な説明を行ったかどうかを調
べているところである」

 Among the deals that have been scrutinized are two
named after U.S. Presidents James Buchanan and
Andrew Jackson, a person familiar with the matter
said. Morgan Stanley helped design the deals and bet
against them but didn't market them to clients.
Traders called them the "Dead Presidents" deals.

「細かく調べられているものの中には、ジェームズ・ブキャナンと
アンドリュー・ジャクソンという大統領の名前からとった二つの金
融商品があるとある事情通は言う。モルガンスタンレーは、この
商品の企画の手助けを行うとともに、その商品の価格が下がる
方に賭けたが、しかし、モルガンスタンレーはその商品の顧客に
対する販売は行っていない。トレーダーたちは、それらの商品を
「亡き大統領」取引と呼んだ」

 「価値を低下させる取引を行っていた」と訳されていたのは、こ
れこそ読者をmisleadさせるものでした。価値を低下させる取引
を行っていたのではなく、単に下がる方に賭けていた、と。つま
り、住宅バブルが弾ける方に賭けていた、と。

 ということで、モルガンスタンレーも、ゴールドマンと同じようなこ
とをやっていたのではないかと、今捜査が行われている、と。


 ただ、件のゴールドマンの件については、確かSECとの間で和
解が進めれらているとか報じられていますが‥、オバマ政権は
果たしてどれほど本気でウォールストリートに立ち向かおうとして
いるのでしょうか。


 もしかしたら、今回のギリシャ危機に関連して、ユーロの下落に
賭けウォールストリートや欧州の銀行が一儲けしているかもしれ
ません。そうお思いの方、クリックをお願いします。
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 ゴールドマンサックスの幹部が上院に呼ばれ、激しく攻められ
ています。

 ある議員によれば、ゴールドマンサックスの手口は、ラスベガス
よりも酷い、と。何故ならば、ラスベガスで賭けをする人は、全て
の人が自分たちが負けるということは胴元が勝つということを知
っているが、ゴールドマンと取引をした顧客は、そうしたことを知
らなかったからだ、と。

 いずれにしても、政治家は、ゴールドマンサックスをこれでもか
これでもか、と攻めまくります。

 こんな時にゴールドマンの肩を持とうものなら、選挙民から総す
かんを食らうのが分かっているからでしょうね。

 でも、そうしたギャンブルが可能になるように規制緩和を進めた
のは政治家自身であることを忘れてはいけません。そして、政治
家には多額の政治献金がウォールストリートから提供されている
ことも肝に銘じるべきです。


 SEN. CLAIRE MCCASKILL, D-Mo.:
You think you are so smart? Any street gambler
would never place a bet with a bookie or a house
with the record that is revealed in the documents
that this committee has gathered.

「貴方は、自分が頭が良いと思うのか? この委員会が集めた
書類によって明らかにされたような実績のある博打場で賭けをす
るような街のギャンブラーなんていないのだ」

SEN. JOHN MCCAIN, R-Ariz.:
Mr. Chairman, I don't know if the -- if Goldman
Sachs has done anything illegal on those charges
have been brought and it's going to be a subject of a
lot of our discussion today.
But, from the reading of
these e-mails and the information that this
committee has uncovered, there's no doubt their
behavior was unethical and the American people will
render a judgment, as well as the courts.

「議長、ゴールドマンサックスは、ここに持ち込まれた容疑につい
て、そして、本日多くの議論になりそうな件に関し、何か違法なこ
とをやったのかどうかは、私には分からない。しかし、これらのeメ
ールや当委員会が集めた資料を読んでみると、彼らの行為は疑
いもなく倫理にもとることがわかる。そして、裁判所だけでなく、国
民が判断を下すことになろう」

SEN. CARL LEVIN, D-Mich.:
Wall Street is on the wrong side of this fight. It insists
that reining in that -- those excesses would unduly
restrict the free market that is the engine of
American progress.
But this -- this market of ours
isn't free of self-dealing or conflict of interest. It isn't
free of gambling debts that taxpayers end up paying.

「ウォールストリートは、この戦いにおいて悪者側になっている。
そして、それを規制すること、つまり、行き過ぎた規制はアメリカ
の発展にとってのエンジンである自由な市場を不当に規制するこ
とになると主張している。しかし、我が国の市場は、自己取引(呑
み行為)や利益相反のない市場ではないのだ。最終的には納税
者がそのツケを支払うギャンブルなど存在しない市場ではないの
だ」

DANIEL SPARKS, former partner, Head of Mortgages
Department, Goldman Sachs:
The culture at Goldman Sachs was one in which
excellence and integrity are expected.

「ゴールドマンサックスの文化は、そこでは、優秀さと完全性が期
待されている」

JOSHUA BIRNBAUM, former managing director,
Structured Products Group Trading, Goldman Sachs:
We provided significant liquidity to our customers in a
difficult and challenging market while also managing
to post a profit during this period.

「我々は、市場が大変な状況にあった時に、どうにか利益を出し
ながら顧客に対し相当の流動性を供給してきた」

FABRICE TOURRE, executive director, Structured
Products Group Trading, Goldman Sachs:
I deny categorically the SEC's allegations, and I will
defend myself in court against this false claim. 
I
appreciate the opportunity to appear before the
subcommittee to answer these false charges. I wish
to repeat, I did not mislead IKB or ACA, two of the
most sophisticated institutional investors in these
products anywhere in the world.

「私は、SECの主張する容疑をきっぱりと否定する。そして、裁判
においてこれが間違った嫌疑であることを主張したい。私は、こ
の容疑が間違っていることを明らかにするために当小委員会に
出頭する機会を持てたことを感謝したい。何度も言うが、IKBや
ACAをミスリードしたことはない。彼らは、こうした金融商品に関
しては世界中で最も洗練された機関投資家なのだ」

SEN. CARL LEVIN:
June 22 is the date of this e-mail. "Boy, that
Timberwolf was one [EXPLETIVE DELETED] deal."
How much of that "[EXPLETIVE DELETED] deal" did
you sell to your clients after June 22, 2007?

「6月22日がこのeメールの日付である。『しめしめ、あの
Timberwolfは、○○だった』 その○○を、2007年6月22日以降
貴方の客にどれ位売ったのか?」

DANIEL SPARKS:
Mr. Chairman, I don't know the answer to that. But
the price would have reflected levels that they
wanted to invest...

「議長、それは分かりません。しかし、価格は、彼らが投資したい
と望む水準を反映したものであったでしょう」

SEN. CARL LEVIN:
Oh, of course.

「もちろん」

DANIEL SPARKS:
... at that time.

「あの時‥」

SEN. CARL LEVIN:
But they don't know it's a -- you didn't tell them you
thought it was a [EXPLETIVE DELETED] deal.

「しかし、彼らは知らないのだ。貴方は、貴方がそれを○○と考えて
いるということを彼らには言わなかった」

DANIEL SPARKS:
Well, I didn't say that.

「ええ、それについては言ってはいない」

SEN. CARL LEVIN:
No. Who did? Your people, internally. You knew it
was a [EXPLETIVE DELETED] deal, and that's what
your...

