経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 欧州中銀

 取り上げるのが遅れて恐縮ですが、ECBが量的緩和策、つまり長期国債の購入を行うことを22日に決定しました。

 では、ECBの量的緩和策にはどんな特徴があるのか? ポイントを挙げてみたいと思います。

 ・購入額:月額600億ユーロ(合計1兆ユーロ以上の買い入れを予定)

 ・期間は、2015年3月から2016年の9月末まで(インフレ率が目標値に達するまで、とも)

 ・購入対象:ユーロ圏の国債。各国のECBへの出資比率に応じて買い入れる。

 ・損失負担:各国の中央銀行が原則負担(ECBは2割のみ負担)。


 ということで、事前に関心の高かった購入の対象になる国債については、事前の予想どおり各国の出資比率に応じてということになったのですが、では、具体的にどの国の国債が主に買われることになるかと言えば…

 ECBの出資割合は、ドイツが25.6%、フランスが20.1%、イタリアが17.5%、スペインが12.6%、オランダが5.7%であるので、オランダまでの5か国の国債で全体の8割を占めるのです。

 では、これら5か国の国債の購入額がどれほどになるかと言えば…

 合計1兆ユーロ以上といっていますが、仮に2016年9月まで実施されるとすれば、実施期間は19か月間になるので、合計で11400億ユーロになるので、それに各国の出資割合を掛ければ数字が出る訳です(但し、毎月の資産購入限度額の6000億ドルには、EU機関債や民間債も含まれているのでこの計算通りにはなりません)。

 ドイツ: 11400×0.256=2918.4億ユーロ

 フランス:11400×0.201=2291.4億ユーロ

 イタリア:11400×0.175=1995億ユーロ

 スペイン:11400×0.126=1436.4億ユーロ

 オランダ:11400×0.057=649.8億ユーロ


 因みに、これらの国の国債残高に占める割合はどうかと言えば…

 ドイツ:2918.4÷13204.0=22.1%

 フランス:2291.4÷13611.1=16.8%

 イタリア:1995÷14662.3=13.6%

 スペイン:1436.4÷6805.6=21.1%

 オランダ:649.8÷2962.4=21.9%

 
 如何でしょうか?

 これでは、イマイチぴんとこないかもしれませんので日本と比べてみましょう。

 日本の場合は、現在、国債の保有残高が年間80兆円になるように買い入れているので、月間に直すと約6兆7千億円。ユーロに換算すると年間約6000億ユーロ。

 ということで、まあ、日本と似たようなものでしょうか?

 但し、経済規模がユーロ圏の場合には日本よりも大きいので、実質的には日本よりおとなしめの緩和策と言えないこともないでしょう。

 では、こうしてECBが量的緩和策に乗り出すことによって、デフレは回避できるのか? そして、景気を回復させることができるのか?

 でも、ドラギ総裁は意外に慎重な発言をしているのです。だって、こんなことを言っているのですから。

 What monetary policy can do is create the basis for growth. But for growth to pick up, you need investment; for investment, you need confidence; and for confidence, you need structural reform.

 「金融政策ができることは、成長の基盤を整えることだ。そして、成長率を高めるには皆が投資をすることが必要だ。そして、投資をするためには自信を持つことが必要だ。そして、自信を持つためには構造改革を行うことが必要だ。

 如何でしょうか?

 ドラギ総裁が量的緩和策に積極的であることを知っていたために、彼もリフレ派なのかと思っていましたが、金融政策の限界というものがよく分かっているようなのです。それに、経済が成長するためには、消費が活発化することだとは言わずに、投資が必要だと言うところも日本のリフレ派とは大きく違う点でしょう。

 まあ、日本の経験から言えば、

 量的緩和策採用→ マネーの量の増大→ インフレ発生

 とはならず、

 量的緩和策採用→ ユーロ安の進展→ インフレの発生

 ということが起きる可能性が若干あるという程度でしょう。




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 ECBがマイナス金利政策を採用したということで世間の関心を集めていますが‥でも、それほどでもないか!

 しかし、世間の関心はそれほどではなくても、マーケット関係者が大いに関心を有していることは事実。但し、関心を有しているとはいっても、果たしてどんな影響があるのかと言えば、イマイチよく分からない、と。

 貴方は、何故ECBがゼロ金利政策を採用したと思いますか?

 この質問に対する最もありふれた答えはデフレを阻止するため、というものでしょう。

 多くのメディアがそう報じていましたし、麻生副総理も、デフレ懸念が生じているので予め手を打とうとしているのではないかとの認識を示していました。

 私も、デフレ対策の意味があることを否定するものではありません。

 しか〜し‥

 それが真の目的でしょうか?

 どうもそうとは思えないのです。

 では、真の目的は何か?

 それはユーロ安を実現することなのです。

 かつてのユーロ危機からは完全に脱しつつあるようにも思えるユーロ圏ですが、それでも依然として高い失業率に苦しんでいる国が多いのです。つまり、景気回復のテンポをもう少し速めることができないか、と。そこで、ユーロ安を利用して輸出を伸ばし、そして輸出を伸ばすことによって雇用を創り出したいと考えているのだと思われるのです。

draghi

(ECBより)

 では、何故ゼロ金利政策を採用するとユーロ安に誘導することができるのか?

 その前に、今回、ECBはマイナス金利政策を採用したと言われているのですが、それは誤解を招きかねない表現だということを指摘したいと思います。

 というのも、ECBは、マイナス金利どころか未だにゼロ金利政策さえ採用していないと言うべきだからです。

 ECBの政策金利は、今回、従来の0.25%から0.15%に引き下げられました。

 いいですか? 未だに0.15%という水準にあり、ゼロに達している訳ではないのです。マイナス金利を採用したというのは、市中銀行が超過準備をECBに預けた場合に、市中銀行から手数料を取るというだけに過ぎないのです。

 本当にデフレ対策のためであるというのであれば、先ず政策金利をゼロに引き下げる選択肢を選んだと思われるのです。しかし、そのような選択肢は選ばなかったのです。そして、その一方で超過準備に対し手数料を取るという手段を講じた、と。何故か?

