経済ニュースゼミ

小笠原誠治の、経済ニュースを通して世の中の動きを考察するブログです。地球温暖化阻止のために石油・石炭産出権取引を提唱します。産出権取引は排出権取引とは違います。みんな勘違いするのです。

カテゴリ: 預金保険

 日本振興銀行が破綻し、預金は元本1千万円とその利息までしか返ってこないことになりま
した(1千万円超の部分は、運がよければ一部は戻ってくるかも)。

 1千万円を超えて預金をしていた人のなかには、欲をかいてしまったと言っている人もいる
ようですが、今となっては後の祭り。
他の銀行と比べて預金金利が高いことに魅かれて、つい
大金を投じてしまったのが運のつき。

 では、日本振興銀行にお金を預けていた人は、欲が深いおバカさんであり、普通の銀行に
お金を預けている人は、賢い人だということができるのでしょうか?

 次のような反論が予想されます。

 「確かに、日本振興銀行に1千万円を超えてお金を預けていた人は、今回預金が戻ってこ
ない事態になっているので、結果的にはおバカさんだということになる。しかし、1千万円まで
しか預けていない人は、もし、今後も定期預金を満期まで継続するのであれば、他行に比べ
て概ね1桁も高い金利がつくわけだから、大変に得な結果になっている」

 つまり、日本振興銀行にお金を預けるということは、おバカさんどころか、理性的に行動し
た結果であるとも言える、ということですね。でも、1千万円を超える大金を預けていた人は、
大損する結果になっていることも事実です。

 「しかし、1千万円超のお金を預けていた人でも、いろいろと問題が表面化した後、直ちにお
金を引き出してしまっていれば大損をすることを回避できたはずであり、現にそうした人もい
るはずだ」

 確かに、1千万円超の預金をしていても、もし、用心深く事の推移を見守っていて、事前に1
千万円超の部分を引き出していれば、今回大損を被ることはなかったと言えるのです。

 しかし‥ ここに大きな問題が存在するのです。つまり、日本振興銀行への預金を中途解
約することになれば、当初約束された金利の1/20から1/100の利子しかつかないという
ことで、そこのところが判断を迷わせる材料となったのです。

 「お客様、大丈夫です。当行は潰れるようなことはありません。それに今解約されると、金利
は殆どゼロになってしまいますよ」

 そのように説得されて、解約を思いとどまった預金者もいると思うのです。で、もし、その人
の預金残高が1千万円を超えていれば、今回大損をしている、と。

 いずれにしても、今回大損した預金者は、日本振興銀行の高い金利に目がくらんだ結果だ
ともいえるわけですが、では、そうして日本振興銀行が高い金利をつけたことがいけなかっ
たのか?

 実はそうでもないのです。はっきり言えば、日本振興銀行の今までの預金金利の水準は、
本来の水準からすれば今でも低いと言えるかもしれないのです。

 何故、そのようなことが言えるのか? それは、
日本振興銀行の預金も他の銀行の預金と
同じように預金保険機構の保証がなされているにもかかわらず、それだけの金利をつけない
と預金が集まらないと言えるわけだからです。つまり、預金保険制度というものがなければ、
もっと預金金利は高くなっていたであろう、と。そして、そうなれば、預金者は、自分の大切な
お金を預ける先を決めるときに、もっと真剣に決めたと思うのです。この銀行は預金金利が
高いからこの銀行にしようなどと単純に考えることはなく、何故、こんなに金利が高いのかと
考えたと思うのです。

 いずれにしても、預金保険制度というものによって預金者のリスク感覚をすっかり麻痺させ
てしまっているのだ、と。

 まあ確かに、預金の全額が保護されるのであれば、預金者は自分のリスク感覚が麻痺して
しまっても問題はないのでしょうが、現実には、預金が保護されるのは元本1千万円とその利
息まで。元本1千万円を超える部分については、預金者はちゃんとリスク感覚を研ぎ澄ませて
おかなければならなかったのです。