「違う。誰が言ったのだ? 内部の人々は言っていた。貴方は、
それが○○であると知っていた」

DANIEL SPARKS:
And again, I...

「もう一度‥」

SEN. CARL LEVIN:
... e-mail showed.

「eメールにそう書いてある」

DANIEL SPARKS:
I think the context, the message that I took from the
e-mail from Mr. Montag, was that my performance
on that deal wasn't good.

「Montag氏のeメールのメッセージというのは、その取引の成績
が良くなかったというものだと思う」

SEN. CARL LEVIN:
How about the fact that you sold hundreds of millions
of that deal after your people knew it was a
[EXPLETIVE DELETED] deal? Does that bother you at
all; you sold the customers something?

「客が、それが○○だと知った後で、何億も売りつけたという事実
についてはどうなのか。気にならなかったのか? 値打ちのある
ものを売ったのか?」

DANIEL SPARKS:
I don't recall selling hundreds of millions of that deal
after that.

「その後で何億もその金融商品を売ったかどうかは思い出せな
い」

(中略)

SEN. CARL LEVIN:
My question, is there not a conflict when you sell
something to somebody, and then are determined to
bet against that same security, and you don't
disclose that to the person you're selling it to?

「私の質問は、誰かに何かを売る時に、利益相反がないかどうか
ということだ。そして、その同じ証券について、反対側に賭けよう
と決めることはないのか。で、貴方は、売りつける相手方には、
そのことを明らかにすることはない」

SEN. CARL LEVIN:
Do you see a problem?

「問題が分かるか?」

LLOYD BLANKFEIN, CEO, Goldman Sachs:
In the context of market-making, that is not a
conflict. What -- where -- what clients are buying or
customers are buying is, they're buying an exposure.

「マーケットメイクの関係では、それは利益相反にはならない。客
が買うものは‥、彼らはリスクを買っているのだ」

The thing that we are selling to them is supposed to
give them the risk they want. They are not coming to
us to represent what our views are. They probably --
the institution clients we have wouldn't care what our
views are. They shouldn't care.

「我々が彼らに売るものは、彼らが欲しているリスクということに
なっている。彼らは、我々の意見がどうかを示すために我々のと
ころにやってくるわけではない。彼らは、つまり、機関投資家は、
我々がどういう見解であろうと気にしないものだ。気にすることは
ない」



 ゴールドマンだけではないと思う、という方、クリックをお願いし
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オバマ大統領が、22日、ウォール街からそう遠くないところにある
クーパーユニオン大学で演説を行ったと言います。内容は、金融規制
改革についてです。

 例のデリバティブ取引に関する部分を抜き出してみました。


 A comprehensive plan to achieve these reforms has passed
the House of Representatives. A Senate version is currently
being debated, drawing on the ideas of Democrats and
Republicans. Both bills represent significant improvement
on the flawed rules we have in place today, despite the
furious efforts of industry lobbyists to shape them to
their special interests. I am sure that many of those
lobbyists work for some of you. But I am here today because
I want to urge you to join us, instead of fighting us
in this effort. I am here because I believe that these
reforms are, in the end, not only in the best interest
of our country, but in the best interest of our financial
sector. And I am here to explain what reform will look like,
and why it matters.

「こうした改革を実行するための総合対策が下院を通過した。上院の
案は現在審議中であり、民主党と共和党の考え方を踏まえたものであ
る。双方の法案とも、現在の欠陥がある規制ルールに比べると大変な
進歩である。もっとも業界のロビイストたちは、彼らの利益になるよ
うに作り直そうとやっきであるが。そうしたロビイストの多くが貴方
がたのために働いていることを承知している。しかし、本日私がここ
に来たのは、貴方がたが私たちと戦うのではなく、私たちの仲間にな
ることを促すためである。私は、こうした努力が我々の国の利益にな
るだけではなく、最終的には金融業界の利益にもなると信じているか
らこそ、今日ここに来たのだ。そして手私は、その改革案がどういう
ものか、そして何が問題なのかを説明したいと思う」

 First, the bill being considered in the Senate would
create what we did not have before: a way to protect the
financial system, the broader economy, and American taxpayers
in the event that a large financial firm begins to fail.
If an ordinary local bank approaches insolvency, we have
a process through the FDIC that insures depositors and
maintains confidence in the banking system. And it works.
Customers and taxpayers are protected and the owners and
management lose their equity. But we don’t have any kind
of process designed to contain the failure of a Lehman
Brothers or any of the largest and most interconnected
financial firms in our country.

「最初に、上院で審議中の法案は、我々が意図しなかったものを含ん
でいる。というのは、大規模な金融機関が破綻した時に、どうやって
金融システムを守り、どうやって経済全体を守り、そしてどうやって
アメリカの納税者を守るかということを含んでいる。地方の銀行が破
綻しそうになったときには、連邦預金保険公社(FDIC)を通じた方策
が用意されている。つまり、それによって預金者が保証され、金融シ
ステムの信用が維持されるのである。その制度はちゃんと機能するの
だ。顧客と納税者は保護され、そして株主と経営陣は自分たちの持ち
分を失うのだ。しかし、我々には、リーマンブラザーズや他の大規模
で複雑な金融機関が破たんするような際の失敗を封じ込める方策がな
い」

 That’s why, when this crisis began, crucial decisions
about what would happen to some of the world’s biggest
companies — companies employing tens of thousands of people
and holding hundreds of billions of dollars in assets
— had to take place in hurried discussions in the middle
of the night. That’s why, to save the entire economy
from an even worse catastrophe, we had to deploy taxpayer
dollars. And although much of that money has now been paid
back — and my administration has proposed a fee to be paid
by large financial firms to recover the rest — the American
people should never have been put in that position in the
first place.

「今回の金融危機が勃発した時、世界の屈指の会社に何が起きるのか
という、極めて重要な判断を真夜中に慌てて下さざるを得なかった。
屈指の会社というのは、何万人の規模の職員が働いており、何千億ド
ルの規模の資産を保有しているような会社ということだ。我々の経済
が崖から墜落することを回避するために、我々は納税者のお金を使う
ざるを得なかったのは、それが理由なのだ。そうしてつぎ込んだお金
の多くは返済されているものの、そして、政府は残りのお金を回収す
るために、大きな金融機関に支払わせることを提案してるのであるが、
アメリカ国民は、そもそもそういう立場に追いやられるべきではなか
ったのだ」

 It is for this reason that we need a system to shut these
firms down with the least amount of collateral damage to
innocent people and businesses. And from the start, I’ve
insisted that the financial industry — and not taxpayers
— shoulder the costs in the event that a large financial
company should falter. The goal is to make certain that
taxpayers are never again on the hook because a firm is deemed
“too big to fail.”

「こうした会社を、善意の人々や善意の企業の巻き添えの損失を最小限
に抑えたうえで破綻させるシステムを必要とするのは、この理由による
ものだ。大規模な金融機関が破綻しそうな場合には、最初から、納税者
ではなく、金融業界自身がコストを負担することを私は主張してきた。
その目的は、会社が『大きくて潰せない』という理由で納税者を二度
と巻きこませないことを確実にすることなのだ」


 Now, there is a legitimate debate taking place about how
best to ensure taxpayers are held harmless in this process.
But what is not legitimate is to suggest that we’re enabling
or encouraging future taxpayer bailouts, as some have claimed.
That may make for a good sound bite, but it’s not factually
accurate. In fact, the system as it stands is what led to
a series of massive, costly taxpayer bailouts. Only with reform
can we avoid a similar outcome in the future. A vote for reform
is a vote to put a stop to taxpayer-funded bailouts. That’s
the truth.