 こうして超過準備に対し手数料が課せられると、市中銀行はどのような行動に出るでしょうか?

 手数料が取られるとなれば、それを回避するために市中銀行はECBに預けている預金を取り崩し現金化するか、或いは現金化した資金を短期の債券等で運用するか、或いは、その現金化した資金を他の通貨に転換するか、というようなことを考えると思うのです。

 そして、そのうちの3番目の手段を選ぶ市中銀行が多ければ、自然とユーロ売りが加速されるのでユーロ安が実現されることになるでしょう。

 実際、似たようなタイプのマイナス金利についてはスイスやスェーデンなどで実施済みであり、しかも、そうした措置が自国通貨の価値を引き下げるためであったことは周知のことなのです。

 ただ、憶えている方もいるかと思いますが、欧州勢はアベノミクスのリフレ政策に対して、当初、それは円安誘導策であると批判したこともあるので、自分たちがあからさまなユーロ安誘導策を採用することはできないのです。

 そんなことをすると格好悪いでしょう?

 だから、飽くまでも目的はデフレ阻止ということにして‥と。

 甘利大臣は、「初めてとなる手法だから推移を見守りたい」、「効果が出れば世界経済には良好な影響があるだろう」なんて寝ぼけたようなことを言っていますが、どうして欧州勢の狙いに気が付かないのでしょうか。


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 欧州中央銀行がマイナス金利政策を採用することになったと報じられています。

 ・読売:「欧州中銀がマイナス金利、民間銀行の預け入れに」
 ・東京:「欧州中銀マイナス金利 主要国初デフレ阻止へ」
 ・日経:「欧州中銀がマイナス金利導入 民間銀行の預け入れで」
 ・毎日:「欧州中銀:マイナス金利を導入」
 ・NHK:「欧州中央銀行の異例の政策 疑問視の声も」

 NHKだけ若干趣きが違うようにも見受けられますが、あとは大体似たようなものなのです。欧州中銀がマイナス金利を導入したという事実を先ず伝えよう、と。

 ということで、本日は今回の欧州中銀のマイナス金利導入がどんな意味を持つかを考えてみたいと思うのですが‥マイナス金利と聞くと、どういう訳か人々は直ぐに食いついてくるのですが、その割にはおかしな反応というか、いつもの考えとは整合性の取れないことを言う人が多いのも事実なのです。

 先ず、貴方に質問をしたいと思います。

 今回のマイナス金利導入の決定によって、欧州中央銀行が採用する政策金利はどうなったか? 次の3つから選んで下さい。

 (1)0.25%から0.15%に引き下げられた。
 (2)0.25%から0%に引き下げられた。
 (3)0.25%から−0.1%に引き下げられた。

 さあ、如何でしょうか? 答えはどれなのか?

 新聞の記事を注意深く読んだ人にとっては全然難しくはないでしょうが‥しかし、ただぼんやりとニュースを聞いていただけの人にとっては難しいかもしれません。

 いずれにしても、マイナス金利になったのだから答えは(3)以外には考えられないとお思いの方が多いかもしれませんね。

 では、正解はどれか?

 実は、答えは(1)なのです。政策金利は0.25%から0.15%に引き下げられだけなのです。決して政策金利がマイナスになった訳ではないのです。

 どう思います?

 私に言わせれば、今回欧州中銀がマイナス金利を採用したというのは、言い方が少し大げさだ、と。何故ならば、繰り返しになりますが、政策金利がマイナスになるわけではないからです。

 しかし、マイナス金利とかネガティブ・インタレスト・レイトという言葉が独り歩きし、世界中のメディアがまんまとドラギマジックに嵌ってしまっているのです。案の定、ユーロの価値は下がり、欧州中銀の作戦は大成功なのです。(但し、その後、ユーロの価値が上がっているようです)

 しかし、政策金利がマイナスになっていないというのであれば、何がマイナスになったのか?

 市中銀行は、中央銀行に当座預金勘定を有しています。その当座預金勘定に、万が一に備えた準備預金や、或いは市中銀行間での決済に必要な資金を置いておくのです。我々が電気代やガス代を普通預金口座から自動的に引き落としさせたり、或いはその普通預金口座に給料を振り込んでもらうのと同じような意味合いです。

 そして、市中銀行が欧州中銀に保有する当座預金勘定にお金を預ける際、法律で求められた準備預金に関しては金利が付き、その一方、必要な額を超える超過準備預金に関しては金利が付かないシステムになっているのだそうですが、そのうち後者の場合、これまではただ金利が付かないだけだったのが、今後は逆に手数料を取るというのが、今回のマイナス金利の意味であるというのです。

 お分かりになりました?

 そのような政策を採用したからといって、どうして大きな効果が期待できるというのでしょうか?

 私は、理屈から言ったら、大きな効果など期待できないとしか思えません。何故かと言えば、通常時においては、そもそも金利がつかなければ余分なお金を欧州中銀に預ける筈がないからです。金利がゼロであるということは、どれだけお金を預けても収益を生まないので、なるだけそのような無駄な預金は極力絞ろうとするのです。

 但し、そうしたことはあくまでも通常時の話であって、もし仮にそうした一見無駄に見える余分な預金を市中銀行が欧州中銀に預けるような状況があれば、少し話が違ってくるのです。そのような状況は、例えば金融危機が発生しているようなときには考えられるのです。つまり、いつ何時どこかの銀行が破綻してその連鎖反応が起きるかもしれないようなときには、多くの銀行が万一にそなえて手元においておく現金や預金を少しでも多くしておこうとするからです。

 そして、多くの市中銀行がそのような行動に出ると、その分、世の中に出回るお金が限られてしまうので、企業が銀行からお金を借りることが難しくなってしまうのです。

 では、今欧州はどのような状況にあるのか? 金融危機が深刻化しているのか?