 ということで、日本振興銀行にお金を預けていた預金者の多くは、日本振興銀行の金利が
高い理由について真剣に考えた節がそれほど感じられないのです。何故日本振興銀行の金
利だけこんなに高いのかという理由を考えることがなかった、と。そして、その一方で、高い
金利を付けてもらい大いに喜んでいたのだ、と。

 まあ、個人が自分の行動について責任を取るのは、当然といえば当然でしょう。しかし、そ
うはいっても、金融庁も、もう少し預金者に注意を喚起すべきだったのです。
つまり、一部の
金融機関で他行と比べ著しく高い金利を付けているところがあるが、その理由は預金者が各
自でよく考えるべきである、と。

 すくなくても、その位の注意喚起が必要だったわけですが、本当はそれだけでは済まない
のです。何故ならば、現在の預金保険のシステムが非常に欠陥のあるものだということが分
かっているからなのです。

 何が欠陥かといえば、何故預金保険機構は、一方で、同じ条件で各行の預金を保証する
のに、他方で、それらの金融機関がつける金利は自由なままにさせているのか、と。預金保
険機構の保証が付くということで、各行の預金のリスクは概ね同じ程度になっているはずな
のに、他方で、非常に異なった金利が付けられるのであれば、お金はみな高い金利に吸い
寄せられるようなことが起こるではないか、と。本来であれば、起こり得ない現象が起こってし
まうではないか、と。で、その一方で、各金融機関が支払う預金保険料率は同じ条件になっ
ているのです。つまり、破綻の可能性が高い金融機関が支払う保険料率も健全な金融機関
と同じで済んでいる、と。

 つまり、現在の預金保険制度は、経済原理に合わない制度になっていて、そして、脆弱な
金融機関を温存させる副作用があるのだ、と。

 で、欲に目がくらんだ預金者が、高い金利につられて大損をしてしまう、と。

 もし、預金保険機構が、預金保険が適用される預金に関して大きな預金金利の違いを認め
ることがなければ、そして、同時に、預金保険の適用されない預金に関して大きな預金金利
の差が生じる理由を預金者に十分分かってもらっていれば、今回の預金者の損失は小さくす
ることが可能であったのです。

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 日本振興銀行が破綻し、我が国で初のペイオフが実施されることになりました。

 日本振興銀行って?

 ほら、あの木村何とかさんとか言う人が‥、そうそう、竹中大臣と親しかった‥、でもって、
亀井氏からは憎まれてもいた、その木村氏が作った銀行が債務超過に陥ったと金融庁の申
し出た、と。

 私、日本でペイオフが実施される日がいつ来るのだろうか、と10年ほど前にいつも思って
いたのでした。

 そもそもは1995年に、政府がペイオフを5年間凍結することから始まりました。ペイオフな
どを実施すれば、経済が混乱してしまう、と。

 何故ペイオフを実施すると経済が混乱するのか?

 ペイオフ、pay off の本来の意味は、完済です。完済して、何故経済を混乱させることにな
るのか?

 それはこの場合のペイオフというのは、預金保険の保険金を支払うということを意味するか
らです。でも、保険金が支払われるのに、何故経済を混乱させるのか?

 それは、預金の元本が1千万円を超える場合には、全額が保護されるわけではないからで
す。

 まあ、それはそうと、こうやって我が国で初めてペイオフが実施されることになったわけです
が、では何故、今回はペイオフを認めることにしたのか? あんなにペイオフを実施すること
に躊躇していた役所が。

 それは、日本振興銀行が、本物の銀行と言える代物ではなかったからなのです。

 だって、この銀行は普通預金も当座預金も受け付けないのだとか。あるのは定期預金の
み。そして、この銀行は顧客との資金のやり取りを、何と他行の口座を使って行うのだとか。
ちょっと信じられない話です。