「今、納税者に害が及ばないようにするにはどうすれば一番良いのかと
いうまともが議論が行われているところである。しかし、まともでない
のは、誰かが主張しているような、将来も納税者によって救済させよう
とする考えである。それは良さそうに聞こえるかもしれないが、実際は
そうではないのだ。事実、そうしたシステムが、何度も何度も同じよう
な、そしてお金のかかる納税者による救済を行わせたのだ。改革をしな
ければ、我々は将来も同様の結果から免れることができないのだ。改革
に賛成票を投じることが、納税者のお金による救済を止めさせることに
なるのだ。それが真実だ」

 And these changes have the added benefit of creating
incentives within the industry to ensure that no one company
can ever threaten to bring down the whole economy. To that
end, the bill would also enact what’s known as the Volcker
Rule: which places some limits on the size of banks and
the kinds of risks that banking institutions can take. This
will not only safeguard our system against crises; this will
also make our system stronger and more competitive by instilling
confidence here at home and across the globe. Markets depend
on that confidence. Part of what led to the turmoil of the past
two years was that, in the absence of clear rules and sound
practices, people did not trust that our system was one in which
it was safe to invest or lend. As we’ve seen, that harms all
of us. By enacting these reforms, we’ll help ensure that our
financial system and our economy continues to be the envy of
the world.

「そして、こうした変更が、業界内にインセンティブを与え、一つの会
社が経済全体を破滅に導くことなど決してないようにするのである。そ
の目的のためにボルカールールとして知られているものも立法化する。
どういう内容かといえば、銀行の規模に制限を設けたり、また、銀行が
負うことができるリスクの上限を設けるのだ。これによってシステム全
体をリスクから守るだけでなく、システムをより強化することとなり、
また、国内においてだけではなく、海外においても信任を植え付けるこ
とによって競争力を高めることにもなる。市場は、そうした信頼如何な
のである。過去2年間の混乱をもたらしたものの一つは、明確なルールと
健全な商慣習が欠如していたということであり、人々は、我々の金融シ
ステムにおいては、安心して投資したり融資したりすることができると
は信じなかったのである。我々がみてきたように、そうしたことは我々
の全てに害を与える。こうした改革を立法化することにより、我々は我
が国の金融システムと経済が世界の羨望の的であり続けることを確かな
ものにしたい」

 Second, reform would bring new transparency to many financial
markets. As you know, part of what led to this crisis was firms
like AIG and others making huge and risky bets — using derivatives
and other complicated financial instruments — in ways that defied
accountability, or even common sense. In fact, many practices
were so opaque and complex that few within these companies —
let alone those charged with oversight — were fully aware of
the massive wagers being made. That’s what led Warren Buffett
to describe derivatives that were bought and sold with little
oversight as “financial weapons of mass destruction.” And that’s
why reform will rein in excess and help ensure that these kinds
of transactions take place in the light of day.

「第二に、改革によって多くの金融市場に新しい透明性がもたらされる。
この金融危機に陥れた原因の一部は、AIGなどの大量のそしてリスクの大
きい賭けを行っていた会社なのだ。そうした会社は、デリバティブやそれ
以外の複雑な金融商品を利用して ― そしてまた、説明責任や常識を無
視するような格好で賭けを行っていたのだ。事実、多くの商慣習は全く不
透明であり複雑であって、こうした会社のなかでもリスクの大きさを十分
に承知していたものは稀であった。ましてや、監督の責任にあるものがそ
うしたリスクの大きさを承知していなかったのは当然である。だからこそ、
ウォーレンバフェットをして、殆ど監督を伴わないデリバティブの売買は、
金融の大量破壊兵器だと言わせたのである。また、改革によって行きすぎ
をコントロールし、こうしたデリバティブ取引が明るい場所で行われるこ
とを確かなものにしようとするのは、そういう理由からである」


 There has been a great deal of concern about these changes.
So I want to reiterate: there is a legitimate role for these
financial instruments in our economy. They help allay risk and
spur investment. And there are a great many companies that use
these instruments to that end — managing exposure to fluctuating
prices, currencies, and markets. A business might hedge against
rising oil prices, for example, by buying a financial product
to secure stable fuel costs. That’s how markets are supposed
to work. The problem is, these markets operated in the shadows
of our economy, invisible to regulators and to the public.
Reckless practices were rampant. Risks accrued until they
threatened our entire financial system.

「こうした変更には多くの心配事が伴う。そこで繰り返させて欲しい。
こうした金融の道具も我々の経済おいて果たすべきまともな役割があ
るということを。それらは、リスクを緩和し投資に拍車をかける一助
となるのだ。こうした道具をそうした目的のために使用している多く
の会社が存在している。価格や通貨の変動リスクを管理するのである。
例えば、ある会社が石油価格の上昇に対してヘッジをかけるかもしれ
ない。燃料コストを確定させるために金融商品を購入することによっ
てヘッジをかけるのである。マーケットはそのようにして機能してい
るとみられるのである。問題は、こうしたマーケットが陰で運営され
ているということだ。規制当局には見えないところで、また公の監視
の効かないところで。向う見ずな手口が横行していた。金融システム
全体を脅かしかねないほどリスクが高まったのだ」

 That’s why these reforms are designed to respect legitimate
activities but prevent reckless risk taking. And that’s why
we want to ensure that financial products like standardized
derivatives are traded in the open, in full view of businesses,
investors, and those charged with oversight. I was encouraged
to see a Republican Senator join with Democrats this week in
moving forward on this issue. For without action, we’ll
continue to see what amounts to highly-leveraged,
loosely-monitored gambling in our financial system, putting
taxpayers and the economy in jeopardy. And the only people
who ought to fear this kind of oversight and transparency are
those whose conduct will fail its scrutiny.

「だから、これらの改革案はまともな活動は尊重し、その一方で向う見
ずなリスクテーキングは防止しようとしているのだ。そして、だから、
標準化されたデリバティブ取引はオープンに行うようにし、全ての企業、
全ての投資家、そして監督当局の目が届くようにしたいというわけだ。
今週、この問題を進めるために共和党の上院議員が民主党の議員に加わ
ったことを目撃した。何も活動を起こさなければ我々は、今後もレバレ
ッジをかけた、そして監視の目が緩いギャンブルがこの金融システムの
なかにおいて行われることを見続けることになる、そして、納税者と我
が国経済を危機に晒し続けるであろう。この種の監督と透明性を恐れな
ければならない人々とは、彼らの行いが、合格点に達しない人々だけな
のである」

 

 最後までお読み下さり有難うございます。

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 デリバティブ取引を規制しようという動きがアメリカで強まってい
るようです。21日、米上院農林委員会は、デリバティブ規制案を
可決したのだとか。

  この規制案は、上院銀行委員会がまとめた金融規制改革法
案に統合される予定であり、その金融規制改革法案は、近々上
院本会議で審議が始まる見通しであるといいます。

 ところで、貴方に質問します。

 デリバティブって何なのでしょうか?