 実際の状況は全くその逆なのです。つまり、今やユーロ危機は過去のものであるのです。

 こうして、そもそも市中銀行がそれほど多額の超過準備預金を保有する必要性がなくなっている訳ですから、仮にそうした預金に欧州中銀がマイナスの金利をかけると言っても、市中銀行の行動に殆ど影響を与えることはないのです。

 ということで、理屈から言えば、今回の欧州中銀によるマイナス金利政策採用のニュースは殆ど意味がないと考えるべきなのですが‥先ほど言ったようにアナウンスメント効果が大きく、欧州中銀の作戦勝ちという結果になったのです。

 いずれにしても、こうして欧州中銀がマイナス金利政策を採用したというニュースが世界中を駆け巡っているものだから、日本でも大きな反応を呼んでいるのです。

 日本だってやったらいいではないか、という人もいるようです。

 どう思いますか?

 貴方もそう考える口ですか?

 では、ここでまた貴方に質問をしてみたいと思います。貴方は次の2つのうち、どちらの意見に賛成しますか?

 (1)現在の日銀の異次元緩和策に加えて、今回、欧州中銀が採用したようなマイナス金利政策も併用すべきだ。

 (2)現在の日銀の異次元緩和策を放棄して、今回、欧州中銀が採用したようなマイナス金利政策を採用すべきだ。


 さあ、如何でしょう? 

 私、思うのは、(1)の立場を支持する人が案外多いのではないか、と。(1)を支持する人というのは、とにかく日銀はやれることがあるのであれば、何でもやったらどうかというタイプだと思います。

 例えば、この先景気の回復状況が再び芳しくなくなったり、或いは株価が低迷したような場合に、現在の異次元緩和策に加えて、欧州中銀タイプのゼロ金利政策を採用することが適当なのでしょうか?

 それはそうだ、と答える人がいると思います。

 しか〜し

 (1)を支持した人は本当におバカさん!

 結局、今やっている日銀の異次元緩和策の意味が全然分かっていないから(1)を支持してしまうのです。

 いいでしょうか?

 欧州中銀と日銀の金融政策の共通点と相違点は何か?

 双方とも世の中に出回るお金の量を増やすことによって、景気を良くしようと考える点では共通しているのです。しかし、手段が全然違うのです。

 日銀の場合には、マネタリーベースを増やす、つまり市中銀行が中央銀行に預けている当座預金残高を増やせば、それがいずれ世の中に出回るであろうと考える。

 一方、欧州中銀は、市中銀行が中央銀行に余分の当座預金を預ければ預けるほど、世の中に出回るお金は限られてしまうと考える。

 そのため、日銀は、市中銀行が当座預金を預けるとそれに金利を付ける。その一方で、欧州中銀は、市中銀行から手数料を徴収する。つまり、マイナス金利という罰則を与える、と。

 要するに、両者のやることは全く違うのです。

 どちらが正しいのでしょうか?

 欧州勢は、欧州が日本化していると言われることを大変に嫌っているために、日銀の政策とは敢て違った途を選んだ可能性もあるのです。欧州中央銀行は、日銀の政策は効果がないと暗に主張しているのかもしれません。


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 突然ですが、ユーロ圏の政策金利は現在何パーセントかご存知ですか?

 日本の場合には、先日‥そうそう4月4日のことですが、黒田総裁が、今後の政策目標を政策金利からマネタリーベースに変更すると言ったので、もはやゼロ金利政策を採用しているとは言わないのかもしれませんが‥ほぼゼロと言える0%〜0.1%であのです。

 一方、米国は、リーマンショックの数か月後の2008年12月からゼロ金利を採用していて0%〜0.25%が目標値となっているのです。

 では、ユーロ圏については?

 欧米がマネタリーベースをガンガン供給してきたから、昨年までの超円高は起きたのだと言いたがる人は、多分、ユーロ圏の政策金利が幾らなのか分からないかもしれません。

 何故ならば、ユーロ圏がマネタリーベースをガンガン供給し、通貨価値を引き下げることを狙っていたとするならば、当然政策金利も、日本や米国並みにゼロにしておかないと理屈が合わないからなのです。

 そうでしょう?

 でも、ユーロ圏の政策金利は、現在0.75%という水準にあるのです。

 どう思いますか? 高いですか? それとも、丁度良い水準?

 いずれにしても、引き下げようと思えば、まだ2、3回は引き下げることができないでもない。

 では、何故ユーロ圏の政策金利は相対的に高いのか?

 第一の理由は、ユーロ圏にはインフレに対して警戒心の強いドイツがいるからであり、また、ユーロ圏全体としても、そのような気持ちが強いからなのです。

 その一方ギリシャの財政問題が勃発たことなどによ欧州中央銀行の資産残高が大きく膨らんだのは事実です。しかし、それは、欧州の債務危機を封じ込めるために、欧州中央銀行が止むに止まれず債務国の国債の購入余儀なくされた結果であり、決してそれによってユーロ安を狙ったという訳ではないのです。

 しかし、被害者意識の強いリフレ派的発想をする人々は、欧米がマネタリーベースを著増させているのだから、日本も負けないでマネタリーベースを増やすべきだ、と言う。

 確かに、超円高が引き起こされはしたのですが‥その真の主たる理由は、ユーロ危機を嫌気して資本が米国や日本に一時避難した結果にあったのです

 いずれにしても、まだ政策金利を引き下げようと思えば引き下げることのできるユーロ圏。

 で、先ほどウォールストリートジャーナルを見ていたら、「日本の金融緩和、ECBの政策転換やユーロ圏経済への福音となるか 」なんて文字が躍っていたのです。

 どうして、日本の金融緩和がECBの政策を転換させるのか?

 その理由は、ユーロ高が起きているからだ、と。

 「 日本で最近大胆な金融緩和政策が発表されことを受けた日本の投資家が海外の高い利回りを求めはじめるだろうとの観測が意外な結果をもたらしている。こうした日本の投資家がよりによってユーロに目を向けるかもしれないという見方が強まったからだ。その結果、ユーロは予想以上に高騰している」

 確かに、ユーロは、このところ大変高くなっているのです。

 グラフをご覧ください。

 ユーロ・円相場

 確かにユーロの価値が急速に上がっている。

 逆に言えば、それだけユーロに対して円が下がっている、と。

 そして、そうして円安になるから日本の輸出企業は売り上げが増えるので歓迎している訳ですが、だったら欧州の輸出企業はきっとユーロ高に迷惑しているはず。

 では、どうしたらユーロ高を回避できるか?