 考えようによっては、お客さんから期限を切った出資を募り、それを貸出や債権の購入に回
していただけとも言えるわけです。

 で、そうして決済機能を持たないから、金融システムに影響を与えることはないだろう、と。
影響を受けるのは、主に1000万円以上預けた顧客だけに留まると読んだということなので
す。

 では、これまではペイオフを避け、事実上1000万円以上の預金を持っていた人を助けてい
たのに、今回はそうした預金者を救済しないことに問題はないのか、となるのですが‥

 これは以前報じたように、この銀行は他の銀行に比べて極めて高い金利を付けていたわけ
です。本当なら、こんなできたばかりの、しかも、普通用金を預からないような変則的な銀行を
信じる者は殆どいないと思う訳ですが、でも、預金をした人は、その高い金利に魅かれてしま
ったということなのです。

 でも、預金保険のルールとしては、定期預金に関しては、元本1千万円までとその利息しか
保護しないとはっきりと言っているわけですから、1千万を超える部分が保護されなくても、誰
にも文句を言うことはできないのです。

 テレビでインタビューを受けた預金者が、幾らくらい預金していたのかと聞かれ、限度額の
2倍ほどだ、と。そして、欲をかいたと言っていました。

 こうしてペイオフが実施されたことから、例えば、似たように高い金利を付けている金融機
関から預金の流出が起こることが容易に予想されるところです。

 その対策はできているのでしょうか。

 巧い話には注意が必要です。でも、欲をかいた人でも、1千万円までしか預けていなかった
ら、損はないわけです。やっぱり、預金保険制度の下で預金金利を自由に決めることは、矛
盾しているとしか言えないということです。

 金融庁は、金融機関に預金金利の競争をさせるのであれば、元本1千万円を超える部分、
即ち、預金保険の対象外の部分に限る必要があるのです。金融庁や預金保険機構はわか
っているのでしょうか。


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 新銀行東京のサイトを訪れると、スーパー定期預金「特別金利
キャンペーン」の宣伝をやっていました。

 7月30日までですが、1年ものは0.65%、3年ものは0.8%、そ
して、5年ものは0.9%。

 あれっ、金利ってそんなに高かったのか、と思うほどの水準で
す。

 新銀行東京というのは、ご承知のとおり東京都が出資する中小
企業に対する無担保融資中心の普通銀行なのだとか。

 もっとありていに言えば、石原都知事の肝いりでできた銀行で、
返す当てもない企業に多額の融資をしていた銀行です。

 いずれにしても、この銀行の金利がどれほど高いかを知るため
に、他行と比べてみました。

 三菱東京UFJ銀行の例です。

 300万円以上の場合ですが‥

 1年ものは0.060%、3年ものは0.10%、そして、5年ものは
0.160%。

 へーっ、というのが正直な感想です。ずいぶん違うものです。

 ついでに、今注目の木村氏の日本振興銀行もみてみましょう。

 日本振興銀行の英語名は、インキュベーター・バンク・オブ・ジ
ャパンだとか。
この銀行は、名前が変わっているだけではなく、イ
ンターネット取引専用の預金取引があるようです。

 で、その預金金利をみると、

 1年ものは0.6%、3年ものは1.0%、そして5年ものは1.5%、
ついでに10年物も紹介すると、な、な、なんと2.0%なのだとか。

 さあ、皆さん、こうした実態をご覧になってどう思われることでしょう?

 新銀行東京に預金しよう、或いは、日本振興銀行に預金しよう
なんて、一瞬思ったのではないでしょうか?