 どんなことかおぼろげながら分かっていても、いきなり聞かれる
と、どう答えていいのやら‥

 しかも、そんな質問を素人の人や子どもからされると、なおさら
返答に困ってしまうかもしれません。

 以前は、デリバティブって何ですかと言われると、専門家は、そ
れは金融派生商品です、と答えたものです。

 derivative‥‥、derive、日本語に訳すると「由来する」とい
う意味の単語があって、その単語に由来するのがderivative。

 Thousands of English words are derived from Latin.

 「何千という英語の言葉は、ラテン語から来ているものだ」

 では、金融デリバティブには、具体的にどんなものがあるかと言
えば‥

 例えば、株式関係では、株価指数先物、或いは、株価指数先
物オプション。為替関係では、通貨先物、通貨オプション。

 原油の先物取引や、穀物の先物取引もデリバティブということ
になります。

 「で、結局、デリバティブって何?」

 そうですね、幾ら分かりやすく説明しようとしても、デリバティブ
の説明は難しようです‥、でも、昔から、次のような説明がなされ
ていました。

 まだ、国債の先物取引が行われる前の頃の話です。

 「アメリカでは国債の先物取引が行われているが、日本でも先
物取引を導入すべきではないか」

 そんな考え方に対して、先物取引は結局、賭博を認めることと
同じではないか、という批判があったわけです。ここは慎重に検
討すべきだ、と。

 しかし、導入論者は、国債の保有者は先物取引を行うことによ
って、将来国債の相場がどのように変動しようが、そのリスクを
回避することができるようになる、つまりリスクヘッジができるの
で、大変に有益なものだと主張したのでした。

 確かに、先物取引を行うことによって、価格の変動リスク、金利
の変動リスク、そして為替の変動リスクを回避することが可能で
す。

 まあ、そんな議論があって、日本でもデリバティブ取引が行わ
れるようになったのです。

 しかし、デリバティブが様々なリスクを回避する手段を提供する
ものであって、大量の金融資産を抱える金融機関にとって有益な
ものであるのであれば、何故、今、デリバティブを規制しろなんて
声が上がっているのでしょう?

 最近におけるデリバティブ批判の手始めは、ボルカー元FRB議
長によるものでした。預金保険によって守られる金融機関は、銀
行の本来業務に専念すべきであり、投機的な行為には手を出す
べきではない、と。もし、投機的ビジネスを行うのであれば、預金
保険の対象から外すべきだ、と。

 そして、オバマ大統領も恒例の週末スピーチでもこんなことを言
っていたのです。

 Next, these reforms would bring new transparency
to financial dealings.  Part of what led to this crisis
was firms like AIG and others making huge and risky
bets – using things like derivatives – without
accountability.

「次に、この金融改革は金融取引に対し新たな透明性をもたらす
ことになろう。今回の金融危機をもたらした原因の一つは、AIG
などの会社が膨大な、そしてリスクの大きい賭けを行っていたこ
とである。デリバティブのようなものを利用して、しかも、何の説明
責任を負うことがなく」

 Warren Buffett himself once described derivatives
bought and sold with little oversight as “financial
weapons of mass destruction.”  That’s why through
reform we’d help ensure that these kinds of
complicated financial transactions take place on an
open market.

「ウォーレンバフェット氏自身が、殆ど規制のないデリバティブの
売買は、『金融の大量破壊兵器』であるとかつて言ったことがあ
る。我々が、金融改革を通してこうした複雑な金融取引が開かれ
た市場において行われることを確かなものにしようとするのは、
それが理由なのである」


 Because, ultimately, it is a marketplace that is
open, free, and fair that will allow our economy to
flourish.

「何故ならば、我々の経済が繁栄することを許すのは、究極にお
いては、公開されて、自由で、そして公正な市場であるからだ」


 オバマ大統領などは、デリバティブ取引を行うためには、今後
は、デリバティブ取引を行う公開の市場を整備したうえで、そして
清算機関も同時に整備すべきであるといっているのです。

 我々日本人的な感覚からすれば、デリバティブを規制するとい
えば、もっと本格的な規制をするのかと想像しがちなのですが、
どうもそうではないようです。ちゃんとした市場を通して、そして清
算機関も設置したところで行うのであれば、それは認める、と。

 しかし、既に述べたように、預金保険の対処となる金融機関に
ついては、デリバティブ取引が大きく制限される可能性は残って
います。

 いずれにしても、我々からみたら、こんなに緩いと思われる規
制内容でも、ウォールストリートは反対の姿勢を示している、と。

 何ででしょう?

 デリバティブの取引所を作り、清算機関もはっきりさせておけ
ば、もはやAIGの破綻のようなことは起きないだろうに‥、と思う
のですが。

 それは、ウォールストリートが新たなデリバティブをどんどん開
発し、それを顧客に売って儲けるためには、そうした規制が邪魔
になると考えているようなのです。

 でも、今回のゴールドマンサックスの詐欺容疑でも明らかになっ
たように、彼らはデリバティブを販売していると言っても、要する
にカジノを経営しているようなものなのです。しかも、確実に胴元
が儲かるようになっているだけではなく、自分もゲームに参加し
て、多分勝つことが多いようなゲームなのです。

 今、アメリカでは、デリバティブって何?と聞かれて、それは、リ
スクヘッジの手段になり得‥、などと答える人はいなくなっている
ようです。

AUDIE CORNISH: So what exactly is a derivative?

「では、デリバティブって何なのですか?」

Professor LYNN STOUT (UCLA School of Law):
A derivative is nothing more than a bet on what's
going to happen in the future. So for example, an
interest rate swap is a bet that interest rates are
going to rise or fall. If the interest rate goes up, one
party simply pays off the bet to the other party.

「デリバティブというのは、賭け以外の何物でもない。将来どうな
るかを賭けるのだ。例えば、金利スワップの場合には、金利が上
がるか下がるかを賭けることになる。金利が上がれば、一方が
他方に対しお金を支払うのだ」

 
 これだとまた金融危機が発生する可能性が大きいな、と思った
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 昨日お伝えしたように米国では、リーマンの破綻を巡って下院
で公聴会が行われています。

 それにしても、どういうものなのでしょうかね。リーマンの元CEO
は、担当者がバランスシートを綺麗にみせようとしてrepo105を
利用していたことを知らなかっただなんて。それにFRB議長のバ
ーナンキ氏も知らなかっただなんて‥

 その前にrepo105とは何かを整理しましょう。

 repo105とは、粉飾決算の手段の一つです。他にrepo108と
いうのもあったといいます。

 では、repoとは何を意味するのか?

 日本でもレポ取引と言われるものがありますが、日本の場合レ
ポ取引は、現金を担保にした債券の貸借取引のことです。では、
アメリカのrepoも同じなのか?