 それは簡単。欧州中央銀行が、日本に負けないように大胆な金融政策を打てばよい。

 否、いきなりそこまでする必要はない。何故ならば、まだまだ政策金利の引き下げ余地があるからです。取り敢えずは政策金利を下げさえすれば、ユーロ高が収まる可能性はあるのです。

 それに、米国のバーナンキ議長が言っていましたよね。

 先進国が互いに大胆な金融政策を打つことは、近隣窮乏策どころか、お互いを豊かにする政策であって、大いに推奨されてしかるべきだ、と。

 だから、新興国を除けば進国のなかで大胆な金融政策を行うことに関して、どこもクレームを付ける国などいない状態になっているです。

 だったら、ユーロ圏は、今後さらなる金融緩和に打って出るのか?

 しかし、重要なことを忘れてはいけません。

 確かに今、ユーロの価値は急上昇しています。

 でも、それを引き起こしている同じ原因が、ユーロ圏諸国の国債の利回りを引き下げているのです。

 つまり、日本の大胆な金融政策のお蔭で、ユーロ危機を和らげる効果が出ているのです。

 日本を含む海外の投資家が、ユーロ圏諸国の国債を買ってくれるのは大歓迎! しかし、ーロの価値が上がり過ぎるのも困ったものだ、と。

 そもそもインフレに対する警戒心が強いので、なかなか思い切った金融緩和ができないユーロ圏。プラス、ユーロ危機を真収束させることを最優先としなければならないので、その意味でも、資本の流出を招きかねない金融緩和には限度があるのです。

 いずれにしても、私は、ユーロ圏が自重してくれることを望みます。

 仮に、ユーロ圏がバーナンキ議長の説に従って、日本に負けない規模の金融緩和を行ったとしたら、これまでの円安が全て帳消しになる可能性があり‥もし、そうなれば、日本としては更なる金融緩和に乗り出さざるを得なくなると思うのです。
 
 でしょう?

 しかし、そうして、日本、米国、欧州が金融緩和の競争をすれば、そのときには、バーナンキ議長が言うように世界とっていい結果が生まれるのではなく、バブルとインフレの種をまくだけの話なのです。

 まあ、インフレを警戒するドイツがいることだから、金融緩和競争は起きないと信じますが、くれぐれもユーロ圏には自重をお願いしたいと思うのです。





 先進国が金融緩和競争をしても、良いことばかりだというバーナンキ議長の説は、俄かには信じがたいと思う方、クリックをお願い致します。
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 ユーロが対円で99円台に戻しています。こうなれば94円台を付けていたことが、否、96円台を付けていたことさえ嘘のよう。

 では、どうしてこんなに急速にユーロが戻しているかと言えば‥

 スペインやイタリアの経済見通しが明るくなったから? それとも、思いの外税収が伸びているから?

 そんなことではないのです。もちろん、そうした理由でユーロの価値が再び上昇しだすのであれば、
我が国のみならず米国や中国も大歓迎するのでしょうが、そうでは決してない、と。

 では何故?

 それは、ECBのドラギ総裁が、南欧の国債を無制限に購入すると発表したからなのです。

 ご存知ですよね、スペインの国債の利回りが7%台に乗り‥つまり危機ラインに乗ってしまい、欧州経済の番人であるECBとしては、「どげんかせなならん」と。

 スペイン国債が市場で高い利回りが付くようであれば、ECBが市場に介入してスペインの国債を買い支えれば利回りは下がるではないか、と。

 まあ、それは当然のことなのです。利回りが高いということは、国債の価格が低下しているということであるのですが、商品の価格が低い場合には、需要が増えれば価格は上がる訳であり、だったらECBが新たな買い手として市場に参加すればよいと、こういうことになるのです。

 そして、仮にECBの思惑通りにスペインなど南欧の国債の利回りが低下すれば、スペインなどはリーズナブルな利子を支払いさえすれば、借金を続けていけるということになり、そうなればユーロ危機も落ち着くことが期待されるのです。

 でも、そうした手法を用いることに対しては、根強い反対論があるのです。

 そうやって、ECBが各国政府の国債を購入するということは、ECBが財政ファイナンスを行うということで、禁じ手ではないか、と。そのようなことをすればいつかは皆が恐れているインフレを招くことに
なり、そうなれば元も子もない、と。

 そうした考えについて、貴方はどのようにお感じになるでしょう?

 「でも、いずれにしてもドラギ総裁は、無制限に国債を購入すると発表したのでしょう?」

 確かにその通り。そして、市場はその「無制限」という言葉に反応したからこそこうしてユーロが高くなっているのです。

 でも、ここは冷静に考えることが必要です。本当に無制限にECBは、例えばスペインの国債を買い支えるようなことをするのか?

 もちろん、そうやって思い切った措置を取らない限り、市場にインパクトを与えることは難しいと思えるのですが、他方、思い切った措置を取れば取るほどインフレを惹起する可能性が高くなり、そしてそうなれば、ドイツが反対するだけではなく、通貨の価値を維持するという任務を負ったECBとしても
大変頭が痛くなる訳です。

 ということで、ここはドラギ総裁が実際に言ったことを整理する必要があるのです。

(1)残存償還期間が1年〜3年の国債を購入する。

(2)対象国は、財政再建プログラムに合意し、実行する必要がある。

(3)ECBは、一般の国債保有者より優越的な地位に立つことはない。

(4)不胎化を実施する。


 さあ、如何でしょう?