 でも、ちょっと待って下さい。いえ、何も預金するなというのでは
ありません。そうではないのです。私が言いたいのは、何故それ
らの銀行は、大多数の銀行が支払う金利の10倍もの金利を付け
てくれるのか、ということです。

 話は横道にそれますが、もし、政府が国債をバンバン発行し
て、日本振興銀行に預金をすれば、10年物国債の利回りは、最
近1.10%程度で推移しているということなので、そうすることによ
って政府は簡単に0.9%の利ザヤを稼ぐことができる、と。

 これ、何か変ですよね。

 何が変かというと‥、これ説明するのはちょっと大変なのです
が‥

 いずれにしても、市中銀行というのは、お客様から集めた預金
を原資として企業に融資し利鞘を稼ぐ、と。そして、残ったお金
は、国債などで運用して利鞘を稼ぐ、と。

 それが、こんなに高い金利を設定している銀行ではできないと
いうことになってしまうのです。何故なら、2.0%の金利を支払う
約束で集めたお金を国債で運用して、そして、その利回りが
1.1%であれば、全くの逆ザヤになるからです。

 で、そうやって預金に高い金利を支払うから、当然のことなが
ら、貸出などの運用の方も、リスクの高い案件に手を出さざるを
得ない、と。

 で、話がここまで進むと、じゃあ、そうした銀行も普通の銀行の
ように預金金利を他行並みに下げればいいのに、と思う人も多
いでしょう。

 しかし‥

 こうした新しい銀行で、しかも、信用度がイマイチというかイマニ
の銀行は、何もしないでは預金は集らないもの。だから、止むなく
高い金利を付けざるを得ないのです。

 でも、そこに問題が潜んでいるのです。

 こうした銀行の預金が、預金保険の対象外であるのであれば、
どんなに高い金利を付けようと、ご勝手にぞうぞ、と。

 一般の預金者は、考えるわけです。どうしてそんなに金利が高
いのか、と。ああ、そうなのか、ここは信用度が低いのだな、と。
ひょっとしたら、預金が返ってこないこともあるかも、と。

 しかし、我が国の現実は、そうではないのです。元本1000万円
までとその利息は預金保険の対象になっている、と。だから、ど
れだけ危ないかもしれない銀行に預金を預けても、1000万円ま
では、必ず返ってくる、と。

 で、そういうことを熟知した人にとっては、1千万円まではどこの
銀行の預けても同じというか‥、否、少しでも金利の高い銀行の
預けようというインセンティブが働いてしまうのです。

 もちろん、もし、そうした信用度の劣る銀行が、その信用度に応
じて預金保険料を納める制度になっているのであれば、それなら
それで合理性はあるわけですが、現在の預金保険制度は、信用
度に関わりなく一律の預金保険料が適用されているのです。

 つまり、本来大した信用度もない銀行の設立が認められると、
そうした銀行は知名度や信用度がないため、他行よりも高い金
利を付けないと預金が集まらない、と。

 そして、そうした高い金利を付けても、我が国においては預金
は元本1千万円とその利息までは保護されるという預金保険制
度があるので、そうした高い金利を高いリスクの裏返しだとは理
解せず、単に御馳走であると考えてしまう、と。

 で、そうやって高い金利を付けて預金を集めた銀行は、そうし
たコストをカバーするために、どうしてもリスクの高い事業に手を
出さざるを得なくなる、と。

 まあ、そうした銀行は、担保や保証人がなくても融資をすると言
いますから、それなりの社会的責任を果たしているとも言える訳
ですが、でも、担保や保証人がいなければ、当然のことながら貸
出金利は更に高くなってしまう訳なのです。

 で、そのような銀行からお金を借りることができた中小零細企
業が、金利を払うことができている間はいいのですが‥

 いずれにしても、中小零細企業に融資するのは、こうした銀行
ばかりではありません。
信用金庫や信用組合だけでなく、地方の
銀行も中小や零細企業にお金を融資しています。そして、それら
の金融機関の預金金利は、上の2つの銀行に比べて遥かに低
い、と。つまり、これら2つの銀行は、最初から大きなハンディをし
ょって競争を余儀なくされているのです。

 10年ほど前、日本のマスコミや政治家は、担保や保証人がい
ないと融資しない日本の金融機関はおかしいと批判しましたが、
そんな単純な話ではないのです。

 綺麗ごとでは金融機関の経営はできないのです。

 

 確かにその二つの銀行の預金金利は高いな、と思った方、クリ
ックをお願い致します。
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