 実はそうではなく、アメリカのrepoとは、買い戻し条件付きの債
券の売買を意味します。例えば、自社が保有する国債を1週間後
には買い戻すから、国債を買ってくれともちかけるわけです。何
でそんなことをするかといえば、要するにキャッシュが必要だから
です。1週間後にはお金が入ってくるが、そのまでの間資金繰り
がつかないから、国債を一時的に売却して現金化しよう、と。そし
て、1週間後にお金が入ってきたら、一旦売却した国債を買い戻
そう、と。

 相手側からすれば、そうした取引は、要するに、国債を担保に
して1週間だけお金を貸すことと同じです。幾ら形としては債券を
買い取ったことになっても、1週間後にはまたその債券を戻すわ
けですから、担保に取っているのと同じだ、と。

 この買い戻し条件付きの債券の売買、実質的には債券を担保
とした借入と考えられる取引を、アメリカではrepoと呼んでいる
のだ、と。

 だから、リーマンがレポ取引をしていたからといっても、それだ
けでは直ちに怪しからとはならないのです。何故ならば、短期資
金を調達するために一般的に認められた取引であり、日本でも
現先といって昔から利用されているからです。

 では、何がいけないのか?

 それは、その行為自体には特に違法性がないとしても、そうし
た取引を行うことによって意図的に誤解をさせるような財務情報
を投資家や監督当局与えるからです。

 つまり、簡単に言えば、投資家や監督当局を騙した、と。粉飾
決算を行ったと言ってもいいでしょう。

 では、どうやって粉飾決算が可能になったのか?

 米国の決算は四半期ごとに行われています。そして、各期末の
計数が投資家などに公表されることになっています。

 で、多くの金融機関は、バブルが崩壊するまでは、レバレッジを
思い切りかけて利潤の最大化に努めていたわけです。

 簡単に言えば、可能な限り借金をして、それを値上がりが続い
ていた住宅関連の証券などに投資していた、と。しかし、ご承知
のようにバブルが弾けるわけです。そうなると、どうなるでしょう。
個人投資家などからすれば、金融機関が沢山お金を借りてそう
した資産にお金を振り向けていないかが心配になるわけです。規
制当局も同じです。借金、もう少し専門的にいえば、外部調達比
率が高いのかどうかに関心が集まったわけです。つまり、レバレ
ッジが高くないかが確認された、と。

 で、リーマンは考えた訳です。何とかレバレッジを低くみせる方
法はないものか、と。レバレッジを低めるためには、手持ち現金
を増やせば可能なのですが‥

 そこで‥ お分かりでしょうか? 

 repoを利用したわけです。1週間だけお金を融通してくれない
か、と。手持ちの債券を担保として差し出すから、と。そして、決
算期が過ぎ1週間も経たないうちに、また、その債券は買い戻さ
れるというか、借金が返済される、と。

 で、そうやってレバレッジを低く見せることに成功したのだ、と。

 これ、同じようなことを行っても、もし、repo取引を借り入れと認
識し、そしてそれをバランスシート上に計上したのであれば、何
の問題もありません。正直に財務内容を開示したことになりま
す。しかし、リーマンは、repo取引を、債券を売却した行為と会
計上認識したのです。つまり、借金ではない、と。ですから、一時
的にそれまで保有していた債券が資産の部から落ち、その代わ
りそれが現金に変化するわけです。

 債券を完全に売却したというのであれば、そうした処理は何の
問題もありません。しかし、1週間後には買い戻す契約がなされ
ているので、それは実質的には借り入れであるのです。つまり、
現金が増えたとは言っても、それに応じた借金が発生しているの
だ、と。それが真実であるのに、そのことがバランスシートを見た
だけでは分からなくしたわけです。

 リーマンが行ったrepo取引の額は、最大で500億ドルだったと
言います。つまり、期末の一時期、リーマンが保有するキャッシュ
を急増したように見せたわけです。

 ねえ、怪しからん行為でしょう。

 しかし、元CEOは、聞いたこともなかったと言っています。

 確かに、CEOや社長の立場にあるものが、細かい経理につい
て知らないことが多いのは、それはそのとおりでしょう。しかし、そ
れだけ巨額のrepo取引をしていれば、うちの会社はこんなに健
全だったのだろうか、と疑問に思わない筈がありません。それ
は、連銀にしても同じです。こんなにいい数字が出るのはおかし
い!と、思わなかったのでしょうか。

 それに、もっと悪質な関係者がいます。それは、そうした不適切
な取引を見逃した監査法人です。

 何のための監査法人なのだ、と言いたい。

 言い忘れそうになりましたが、repo105の105は何を意味する
のか? repo108の場合の108は?

 これは、100万円のお金を借りるのに105万円の価値の債券を
担保として提供することが必要だということで、金利を指すものと
理解できるというのです。

 つまり、1週間ほどお化粧するために、そんなに高い金利を支
払わされていたということにもなるのです。ですから、そうした行
為を繰り返せば繰り返すほど、収益には益々響いてくるというわ
けだったのです。


 
 粉飾とは酷いぞ、と思った方、クリックをお願いします。
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 バーナンキ議長が、20日、米下院金融サービス委員会の公聴
会で証言する内容が明らかになりました。連銀が証言メモを公表
したのです。

 なお、公聴会は、現地時間で20日の午前11時に開始され、関
係者の関心は、リーマンが利用したレポ105という簿外取引に集
まっていると言われています。リーマンは、この取引によって数千
億円規模の債務を簿外処理していたというのです。


 Chairman Frank, Ranking Member Bachus, and
other members of the Committee, I appreciate the
opportunity to testify about the failure of Lehman
Brothers and the lessons of that failure. In these
opening remarks I will address several key issues
relating to that episode.

「フランク議長、バッカス委員、そしてその他の委員の皆さま、私
は、リーマンの破綻とその破綻から学んだことについて証言する
機会を得られたことをありがたく思います」

 The Federal Reserve was not Lehman's supervisor.
Lehman was exempt from supervision by the Federal
Reserve because the company did not own a
commercial bank and because it was allowed by
federal law to own a federally insured savings 
association without becoming subject to Federal
Reserve supervision.

「連銀はリーマンの監督者ではなかった。リーマンは市中銀行を
保有していなかったために、そして、連銀の監督に服することなく
国が保証する貯蓄組合を保有することを法によって認められて
いたために、連銀による監督を免除されていた。」

 The core subsidiaries of Lehman were securities
broker-dealers under the supervisory jurisdiction of
the Securities and Exchange Commission (SEC),
which also supervised the Lehman parent company
under the SEC's Consolidated Supervised Entity 
(CSE) program. Importantly, the CSE program was
voluntary, established by the SEC in agreement with
the supervised firms, without the benefits of
statutory authorization.

「リーマンの中核的子会社は、SECが所管する証券ブローカー業
者であった。そして、SECはその連結監督制度(CSE)の下で、リ
ーマンの親会社についても監督した。ただ、重要なことは、この
CSEは任意のものであったということだ。つまり、監督の対象とな
る会社とSECとの合意によって認められたものであり、法的な義
務があるわけではない」

 Although the Federal Reserve had no supervisory
responsibilities or authorities with respect to Lehman,
it began monitoring the financial condition of Lehman
and the other primary dealers during the period of
financial stress that led to the sale of Bear Stearns to
JPMorgan Chase. In March 2008, responding to the
escalating pressures on primary dealers, the Federal
Reserve used its statutory emergency lending
powers to establish the Primary Dealer Credit Facility
and the Term Securities Lending Facility as sources of
backstop liquidity for those firms.