 「そうよね、無条件ってことはないわよね」

 そのとおり。例えば、対象となる国債の残存期間についても、1年〜3年のものに限られるということで、財政ファイナンスを行っているという風に思われない努力をしているということなのです。

 「でも、取り敢えず残存期間が短い国債については、無制限で購入する訳よね?」

 しかし、無制限とはいっても、対象となる国がちゃんと緊縮財政政策に取り組む、そしてそれを引き続き実行することが必要です。もし、その努力を怠るようなことがあれば、すぐさまECBは、支援を停止するとまで言っているのです。

 「じゃないと、ドイツが黙っていないのよね」

 では、実際にECBの支援を受ける国は、着実に今後財政再建を軌道に乗せることができるのかと言えば‥そんなに容易いことではないと思うのです。早い話、財政再建一辺倒では経済を回復させることができず、そうなると税収も増えないからというので、欧州の至る所で緊縮策一辺倒の考えを見直す動きが既に出ている訳ですから。

 つまり、そうして国民が厳しい政策に耐えられないという声を挙げたとき、つまり、財政再建努力を一時棚上げすべきだという声が上がった時、ECBが仮に本当に支援を止めてしまったら、むしろユーロ崩壊が早まる危険性すらあるのです。

 「不胎化を実施するのはどんな意味があるの?」

 ドイツなどがインフレの恐れを警戒していることはご存じだと思うのですが、ECBとしては、仮に南欧の国債を大量に買い入れても、それを不胎化、つまり、その購入した国債に見合う分、他の資産(例えば他の国の国債)を売却して市場から資金を吸収すれば、決してインフレにつながることはないと主張している訳なのです。

 「なるほど、なるほど」

 そうやって一旦放出された資金が市場から回収されれば、確かにインフレになる可能性はぐっと小さくなるでしょう。しかし、そうして資金が回収されてしまえば、その分、他の国の国債の利回りが上昇することが予想され、そして、そうやって他の国の国債の利回りが上がれば、また、スペインなどの国債の利回りにも影響を及ぼすことが当然考えられるのです。

 従って、余り律儀に不胎化を実施するならば、一体ECBは何をやっているかということにもなってしまうのです。

 いずれにしても、ECBが完全な不胎化をするならば、幾らECBが無制限に問題国の国債保有額を増やしても、その代り問題が少ないと思われる国の国債保有額は少なる計算であり‥つまりECBのバランスシート上の資産が増えることはいのです。

 「無制限に買うなんていっても、そういうことだったの?」

 醤油こと!

 古いギャグですいません。


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 どう考えても、泥沼の対応としか思えないのです。

 何がかと言えば、ユーロ圏の対応ぶりがです。

 ECBのドラギ総裁は、ユーロを守るためなら権限の範囲内でどんなことでもすると言ったので、市場は、スペインを救済するためにECBがスペイン国債を買い支えると信じこみ、そして、それを後押しするかのようにドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領が共同声明を発表したので、もうECBの国債の購入は決まったも同然なのかと思いきや‥肝心のスペインのデキンドス経済相は、スペインは自力での元利払いを行うことができ、救済が必要になる可能性はないと述べているのです。

 但し、そのスペインとしても、国債の利回りが7%を超えるような事態にはいつまでも対応することができないのはそのとおりで、だからユーロ圏として共同債を発行してはどうかと訴えていた訳なのです。

 つまり、スペインとしては、救済されるような事態になることは認めたくないものの、しかし、だからと言って今のような事態にはいつまでも耐えることはできない、と。

 ということになれば、幾らスペインが表面的には外部の救済を求めていなくても、実情をよく斟酌してあげるのがユーロ圏の仲間たちの務めなのかと思いきや、今度はドイツのショイブレ財務相が、ECBによるスペイン国債の購入策をはっきり否定したのです。スペインに対する新たな支援計画はないのだ、と。

 しかし、その一方でユーロ圏財務相会合のユンケル議長は、ECBなどがスペイン国債の購入を準備していることを明らかにしているのです。「重大な局面に入った」「時間を無駄にすることはできない」と。

 本当にまあ、どうなっているのでしょう。

 皆、いうことがバラバラ!

 ズバリ聞きます! 貴方は、ECBなどがスペイン国債を購入してあげ、スペインを救済することが望ましいと思いますか?

 まあ、物事を穏便に処理したい日本人的な発想からすれば、多分、そうした措置を支持する人が多いのではないでしょうか?

 そうやってスペイン国債を買い支えることが、抜本的な解決につながるかどうかは不明であるとしても、だからと言って、こうしてスペイン国債の利回りが高騰するのを放っておく訳にもいかないだろう、と。

 まあ、確かにそれも一つの手段であるでしょう。

 そうやって時間稼ぎをしつつ、そうするうちにひょっとしたら経済が好転し‥そして、財政再建が軌道に乗ることも全く期待できない訳でもないのですから。

 しかし、そうなると今度は別の疑問が湧いてくるのです。

 ECBによるスペイン国債の買い支えが認められるのであれば、では何故これまで欧州はIMFに積極的な支援を求めたのか、と。

 というのも、ECBは、ユーロをどれだけでも印刷することが可能な訳ですし‥また、ユーロ圏自体としては外貨不足に陥っている訳でもないのですから、その意味でIMFに支援を求めることなどなかったと言えるからです。

 どうして今までIMFを積極的に巻き添えにしたのか? しかも、私がこれまで何度もいうとおり、IMFがラストリゾートとして登場するのならまだしも‥そうではなく債務削減の交渉がなされていないのにも拘わらず、早々とIMFの資金支援を打ち出すようなことをして。

 全くもう今回のユーロ危機は、幾らバブルが弾けたからとはいえ、その後の対応のまずさにも相当の原因があるような気がするのです。

 そして、日本人として大変さびしく思うのは、そのような欧州の政治家たちの対応のまずさに、日本人政治家の殆どが気が付いていないということなのです。





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 突然ですが、皆さんはイタリア人と聞くと何を連想するでしょうか?