「連銀は、リーマンに関して何の監督責任もなければ、何の権限
も持たなかったが、ベアスターンズのJPモルガン・チェースへの
売却につながった金融危機のまっただなかにおいて、リーマンや
それ以外の証券引受業者の財務状態を監視し始めた。2008年
3月、証券引受業者の緊張が増したことに応え、連銀は法によっ
て認められた緊急融資の権能を利用して、証券業者融資制度と
ターム物証券貸付制度を創設した。そうした制度がそれらの会
社への流動性を支援する資金源となるようにするためであった」

 

 To monitor the ability of borrowing firms to repay,
the Federal Reserve, in its role as creditor, required
all participants in these programs, including Lehman,
to provide financial information about their
companies on an ongoing basis. Two Federal Reserve
employees were placed onsite at Lehman to monitor
the firm's liquidity position and its financial condition
generally. Beyond gathering information, however, 
these employees had no authority to regulate 
Lehman's disclosures, capital, risk management, or
other business activities.

「借入会社の返済能力を監視するために、連銀は貸付者の立場
として、リーマンを含めこれらの融資制度を利用する会社全てに
対し、定期的に財務情報を提供するように求めた。2人の連銀の
職員がリーマンに配置され、リーマンの流動性の状況と財務状
況を監視した。しかし、そうした情報を集めること以外には、これ
ら2人の職員には何の権限もなかった。つまり、リーマンの情報
開示や、資本、リスク管理、或いはその他の営業活動について、
規制をする権限はなかったのだ」

 During this period, Federal Reserve employees
were in regular contact with their counterparts at the
SEC, and in July 2008, then-Chairman Cox and I
negotiated an agreement that formalized procedures
for information-sharing between our two agencies.

「この間、連銀の職員はSECのカウンターパートと定期的に連絡
を取り合った。そして2008年7月、そのときの委員長のコックスと
私は、この2つの組織の間において情報を共有する協定の交渉
を行った」


 Cooperation between the Federal Reserve and the
SEC was generally quite good, especially considering
the stress and turmoil of the period. In particular, the
Federal Reserve, with the SEC's participation,
developed and conducted several stress tests of the
liquidity position of Lehman and the other major
primary dealers during the spring and summer of
2008.

「連銀とSECの協力関係は、金融危機の最中にあったことを考慮
すれば、全般的に極めて良好であった。特に、連銀は、SECの参
加も得て、リーマンやそれ以外の証券会社の流動性の状況を確
認するストレステストを開発し、そして、2008年の春から夏にか
けてそのテストを何回か実施したのである」

 The results of these stress tests were presented
jointly by the Federal Reserve and the SEC to the
managements of Lehman and the other firms.
Lehman's results showed significant deficiencies in
available liquidity, which the management was
strongly urged to correct.

「これらのストレステストの結果は、連銀とSECの共同により、リ
ーマン及び他の証券会社の経営陣に提出された。リーマンのテ
ストの結果は、利用可能な流動性が大きく不足しているというも
のであり、経営陣はその状態を正すことが求められた」

  The Federal Reserve was not aware that Lehman
was using so-called Repo 105 transactions to manage
its balance sheet. Indeed, according to the
bankruptcy examiner, Lehman staff did not report
these transactions even to the company's board.

「連銀は、リーマンがバランスシートの辻褄を合せるために所謂
レポ105取引を利用していることを承知していなかった。確かに
検査官によれば、リーマンの職員はこれらの取引を会社の取締
役会にさえ報告していなかったということだ」

 However, knowledge of Lehman's accounting for
these transactions would not have materially altered
the Federal Reserve's view of the condition of the
firm; the information we obtained suggested
that the capital and liquidity of the firm were
seriously deficient, a view that we conveyed to the 
company and that I believe was shared by the SEC
and the Treasury Department.

「しかし、こうした取引をリーマンが行っていたことを仮に知ってい
たとしても、この会社の状況に関する連銀の見解が大きく変わる
ことはなかったであろう。我々が得た情報は、資本と流動性にお
いて深刻な不足が見られることを示していた。我々が会社に伝え
た意見は、SEC及び財務省とも共有された」

 Lehman did succeed at raising about $6 billion in
capital in June 2008, took steps to improve its
liquidity position in July, and was attempting to raise
additional capital in the weeks leading up to its
failure. However, its efforts proved inadequate.
During August and early September 2008,
increasingly panicky conditions in markets put
Lehman and other financial firms under severe
pressure.

「リーマンは2008年6月約60億ドルの資本を調達することに成
功した。そして7月には、流動性の状況を改善する措置を取っ
た。そして、破綻する何週間か前には、資本の追加調達を試み
ていた。しかし、そうした努力も十分ではなかった。2008年8月
から9月の初めにかけて、市場のパニックがリーマンや他の金融
機関を襲った」

 In an attempt to devise a private-sector solution for
Lehman's plight, the Federal Reserve, Treasury, and
SEC brought together leaders of the major financial
firms in a series of meetings at the Federal Reserve
Bank of New York during the weekend of September
13-15. Despite the best efforts of all involved, a
solution could not be crafted, nor could an acquisition
by another company be arranged. With no other
option available, Lehman declared bankruptcy.

「リーマンの窮状に対する民間部門の答えを考えだそうとして、
連銀、財務省、そしてSECは、9月13日から15日の間の週末に
主要金融機関の首脳をNY連銀に集めて、一連の会合を開催し
た。しかし、全ての参加者の最大限の努力にも拘わらず、答えを
見つけることはできず、また、他の会社による買収ということも行
うことはできなかった。他に実現可能な選択肢もなく、リーマンは
破綻を宣言した」


 The Federal Reserve fully understood that the
failure of Lehman would shake the financial system
and the economy. However, the only tool available
to the Federal Reserve to address the situation was
its ability to provide short-term liquidity against
adequate collateral; and, as I noted, Lehman already
had access to our emergency credit facilities. It was
clear, though, that Lehman needed both substantial
capital and an open-ended guarantee of its
obligations to open for business on Monday,
September 15. At that time, neither the Federal
Reserve nor any other agency had the authority to 
provide capital or an unsecured guarantee, and thus
no means of preventing Lehman's failure existed.

「連銀は、リーマンが破綻すれば金融システムと経済全体に大き
な動揺を与えることを十分理解していた。しかし、連銀には、そう
した事態に立ち向かう手段として有していたものは、十分な担保
を取った上で短期資金を供給することだけであった。そして、私
が述べたように、リーマンは既に緊急融資制度を利用していたの
だ。リーマンが9月15日に店を開くためには、相当の資本とそし
てリーマンへの融資に対する無制限の保証が必要だったことは
明らかなことである。その時点では、連銀にもそしてそれ以外の
当局にも、資本を供給したり保証をする権限はなかったのだ。つ
まり、リーマンの破綻を防ぐ手段は存在しなかった、と」

 The Lehman failure provides at least two important
lessons. First, we must eliminate the gaps in our
financial regulatory framework that allow large,
complex, interconnected firms like Lehman to
operate without robust consolidated supervision.
In September 2008, no government agency had
sufficient authority to compel Lehman to operate in a
safe and sound manner and in a way that did not
pose dangers to the broader financial system.