 「ギャルが通ると、ヒュー、ヒューと言って声をかける」

 確かにそんなイメージがありますよね。若い女性に声をかけないのは失礼だと考えているのでしょうか。

 「マフィアのイメージが浮かぶ」

 そうですね、中高年ならゴッドファーザーという映画を思い出す人も多いでしょう。それだけイタリアは血の結束を大事にする、と。

 「イタリアといえば、ベルルスコーニだね」

 そういえば、女性とお金に囲まれていた方がつい先日までリーダーを務めていたのがイタリア。

 と思っていたら‥新しい首相のマリオ・モンティ氏は、そういったイタリア人のイメージとはちょいとばかり違う‥つまり真面目そうな顔つきです。それに、ご承知のように緊縮財政に一生懸命取り組んでいるのです。

 まあ、そのような方もいるのかと思ったら‥ECBの新しい総裁をご存知でしょうか?

 どういう訳か、その人の名もマリオ。正確にはマリオ・ドラギというのですが、この人も負けず劣らず真面目に見えるのです。

 何故かって? それは、マーケットの反応を見れば分かるのです。

 「ECBが利下げしたのが関係しているの?」

 そうではないのです。利下げの方ではなく、ECBが南欧諸国の国債を買い上げるようなことはないと明言して、市場に冷や水をかけてしまったのです。

 「それで市場が失望しているのか」

 彼は、次のようなことを言っているのだとか。
 
  The ECB abides by the "spirit" of its founding charter that prohibits the central bank from financing governments.

 「ECBは、各国政府に融資することを禁じた銀行の創立憲章の精神を守る」

 We shouldn't try to circumvent the spirit of the treaty, no matter what the legal trick is

 「我々は、どのような法的仕組みを採用しようとも、条約の精神を回避するようなことはすべきではない」
 
 それにしても、何故EU首脳会議を前に、国債の買い入れは行わないなんてことをこの人は言ってしまうのでしょうか?

 仮に、ECBとして、それが正しいと思っているとしても、EU首脳会議に今焦点が当たっている訳ですから、黙っている手もあるのです。もちろん、メルケル首相などが、ECBによる国債の買い入れに反対していることはよく分かっているのですが、しかし‥ひょっとしたら‥とマーケットは淡い期待を抱いていたことも事実であるのです。

 まさか、ドラギ総裁に国債の購入という手段を否定させておいて、EU首脳会議で判断をひっくり返すなんてことはないと思うのですが‥



 今回の会議も、これまでと同じパターンではないのか、と思う方、クリックをお願い致します。
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 関係者ならずとも、経済や国際情勢に関心のある方なら、欧州のリーダーたちがこの2年間やってきたことをよく承知しているのです。

 何度同じようなことを繰り返してきたか? 対策を打つ。つかの間の安定。しかし、またくすぶり始める。そんなことを2年間繰り返してきた訳ですが、今週の首脳会議では、満足できる成果があるかもしれない‥なんて甘い見方も出ているのです。

 何故?

 それは、今までになく世界がユーロ危機に対し敏感になってきているからだ、と。例えば、先日は、世界の主要な中央銀行がドル資金の供給を一致して行うことを合意したではないか、と。そしてまた、今週はガイトナー財務長官が欧州に派遣され、念押しをするはずだ、と。さらに言えば、あのイタリアの悪名高きリーダーが交代したではないか、と。

 皆さんご存知のベルルスコーニ氏から、マリオ・モンティ氏へ。確かに見るからにまじめそうな外見で‥あっという間に財政再建に向け3.1兆円を確保したのだ、とか。

 まあ、そうなると楽観論が出てくるのも少しは分かる気もするのですが‥でも、今まで2年間もできなかったのが、何故急にできるようになるのか?

 いつも言っているように、ユーロ危機の本質は、欧州の不良債権の処理問題であるのです。不良債権を有しているのであれば、処理を急ぐべきであるのです。いつまでもグレーな債権を大量に保有しているから疑心暗鬼が絶えないのです。

 でも、不良債権を思い切って処理してしまえば、資本不足になるのが必至であり、そうして資本不足に陥れば、金融不安が再燃するのも必至であるのです。しかし、欧州の各国政府は、銀行勢に向かって、資本の充実強化をせよと命ずるばかりであり、政府が公的資金を注入する意志は全くなし。

 そして、銀行勢が、自己資本比率を引き上げようとすれば、今後も価格が低下する恐れのある南欧諸国の国債を処分するのが手っ取り早いのですが、銀行がそんな行動に出るから、南欧諸国の国債の利回りを引き上げる力が働くということなのです。

 ところで、各国政府が何故、公的資金を注入することができないかと言えば、そんなことをすれば、益々財政状況が悪化し、そうなればユーロ危機の収束に逆行すると考えるからであるのです。

 確かに、こうして南欧諸国の財政が悪化したのは、歳入以上に歳出をするような財政運営をしていたことが原因ではあるのですが‥しかし、だからといって、今公的資金の注入をためらうようでは、ユーロ危機を封じ込めることはできないでしょう。

 ですから、私の予想としては、幾らイタリアのリーダーが交代し、そして、米国が欧州にいい意味でプレッシャーをかけようとも、なかなか危機は収束しないと思うのです。

 何よりドイツが、例えば今問題になっている欧州中央銀行による国債の積極的購入には最後まで反対するでしょう。少なくても今週の首脳会議でメルケル首相がそんなことを認めるとはとても思えないのです。

 ですから、恐らく今週のEU首脳会議では、思い切った対策が発表されることはないでしょう。せいぜいユーロ加盟国は、厳しい財政ルールに従って財政運営を行うことになることが確認されること位でしょう。これを、彼らはfiscal unionと呼んでいるのですが、それが正式に認められるためには、長い時間を必要とすることでしょう。

 でも、何故ドイツは、危機感を持たないのか?

 それは例えば、欧州中央銀行による国債の買い入れを認めるケースと、それを否定するケースを比較考量してのことだと思うのです。つまり、ドイツにとっては、国債の購入を認めた場合の弊害の方が大きいと考えているのではないでしょうか?