「リーマンの破綻は少なくても2つの重要な教訓を与えてくれた。
一つは、リーマンのような巨大で複雑でそして相互に入り組んだ
会社が、強力な連結監督に服することなく活動することを許すよ
うな金融機関の規制体制上の不備をなくさなければいけないと
いうことである。2008年9月時点では如何なる政府の監督当局
も、リーマンに対し金融システムに危機を与えないように安全で
健全な方法で営業を行うことを強いる十分な権限を有していなか
ったのだ」

 Second, to avoid having to choose in the future
between bailing out a failing, systemically critical 
firm or allowing its disorderly bankruptcy, we need a
new resolution regime, analogous to that already
established for failing banks. Such a regime would
both protect our economy and improve market
discipline by ensuring that the failing firm's
shareholders and creditors take losses and its
management is replaced.

「第二に、金融システム全体にとって重大な意味を持つ会社が破
綻しそうになったときに、それを救済するか、或いは無秩序に破
綻をさせてしまうか、という2つの選択肢から答えを見つけざるを
得ないという事態を回避するために、我々は、新しい解決方法を
必要とする。つまり、破綻銀行に適用されていると同じような体
制を取ることが必要であるということだ。そうした体制を取れば、
破綻会社の株主と債権者は損失を被り、また、経営陣は入れ替
えられることが確かなものになることによって、我々の経済を守
り、また、市場の規律を改善することにもなろう」

 Thank you. I would be glad to respond to your
questions.


 バーナンキ議長は、レポ105の取引がなされていたことを当時
知らなかったといいます。また、会社の経営陣も知らなかった、
と。そしてまた、仮に連銀が当時その取引について知っていたと
しても、結果は変わらなかったであろう、と。

 それはそうかもしれませんが‥

 強欲を野放しにして、世界に迷惑をかけてしまった米国。

 しかし、海外に対して本当に済まなかったです、という謝罪の言
葉は一言も聞こえてきません。

 10年ほど前、日本に対しては、日本発の恐慌を起こすようなこ
とをしては決していけない、とあれほど言っていた米国なのです
が‥。

 いずれにしても、ウォールストリートから財務長官が出るようで
は‥


 こちらは天上がりの弊害でしょうか。

 

 今頃、リーマンブラザーズのことについて公聴会をやるのか、と
思った方、クリックをお願いします。
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 ボルカー氏が、金融規制に関する自分の考えをNYタイムズに
寄稿しています。これまでにもボルカー氏の考えは紹介していま
したが、改めてどんなこと行っているのか、見てみましょう。

<ボルカー氏の主張のポイント 2010/1/30 NYタイムズ紙)

・オバマ大統領は、10日前に金融規制改革案を発表。金融危機
の影響は極めて甚大であり、こうした改革の必要性については
誰も反対できないはず。

・金融システムを維持し、市場の機能を回復させるために、政府
と連銀は異例の介入を行った。大規模で名声のある銀行が救済
や合併の対象となった。こうした措置は、実体経済への影響を食
い止めるために止むを得ないものであった。

・金融システムが安定化しつつある今、当局による金融規制案
が検討されている。例えば、適切な資本比率や流動性比率、当
局の監督手法の改善、銀行のリスク管理手法の改善等。但し、
大統領は重要なものが欠けていると考えている。

・最大の懸念は、銀行の救済が広範囲に行われたことからモラ
ルハザードが蔓延していることだ。

・“too big to fail”(大きくて潰せない)ということが日常でも言わ
れるようになった。これは、大規模で複雑で、そして国際的に活
動をしているような銀行は政府の支援を当てにすることができる
ということを意味している。国民が、そうした不平等の扱いに憤り
を感じるのは当然だ。

・モラルハザードが蔓延した結果、こうした金融機関は益々リスク
の高い取引に手を出すことになり、その結果、金融システムは
益々脆弱になる。

・こうした問題を解決するためには、先ず、商業銀行の基本的な
業務をよく理解する必要がある。こうした商業銀行の信用システ
ムこそが、資本の仲介機能を果たし、経済の基礎を支えている
のである。

・商業銀行の基本的な業務に様々な業務が結合するときに、リス
クは増大する。それ故、アダムスミスは200年以上も前に、銀行
は規模を大きくしない方がいいと説いたのだ。規模が小さけれ
ば、仮に破綻した場合の他に与える影響が限られる。

・ただ、実際には銀行は大きくなったので、政府はその代わり、安
全網を完備することにした。そして、モラルハザードに対しては規
制や監督で応じようと。

・大統領が提案しているのは、銀行の自己勘定取引の制限だ。
具体的には、ヘッジファンドや未公開株式ファンドの所有・運営
及び自己勘定取引の禁止である。こうした活動をしている機関
は、国内には4つか5つしかなく、また国際的にみても25〜30程
度である。

・商業銀行がそうした活動に従事することは、顧客との間で利益
相反を起こす。また、そうした利益相反は、チャイニーズウォール
では防ぎようがない。

・世の中には、何千というヘッジファンドや未公開株式ファンドが
存在しているが、商業銀行がそうしたファンドを所有することにな
れば、公平な競争条件を阻害するだけで何ら有益なことはない。

・メガバンクが保有するヘッジファンドなどは、大きすぎるから潰
せないと思われる一方で、独立した多数のヘッジファンドなどは、
経営に失敗すれば現実に破綻しているが、マーケットには何も深
刻な影響を与えていない。

・もし破たんしたら経済に深刻な影響を与えるだろうと思われて
いる投資銀行や保険会社などは、限られてはいるが幾つか存在
している。そうした機関に対しては、資本や負債に制限を課する
ことが重要だ。

・そうした機関の破綻が、それでもなお経済に深刻な影響を与え
る場合もあると思われるが、そうした場合に備えるために、清算
(解体)の権限を当局に与えることが必要である。

・清算される場合には、株主や経営陣が守られることはない。債
権者も債権がカットされる。要するにマーケットで活動する機関に
ついては、大きすぎて潰せないということはなくなる。彼らは、他
のマーケット参加者と同じように潰れる自由を有するのである。

・こうした金融規制案について、他の国との協議が必要である。
特に重要であるのは、商業銀行にとって相応しい業務範囲をどこ
まで認めるかということである。

・規制緩和の圧力は今でも存在しているが、我々は規制改革に
着手し、それを法律として成立させることが必要なのだ。

 
 私は、ボルカー氏の意見に100%賛成というわけではありませ
ん。それは、仮に、銀行がヘッジファンドを運営することを止めた
り、また、自己勘定取引を止めたからといって、それで完全にリス
クの高い業務が全て排除されることはないからです。

 早い話、今回もし、昔ながらの手法で経営を続けていた銀行が
あったとして、そしてまた、自己勘定取引には全く手を出していな
かった銀行があったとして、その銀行は、住宅バブルの崩壊によ
って何も影響を受けずに済んだのであろうか?

 住宅ローンを抱えた銀行は、やっぱり大きな損失を発生させ、
大変な危機に遭遇したのではないでしょうか。

 つまり、伝統的な銀行業務だけを行うとはいっても、住宅ローン
や企業の設備資金を融資するようになれば、それはやっぱり大
きなリスクを伴うということになるからです。

 ただ、そうはいっても私は、結果的にはボルカー氏の意見に賛
同したいと思います。
 
 彼のようなことを言う人がいないと、アメリカの金融業界は益々
おかしくなってしまうからです。

 


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 昨年12月12日にSpiegel Onlineに掲載されたインタビュー
記事です。


 SPIEGEL: You have been clear about your ideas. Do
you really believe we have to break up the big banks
in order to create a more sustainable financial
system?

「明確なお考えがあるようだが。貴方は、もっと持続可能な金融
システムにするために我々はメガバンクを分割すべきである、と
本当に思うのか?」


 Volcker: Well, breaking them up is difficult. I would
prefer to say, let's just slice them up. I don't want
them to get heavily involved in capital market
activities so my view is: Hedge funds, no. Equity
funds, no. Proprietary trading, no. Trading in
commodities, no. And that in itself would reduce the
size of the big banks. So you get some reduction 
in size. Equally important, you make them more
manageable and easier to deal with if they do get
in trouble.

「メガバンクを分割するのは難しい。むしろ、銀行業を薄切りにす
ると言った方が好きだ。私は、彼らが市場活動に関わり過ぎにな
ることを好まない。私の考えとしては、ヘッジファンドはノー、未公
開株ファンドはノー、自己勘定のディーリングはノー、一次産品の
売買もノーだ。そうなると、メガバンクの規模は小さくなるであろ
う。幾らか規模が小さくなるであろう。同様に重要なことは、そう
することによって、もしメガバンクの経営が悪化した時に、対処し
やすくなるということだ」

SPIEGEL: Banking should become boring again?

「銀行業がまた、退屈なものになるのか?」

Volcker: Banking will never be boring. Banking is a
risky business. They are going to have plenty of
activity. They can do underwriting. They can do
securitization. They can do a lot of lending. They can
do merger and acquisition advice. They can do
investment management. These are all client
activities. What I don't want them doing is piling on 
top of that risky capital market business. That also
leads to conflicts of interest.

「銀行業は決して退屈にはならない。銀行業はリスクが伴うビジ
ネスだ。これからも様々な活動分野を持つであろう。引き受け業
務を行うことができるし、証券化も行える。融資活動も行えるし、
M&Aも、投資管理も。これらは全て顧客のための活動だ。私が
彼らにして欲しくないことは、リスクの高い市場ビジネスを拡大さ
せることだ。そうすることは、利益相反にもつながる」


 ボルカー氏のご意見はよく分かります。

 1929年に起こった株式市場の大暴落を発端にした大恐慌を経
験して、米国は1933年にグラス・スティーガル法を成立させま
す。つまり、商業銀行と投資銀行が分離させられることになった、
と。我が国も、これに倣い銀証分離が行われたわけです。

 しかし、このグラス・スティーガル法は、1999年に成立したグラ
ム・リーチ・ブライムリー法によって廃止されてしまうのでした。そ
して、ご存知のように金融機関の投機的活動が益々活発化して
いった、と。

 そして、今回のボルカー・ルールの提案。まさに歴史は繰り返
す。グラス・スティーガル法の復活ということなのです。


 メガバンクは、結局法の抜け道を探しだすのだろうな、と思う
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 それにしてもオバマショックは、マーケットに大変な衝撃を与え
ているようで‥、でも、それも考えてみたら、もっともなことです。

 オバマ大統領は言いました。破綻しそうになったら納税者のお
金によって救済されるメガバンクが、投機的な行為に走るのはお
かしい、と。

 銀行(の持ち株会社)が、ヘッジファンドや未公開株ファンドを所
有したり、或いは自己勘定で投機的取引をするのは禁ずる、と。
これをボルカー・ルールと呼びたい、と言いました。

 ボルカー氏は、1927年9月生まれの82歳。身長は2メートルも
あろうかという大男であり、1979年から1987年にかけてFRBの
議長を務めました。ボルカー氏がFRBの議長に就任した当時、
米国はインフレに悩まされていましたが、ボルカー議長は短期金
利を最高20%にまで引き上げて、インフレを鎮めることに成功し
たことで有名です。まあ、これが世に言うボルカー・ショック。

 そのボルカー氏の意見を採用したのが、今回のオバマ大統領
の金融規制改革案なのです。

 で、話は戻りますが、何故マーケットに衝撃を与えたか?

 それは、もしボルカー・ルールが採用されることになれば、メガ
バンクは、株や債券や為替の取り引きが制限される可能性があ
るからです。つまり、ビッグプレイヤーが突如市場から姿を消すこ
とになる、と。そしてまた、そうしたメガバンクが、そうしたディーリ
ングを行うことが禁止されれば、大きな収益源も同時に喪失する
ということで、当然、そうした銀行(持ち株会社)の株価は下が
る、と。


 では、このオバマ大統領の金融規制改革案は実現されるので
しょうか。

 オバマ大統領は、既にウォールストリートがロビング活動をしか
けていると言い、向こうがその気なら自分は戦う用意があるとま
で言っています。

 でも、ウォールストリート側も、自分たちに巨額の利潤をもたら
す収益源をそう簡単に手放す筈がありません。恐らく徹底抗戦に
なるでしょう。

 一方、オバマ大統領やボルカー氏が言うことも正論です。賭け
に勝てば、銀行の株主(及び経営陣やディーラー)の利益になる
一方で、賭けに負けて破綻しそうになったときには、納税者の負
担になるのはおかしい、と。

 確かにそうでしょう。オバマ大統領やボルカー氏は、何が何でも
投機的取引を禁止するとは言っていないのです。やるのなら自分
たちの責任でフェアにやれ、と。損をしたときにそのツケを納税者
に払わせるのはフェアではないではないか、と。

 まあ、そう言われればウォールストリート側もなかなか反論はで
きないのではないでしょか。でも、彼らは収益源を手放したくはな
い。では、どうするか? 恐らく、ボルカー・ルールによって禁止さ
れるヘッジファンドや未公開株ファンド等を全く切り離して独立の
会社を創設することになるのではないでしょうか。少なくても形式
的には銀行との関係を断ち切り、資金的な関係もなくする、と。

 ということで、これまでどおり米国はカジノ経済から変身すること
はないでしょう。つまり、これから先もバブルが起き、そして破裂
するサイクルを繰り返す、と。しかし、その一方で、銀行の投機的
取引は大きく制限されることになり、伝統的な業務のみを行うよう
な地味な存在になっていくのではないでしょうか。

 いずれにしても今後オバマ大統領とウォールストリートのバトル
が展開されることになるでしょう。

 そして、G7の場でもこのオバマ大統領の金融規制改革案が議
論されるでしょう。日本からは、菅財務相が参加するのですが、
財政と金融の分離をあれだけ主張していた菅さんは、どんな気
持ちで金融規制を論じることになるのでしょうか。

 

 それにしても、今後益々波紋が広がると思う方、クリックをお願
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