 仮に欧州中央銀行による国債の買い入れを認めるようなことをすれば、現在のユーロ危機からは脱出が可能であるかもしれないが、しかし、南欧諸国による財政再建の努力がなおざりにされ‥ひいては問題の抜本的な解決につながらず、将来にまた危機がぶり返す恐れがある、と。

 その反対に、欧州中央銀行による国債の買い入れを認めることをしなければ、市場には失望を与える可能性はあるものの、しかし、仮に失望を与えても、この2年間、そうやって時間を稼いできたわけだし、今後もそうして対応が可能であろう、と。

 それに、ドイツにすれば、現在のユーロの価値は、自国の輸出産業にとって十分低いものであり、これ以上ユーロが低下することによって、ドイツはそれを逆利用しているなんて悪口を言われることを恐れているということもあるのでしょう。

 つまり、今のユーロはドイツにとっては、十分安すぎるレベルであり、今の状況がドイツ自身にとっては、それほど居心地が悪いとも思っていないということでしょう。

 

 今週のEU首脳会議で、ドイツが譲歩することはないだろうと思う方、クリックをお願い致します。
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 今回の欧州中銀の国債買い取り措置について、我が国ではど
ういう訳か余り批判的な論評はまだ目にしていません。

 でも、そんなことを思っていたら、お膝元のドイツで批判が起き
ています。それも、ドイツ連銀のウェーバー総裁自らが批判して
いるのです。お気づきになりました?

 "Buying government bonds entails considerable
stability policy risks, and thus I regard this part of
the ECB council's decision critically even in this
exceptional situation."

「国債の購入は、安定化政策に相当のリスクをかけることにな
る。だから、私は、ECBのこの決定は、今の例外的な状況におい
ても危険であると考える」


 案の定というか、エコノミストの中にも、こんなことをいう人がい
るようです。

Jacques Cailloux, chief European economist at Royal
Bank of Scotland Group

“The ECB has crossed the line, a line that some
members thought the bank would never ever cross in
its entire life,”

「欧州中央銀行は、その一線を越えてしまった。その一線とは、
欧州中銀のメンバーのなかには、欧州中銀が絶対が越えること
がないと思う人もいた一線だ」

 やっぱり、分かっている人はいるのですよね。

 では、何故日本では、そんなことをいう人が少ないのでしょう
か。


 まあ、いずれにしても、海外では、批判的な意見も見られ始め
ているのでご紹介しておきましょう。(米国のNEWSHOURを参
考にしました)

Bahador Saberi and Christian Teevs(German
newspaper Der Spiegel)

 The structure of Europe's monetary unity has
been fundamentally changed, not least by the
provision allowing for the European Central Bank to
begin buying up member states' debt. The principal
mandating that each country is responsible for its
own budget would appear to have been jettisoned.
Indeed, the package may result in countries'
abandoning tough austerity programs in the
knowledge that they will be bailed out.
        
「欧州の通貨統一の構造は、根本から変わってしまった。特に、
欧州中央銀行が加盟国の国債を購入することを認めたからだ。
各国が自国の財政に責任を持つという義務が放棄されたように
見えてしまう。確かに、この支援パッケージの結果、加盟国は自
分たちが救済されると知って、緊縮政策を放棄してしまう可能性
がある」

Gideon Rachman(Financial Times)

 Most of the European Union is living beyond its
means. Government deficits are out of control and
public-sector debt is rising. If European governments
do not use their new breathing space to control
spending, financial markets will get dangerously
restless again. Unfortunately, European voters and
politicians are simply unprepared for the age of
austerity that lies ahead.

「EUの殆どの国々は、自分たちの収入以上の生活をしている。
政府の赤字はコントロールが効かなくなっており、公的部門の赤
字は増大している。もし、ヨーロッパの国々が、今回の猶予を利
用して歳出の削減に努めることをしなければ、金融市場は再び
不安定になろう。不幸なことに、ヨーロッパの有権者や政治家
は、目前に迫っている緊縮の時代に対する準備が全くできていな
い」


Phillip Inman (Guardian)

 Why not pay off our debts over a longer period?
It will already take a generation to get rid of it
all. Will the markets buy that? Just as my mortgage
company happily accepts extending my loan by 10
years, there is no reason why not. Of course I need
to stop overspending and cut up my credit card, but
forcing me -- or Greece -- to default helps no one,
especially when much of the loan is supplied by
European investors and pension funds. Maybe they
don't care as long as they get their money, but they
should.

「我々の借金を時間をかけて支払ってはどうであろうか。借金を
全てなくすには一世代の時間がかかるであろう。市場はそれを
受け入れるであろうか? 住宅ローンの会社が私のローンを10
年間延長することを受け入れてくれるように。そうしない理由はな
い。もちろん、私は浪費を止めてクレジットカードを裁断すること
が必要になろうが。しかし、私に、即ちギリシャにデフォルトを強
いることは誰のためにもならない。特に、そうしたお金の多くが欧
州の投資家や年金基金から提供されているときには。多分、お
金が戻ってきさえすれば気にしないであろう。彼らは借金の繰り
延べを受け入れるであろう」


International Herald Tribune

 We understand why European governments are not
demanding that the banks share the burden.
Rescheduling Greece's debt, or that of other
governments, could weaken the balance sheets of
European banks and make financial markets more
unstable. That's the reason the Obama
administration went so light on American banks. Still,
Europe may not be able to solve its problems without
bringing the bankers in to pay their share.

「私たちは、ヨーロッパの各国政府が何故民間銀行に分担を求
めないのか、その理由は分かっている。ギリシャやそれ以外の国
の債務を繰り延べすることは、ヨーロッパの銀行のバランスシー
トを悪化させ、金融市場を不安定にしかねないからである。それ
がオバマ政権がアメリカの銀行に寛大であった理由である。しか
し、それでもヨーロッパは、民間銀行にも負担を負わせることなく
しては、この問題を解決できないかもしれない」

Roger Cohen (New York Times)

 Europe now faces the choice (Treasury Secretary)
Timothy Geithner faced in the United States over a
year ago: costly containment or collapse. I don't see
a serious alternative to the $140 billion EU and
International Monetary Fund Greek rescue; and an
even bigger EU emergency funding facility should
help shore up confidence. But the core problem --
that the euro has bound vastly disparate nations in a
halfway house where monetary and fiscal policy
are not under unified direction -- will fester.

「ヨーロッパは今、ガイトナー財務長官が1年前の米国で直面し
たような選択の問題に立ち向かっている。お金をかけて封じ込め
るか、或いは破綻させるかということである。EUとIMFによる総
額1400億ドル規模の資金支援に変わる対案は私には思い浮か
ばない。さらに、それよりもなお一層巨額のEUの緊急基金制度
は、信頼の回復に役立つであろう。しかし、本質的な問題は、ユ
ーロが中途半端な方法で個々の国を結び付けているということで
ある。つまり、金融政策と財政政策が同じ方向を向いていないと
いうことであり、そのことがこれからも問題となろう」


 

 NYダウが一時的に1000ドル近くも下落し‥、しかも、それが
誤発注が原因であるとかと言われ、そして、そうやって危機感を
煽りながらその後大規模なユーロ金融安定化枠組みが合意さ
れ‥、そればかりか、どさくさにまぎれて欧州中銀による国債の
買い入れ措置が導入され、そして、その結果、ギリシャにお金を
貸していた欧州の民間銀行が救われる、と。

 でき過ぎたシナリオではないのか、と思う方、クリックをお願いし
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 欧州中央銀行は、その実務を担当する欧州各国の中央銀行を
通じてユーロ圏諸国の国債の買い取りを開始したことを明らかに
しました。実際、ドイツやフランス、フィンランドの中央銀行が国
債の買い取りを実施したことを認めているようです。

ECB

 ところで、皆さまご承知
のように、今回決定され
たEU金融安定化枠組
みのお陰で株価が世界
的に大きく反発しまし
た。NYダウは、400ドル
以上も上昇したわけで
す。

 そして、もう一つ、ギリ
シャ国債などの利回りも
低下し、債券市場も正常
化の道を歩み始めたよ
うにも見えるのです‥

 
 





 私、思うのですが、今回の措置のなかで一番即効性があった
のは、欧州中銀による国債の買い取り措置だったのではない
か、と思うのです。何故かといえば、価格が低下して損失の計上
を迫られていた欧州の民間銀行が、欧州中銀からそうした国債
を購入してもらうことができるからです。要するに、損失が民間銀
行から欧州中銀という公的部門に移転することができる、と。

 だから、民間銀行の立場からいえば、今後ギリシャが本当に財
政再建に成功しようが失敗しようが、もう何も恐れる必要はな
い、と。

 これが、未だに欧州中銀の国債の買い取りが行われていない
としたらどうでしょうか?

 幾ら巨額の融資が欧州委員会やIMFから債務国に対して行わ
れ、そしてそれらの国がデフォルトを回避できたとしても、もし彼ら
が財政再建を成功させることができなければ、いずれまたそうし
た国の国債が暴落することが懸念されるのです。

 ということで、欧州中銀による国債の買い取り措置こそが市場
に大きな安心感を与えたのは事実なのです。

 では、この国債の買い取り措置は、賛美されるべきことなのでし
ょうか?

 欧州中銀のトリシェ総裁は、実はつい最近まで、国債の買い取
り措置には極めて消極的な態度をとっていました。そして、その
措置を決定した今も、本来はそうした措置は取るべきでなかった
というように見えるのです。

 何故でしょう?

 それは、国債の買い取りは、劇薬だからなのです。

 あんなに上昇していたギリシャ国債の利回りが、大きく下がり出
しています。

 何故? 

 それは、劇薬の効果なのです。先ほど言ったように、国債を保
有している民間銀行は、これから先欧州中銀が国債を買い取っ
てくれると思えば、もはや心配は不要だ、と。誰も保証していなか
ったギリシャの国債は、今や、欧州中銀の保証付きのギリシャ国
債になったと同じなのだ、と。

 しかし、その保証人である欧州中央銀行の財務状況は健全な
のか?

 健全かどうかは分からなくても、欧州中銀がどれだけでもユー
ロを発行できるのはそのとおり。つまり、欧州中銀がデフォルトを
起こすことなどあり得ない、と。だから、もはや何も心配すること
はない、と。

 話がここで終われば、メデタシ、メデタシとなるところなのです
が‥

 しかし、そうは問屋が卸しません。

 確かに欧州中銀はどれだけでもユーロを発行できる。だから、
ユーロ圏の各国がどれだけ国債を発行しようとも、もはやそうし
た国債の価格が暴落することは防止できる、と。

 だったら、何を今まで悩んでいたのか?

 しかし、ユーロを刷れば刷るほど、インフレになる可能性が出て
きます。

 また、仮に運よくインフレになることがなかったとしても、それだ
けのユーロを発行すれば、他国通貨に対してユーロの価値が低
下するのは必至なのです。

 「ユーロの価値が下がれば、ユーロ圏の輸出が増加するので、
なお好都合ではないのか?」

 確かに、そういった面があるのは、そのとおりでしょう。

 しかし、ユーロを発行すればするほど、ユーロの価値は下がり
続けます。その結果、海外ではユーロを喜んで受け取る人がい
なくなってしまうかもしれません。

 ユーロの価値に低下によって幾ら貿易額が伸びたところで、同
じくユーロの価値の低下により彼らの生活水準も大きく低下せざ
るを得なくなってしまうのです。

 ユーロ圏諸国は、インフレを起こさないことを大きな目標として
掲げてきました。それがユーロという通貨を成長させる原動力に
なると信じたからです。しかし、今回のギリシャの財政危機をきっ
かけに、そのインフレ回避の目標に大きな修正が迫られてしまっ
たのです。

 インフレ回避よりもデフォルト回避の方を優先すべきだ、と。或
いはインフレ回避よりも金融危機回避を優先すべきだ、と。そし
て、そのツケは、全てユーロの価値の低下という代償によって今
後支払わされることになるのです。

 今回の措置によって、ユーロの価値の急激な低下を食い止め
ることができたのはその通りかもしれませんが、長期的にみれ
ば、ユーロの価値を引き下げることにしかならないのも事実なの
です。


 ユーロ圏は、劇薬に手を出してしまったのだ、と思う方、クリック
をお願いします。それに欧州は民間銀行は、シメシメと思ってい
るかもしれません。
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